(完結済)元冒険者の俺、入り婿先の義理の娘に逆レイプされてしまう 作:埴輪庭
◆
翌朝、朝食の席で、エレオノーラが俺に書類の束を突きつけた。
「カレンベルク子爵への返書の件ですけれど。あなた、冒頭の時候の辞に『銀嶺に春の息吹を感じる折』とお書きになったそうね」
リュシアンが淹れた紅茶から湯気が立っている。俺はまだ一口も飲んでいなかった。
「ああ、書いたが。季節の挨拶だろう。何か問題が?」
「問題、ですって」
エレオノーラの声に氷が混じった。
「『銀嶺に春の息吹を感じる折』は、同格以上の家に宛てる時候の辞ですのよ。山の頂を仰ぐ比喩は、相手を高みに置く敬意の表明。カレンベルク家は先の内乱でガナッシュ家に助力を仰いだ側、つまり格下ですわ。格下の家への書簡には、もっと平明な言い回し……例えば『野に若草の萌す季節』のような、視線が地に向く表現を使うのが慣わしです」
知らなかった。
文面の意味は通じている。季節の挨拶として何の問題もない。だがたった一節の比喩の視線が上を向いているか下を向いているかで、貴族同士の序列が暗に示されるのだ。山の頂を仰ぐのは敬意、野の草を見下ろすのは優位。こういう暗黙の修辞が無数にある。十年経っても、俺にはその厚い壁を越えることができなかった。
「……すまない。書き直す」
「当然よ。リュシアンに正しい文面を用意させてありますから、それを写しなさいな」
清書すら俺にはさせてもらえない。エレオノーラがカップをソーサーに戻す仕草は優雅だったが、俺を見る目には明らかな軽蔑が滲んでいた。
「十年もこの家にいらして、時候の辞の一つも満足にお書きになれないのね。まああなたは手紙より剣の方がお得意ですものね」
リュシアンが傍らで黙って控えている。その端正な顔には何の表情も浮かんでいないが、俺にはわかる。あの碧い目の奥で、こいつは笑っているのだ。
反論しようとした。だが何を言えばいい。
「……わかった。もう一度確認する」
「ええ、そうなさって。それと」
エレオノーラが立ち上がりながら、まるで思い出したかのように付け加えた。
「来週のカレンベルク子爵の晩餐会ですけれど、あなたは欠席なさってくださいな」
「欠席? 当主の俺が?」
「体調不良とでもお伝えしておきますわ。前回の晩餐会であなたがフォークの使い方を間違えた件、まだ社交界で笑い話になっているの。ご存知?」
知らなかった。
いや、そんなことがあっただろうか。確かにフォークを外側から取るのか内側から取るのか、未だに迷うことはある。だが笑い話にされるほどのことだったのか。
「ガナッシュ家の恥を重ねられては困りますの。お分かりになって?」
返す言葉がなかった。
エレオノーラは俺の返答を待つことすらせず、リュシアンを従えて居間を出た。扉が閉まる直前、リュシアンが一礼する。その完璧な礼の中に、俺への哀れみとも嘲笑ともつかない何かが含まれていた。
一人残された食卓で、俺は冷めかけた紅茶を飲んだ。
(十年か)
十年間、こういう朝が繰り返されてきたのだ。
最初の頃はもう少しましだった気がする。少なくとも「一緒に頑張りましょう」くらいの社交辞令はあった。だがトリシャの事件以降、エレオノーラの俺に対する態度は目に見えて冷え込んだ。いや、冷え込んだというよりも、隠す必要がなくなったのだ。元々こう思っていたのだろう。
女一人に言い返せない自分が情けなかった。
◇◇◇
離れの館の扉を叩いたのは、昼を少し回った頃だった。
セバスチャンが応対に出てくる。
「旦那様。いらっしゃいませ」
「ああ……トリシャは?」
「お嬢様でしたら寝室に。少々お加減が優れないようでして」
加減が優れない──その言葉に引っかかりを覚えながら、寝室に向かう。
◆
トリシャは横になっていた。いつもは俺を見るなり飛び起きて出迎えてくれるのだが、今日は少しだけ顔色が悪い。
「お父様……ごめんなさい。今日はちょっと、月のものが来てしまって」
「そ、そうか。なら無理をするな。俺はまた出直す」
帰ろうとした。これは好都合だと思った。帰るべきだ。トリシャと二人きりになるべきではない。前回も、その前も、結局俺は自制できなかった。今日は彼女の体調が悪いのだから、それを理由に立ち去れる。
「待ってください」
トリシャが俺の袖を掴んだ。
柔らかい、細い指。それだけで心臓が跳ねるのを感じて、俺は自分自身に嫌気がさした。
「お父様、どうかお側にいてくださいまし。お顔を見ていたら、何だか……辛そうでしたから」
見抜かれていた。
エレオノーラに朝から叩きのめされた苛立ちと、自分の無力さへの嫌悪と、それでもこの館に来てしまう情けなさと。そういった泥のような感情が、顔に出ていたのだろう。
「辛くなんかない。大丈夫だ」
「嘘ですわ」
トリシャが身体を起こし、ソファに座った俺の隣に身を寄せた。甘い香りが鼻腔に忍び込む。途端に、思考がぼんやりと霞んでいく。
「お父様はいつもそう。辛い時ほど大丈夫と仰る。でもわたくしにはわかりますの」
トリシャの手が俺の手に重なった。
「せめてわたくしの前では、無理をなさらないで。わたくし、今日は身体の方はお役に立てませんけれど……お口でなら」
「な……何を言って」
「嫌ですか?」
碧い瞳が潤んで俺を見上げている。蝋燭の灯りを映した宝石のような瞳だ。その眼差しに射抜かれると、抵抗する気力が溶けていく。
(だめだ。駄目に決まっている)
頭ではわかっている。だが身体がまるで言うことを聞かない。トリシャの指が俺のズボンのベルトに触れた時、払いのけようと思った手は、なぜか力が入らなかった。
「お父様。任せてくださいまし」
トリシャが俺の前に膝をついた。
白いワンピースがソファの前の絨毯の上に広がる。見上げてくる碧い目が、甘えるような、それでいて確信に満ちた光を湛えている。
ベルトが外された。ズボンの前を開かれ、下着の中から俺のモノが引き出される。まだ完全には勃起していなかったが、トリシャの細い指が根元を包んだ瞬間、みるみる硬さを増していった。
「もう、こんなに大きくなって……お父様ったら」
くすりと笑う。その吐息が亀頭にかかり、背筋がぞくりと震えた。
トリシャの舌が、先端にちろりと触れた。
ぴちゃ。
小さな水音。舌先が鈴口を掠めるだけの、最小限の接触。それだけで腰がびくりと跳ねた。
「ふふ……感じていますのね、お父様」
トリシャの舌が亀頭の周りをゆっくりとなぞり始めた。まるで飴玉を舐め回すように、丁寧に、執拗に。カリの裏側に舌先が触れた時、俺は声を噛み殺した。
「あっ……」
「ここ、弱いんですわね」
その場所を集中的に攻められる。舌先がちろちろとカリの裏を往復し、時折ぺろりと広い面で舐め上げる。温かく湿った感触と、ぬるりとした唾液の滑りが竿全体に広がっていく。
「んっ……んちゅ……」
トリシャが亀頭を口に含んだ。
柔らかな唇が傘の部分を包み込み、口内の熱が亀頭全体を覆う。舌が内側からねっとりと絡みつき、亀頭を口の中で転がすように舐め回す。唾液がたっぷりと分泌されて、ぐちゅ、ぐちゅ、と粘り気のある音が立ち始めた。
「くっ……トリシャ……」
俺は無意識にトリシャの頭に手を伸ばしていた。金色の絹のような髪が指の間をすり抜ける。押し付けようとしたわけではない。ただ、縋るものがほしかったのだ。
トリシャはゆっくりと口を沈めていった。
亀頭から竿の中ほどまで、温かい口腔がずるりと飲み込んでいく。頬の内側の粘膜が竿の側面に密着し、舌が下側を這うように擦り上げる。
「ん、んぶっ……じゅる……」
奥まで咥え込んだまま、トリシャが吸い始めた。その卑猥な姿に、腰の奥がじんと痺れてくる。
「ぐっ……すごい……吸うな、そんなに」
聞こえていないのか、それとも聞いた上で従わないのか。
トリシャの頭が上下に動き始めた。ゆっくりとした、だが深い動き。先端が喉の奥に触れるたびに反射的にえずきそうになるのを堪えながら、それでも吐き出そうとしない。
「んぐ……ん……じゅぶ、じゅぶぶ」
唾液が竿を伝って根元まで垂れ落ちていく。トリシャの唇の端からも透明な涎が溢れ、顎から首筋を伝い、白いワンピースの胸元に細い筋を残した。
その光景が倒錯的に美しかった。
月の光のような金髪を乱しながら、良家の令嬢が膝をついて俺のモノをしゃぶっている。涙と涎で顔を濡らしながら、それでも顔を上げて俺を見つめてくる碧い瞳。
「お父様……気持ちいいですか……?」
一瞬口を離して聞いてくる。唾液の糸が唇と亀頭の間に架かり、ぷつりと切れて彼女の顎に垂れた。
「……ああ」
認めるしかなかった。
トリシャは嬉しそうに微笑んで、再び口を開けた。今度は先端だけを唇で挟み、ちゅぱちゅぱと吸い立てながら舌先で鈴口を重点的にほじくる。先走り液が滲み出すと、それを舌で絡め取って味わうように口の中で転がした。
「んっ……お父様の味……♡」
片手が俺の睾丸に伸びた。柔らかい指先が袋を優しく包み、中の玉をころころと転がす。口では亀頭を吸いながら、手では睾丸を揉む。上と下から同時に刺激されて、快楽が腹の底から一気にせり上がってくる。
「やば……トリシャ、出る……離せ」
「んーん」
首を横に振る。唇は俺のモノに吸い付いたまま離れない。それどころか頬の吸引をさらに強め、舌の動きを激しくした。ぢゅるるる、と竿全体を舐め上げながら、根元から先端まで一気に口を滑らせ、そのまま喉奥まで飲み込む。
「くぁっ……!」
限界だった。
腰が跳ね上がり、精液がトリシャの口内に噴き出した。
脈打つように連続して射精が続く。口の中を満たしていく白濁の感触が、亀頭を通じてはっきりと伝わってくる。
トリシャは一滴も零さなかった。
口をぴったりと竿に密着させたまま、喉を鳴らして精液を嚥下していく。ごくん、ごくん、と聞こえる嚥下音が静かな部屋に響いた。
「ん……んくっ……こくっ……」
射精が収まっても、トリシャはしばらく口を離さなかった。萎え始めた俺のモノをちゅうちゅうと吸い、最後の一滴まで搾り取るように舌で鈴口をなぶってから、ようやくぷはっと口を離す。
「ごちそうさまでした、お父様」
唇の端についた白い雫を舌で掬い取りながら、トリシャは満足げに微笑んだ。
俺はソファの背に頭を預けたまま、荒い呼吸を整えることしかできなかった。
朝の屈辱は消えていなかった。エレオノーラの冷たい眼差しも、リュシアンの嘲笑も、自分の無能さへの嫌悪も。何一つ解決していない。
だがトリシャの温かい口の中に射精した後では、そのすべてが霧の彼方に霞んでいるのだ。
嗚呼、頭に甘い香りがまとわりつく。
甘い、甘い香りが。