ゾンビ世界で拠点を作って女の子ゾンビとイチャイチャするお話 作:フレキシブルコーギー
朝日がグラウンドに降り注いでいた。
カケルは新しく装備したタイタンスーツMk-IIに身を包み、グラビティランチャーを手に持っていた。背中にはサブ武器としてペインブリンガーを背負っている。
ユイは光輝くセラフィムウィングを背にし、エンジェルガード・極に身を包んでいた。エンジェルストライク改を優雅に振り回している。
絡新婦はリジェネレーションコアが埋め込まれた身体で、デスウェブシステムから糸を操っていた。
三人は完全武装でグラウンドの中央に立っていた。
「これから向かうのは公園と川だ」
カケルはユイと絡新婦に向かってそう言った。
「そこのゾンビを殲滅すれば、学校周辺のゾンビをほぼ掃討したことになる」
ユイはコクリと頷き、絡新婦も黒い瞳でカケルを見つめている。
「後からやってくるゾンビは防ぎようがないが、かなり安全になるだろう」
カケルはそう言いながらクラフトメニューを開いた。
【現在のクラフトポイント:11,800pt】
「ポイントをチェックしておこう。もしかしたら、更新されているかもしれない」
カケルはメニューを眺めながら色々と確認していた。
だが、ふと一つのアイテムがカケルの目に留まった。
★上位鑑定 - 300pt
上位種ゾンビの詳細情報と弱点を表示する。敵の能力を事前に把握することで戦闘の有利不利が大きく変わる。
「……」
カケルは説明文を読み一瞬躊躇した。
前にも見ていたアイテムだ。
だが、無意識のうちに、スルーしていた。
理由は簡単だ。
上位種を無意識に恐れていたのだ。
上位種の情報を知ることで、恐怖と向き合わなければならなくなる。
だから目を背けていたのだ。
だが、今は違う。
「立ち向かわないといけない」
カケルはそう呟き、上位鑑定を選択した。
【上位鑑定を購入しました。-300pt】
【現在のクラフトポイント:11,500pt】
恐怖はまだ残っている。
だが同時に戦う術が見えてきた。
「よし。出発しよう」
カケルは、ユイと絡新婦に声をかけた。
二人は、コクリと頷き、カケルの隣に立った。
三人は、新しい装備に身を包み、公園と川へと向かっていった。
♢ ♢ ♢
【現在の状況】
現在地: 学校グラウンド(出発準備完了)
参加者: カケル、ユイ、絡新婦
クラフトポイント: 11,500pt
時刻: 朝
目標: 公園と川のゾンビ殲滅
物語の進展: 三人は、公園と川へ出発した。
♢ ♢ ♢
川辺を歩く三人。
せせらぎの音は心地よいが、その流れは決して清らかではなかった。
川は一見綺麗に見えるが、よく見るとどろりとした肉片や、正体不明の悍ましいものが、ゆっくりと流れていくのが見える。
あんなものを飲めばどうなるか分からない。
その時だった。
「おぉぉぉ……」
川の対岸や草むらの影から、十数体のゾンビがのそりと姿を現した。
その目はカケルたちを獲物として捉え、飢えた唸り声を上げている。
「ユイ、絡新婦!ゾンビだ!新装備の力を見せてやれ!」
カケルの声が静かな川辺に響いた。
その言葉を合図に、最初に動いたのはユイだった。
バサッ!
ユイの背中から純白のセラフィムウィングが、まばゆい光を放ちながら広がった。
ユイは光の翼を羽ばたかせ、ふわりと宙に舞い上がる。そして一直線にゾンビの群れへと突っ込んでいった。
ゾンビの一体がユイに気付き、腕を振り上げる。
だが、ユイの動きはもはや目で追える速度ではなかった。
ユイはゾンビの攻撃を軽々とかわすと、手にしたエンジェルストライク改を力強く振り抜いた。
ゴッ!
鈍い音と共に、バットがゾンビの頭部に直撃する。
だがゾンビは砕け散らなかった。
「……!?」
次の瞬間、ゾンビの身体が灰色に変化し石のように硬質化していく。
「石化効果」――エンジェルストライク改に付与された、新たな能力だ。
石化したゾンビは、そのままの体勢で動きを止め、そして次の瞬間粉々に砕け散った。
「すげぇ……!」
カケルはその光景に思わず声を上げた。
続いて、絡新婦が動く。
腕に装着されたデスウェブシステムが、黒く、鋭い光を放つ。
絡新婦が指先から糸を放った。
それは中位種の皮膚すら切り裂く、死の刃。
シュババババッ!
数十本の糸の刃が嵐のようにゾンビの群れを襲う。
ゾンビたちは抵抗する間もなく、鋭利な糸によってバラバラに切り刻まれていった。
腕が飛び、脚が千切れ、胴体が真っ二つになる。
数秒後そこには原型を留めない肉の塊だけが残っていた。
「残りは俺がやる」
カケルは肩に担いでいたグラビティランチャーを構えた。
重厚な銃身が残ったゾンビたちに向けられる。
カケルは引き金を引いた。
銃口から漆黒の球体が、ゆっくりと放たれた。
その球体はゾンビたちの中心に着弾すると、一気に膨張し周囲の空間を歪ませ始めた。
「グル……!?」
ゾンビたちは強力な重力に引き寄せられ、身動きが取れなくなる。
身体がミシミシと音を立て、内側から圧壊していく。
数秒後、重力場が消滅するとそこには何も残っていなかった。
ゾンビたちは骨の一片すら残さず完全に消滅していた。
「……」
三人は静まり返った川辺で、互いの顔を見合わせた。
新しい装備の力は絶大だった。
もはや通常のゾンビでは、相手にすらならない。
「よし。行こう」
カケルはそう言って、再び歩き始めた。
公園はもうすぐそこだ。
♢ ♢ ♢
【現在の状況】
現在地: 川辺
参加者: カケル、ユイ、絡新婦
クラフトポイント: 11,500pt
時刻: 朝
物語の進展: 三人は新しい武器の性能を試した。ユイは「エンジェルストライク改」でゾンビを石化させ、絡新婦は「デスウェブシステム」でゾンビを切り刻み、カケルは「グラビティランチャー」でゾンビを圧壊させた。新しい装備の絶大な力を確認し、三人は次の目的地である公園へと向かう。
♢ ♢ ♢
公園に着いた三人。
だが、目の前には異様な光景が広がっていた。
大量のゾンビが死んでいる。
身体には切り刻まれたような跡があり、まるで何か鋭利な刃で斬られたようだ。
山になったゾンビの死体の上に、一体の異形のゾンビが座っていた。
(あれは……中位種か!?)
腕が完全に鳥の翼へと変化しているゾンビ。純白の羽毛が美しく輝いているが、下半身も鳥の脚になっており鋭いかぎ爪が死体の山に食い込んでいた。
顔立ちは人間の女性のままで整った美しい容姿をしている。長い髪が風に揺れ、切れ長の瞳が虚ろに宙を見つめている。
だが人間と鳥が混ざった姿は異様で、美しさを不気味さへと変えていた。
「ラララァ~♪」
異形の女ゾンビは美しい歌声を響かせていた。
不思議と心地よい旋律だ。
だが、次の瞬間――
ふらふらと女ゾンビに近づいてきたゾンビの身体が、突如真っ二つに切り裂かれた。
ザシュッ!
何も見えなかった。
風の刃が、音もなくゾンビを斬り裂いたのだ。
「!」
カケルは息を呑んだ。
あの女ゾンビは歌いながら、周囲のゾンビを無差別に殺しているのだ。
ユイと絡新婦も警戒の色を浮かべ、カケルの隣に立つ。
「──鑑定」
カケルは、小声で呟いた。
【中位種ゾンビのステータス】
基本情報
名前: 不明
称号: 哀歌の死鳥女
派閥: 腐り王女派
累計殺害人数: 591人
概要:中位種ゾンビ。孤独と歌への執着が、パンデミックを介して歪んだ形で具現化した存在。美しい歌声で獲物を魅了し、翼から放つ見えない風の刃で切り裂く。獲物の死体を王女への貢物として公園に積み上げている。
特殊能力
魅了の歌声: 美しい歌声で周囲の生物を魅了し判断力を奪う。抵抗できない者は無防備に近づいてしまう。
音波攻撃: 声そのものが攻撃と化し全範囲攻撃となる。
風刃の羽: 羽ばたきと共に、透明な風の刃を無数に放つ。射程は約50メートル。刃は金属すら切断する。
超高速飛行: 鳥の翼による飛行能力。物理法則を無視した高速移動すら可能。
聴覚探知: 視界が悪くても音で獲物の位置を正確に把握する。
弱点
翼: 飛行能力の要である翼は損傷すると機動力が著しく低下する。
近接戦闘: 接近されると脆い。……が何故か近接戦闘を多用することが多い。
「やっぱり中位種か」
カケルは情報を確認しながら、小声で呟いた。
改めて哀歌の死鳥女を見る。
元は人間の女のゾンビだったのだろう。
「──だけど、女だったら俺のフェロモンが効くかもしれない」
カケルは首にかけたフェロモン増幅装置を確認した。
もしかしたら仲間にできる可能性がある。
「でも、油断は禁物だ」
累計殺害人数591人。
絡新婦に迫る数字だ。狼よりも遥かに多い。
カケルはグラビティランチャーを背中に装着し、ペインブリンガーを構えた。
ユイはエンジェルストライク改を握りしめ、セラフィムウィングを広げた。
絡新婦はデスウェブシステムから黒い糸を展開させた。
三人は武器を構え、哀歌の死鳥女を睨みつけた。
「ララァ~……?」
哀歌の死鳥女は歌を止め、ゆっくりと三人に視線を向けた。
虚ろだった瞳が、鋭い光を帯びる。
死鳥女は翼を大きく広げた。
純白の翼が太陽の光を反射し、神々しく輝く。
だが、次の瞬間――
「ラァーー!!!!」
美しい歌声とは似ても似つかない甲高い叫び声が、公園全体に響き渡った。
音波を纏った声がビリビリと空気を震わせ、地面を揺らす。
──さぁ、戦闘開始だ。