18歳の誕生日に僕は魔王になりました!魔王継承者クルト と囚われの七罪の姫騎士 作:みなぽん
登場人物
クルト ドラグニル
父親の魔王ベルターを太陽の勇者エステバンと八葉の勇者に討ち取られ、落城する城から七つの大罪の助けを得て脱出。しばらく記憶を封印し、ロベルタに世話されていた。18歳の折に魔王の力を継承し、記憶を取り戻す。そして彼は勇者たちにとらわれた7つの大罪の姫騎士たちと母マリーダを奪還していく。
(第一部参照)そして、勝利を収め7つの大罪の姫達とともに新しい真王国を作る。
傲慢(プライド)のアウレリア=ヴァル=ルシリオン 種族 ヴァーバンシー
金色の髪と紅玉の瞳を持つ、姫君のような美貌の魔騎士。常に他者を見下ろすような態度だが、それは“王を守る高貴な誇り”ゆえ。
• 武器:光翼剣《ルクス・レギナ》
• 性格:高慢、王とクルト以外には絶対服従しない。
• クルトとの関係:幼少のころから“王になる器”として見抜き、厳しく鍛えた姉的存在。
「我が王よ。跪くのは世界の方。貴方ではありません。」
強欲(グリード) ミレーヌ=グラナート 種族 雪族
純白の髪の清楚系魔法騎士。雪族 一見すると清楚で優しい常識人だが宝具の研究者で道具の収集に関しては強欲になる。アウレリアとクルトを取り合うライバル。
• 武器:絶刀雪月花
• 性格 魔具フェチ、クルト好き、清楚で優しいお姉さん
• クルトとの関係:クルトの持つ魔王権能そのものを“世界最高の宝物”として執着。
「クルト様の愛も体も魔力も全部……ぜんぶ私のものにしたい……♡」
③ 色欲(ラスト)ロゼッタ・ラ=フィーネ
真紅の髪、媚薬のような香りを纏う神速の軽騎士。
吸血姫の純血に近く、誘惑・魅了を得意とする。
• 武器:魅惑双細剣《ヴェナム&カーマ》
• 性格:ちょっとポンコツ
• クルトとの関係:幼少期のクルトに初恋しており、“クルトは自分の物”と宣言している。
「クルトは私のものなんだからね。私の王子様♡」
④ 嫉妬(ジェラシー)セルシア=ミストラル
銀の髪で氷のような瞳を持つ小柄な魔弓騎士。魔弾の射手と呼ばれ、その矢は百発百中。
• 武器:魔氷弓《リヴァイア・ラメント》
• 性格:陰気で拗らせ系、愛されたいのに臆病。
• クルトとの関係:ロベルタや他の魔神騎士に嫉妬しやすい“ヤンデレ気質”。
「私なんか他の6人に比べたら、地味で魅力がなくて、」
⑤ 暴食(グラトニー)ベアトリーチェ・ベルグランデ
黒髪ショートカットのボーイッシュな少女。天使のような笑顔を持つ“食の魔獣”。
食べた魔物や魔法を吸収し、自分の力に変える恐るべき格闘家
• 武器:零式魔道拳
• 性格:笑顔の小悪魔、底なしの胃袋、食に関してモラルゼロ。
• クルトとの関係:クルトの作るおやつが大好きだった食いしん坊妹分。
「ボクはクルト兄を食べちゃいたいくらい好き〜♡ 冗談だよ? …冗談だよ?」
⑥ 憤怒(ラース) ヴァレリア・エルフェンリート
フェンリルの血を宿す黒髪の女魔狼騎士。グラマラスボディの母性の塊。普段はおっとりしているが感情の爆発で強くなる。セックスも、野生の本能に目覚めるとすごくエッチになってしまう。
• 武器:ツヴァイヘンダー
• 性格:母性と憤怒
• クルトとの関係:いつもクルトを守ることばかり考えている
「クルトちゃん、何があっても私が守るからね。この間は守れなくてごめんね。」
⑦ 怠惰(スロース)アリス=ノワール
青い髪の大賢者 魔法と精神力で戦うタイプ。
• 武器:魔法大全 アルハザード
• 性格:とある王国の賢者であったが、道を踏み外して魔人の仲間入りをしている
• クルトとの関係:賢者のくせにだらしなく、引きこもりで手のかかるお姉ちゃんだった。
「おかえり…クルト。おふとんあったかいよ、一緒に寝よう。ねむ……」
メイド長 ロベルタ・ラ=ファム。
ピンク色の髪のシフォンケーキのようなかわいい女の子。
彼女は冥奴と呼ばれる忍者と夜のお相手を兼ねたお庭番のような存在
武器 キッチンにあるものを何でも武器に使う。
性格 心優しくクルトに献身する。
「クルト坊ちゃん、私の全てを持ってあなたにお仕えいたします。」
宵闇の三女神
トワイライトトリニティ
エルヴィナ・レギンレイヴ
「私は許されざる存在」
黒髪、黒翼のネフィリム(天使と人間の呪われた混血)名前の由来は「神の遺した者」
愛刀は母の形見の聖剣デュランダル
マーサ シグルドリーヴァ 「あたいはエルヴィナの盾だからね」
闘神の戦槌を振るう銀髪のグラマラスな怪力僧侶 戦槌はミョルニル
クリムゾンランツェンレイター シャウラ ランズグリード
「私の赤槍でエルに勝利を勝ち取ってくるわよ」
赤髪の神槍使い 彼女の槍は魔槍ゲイボルグ
ネメシス・グラント文化祭 — 第一章「恋と嫉妬と魔王さま」◆
黒曜石の城壁が陽光を受けて鈍く輝く。
真魔王国の首都、ネメシス・グラント。
かつて血と戦乱の象徴だったこの街は、いま魔導提灯と色とりどりの幕で飾られ、いつになく華やいでいた。
街の中央にそびえる黒城――魔王クルトの居城。
その謁見の間で、若き魔王は大きなため息をついていた。
「……だから、その、喧嘩はダメなんだよ。せっかく平和になったんだから」
彼を取り囲むのは、トワイライトトリニティの三人に、七つの大罪の姫騎士、そしてメイド長ロベルタ。
全員が“自分こそクルトと一番仲良くする権利がある”と主張し、何度目かの口論が始まっていた。
エルヴィナが黒翼を震わせ、控えめに言う。
「クルト様、私は……ただ、お側にいたいだけで……」
途端にロゼッタが飛び込んでくる。
「エルヴィナ、ずるい! クルトは私の王子様なんだからっ!」
アウレリアは静かに腕を組んだまま、威圧の気で全員を見下ろした。
「お前たちが騒ごうと、我が王に相応しいのは私だけだ」
ミレーヌは頬を赤らめ、しかししっかり主張する。
「クルト様の魔力……いえ、クルト様そのものが世界最高の宝物なんですよ?」
ヴァレリアはそれら全員を優しい笑顔で包むように見ていたが、微妙に眼光が光っている。
「小娘ども!クルトちゃんは、私が守ってあげるんだから……」
セルシアはすでに泣きそうだった。
「ど、どうせ私なんて……地味で……でもクルトに来てほしい……」
ベアトリーチェは笑顔だが、牙がちらり。
「クルト兄の一番は……やっぱりボクだよね?」
アリスは半分寝ながら、それでも言う。
「クルト……一緒に寝よう……ねむ……」
ロベルタは穏やかな微笑みで、しかし全員を牽制しながら言った。
「坊ちゃんのお世話は、このロベルタが最優先です」
……もう、限界だった。
「喧嘩しないで!!」
魔王の叫びが黒城にこだました。
そして――
「戦うくらいなら……文化祭でもやろうよ!」
謎の提案が飛び出す。
一瞬の静寂のあと、全員の目が爛々と輝いた。
「文化祭……?」
「つまり、出し物で競うということですか?」
「勝った人が、一番クルトに……?」
「クルト兄とラブラブイベントできちゃうの?!」
クルトはイヤな予感に震えつつ、ぽつりと追加した。
「い、1番売り上げが多かった店には……ご褒美として……その……」
全員が息を呑む。
「クルト様と……?」
「クルトちゃんと……?」
「クルト兄と……?」
「坊ちゃんと……?」
「で、デート券……7時間フリーパス……」
謁見の間が、爆発した。
「「「うおおおおおおおお!!!」」」
こうして――
**真魔王国初の「ネメシス・グラント文化祭」**が始まった。
◆◇◆ 文化祭当日 ◆◇◆
黒曜石の街全体が熱気に揺れていた。
南のヴァルハリア砦前では、アウレリアの店に異様な行列ができている。
「アウレリア様に踏まれる券、一回一ゴールドです! 次の方どうぞー!」
客の男たちが列を作り、アウレリアは冷ややかに足を見せた。
「我が足に跪く栄誉……身に刻むといい」
「あああ!アウレリア様、私はあなた様の奴隷です!ひぃいいい」
「その氷のような瞳で蔑んでください」
腰をふるわせて悶絶する男たち。
北の雪霜の塔付近では、ミレーヌの魔具屋から爆発音が聞こえた。
「便利な道具が今なら50%オフですよ。みんな買っていってください。」
「おっ!いいね!この魔道具、魔道マッサージ機か?あれ、煙が、、」
「だ、大丈夫! 安全です! たぶん!」
ちゅどーーーーーん!魔道マッサージ機は粉々に吹き飛んだ。
西のルミナス・ガルテン。
ロゼッタの“回春マッサージ”は開店前から大盛況だった。
部屋の中から、男たちの歓喜の声が響いている。
「クルト、次やっていきなよ。あなたはVIPルームね♡」
ロゼッタが手を振ると、ミレーヌとアウレリアが即座に睨む。
「ダメです、こんなの営業許可取り消しです。」
「この色欲め、ロゼッタの誘惑など、不敬極まりない却下だ」
ロゼッタは涙目になって叫ぶ。
「わ、私だってクルトのこと、ずっと好きなのにぃ!!」
北のベルグランデファーム方面。
ベアトリーチェは巨大鍋の横で跳ねながら叫んでいた。
「フードバトルだよ〜! ボクに勝てたら100ゴールド!」
小さな体で、無限の食欲、体格の良い巨人族でさえあっさりと破れ去った
挑戦者たちは次々と白目を剥いて倒れる。
東側の7区。
セルシアの射的屋では、サドラが必死に客引きをしていた。
「セルシアは本当にかわいいんですよ! 来てあげてください!!
今回、特別グッズが当たりますよ」
セルシアは顔を赤くして震えている。
「やっぱり私なんかじゃダメなんだ。クルト……来てくれたら……いいのに……」
アリスの古本屋は、入口に“店主寝てます”と看板が出ていた。
中ではアリスが布団にくるまり、本を読みながら眠っている。
ヴァレリアの食堂は常に煙の匂いと優しい香りが漂っていた。
「いっぱい食べてね♡ みんな育ちざかりだものね」
店の中には彼女の母性が溢れている。クルトが尋ねると山のようなご馳走が待っていた。
「クルトちゃん、いっぱい食べてね♡」
と皿が山積みにされ、
そして中央の広場。
ロベルタとエンジェラのメイド喫茶は満員御礼。
ロベルタがクルトを見つけると、瞳がとろりと甘くなる。
「坊ちゃん……お席、こちらにございますよ♡」
エンジェラはその姿を見て震えた。
「メイド長……尊すぎます……!
クルトは緊張しながらも、各店を回っていく
エルヴィナのクッキー屋。
「クルト……食べてみて、ほしい」
エルヴィナが差し出すのは不格好な羽型の黒クッキー。
彼はひとかじりして、笑った。
「美味しいよ、エル。すごく頑張ったんだね」
「っ……! よ、よかった……!」
エルヴィナは羽をぱたぱたさせて感極まっている。
次にシャウラの槍勝負へ向かうと、挑戦者が五秒で吹っ飛ぶのが見えた。
「クルト、よく見ててね! 勝利はあなたのためにあるんだから!」
マーサの護符屋では、クルトが護符を買った途端、マーサが顔を赤らめた。
「エルを……守ってあげてね」
……クルトの心臓は、今日だけで三年分は持っていかれた。
そして、一日の終わり。
文化祭の勝者、つまり――
「クルトとのデート券」の行方が発表されようとしていた。
文化祭・大決着の夜
夕暮れがネメシス・グラントの街に落ちる頃、
中央広場には膨大な人の輪ができていた。
巨大な壇上に立った実行委員長 太陽の勇者、エステバン、ガブリエルは
震える声で叫ぶ。
「えーっ! ただいまより……
ネメシス・グラント文化祭・売上発表を行います!!」
店主たち――アウレリア、ロゼッタ、ミレーヌ、ヴァレリア、シャウラ、エルヴィナ……
そして隅っこでそわそわしているセルシア――
全員の視線が壇上に釘付けになる。
そして――
**クルトとの“7時間フリーデート券”**が、
キラキラと輝きながら掲げられた。
「「「おおおおおおぉっっ!!!」」」
歓声が爆発し、宮殿が揺れた。
クルトは顔面蒼白で祈る。とにかく無事に済んでくれと
祈りは届くのか届かないのか。
◆ 第一の発表:アウレリアの“踏み屋”
壇上の兵士が巻物を広げる。
「第八位――アウレリア様!」
どよめき。
アウレリアは静かに眉をひそめた。
「……あり得ん」
「理由:踏まれたい客が多すぎて行列が伸び、
“踏む時間がかかりすぎて回転率が極端に悪かった”」
会場「爆笑」
アウレリア「踏む儀式を……軽んじるな……最大限の軽蔑を込めて踏みにじらなくてどうする?」
クルト「(いや、もっと軽んじてほしかったよ……)」
◆ 第二の発表:ロゼッタの“回春マッサージ”
「第七位――ロゼッタ様!」
ロゼッタ「えええええええ!?」
「理由:開始早々で“色々アウトな店”と誤認され、
治安部隊に二度ほど連行されたため営業時間が短かった」
ミレーヌ「あなたの存在そのものがわいせつなのです。」
ロゼッタ「違うのにー!!」
クルト「(いや……たしかに危なかったよ……)」
◆ 第三の発表:ミレーヌの魔具屋(爆発)
「第六位――ミレーヌ様」
ミレーヌ「なぜですの……!」
「理由:
爆発で三回営業停止。
しかし“爆発の瞬間を見たい客”が集まり微妙に売れたためこの順位」
アウレリア「そもそも危険物を売るな」
ミレーヌ「アウレリアさんこそ、“踏むだけで2人気絶させた”記録持ってるじゃないですか?」
アウレリア「それは誇りだ」ミレーヌ「発明は爆発です」
クルト「(誇らないで……)」
◆ 第四の発表:シャウラの“槍試合屋”
「第五位――シャウラ様!」
シャウラ「よっしゃあああ!! 真ん中くらいはあるかと思ってた!!」
「理由:
挑戦者が5秒で吹き飛ばされ、リピーターがゼロに
“あれは試合じゃなくて処刑”という苦情が多発。」
シャウラ「手加減したよ!? めちゃくちゃしたよ!?」
マーサ(遠くから)「相手全員泣いてたよ!!」
◆ 第五の発表:エルヴィナの黒翼クッキー
「第四位――エルヴィナ様!」
エルヴィナ「わ、わたし……4位……?」
会場から盛大な拍手が起きる。
「理由:黒翼萌え客が多数来店。ただし“味の個体差が激しすぎる”との声」
クルト「(確かに歯が欠けそうだった……)」
エルヴィナ「つ、次はもっと美味しいの作る……!」
クルト「うん! 楽しみにしてるよ!」
エルヴィナは羽をぶわっと広げて真っ赤になった
◆ 第六の発表:ヴァレリアの優しすぎる食堂
「第三位……ヴァレリア様!」
ヴァレリア「まぁ♡」
「理由:料理が美味しすぎて、ただし“量がやたら多くて赤字”になり最終利益が伸びず」
ヴァレリア「クルトちゃんが“おかわり”って言ってくれたらそれで十分よ♡」
ミレーヌ「こ、これは……強敵……!」
クルト「(胃袋が……)」
◆ 第七の発表:ロベルタのメイド喫茶
「第二位――ロベルタ様!」
会場「うおおおおおおお!!」
ロベルタは優しく微笑んだ。
「坊ちゃんのために頑張っただけです」
「理由:接客力が異常。
“あーん”された客がその場で恋に落ちて何も食べず帰るため回転率が高かった。」
アウレリア「メイドが本職だろう、我々にわかの出店が勝てるわけがない」
ロゼッタ「ロベルタはズルい!」
ロベルタ「私はいつもどおりです♡」
クルト(顔真っ赤)「……ロベルタ姉のあれは反則級だよ……!」
ベアトリーチェ「それでは一体誰が1位になったの!僕かな」
そして――
壇上に緊張が走る。
残るは一人。
泣き虫の弓使いセルシア。彼女は壇上の陰で
“あの……私……一番なんてなれない……”と小さく震えていた。
しかし、
「第一位……ネメシス・グラント文化祭2025……」
はい、ドラムロールが鳴り響き――
「セルシア様の射的屋!!」
「「「ぎゃああああああああああ!!!」」」
全員がのけぞった。
セルシアは目を丸くした。
「え……わ、わたし……? ほんとに……?」
**理由:**
「射的の景品“クルトのミニ人形”が大バズりし、テントの外にまで人があふれる事態に。そして、サドラが自爆営業で自腹を切ったのも勝利の一因」
セルシア「私、なんかいいんですか?」
顔を両手で覆い、耳まで真っ赤に染める。
ミレーヌ「くっ……不覚……!」
アウレリア「まさか……“推し”効果とは……」
ロゼッタ「クルトの人形欲しい、できれば等身大で!!」
ロベルタ「坊ちゃん……これは著作権侵害では……?」
クルト「なんないよ!!セルシアが頑張ったんだから!!」
セルシアは一歩、壇上に進み――
涙をこぼしながら、笑った。
「クルト……っ……わ、わたし……あなたと…デート……してもいいの……?」」はぁー
クルトは笑って頷いた。
「もちろん。セルシア、今日は本当に頑張ったね」
セルシアは胸に手を当て、
魔力の光がぽっと花のように弾けた。
「う……うう……し、幸せ……っ……」
こうして――
文化祭の勝者は、セルシア ミストラル
ネメシス・グラント文化祭の夜空に、
花火と歓声とそして嫉妬に燃える姫騎士たちの怨念が舞い上がった。
広場いっぱいに響く拍手と歓声の中、セルシアはまだ震えていた。
手にはきらびやかな《クルトと7時間フリーデート券》。
その指は小刻みに揺れ、頬は桃色に染まり、目元には涙がたまっている。
「ク、クルト……わ、わたし……っ……!
ほんとに……あなたと……デート……できるの……?」
「もちろんだよ。セルシア。君が頑張った結果だ」
その一言で、セルシアの膝が崩れそうになった。
本当に倒れそうになったので、クルトは慌てて支える。
「ひゃ……! ち、ちが……その……うれしすぎて……!」
周囲からは、嫉妬と怨念の嵐が吹き荒れていた。
アウレリア「……認めん……」
ロゼッタ「むぐぐぐぐぐぐ!!」
ミレーヌ「計算外ですの……完全に……!」
ロベルタ(微笑)「坊ちゃん、夜までには戻ってきてくださいね♡」
しかしクルトはその嵐からセルシアを守るように、そっと彼女の手を引いた。
「行こう、セルシア。文化祭の後夜祭……デートの始まりだよ」
「っ……う、うん!!」
セルシアの瞳が、月の光のように輝いた。
文化祭の喧騒は少しずつ落ち着き、店の灯りが夕闇の中で柔らかく光っている。
セルシアは、緊張しながらも隣を歩くクルトを何度もちらりと見上げた。
「あ、あの……クルト……最初は……どこ行く……?」
「せっかくだし、みんなの店をもう一度見て回ろうか。
セルシアが優勝したんだし、堂々とね」
「だ、だいじょうぶ……? アウレリアさんとか……ロゼッタさんとか……刺してこない……?」
「刺される前に守るよ」
「……っ♡」
セルシアは顔を覆って震えた。
● アウレリアの踏み屋(営業終了)
黒い幕が下ろされ、アウレリアが腕を組んでいた。
「……見に来たか、クルト。我の踏み屋が……八位だと……?」
「……う、うん……回転率が……ね」
「丁寧に踏む努力をした結果だ……誇るべき」
「(誇っちゃだめなんだけど……!)」
「セルシア、身の程知らずに優勝したお前を心を込めて踏んでやろうか?」
セルシアはクルトの腕にそっとしがみついた。
アウレリアの威圧にビクついているのだ。
「……べ、べつに怖いとかじゃないけど……その……ね……?」はい
クルトは笑って肩を寄せた。
● ミレーヌの爆裂魔具屋(未だに煙)
店主ミレーヌがバケツを持って火を消している。
「クルト様、見てください。2人のデートに特製の花火を♡」
ドゴオオオオォン!!
セルシア「ひぃいっ!!!」
反射的にクルトの胸に抱きつく。
クルト「(ありがとうミレーヌ姉……今日だけはいい爆発だった……)」
● ロゼッタの健全マッサージ店(念押し)
ロゼッタが看板を片付けながら叫ぶ。
「クルト! 今からでもVIPコースどう!?
“ロゼッタと2人きり♡濃厚コース”とか――」
ミニスカートのロゼッタが体を密着させる
ミレーヌ「治安部隊ー!!!」
ロゼッタ「うわああん!!また連行されるぅ!!」
セルシア(小声)「……クルト、行っちゃ……だめだからね……?」
「行かないよ。行くわけないだろ」
その言葉に、セルシアは胸を押さえて顔を伏せる。
「……しあわせ……」
● エルヴィナのクッキー屋
クルトが再来店すると、エルヴィナはぶわあっ!と羽を広げる。
「ク、クルト……! こ、この前の……まだ食べられるよ……?」
「えっと……ありがとう。でも味の個体差が……」
エルヴィナ「が、がんばる!!」
セルシアは微笑む。
「エル……でも今日、あなた四位だったよ……すごいよ」
エルヴィナ「セルシアも……おめでとう……!」
二人の控えめ組の友情にクルトの心が温まった。
◆ 2.後夜祭の光の中で
街の中央で、魔導花火が夜空に咲き始める。
赤、青、金、紫……ネメシス・グラントの空が一瞬ごとに色を変えていく。
セルシアはその光を見上げ、胸を押さえたまま震えていた。
「……クルト。
わたし……今日、ほんとに……夢みたいだった……」
クルトは優しく訊く。
「勝てたから?」
「それも……だけど……
クルトが、笑って“頑張ったね”って言ってくれたから……」
ふわりと、セルシアの目から涙が落ちる。
「だ、だめ……泣くつもりじゃなかったのに……!」
「いいよ。嬉し涙なんでしょ?」
「うん……っ……!」
クルトはそっと、その涙を親指で拭った
「クルト様❤️今日はその……手、離したくないから……」
クルトは笑い、手をぎゅっと返す。
デートの最後。
クルトはセルシアを黒城の最上階へ案内した。
上空の風が二人の髪を揺らし、
街の灯りが宝石のように輝いている。
「ここ……から見る景色……すごい……」
セルシアの声は風に溶けるほど小さく、震えている。
「セルシア。今日の主役は君だよ。本当に、おめでとう」
「クルト……」
彼女は一歩、近づいた。
「……ねえ……最後に……ご褒美って……言ってもいい……?」
「もちろん」
セルシアは深呼吸し――
瞳を閉じて、そっと顔を寄せた。
クルトはその頬に手を添え、ゆっくりと唇を重ねた。
――柔らかくて
――温かくて
――震えていて
――そして愛おしい
風が吹き、花火が夜空で咲き、ネメシス・グラントの街全体が祝福するように光った。
唇が離れたあと、セルシアは顔を真っ赤にしながら微笑む。
「……だいすき……クルト様」
「僕も。セルシア」
彼女は胸に両手を当て、
小さな声で、でもはっきりと言った。
「今日……わたしの人生で……いちばん幸せ」
夜風がさらりと肌を撫でる中、クルトはそっとセルシアの肩に手を置いた。
彼女の細い背筋がぴくりと震え、潤んだ瞳が揺れている。
「……クルトさま……」
震える声が切なく夜空に溶けた。
「いいかい?無理はしなくていいから……」
セルシアは首を横に振り、頬を紅潮させながら彼の胸に額を寄せた。
「お願い……最後まで……あなたと一緒に……」
その言葉を受け取った瞬間、クルトの中にあった理性が僅かに揺らぎ、彼はセルシアを抱き締めた。
温かい吐息が交わり、ゆっくりと唇を重ね合う。
触れるだけのキスが徐々に深くなり、互いの体温を感じながら舌が絡み合う。
セルシアの喉から「ん……っ」と甘い音が漏れ、彼女はさらに強く抱きついた。「ふふ……くすぐったいよ」
「ご、ごめんなさいっ……!でも……嬉しくて……」
ドレスのリボンが解かれ、滑らかな肩が露わになる。
クルトの指先がその柔肌を撫でるたび、セルシアは小さな声をこぼし、身体をよじらせた。
「痛かったらすぐに言ってね」
「だいじょうぶ……です……クルトさまなら……」
ドレスの裾が床に落ち、二人はゆっくりと夜のベッドへ沈み込んだ。
柔らかな月明かりが照らす中、お互いの存在を確かめ合うように肌と肌が触れ合う。
「本当に……きれいだよ」
「え……っ、そんなこと……言われたら……っ」
涙が一粒、頬を伝い落ちる。
羞恥と幸福が入り混じった表情に、クルトは再び口づけを落とした。
セルシアの鎖骨から胸元へと舌を這わせると、彼女は小さな悲鳴にも似た声を上げ、シーツを握りしめた。
「あっ……そこ……だめっ……」
「だめじゃないでしょ?」
優しく囁きながら指先を秘部へ伸ばすと、ぬるりとした感触が伝わる。
「ほら……こんなに濡れてる」
「言わないでぇ……っ!」
恥ずかしさに耐えきれず顔を覆うセルシアの手をそっと掴み、クルトは自身の昂ぶりを彼女の腹部に押し当てた。
「わかる?君を見てるだけで……こんなに……」
「クルトさま……私も……欲しい……」
欲望を抑えきれなくなったセルシアが小さく脚を開く。
クルトは慎重に腰を進め、ゆっくりと彼女の中へ沈み込んでいった。
「んあぁ……っ!入ってくる……っ」
少年の剛直は逞しく痛みと快楽が同時に襲い、セルシアは喘ぎ声を漏らす。
クルトは動きを止め、「大丈夫?」と問いかける。
「すごく逞しくて、少し……でも……クルトさまが……気持ち良ければ……」
涙を浮かべながらも微笑む彼女に胸が締めつけられ、クルトは深く繋がったまま額に優しくキスを落とした。
「一緒に……気持ちよくなろう」
「はい……っ!」
動くたびに湿った音が響き、結合部から湧き上がる熱が二人を支配していく。
激しさと優しさの狭間で、セルシアは何度も甘い声を上げ続けた。
「くっ……あっ……すご……いぃ……!」
「セルシア……可愛いよ……」
クルトの律動が加速するにつれ、彼女の中は熱く痙攣を繰り返す。
「いっ……ああっ……クルトさまだめ……も…だめぇ……!」
絶頂の予感に怯えながらも求めてしまうその仕草に煽られ、クルトも限界を迎えた。
「僕も……出すよ……!」
最奥へ突き入れた瞬間、二人はほぼ同時に果てた。
熱い精液が迸り、セルシアの腹部は痙攣しながらそれを飲み込むように反応する。
「んあ……ああっ……クルトさま……熱い……!」
余韻の中で脱力した身体を寄り添わせ、二人は息を整えた。
汗と涙で濡れた顔を寄せ合い、微笑むセルシアの唇に再びキスをする。
「ありがとう……クルトさま……」
「こちらこそ。本当に綺麗だったよ」
月の光が優しく照らす中、
身体を交わした二人はそのまま抱き合い、静かな眠りについた。
翌朝。ネメシス・グラントの街全体に活気が溢れていた。
黒城の中央階段で、昨夜の余韻に浸っている暇もなく、
クルトは再び女子たちのバチバチに巻き込まれていた。
「ちょっと、クルト!! 今日の君は誰のものなの!?」「「「わ・た・し!!!」」」「セルシア!根暗ムーブで上手いことやったわね、あなたはしばらくクルト様はお預けよ!」「僕のお兄ちゃんだよ」「クルトちゃんおいで」
「…みんな僕のために争わないで…」クルトの声は虚空に消えた。