湊友希那保育園あおばら組お遊戯会当日、唯一の参加者である彼は極度の緊張状態にあった。
体内のあらゆる臓物が傲慢なほど身勝手に蠢き血流が波打っている。骨格が強張り筋肉が縮小と拡大を繰り返し、彼は何か重たいものが喉元に常に潜んでいるという心地で朝を過ごした。
母親の友希那にほぼ全ての支度をしてもらった。自宅に送迎のバスが到着し、その出入り口部分に保育士の友希那が立っている。彼は会釈をしながらバスに乗り込んだ。
席に座る。その後方で母親友希那と保育士友希那が会話している。バスには窓が多いが、実際に開いている扉から差し込む陽光が最も強烈に光っている。そんな光の中に薄紫色の泳ぐものがある。それは友希那たち二人の長い髪のことで、微風や本人の動きにより囁くように揺れている。少しの会話だったがママが、先生に「お遊戯会があるから緊張しているのよ」と話していた。先生はそれを了承し、二人も会釈をするとバスが出発する。十分ほどだろうか、走行の後に停車し、窓から外を視ると保育園がある。彼は下車し、門から目を逸らしながら入っていった。
しかし門の前に立つ人物はいつもの態度で挨拶をしてくる。
「あら、おはよう」
優しい声、女性としては少し低くて十二分な華がある。余裕に満ちた、静まった、濃い海のような声。
「おはようございます……」
園児にとっての戦場、お遊戯会という一日が今、そんな声と共にはじまった。
お遊戯会といってもいくつか種類があるが、今日、彼が行うものとは極めて綿密なものだった。
参加者は園児である彼、それからあおばら組を担当する保育士の湊友希那、園を代表するという意味で園長の湊友希那、さらに彼の母親である湊友希那だった。
彼と、友希那と友希那と友希那を残してあおばら組は完全に封鎖となる。他のあらゆる人物も進入は不可能で、お遊戯会の準備がはじまる。
「準備は私がやるから、先生は説明の最終確認を、お母さん、あなたは休んでいて構わないわ」
場の指揮を持つのは当然、園長の友希那、部下にあたる保育士友希那は彼を連れている。母親友希那は園長のいい渡しに対し、「手持ち無沙汰だから」と断って準備に参加する。
「それじゃあ、お遊戯会の内容を確認するわ」
そうして、室内隅に移動した彼は園長友希那を見上げた。
「まず、用意した専用の台にあなたのお母さん、私、それから園長先生が横並びに座る。この時、両足は揃えたまま前方に突き出して、太腿同士を密着させる。事前に下半身はショーツ以外を脱いでおくから、少しの隙間も造らずに三人の太腿があなたを待ち構えている。あなたは勃起させたおちんちんで位置について」
「ママのお顔が、右手側にくるように」
友希那の説明が途切れると彼は口を開いた。それは意識的なものだったが、半ば無意識的な部分もあった。
友希那はその反射的な彼の行動に軽くほほ笑んだ。
「そうよ。私が教えた合言葉、しっかり覚えているのね」
合言葉とは園長友希那が特別に造り、彼に渡したものだった。お遊戯会の自分の位置について詳しく覚えることができない園児のため、ひとつ工夫をした園長友希那の知恵は彼の中で生きている。
「位置についたらお遊戯会がはじまるわ。あなたはお母さんの太腿や、自分の手を使っておちんちんをごしごしする。男らしさのアピールよ」
「練習、たくさんした」
「ええ、よく知っているわ。だから心配はいらないでしょうけれど、それでも油断しないで。私たち三人も、太腿みせつけてあなたに雌をアピールするから、決して負けてはいけないわ」
「けれど、射精してはいけないというわけではないの。限界まで我慢して、自分の中で今だと思ったら勢いよく出しなさい」
「う、うん……」
普段、冷静に仕事をする保育士友希那が射精という単語を口にする。流石、何にも動じない性格はそれがどれだけ卑猥な意味を持つ言葉でも震えひとつない。だが彼としては、むしろその平然とした勢いが何か背徳的に聞こえる。
そして友希那はそんな彼の事情など当然知らぬまま、説明口調の中に猥談っぽい湿度が浮く。
「射精の後、それがこのお遊戯会の本番よ。あなたが漏らした精液のその飛沫、最も遠い位置に飛び散ったものが、誰の太腿に付着しているのか。それをこのお遊戯会の結果とし、あなたはその人とえっちをする」
説明はこれで終了した。彼は友希那から顔を少し逸らし室内を視た。準備はすでに完了しており、園長友希那と母親友希那は壁際に待機している。眺めているとママと目が合い、友希那は軽くほほ笑んでくれる。
そういうものにまた頬を緩めていると、眼前、すぐ近くにて保育士友希那がしゃがんで彼に手を伸ばす。
「あなたも準備をしないと……」
友希那の指先が摘まむものとは彼のズボンだった。すぐに下向きに力がかかり、彼の制止など聞かず股間が露出する。
「あら、あなた……」
そして友希那の目つきが鋭く、彼の股間部分に向く。
「これはどういうことかしら」
「うう……」
友希那の語気がそれからより鋭く、冷気を帯びてゆくことだって当然のことだった。
だって彼は現在、勃起をしていない。
それは今日という日、つまりお遊戯会本番に対する彼の緊張感の現れだった。彼はもう精神的に張り詰めており、そこに勃起をするための余力などない。異変に気付いたらしい園長友希那と母親友希那が近づいてくる。保育士友希那も立ち上がり、間もなくして三人が彼の縮こまった股間を見下ろす体勢になる。
彼からすると友希那だって長身で、頭頂部がちょうど照明を遮っている。三つの影が重なりながら差し込んでくる。まるで鳥かごに幽閉された心地で彼は、身体そのものを縮ませる。
「ご、ごめんなさい……」
彼は勃起をはじめようとした。だって、ママが居る前で、先生たちが居るはずなのに、それでも勃起できないなんてありえない。そんなもの、男の恥じだし、何より彼は、三人に同時に失望してほしくない。
母親友希那、彼女は四六時中、というか生活そのものを共に過ごしてくれる。悩みなんて、なんでも、いくらでも聞いてくれる。それらか優しく撫でてくれる。彼のほうが悩みを聞くことさえ、そこそこある。
保育士友希那、彼女は手厳しい時がある。だがそれは保育士という立場として、園児の彼を立派に教育するための愛の鞭、そこに気付いた日、彼はようやく彼女の全てが愛おしく感じた。
そして園長友希那だが、彼女には何か鉄壁とでもいうべき尊厳がある。その力というか、我慢強さのようなもの、それに憧れたこともあるし、背中を押されたこともある。
そんな三人の友希那を前に、だた一向に上擦ることがないなんて。
申し訳が立たないし、何より彼自身、それは嫌だ。
故に彼は腰に力を込め、それが盛り上がる光景を脳裡にて描いた。
股間はぴくりとも動かない。まるで最初から勃起などという仕組みを持っていないという態度で萎れた先端は床に向いている。
「ごめんなさい……」
もう彼は謝るしかなかった。もはや、己だけでどうにかできる問題ではない。なんだか肩身が狭くって、身の回りが寒かった。
「いいえ、謝らないで」
そういう彼に声を与えたのは、まず保育士友希那だった。
彼は顔を上げた。三つの顔と目が合う。全ての眼光が静謐なまま彼を見守っている。
「緊張して、勃起維持できてないのね……」
「い、いや――」
「隠す必要なんてないわ。だってあなた、今日までたくさん練習をしていたもの。絶対に成功させるというそのやる気、その意思くらい、私にだって伝わっているわ」
「けれどこうなった場合、お遊戯会はどうなるのかしら」
その先生に重ねるように、母親が冷静に話題にする。
「何も問題ないわ」
冷静に応対したのは園長の友希那だった。
この保育園の長は流石、何であろうと動じない。
「勃起していないのなら、勃起させればいい。それだけのことよ」
「つまり、勃起するところからお遊戯会、ということにするのね?」
「ええ、そうよ」友希那は明瞭に答えて続けた。「先生、あなたなら彼のこと、再勃起させることもできる。そうでしょう?」
「当然よ」
彼のすぐ近くで、彼の勃起事情について冷静に話し合う。
そんな真面目な顔が三つある。どれも、おとなしそうで、けれど、濃厚な意志に溢れた好ましい顔つき。三人衆の中で動いたのは保育士友希那で、彼の左隣に移動する。
「大丈夫。少し勃起がきかなくなったくらいで失敗にはならない。いいえ、私がそんなこと、させない」
すでに友希那の左手は彼の股間に差し込まれており、萎んだものは、その素手の中に招かれている。
「おちんちん、私が育ててあげるわ」
友希那の囁き声が熱気と一緒に彼を撫ぜる。友希那の指の腹がくる。彼は思わぬ形で肩を揺らし、腰を引きつらせることになる。
それでも、股間のものは男を再開してくれない。
「まだ勃起しないのね……」
それじゃあ、と友希那は身体を少し揺らした。何をするのか、と彼は困惑し、すると友希那の右手、それが男体の後部についてひとつ、大いなる急所をみつけてしまう。
「せ、先生っ……」
そのまま進み、やがて彼はひゃんと身体を飛び上がらせた。
友希那の指先が撫ぜる箇所とは彼の尻穴の輪郭だった。その、少しばかり強張った位置が突かれて彼はひゃんと力を失くし、友希那がそれを支えてくれる。
まるで友希那の懐に埋まるような体勢だった。それでも堅牢な指先は尻穴を何度も遊覧し、時期をみて入ってくる。それも調子を窺うものではなく、男の尻肉を退かしながら突き進む。
指先は内部であっても勇ましく動いた。彼の中にて、彼も知らない彼のことを探っているようだった。その試みとはすぐに実を結び、やがて友希那は見定めたただ一点のみを丁寧に指の腹で押す。
「せんせっ、せんせいぇ……」
明らかに後方から突かれている。
だが自分のどこが、どのように突かれているのか彼もわからない。とにかく今、彼は友希那に抱き着きつつ、その腰を適当な位置に突き出す形で股間を再び盛り上げてゆく。
ああ、そんな。
ママに視られているのにっ。
それなのに、股間が上向くことを彼は止められない。彼は保育士友希那に抱き着いたまま、母親友希那のほうに顎を伸ばした。ママは無表情で彼を視ている。別の女に手玉に取られている我が子を保護者が冷静に傍観している。
「あ、あの」
そうだ、いっておかなければならない。多少おかしくたって、どうしても話しておかなければいけない。
けれど友希那の色香がさらに迫ってくる。友希那の五指の、その内側で熱を受ける彼はけれどその五指を穿つように少しずつ持ち上がる。友希那はその変化、というより転向を見逃さない。竿の位置で素手を動かし、ただ包んでいたところから握り込む様子に対応を変える。彼はすでに何かとろとろと、透明なものを垂らしており友希那はそれも利用する。
友希那の素手に包まれたものが少しずつ芯を取り戻す。硬くなったところを彼は先生から褒められるようにいくつかしこしこ撫でられて、その様子だってママが視ている。さらに後端の指先だって過激に続き、細いものが尻穴をほじっている。
その意図とは餓鬼の再勃起で、専用の女は目的のためどうやら屈強にある。
上から睨みつけくれる友希那と、わざわざ胸元を下ろし、両手を膝の位置に配置して視線の高さを合わせてくる友希那、そしてそんな三人を見守る、また別の友希那。
三人の友希那に取り囲まれたその中で、彼は、ぐぐぐと己が持ち上がることを意識する。
それはただ持ち上がるだけのことではなかった。決起と呼ぶ。彼のものは何か、追いかけ求めるように必死に上向き、それで硬く成り立っている。
尻穴刺激により走り出したものは止まらない。また友希那によりさらに滑走し、それで、雄っぽい輪郭を取り戻してゆく。
友希那に目撃されながら、別の友希那に竿を屹立させられる。それは何か裏切っているような心地だが、それに反して竿は元気に活動している。
それは正しいことで、あるべきことなのだがその姿がどうしようもない。だって、一人の女性にしがみつき、全ての運転を任せるなんて。それにそんな姿が、母親友希那に目撃されているなんて。
「あのねママ、僕、ママのこと」
ああ、愛の告白がこれじゃあ間に合わない。これじゃあまるで別の人で興奮したみたいになっちゃう。つまりママである友希那以外に、保育士友希那にも、それから、それからそれから、園長の友希那にだって性的に興奮している。そういう事実を、彼は自らの勃起で知らしめることになる。
いいや。だって、だって髪が綺麗で、顔も美形で、胸はないけれど腰の造りも卑猥に育っていて、何より全身からいつでも、卑しい妃のような風味がある。
友希那はそんな人だから、男としては興奮しないほうがおかしい。
そんな友希那に股間の担当を志願されて、断ることなんてありえない。ただでさえ綺麗なのに、それから竿を許され、尻穴までほじほじと、探索し、ある意味でそういう命令を受けてしまっては、そんなことをされてしまっては、もう、男は自分を隠せない。
「僕、僕ママのこと好き、友希那ママのこと大好きなのっ!」
そうして彼は、まさしく本性を暴かれてゆくように再び勃起してみせた。
「よくできました……」
保育士友希那の腕が離れ、彼も足腰を持ち直し、ピンと張ったもの以外の部分でしっかりと立つ。
突っ立ったまま彼は母親友希那をみつめていた。股間には母親ではない友希那の細工により起動した竿がある。
ああ、そんな……。
盛り立つ自分のものを前にして、彼は遠くに目を向ける。母親友希那が冷静な態度でそこに居る。彼は何か後ろめたいものを得ていた。だって、ママが居るのに。それなのに別の人で、勃起をしてしまうだなんて。
少しの息遣いの後、彼が弁明のため喉を揺らすと母親友希那が動揺した声を出す。
「え、ええ」
ママは少し頬を緊迫し、何か不意を突かれたという表情で彼を視ていた。
「あなたが私を好いていること、それくらいは、よく知っているけれど……」
「だから三人が並ぶ順番を決める時、お母さんが一番近くになるようにしたのでしょう?」
園長友希那が腕を組みながらやっぱり冷静だった。
園長先生をレイプした時、どんな気持ちだったの?
母親友希那がお遊戯会にて、最初に彼に向けた質問はそんなことだった。
現在、すでにお遊戯会は開始して数分が経過している。母親友希那、保育士友希那、園長友希那の三人が台の上、並ぶように腰を下ろして彼を受け止めている。彼もまた定位置に立ち、するとちょうど、身体から突き出た竿がママの左の太腿に乗る。
それは先ほどの緊張状態がまるで嘘のように活力に満ちており、またその先端は前方、つまり、横向きに並ぶ他二人の太腿のことも狙っている。
勃起後の彼も友希那たちに十分に世話になった。
まず彼は一人で歩かなかった。左右に二人、保育士友希那と園長友希那が配置しそれぞれ片腕が彼の部分に伸びる。五指は竿を持ち、彼がなんだかぶらんぶらん、負担にならないように保ってくれる。
こんな大きく育ったもの、男児の彼には一人で持ち上げたり、運ぶことなどできないから、などと大人の女の人に、まるで結婚式の最初に、花嫁とその父親が腕を組んで歩くようにしっかり支え、そうして台の上、母親友希那がすでに待つ場所に立つ。ここまでくると左右の二人も彼から離れ、彼は竿をママの太腿に置く。二人も台に乗り上げ、母親友希那と同様に太腿を意識した配置についてお遊戯会がはじまった。
そうして最初にされた質問は、あの友希那強姦についてだった。
「ええと……」
三つの友希那が一斉に男を視る。何か緩慢な目つきから、その下に控えめな胸元があり、服装はそれぞれ違う。そして下半身、太腿は六つともむっちりと彼に差し出されている。
とにかく必死だった。
彼はかつて、この保育園の長たる友希那を強襲し性的に満足した際のことを語った。その間、ママに対する腰の動きはなんだかおろそかになったが、それを補うように母親友希那が素手を乗せてくれる。
「だから、絶対にママにするぞーって、たくさん出した」
語り口調を終えた瞬間、三人は何もいわぬままそれぞれ目を揺らした。流石に良識ある大人の女性として、雄が不自然に行使され、雌が蹂躙されるなどという事態に動揺がある。それも、そんな大きな事件の被害者本人がこの場に居る。するとただ慄くだけに留まらず、何か小っ恥ずかしいらしい。
「おまんこの中で膨らんだおちんちんが、急に溶けるというか、温かく湿ってくるの」
口を開いたのは園長の友希那だった。
「射精をしていたのね。私の、胎内で」
彼が加害者として語った強姦事件について今度は、その被害者が自ら口を割る。
「彼が男として私の一番大切な位置でお漏らしをしていることが、独特な熱気で私にも伝わってきた。最初は自分の身体を持ち上げるというか、私のお尻を潰しながら無理やり入ってきて……」
何か、子守唄でも聴かせているかのように告白しているなと思ったら、園長友希那は額を上げ、「けれど」と他の友希那を視る。
「射精にだって、波のようなものがあるでしょう?」
「ええ」と母親友希那が肯定し、「そうね」と保育士友希那がさらに頷く。
「一度の波が終わるともう弱くなって、それからは襲っているというより、縋っていたわね。私のお尻にしがみついて、絶対に離さない。そんな勢いで溶けるように射精していたわ」
彼だって、あの強襲の際の行動をひとつひとつ全て説明しろと命じられても困る。
だって、そういうものだろう。人は自らが起こす行動をそれほど記憶していない。たとえそれが強姦だったとしても同様で、ただ犯したかったから犯した。しかしその友希那からするとやはり、自らの尊厳を脅かす雄餓鬼の全ての行動が印象的で、それなりの時間が経過した今であっても、詳しく語ることができるらしい。
これが、強姦される側とされた側の差異、ということなのか。
というより、自分で姦通した女からこれほど正確に出来事について喋ってもらえるなんて、また異なる味がある。
「女の人を無理やり襲ってはいけない、そんな常識を無視してしまうくらいの熱意とそれから、熱意を失わず、しっかりと行動に移す覚悟を兼ね揃えたあなたの気持ちこそ、真の純愛というものではないのかしら」
彼としては、己の気持ちが向かうまま、股間が唸るそのままに、可愛い可愛い友希那へ乱暴をしただけなのだが、対する友希那からするとまさか、そんな解釈になるのか。
差し出した恋文を、しっかり最後まで読み込まれたような、そういうほんのりとした嬉しさがある。
「園長先生、これは襲うだとか、無理やり、という表現は適切ではないわ」
「そ、そうなの?」
園長友希那の眉が軽く歪む。
「ええそうよ」と母親友希那は即答し、それから何か仰々しい目つきを空中に向ける。
「あれはレイプ。レイプと呼ぶのが正しいわ」
「レイプ……」
母親友希那に続いて園長友希那も呟いた。
彼が引き起こした強姦騒動の、その被害者、つまり湊友希那その人が、己の被害についてようやく正確に自覚する。
純粋無垢そうな友希那の口が、あるいはその奥に備わる喉が、また、思考そのものが、レイプについてようやく意識する。
ただ被害を受けただけのオンナの理解がようやく、それを巻き起こした雄に追いついて呟く。
「私が彼から受けたのは、レイプ」
今、睾丸の中で煮え高ぶってゆく無数の粒たちが唐突に、あの出来事を思い出す。するとどうだろう、何か調子を窺うように、ただ小さかった彼は豪胆な態度をその腰に取り戻す。
「そういうものなのね、あれは……」
友希那の感心している声がまた彼の意識を引っ張り上げる。脳裡にて、あの日の出来事がそのまま鮮明に再現される。
「襲った時の記憶、思い出してしまったのね」
そうした、ちょっとの彼の豹変も察知するのは当然ママだった。
太腿の上、腰を機敏にする彼の頬を母親友希那の素手が撫でてくれる。彼はその手の中にいざ、媚びてゆくように身体を揺らし、そうしていると保育士友希那が納得しているという表情を造る。
「無理もないわ。女性にとって強姦なんて、魂の殺人と呼ばれるくらい酷い出来事だけれど、あなたにとっては、好きな女を強引に従わせた大切な思い出。あれだけ高嶺の花だったのに、性欲で全部塗り替えて、都合のいい立場が決まるだなんて、性欲まみれの雄餓鬼からすればご褒美どころの騒ぎじゃないわ」
「そうね。男として、務めをしっかり果たしたこと、とても素晴らしいと思うわ」
ママの左腕は間もなくして彼の頬を擦り、頭部に上がってよしよしと通り過ぎる。
「あなたが、私の子でよかった」
ああ、まさかお遊戯会の最中に、こうしてたっぷり肯定されるなんて。
そうしてたっぷり褒められて、彼はなんだか恥ずかしくなる。
なんというか、二人きりならいつでもいいのだけれど、今は違う。自らレイプした相手とそれから、愛人の前でそんなふうに、真正面から寵愛を受けてみると、流石にくすぐったい。
彼は小さな緊張感を誤魔化すため股間を酷使する。つい先ほど、友希那たちによって再勃起を果たした竿を、腰を必死に振り続ける。
「あら……」
もう何度も聞いた、何か気をかけるような保育士友希那の囁き声に彼の肩は反応する。
「おちんちんが汚れているわ」
「え――」
声に集まるように二人の視線も鋭くなる。彼はそれでも運動を続けた。この状況で停止など独力では不可能で、すると母親友希那の太腿に陰茎の皮擦れて捲れ、その最もなさけない部分が視えてくる。
「ここの、溝のような部分をよく視て。白いような、黄ばんでいるような、たくさんの汚れがついたままになっているわ」
ああ、そんな……。
そもそも、竿の大きさや色、形がすっぽんぽんと丸裸になったまま、友希那の前に立つこと、それそのものが恥ずかしい。友希那とは憧れの存在であり、好きな人で、男として、そういう人の前では気取っておきたい。
まさか、陰茎の皮の部分に恥垢がぎっしり詰まっており、どうしようもない激臭が伴うこと、そんなことが大きく発覚するなんて一生の恥だし、避けておきたい。
けれど今、そうした彼の事情など、知らないわといわんはかりに皮はずるりと後退し、それが居た部分、つまり亀頭の大部分や首元の溝の位置に垢がびっしり備わっている。つまりチンカスで、普段の彼はそれを必ずママに洗ってもらう。今だって太腿に、必死に亀頭を押し付けて拭おうとしている。
「ママ、友希那ママ……!」
友希那だって女性なのだから、外見ついて美しさ、汚れのないことを意識しているはず。そのこだわりというものは、普段の衣類の様子で窺うことができる。だがそれだけではない。友希那の中のあらゆる着衣ではない箇所、つまり肉体そのものにだって、相応の気遣いというか、ケアのようなものはきっと欠かさない。
この太腿にだって、工夫があるのかもしれない。知らないが、とにかく彼はそこを汚す。男の股間、そのさらに入り組んだ湿った場所の、カス程度で美しさを奪う。
「ママの身体に自分の汚いもの、どうしても擦り付けておきたいのね……」
そうだ、そうして自分の、雄としての存在感を示したい。
肥えた亀頭に貼り付いた、湿った黄ばんだものたちは友希那の太腿に拭き取られている。真白い柔肉の上に雄の醜悪な色が浮かぶ。まさしく、彼による一筆描き披露というもので、彼は全ての恥垢をママに託す。
「――待って」
チンカス掃除を終えようとした時、声を発したのは園長友希那だった。彼女は彼から視て最も遠い位置に腰を下ろして彼を視ている。そんな手厳しい女史の右手が今まさに伸び、彼のものを掴んで押し込んでゆく。
「まだチンカスが残っているわ」
園長友希那の視界からだと、彼が見落とすものもよく視える。そうして少し身体を丸め、彼へ届くように腕を伸ばす友希那は、母親友希那の太腿に彼を使って黄ばんだものを描いてゆく。
その、力加減が喜ばしい。竿の持ち主である彼では行わないような少し余裕のない動きと、それからやはり、自らの芯そのものが、自分ではない人の素手により操られていること、一時的とはいえ主導権を握られているようなこの感覚は、己で己を持つ時と相いれない快感がある。
「それじゃあ、私も」
短い声が響き、それから保育士友希那は右手を持ち上げる。何をするのか、と視ていると先生は指先に唾液を垂らし、その触手は彼の股間に向かう。
普段、たとえば食事時に食べ物をこぼしてしまった際や、口元が汚れた際、外でこけて足を怪我した際、友希那はすかさずタオルを出し、必要な箇所に必要な力加減で当たってくれる。
まさに今も同じで、タオルは必要じゃない。ただ、友希那の細い指先に独特な、友希那の水分が十分に垂れて、そのまま秘部を優しく擦る。するとどうだろう、なんともしつこい恥垢も隅から隅まで、すっかり素直に溶けて、次に友希那の美しい指の腹が全て救い取ってくれる。
「本当に多いわね……」
自分の口元に指を寄越し、こんもり採れたそれを睨んだ友希那は一気に開口して味わった。
大好きな保育士友希那に、おちんちん、カスまみれだってばれちゃった……。
「うう、ママ……」
陰茎が陰茎としての色を取り戻した時、彼は一度停止しママにしがみついた。
ママの腕が背に廻り覆ってくれる。最後に園長に介入されたところをみると、まさしく、仕上げは友希那園長、というもので、それを乗り越えた男児はもう強い。
「よく頑張ったわね」
黄色く散らされた太腿の上で、親子がしかと抱き合っている。
「あなたの頑張りも工夫も、私は全て視ているわ」
ああ嬉しい。こんな卑猥なお遊戯会の最中に、愛しいママから褒められるなんて。
最も安心する抱擁をじっとり堪能していると、互いの脇と脇に、相手の熱気がゆったり攻め込むほど抱き合っていると横から、保育士友希那の声が日差しのように光る。
「まるで、自分がこの子にとっての一番みたいな言い方ね」
「事実を述べているだけよ」
母親の堅実な反論と共に親子の抱擁もほどけてしまう。
「何も、おかしなことなんてないでしょう?」
「いいえ。あなたの認識は少し間違っているわ」
育児という戦いを生き抜いた母親友希那の眼力の前であっても、保育士友希那はその尖った態度を続けている。
「あなたはこの子のママなのでしょう?」
「ええ、だから――」
「性欲盛んな男の子が、美人なママに惚れるなんて当たり前のことじゃないかしら」
「それは……」
「その先で性的な関係に昇華すること、それもまた当たり前のこと。けれど、私は違う」
ママより少し険しい、ママより耀く瞳が今、腰振りを続ける男児を見守る。
「この子から視て、私は他人、それでもこの子は、私に対して恋心を向けてくれた。美人な母親と過ごしていれば、自然と恋心を抱くけれど、全く関係のない私に恋慕を向けるということは、それ相応に、私に熱烈になっていたということ」
「友希那、友希那……」
「この子の心を独占しているのは他でもない。私よ」
大胆な宣言が四人の間に轟く。母親友希那はそれについて驚愕しているが、ここでひとつ、別の友希那が声を上げる。
「彼が、あなたに初恋を奪われたことは理解したわ」
園長友希那の質問が続く。
「けれど実際、あなたたちのどちらが先に、相手に手を出したのかしら」
「私よ」
保育士友希那は素早く答えた。
「そう……」と園長友希那は語尾を溶かし、さらにふふとほほ笑む。
「何がおかしいのよ」
「いえ、ごめんなさい」
と園長友希那は謝るが、それでも何かにこやかな表情は消えず、やがて口元が緩む。
「初恋といえど、あなたから手を出したのなら、つまり、あなたが誘惑したと言っても過言ではないわ」
「なっ――」
「私は違う。私は、この子にレイプされたの」
レイプ、と園長友希那は堂々発言する。その単語をこの人は、つい先ほどまで知らなかったはずだが、まるで最初から知っていたかのような顔が可愛い。
「……あなたたち、彼とデートをしたことはあるのかしら」
明確に友希那たちが返答する前に「私は何度もあるわ」とママは続ける。
「なにせ、普段は親子なのだから。そういう時間を取ることはいくらでもできるの」
「けれどお母さん、あなたは保育園に居る時の彼について何も知らないはずよ」
意気揚々と語る母親友希那に保育士友希那が硬い声を重ねる。
「たとえば食事についてだけれど、私、彼に毎回あーんをしてあげているのよ」
そんな唐突な暴露に驚いたのは彼で、だが先生は恍惚とした顔のまま続ける。
「他の園児も居るし、他の仕事だって、まだまだ残っているけれど、そんなもの全部無視して、むしろ、みせつけるみたいに昼からいちゃついているの」
「そ、そんなもの……」
彼はママの肩を掴んで、腰をママの太腿に擦り付けている。優雅に足を延ばして座るママのすぐ横で、男らしく強張っている。
そういう小さな態度の彼を差し置き、母親友希那はまず女として窮地にあった。
「そ、そんなこと、大したことではないわ――」
固唾を嚥下し、けれど自らにも尊厳というものがあるため、それが虚勢であっても先生へ、この突然現れた別の女へ勢い付くしかない。
「食事を食べさせるなんて、私もやったことがあるわ。それどころか、私が食べさせもらう時もあるくらいよ」
「あなたが?」
「そうよ。ママに恩返しをするって、少し背伸びしている態度にはみどろこがあるわ」
勝ち誇った態度にあるママの横から、彼へ、保育士友希那の顔が伸びてくる。
彼の手元の位置に披露される友希那は絶景だった。あれほど慎ましい美形が前方に軽く突き出され、激しく口元のみが主張してくる。その口というものも、唇部分が窄められており特異にぷっくり膨れている。
「ねぇあなた、今ここでみせつけましょう」
「み、みせつける……?」
保育士友希那は母親友希那の隣に腰を下ろしており、彼との距離もそれなりに近い。
両目を閉じ、顔の中の下部のみを彼へ差し向ける様子にある。表情、と呼べるか怪しいが完全に気を許した様子にあり、唇が待っている。
「私とあなたが、あの雨の日からどれだけ愛を重ねたのか、それを今、お母さんに証明するの」
彼もまた、ママのことを避けるように身体を突き出してゆく。すると先生と男児、この二人は少し切羽詰まった位置で逢い、唇が触れ合うことになる。
そんな様子を母親の友希那は視ている。
「ちょっと――」
完全に目撃されつつ、だが二人、母親を放置する。友希那は勢いよく出てきたため少し頭髪が歪んでおり、彼と繋がったまま蠢くと肩口から束が落ちる。右手がやがて伸び彼は頭部を確保され、友希那は女として彼を求めてゆく。
母親である友希那の、すぐ横というか、目の前の位置にて別に、保育士の友希那と口を交わす。
浮気のように思えるが、これはお遊戯会なのだから遠慮はしない。
いいや、むしろみせつける。
「んふ、友希那……」
これからママが、嫉妬をしちゃうくらい熱烈なちゅーをするっ!
彼は舌先を甘えるように友希那へ差し向けた。友希那もそれを受け入れてくれる。舌先は究極に柔らかく、また唾液によりぬめめっている。口の中で常に蠢いている。重なり合ったとしてもすぐにどこかからほどけてしまうことが愛おしいけれど、少し切ない。そうした欲求が二人の動きを活発に、彼はママの上に竿を置いたまま、先生と、煽情的なキスをする。
「いちゃついているところ悪いけれど、彼はあなただけのものではないのよ」
「あら、レイプ被害者は、その余韻に浸っているのだと思っていたけれど……」
彼から視て、最も遠い位置に腰を置く園長友希那は尖った声を差し込む。もちろん彼がそんな程度で接吻を止めるわけがないし、そもそも保育士友希那が解放してくれない。
「やっぱり、強引にされるだけじゃあ満足できないのかしら」
園長友希那に目を向けているのはママだった。
「そ、そもそも、どうしてあなたが一番彼に近いのよ……」
「どういうことかしら」
「彼のおちんちんを太腿で受け止めているけれど、それについて、私たちは納得していないわ」
「私は納得しているけれど……」と保育士友希那が一度だけ口を離してまた戻ってくる。
「この配置は彼が決めたことよ」
するとママも、保育士友希那に同調して園長友希那を睨んだ。
「私の性的な行方について、彼にだけ決定権がある。だから私たちは、何も言えるはずがない。そのはずよね?」
ママが問いかける相手とは彼だった。先生が口を外し、彼はまだ友希那の唾液で溢れる口を人らしく開く。
「だ、だって先生二人は家の人じゃないし、おちんちん自由に乗せていいのは、流石にママだけかなって……」
彼は正直に告白した。この配置は確かに彼が進言したもので、そこに何の修正も入らず許可された。真意とはこの発言が全てで、するとまずママが背中を撫でてくれる。
「他の人に迷惑をかけないこと、それを徹底しているだなんて、本当にいい子に育ったわね」
また、褒めてもらった。
嬉しさと、それからやっぱりどこか恥ずかしい心地がある。熱に震え、それでもやっぱり、ママの言葉が一番、この身に染みて安心できる。
「えへへ……」
そうして顔を緩ませるが、股間、その部分はそろそろ最終段階へ至っている。
もう、射精をしてしまう……。
そのことについて、彼はもちろん友希那たちも薄っすらと意識していた。彼の竿はこのお遊戯開始から比較すると相当な勃起に発達しており、また彼の腰の動きに関しても、ただ揺れるだけでなく何か求めている。すぐ前に聳える光に向かって一直線、そこに到着するため駆け抜ける様子が男体に現れており、いよいよ熱が、彼から人らしいものを奪ってゆく。
ああ、でも……。
このお遊戯会において、男の絶頂とは終幕を意味する。
つまり、射精により全ての働きが集結する。また、全ての結果が下ることになる。それは詳細にいうと、彼が己の身から飛ばした白色の飛沫、その最先端が触れた女が、彼の手元にやってくる。
射精とは男としての象徴であり、その飛距離とは、男がどこまで駆け抜けてゆけるか、という可能性のこと。そんなものを受け止める女とは男にとってきっと相応しい。このお遊戯会はそういう手筈で、判決がいよいよ迫る。
けれど、射精はもう少し、先がいい……。
それは彼の意識の底、つまり本能の部分で思う欲求だった。
確かに今、長く緩く溜め込んだものを解き放てば男として、浄化されるほど気持ちいい。しかしまだ続いてほしい。終わらないでほしい。
まだ、まだなんだ。まだ、お遊戯会を楽しみたい。
このままこの状況が続いて、それで何か別のものがあるのかなんて彼にはわからない。きっと何もない。だが、友希那たちと目を合わせ、ママの太腿を竿で舐めるという状況が、もうちょっとだけ、続いてほしい。
「もう、出てしまいそうなのね……」
そうした彼の気質について、やはり最初に理解を示してくれるのはママだった。
彼の肩に手を差し向け、汗ばむ身体を保持してくれる。彼は、右手でそんな母親の腰部分を、左手で膝部分を握ってより勇んでゆく。
「大丈夫よ。これが終わってしまっても、まだ、気持ちいいことはたくさん続くわ」
「この一回で終わりだなんて、思わないで」
ママに続き、保育士友希那が声を発する。少し厳しく正論だけれど、ずっと前を向き、光を示してくれる声。
「私たち三人も、傍に居るわ」
さらに園長に到達した友希那も声をかけてくれる。これほど頼りになって、安心する声も他にない。
それから舌を突き出して、正しく並んだ友希那三人に対し彼が通過してゆく。舌先は素早く絡まって、だが絡まるとすぐに彼は、次の友希那へ向かう。前の友希那の唾液を含んだまま、次の友希那の舌にむしゃぶりついて、また次の友希那へ、次の友希那へ、行ったり来たりを繰り返す。
「んふ、友希那……」
さながらハイタッチのように思えるが、今回に関して素手は登場しない。
完全に、舌と舌。唾液と唾液だけのやり取りがある。そういうものが心地いいなと感じる理由としては、やはりこの場の四人、彼と、それから友希那に友希那に友希那の四人の関係性によるところが大きいのかもしれない。
母親友希那から浮き上がるように舌先を伸ばし、すると次、保育士友希那が自主的にそれを奪って二人は絡み合う。
「んむ」
ああそれにしても、なんだか奇妙な関係だと彼は思う。
だってこの友希那たち、一人は実母で、一人は性的に強襲を仕掛けた相手で、そうした二人と、さらに愛人関係にある友希那も連れ込んで四人の友希那で、こんなお遊戯会にまで至るなんて素晴らしい。きっと誰も、彼でさえ予想できなかった。しかし、だからこそこの場、このお遊戯会に高い価値が付属し、とにかくこの四人、肩を並べるだけで嬉しい。
ああ、この四人でお遊戯会ができてよかった、などと彼は次から次に流れて巡る友希那の舌を舐めながら想う。
友希那が実母でよかった。友希那が先生でよかった。友希那を強襲してよかった。
男児として、三人の友希那に行ったこと、三人の友希那とのそれぞれの関係性、その全てが、とにかくよかった。友希那でよかった。
じゃあ、じゃあ最後はやっぱり、やっぱりママと……。
実際、そのように口にしたのかそれとも、目と目で通じ合ったのか、わからないが、彼と母親友希那は触れ合う。遠いところにママをみつけて、一目散に駆け込むように友希那へ抱き着き、もちろん口と口で逢う。すると男児の中にも、ようやく決心が浮く。
白色の一直線が友希那たちを捕獲するかのように太腿に飛び散った。
それは大変なことに三回連続で唸るものだった。そしてたった三度で何も治まらない。
倒れ込むような様子にある彼を、両腕と口で受け止める母親友希那に代わり、保育士友希那が手を忍ばせた。太腿の上、まだまだ漲る竿を優しい手つきが数回撫でて通り過ぎ、彼は頭を上げる。そうして、このお遊戯会が終幕に突入したことを知る。
だが眼前、三人の友希那たちは、己の上に披露された飛沫について目を丸くする。
「これは……」
「この場合……」
「結果はどうなるのかしら」
「ええと、あの……」
一度の射精につき、三回以上の発射を行った彼は均等に白く汚れた友希那たちの太腿を見渡した。
「それじゃあさ、三人とも優勝、とかじゃ駄目かな……」
いやはや、これも男心なのか、それともどこか、乙女チックな独占欲なのか。
やっぱり三人とも、それが友希那であるのなら取っておきたい。
お遊戯会終了後、彼は右手に保育士友希那、左手に園長友希那を並べ、廊下を歩いていた。
両手が塞がっているとはいえ不自由な心地はない。むしろ自分の両手そのもので、友希那を物理的に確かめることができる。
そこに居て、それからその綺麗な素手で、僕を握って。そんな男心を満たしつつ、歩く先を二人に軽く誘導してもらう。こんな、男装も軽々似合ってしまいそうな容姿が左右に二つ、自ら歩いてくれることについては乙女心が深々と湿る。
「欲張りな人ね、本当に……」
保育士友希那が前を向いたまま呟いた。吐息を多く含んだ声で、彼も、園長友希那もその顔を少し視た。
「だって、三人とも大好きなんだもん」
「一人に絞ることはできなかったのかしら」
「できないよ。そんなこと」
「我が儘な子……」
何か迷惑そうな口ぶりにしては、目元に嫌悪感がない。それにどうにも明るいものを含んだ頬がある。
彼は右手を少し引き絞り、友希那の素手に、より深く指が絡まるように画策した。友希那はちらりと覗き、それから手を跳ねのけるわけもなく、むしろ固く結ばれる。
「一人に絞ったのではなく、全員を選ぶ決断をした。それだけよ」
園長友希那が彼の心情を代弁してくれる。男児は先生を強くみつめ、何度か激しく頷いてみせた。
「そういうことにしておくわ」
そうした中で、彼はこの三人の友希那について激しく想う。
だって、こんな下卑た男に付き合わずとも、友希那には他に、いろんな道があった。
友希那は誰が視ても美女だしそのうえで背丈が小さく愛らしい。けれど人として、意志を宿した強かな性格で、だからこそどこにでも歩んでゆくことができる。
そういう、全ての未来、可能性を僕が潰した。華やかな王道も、挫折と挑戦が繰り返される修羅の道さえ雄が、僕という性欲がすり潰した。
そうして全てを断った後、僕がしっかり全ての友希那を独占する。
それについて彼は、もちろん興奮もするがなんだか責任も感じていた。これは友希那を壊している。こんなふうに歪ませた友希那のことを、これからも男としてしっかり、堪能してやらねばならない。
務め、なんてママはいうけれど、それはまだまだ続いている。彼はまたひとつ納得し、それからいよいよ、この送迎もゆくべき場所へ到着するのだと察知する。
「お母さん、しっかり準備しているかしら」
「そういうものを、疎かにする人ではないわ」
「でも、もし困っていたら手伝ってあげたいな」
男児の彼を中心に、三人は横並びのまま廊下を歩く。
だがこの送迎、普段のバスによる送迎ではない。
保育士友希那と園長友希那、二人の友希那の間で二人と共に廊下を歩き、それから母親友希那へ、送り届けてもらえる。
「到着よ」
そんな専用の送迎がついに終わる。個室の扉を園長友希那が開き、保育士友希那が彼の後方にある。両肩のそれぞれに両手が備えられており、彼は入室する。
室内中央に布団が敷かれ、そこにママが居る。
「待っていたわ」
簡素な、しかし湿度のある発言が好ましい。
ママはとっくに全裸で、その平然とある顔と目を合わせると、彼は勝手に、自分が全裸ではないことがおかしなことだと思い込む。
ママは、布団の上にて優雅に座っている。扉を閉めた園長友希那と、それから保育士友希那がた彼の左右につき、肩を、腕を、背そのものを持って三人、布団の中に流れ着く。
「おかえりなさい」
「うん、ママ!」
二人の友希那に支えられ、男児の彼は友希那ママに深く突き進んでゆく。
膣内射精同時起床、彼は、それでも眠り続ける見知った友希那の頬の上、差し込む朝日を舐め取って顔を上げる。
「……思いついた」
それから彼は、本来必須のどんな朝の支度も無視し、机に向かい、執筆中の小説に文章を追加し完成とした。顔を上げ、するとコツコツ、おそらく扉をノックする音が鳴る。だが出入り口を視ると扉は開けられており、そこに友希那が立っている。
「ああ、友希那……」
愛おしい人は空色の、薔薇の模様が巡る長袖パジャマのままだった。
「おはよう」
「ええ。おはよう」
「あの、ありがとう」
座ったまま、少し先に居る友希那に彼は素直に感謝した。
友希那はその眉に不審なものを浮かばせる。
「どういうこと?」
「全部友希那のおかげってこと」
もちろん、なんの納得もいっていない友希那を前に彼は、ああそうだ、今日の朝食はどうしよう、と考えはじめた。