最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうかのスカーレットが、バスタードのポルノに修行させられ、やがて彼女を超えていく話です。
リョナもグロもエロもありませんが、最近色々うるさいためレーティングを厳しくしました。

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鮮血姫の悪魔への進化

ある世界の、ある海岸にて。

1人の女の足下に1人の女が血を流して倒れている。

立っている女。見た目は人間である。美しい顔、黒い長髪、男の欲情をそそらせる肢体と格好、・・・腰にコウモリのような羽が生えている。よく見ると低空で宙に浮いている。

そう、彼女は忌むべき悪魔。名を、ポルノ・ディアノという。

倒れているもう1人の女。

美しい銀の長髪を後ろに束ね、凜々しき顔をし、上背があり、しなやかで鍛えられた身体をしている。ドレスを着ていなければ女騎士といえる女性。おそらく彼女は勇敢な心で悪魔に立ち向かい命を散らせたのだろう。なんと無情な。神よ、彼女の魂に安らかな眠りを・・・。

倒れていた女は、片腕だけで飛び跳ね、空中を何回転もし、所謂スーパーヒーロー着地をした。彼女は自分の身体に手を当てた。傷が再生していく・・・。回復魔法だろうか?だが、まだ戦うというのか。なんと気高き精神。何故そんなに戦うのか。守りたいものが数多くあるのだろう。なんと美しい心を・・・。

「チッ。また手も足も出ませんでしたわ・・・。腹が立つ。いい加減、そのムカつく顔と胸をブン殴りたいのに・・・。」

 

・・・・・・・・・・・・・。

 

「いい加減にして欲しいのは、こっちなんだけど?上の命令とは言え、人間相手に3日も付き合わされているなんて・・・。」

「もうすぐ、その駄肉に包まれた見た目をボコボコにぶん殴って差し上げますよ。」

・・・悪魔と戦う女の身分は貴族令嬢である。しかし、中身は獣以上の闘争本能を持った存在。その名を、スカーレット・エル・ヴァンディミオンという。

 

「悪魔王候補の女の力を研摩し見定めて欲しい。・・・人間だ。」

少女の姿をした悪魔王の1人。アシュタロスはこう言った。

「・・・人間、ですか?それを悪魔王に?」

ポルノは傅きながら疑問を言った。

「見るが良い。」

映像が映された。悪魔王候補スカーレットの記録。

年齢一桁の頃から、家の者が見えないところで、暴力、暴力、暴力。当然成人男性も含まれている。

ただし悪人に対してだけだ。その判断も彼女の勝手な判断なのだが。

17歳の現在では、婚約破棄を皮切りに、公然と暴力の限り。

・・・よく見ると時間干渉を行っている。これは悪魔達でも使える者はいない。

何度も戦った宿敵めいた女がいた。スカーレットは一撃で彼女を成層圏まで打ち上げている。

「・・・この女、本当に人間ですか?」

「人間だ。だが力もそうだが、その魂を見定めて欲しい。・・・アレは力がありながら魂が脆くて脱落したからな。」

悪魔王は7名いたが、1名再起不能となった。名前はベルゼバブ。悪魔王筆頭であった。

彼は人類、天使、悪魔の行く末を握るダーク・シュナイダーという男と最上位天使の1人で堕ちた天使ウリエルを共倒れさせようとした。共に憎しみを植え付けて。

だが、ダーク・シュナイダーは憎しみを放棄した。そして消滅したウリエルの妹の魂を再生させた。これは天使でも悪魔でもできないこと。これだけでベルゼバブの精神は許容量を超えた。ベルゼバブは勝っても負けてもいないのに。黒幕(ぼうかんしゃ)だけだったのに。

今、ベルゼバブは自室で延々と窓の外を眺めている。廃人。精神生命体の強さ。それは肉体が崩壊しても無限に再生できること。精神生命体の弱さ。それは精神が折れたら肉体で補完できず堕ちて行くのみ。

ポルノはその世界へ向かった。彼女は悪魔大元帥といわれているが、要するに悪魔王の次点の地位にいる。彼女が悪魔王になっても良かった。だが固辞した。彼女のスタンスは命令を実行すること。命令を出す立場なんて面倒くさいから。

ポルノはスカーレットを拉致し、無人の異世界に連れてきた。

「私を倒して見せなさい。・・・できなければ死ぬだけ。」

 

「身体強化。加速20倍。」

スカーレットは、ポルノが上記台詞を言い終わる前にいきなり本気で殴りに来た。

・・・拳がポルノの腹部に当たったが微動だにしない。腹部がへこみもしない。

「ぬるい。」

スカーレットは腹に膝蹴りを食らった。

「がっ!」

空中へ吹き飛び、そこにもポルノがいて、更に殴られ、地面に叩き付け・・・られる前にポルノに殴られる。

スカーレットはピンボールのように吹き飛んでは殴られるのを繰り返した。

飽きたので止めた。

スカーレットはボロボロになっている。自分の身体に手を当てた。回復の加護。

「痛いのが長引くだけよ?」

スカーレットは笑みを浮かべて、

「その肥え太った無駄肉を千切らないと気が収まりません。」

ポルノはスカーレットの腹を殴った。背中が盛り上がる。

「あ・・・か・・・。」

「私は太ってなどいない。」

原作をよく見るとわかるがポルノ・ディアノは、実は筋肉質な体型をしている。腹筋が割れているカットがある。太股の筋肉が分かるカットがある。

「ふふ・・・ふふふ・・・、悪魔も体型気にするんですのね・・・。」

スカーレットは気絶した。笑みを浮かべながら。

次にスカーレットが目覚めたのは部屋の中だった。

自分のボロボロだったドレスが、別の衣装に替わっている。

「おはよう、スカーレット・エル・ヴァンディミオンさん。」

ポルノはキッチンで何か料理をしていた。

「この狭っ苦しい部屋は何ですか。無駄乳の悪魔さん。」

「コテージというのよ、ド田舎の貴族令嬢さん。私が魔力で作り上げた。ちなみに私の名前は、ポルノ・ディアノという。」

ポルノは料理を作り、テーブルに並べた。それが一番スカーレットを驚かせた。・・・普通の食事だったから。

「てっきり人肉料理が出るのかと。」

「胆汁を紅茶のように飲むのは下級悪魔。レベルが上がっていくほど人間の嗜好に似てくる。・・・何故かしらね?」

「興味ありません。食べましょう。・・・神よ今日のお恵みに・・・。」

ポルノが明らかに苦悶の表情を浮かべた。

「・・・悪魔の前で神に祈るのは止めなさい・・・。」

「あら、そう。では今後私が危機になったら祈るとしましょう。」

・・・スカーレットは戦いで相手の弱点を突く行為はしない。自分のプライドが許さないから。ただし、弱点でなければ不意討ち、時間停止、何でも使うが。

「こういう時は『いただきます』という便利な人間の言葉があるのよ。」

「ではそれに倣いましょう。」

「「いただきます。」」

2人は食事をした。会話もせずに。

 

食後、ポルノは並々と液体が入ったグラスを差し出した。

「これは、人間の細胞を悪魔の受肉体に変換する薬。一度では効果が無いから何度でも飲ませるけど。ちなみに副作用としてあらゆる猛毒を含んだような苦痛が伴う。さて、これを飲む勇気が」

スカーレットはひったくって飲んだ。

「が!あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

スカーレットが椅子から転げ落ちて痙攣した。叫び声を上げながら。

ポルノはベッドのある部屋に入って寝た。心地よい叫び声が聞こえる。今日は健やかに眠れるだろう・・・。

スカーレット・エル・ヴァンディミオンが普通のファイターと大きく異なる点。それは『ドーピングに一切躊躇いがない』事である。強くなる薬がある?躊躇いなく飲む。神が力を授けてくれる?躊躇いなく受け取る。悪魔が力を与えてくれる?躊躇いなく契約する。

彼女は結果を求めている。過程こそ大事?死んだら元も子もないではないか。

 

2日目

「おはようございます。ポルノさん。」

ポルノが目を覚ましたとき、スカーレットはキッチンにいた。

「あなたも料理ができるのね。」

「家事は淑女の嗜みですのよ。」

食後、2人は海岸で対峙していた。

「さて、昨日の薬でどの位強くなったのか、た」

スカーレットが殴りかかってきた。ポルノは掌で受け止めた。

「この威力。防いでいなければダメージが入っていたな。」

ポルノはスカーレットを振り回し、ぶん投げた。

「失礼な方ですね。淑女の手を取ったからには、その命果てるときまで踊っていただく義務がありますのに。」

そう言いながら飛んでいくスカーレットの後ろにポルノがいた。

「・・・淑女らしい振る舞いをしてから言うべきでは?」

ポルノは連続攻撃をした。フェビュラス・ディザスター。格闘ゲームにおける乱舞系と呼ばれる一度受けたら最後まで喰らってしまう技。

吹き飛ばされたスカーレットは地面に叩き付け・・・られなかった。立っていた。

「・・・中々楽しいダンスですね。少々優雅さに賭けますが。」

前後にポルノがいた。

「次の乱舞。借り物だけど。ダークネス・イリュージョン。」

スカーレットは首から下を絶え間なく殴られ蹴られながら少しずつ浮上していった。

「ぐ・・・。」「がふっ・・・。」などの苦悶の声をあげながら。

1時間後、最後に上空で2人同時に叩き付ける蹴りを食らって、スカーレットは地面に激突した。スカーレットは笑みを浮かべなかった。その代わり中指を立てたまま気絶していた。

 

「おはよう、スカーレット。」

スカーレットは昼頃目が覚めた。また違う衣装で。

「・・・またボロ負けですわね・・・。」

「昨日飲んだ薬に感謝なさい。あれで進化していなければ、あなたは確実に死んでいた。」

昼食

スカーレットが言った。

「話をしませんか?会話のない食事は寂しいもの。」

「何を話すの?」

「他愛もない話。」

スカーレットは話した。腹黒宰相を倒したこと。殺さなかった自分は甘いなぁと感じた。恐らくあの男は一生不自由な身体だろうが。国民が私を鮮血姫として讃えた。国民を守るのは貴族の当然の責務なのに。

「鮮血姫って褒め言葉じゃなくない?」

ポルノが話した。部下に無様に助けを求める者がいたので殺した。部下に欲情の目を向けられたので殺した。

「羨ましいですね。簡単に殺せて。」

 

昼食後

スカーレットの目の前に沢山の本が出された。

格闘術の本。空手、ボクシング、合気道、中国拳法、レスリング、その他色々。

「これで少しは、闘いを学びなさい。正直、あなたの戦い方は我流も良いとこ。」

「私は家庭教師に人を殴る方法を教わりましたが。」

「では、その家庭教師は格闘術を知らなかったのね。」

「たしかに・・・。彼ももしかしたら悪魔だったのかも、と思うことがありますから。あなた達悪魔の戦い方も我流でしょう?」

「私達、悪魔や天使に人間の小賢しい力の使い方なんて必要ないから。」

「その驕りが命取りになるでしょう。」

スカーレットは本を読んだ。・・・重心をこう動かせば拳の威力は上がるのか、成程。このタイミングで相手の体勢を崩せば、相手は倒れるのか成程成程。ちなみに、外で読んだ。木々を実験台にしながら。なぎ倒しながら。

夕食はスカーレットが作った。

他愛もない話。

スカーレットは話した。腹黒王子との恋人未満の逢瀬。

ポルノは話した。自分より遙かに弱いくせに自分を弄び逃げていった男。今も生きている。ぶち殺したい。

ポルノが続けて言った。

「私、実は男性経験が無いのよ。」

「・・・後頭部を思いっきり殴られた衝撃ですね。」

そして、食後に液体を飲んで、スカーレットは苦しみのたうち回った。

 

3日目

対峙する2人。

「さて、昨日」

「タイム オブ クロノワール。」

時間が停止した。スカーレットの技。直後に殴りかかる。

スカーレットはポルノの手刀で腹を貫かれていた。

「ぐぶっ・・・。」

「時への干渉は私達の世界ではルシフェルという最高位天使しか使えなかった。それが通じたのは相手が格下だったから。あなたより強い私が術を破れるのは当然の話。」

時が動き出した。スカーレットの腹部からおびただしい血が流れる。

「穴だらけになりなさい。ディクティター・シット。」

ポルノの翼が数本の槍となり、スカーレットの胴体各所が貫かれて血を吐きながら、倒れた。

その後の展開が冒頭である。

 

スカーレットは闘いを止めた。

「まだ本を全て読み終えていないので。」

「あ、そう。」

 

昼食

他愛もない話。

スカーレットは話した。戦いの日々。頼りなくも誇らしい兄との出来事。

ポルノは話さなかった。

「・・・話す内容がないのよ・・・。」

「あなたは何年生きられているのですか?」

「〇〇〇〇〇〇〇〇〇年。」

「時間の無駄もここまで来ると哀れみを感じますわね。」

ポルノは言い返せなかった。事実だから。人間の生に比べて我々悪魔の生のなんと薄っペらい事か。

昼食後、スカーレットは本を読んでは実践を繰り返していた。

ポルノはそれを見ていた。暇だから。

 

夕食前

「いい加減身体を洗いたいのですが。」

「風呂ならあるわよ。」

スカーレットは入浴した。

長く美しい銀髪。逞しい肩幅、大きさはポルノには及ばないが形の整った胸、引き締まったウエスト、引き締まった尻と太股を晒して。

ポルノが入ってきた。

長く美しい黒髪。逞しい肩幅、自身の顔ぐらいの大きさがあるが全く垂れていない形の整った胸、引き締まったウエスト、豊かな尻、逞しい太股を晒して。

「なんであなたが入っていらっしゃるのですか?」

「暇だから。」

ポルノはスカーレットの乳房を揉み始めた。

「・・・ちょうど良い大きさじゃない?柔らかいし。」

「これ以上大きくなったら殴るのに支障が出ます。」

スカーレットもポルノの胸を揉み始めた。

「どうしたらこんなに成長するのでしょうね。それとも悪魔だから生まれたときからこうなのでしょうか?」

「悪魔も天使も子供時代はある・・・。別に望んで大きくなったわけじゃない。」

「これに値する殿方がいない悪魔の世界は空しいですね。」

互いに見つめ合った。

「天使長にミカエルという女がいる。勇ましいが女らしい顔だ。お前はそれより凜々しい顔をしているな。」

「おかげで殿方も淑女も魅了しているようで。・・・あなたも美しく凜々しい顔なのに勿体ないですね。」

 

 

入浴後、ポルノがスカーレットの髪を整えた。

「悪魔でも髪の結い方を知っているのですね。」

「人間の知識なら大体何でもできる。」

スカーレットがポルノの髪を結った。

「・・・似合わないな。」

「残念なことです。」

夕食後の薬で、スカーレットが苦しんでいるのは1時間くらいだった。

ベッドで寝ているポルノにスカーレットが囁いた。

「恐らく明日には、あなたを超えられますよ・・・。」

 

4日目

対峙する2人。

スカーレットが切り出した。

「まずは握手から始めませんか?」

ポルノは差し出された手を握った。とたんに組み伏せられた。

「な・・・に・・・。」

「いかがですか?人間の小賢しい技術と悪魔の力。それを併せた暴力で蹂躙して差し上げましょう・・・。」

 

スカーレットはポルノの手首を握ったまま捻った。それだけでポルノは簡単に仰向けになった。

次の瞬間にはポルノの顔面を踏んでいた。何度も。何度も。

ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン

ポルノもいくつもの戦いの経験はある。顔を殴られたこともある。それにしてもこれはダメージが大きすぎる。

「顔を殴られるより効くでしょう?これのコツは踵に全体重を乗せること。1~2発で人間なら失神。数回やれば死亡。」

「があぁぁぁぁぁ!」

ポルノは掴まれていた腕を切断して立ち上がった。

直後にスカーレットはスピアタックルをした。そしてそのまま馬乗りになる。

「これはマウントポジションといいます。脱出の完全回答は出されてないそうです。どうやって脱出されますか?」

ポルノは飛ぼうとした。直後にスカーレットに太股の肉を抓られ千切られた。

「ああああぁぁぁぁぁ!!!!!」

「試合じゃあないんですよ。こんな事は当たり前です。」

更にスカーレットはポルノの切断した腕を使って顔面を殴打していく。

「あはははは!あはははは!・・・失礼。はしたない笑いを。でも笑みがこぼれてしまいます。」

(こいつ狂っている・・・。)

殴打を続けるスカーレット。これ自体たいしたダメージはない。ただ屈辱を与えるだけだ。

「ざけんなぁぁぁぁ!!!」

ポルノは切断した腕を操作した。蛇のようにスカーレットの首に巻き付き、締め上げる。

「ぐ・・・が・・・。」

「腕に『骨を除去して蛇のように巻き付く』指令を出した。格闘ごっこでしょ?やってやろうじゃない・・・。」

スカーレットは巻き付いた腕を絞った。

「ぐぁぁぁぁ!!!」

「骨を消すなんて人間にはできませんよ?格闘は人間のコミュニケーション。神聖な行為。舐めてませんか?」

だが首を絞められたことでスカーレットの身体がわずかに浮いた。すかさずポルノがスカーレットの股間を蹴る。

「か・・・。」

「この部分は男も女も急所なのは同じ・・・。舐めてないわよ。」

すぐに立ち上がるポルノ。腕も生やす。スカーレットも立ち上がった。

「フフフ。楽しいですね。ポルノさん。」

「ハイ・レイト・イクステンション!」

ポルノが魔力弾を放った。

「風よ。疾く出で吹き荒れよ。」

スカーレットが風の加護を放ち相殺した。

「やはり、飛び道具は爽快感に欠ける・・・。拳でぶん殴るのが私は好きですね。」

「勝手に格闘ごっこしてなさい・・・。」

ポルノは魔力を溜めていた。スカーレットが近づき左フックで顔面を殴ろうとした。後ろに仰け反り避けるポルノ。スカーレットはそのまま回転し、右手に隠してあった砂をポルノの目にぶちまけた。

「くっ・・・。」

一瞬だけ怯んだポルノの胸にスカーレットは正拳突きを放つ。交互に。何度も。

「がぁ・・・か・・・。」

「涎が垂れていますわよ・・・。空手の神髄は内部に衝撃を放つこと。それには何十年も鍛錬が必要だそうですが・・・。まぁコツが分かれば簡単ですね。しかし殴り心地の良い胸ですねぇ。パン生地をこねるように心地よい。」

「だま」

「お喋りをしている暇があったら動きなさい。」

そう言いながらスカーレットは後ろ回し蹴りをポルノの腹に放った。吹っ飛んでいくポルノの先にスカーレットはいた。

「鉄山靠。」

わざと空中に浮かすように放った。空中へ飛ぶポルノにもスカーレットは追いついた。背と背を合わせて、ポルノの首に腕を絡ませて。

「スタナー。プロレスという興業格闘の技ですが、これが見世物か殺し技になるかの違いは『首に腕をかけて固定すること』。固定したふりならば、見世物。固定すれば首が折れて死にます。」

そのままスカーレットは落下し尻餅をついた。

「がはっ!」

(確かに首の骨が折れた感覚がある。だがそれは人間基準。こんなの無視して戦えば・・・。)

スカーレットは次の行動に移っていた。手刀でポルノの心臓部分を突き刺そうとし、止められた。

「反応が今までより早いですね。・・・やはりそこが急所ですか。」

「黙れ・・・。」

「首が変な方向にひん曲がりながら言われても困ります。」

「調子こいてんじゃねぇぞてめぇぇぇぇぇ!!!!!」

ポルノが全身から衝撃波を放つ。吹き飛んで、脚で着地するスカーレット。

ポルノの足下に巨大なクレーターができている。そして周囲には光の点滅がいくつか見える。

「今までは手を抜いていたのよ・・・。私達悪魔や天使という精神生命体は様々な障壁を何重にも張り巡らせている。今までそれを、わざと消していたのを元に戻した。もう、あんたは触れることもできない・・・。」

「わざわざお気遣い感謝いたします。」

そう言っているスカーレットの脳内は勝つための手順を構成し直している。

今までは『相手に反撃の隙無く攻撃を続けて倒すこと。』だった。

それは、もう通じない。さて、どうするか・・・。

「ソウルイレイザー!」

ポルノが台座付きの巨大な砲台を出現させた。更に小型のオプション砲台が2機付いている。

エネルギーが充填されている。発射するつもりだ。

「そして。」

ポルノの背中にジッパーのようなものが出現し、そのまま落っこちて消えた。

そしてスカーレットの上空にジッパーが出現し、ポルノが現れた。

「ダイ・フォー・マイ・シンズ!」

ポルノがエネルギーを纏って突撃してきた。

スカーレットの周辺が重圧で潰されていく。

「この突撃の余波で、あんたは逃げられない!横と縦の同時攻撃!さぁ格闘技術でも何でも使って何とかしてみなさいな!どうもできないと思うけどね!あはははは!」

極太レーザーが前方より来た。・・・わずかな時間差だがレーザーの方が速い。

「・・・同時攻撃とは寸分の狂いもなく同時に来るから効果があるんですのよ?」

「べらべら言ってんじゃねぇぇぇぇぇ!!!!」

「廻し受け。」

スカーレットが腕で弧を描く動きをしビームを各方向へ拡散させる。拡散されたビームが各所に激突しキノコ雲が多数出現・・・。これで威力がおわかり頂けるだろうか。

「は?」

「ズルをしました。本来ならビームなので、腕を回し続けなければならない。でも魔力で、先端で拡散されたビームの方向に放出され続けるよう針路を固定した。正直、腕回し続けるなんて格好悪いので。そして私の真上にいるあなたの相手もしなければならない。」

「じゃあ私の突撃止めてみろやぁぁぁぁ!!!!!」

「そして、これは机上の空論。この世界は、大地を踏みしめた感覚から星と同じ形状をしているのでしょう?その星の中心核を捕らえる。その突撃は星を壊せますでしょうか?壊せなければ、星の中心核を100%捉えた私の拳が勝つ。まさに大博打。私ギャンブル嫌いですけれど、自分の命を賭けるのは大好きなんですよ。」

上空から来たポルノと真上へ拳を突き上げたスカーレットが激突する。

・・・ポルノが吹っ飛んでいった。スカーレットが後を追いかけた。

 

ポルノは数百キロ離れたところに着地した。すぐにスカーレットも空を飛んできた。

「・・・博打に勝っておめでとう。・・・でも、この通り私は無傷。何故なら障壁があるから。これは、私達クラスになると、1撃1撃に核攻撃の威力をのせて、さらにその障壁を無効化する呪詛を叩き込み続けて、それを何百回か繰り返してやっと突破できるモノ。・・・言っていること分かる?要は、私に触れることなんて無理。ダメージ与えるなんて無理。」

「・・・では、また賭けをしなければなりませんわね。タイム オブ クロノワール。」

時間が停止した。ポルノも停止している。スカーレットはポルノに近づきながら、呟いた。

「賭けの1つに勝ち。私はあなたに並んだから、時止めもあなたに効果がある。・・・時止めの間は障壁も機能停止している。また1つ勝ち。・・・そして最後は、あなたを仕留められるか。」

スカーレットはポルノの鳩尾に拳を触れた。

「寸勁。」

時止め解除。

「か・・・あ・・・?」

吹っ飛んでいくポルノに密着してスカーレットも飛んでいく。

「また1つ勝ち。時止め解除前に密着していれば障壁の中にいるのと同じ。」

スカーレットはポルノの首と肩に腕を回して固定した。

「ベトナムホイップ。相手の首と肩を強打する裏投げ。」

スカーレットはポルノを反対方向に投げて地面に叩き付けた。すかさずマウントを取り、手刀をポルノの胸に突き刺し、心臓を掴んだ。

「・・・続けますか?」

「あー、降参よ。鮮血姫。」

 

「では、これにて帰らせて頂きますね。・・・ひとつお願いしてもよろしいでしょうか?」

「何よ。」

「私がこの世界で会得した力を封じて頂けませんか?無くすではなく封じる。」

「何で?それだけの力があれば、大抵の敵に楽勝よ。」

「それでは面白くありません。私は醜く肥え太った豚を撲殺するのが生きがいです。近づいただけで豚が死んでいくのでは面白くありません。」

「チッ!」

ポルノは舌打ちしてスカーレットに掌から光を当てた。

「これで封印したわ。・・・要は万が一のことがあったらその力を使うんでしょう?」

「その通りです。私の大切な者が守れなければ意味が無いので。」

「で、豚とか言ってたけど、要は悪徳貴族とかでしょう?殴って何が楽しいの?」

「私は悪食ですので。」

空間に穴が空き、スカーレットの世界が見えた。

「もうひとつ、最後にお願いしてもよろしいでしょうか?」

「何?」

「・・・またあなたに会いたいです。ポルノ・ディアノさん。」

「・・・まぁ、気が向いたら会ってあげるわ。スカーレット。」

「約束ですよ。」

スカーレットは、カーテシー、スカートを持ち上げて挨拶するアレ、を行って帰っていった。

 

「相手に強化する方法をふんだんに与えて無様に敗北した感想を教えて貰おうか、ポルノ。」

アシュタロスが言った。

「正直に言うと『楽しかった』ですかね。」

「ほぉ。・・・なら良い。次、アレは候補になりそうか?」

「微妙なところですね。」

「理由は?」

「ならない理由。彼女は本能で動いていますが、それは人間の倫理等に当てはめれば正しい行いをする者を助けるために行動しています。無意味な虐殺はしません。

なる理由。彼女は人間が悪だと判断したらこちら側につくでしょう。また親しい者達を殺されてもこちら側につくでしょう。常に臨界点寸前の存在。それが彼女。」

「成程。要はアレの今後の人生次第という訳か。」

「無理に引き込めば?知人を我々で殺したり。」

「そうすれば、我々を攻撃するだろう。堕天のように上手くはいかない。ウリエルのような暴走状態の存在になっても厄介だ。そう、人は厄介。複雑。だからこそ組み入れたい。」

「はい?」

「我々・・・悪魔と天使の弱さは何だと思う?」

「・・・精神的な弱さですかね?」

「それもある。・・・私は『あまりに定型化されすぎた存在だから』だと思っている。天使はよく言うなぁ。正義だ悪だ、愛だ心だ、分かった振りして。分かってもいないのに。だから簡単に堕ちる。」

「そうですね。」

「悪魔は人を苦しませねばならぬ、天使を恨む、愛や正義を偽りだという。何で?分かってもいないのに。だから崩壊する。どこかの馬鹿が聖書を読んだよな。その馬鹿もろとも我々悪魔王は苦しんだ。何故だ?そうプログラムされているから。実にくだらない。・・・私はな、そういう悪魔のくだらないところをぶっ壊して新たな悪魔にしたいと考えている。その見本が必要だ。最適なのは人間だ。複雑怪奇曖昧模糊だから。でも弱い者は駄目だ。強くなければならぬ。で、その候補の1つがスカーレットだ。」

「・・・すみません、よく分かりません。」

「・・・まぁ気にするな。愚痴だよこれは。」

「・・・そうですか。」

「もう一つ愚痴を言って良いか?・・・話早く終わらせろ作者。」

 

スカーレットは今日も殴っている。

すみません、犯罪者の話はありませんか?まぁ〇〇の街に強盗が。急行。あなた方が強盗団ですね?では、さようなら。暴力。

スカーレットは今日も殴っている。

すべては世のため人のため。クズ共を殴って気持ち良くなるために。


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