※この作品はR-18です。

よう性   作:崇大

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Ⅾクラスのお嬢様方⓪

学校2日目、授業初日ということもあってか、昨日より教室がにぎやかさを増している。教室前方にはまだ先生が来ていないが、すでに席について談笑する生徒たちの姿もちらほらと見える。

そして、僕の隣の席には――。

 

「おはよう、荒清くん。昨日はよく眠れた?」

「お、おはよう堀北さん」

 

軽く微笑む堀北さん。その笑顔に思わず心臓が高鳴る。

 

「昨日は……その、いろいろとありがとう」

僕は改めてお礼を告げる。

 

「気にしないで。私は自分がしたいと思ってしただけだから。でもね、もしお礼をしたいって言うなら……」

そう言いながら、堀北さんはふいに視線を外して間を置いた。そして、期待も込めたような口調で続けた。

 

「私とお昼、一緒に食べてくれないかしら?」

「……え?」

「ダメかしら?」

「う、ううん!全然ダメじゃない!むしろ僕なんかでいいのかなって……」

「荒清くんだからいいのよ」

「そ、そう……なんだ。じゃあ、うん。僕でよければぜひ!」

「ありがとう。それじゃ、今日のお昼に声をかけるわ」

 

そう言うと、堀北さんは再び前に向き直った。それを見て、僕も慌てて前を見る。しかしつい視線が横に流れ、彼女の横顔をそっと盗み見てしまう。

 

(やっぱり……堀北さんって……)

 

昨日から感じていた気持ちが確信に変わる。そして、その確信を改めて心の中でつぶやいた。

 

(堀北さん、やっぱり……美人だ!)

 

誰が見ても認めるだろう。そんな美人の隣の席になれた僕は、男として非常に幸運だったと思う。この学校生活が楽しくなる予感をひしひしと感じるのだった。

 

(これから3年間、楽しく過ごせたらいいな……)

 

淡い期待を胸に迎えた昼休み。約束通り一緒に昼食をとれることを楽しみにしつつ待っていると――。

 

「荒清くん、お昼行きましょう」

「うん!行こうか!」

 

彼女に促され立ち上がり、一緒に教室を出た。そして二人で歩きながら食堂へ向かう途中、その広さと整然とした雰囲気に軽く感嘆する。

 

「へえ、ここが食堂かあ。学校の中とは思えないくらい広くてきれいだね」

「そうね。衛生面や安全面にも配慮されているから、生徒もよく利用しているわ」

 

会話しながら食券機へと近づく。堀北さんがふと尋ねた。

 

「荒清くん、何か食べたいものある?」

「えっと……特にないかな。なので堀北さんにお任せするよ」

「わかったわ」

 

簡単なやり取りの後、それぞれ料理を選びトレーを手に空いている席を探す。ほどなくして見つけた2席に向かい合う形で座ると、昼食を口に運び始めた。

 

「美味しいね、堀北さん」

「そうね」

 

そんな何気ない会話を交わす中、不意に疑問がわいて口をつく。

 

「ところでさ、どうして僕なんかと? 昨日初めて会ったばかりなのに……誘ってくれて本当に嬉しかったけどさ」

 

僕の問いに堀北さんは少し考えるような表情を見せ、落ち着いた声で答えた。

 

「確かに普通はそう思うわよね。でも、それはね……私が荒清くんに興味を持ったから……かしら」

「えっ?」

 

昨日、堀北さんと話して改めて思った。この人ともっと仲良くなりたい、と。自分から誰かを食事に誘うなんて初めてのことだったから、最初はかなり緊張していた。でも、いざ堀北さんと言葉を交わしてみると、その緊張も自然と消えていった。

 

堀北さんの言葉を受け取って、胸がじんわり温まるのを感じた。それと同時に心の奥から喜びが湧いてきた。堀北さんが僕を友達として認めてくれた、そんな確信がそこで生まれたんだ。

 

「ありがとう、堀北さん。僕も堀北さんと仲良くなりたい」

 

そう伝えると、彼女は優しく微笑んでくれて、「これからよろしくね」と言葉を返してくれた。お互いに自然な笑顔がこぼれる中、僕らはその後も色々なことを話して楽しい昼食の時間を過ごした。

 

昼食が終わった後、教室に戻るため廊下を歩きながら、気づけばさっきまで一緒だった堀北さんのことを考えていた。美しくて聡明で、どこか気高い雰囲気を纏っている……改めてすごい人だなぁと思わずにはいられない。そんなことをぼんやり思っていた時だった。

 

ふいに背後から名前が呼ばれ、振り向くとクラスメイトの櫛田さんが立っていた。

 

「あれ、櫛田さん?どうしたの?」

 

問いかけると、彼女はなんだか照れくさそうな表情を浮かべ、一瞬視線を逸らしたあと、こちらを見つめ直してニコリと笑った。そしてこう言った。

 

「荒清くんがいたから、声かけちゃった!」

 

明るく弾けたような笑顔に思わずドキッとする。そんな動揺を表に出さないように気をつけながら、自然体を装って返事をする。

 

「そ、そうなんだね。何か僕に用でもあるの?」

 

彼女は一拍置いてから少し躊躇いがちに言葉を続けた。

 

「実はね……私と連絡先、交換してもらえない?」

 

恥ずかしそうに、けれど真剣な目でこちらを伺う櫛田さん。その姿勢に少し焦りながらも答えた。

 

「いいよ!全然OKだよ!むしろ嬉しいくらい!」

 

その返事に彼女の顔がパッと明るくなり、とても嬉しそうな笑顔が咲く。

 

「本当!?よかったぁ!」

 

そうして僕は櫛田さんと連絡先を交換することになった。彼女が楽しげに手を振りながら去って行くのを見送り、教室へ戻るためにまた歩き出す。そして、自分の席に着きながら今日の出来事を思い返していた。

 

堀北さんとも距離が縮まったし、クラスメイトの櫛田さんとも繋がれた。これからもっと色んな人と仲良くなれる気がする。そんな未来を想像すると、不思議なくらい自然な笑みが浮かんでしまうのだった。

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