18歳の誕生日に僕は魔王になりました!魔王継承者クルト と囚われの七罪の姫騎士 作:みなぽん
セルシア ミストラル
サドラ ミストラル
銀髪のエルフの少女――嫉妬の大罪 セルシア・ミストラルは、サドラ ミストラルの“聖なる虚報(ホーリィ・デクレ)”の魔力炉にされて打ち捨てられていた。3人組の黒人に陵辱され気絶し全裸のままで蛙のように足を開き横たわっていた。彼女は絶命することなく、かろうじて意識を取り戻した。
どうやらサドラの計略は成功しサドラはとらえたエステバンとマリーダに残虐な仕打ちをしているようだ。また、兵士たちの噂話でクルトたちがこちらに向かっているという話も聞いた。月の宮の中で用済みの彼女は、まるで空気のように無視されていた。
月の宮の廃棄区画――冷たい石床に横たわる体は重く、腹部に刻まれた魔法刻印が鈍く疼いている。
銀髪が血と泥で固まり、裸の肩は寒風に粟立っていた。
(生きてる……けど……)
自己嫌悪が最初に胸を締めつけた。
魔力炉として使い捨てられるだけの存在だと、脳裏で何度も繰り返される。
サドラの嘲笑が耳朶にこびりついている。
だが彼女は立ち上がった。
「……でも」
震える声が喉の奥から漏れる。
「負けたくない……」
彼女はまず廃棄場の隅に捨てられていた服を拾い、身にまとった。布は粗末でかろうじて下腹部を覆う程度だったが、それだけでも少しマシだった。
次に、月の宮の通路を歩き始めた。
兵士たちは彼女を「空気」のように扱い、誰も気に留めなかった。
(私は役立たずだけど……)
(でも何かできることがあるはず)
彼女は潜んでいた薄暗い廊下で情報を探る。
噂話。兵士たちの雑談。壁に貼られた警備表。
そこからいくつかの情報を得た。
① サドラは現在玉座の間でエステバンとマリーダを捕虜にし陵辱している。
② クルト王子一行が月の宮に向かっている(まだ距離はあるが)。
③ 城の地下には旧時代の脱出路があるらしい。
「……チャンスはある、私がクルト様を城に引き入れるんだ」
セルシアは独り言を呟きながら作戦を練る。
サドラの命令系統に乗らず、誰の指示も受けず動ける自分が不利な立場だからこそ逆に動ける。
彼女はまず地下へ向かった。朽ちた木扉を開き石階段を下りていく。
苔むした石壁を辿ると古い転移陣が見つかった。
(使えるかしら……?)
試しに魔力を注ぐと魔法陣はかすかに輝いた。
しかし行き先が不明瞭で不安が募る。
(やめたほうがいいかな……)
ネガティブ思考が頭をもたげる。
しかし別の思いがそれを押しのけた。
(ここで諦めたらまた何もできない……)
(クルト様に会いたい……)
勇気を振り絞って彼女は陣に足を踏み入れた。
視界が歪む。吐き気が襲う。
だが次の瞬間――
目の前には開けた森が広がっていた。
「……出られた!?」
信じられない光景に息を呑む。
月明かりが降り注ぐ小径の先には幾つもの松明の灯りが見える。
(あれは……)
彼女は急いで駆け出した。
息を切らしながら光の方へ走る。
そして――
ボロボロのマントを引きずりながら歩いてくる銀髪の少女。
その姿を見つけた瞬間――
」
「――セシリア!」
真紅の髪が風を裂き、ロゼッタが駆け出した。正反対の性格で、良き喧嘩仲間だったお友達だ。
抱きついた勢いで二人とも床に転がり、セシリアが戸惑いながらも息をもらす。
「ロ、ロゼッタ……?」
「もう! どこ行ってたのよ! 寂しかったんだからぁ!」
甘い香りとともに、吸血姫が頬をすり寄せる。
その様子に、周囲の空気がぱっと明るくなった。
「やれやれ、泣くなロゼッタ。せっかくの化粧が台無しだ。」
黄金の髪が光を反射する。
アウレリアが腕を組み、微笑む。
「よく戻ったな、せ=ミストラル。
お前が抜けていた間、弓矢の援護がなくてな正直困っていた。
――お前がいるだけで、隊列は完成する。」
彼女にしては珍しく、柔らかな声。
セシリアは震える唇を押さえた。
「アウレリア姉様……わ、私、みんなに迷惑を……」
「迷惑? ふん、我が王、クルト様が許すと言っている。
ならば世界の方が頭を下げるべきだ。」
「おかえり〜! お腹空いてるでしょ?」
軽快な声が響き、ベアトリーチェがバスケットを抱えて跳ねる。
「ほら、セシリアの好きなマシュマロと焼き栗! いっぱいあるよ!」
彼女の小さな手が、ぐいぐいと食べ物を口の中に押し込んでくる。ちょっと迷惑だが
彼女の笑顔に、セシリアの氷のような瞳が溶ける。
「……ありがとう。ベア……」
「ん〜! その顔、やっと見れた♡」
「ご無事でなによりです。私すごく心配したんですからね」
清楚な笑顔で、彼女を抱きしめる。瞳からポロポロ涙を流す。ー
「ミレーヌ姉、セシリア困ってる」とロゼッタが遮るが、ミレーヌはすぐには逃してくれなかった。
「セシリアおかえりなさい。」
静かに、ヴァレリアが歩み寄る。
彼女はその大きな腕で、そっとセシリアを抱きしめた。
「怖かったでしょう。もう大丈夫。泣いていいの、よしよし……」
母狼のような温もりに包まれ、セシリアの頬を伝う涙がぽつりと落ちた。
「…セシリアちゃんの匂い、ほんとに頑張ったのね」彼女の母性が炸裂する
「ちょ、ちょっとヴァレリア様、舐めないでくださいっ……!」
そのやり取りに、みんながどっと笑いに包まれる。
最後に、眠たげな声が響いた。
「……おかえり、セシリア。
……もういなくならないでね。とりあえずヒールとリバイブかけとくよ」
青髪のアリスが、魔法を施した後で、湯気の立つカップを差し出した。
「冷えたでしょ。ほら、ハーブティ。
これ飲んで、寝よう。」
「アリス……ありがとう。でも寝てられないよ、マリーダ様は助けなきゃね」
「お帰りなさいませ、セシリア様、クルト様、共々お待ちしていました。」
ロベルタがペコリと頭を下げる。
七つの光が揃った。
誰もが傷を抱え、それでも笑っている。
月明かりの中、クルトが歩み寄り、
静かに言った。
「――おかえり、セシリアボクはもう、君を一人にはしない。」
その言葉に、セシリアの胸が震えた。長い孤独の夜が、ようやく終わる。
「クルト様!」
衝動的に叫んでいた。
「セシリア!」
安心感と疲労で膝が崩れそうになる。
「来てくれたのですね……」クルトは走り寄り彼女を支えた。
クルトが優しく抱きしめてくれる。彼に弓を教えてあげたのはいつの時だったろうか。
いつの間にか少年の背丈はセシリアを超えていた。
――嫉妬の弓騎士、月を射抜く――
夜の帳が降りる月の都。
宮殿の最奥、“月光殿”に至る隠し通路を進む七つの影。
先頭を行くのは、銀髪の少女――セシリア・ミストラル。
その瞳にはもう、怯えも迷いもなかった。
「……この先が、月の宮の地下回廊。秘密の道……」
まもなく出口だ。。
アウレリアが金の瞳を光らせ、剣を抜く。
「今宵、王の敵に裁きを。」
仲間たちがそれぞれ武器を構える。
だが――通路の先、闇の中に三つの巨大な影が立ちはだかった
■ 黒の三巨兵 ――マンボ、チンボ、チョンボ
漆黒の肌に白銀の鎧、筋骨隆々の奴隷戦士たちが、
月の紋章を胸に刻み立ちはだかる。
「侵入者、発見。主命により殺す。」
声は低く、地鳴りのようだった。
ベアトリーチェが拳を鳴らす。
「うわ〜、でっかいね! 食べがいありそう!」
「おい食うな!」
ロゼッタが短剣を抜いて突っ込む。
「さぁ行くわよ! みんなで派手に暴れましょ♡」
光と影が交錯し、激しい戦闘が始まった。
ヴァレリアのツヴァイヘンダーが巨兵の腕を叩き落とし、
ミレーヌの絶刀雪月花が一瞬で床を凍らせ、敵の動きを封じる。
「アリス! 援護魔法!」
「ん〜……眠いけど……《星界転写陣(セレスティアル・トランス)》!」
一瞬、宮殿全体に青い光が走り、敵の魔力が崩壊した。
セルシアは深呼吸し、弓を構えた。
「――《氷弾・七連射(セブンス・クライ)》!」
七つの矢が走り、三巨兵の胸を貫く。
「やったぁ!」とベアトリーチェが歓声を上げる。
アウレリアが静かに言う。
「これで月の宮への道は開かれた。――行け、セルシア!」
白い石造りの聖堂。
中央に立つのは、月光の如き髪を持つエルフ――
月の勇者、サドラ・ミストラル。
「……来たのね、セシリア。」
その声は、嘲りと哀しみが混ざったものだった。
「姉様……もう、あなたの言葉には縛られない。」
セルシアは弓を握り、静かに言った。
「私はずっと……あなたに認められたかった。でも、あなたの言う“完璧”になろうとするほど、
私は壊れていったの。」
「ならばなぜ立つ? 嫉妬に溺れたあなたが、光を射すことなどできない!」
「違う!」
セシリアの声が響いた。
「嫉妬は……愛の裏返しなの。あなたが羨ましかった。でも今は違う。私は、七つの大罪、大事な人のために戦う。
――私の王、クルトのために!」
サドラの眉がわずかに揺れた。
「……やはり、あの魔王の息子に心を奪われたのね。哀れな妹。」
「そう思うなら、撃ってみなさい。
私の“嫉妬”が、あなたの心を射抜くかどうか!」
二人の弓が月光を裂く。
銀と白、氷と光――
二筋の矢が交差し、空間そのものが弾けた。
一瞬の静寂。
次の瞬間――サドラの矢は霧散し、セシリアの矢が彼女の胸を貫いた。
「……う……そ……」
サドラの瞳が見開かれ、ゆっくりと崩れ落ちる。
セシリアは息を切らしながら、膝をついた姉
サドラに歩み寄る。
「サドラ姉様……ごめんなさい。でも、私はもう泣かない。」
サドラはその頬に触れ、かすかに笑った。
「…ふふ…やっと……あの頃の、あなたに……戻ったわね……エステバン、、ごめんね」
月光が差し込む。
冷たい石の床に、姉妹の影が重なった。
、仲間たちが歓声を上げていた。
アウレリアが剣を掲げる。
「勝利の報せだ!セシリアの矢で 月は砕け、夜が明ける!」
クルトが歩み寄り、セシリアの肩に手を置く。
「よくやった、セシリア。君の矢には正義を貫く力があるんだね。」
セルシアは、ようやく心から微笑んだ。
「はい……クルト様、それが、私の矢です。」
瓦礫の隙間から差し込む光の中に、
三つの影が向かい合っていた。
クルト――魔王ベルターの息子。
エステバン――太陽の勇者にして、クルトの父の仇。
そして、マリーダ――二人を繋ぐ存在。
「……あなたが、ボクの父を殺した“勇者”エステバンか。」
クルトの声は、静かだった。
だがその静けさは、刃より鋭い。
その瞳に宿る漆黒の炎は、怒りと混乱、そして戸惑いの色を映していた。
まっすぐにクルトを見つめる。
その眼差しは、かつて幾千の闇を切り裂いた太陽の輝きのようにまぶしかった。
「……ああ。勇者の役割として魔王を倒した。言い訳はしない。だが、私はもう“勇者”ではない。一人の男として――君の母親、マリーダを愛している。」
マリーダが息をのむ。
彼女の白い指が、胸の前でぎゅっと握られた。
「ちょ、ちょっと待って……二人とも落ち着いて……っ!」
「私は……私はどうすればいいの……!?」
彼女の心は、愛と罪悪感の渦に引き裂かれていた。
かつての夫を殺した男が父の仇への憎しみに燃える息子と対峙している。
母としての本能が、二人を引き裂こうとする運命に抗って叫んだ。
「クルト! エステバンは……エステバンはもう敵なんかじゃない!あの時、処刑されるはずだった私を救ってくれたの……!」
「母様…あなたは……“父の仇”を、愛したのか……?」
「その通りよ、クルトあなたが許せないなら私を殺しなさい。できることならわかり合って欲しい。もう人が死ぬのはたくさんよ。あなたがエステバンを殺したら私も後を追って死ぬわ」
「母様、、そんなこと言われたら、僕はどうしたら」
クルトの声が震えた。
彼の中で、正義と愛、誇りと赦しがぶつかり合う。
ベルターの血が復讐を求め、
マリーダの血が宥和を求め涙を流す。
その狭間で、クルトは苦しげに拳を握りしめた。
「ボクは……どちらをすればいい…この振り上げた復讐の拳をどうすればいい…!?
エステバンは一歩、近づいた。
その背後で、崩れかけた天井から光が降り注ぐ。
「クルト……。私はお前の父を殺した。だから、君には私を殺す権利がある。望むならそうするがいい、ただそれで復讐は終わりにしてくれ。マリーダや息子のアーサーには家族として向き合ってほしい。私もあの戦いの果てに気づいたのだ。憎しみの炎は、いずれすべてを焼き尽くす。これは君に差し出そう私の愛剣エクスカリバーだ。」
「僕は降伏し自分から剣を差し出すようなやつを斬り捨てることはできないよ。あなたはマリーダ母様を愛した。その愛は、罪であっても――真実だ。」
マリーダの頬を、涙が伝う。彼女は両手を広げ、二人の間に立つ。
「ありがとう二人とも、、クルト、ダメな。お母さんでごめんなさい。エステバン、あなたと一緒に生きていくわ。」
クルトは剣を下ろし、長く息を吐いた。
「…再び勇者になって、僕たちに剣を向けない限りは…父の仇としてではなく。ぼくの義父として向き合うよ。ー」
瓦礫の隙間から差し込む光の中に、三つの影が向かい合っていた。
この日、新しい魔王 クルト ドラグニルが7つの大罪を復活させ、月の勇者サドラと太陽の勇者エステバンを倒したという知らせが大陸を駆け巡った。
そして、かつての魔王城と、八葉の勇者に割譲されていたその領土はクルトドラグニルのものとなった。
エステバンとマリーダとアーサーは魔王城のあった辺境の地で、家族で素性を隠して冒険者として暮らすことになる。サドラもセシリアの助命嘆願で一命を取り留め魔王領へと移り住むようだ。
魔王領と言ってもかつての家臣たちは離散し領内は荒れ果てている。彼らは、新しい戦いと向き合っていくことになるのだ。
魔王城跡――今はただの小さな石造りの館。
エステバンとマリーダ、そして少年アーサーは、
人里離れたこの地で“冒険者一家”として暮らしている。
マリーダは畑を耕し、
エステバンは鍛冶屋で剣を打ち、
アーサーは野山を駆け回っては村の子供たちと遊んでいる。
「父さん! 今日も剣の練習つけてよ!」
「はは、仕方ないな……ただし、母さんの朝食が終わってからだぞ。」
そんな日常。
かつて世界を揺るがせた勇者と王妃が、今はただの“家族”として笑っている。
それを遠くの丘から見下ろす影――
月の弓騎士、サドラ=ミストラル。彼女は愛する人を見守ると決めた。
その瞳は、もう氷のように冷たくはなかった。
月の庭にて
夜。
荒れ果てた魔王領の中心、“月の庭”と呼ばれる静かな泉のほとりに、
セシリアは立っていた。
風が銀髪を揺らし、満月が水面に映る。
その後ろから、足音がひとつ。
「…セシリア こんな時間に、何をしているんだ?」
低く、穏やかな声。
クルトだった。
黒いマントを肩に掛け、彼はゆっくりと彼女の隣に立つ。
「……クルト様。夜風が……気持ちよかったので。」
「そうか。……もう、“様”はいらないよボクたちは仲間だ。」
セシリアは小さくうつむいた。
彼女の胸の奥には、かつての自分の影――
“嫉妬”に囚われた少女の記憶が、まだ痛みのように残っている。
「私……ずっと、怖かったんです。誰かに愛されるのも、信じるのも。
でも……あなたが、私を見つけてくれた。」
「君はもう、“嫉妬の罪”じゃない。“愛の矢”を放てる、ボクの誇りの弓騎士だ。」
その言葉に、セシリアの頬が熱く染まる。
彼女は胸に手を当て、小さく笑った。
「……ずるいです、クルト。
そんなこと言われたら……また、好きになっちゃいますよ。」
クルトが微かに笑う。
珍しく照れくさそうに、彼はセシリアの肩を抱いた。
「……セシリア 。」
その一言に、セシリアは目を閉じ、
まるで長い冬が終わったように、静かに微笑んだ。
クルトの腕が優しくセシリアの肩を引き寄せる。彼女の銀髪が月光を受けて淡く輝き、ふたりの影が静かな水面に長く伸びていた。風が草を揺らす音だけが聞こえる。
「……ここで?」 セシリアの声が震えた。「こんな……外で?」
「嫌か?」 クルトが低く問う。彼の吐息がセシリアの耳朶に触れる。
「違っ……恥ずかしいだけ……誰かに見られたら……」
赤く染まる頬を両手で覆おうとするセシリア。
クルトの笑みが深い。「心配いらないよ、ここにはボクと君しかいない」 彼は彼女の手を取り、そっと唇で手首をなぞる。「それに……ずっと前からこの月の庭で君を抱きたかった」
その言葉にセシリアの心臓が跳ね上がる。かつてこの場所で誓い合った約束。
月光を浴びながらの密やかな触れ合いが記憶に甦る。
クルトの指先が彼女の衣装の肩紐をそっと滑らせた。
「あっ……クルトさま……」 ワンピースが滑り落ち、白い肌が月明かりに晒される。セシリアは思わず両腕で胸を隠そうとした。
「綺麗だ」 クルトの声は熱を帯びていた。彼は片膝をつき、セシリアの腰に手を回して引き寄せる。
「君が恥じることは何もない」
「でも……震えて……しまう」
「それが君の可愛いところだろ?」 彼はそっと頬に口づけを落とす。
「力を抜いて……ボクを感じてくれ」
月の庭の芝生がふたりの背中を受け止める。クルトの指がセシリアの胸元を優しく探り、柔らかな感触を確かめるように包み込む。セシリアは身を硬くしたまま浅い呼吸を繰り返す。
「んっ……」
「痛くないか?」
「だいじょうぶ……です……」
「良かった」 クルトの指が少しずつ動きを早め、敏感な突起を捉える。「ボクの手を握っていて」
セシリアがこくりと頷き、指を絡める。快感に耐えるようにその手に力が込められる。クルトの唇が鎖骨を滑り、セシリアの熱い吐息が漏れた。
「んっ……あっ……」 声を押し殺そうとする努力が次第に崩れていく。
「我慢しなくていい」 クルトの息が首筋にかかる。「ボクしか聞いていない」
「だって……声…聞かれたら……」
「聞かせてほしい」 彼の手がスカートの裾をたくし上げる。「君の声でボクの名前を呼んで」「ああ、クルト、愛してる❤」
セシリアの体が熱くなる。月明かりの下で肌がさらされ、羞恥と期待が入り混じる。クルトの指先が内腿を滑り、最も敏感な場所にたどり着くと彼女の身体がビクリと震えた。
「あっ……そこは……」
「濡れてる」
「い、言わないで……!」
「嬉しいんだ」 クルトが囁く。「ボクで感じてくれてるって証拠だろ?」 彼の指が慎重に花弁を開き、中へと進んでいく。「……ほら、こんなに……」
「んっ……ああっ! やっ……やめっ……!」 予想外の強い刺激にセシリアの声が跳ねる。
「嫌?」 クルトの問いかけは意地悪だが優しい。「君の身体は欲しがってるのに?」
「意地悪……しないで……」 涙目の抗議にも似た懇願。
「可愛い」 クルトが深く口づける。彼の舌がセシリアの口内を執拗に弄り、同時に指は中で巧みに動く。
快感の波が次第に高まり、セシリアの身体が弓なりに反る。
「ん……クルト……さまっ……あぁ!」 初めてセシリアが積極的に舌を絡め返す。指の動きに合わせて腰が無意識に揺れ始める。
「どうした?」 クルトが唇を離して尋ねる。「急に積極的だね」
「わか……らない……」 セシリアの瞳が潤む。「変なの……どんどん……熱く……なる……」
「ボクもだ」 クルトがズボンを緩め、熱い塊を彼女の腿に押し当てる。「ほら……一緒だろ?」
「あっ……大き……い…」 恐る恐る手を伸ばすセシリア。クルトがその手を導き、己の形を覚えさせるように握らせる。
「握って……」
「うん……」 男性の熱に指が震える。クルトが小さく呻くのを見て、セシリアの胸に不思議な優越感が芽生える。
「君の手……柔らかいな」
「クルトさまのが……熱いです……」
「挿れてもいいか?」
「……来て」 抵抗の言葉は消えた。羞恥よりも渇望が勝っていた。
クルトが慎重に位置を合わせ、ゆっくりと押し入ってくる。圧倒的な質量にセシリアの身体が一瞬強張る。
「痛くないか?」
「ちょっと……だけ……」 正直に答える。
「焦るな」 クルトは動きを止め、彼女の額に口づける。「ゆっくり慣らそう」
「うん……」 安堵の吐息。クルトの愛撫が再開され、内部と外部の感覚が絡み合う。やがて痛みが馴染み始めると、セシリアの身体は彼を優しく包み込み始めた。
「……動くよ、セシリア」
「はい……」
抽送が始まると小さな悲鳴が漏れる。
クルトのイチモツはこの半年で格段の成長を見せていた。
まだ初々しい反応だが、痛みではない。むしろ奥底から湧き上がる未知の感覚に戸惑うような声だ。
「あっ……はぁ……クルト……さま……」
「君の中……ボクでいっぱいだ」
「いや……恥ずかしい……」 言葉とは裏腹にセシリアの両足がクルトの腰に絡みつく。無意識の行動だがその力強さは明らかに求めている。
「欲しがってるな?」
クルトが微笑む。
「ちがっ……勝手に……足が……」
「いいんだ」 クルトが強く突き上げる。「そのまま掴まっていて」
「ひゃっ! ……あっ……ああっ!」 強烈な一撃にセシリアの理性が砕け散る。
クルトの動きが徐々に激しさを増す。彼の汗がセシリアの胸元に落ち、月光にきらめく。
「セシリア……もっと感じて」
「あっ……すごいっ……! クルトさまっ……クルトさまあ!」
名前を呼ぶことで快感を表現するセシリア。羞恥心がさらに剥がれ落ちていく。
「ボクの名前……たくさん呼んで」
「クルトさまっ……クルトさまぁっ!」
「可愛い……ボクのセシリア……」
セシリアの爪がクルトの背中に食い込む。激しい律動の中、彼女は必死でしがみつくしかない。
「熱い……もっと……クルトさま……!」
「君も熱いよ……一緒に溶けてしまいそうだ」
快感の波が頂点へと迫る。
セシリアの瞳は涙で滲み、唇は半開きになったまま熱い吐息を漏らす。
「あっ……来る……何か……来ちゃう……!」
「ボクも……もう限界だ……」
クルトの動きが極限まで加速する。
二人の身体がぶつかる度にセシリアの声が跳ね上がる。
「クルトさま……愛してる……」
突然の告白にクルトの動きが一瞬止まりかける。
「セシリア……ボクも……愛してる……」
その言葉が決壊の引き金となった。セシリアの体が激しく痙攣し、絶頂へと駆け上がる。
「ああっ! クルトさまあぁっ!!」
同時にクルトも熱い迸りを解放する。二人の絶頂が重なり合い、月の庭に溶け合った。
荒い息遣いだけがしばらく続いていた。
やがてクルトが彼女の頬に優しくキスを落とす。
「セシリア……ボクを選んでくれてありがとう」
「私も……あなたが……いてくれて幸せです……」
セシリアの瞳から涙がこぼれ落ちる。それは羞恥ではなく喜びの証だった。
月光の下でふたりは深く抱きしめ合う。
荒れ果てた魔王領に初めて咲いた愛の花は、
これからどんな嵐にも耐え抜くだろうと確信できた。
夜風が通り過ぎる。
その音に紛れてセシリアの唇が動く。
「ずっと……離れないでくださいね……クルトさま……」
クルトは何も言わず彼女の手に指を絡めた。
それが返事だった。
魔王領日常譚 ―七つの大罪と平和な一日―
ベアトリーチェの食料危機とおやつ奪還作戦
魔王領の朝。
今日も平和……と言いたいところだが――
「クルト兄ーっ!! ボクのおやつ、ぜんぶ消えたぁぁぁ!!」
城中に響く悲鳴。
食堂の床に座り込み、涙目で叫ぶ暴食(グラトニー)ベアトリーチェ。
クルトが寝ぼけ眼で現れる。
「……また夜食の食べすぎでなくなったんじゃないのか?」
「ち、ちがうよぉ! 今朝ちゃんと冷蔵庫にプリン10個入ってたの!
でも全部、誰かに食べられたの!!」
「……犯人、だいたい想像つくな。」
アウレリアがすました顔で通りすがる。
「クルト様と一緒に美味しくいただきましたわ。王の食事を優先するのは当然のことです。秩序のために。」
「ちょっ、クルトもプリンもボクの“だよ!? 返してーっ!!」
ベアトリーチェは怒りの咆哮を上げ、拳をブンと振り回して突撃。
アウレリアは涼しい顔で光翼剣を抜き、優雅に受け流す。
「王の食卓を賭けた戦い、受けて立ちましょう。」
「いっけー! 零式! おやつ返せパンチ!!」
その瞬間、食堂は爆発。
ロゼッタが悲鳴を上げ、ミレーヌが「もったいないっ!食器がァァ!」と号泣。
アリスは面倒そうに本を閉じて呟く。
「……朝から賑やかだね。平和ってことだよ。」
結局、クルトが仲裁に入り――
“おやつ管理委員会”を設立。
犯人不明のおやつ消失事件は、後に**「夜の冷蔵庫怪奇譚」**として魔王領の都市伝説になった。
第2話 ロゼッタの恋愛相談室(嫉妬するセシリア付き)
ロゼッタの部屋。
真紅のカーテンと甘い香水の匂いが漂う中、
今日も“恋愛相談室”が開催されていた。
「でね、クルトが最近優しくて……でも手を握ってくれなくて……」
「わかるわぁ〜、それは“焦らし期”よ♡ 男の子ってね、
ちょっとドキドキしてるとすぐ逃げちゃうの〜」
アリスが半分寝ながら紅茶を啜る。
ミレーヌはノートに「恋愛ホルモン分泌理論」とか難しいことを書いている。
だが、その部屋の隅には――
銀髪の少女、セシリアがぷくーっと頬を膨らませていた。
「……なんで、みんなそんなに嬉しそうなの?
クルトの話で盛り上がるとか、ずるい……。」
「セシリアちゃんも恋愛相談する〜?♡」とロゼッタがからかうと、
「べ、別に興味ないし!///」と即座にそっぽを向く。
その瞬間、ドアがノックされた。
「セシリア、ここの弓の改良図持ってないか?」
クルト登場。空気が凍る。
セルシアは顔を真っ赤にして慌てふためき、ロゼッタはにやりと微笑んだ。
「来たわね、あなたの“王子様”♡」
「ち、違っ……今は恋愛相談の途中でっ!!」
その後、セシリアがあまりに挙動不審すぎて、
ロゼッタとアリスが「新種の病?」と診断しかけたのは、また別の話である。
第3話 アウレリア vs ミレーヌの“税制会議”バトル
魔王領再建のための“財政会議”が開かれた。
議題:「王の私室を金箔張りにするか否か」。
アウレリア:「王の威厳を保つために必要です!」
ミレーヌ:「そんなの無駄遣いです! その金で魔具を買うべきです!」
二人の言い争いは次第に魔力を帯び、
書類は燃え、机は浮き、クルトの頭が痛くなる。
「アウレリア姉、ミレーヌ姉、落ち着いて二人とも! まず税率を見直そう!」おい
「税? そんなものは取れるやつから多く取ればいいのです。」(アウレリア)
「いえいえ! 公平な税制度を作るべきですぅ!」(ミレーヌ)
結局、戦いは物理に発展。どちらも剣士としてはかなりのものだ。
剣と魔法と紙束が乱れ飛び、アリスが再びため息をつく。
「2人の会議をするたびに城の備品損失が出る気がするよ」
ロゼッタ:「まぁまぁ、どっちもクルトの愛が欲しいだけでしょ♡」
ベアトリーチェ:「…お姉ちゃん達…うるさいっ!」
クルト:「(頭痛がする……でも、なんか幸せだな)」
エピローグ小話:「魔王領は今日も平和です」
ロベルタが紅茶を注ぎながら微笑む。はい。
「……戦のない日々って、いいものですね。
みんなが笑って、クルト様も……」
「そうだな。ボクは、こういう世界を作りたかった。」
ふと、窓の外では
ヴァレリアがベアトリーチェをおんぶして昼寝している。
セルシアは弓の手入れをしながらチラチラとクルトを見つめ、
ロゼッタはその後ろでウインク。
その全てを見渡して、クルトは小さく呟いた。
「これが……本当にボクの国なんだね。」
「そうですね。二人っきりであの山小屋で暮らしている時はそんなこと考えてもみませんでした。」ロベルタが微笑む。
「ロベルタ、王として命令していいかい?」
「はい、クルト様、なんなりと」
ソファに横たわるロベルタの表情は緊張と期待で微かに震えていた。かつて山小屋で自分を励まし続けたメイドは今、クルトの腕の中で小さく見える。
「怖いかい?」クルトの声には子供の頃にはなかった余裕があった。
「いいえ」ロベルタは微笑んだ。
。
「ただ…本当にたくましくなられて、…あの頃とは違うなと思って」
「うん。ボクも違う」クルトは彼女の髪を梳きながら言う。「でも変わらないこともある。ロベルタ姉さんがずっとボクを支えてくれたこと」
その言葉にロベルタの目尻が熱くなる。
「クルト…様…」
「もうボクを子供扱いはしなくていいよ、1人の男として見てね?」
「はい」ロベルタの頬に涙が伝う。「クルト様は……こんなにも大人になりましたね」
クルトの手が彼女の頬を包み、涙を拭う。ロベルタも手を伸ばすかつて自分を導いてくれた手の平の感触に、クルトは懐かしさと安堵を感じた。
「ロベルタ、僕のはじめての女の人は、君だったね。あの時はリードしてもらったけど、今日は僕にリードさせてね。」
言葉と共に優しく重なる唇。ロベルタの唇から小さな息が漏れる。山小屋での初体験では彼女がリードし、知識を与え慰めた。今は立場が逆転し、クルトの指先が彼女の肩を、胸を慈しむように辿る。
「ん……っ」ロベルタの喉から掠れた声が漏れる。
「気持ちいい?」クルトの声は甘く響く。
「はい……とても」正直に答える。かつて自分が教えた技術を遥かに超えたクルトの愛撫に、理性が蕩けていく。
クルトの手が滑るように下へ降りる。「ここも……触っていい?」
「お願いします……」羞恥に俯くロベルタ。「あの頃と比べて…平和すぎて、お肉がついちゃいました。醜いですよね。……」
「違うよ」クルトは真摯に否定した。「美しいよ。いつも以上に」
ロベルタの身体が震えた。クルトの指が秘所に触れた瞬間、全身に電流が走る。かつて自分が導いた少年が、今や大人の男として自分を支配している事実に恐怖と歓喜が混ざり合う。
「あ……っ!クルト…様…激しい……っ」
「ごめん……抑えきれなくて」クルトは苦しげに言った。「でもロベルタ姉さんを愛したいんだ。今のボクで」
激しい律動の中でロベルタは涙を流す。快楽なのか喜びなのか区別できない感情が溢れ出る。
少年時代の面影を残した頬が熱くなり、吐息が乱れる。
「来て……クルト…様…もう……!」
「ロベルタ姉さん……!」
二人の熱が同時に頂点に達した瞬間、ロベルタは恍惚とした表情で目を閉じた。
クルトが愛おしそうにロベルタの頭を撫でる。「ボクは変わるよ、いつか立派な魔王になる。でもロベルタ姉さんを大切にする気持ちは変わらない」
「はい……」ロベルタは満ち足りた声で答えた。「クルト様が成長してくれて……本当に嬉しいです」
「もう少しこのまま……いいかな?」
「……もちろんです」ロベルタは微笑みながら腕を伸ばし、クルトの頬をそっと撫でた。