薫子ちゃんも相当痛めつけられます。どうしてもあの子には嗜虐心をそそられます。
昴がモテる自覚がないという設定は無視しました。
私の経験上、長身美少女でモテなかった人に会ったことがありませんので。
昴ちゃん死亡しますが、救われる結末にしました。
私の夢に薫子が現れたとき、薫子はいつも裸だった。
私と薫子は幼馴染だ。一緒にお風呂にも入っている。その時、私が薫子の裸を観察するように眺めていることを薫子は気がついていない。多分。
小学生の時、私の身長は薫子より少し高い程度だった。でも私の方が弱虫だった。「女」だった。
薫子はいつも私を助けてくれていた。男という私を虐める害虫から守ってくれた。私にとっての本当の「男」は薫子だった。
夢の中で薫子は、私の顎を掴んで「今日も可愛いよ、昴。」と言ってキスをした。
舌を入れられた。掻き回された。押し倒された。そのまま全身を愛撫され、私の膣を舐め回され・・・。
私は目が覚めた。私の陰部は濡れていた。私は、そういう所は早熟だった。
私達は成長していった。
私は身長がどんどん伸びていった。男並みの身長になった。私は男が嫌いなのに。
薫子に比べて小ぶりにしか発達しない胸。運動していないのに引き締まった腹筋。
薫子に憧れて伸ばした髪は銀色。この髪でどれだけからかわれたか。欲情の目で見られたか。
一人前に生えてきた陰毛。気に入らない銀色で。それなのに陰茎は無い。
中途半端な肉体。
薫子は身長があまり伸びなかった。その代わり、身体は女らしく成長していった。
胸は大きくなっていった。豊かに、形良く。
下半身は女らしく丸みを帯びていった。陰毛は薄かった。
私は髪をポニーテールにした。目つきを鋭くした。
全ては「女」になった薫子を守るために。薫子の側にいるときだけ私は性別を忘れられるから。
私は何かと口実を付けては薫子と共に入浴することを続けていた。
薫子の胸を揉んだ。尻を撫でた。お腹も撫で回した。
「恥ずかしいよ、昴。」
薫子はそう言いながら抵抗しなかった。
単なる女友達同士のじゃれ合いだと思っているでしょう?薫子。
違うのよ。私はあなたに興奮しているの。汚しているの。
私は女に生まれたことを幸運だと思っていた。その頃までは。
体育の時間等で着替えるとき友人達は薫子の女体を羨ましがった。
美しいでしょう?私が育てたのよ。
友人達は私の肉体も羨ましがった。
何処がいいの?この中途半端な肉体の。
私は中途半端な肉体を生かして、薫子の壁役になった。薫子に手を出す男は許さない。そう決めていた。
そうしていると、私はよくラブレターをもらうようになった。異性からも同性からも。
異性からのラブレターには美辞麗句がちりばめられていた。正直に書きなさい。私の肉体に欲情しているのでしょう?趣味が悪い。私は無視した。
同性からのラブレターにも美辞麗句がちりばめられていた。私は送った相手に会い自分を悪者にして振った。泣きながら立ち去る子が多かった。これはあなたの為なのよ。私のような歪んだ存在になってはいけないから。
私達は高校生になった。薫子は完全に女になっていた。私が男だったら確実に押し倒して犯していた。
でも、できなかった。私は中途半端な肉体で意気地も無かった。
女子校という男のいない歪んだ環境は、男が嫌いな私に合っていた。
何より、薫子に男が手を出さない。私は安心していた。油断していた。
ある日、薫子が男と会っているのを目撃した。後頭部を鈍器で殴られた衝撃だった。
相手は、不良高校千鳥の学生だった。なんとしても排除しなければならない。そう決めた。
私は、その男、紬凛太郎と会い「薫子に会わないこと」を約束させようとした。
彼は拒否した。それは私の方が薫子から排除される事を意味していた。私は薫子から罰を与えられることを覚悟していたが、薫子からそのことは告げられなかった。私は意を決して薫子に紬凛太郎の件を話した。薫子は全く知らなかった。そして薫子は私を責めもしなかった。私は罰せられたかったのに。
紬凛太郎と再び会った。話している内に、彼は薫子と同類の途方もないお人好しであることに気がついた。一番醜いのは私だった。私は、薫子と紬凛太郎の仲を取り持つように装いつつ、夜は薫子で自慰をしていた。果てて、自分に陰茎がないことを憎んだ。紬凛太郎に嫉妬していた。女に生まれた不運を呪った。私はなんて醜い。
ある日、夢を見た。薫子と紬凛太郎がセックスをしている夢。紬凛太郎の陰茎は白かった。私は男を知らないから。でも紬凛太郎に抱かれて薫子は女の顔をしていた。女の声をあげて喜んでいた。私には出来ないのに。
その日から薫子で自慰をすることは止めた。でも、薫子に対する欲求は抑えられない。そしてそれは叶わぬ願い。あまりにも辛すぎる。どうしてこんなモノに生まれてしまったのか。
私は怪物だった。そして、もう怪物として生きることに耐えられなかった。
私は、薫子を傷つける決心をした。そして自分を始末することを決めた。
決行1週間前に、私は薫子に本を貸した。女が女を犯す官能小説だった。
そして、私の両親と薫子の家族にディナーショーのチケットを渡した。5人とも疑わず喜んだ。私と薫子は親友同士仲良く遊ぶと簡単に信じた。
ごめんなさい、薫子のご家族。私はあなた達の大切な娘、お姉さんに傷をつけます。
ごめんなさい、お父さん、お母さん。あなた達の娘は怪物でした。生まれてきて申し訳ございません。
決行日、両親達が外出し、私は薫子を家に招いた。
薫子は何の不審感も抱かずに私の部屋までついてきた。
今日は、夜遅くまで誰もいないことを知っているのに。助けが来ないことを知るべきなのに。
「薫子、貸した本は読んでくれた?」
薫子は一気に赤面した。
「う・・・、うん、読んだよ・・・。昴って、ああいう本も読むんだ・・・。大人だね・・・。」
「ねぇ、薫子。何で私が、あの本を読んでもらいたかったか分かる?」
「えっ?」
私は薫子の腹を思い切り殴った。
「うっ!・・・。」
あぁ・・・何て柔らかい腹をしているの薫子。脂肪も腹筋も少なく内臓の感触が伝わるようで気持ちがいい。ずっとこのまま、あなたの腹を掻き回していたい・・・。
私は拳を更に腹の奥までめり込ませ、ぐりぐりと捻った。
「あ・・・、か・・・。」
薫子は顔を見上げた。私と目が合った。「どうして?」という目。口からは涎が垂れている。
「何でこんな事をしているか教えてあげるわ。あなたとセックスする為よ。あの本みたいに。」
「・・・・・・・・あ。」
薫子の目がぐるりと見当違いの方向を向き、そのまま薫子は気絶した。
私は薫子の瞼を閉ざし、服を脱がし裸にした。そして私のベッドに寝かせた。
そして私も裸になって、色々な準備をして、薫子の隣に寝た。薫子が目を覚ますのを待ちながら。
「う・・・・・・。」
30分くらいで薫子は目を覚ました。私と目が合った。
「おはよう、薫子。」
私は笑みを浮かべて薫子に言った。
「ひっ!」
薫子は仰け反った。当然の反応だ。
私は薫子の髪を掴んで無理矢理私の顔に近づけた。
「ねぇ薫子。本で読んだでしょう?私にキスをしてくれないかしら。いやらしいキスを。」
「・・・嫌だよ。」
私は薫子の腹を膝蹴りした。
「がはっ!」
「拒否権は無いの薫子。キスをしなさい。命令よ。」
ゲホゲホと咳き込んだ後、薫子は恐る恐る私の口にキスをした。子供のようなキスを。
「・・・薫子、口を開けて舌を出しなさい。」
震えながら言うとおりにする薫子の舌に、私は自分の舌を絡ませた。
「が・・・げ・・・が・・・。」
薫子は抵抗しようとしているのか蛙の鳴き声のような声を出してきた。げんなりした。私は舌を絡ませるのを止めた。薫子も舌を引っ込めた。
「薫子、口の中に唾液を貯めなさい。命令。」
薫子は口を膨らませて唾液を貯めようとしているようだった。20秒待った。それ以上待てない。私は薫子の口をこじ開けて唾液をじゅるじゅると吸った。こぼれた唾液も舐めとった。
「・・・なんでこんなことするの、昴・・・。怖いよ・・・。」
「何故?あなたを愛しているからに決まっているじゃない。私は幼少の頃からあなたを犯したかった。そして最後には逆に滅茶苦茶にされたかった。犯されたかった。」
薫子はベッドから跳ね起きて部屋から出ようとした。ドアにはロックをかけてある。それを開けようとしている間に私に捕まった。
「お仕置きよ。」
私はまた薫子の腹を殴った。
「おぐぅっ!」
薫子が私の方に倒れようとしている。私は避けた。
「は・・・う・・・。」
薫子は腹を押さえて正座の状態で蹲った。
「・・・これは夢だよ。悪い夢なんだ。昴は、こんなことしない・・・。優しい昴がこんな酷いことを・・・ぶっ!」
私は薫子の頭を踏みつけた。
「現実を見なさい、薫子。私は、こういう人間なの。いえ、怪物かしら?歪んで生まれてしまった醜い怪物。それが私なの。」
若干の沈黙があった。
「・・・それ以上自分を卑下しないで・・・。」
薫子は、自分を踏みつけてる私の足を払いのけた。凄い力だった。私は慌てて体勢を立て直した。
薫子はよろよろと立ち上がり、私の方を向いた。無表情だった。私を睨みも蔑みの目もしなかった。
「・・・昴、私を犯したいなら好きにしていいよ。好きなだけ殴っていい。ボロボロにされても恨まない。・・・ただ、自分を蔑むのだけは止めて。そんなことは許さない。」
私は気圧されそうになった。そう、私はいつも薫子に勝てなかった。薫子は強い子だから。私は弱いから。でも、今日だけはそうはいかない。今日が最後だから。
私はベッドに飛び乗って仰向けに寝た。
「なら私を犯しなさい、薫子。本で読んだとおりに。」
薫子は黙ったままベッドに乗った。そして私に馬乗りになり、私の両乳首を抓んで、こねくり回した。
「うく・・・、はぁ・・・あん!」
私はこれを待っていた。薫子に犯されるのを待っていた。その事実だけで、乳首を弄られてるだけで快感だった。でも足りない。もっと私を貪るように。
薫子は、私の心の声が聞こえたように私の乳首を舐めた。続いて、私の胸から臍までのラインを舐めていった。舐めながら上目遣いで私の胸を掴んだ。私の両胸を揉んだ。舐めながら。
舌は臍で止まり、しばらく臍を舐め続けた。
「はぅ!う・・・ん・・・。おふ。ふぅ・・・。」
私は嬌声を出し続けた。幸せだった。私は、今度はうつ伏せになって更に薫子に要求した。
「私の尻を叩きなさい、薫子。」
私は引き締まった女らしくない尻を突き出した。薫子は無言で私の尻を叩いた。
ぺち、ぺち、ぺち。
一気に萎えた。
私は起き上がり、薫子の後頭部を掴んでベッドに押し倒した。私は薫子の尻を見た。大きい尻。いやらしい尻。私が撫でて育てた尻。
「・・・手本を見せるわ、薫子。」
私は薫子の尻を思い切り平手打ちした。何度も。
ベチィ!バチィ!バン!バチィ!
「ひぎぃ!あふぅ!あん!あ・・・あう!」
薫子はベッドのシーツを噛んで堪えようとした。私は当然許さなかった。無理矢理引き剥がし、薫子に要求した。
「叫びなさい、薫子。いやらしい女の声で。」
再び尻を何度も叩いた。薫子の尻は真っ赤に腫れ上がっていた。
「・・・あ・・・くは・・・はぁ・・・あ・・・あ・・・。」
薫子は全身を痙攣させていた。
「・・・失望したわ、薫子。何なの、あの叩き方は。好きなようにしていいって言ったのは嘘なの?あなたの覚悟はその程度なの?」
「・・・昴に痛い思いをさせることは出来ない・・・。昴が望んでいても、それだけは出来ない・・・。私なら、どんな苦痛でも引き受けるから。
私を犯してよ、昴。ペニスバンドって本にあったよ。あれで私の処女を奪って終わりにしてよ。痛いだろうけど、それで昴の気が収まるなら・・・。」
違うのよ、薫子。最後に犯されるのは私の方。私だって薫子をこんなに痛めつけるつもりはなかったのに・・・。
すれ違いも、ここまで来ると腹立たしかった。そして焦りを感じていた。これで最後なのに。薫子とすれ違ったまま終わってしまうなんて。
「凛太郎君が失望するわね。清純そうな彼女が実は既に他の奴に抱かれてたなんて。」
私は最低なカードを切った。もう薫子に嫌われても構わなかった。ここで薫子に負けたら自分は終わりだ。
「私は千鳥に言いふらすわ。紬凛太郎と付き合い始めた桔梗の女は、実は何人もの男に抱かれていた淫売だった、とね。千鳥の校風ならあっという間に広まるでしょう。桔梗内部にも伝わるかもね。そうなったら、あなたは終わりよ、薫子。」
もちろん、これは嘘だ。そんなことになったら、薫子より先に私が耐えられない。
怒りなさい、薫子。好きなだけ私を殴りなさい。
「構わないよ。」
薫子は平然と言った。私の頭は真っ白になった。
「そんな噂が流れる前に、私は凛太郎君と会わないようにする。彼を避ける。凛太郎君とは、これまでの思い出で十分。転校しなきゃいけなくなるけど仕方が無い。凛太郎君なら他の人とでも幸せになれる。昴のことはもちろん恨まない。昴とは、会いづらくなるだろうけど、時々は電話でもいいから連絡が欲しいな。」
「・・・なんで。・・・なんで、そんなことが平気で言えるのあなたは!」
私の怪物だと思っていた頭がさらにおかしくなった。
「私が自分を怪物だと言ったときに怒ったのはあなたでしょう、薫子!自分を卑下するなと言ったのはあなたでしょう!それなのに、なんで自分を貶めるのは平気なの?矛盾してる!おかしすぎる!何なのあなた・・・。異常よ・・・。私は薫子のことが分からなくなった。・・・私のせいなの?私が狂ってるから、あなたまで狂ったの?・・・お願い、元の薫子に戻って、お願いだから・・・。」
いつの間にか薫子は起き上がって、私を抱きしめていた。
「・・・やっぱり優しいね、昴は。」
薫子の身体は温かかった。
「私が言ったことは本気だよ。私は嘘がつけないから。・・・でも、心の奥底で「昴は絶対にそんなことはしない。」って信じてた。だから強気に出れた。・・・ねぇ、もうこんな事止めよう?昴は優しい人間。怪物なんかじゃない。昴が、自分を信じていなくても、自分を好きになれなくても、私はあなたをずっと信じ続けているから。あなたを愛し続けるから。ずっと守り続けるから。支え続けるから。いつか、昴が自分を信じられるまで、自分を好きになれるまで、側にいるよ。その後も、ずっと。」
私は泣きそうになった。このまま薫子に抱かれていたかった。
でも、もう後戻りは出来ない。私には元の日常に戻る資格がない。
私は薫子に負けた。敗者には罰を与えられなければいけない。
「・・・薫子、ペニスバンドなんて用意してないわよ。あんなので気持ち良くなれるわけ無いじゃない。」
「え?」
私は薫子を押しのけて、ベッドから出て自分の机の引き出しを開けた。
「私はね、男の陰茎が欲しかったの。それで、あなたと1つになりたかったの。でも、それは叶わない願い。私が女に生まれた以上叶わない願い。だからね、こんなモノ潰したかったの。」
私は片手で自分の膣を広げながら、もう片方の手で引き出しにあったナイフを持った。
「っ!止め」
薫子の言葉を無視して、私は自分の膣にナイフを突き刺した。
「ぐぅぅぅぅぅぅ!!!!!!つぅぅぅぅぅぅ!!!!!」
私の身体に激痛が走る。でも、ナイフはそのまま奥まで進めた。中が空洞だからか、ナイフは簡単に根元まで入った。
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!何で!何で!昴!」
薫子は泣いていた。ごめんなさい。でもね、こんな痛みじゃ足りないの。もっとグチャグチャに潰さなきゃいけないの。
私はナイフを掻き回した。
「うぐっ!うっ!ぐがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
薫子が私を止めようと迫ってきた。私は蹴り飛ばした。薫子は簡単にベッドまで吹っ飛んでいった。
私はナイフを引き抜いた。ドバドバと血が流れる。私の銀色の陰毛が血で染まっていく。激しい痛みを感じているのに、私は、これまで自分を女と縛ってきたモノから解放されて喜びを感じていた。
「ふふ、薫子。私の女はもうお終い。子宮は完全に潰れた。もう赤ん坊なんて産めない。・・・元から産む気なんてなかったけど。」
「お医者さん呼ぼう!昴!まだ大丈夫だから!きっと治るから!」
「何を言っているの、薫子。・・・まだ終わりじゃないのよ。」
私はナイフを腹部の近くまで持っていった。
「私が運動苦手なの知っているでしょう。でも、この通り腹筋が割れている。疎ましくて仕方が無かった。だから、こうする。」
私は、躊躇なくナイフで腹を刺した。何度も何度も。
ズブッ!グチュ!グサッ!ザクッ!ドスッ!
脳が焼かれるような痛み。でも意識ははっきりしていた。私は、腹部を見た。血に染まった腹。何て脆い。これで薫子を守るつもりだったの?・・・足りない。もっと刻まないと。
グサッ!ザシュッ!グチュッ!ズブゥ!
「がふっ!く・・・、がはっ!」
内臓が滅茶苦茶に刻まれたせいか、私は血を吐いた。吐き続けた。
薫子が再び接近してきた。私はナイフを腹に刺したままで薫子の腹を殴った。
「ごふぅっ!」
薫子は再び腹を押さえた。しかし、倒れなかった。歯をギリギリと噛みしめ、全身を震わせながら耐えていた。
「・・・死なせない・・・。昴は絶対に死なせない・・・。」
「・・・私は死にたいのよ、薫子・・・。」
「何で!私じゃ昴の助けになれないの?・・・凛太郎君と会わなければいいの?何でもするから生きてよ!・・・お願い・・・。」
「あなたに出来ることは、もう何もないわ・・・。」
薫子はへたり込んだ。その横を私は通り過ぎ、ベッドに乗り、上半身を壁に預けた。
もう、立っているのが限界だったから。
「・・・私も死ぬよ、昴。」
薫子が呟いた。
「昴が死んだら、私も死ぬ。そのナイフで、私も陰部を突き刺して、お腹を何度も刺して死ぬ。・・・嫌でしょう?昴。あなたは優しいから、私が死ぬなんて望んでないはず。脅しだよ、これは。昴が生きてくれるなら、私は悪魔にだってなるよ。」
私はしばらく黙っていた。
「・・・降参よ、薫子。向こうのクローゼットにあなたの服とバッグが隠されている。スマホももちろんある。それで救急車を呼んで。・・・私は、動くのはもう無理だから。」
薫子は急いで、クローゼットを開けて、バッグの中を探していた。
私は虚ろな目で、口から血を流しながら、その姿を見ていた。
・・・ごめんなさい、薫子。私が自分を刺した後、あなたが言うこと、する行動だけは想定通りなの。私は、薫子が必死にスマホを探している間に、気がつかれないように静かに自分の胸にナイフを突き刺した。
ズブズブと私の硬い胸の中にナイフが入っていく音が、私にだけ聞こえた。
それを何度も繰り返す。肺が潰れた感触がした。心臓にも突き刺さった。
「なんで!なんで、電源が入らないの!す・・・。」
振り向いた薫子と目が合った。薫子はスマホを落とした。そして私に駆け寄って、私からナイフを取り上げようとした。
「・・・死ぬのは止めて、薫子・・・。」
私は矛盾した台詞を吐いた。いいの、私は狂っているから。
「・・・薫子、私の最後の願いを聞いて・・・。」
薫子がナイフを取り上げるのを止めた。これも想定通り。
そして、私は最後に薫子に呪いをかける。それまで私の命が持てばいいのだけれど。
「・・・薫子。あなたは生き続けなさい。幸せになりなさい。悔しいけど、凛太郎君は良い人よ。添い遂げてくれると嬉しいな。
・・・私が、何でこんな事をしたのか教えてあげる。1つはあなたと身体を重ねるため。もう1つは、あなたの心の中で生きたかったから。・・・私は、生きてるのが苦しくて、そこにしか居場所がなかったから。本当に勝手な人間ね、私は。」
目が霞んできた。もうすぐ死ぬ。最後に言いたいことを言おう。
「愛してるわ、薫子。友達でも、親友でもなくて、恋人になりたかったなぁ・・・。」
そうして、私の意識は闇に閉ざされた。
死んだ後は無になると思っていた。その方が楽だから。
でも、死んだ後も私の意識はあった。幽霊というのだろうか、この世界を漂っていた。
私は、薫子を観察し続けた。
私の死後、薫子は警察に「私が、昴を殺しました。」と言い続けていた。虚ろな目で。
私の遺書がすぐに見つかり、私の死は自殺であり、薫子の自供は虚偽であると判断された。
私の遺書には、自分が死ぬ理由、自分の両親への謝罪、薫子の家族への謝罪、そして薫子への謝罪を残していた。それは、薫子を無罪にする以外何の役にも立たなかったけれど。
空虚になった薫子を支えてくれたのは凛太郎君だった。
彼に支えられて薫子は少しずつ元の日常に戻っていった。元の笑顔を見せるようになった。
悔しいけれど、私には出来ない。私は薫子を壊すことしか出来なかったけれど、彼は薫子を癒やすことが出来た。本当に悔しいけれど。
私の命日等には薫子と凛太郎君が必ず墓参りに来た。私の冥福を祈っていた。
ごめんなさい、薫子。私は地獄にすら逝けない。天国なんて逝けるはずもない。
私はずっと現世を彷徨うのだろう。それが私への罰なのだろう。
薫子達はそれぞれの進路を進んだ。凛太郎君との交際は続いた。
薫子と凛太郎君が結婚したのは20代後半だった。それまで薫子達はキスしかしなかった。
どこまで清純なのあなた達は。私は苦笑すると同時に心から祝福した。幽霊に祝福されるなんて気味が悪いでしょうけど。
薫子に子供が出来た。孫が出来た。曾孫が出来た。凛太郎君は90歳過ぎで亡くなった。
薫子は100歳手前まで生きた。最後まで意識ははっきりしていて痴呆もなく老衰で多くの家族に見守られて息を引き取った。
私は最後まで薫子を見守り続けた。さようなら、薫子。天国で幸せにね。
私はもう何の意味も目的もない現世に居続ける。それが私の罰だから。
「・・・昴!」
私は振り向いた。そこには高校生の時の姿の薫子がいた。
薫子は泣いていた。なんで泣くの薫子。あなたは天寿を全うしたのに。
「・・・会えてよかった・・・。ずっと昴に会いたかった・・・。謝りたかった・・・。」
「あなたが謝る事なんて何もないのよ・・・。私はこの世に居続ける。あなたは天国へ逝きなさい。」
私は腕を薫子に掴まれた。力強く。
「もういいんだよ、昴。自分を縛らなくていいんだよ。一緒に逝こう、昴。もう永遠に一緒だよ・・・。」
それ以上言わないで、薫子。私、涙が出そうで。一度出たら止まらなくなりそうで。
薫子に抱きしめられた。数十年ぶりに。
「泣いていいよ、昴。沢山泣いて。後は、私に任せて。私があなたを導いてあげるから。」
私は泣き崩れた。その私の身体を薫子は再び抱いてくれた。
私は、身体が急に軽くなったのを感じた。宙に浮かんでいた、薫子と共に。
空から1つの光が来た。迎えに来たのだろう。私がずっと嫉妬していた彼が。私がそんな風になりたくてもなれなかった彼が。
私達は、空に昇っていった。私は、薫子と今度こそ1つになれるのだろうか?
なれるだろう。何故か確信があった。
ありがとう、薫子。ずっと私を想っていてくれて。
これからもよろしくね。私の永遠の友達。永遠の親友。そして、永遠の恋人。