※この作品はR-18です。

The Sky Blessing ~R-18 Edition~   作:ella_coat

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短編集にするつもりでしたが、前回と繋がりがあります。


兎の好奇心は留まらず

 交易島の拠点として貸し与えられた家屋、そのリビング。昼下がりの静かな時間が、開かれた窓から差し込む穏やかな日差しと共に、ゆったりと流れ込んでいた。

 エクアルは、そのリビングの中央に置かれたテーブルで、交易島の書庫から借りてきた羊皮紙の分厚い魔法書と、自分用のメモ帳を広げていた。空島世界の独特なマナの流れ、その性質について、故郷で学んだ魔法理論と比較し、熱心にペンを走らせている。

 彼女の艶やかな黒髪がさらりと肩からこぼれ、真剣な眼差しで古びた文字を追う横顔を縁取っていた。その黒いウサ耳が、わずかな物音にも反応せず、高い集中力でピンと立っている。

 

(戦いの傷は塞がってきたけれど、まだ万全じゃない)

 

 先の激戦で負った傷は、エクアル自身の回復魔法と、数日間の安静によって、日常生活には支障がないレベルまで癒えてはいた。だが……まだ完治には程遠い。少し無理をすれば、脇腹のあたりが鈍く、引き攣るように痛む。

 

(この世界のマナは、私たちの故郷のものとは根本的に性質が違う……。気まぐれで、扱うには今までとは違った『慣れ』が必要。この世界で戦い抜くには、このマナへの理解をもっと深めないと……)

 

 彼女は大切な仲間たち――アキシャとラビリアを守るため、そしてこの世界の歪みを正すという使命のため、この安静期間を決して無駄にはしまいと一心に勉強に打ち込んでいた。

 

 その静寂を突き破るように、突如、バタン!と寝室の扉が勢いよく開き、アキシャが飛び出してきた。その身体にはまだ真新しい包帯が痛々しく巻かれているというのに、その表情は退屈から解放された喜びに満ち溢れていた。

 

「うおおお! もう我慢ならねぇ! ベッドでじっとしてたら身体が訛っちまう!」

「あ、こらアキシャ! まだ完治してないって、エクアルに怒られるよー!」

 

 アキシャを追って、ラビリアも寝室からひょっこりと顔を出す。彼女もまた、先の戦闘で負傷した腕に包帯を巻いているが、アキシャほどの重傷ではない。いつものベージュのロングコートは羽織っておらず、白いブラウスと灰色のスカートというラフな格好だ。その姿は、普段よりも少しだけ無防備で、家庭的な雰囲気を漂わせている。

 

 エクアルはやかましい姉の登場に集中を削がれ、持っていたペンをカタリと置くと、呆れたようにこめかみを押さえながら顔を上げた。

 

「……お姉ちゃん。まだ安静にしていないとダメだって言ったでしょ? その傷で訓練なんて、無茶よ」

「うるせぇ! 傷はもうほとんど治った! ちょっと近所の島で暴れてくるぜ!」

 

 アキシャはエクアルとラビリアの静止を全く聞く耳持たず、玄関の扉を蹴破らんばかりの勢いで外へ飛び出していく。その背中は、檻から放たれた猛獣そのものだった。

 

(はぁ……私やラヴィですらまだ完治してないのに、お姉ちゃんのあの重傷が治っている訳がないわ。……でも、どうせ止めても無駄ね)

 

 エクアルは、いつものことだと深いため息をつき、諦めて再び勉強に視線を戻そうとした。

 

「まぁ、アキシャらしいし、いっかー」

 

 ラビリアが、アキシャが消えていった玄関の方を見送りながら、くすりと楽しそうに笑う。

 その笑みはアキシャの行動をただ単に「仕方ない」と窘めるものではなかった。どこか共犯者のような、あるいはアキシャの全てを理解し、受け入れているかのような……以前の二人にはなかった「垣根を超えた」親密さを帯びているように、エクアルの目には映った。

 

 数日前には見られなかったラビリアのそんな表情を見た瞬間、エクアルの脳裏に、あの光景が鮮烈にフラッシュバックした。

 

 あの夕方、書庫での調査を終えて拠点に帰ってきた時。いつもならリビングにいるはずの二人の姿が見えず、不思議に思って寝室を覗こうとした、その時――わずかに開いた扉の隙間から偶然見てしまった、あの光景。

 ベッドの上で重なり合い、互いの肌を求め合うアキシャとラビリア。アキシャの戦闘中とは違った、熱っぽい眼差しと荒い息遣い。そしてアキシャの指によって……普段はマイペースで、何を考えているか分からないあのラビリアが、聞いたこともないほど甘い声で喘ぎ、快感に蕩けきった表情で絶頂していた姿。

 

「……っ!」

 

 思い出しただけで、エクアルの頬が、カッと一瞬で赤く染まる。手の中のペンが、カタリとテーブルに落ちた。

 

「ん? エクアル、どうしたの? 顔、赤いよー?」

 

 ラビリアがエクアルの異変に気づき、テーブルの向かい側に座りながら、不思議そうに顔を覗き込んできた。その眠たげなピンク色の瞳は、何も知らないかのように澄んでいる。

 

「な、なんでもないわ! それより、ラヴィもお姉ちゃんを止めなくていいの? また怪我が酷くなったら……」

 

 エクアルは慌ててペンを拾い上げ、意味もなくメモ帳に視線を落とす。しかしその声は上ずり、動揺はラビリアには隠しきれていなかった。

 

(どうしよう……。集中しなきゃいけないのに、ふとした瞬間に、思い出してしまう)

 

 エクアルは内心、激しく葛藤していた。ペンを握る指先に、無意識に力が入る。

 ここ数日、ずっとそうだ。勉強に集中しようとしても、ふとしたきっかけ――例えば、今のようにラビリアの何気ない笑みを見ただけで、瞼の裏に焼き付いたあの夕方の光景が蘇ってくる。

 

(お姉ちゃんとラヴィが、あんな関係になっていたなんて……。確かに仲が良いとは思っていたけど、予想外だったわ)

 

 だが不思議なことに、その光景を思い返しても、嫉妬や嫌悪感といったどろりとした感情は湧いてこなかった。姉を取られたというような、独占欲にも似た感情もなかった。

 むしろ……脳裏に蘇るのは、快感に理性を手放し、見たこともないほど無防備に身をよじり、蕩けていたラビリアの姿。

 そしてそんなラビリアを、まるで宝物でも扱うかのように、普段の豪快で無茶苦茶な態度からは考えられないほど真剣な眼差しで見つめ、触れていたアキシャの姿。

 

(二人とも、すごく気持ちよさそうで……。ラヴィとお姉ちゃんの、あの顔。……お互いを、あんな風に求め合えるなんて)

 

 そこにあったのは、純粋な未知への好奇心と――

 

(……羨ましい、と思ってしまった)

 

 ――純粋な憧れ。

 自分だけが知らない、秘密の快感。自分だけが蚊帳の外のような、チリチリとした疎外感。それが、エクアルの冷静な思考を静かにかき乱していた。

 

 エクアル自身、性的な知識は書物を通してある程度は知っていた。生物として、ごく当然の行為。だが、それはあくまでインクの染みでしかない、無機質な知識だった。

 あんなに熱を帯びて、息遣いまで伝わってくるような生々しい「快感」を、自分が知る機会など、これまで全くなかった。

 

(あの快感を、私も知ってみたい)

 

 そんな考えがよぎった瞬間、自分の思考に驚いて、エクアルは首を振る。

 

(ううん、ダメよ私。二人は特別な関係になったんだから、私が邪魔をしちゃ……。二人の幸せを応援するべきよ。私は、妹なんだから)

 

 そう理性が告げる。しかし一度芽生えた好奇心は、身体の奥で消えない熱となって燻り続けていた。

 

(でも……。でも、ラヴィは、お姉ちゃんは、私をどう思ってるんだろう……?)

 

 エクアルはペンを強く握りしめ、意を決したように顔を上げた。頬はまだ熱いままだった。

 

「……ねぇ、ラヴィ」

「んー、なあにー?」

 

 エクアルの向かいの椅子に座っていたラビリアは、テーブルに肘をつきながら、いつもの調子で答えた。そのマイペースな態度は、エクアルの緊張とは対照的だった。

 

「ラヴィは……お姉ちゃんのこと、どう思ってるの?」

 

 ラビリアはテーブルの木目を無意識に指でなぞっていたが……その唐突で核心を突くようなエクアルの問いに、手を止めた。そして一瞬きょとんとした顔をし、少し考えるそぶりを見せた。

 

「どうって……アキシャは背中を任せられる、一番信頼してる相棒の一人、かなー」

 

 全てを見透かすようなピンク色の瞳で、エクアルの真剣な表情を探りながら、ラビリアは当たり障りのない答えを返す。

 

「……それだけ? お姉ちゃんは、ラヴィにとって……『特別』な存在なの?」

 

 エクアルはさらに踏み込んだ。そのいつになく真剣な眼差し。紅潮した頬と、テーブルの下で固く握りしめられた拳。そして、わずかに潤んだ琥珀の瞳が、ラビリアを真っ直ぐに見つめている。

 その尋常ではないエクアルの様子を見て、ラビリアはようやくエクアルの質問の真意を悟った。

 

(あ……。もしかして、この前のアキシャとの……。見られた……?)

 

 ラビリアがどう答えようか迷っていると、エクアルが先に口を開いた。

 もう後戻りはできない。真実を告げることへの恐怖と、それを遥かに上回る、押さえきれない好奇心。相反する感情に唇を噛みしめながら、エクアルは絞り出すように言った。その声は、恥ずかしさと罪悪感でか細く震えていた。

 

「……ごめんなさい。私、見ちゃったの」

「……!」

 

 ラビリアの目がわずかに見開かれる。その反応は驚きというよりも「やはり」という納得の色を帯びていた。

 

「数日前の夕方……書庫での調査を終えて拠点に帰ってきた時。……お姉ちゃんと、ラヴィが……その……愛し合ってるところを、偶然、窓から……」

 

 エクアルは告白すると同時に、羞恥で再び顔を伏せてしまう。自分の声が、静かな部屋の中でやけに大きく響くように感じた。

 

「……私、どうしたらいいか分からなくて。二人はそういう関係になったんだって……。妹として、二人を静かに応援するべきなのか……。それとも……」

 

 声を震わせ、その琥珀の瞳を潤ませながら、エクアルは顔を上げた。向かい側でラビリアが、ただ黙って自分の言葉の続きを待っている。

 

「……それとも、私の正直な気持ちを……伝えるべきなのか……」

 

 エクアルは再び俯き、消え入りそうな小声で、最後の言葉を紡いだ。

 

「……羨ましい、って。私も……してみたい、って……思っちゃったの」

 

(こんなに可愛いエクアル……初めて、見たかも)

 

 エクアルのあまりの純粋さと、恥じらいながらも正直に打ち明けた勇気に、ラビリアは胸が締め付けられるような愛おしさに支配されそうになる。いつも冷静で、理知的で、時には自分たちを厳しく叱る「超」が付くほど真面目なエクアルが……未知の領域への純粋な好奇心で、頬を染めて震えている。

 そのギャップが……ラビリアの奥深くに眠っている欲望を強く刺激してしまった。姉のアキシャとは違う、この壊れそうなほど繊細なウサギを、自分色に染めてみたい……と。

 

「……そっか。……じゃあ、する?」

 

 ラビリアは悪戯っぽく笑いながら、いつもの口調を崩さず、自然な流れでそう提案した。

 

「えっ!?」

 

 エクアルが勢いよく顔を上げる。その目は驚きと、期待と、不安とで大きく揺れていた。

 

「で、でも……お姉ちゃん、怒らない、かな? 私なんかが……」

 

 エクアルにとって、それこそが最も大きな懸念だった。姉と幼馴染の間に生まれた特別な関係に、自分が割り込む形になる。お姉ちゃんに嫌われたくない、軽蔑されたくない。その恐れが、好奇心にブレーキをかける。

 

「アキシャは怒らないと思うよー。むしろ、エクアルを仲間外れにしちゃったって、きっと謝るんじゃないかな」

 

 ラビリアは優しい笑みを浮かべながら、続けた。

 

「多分……アキシャは、私のことだけじゃなくて、エクアルのことも、同じくらい大切に思ってるよ。……そして私も、アキシャとエクアルが、同じくらい大切で……愛してる」

 

 ラビリアの言葉には、何の嘘も偽りも感じられなかった。眠たげな色が取れた真っ直ぐなピンク色の瞳が、エクアルの心の奥にある不安を、優しく溶かしていく。ラビリア自身も分かっていた、ここでエクアルを拒絶してはならないと。彼女を突き放したらきっと、アキシャにぶっ飛ばされるだろうし……何より自分が後悔することになると。

 

 ラビリアに見つめられて、エクアルは顔を真っ赤にしながらも、逡巡の末、決意を固めた。

 

「……じゃあ、したい。……私にも、教えて?」

 

 

※※※

 

 

 リビンクから寝室へと、エクアルとラビリアは場所を移した。アキシャが嵐のように飛び出していったため、拠点には二人だけの状態……。先ほどまでアキシャが療養のために寝ていたベッドには、まだ彼女の残り香が微かに残っているようだった。

 ラビリアはエクアルの手を引き、部屋の奥まった隅にある、彼女自身のベッドへと導く。その足取りは彼女らしいマイペースさ溢れるものだったが、エクアルの緊張を解きほぐすかのように穏やかで、しかし迷いのないものだった。

 

 そして二人はラビリアのベッドの上に、向かい合うようにして座る。ラビリアはすでにコートや靴下を脱いでおり、ラフな格好をしていたが、エクアルはそうではなかった。ラビリアに促されるまま、エクアルも羽織っていた自身のコートを脱ぎ、魔道具のアクセサリーを外し、靴下を脱いだ。

 

「……ラヴィ。私、こういうの、本当に初めてだから……。その、本で読んだ知識しかないから……」

 

 エクアルは緊張で声が上ずり、自分の青いスカートの裾を、皺になるほど固く握りしめている。ラビリアに身体を委ねることを決めたものの……いざその瞬間が訪れると、未知の体験への不安と、それ以上の恥ずかしさが押し寄せてきて、心臓が早鐘のように鳴り響いていた。

 

「だから……その、優しく……お願い」

「ん、分かってるよー。大丈夫、痛いことはしないから」

 

 ラビリアはエクアルの緊張をほぐすように、その艶やかな黒髪を優しく撫でた。その手つきは、まるで壊れ物を扱うかのように柔らかかった。何度か彼女の黒髪を梳いた後、ラビリアはエクアルの顎にそっと指を添え、戸惑う彼女の顔を上向かせた。間近で見るラビリアのピンク色の瞳は、いつもの眠たげな光ではなく、エクアルに対する深い慈しみのような熱を帯びていた。

 

「まず……キス、しよっか」

 

 エクアルが潤んだ瞳のまま、こくりと小さく頷く。

 それと同時に、ラビリアの顔がゆっくりと近づき、その唇が重ねられる。触れるだけの、まるで羽根のように優しいキス。初めての感覚だったのか、エクアルの身体がピクリと震える。しかしラビリアの唇から伝わる温もりと、先ほどの告白を真正面から受け入れてくれたという安心感に、強張っていた身体の力が、徐々に抜けていく。

 

 しばらくの間、お互いの温もりを確かめあった後、ラビリアはゆっくりと唇を離す。そして、今度はエクアルの着ている白いブラウスの、胸元にある小さなボタンにゆっくりと手をかける。

 

「あ……」

 

 エクアルが小さく息を漏らす。

 一つ、また一つと、ラビリアの綺麗な指先が器用にボタンを外していく。エクアルはされるがまま、恥ずかしそうに目を伏せている。その指先が時折、ボタンの隙間から素肌に触れ、そのたびにエクアルは小さく身じろぎした。

 やがてブラウスが両肩から滑り落ち、エクアルの滑らかな白い肌と、彼女の清楚なイメージにぴったりの、可愛らしい水色の下着が露わになる。

 

 それは淡い空色を基調とした、清潔感のあるコットン地だった。派手な装飾は一切ないが、二つの膨らみの谷間には、小さな白いリボンが慎ましく結ばれている。縁には控えめな白いフリルがあしらわれ、まるで少女の夢そのものを形にしたかのような、エクアルの純粋さと、秘められた可愛らしさを象徴するデザインだった。

 

「エクアル、後ろ向いて?」

 

 ラビリアが優しく促す。エクアルが言われるがままに戸惑いながら背を向けると、ラビリアはエクアルを後ろから優しく抱きしめる体勢になった。エクアルの背中に、ラビリアの胸の柔らかな感触と、トクン、トクンという少しだけ早い心臓の鼓動が伝わってくる。

 

 ラビリアの両手が、エクアルの胸元に回り込む。そして背後から来たラビリアの指先が、エクアルの胸のすぐ下の、柔らかい素肌にそっと触れた。

 

「っ……!」

 

 エクアルの身体が、その予期せぬ接触にピクリと強張る。

 ラビリアは構わず、その淡い水色の布地の上から、エクアルの胸の膨らみを、両手でそっと包み込む。手のひら全体で、その柔らかな感触と、ブラ越しに伝わるエクアルの確かな熱を確かめるように、揉み始めた。その手つきは優しくて、どこまでも柔らかく、エクアルの緊張を解きほぐそうとするかのようだった。

 

「んっ……。ふぅ……」

 

 エクアルの息が、詰まったように小さく漏れる。背中がわずかに震え、呼吸が徐々に荒くなっていく。

 身近な人とはいえ、初めて他人に胸を触れられる……そんな初めての感覚。程よい羞恥と、まだぼんやりとした輪郭しかない未知の快感が入り混じり、エクアルの冷静な思考は白く塗りつぶされていく。

 

(エクアル、私とあんまり変わらないくらいだけど……すごく柔らかい)

 

 ラビリアはその手のひらに伝わる、少女特有の弾力のある柔らかな感触にそう思った。自分よりも可憐で、守ってあげたくなるような、繊細な感触だ。

 

(いつもはあんなにしっかりしてるのに、今はこんなに無防備で……可愛い)

 

 その無防備で従順な姿に、アキシャにした時と同じ、抗いがたい悪戯心が疼き出すのをラビリアは感じた。

 この冷静沈着で、常に真面目で皆を導こうとする幼馴染が、自分によってどう乱れ、どう変わっていくのか。その過程を……この目で見届けたかった。姉のアキシャとは違う、エクアルだけの、エクアルだからこその反応を引き出してみたい。

 

 ラビリアは膨れ上がるその悪戯心を隠すように小さく笑うと、彼女の肌をなぞりながら、片手をゆっくりとエクアルの背中へと動かす。

 エクアルの滑らかな背中の肌を、ラビリアの指先がゆっくりと這い、やがてその中央にあるブラのホックへと、そっと指をかけた。

 

「ひゃっ!? ら、ラヴィ……?」

 

 エクアルが、背後で何が行われようとしているのかを察知し、驚きの声を上げる。ラビリアはその小さなホックを器用に外すと、そのままブラを身体の前方へと抜き取り、ベッドの脇へと置いた。

 

「あ……っ」

 

 エクアルはいきなり胸が解放され、空気に晒される感覚に、羞恥心で思わず身体を縮こまらせる。両腕で胸元を隠そうとするが、ラビリアがそれを優しく制した。

 

(一緒にお風呂に入る時とかは、お姉ちゃんやラヴィがいても、なんとも思わないのに……。は、恥ずかしい)

 

 シチュエーションが違うだけで、ここまで感覚が変わるものかと、エクアルは自分自身の反応に驚いていた。裸を見られることと、裸に「触れられる」ことを意識するのでは、天と地ほどの差があった。

 

 ラビリアはエクアルのその新鮮な反応を楽しみつつ、今度はその露わになった素肌の胸を直接、手のひらで柔らかく包み込むように揉み始めた。エクアルの肌は、緊張と興奮でほんのりと熱を帯びており、ラビリアの少しひんやりとした手のひらに吸い付くようだった。

 

 しかしラビリアはわざと、すでに硬く期待に震えている胸の突起には触れようとしない。指先はその敏感な場所を巧みに避け、その周りの柔らかい膨らみの部分だけを、円を描くようにゆっくりとなぞり続けた。

 肌と肌が直接触れ合う感触は、先ほどの下着越しとは比べ物にならないほど鮮明だった。ラビリアの指が動くたび、まるで微弱な電気が流れるかのように、エクアルの背筋にぞくぞくとした甘美な感覚が走り抜ける。

 

「ん、ふ……ぁ……。ん……」

 

 エクアルは、漏れそうになる声を必死に噛み殺そうとするが、吐息だけが熱っぽく唇の隙間からこぼれ落ちた。

 

(気持ちいい……。すごく、気持ちいい、けど……)

 

 エクアルは、未知の快感に戸惑いながらも、次第にもどかしさを覚え始めていた。

 快感は与えられるのに、一番感じたいと身体が訴えている部分を、的確に、意地悪く避けられている感覚。身体はどんどん熱を帯びてきているのに、その熱の行き場がない。まるで、喉がカラカラに渇いているのに、唇を濡らすことしか許されないような、そんなじれったさだった。

 

 ラビリアはいつまで経っても、その先端に触れてくれない。そのじらされるようなもどかしさで、エクアルの頭の中は支配されそうになっていく。本で読んだ知識では、あそこが一番敏感なはずなのに。

 

「……ねぇ、ラヴィ……。そこじゃ、なくて……」

 

 エクアルはついに恥ずかしさに耐えながら、か細い声でそう呟いた。

 

「んー?」

 

 ラビリアは、わざとエクアルの黒の耳の根本に口を寄せた。彼女の熱い吐息がかかる距離で、優しく囁く。

 

「どこを触って欲しいのー? ちゃんと教えてくれないと、私、分からないよー?」

「……っ! ひゃぅ……!」

 

 エクアルは胸への焦らしと、耳への予期せぬ刺激に、身体をビクリと大きく震わせた。こんなにも感じてしまうものなのかと……エクアル自身、自分の反応に戸惑うばかりだ。

 

(うぅ……! ラヴィのいじわる……!)

 

 エクアルは、羞恥心で顔から火が出そうになりながら、ごくごく小さな声で、まるで蚊の鳴くように呟いた。

 

「…………くびを、さわって……」

「んー? ごめん、エクアル。声が小さくて聞こえないよー?」

 

 ラビリアは明らかにわざと聞き返している。その声は、この状況を心から楽しんでいることを隠そうともしていなかった。

 

「……うぅ! だから……!」

 

 エクアルは観念し、顔を真っ赤にしながら、先ほどよりも少しだけ大きな声で懇願するように言った。

 

「乳首を……触って欲しいの!」

「ん、仕方ないなー」

 

 ラビリアは満足そうにそう言うと、ようやくエクアルの胸の先端の突起に、その意地悪な指先でそっと触れた。

 

「ひゃぅっ!」

 

 エクアルの身体が、待ち望んでいた刺激で弾かれたように反応する。ラビリアはその硬くなった突起を指先でつまみ、まるで小さな果実を確かめるかのように、転がすように弄ったり、軽く弾いたりして刺激し始めた。

 

「あっ、ん、ふ……! ぁ、だめ……っ! そんな、に……! ぁん……!」

 

 エクアルの口から、自分でも驚くほど甘く、切なげな嬌声が、途切れ途切れに漏れ始める。背後からラビリアに抱きしめられ、胸を弄ばれるという体勢が、羞恥と快感を増幅させていた。

 

(……いつも冷静で、私たちを叱ってばっかりのエクアルでも、こんな声出すんだ……。可愛い……)

 

 ラビリアは、その初々しい反応が愛おしくてたまらなかった。

 

(これは、いじめがいがあるなー)

 

 ラビリアはエクアルの胸を片手で弄びながら、もう片方の手を、エクアルの腰から滑らかな太ももへとゆっくりと滑らせた。青いスカートの裾に指がかかる。エクアルの身体が、その新たな手の動きにビクリと震えた。そんなことを気にする様子もなく、ラビリアはスカートの裾をゆっくりとめくり上げ、その内側に隠されていた領域へと指を進める。

 

 エクアルの履く、青色のスカート。その下に隠されていた、ブラと同じ淡い水色の下着が露わになる。

 その下着はブラと同じく、清楚な白いフリルがあしらわれていた。そしてその見た目とは裏腹に、エクアルの秘部を覆うその中央部分が、胸への愛撫による興奮からか、すでにじっとりと愛の蜜で湿り、淡い水色が濃く変色してしまっていた。その濡れ方はエクアルがどれほど感じているかを雄弁に物語っていた。

 

 ラビリアはその背徳的な光景に、満足そうに目を細めると、その様子をエクアルの潤んだ瞳に映すように、あえて見つめながら言った。

 

「……エクアル。見て。もう、こんなに濡れてるねー」

 

 ラビリアが、その湿った部分を下着の上から、指の腹でゆっくりとなぞる。布越しに伝わる、確かな熱と、その中心にある小さな膨らみ。指先にじわりと染み込むエクアルの湿り気が、ラビリアの指を濡らしていく。

 

「ひゃああっ!? み、見ないで……! 触ら、ないで……!」

 

 自分の興奮を視覚と触覚で同時に突きつけられ、エクアルは悲鳴のような嬌声を上げた。恥ずかしさのあまりラビリアから目を逸らし、顔を覆おうとするが、ラビリアはそれを許さなかった。静かにエクアルの両手首を掴み、その抵抗を優しく制止してしまう。

 

「だめだよー、エクアル。ちゃんと、見ないと。自分がどうなってるか」

 

 ラビリアはそう言うと、エクアルの青いスカートと、湿った水色の下着をゆっくりと、しかし有無を言わさず脱がせていく。

 エクアルはわずかに抵抗する素振りを見せるが、胸への快感と、下半身への羞恥で力が上手く入らず、ラビリアのされるがままに受け入れるしかなかった。

 そしてついに、エクアルは一糸まとわぬ姿となってしまう。全身の肌が、羞恥と興奮で淡いピンク色に染まっている。

 

 ラビリアはエクアルの胸の突起を片手で甘く弄び、その反応を楽しみつつ、もう片方の手を露わになったエクアルの秘部へと伸ばした。そして驚くほど慎重で優しげなラビリアの指先が、その秘部の入り口、熱く潤んだ粘膜に軽く触れる。

 

「あっ……!」

 

 エクアルが、初めて触れられる未知の感触に小さく息を呑み、身体を強張らせた。

 ラビリアはその純真な反応に笑みを深めると、わざと最も敏感な核心部分の突起には直接触れず、その周囲の柔らかい膨らみや、閉ざされた入り口のあたりを指の腹でゆっくりと、円を描くようになぞりながら焦らした。

 

 まるで宝の在処を探るかのように、あるいはわざとその手前で立ち止まるかのように……。ラビリアの意地悪な指は、エクアルが求める所を的確に避け、その周囲だけを執拗に愛撫し続ける。

 エクアルの秘部からは、その焦ったい刺激に応えるかのように、蜜がとろりと溢れ出て、ラビリアの指先を濡らし、やがてはシーツへと滴り落ちそうになっていた。

 

「はぁ、ん……! あ、ぅ……! ら、びぃ……」

 

 エクアルは荒い息を漏らしつつ、もどかしすぎて身じろぎする。背後からラビリアに抱きしめられ、胸と秘部の両方を同時に、しかし不完全にしか刺激されない。

 

(どうして……! どうして『そこ』を触ってくれないの……!)

 

 快感はまるで水が沸騰する直前のように、確実に熱を帯びていく。だが、決して沸点に達することを許されない。内側でくすぶる熱だけがエクアルの身体をじらし、焦燥感だけが募っていく。

 そのどうしようもないもどかしさに、エクアルは思わず涙目になっていた。身体の奥がうずいて、熱くて、どうにかなってしまいそうだった。

 

「……ラヴィ、おねがい……だから……。触って……」

 

 観念したエクアルは、か細い声でそう懇願した。もう羞恥心よりも、このもどかしさから解放されたいという欲求が勝っていた。

 

「んー? どこのことー?」

 

 ラビリアはエクアルの耳元で、楽しそうに意地悪な笑みを浮かべながら囁く。

 

「……ここ、です」

 

 エクアルが自分の秘部のあたりをおずおずと指差す。それでもラビリアはわざとらしく、小首を傾げるとエクアルの耳元で尋ねた。

 

「『ここ』だけじゃ、私、分からないよ? エクアルは、どこを触って欲しいの?」

「……うぅ」

 

 エクアルは羞恥心と溢れ出す欲求の板挟みになりながら、顔を真っ赤にして、ついにその言葉を口にした。

 

「……クリを……。私の、クリを……触って、ください……!」

「……ふふ。よく言えました。偉いねー、エクアル」

 

 ラビリアは、そう言ってエクアルの頭を優しく撫でた。

 涙目で頬を真っ赤に染め、羞恥に耐えながらも快感を懇願するエクアルの姿。いつも冷静沈着な彼女が、自分の手によってここまで乱れ、快感を求めている。その事実は、ラビリアの目にはとてつもなく可愛らしく、そして何物にも代えがたい征服欲と庇護欲を掻き立てるものだった。

 

「じゃあ……『授業』を始めるねー」

 

 ラビリアはそう言いながら、意地悪そうな笑みを浮かべた。どこからか、装飾用としか思えない滑らかな素材のリボン――アキシャが以前どこかの島から「綺麗だから」と持ち帰ったもの――を取り出すと、エクアルの華奢な両手首にそれを巻き付た。優しく、しかし決して解けないように、きゅ、と縛ったのだ。

 ひんやりとしたリボンが肌に触れる感触が、やけに生々しい。

 

「えっ、ラヴィ……? な、なんで……?」

 

 エクアルが、予期せぬ拘束に不安そうな声を上げる。

 

「んー? 授業だからねー。暴れちゃダメでしょ?」

 

 ラビリアはそう言うと、エクアルの両脚をさらに開かせた。さらにそれを閉じられないよう、エクアルの両太ももの上に、ラビリア自身の太ももを乗せて固定する。

 ラビリアのしなやかな、しかし確かな重みを持つ太ももが、エクアルの足の自由を完全に奪い去る。エクアルは一糸まとわぬ姿で、手足の自由を奪われ、最も恥ずかしい部分を晒すという、完全に無防備な体勢にさせられてしまった。羞恥と不安で、背後にいるラビリアの顔をただただ見つめることしかできない。

 

「大丈夫、痛くしないからね」

 

 ラビリアはその怯えたようなエクアルの表情を愛おしむように、そう囁いた。

 その言葉を合図にするかのように、ラビリアはエクアルの胸の突起を、再び片手の指でつまんで弄び始めた。

 

「んっ……!?」

 

 そしてもう片方の手で、エクアルが触って欲しいと懇願した秘部の突起に、ついに優しく触れた。

 

「―――――ひゃっ!?」

 

 二方向からの同時刺激。エクアルの身体が、待ち望んでいたはずの、しかし予想を超えた刺激にビクンと大きく跳ね、可愛らしい嬌声が漏れる。

 

「ぁ、ん……ふ……。きもち、い……。らび、ぃ……」

 

 ラビリアはしばらく、その秘部の突起を指の腹で優しく、慈しむように擦り、これから来る快感に身体を慣らさせていく。だがエクアルがその優しい刺激にうっとりとし始めた瞬間、ラビリアの愛撫はその性質を一変させた。

 

 ラビリアは片手の人差し指と薬指を使い、エクアルの秘部の突起を守っている皮を優しく、しかし確実に開いた。そして露わになった、恥ずかしげに赤らんだ敏感な突起の先端を、中指の指先で、コリコリと執拗に擦り始めた。

 

「―――――!?!? あ、あぁっ……!! だめ、だめぇ!! なに、これぇっ!? いや、ぁ……!」

 

 エクアルの反応が急変する。先ほどまでの、指の腹で撫でられるような優しい、とろけるような快感とは全く違う。まるで硬いブラシで直接、神経の束を削られるような、鋭利で、暴力的ですらある、強烈すぎる刺激が脳髄を直撃した。

 

 エクアルはそのあまりの刺激から逃れようと、必死に腰をよじる。だがラビリアの太ももに強く押さえつけられており、その動きはわずかに身じろぎするだけに終わり、全く逃げられない。

 

「いや、あっ! むり、とめて……! おねが、ぃ……!」

 

 エクアルはリボンで縛られた手で、ラビリアのその非道な責めを止めようとするが――

 

「暴れないのー。エクアルが望んだんでしょー?」

 

 ラビリアは胸を弄んでいた方の手で、エクアルの拘束された両手を掴むと、ベッドの上方へと持ち上げてしまう。エクアルは完全に万歳の形で、その自由な手をラビリアの片手で易々と固定された。

 

(うそ……! 逃げられない……! 手も、足も……!)

 

 エクアルは必死に抵抗しようとするが、未知の快感で全身の力が上手く入らず、ラビリアの執拗すぎる責めを受け入れるしか、道が残されていなかった。

 ラビリアの指はエクアルの秘部の突起を、多角的に、執拗に責め立てる。先端をコリコリと弾き、裏側に隠された筋をぞりぞりと擦り上げ、そして突起の先端を慈悲なく優しく潰すように押し、まさにやりたい放題だった。コリコリという指先の硬質な刺激が、エクアルの理性を確実に、少しずつ削り取っていく。

 

 エクアルはもう何も考えることができなかった。

 恥ずかしいとか、やめてほしいとか、そういう思考は全て、嵐のような快感の奔流に飲み込まれていく。ただラビリアの指先から送られてくる、鋭くそれでいて甘美な刺激に耐えることしかできなかった。

 

(あ、だめ、もう、むり……! なにか、くる……! きちゃう……!)

 

 エクアルの頭の中で、理性の最後の砦が、けたたましい警鐘を鳴り響かせる。身体の奥深くで、何かが熱く膨れ上がり、弾けようとしていた。

 

「あ、あ、あああああっ!! イク、イクぅううううっ!!」

 

 エクアルは、初めての直接的な刺激による絶頂に、甲高い嬌声を上げながら、ビクンビクンと身体を激しく痙攣させた。全身がベッドの上でしなり、黒いウサ耳が、その衝撃で限界までピンと反り返った。

 目の前が真っ白に弾け、思考が停止する。生理的な涙が頬を伝い、半開きの口からは、よだれと絶頂の喘ぎ声が途切れ途切れに漏れ続ける。腹部がひくひくと小刻みに痙攣し、ラビリアの指先を濡らしていた熱い蜜が、さらに溢れ出した。

 それはエクアルが今まで知らなかった、純粋かつ暴力的な快感の爆発だった。

 

 数秒間の激しい痙攣がようやく収まりかけたが、エクアルの身体はまだ快感の余韻に支配されていた。ピクピクと全身が小さく震え、荒い息を繰り返すばかり。全身の神経が剥き出しになったかのように過敏になり、シーツが肌に触れる感覚すら、ぞくりとするほどだった。

 

 しかし、ラビリアはエクアルに息を整える暇すら与えない。絶頂したばかりで、最高に敏感になっている秘部の突起。ラビリアの指先が、わずかな休息の後に再びその熱を持った先端に触れ、責め始める。

 

「ひっ!? ま、まだ、だめっ! お願い、やめて、もう、イったから……!」

 

 エクアルが、先ほどよりもさらに切羽詰まった、涙声で懇願する。一度目の快感の衝撃が強すぎて、これ以上の刺激は身体が、頭がどうにかなってしまうと本能的な恐怖を感じていた。

 

「なにがだめなのー? エクアル、すごく気持ちよさそうな顔してたよ?」

 

 ラビリアはその必死の懇願すらも楽しむかのように、エクアルの耳元で甘く囁く。

 

「やだ! おかしくなっちゃう! ほんとに、へんに……!」

「でも、『触ってください』って言ったのは、エクアルだよ?」

 

 その言葉はまるで逃れられない契約のように、エクアルの抵抗を封じ込める。

 ラビリアは責めをさらに強めた。コリコリと、絶頂の余韻で赤く腫れあがった突起の先端を、容赦なく指先で刺激する。

 

「あ、あ、あああっ……! や、やめて……! ら、らヴィ……!」

 

 一度目の比ではなかった。快感の余韻が残る神経に、新たな、そしてより鋭利な快感が上塗りされていく。エクアルは、頭の中で何かが焼き切れるような感覚に襲われる。

 

「あ、あああああっっ!! また、きちゃう! やだ、イッ、ちゃうううううっ!!」

 

 エクアルは一回目よりも遥かに大きく身体を跳ねさせ、逃れることのできない二度目の絶頂を迎える。

 一度目より長く、そして深い痙攣が全身を襲った。エクアルの意識は完全に、快感の波に飲み込まれて、理性を失う。もはや言葉にならない喘ぎ声と、背後にいる幼馴染の名前だけを、壊れた人形のように呼びながら喘ぎ続けた。

 

「らヴィ……! らヴィ……! ぁ、あぁ……っ!」

 

 その自分に縋りつくかのような切ない声と、快感に溺れきったエクアルの姿。エクアルの二度目の絶頂がそのピークを過ぎ、徐々に痙攣が収まっていくのを確認すると、さすがのラビリアも、ようやくその秘部の突起から指を離した。

 

「はぁっ、はぁっ、……はぁ……。もう、むりぃ……」

 

 エクアルは息も絶え絶えに、ぐったりとラビリアにもたれかかる。その身体は汗でじっとりと濡れ、荒い呼吸に合わせてか細く震えていた。

 

「……エクアル、がんばったねー」

 

 ラビリアは汗で湿ったエクアルの黒髪を優しく撫でながら、その達成感に満ちた表情で囁いた。

 エクアルは抗議の声を上げる力もなく、ただ潤んだ瞳でラビリアを見返すばかりだった。身体の芯はまだ快感の余韻でジンジンと痺れ、思考が正常に働かない。

 

 だが、ラビリアの『授業』は、まだ終わっていなかった。

 彼女はエクアルの反応が想像以上に素直で、可愛らしかったことに、すっかり夢中になっていたのだ。

 

「じゃあ、最後にこっちでもイこうかー」

「え……? こっち……? なに……?」

 

 エクアルが虚ろな瞳で意味を理解する前に、ラビリアは容赦なく、エクアルの秘部の入り口に指を滑り込ませた。

 

「ひゃうううううっっ!?」

 

 エクアルは叫び声にも似た、これまでで一番大きな嬌声を上げる。熱い指が、内側の柔らかい粘膜を押し広げて侵入してくる。

 

(中……!? ダメ、そんなところ……! 入って、きちゃ……!)

 

 先ほどの突起を直接削られるような鋭利な衝撃とは違う。だが、それでも二度の絶頂でとてつもなく敏感になったエクアルの身体は、ラビリアの指という初めての異物の侵入に、過剰なほど大きく反応してしまう。

 

 ラビリアはしばらくの間、エクアルの秘部の内側を探るかのように、指を一本、ゆっくりと動かしていた。その内部はエクアルの興奮を物語るかのように熱く、滑らかだった。そして、それはラビリアの指をぎゅっと締め付ける。

 

「ん、く……! ぁ、ふ……! ひっ……! や、やめ……」

 

 エクアルがその内部で指が動く、未知の感触に小さく喘ぐ。

 やがてラビリアの指が、内側のある一点、他とは少し違う、硬くなった壁の部分をこするように押した。

 

「―――――ひゃうっ!?」

 

 エクアルの身体が今までとは比べ物にならないくらい、一番強い反応を示す。腹の奥に、電気が走ったかのような、鈍く、しかし強烈な快感が響いた。

 

「……へぇ。ここが気持ちいいのー?」

 

 ラビリアは彼女の弱点を発見し、楽しそうに笑うと、集中的にその一点を責め始めた。指先でぐりぐりと押し込むように、あるいは擦り上げるように、角度を変えながら刺激する。

 初めての内部からの直接的な刺激に、エクアルは激しく感じ、嬌声をあげながら身体をよじらせる。

 

「や、やぁ……っ!! そこ、だめ、へん、になる……! あ、あ、あ! らび、ぃ……!」

 

 身体が勝手に腰を浮かせ、ラビリアの指をより深く受け入れようとする。その自分のものではないような反応が、エクアルの羞恥心をさらに煽った。

 

「んー、もうすぐだねー。エクアル、イっていいよー」

 

 ラビリアが、内部をかき混ぜる速度を速める。

 

「あ、で、でる……! なにか、いっぱい、でちゃうううううっ!!」

 

 秘部の突起責めとは違う、身体の奥深くから込み上げてくる、全く新しい種類の強烈な絶頂感。腹部の奥が「きゅううっ」と締め付けられ、熱い奔流が溢れ出そうになる。

 

 エクアルはビクンッ!と身体を大きくしならせ、秘部からパシャ、と熱い潮を軽く吹きながら、三度目の最も深い絶頂に達した。全身の力が抜け、エクアルはただ喘ぎ、快感の波に身を任せて痙攣することしかできなかった。

 

 そしてラビリアは満足げにそっと指を引き抜いた。

 ようやくエクアルは全ての責めから解放されたのだ。手首の拘束もほどかれ、エクアルは完全に脱力してベッドの上に突っ伏してしまう。快感の余韻が強すぎるのか、全身がピクピクと小さく震えている。ラビリアのベッドのシーツは、エクアルが流した涙と溢れ出た蜜、そして最後に放った潮で、ぐっしょりと濡れていた。

 

「……エクアル、どうだったー?」

 

 ラビリアが、汗で額に張り付いたエクアルの黒髪を優しく梳きながら尋ねる。

 

「……やさしく、してって……言った、のにぃ……」

 

 エクアルは涙声のまま、ベッドに顔をうずめてラビリアを弱々しく睨む。

 

「ふふ……ごめんねー。エクアルがあまりにも可愛かったから、つい、いじめすぎちゃった」

 

 ラビリアはそう言うと、ぐったりしているエクアルの唇に、労うように優しくキスをした。

 

 

 やがてようやく快感の嵐が過ぎ去り、動けるようになったエクアルは、ラビリアにそっと身体を支えられながら、脱がされた服を着直し始めた。彼女の足はまだ少し震えており、白いブラウスの小さなボタンを留める指先もおぼつかなかった。

 

(すごい、こと、しちゃった……。頭が、ふわふわする……)

 

 初めての体験の強烈な余韻に浸りながらも、冷静さを取り戻しつつある思考が、いけないことをしてしまったのではないかという、若干の罪悪感を呼び起こす。その気持ちを、エクアルは小さく零した。

 

「……お姉ちゃん、こんなことしたって知ったら、怒るかな……?」

「アキシャなら、分かってくれるよ。あの子……エクアルのことも、大好きだから」

 

 ラビリアは服を着終えたエクアルの頬に、優しく触れた。

 

「……きっと、喜ぶんじゃないかなー? エクアルが、こんなに『可愛く』なったんだから」

「よ、喜ぶって……! も、もう……!」

 

 ラビリアの言葉に、エクアルはさらに顔を赤くする。

 

「……そうね。お姉ちゃんは、優しいもんね」

 

 エクアルはラビリアの言葉に勇気づけられる。

 お姉ちゃんに隠し事をするのは嫌だった。この背徳的な罪悪感も、そして得てしまった強烈な快感も、全てを正直に打ち明けようと、強く心に決めたのだった。




もしかしたら後日談を書くかもしれないし、書かないかもしれない。
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