※この作品はR-18です。

伊那穂村奇譚集   作:るっぴぃ

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ジャンル:考察、作中作
時系列:IF時空、『梓川 美穂』前後
ネタバレ:本編終了程度+『穂村姉妹の強襲(後)』終了程度
注意書き:軽度の佐×倉要素があります。本番描写はありません。

あらすじ
新学年を迎えたばかりの浩太は、クラスの空気が明らかにおかしくなっていることに気づく。どうもそれは佐藤をシカトする方向で進んでいるようだった。その真相を調べるため、浩太は佐藤の家を訪れるが――。


もしも銀木冬が己を殺していたら

『新学期が始まったばかりの教室は、どこかそわそわとした雰囲気がしていた。

 伊那穂村は人口の少ない村だ。クラスメイトが変わるわけでもないし、担任が河上先生から変わることもない。小さな村では学校外でクラスメイトと会うこともしょっちゅうで、春休みの間も大半のクラスメイトと会話を交わしていたりするからなおさらだ。

 なのにこれほど浮ついた雰囲気が漂うのは、新しい教室になったからかもしれない。

 新三年一組の教室は去年の三年生――冬先輩や丸山先輩がいたクラスだ――が使っていた教室にスライドしている。冬先輩の座ってた席にいがぐりどもが座るようなら処さねばなるまい。いや、どこに座ってたかなんて知らないけどな。

 

 相変わらず一番早く来ている委員長や藤見をはじめとして、登校しているクラスメイトは半分くらいか。

 油島や湊の姿がないのは新学期早々から朝練に行っているのだろう。小さい部活とはいえ熱心に練習する姿に思うことがないとは言えない。

 扉を開けてすぐ、廊下側最後尾六列目が俺の定位置だ。転校生は一番後ろ。どうも席替えの概念が村に根付いていないらしく、中学入学以降ずっとこの座席らしい。俺を除いた最後尾のロリ三人はちゃんと黒板が見えているんだろうか……。

 そんなどうでもいいことを考えていたからか、俺の反応は遅れた。別になんてことのない扉の開く音だったというのもあるかもしれない。だがその音に続くようにして、

 

 

 

 

 しん、

 

 

 

 

 

 と教室から一切の音が消えた。

 思わずギョッとして教室を見渡す。

 柏木と藤見の顔が硬い。山田と田中は教室の端で縮こまっている。玲菜は寝たフリを決め込んでるし、梓川と掛川はなんだかわざとらしい会話だ。委員長だけはいつもと変わらず教科書を読み込んでいて、逆に違和感がすごい。

 ざっくりクラスメイトを見渡してもこの謎の雰囲気の正体が掴めず、思わず振り返って、

 

 佐藤薫がいた。

 

 いや、本当に佐藤かこいつ? 人相は終業式に見た佐藤と変わらないが、頬が少し痩け、目元の隈がえらいことになっている。泣き腫らしたのか目も赤く、足取りもフラフラと頼りない。

 思わず立ち上がって肩を貸そうとしたところで、何かを察して慌てて振り向いた柏木に腕を取られた。

 

「く、倉持くん! ちょっと教えて欲しいことがあるんだけどさ!」

「な、なんだよ柏木。今そういう場合じゃ」

「ほ、ほら! 天文部に丸山先輩っていたじゃん!? この前商店に行ったら話が盛り上がっちゃってさ! でも今までほとんど話してこなかったから、どんな作品が好きかわからないんだよねー! あはは……!」

「お、おい、柏木……? お前なんか変だぞ……?」

「な、なにもボクは変じゃないさ! そう思うキミの方が変なんじゃないかな!」

 

 強引に俺を引き止める柏木を振り切れない間に、佐藤は自分の机に辿り着いたようだった。それならまあ慌てる必要もないか、とため息を吐く。

 あれだけ俺と柏木が騒いでいたのに、誰も俺たちに話しかけてこないし、佐藤の方を見もしない。まるでも何もそっくりそのままいじめの構図だが、柏木の顔色を見ても怒りや憎悪の環状は見当たらない。どちらかというとこれは……困惑、か?

 んー? なんでこいつらが困惑してるんだ? いまいち状況がわからん。普通逆じゃないか?

 

 俺が状況に困惑している間に予鈴がなり、河上先生が入ってくる。いつの間にかクラスメイトは全員揃っていたようだ。今から佐藤に話を聞くのは流石に不自然だろう。

 まあこの後帰宅までに話を聞けばいい、とひとまず納得して、河上先生の話を聞くことにした。

 

 

 

 放課後まで、俺と佐藤が話せることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 去年前半の俺は相当に参っていた。

 突然彼女にフラれて、事故で両親を亡くしたんだ。今から思えば落ち込まない方がおかしい。そんな俺を一年かけて癒してくれたのが伊那穂村であり、君恵さんや掛川を筆頭としたクラスメイトたち、冬先輩率いる天文部のみんなにはすごいお世話になった。

 そのお礼はいずれ村の一員として返していきたいと思っていたし、俺だって困っている奴がいれば助けようとする。

 なにより、村のみんながつまらないイジメなんてしているとは思いたくなかったから、普段はあまり近づきたいと思わなかったここにやって来ていた。

 佐藤の家だ。大工の家らしく、実直な木造二階建て。佐藤の親父さんが建てたらしいこの家は、村の中でも新しい方になる。父さんが村を出る前にはあった家を使っている俺としては羨ましい限りだ。

 

「さてさて、佐藤は在宅かね」

 

 あれだけ体調が悪そうだったのだから帰ってきて寝ていそうではあるが、クラスメイトのあの反応が気がかりだ。まさか家族まであんな風になってるとかないよな……?

 チャイムをならせど家人が出てくる様子はない。両親は仕事中として、佐藤の妹はどこかに遊びに行っているのだろうか。

 行儀が悪いとは思ったが、扉に手をかける。村が小さくお互いに顔見知りだということもあるかもしれないが、誰かしらが在宅していれば鍵を閉めていないことも多い。佐藤含め誰もいなければ閉まっているだろうが……、扉は何の抵抗もなく開いてしまった。

 

「佐藤ー、いるかー?」

 

 一応声を掛けながら上がる。佐藤の親父さんの作業部屋が併設されていることを除けばありきたりな造りなので、見回るのに苦労はしない。やはり一階には誰もおらず、二階の私室にいるのだろう。

 あまりに静かなのでバタバタ駆け上がるのも考え物だと、あまり音をたてないように上がっていくと、やはり佐藤が在宅していたのか二階から声が聞こえてくる。

 

「……う…くん、こ……ん……! 浩太くん……!」

「ん? 俺が来たって気づいたのか?」

 

 気づいているなら話は早い。さっさと話しをして帰ることにしよう。

 

「佐藤ー、入るぞー」

「浩太く……えっ……?」

「あ……?」

 

 部屋の中では佐藤がイチモツを扱いていた。平たく言えばオナニーしていた。手から飛び出た亀頭がぷるぷると震え、次の瞬間――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて」

 

 その先をパラパラと眺め、ぱたん、と音を立てて俺は手に持った冊子を閉じた。

 俺が睥睨する先には三人の少女が正座している。

 

 主犯。黒のショートボブと怜悧な表情の下級生、北見静。

 共同正犯。二又の緑の三つ編みに星型のピンの問題児、穂村美涼。

 協力。赤みがかった黒髪を腰まで伸ばした中学生、穂村依涼。

 

 いずれも丸山商店で今にも陳列されんとしていた冊子の共同執筆者たちである。

 タイトルは『孤独を埋めて 〜たった一人の会話相手に逝くまで求められて〜』。とある理由で誰とも会話できなくなった少年が、ただ一人会話をしてくれた同級生に心酔して肉体関係を持つに至る同性愛ものだ。

 

「北見」

「なんでしょうか倉持先輩」

「実名を使うなって前に言ったよな?」

「でもですね」

「でもじゃねぇんだよ実害があるんだよこっちには!」

「でもですよ」

「でもじゃねえ! というか佐藤のちんこは手から出るほどでかくねえよ!」

「えっ……そ、そんな……!?」

 

 どうしてこうなってしまったのか。初対面の頃フィオナさんがレイプされてる姿に怯えていた頃の姿はない。あるのは性欲に忠実になったど変態の姿だ。

 北見は「実名の方がみんな喜んでくれるんですよ!」などと空恐ろしいことを宣いながら文句を言っていたので、あとで念入りにわからせなければならないだろう。

 ……丸山先輩や瀬戸だけならみんななんて言わないだろうし、一体どこまで読まれたのか震えが止まらない。瀬戸みたいに信じそうになったらどうするんだ北見ィ……。

 

「依涼」

「私、負けませんよ」

「何に負けないか先に言う癖をつけろ。……じゃなくてだな。新聞部として取材するのはいい。その情報を提供するのもまぁ、百歩譲っていいだろう」

「ふふん」

「だがセンシティブな話題を迂闊に流すな。情報提供者に最低限の秘匿くらいは要求しろ。特に北見とお前の姉を信頼するな」

「「ちょっとアシスタントくん(倉持先輩)!?」」

 

 そう、このバカ娘は三界供譲の儀における俺や冬先輩の行動をみっちり取材し、その情報を図書委員会の問題児二人に無償提供しやがったのだ。

 その上で自分の何が悪かったのかを反省しないので、尚更腹が立つ。んー、足でまんこいじめておくか。

 

「えっ、ちょっま、イぐイぐイクイグゥーーーー!!!??」

 

 相変わらず弱すぎるまんこだ。眞美とどっちが弱いか今度比べてみるか。絶頂が早すぎるので十回イくまでのタイムとかじゃないと上手く計測できなさそうなのが面倒か……?

 まぁ、そんなことよりだ。一番罪が重いやつにわからせてやらなきゃならない。

 

「穂村」

「はい」

 

 はいじゃないんだよ。

 

「お前の罪は三つだ。依涼を不用意に焚き付けたこと。北見の作品を最低限の校正もせず製本したこと。丸山先輩にいかにも俺の許可取ってますよみたいな顔して販売させようとしたこと。妙に凝ったアナル描写で俺のケツをヒュンとさせたこと」

「アシスタント君、それだと四つだけど」

「黙っとけ」

「はい」

 

 そうなのだ。穂村は基本的に陵辱色の強い作品を好んで書くが、対象はあくまで女性に限られてきた。

 なのに今回に限って急に男の尻穴描写をねっとり入れてきたのだ。思わず後ろに佐藤がいないか確認するほどだ。しばらくあいつと顔あわせるの嫌になるな……。

 

「しかしどうして急にBLなんて書いたんだよ……」

「い、いやだって前にやってもらった雫落とし鑑賞会の時気持ちよかったし……」

「それは実名の言い訳にはならんぞ穂村ァ」

「はい」

 

 そういうわけで三者三様に俺の堪忍袋の尾を切ってくれたのである。最初は面白そうに見ていた丸山先輩が用事を思い出してそそくさと二階に帰っていくほどだった。

 とりあえず言うべきことは言ったので後はこいつらに罰を与えるだけなのだが……。

 

「依涼は一日、北見は三日、穂村は一週間かな」

「ほぇ?」

「何がですか?」

「絶頂管理。〆は雫落とし鑑賞会な」

 

 伝えた瞬間、穂村の顔が面白いくらいにサーっと青くなっていく。断片的に知っている北見の顔も強張りだし、尋常ではない二人の様子を見て依涼も怯え出した。

 

「待って、待ってアシスタント君! 私前の三日でも狂いかけ」

「ああ、大丈夫だぞ穂村」

「そ、そうよね! 一週間ぶっ通しなんて」

「前より力が伸びたから、狂わないままもっとギリギリを責められるぞ」

「ヒィッ」

 

 

 

 

 このあと滅茶苦茶絶頂管理(はんせい)させた。




原作ではやらないであろう佐藤と倉持のカップリングを一度でいいから書いてみたいと思っていたんです許してください何でもしますから……!

本当はちゃんと本番まで書いてきっちり注意書きつけて~までやろうと思ってたんですが、あまりにも書くのがしんどくて放置している間に新鮮さを失っていたので最低限食べられる程度に加工してお届け。
……原作読んでる人の中でBL食える人がどれだけいるんだよという、あらゆる意味でどこに需要があるかわからない一話になってしまったような気がするとかしないとか。
うるせえ! 俺は書きたいものだけ書くからな……!
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