4月。桜の花は満開に咲き誇り、澄んだ青空に、まだらな白雲が彩りを添える。そんな穏やかな春の日、僕は学校に向かうバスの中、座席に座りゆらゆらと揺られていた。乗り慣れた住宅街を抜けるバスの振動。車内へ吹き込む春風に、桜の花びらが舞い込んでは、また窓の外へと流れていく。朝、陽の昇らない内から、僕は制服を身に纏い、準備を整えていた。鞄には数冊の教科書とノート。そして筆箱の中には一本のシャーペンが入っている。
バスの車窓から見える風景は、いつもと変わらない。なのに今日だけは特別に感じられた。春の陽気にあてられたのだろうか? それともこれが俗にいう入学式マジックというものなのだろうか?
「きっとどっちもだな」
そう僕は結論付けると、周りの目を気にするように顔を伏せた。そうしてバスに揺られること十数分。僕の穏やかな気持ちはすぐに消し飛ばされてしまった。
「んっ・・・・んふぅ・・・・」
女性の甘い声が耳元をくすぐる。
「んっ……ふぅ……」
バスの中は通学通勤の人々で溢れかえり、楽しそうな会話の声や、新聞を広げる音、それを読み上げる車内アナウンスの音が入り混じる。それなのに僕の耳には女性の甘い吐息の音しか入ってこない。いや、聞きたくないのに聞こえてきてしまうと言った方が正しいだろうか? それはきっと、優先席に立っている女子生徒が発しているものだった。
僕はそっと伏せていた顔を上げ、声のする方へと視線を送った。そこではサラリーマン風のスーツを着た男が、女子生徒の太股をいやらしい手つきで撫でていた。
「んっ…………ふぁん…………」
女性は身体をくねらせ、頬を上気させていた。しかしその表情はどこか艶かしい。これはもう見間違えようがなかった。僕は確認のために二度三度と瞬きを繰り返すが、その行為に意味はなかった。やはりこれは現実だ。
「んっ…………あっ…………」
男は太股を撫でていた手を、今度はスカートの中へと潜り込ませる。そして女子生徒のお尻を揉みしだくように撫で回した。
「んっ……あっ……ふぁん……」
その行為に女子生徒は身体をくねらせ、艶のある声を漏らした。僕はその光景から目が離せなかった。いや、正確には目を離すことができなかったのだ。それはまるで蛇に睨まれた蛙のように、身体が金縛りにあったかのように動かないでいたからだ。
「あっ……んふぁ……」
女子生徒は身をよじりながら、必死に声を押し殺している。それはもはや気持ち良さを我慢しているようにしか見えない。
「んっ……ん…………」
男はスカートの中に入れた手で、女子生徒のお尻を撫で回し続けている。そしてもう片方の手で、胸を制服の上から揉みしだいている。
「んっ……やっ……あん……」
女子生徒は身をよじらせ、なんとかその行為を拒もうとしている。しかし男はそれを許さなかった。むしろ彼女の反応を見て、さらに行為をエスカレートさせていく。
「はぁ……ん……ふぁん…………」
次第に女子生徒の抵抗が弱々しくなっていくのが分かった。そしてそれに合わせて、男の手の動きも大胆になっていく。男はスカートの中に入れた手を器用に動かし、彼女のショーツを膝まで引きずり下ろすと、そのまま太股へとずらしていく。
「はぁ……ん……ああっ!」
男は太股から膝までショーツをずらすと、女子生徒の足を少し開かせる。そしてその間へと自身の身体を滑り込ませる。
「はぁ……んっ……」
男は自らの腰を前後に揺すりながら、女子生徒の股間に自身の腰をすりつけ始めた。それはまるでセックスをしているかのように思える動きだった。しかもそれを公共の場で平然とやっているのだ。その行為に背徳感や羞恥心もないのだろうか? いや、そんな感情など今更なのかもしれないなと僕は思った。
「はぁ……ん……ふぁん……」
女子生徒は身体をくねらせ、男の行為から逃れようとしている。しかし男はそれを許さない。それどころか彼女の背中に腕を回すと、自らの身体へと引き寄せた。すると女子生徒の身体はすっぽりと男の腕の中に納まってしまった。そしてそれと同時に彼女の股間に男の一物が激しくこすりつけられることになる。
「あんっ……やっ…………いやっ!だめっ!」
女子生徒は首を左右に振りながら悶えるが、男はそんなことお構いなしとばかりに腰を動かし続ける。そしてそれにつれて、女子生徒の声も大きくなっていく。
「ああっ……やぁっ……ああっ!」
男はさらに激しく腰を動かし始める。それはまるでセックスをしているかのようだった。そしてついにその時がやってくる。
「ああっ!だめぇ――――!」
女子生徒は身体を仰け反らせる。それと同時に彼女の股間から液体が勢いよく飛び出した。それはまるで噴水のように高く舞い上がり、僕の顔へと降り注いできた。
「はぁ……はぁ……んっ……」
女子生徒はぐったりとして、男に身体を預ける。男はそんな彼女を優しく抱きしめると、耳元で何かを囁いた。すると彼女は小さくうなずき、ゆっくりと立ち上がる。そして男と一緒に出口の方へと消えていった。
僕はその様子をただ黙って見ていることしかできなかった。いや、目を逸らすことができなかったという方が正しいだろう。それほどまでに衝撃的だったのだ。女子生徒が連れ去られた後、何事もなかったかのように車内はもとの雰囲気を取り戻す。しかし僕は違った。まるで時間が止まったかのように、動くことができない。あの女子生徒の甘い吐息の音がまだ耳から離れなかった。それはまるで耳にへばりついたかのように離れない。そしてそれと同時に僕の股間は熱を持ち始めていた。
僕は慌ててズボンの上からそれを押さえ込むと、周りから見えないように前屈みになった。幸いにも乗客は皆、それぞれ違う方向を向いており、僕の様子に気付く人はいなかった。しかしそれもいつまで続くかわからない。もしこのことがバレたらと思うとゾッとする。
僕は必死にそれを隠そうと、前屈みの体勢のままじっとしていた。しかしそれがいけなかったのかもしれない。バスが揺れるたびに股間が椅子に擦れてしまい、その度に僕の口からは小さなうめき声が漏れた。
「んっ……くっ……」
そんなもどかしい感覚に必死に耐えていると、誰かの手が伸びてきた。その手はそのままゆっくりと僕の股間をなで回す。
「えっ!?ちょっと何してるんですか!?」
慌てて振り返ると隣の席に別の女子生徒が座っていた。彼女は片手で本を読みながら、もう片方の手で僕の股間を撫で回している。
「んっ……ふぅ……」
彼女は何も答えず、ただ黙々と手を動かし続けていた。しかもその手の動きはかなり大胆なもので、ズボンの上から優しく揉んだかと思うと、今度はギュッと握ってくる。そのたびに僕は身体をビクッと震わせた。
「あっ……だめっ……!」
僕の声などお構いなしとばかりに彼女の手は動き続ける。そしてついにその時がやってきた。ベルトに手をかけられ、カチャカチャと外される音が耳に届く。慌てて抵抗しようとするがもう遅い。あっという間にチャックを下げられると、僕の股間からブルルンと勢いよく勃起した一物が飛び出してくる。それはまるで獲物を見つけた蛇のようだった。
「はぁ……んっ……」
彼女はそれを優しく握り込むと上下に動かし始める。その動きはゆっくりだが確実に僕を追い詰めていく。
「あっ……だめっ!」
僕は慌てて彼女の手を払いのけるが、すぐにまた掴み直されてしまう。しかも今度はさっきよりも強く握られていた。そしてそのまま上下に動かされるたび、快感が身体中を駆け巡っていく。その快感に抗えず、どんどんと射精感が高まっていった。
「はぁ……ん……あんっ……」
僕は必死に我慢しようとするが無駄だった。そしてついにその時が来た。
「あっ!だめっ!」
ドピュッという音と共に、僕の一物から大量の精液が飛び出した。それはまるで噴水のように高く舞い上がり、彼女の制服に降り注いでいく。
「んっ……はぁ……はぁ……」
彼女はそれを気にする様子もなく、ただ黙々と手についた精液を舐めとっていた。その表情はとても妖艶で、思わず見惚れてしまうほどだった。
「ふぅ……」
彼女は手についた精液を全て舐め終わると、何事もなかったかのように本を読み始めた。僕はその様子を見ながら呆然としていた。何だったんだ今のは……夢だったのだろうか?いやそんなはずはない。あの生々しい感触は確かに本物だったのだから……。
結局そのあとバスを降りるまで、彼女と会話を交わすことはなかった。ただ黙って一緒に座っているだけ。しかしその間もずっと彼女の甘い匂いが漂ってきていて頭がクラクラしたのを覚えている。それが今でも忘れられないのだ。それからほどなくして目的地に着くと、僕は逃げるようにバスから降りた。バスを降りると、そこにはとても大きな建物がそびえ立っていた。東京都高度育成高等学校。今日から僕が通うことになる学校だ。僕は一度立ち止まり、大きく深呼吸をした。これからの新たな生活に少し緊張しているのかもしれない。しかしいつまでもここで立ち止まっているわけにはいかないだろう。僕は覚悟を決めると、再び歩き出した。
「ちょっと」
勇みの一歩を踏み出そうとした瞬間、後ろから声をかけられた。振り返ると先ほど隣に座っていた少女が立っていた。
「な、なんですか……?」
僕は恐る恐る聞き返した。すると彼女は無表情のまま淡々とこう言った。
「あなたのせいで制服が汚れたのだけれど」
そう言って彼女は自分の着ている制服を見せてきた。そこには僕の精液が大量にこびりついていた。それはまるで白いペンキでも被ったかのように、べったりと付着していた。僕は思わず目を背けた。そんな僕に追い討ちをかけるように彼女は言葉を続ける。
「どうしてくれるのかしら?」
そんな理不尽な要求に、僕は困惑した。確かに彼女の服を汚してしまったのは悪いと思うが、それとこれとは話が別だろう。だいたい元はといえば彼女が僕の股間を触ったからこうなったわけで……。
「えっと……その……ごめんなさい」
結局何も言い返すことができず、素直に謝罪の言葉を口にするしかなかった。それを聞いた彼女は小さくため息をつくと、そのまま何も言わずに立ち去ってしまった。
「なんだったんだ今の……」
僕は呆然としたまま彼女の後ろ姿を眺めていたが、すぐにハッと我に帰ると急いで学校へと向かった。遅刻したら大変だ。
結局、学校に着くまでの間ずっと悶々とした気持ちのまま過ごすことになってしまったのだった。