ゾンビ世界で拠点を作って女の子ゾンビとイチャイチャするお話 作:フレキシブルコーギー
「さぁ、■■する。■の■■な■所が襲わ■■■るぞ。──何■、動■■■■■ね?」
セルゲイナスの声が響き渡った。
所々ノイズが走り、完全には聞き取れない。
だが、その言葉の意味は理解できた。
(上位種の声が少しだけ理解できる……!?)
カケル驚愕した。
だが、すぐにそれが上位鑑定の効力なのだと理解した。
全ては聞こえないが声色はなんとなく分かる。
「あ■■うか。私が■■から動け■■■■。じ■あ競■■■こう」
何を言っているかは完全には理解できない。
だが、その口調からセルゲイナスがここでやり合う気はないと判断した。
「──■■らが■■■点に■■かをね」
セルゲイナスは、ゆっくりと歩き始めた。
カケルたちを意にも介さないように堂々と。
その方向は……学校!
「……!」
それを見た瞬間カケルは叫んだ。
「ユイ!絡新婦!死鳥女!学校に帰るぞ!!急ぐんだぁーっ!!!」
セルゲイナスを追い抜きカケルたちは学校へと全力で走り出した。
ここで戦う気がないのなら、今は学校の仲間たちを守ることが最優先だ。
カケルたちがセルゲイナスを追い越した、その瞬間。
カケルの耳に彼の言葉が聞こえた。
「見せ■くれ。■に■の■を……」
その言葉の意味は分からなかった。
だがその声色には、期待と好奇心の色が混じっているような気がした。
♢ ♢ ♢
【現在の状況】
現在地: 公園→学校へ移動中
参加者: カケル、ユイ、絡新婦、哀歌の死鳥女
クラフトポイント: 26,400pt
敵: セルゲイナス(爆発紳士・上位種・腐り王女派幹部)
緊急事態: 学校が襲撃されている!
時刻: 朝
物語の進展: カケルは、上位鑑定の効力で、セルゲイナスの言葉を部分的に理解した。セルゲイナスが、ここで戦う気がないと判断し、学校へと急ぐ。追い越しざまに、セルゲイナスから意味深な言葉をかけられたが、その真意は謎のままだ。
♢ ♢ ♢
ウゥゥゥーーーーッ!ウゥゥゥーーーーッ!
けたたましい警報が林の空気を切り裂くように鳴り響いている。
そして警報をかき消すほどの、狼の遠吠え。
「アォォォォンッ!!グルルルルルッ!」
学校の林の周囲を囲む金属製の防護柵に、無数の狼ゾンビたちが黒い津波のように押し寄せている。
その数は数百、いや千は超えているかもしれない。
ガリガリガリッ!ガンガンガンッ!
狼ゾンビたちは鋭い爪と牙で、防護柵を破壊しようとしている。
金属が擦れる嫌な音と身体をぶつける衝撃音が、絶え間なく響き渡る。
柵はギリギリと音を立て、今にも壊れそうだ。
「……ぁぅ!」
「ぅぁぁ!!」
林の女ゾンビたちは必死に抵抗していた。
柵越しにコンバットナイフで突き、金属棍棒で殴り弓矢を放つ。
ダダダダダッ!ダダダダダッ!
柵に設置された簡易タレットが火を噴き、狼ゾンビたちの身体を次々と打ち抜いていく。
血飛沫が舞い肉が裂ける音が響く。
だが、倒しても倒しても次から次へと新しい狼ゾンビが、押し寄せてくる。
そして──
東側の柵が、ついに破られた。
「──!」
「ぅぁ!」
女ゾンビたちの顔が一斉に東側を向く。
堰を切るようにして狼ゾンビたちが、林の中へとなだれ込んできた。
「ぁぅぁぅ!」
だが女ゾンビたちは動揺することなく、すぐに陣形を整えた。
訓練の成果がここで発揮される。
前衛の女ゾンビが飛びかかってきた狼ゾンビを、金属棍棒で迎撃する。
狼ゾンビの身体が吹き飛ばされる。
中衛の女ゾンビが、弓矢で、次々と狼ゾンビを射抜く。
狼ゾンビが、次々と地面に倒れていく。
だが狼の波は止まらない。
女ゾンビたちは冷静に連携を保ちながら、狼ゾンビたちを撃退していく。
だが……。
ギィィィンッ!バキッ!
西側の柵も、破られた。
「──!!」
女ゾンビたちの顔が再び変わる。
今度は二方向からの攻撃だ。
だがそれでも女ゾンビたちは、諦めなかった。
訓練で培った連携を活かし二手に分かれ、東と西の狼ゾンビたちを同時に迎撃していく。
しかし、それも長くはもたなかった。
南側と北側の柵も、同時に破られた。
「──!!!」
「ぅぁ……」
四方八方から狼ゾンビの群れが、林の中へと、なだれ込んできた。
「がるるるっるうぅぅ!!」
「──」
看護師ゾンビが合図を送る。
女ゾンビたちは一斉に防衛ラインを下げ、学校へと向かって後退を始めた。
狼ゾンビたちが追撃してくる。
だが、女ゾンビたちの動きは冷静だった。
後退しながらも前衛、中衛、後衛の陣形を崩さず確実に狼ゾンビたちを撃退していく。
そして、ついに──
林を抜け学校前の開けた場所まで、たどり着いた。
その瞬間戦況が一変した。
ダダダダダッ!ドドドドドンッ!
学校の屋根や壁に設置された多数の通常タレットと重装タレットが一斉に火を噴いた。
本格的な銃撃と砲撃が狼ゾンビたちの群れに降り注ぐ。
「きゃうん!?」
「がぁぁっ!!!」
重装タレットから放たれた砲弾が狼ゾンビたちの群れの中で、大爆発を起こす。
狼ゾンビたちが次々と木っ端微塵に吹き飛んでいく。
通常タレットから放たれた銃弾が狼ゾンビたちの身体を、蜂の巣にしていく。
次々と血飛沫を上げて倒れていく。
そして、さらに――
キィィィィィィンッ!!!!
耳をつんざくような高周波が戦場に響き渡った。
音波兵器だ。
「ぐぅぅぅぅぅ……!」
狼ゾンビたちの動きが明らかに鈍くなった。
音波兵器の超音波が狼ゾンビたちの聴覚と平衡感覚を麻痺させているのだ。
「──!」
女ゾンビたちはこの好機を逃さなかった。
タレットと音波兵器の援護を得て一斉に反撃に転じた。
タレットの援護射撃と、音波兵器による鈍化効果。
そして女ゾンビたちの訓練された連携。
そして──
「ぅぁぁ!!」
女ゾンビの一人が小瓶に入った薬を飲んだ。それは一時的に彼女たちの力を引き上げる薬──。
「ぁぁぅ!!」
「ぁぅぁぅ!!」
一人が飲むと、次々と後に続いた。それまでの動きとは格段に違うゾンビたちの動きに、狼ゾンビたちは被害を増やしていく……。
女ゾンビたちは徐々に盛り返していく。狼の群れを押し返し、殲滅していった。
「ぐるぅ……」
戦況は逆転したかのように見えた。
だが、それはまだ本当の始まりに過ぎなかった。
銃声、爆発音、そして超音波。
戦場は混沌と化していた。
だが、その均衡は突如として破られた。
「ぐぉぉぉ……」
「!?」
狼ゾンビの群れの中からひときわ巨大な影が姿を現した。
その体長は、3メートルは超えているだろう。
身体は半分腐り落ち、骨や内臓が剥き出しになっている。爛々と輝く両の眼は飢えた獣の殺意に満ちている。口からは絶えず腐臭を放つ涎が滴り落ちていた。
──中位種だ。
「ぐるぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
中位種の狼ゾンビが咆哮を上げた。
声は空気を震わせ、周囲の狼ゾンビたちをさらに凶暴化させる。
ダダダダダッ!
タレットが中位種に向けて砲弾を放つ。
だが、中位種は巨体からは想像もつかないほどの素早い動きでそれを回避した。
中位種は一直線に女ゾンビたちの防衛ラインへと突進してくる。
その速度は音波兵器の鈍化効果を、全く受けていないかのように速い。
「──!」
前衛の婦警ゾンビが、金属棍棒を構え、中位種の前に立ちはだかる。
だが、次の瞬間
「ぅぁ……!?」
中位種の巨大な前足が婦警ゾンビを、虫けらのように吹き飛ばした。
婦警ゾンビの身体はくの字に折れ曲がり、塀の壁に叩きつけられる。
「……っ」
女ゾンビたちの顔に絶望の色が浮かんだ。
歯が立たない。全く歯が立たない。
だが本当の絶望は、まだ、始まったばかりだった。
「ぐるぉぉぉ……!」
「がぁぁぁぁ!!!」
狼ゾンビの群れのさらに奥。
赤い瞳が、いくつもこちらを睨みつけている。
その数は一体、二体ではない。
複数の中位種がこちらを見つめている。
「……」
女ゾンビたちは息を呑んだ。
「グォォォォォォォ!!!!!」
中位種の狼ゾンビが怯える女ゾンビたちを屠ろうと、飛び掛かった。
巨大な顎が大きく開かれ、鋭い牙が女ゾンビの首筋に迫る。
もはや、これまで──
誰もがそう思った。
その瞬間だった。
「ラァー!!!!」
甲高い美しい歌声が、戦場に響き渡った。
「!?」
中位種の狼ゾンビが驚きの声を上げ、動きを一瞬止めた。
次の瞬間──。
シュババババッ!!!!
無数の透明な風の刃が中位種の狼ゾンビの身体を、切り刻んだ。
シンフォニアエッジと同期した死鳥女の風の刃だ。
「ぐるぉっ!?」
中位種の狼ゾンビは苦痛の声を上げ、後ずさった。
身体には無数の切り傷が走り、黒い血が噴き出している。
女ゾンビたちが一斉に空を見上げた。
そこには白い翼を広げ空を羽ばたく死鳥女の姿があった。
瞳は怒りに燃え、狼ゾンビたちを鋭く睨みつけている。
死鳥女は大きく息を吸い込んだ。
ハーモニーコアとヴォイスアンプリファイが、淡く光り、歌声を増幅させる。
「ララララァァァァァァァァァァ!!!!」
死鳥女の広範囲音波攻撃。
歌声は音の津波となって、狼ゾンビの群れに襲いかかった。
「アォッ!?」
「グルルル……」
下位種の狼ゾンビたちが次々と地面に倒れていく。
鼓膜を破られ平衡感覚を失い、脳を揺さぶられ戦闘不能に陥っていく。
死鳥女の歌声が響き渡り、下位種の狼ゾンビたちが次々と倒れていく中……さらに希望の光が差し込んだ。
「!?」
空を切り裂く轟音。
グラビティランチャーの重力弾が狼ゾンビたちの群れに、直撃した。
無数の狼ゾンビが、その重力弾の直撃圏内に巻き込まれる。
次の瞬間、重力爆発が戦場を埋め尽くした。
空間そのものが歪み捻じれ、砕ける。
狼ゾンビたちの身体が圧倒的な重力に圧潰されていく。悲鳴を上げる暇もなく無数の狼ゾンビが、消滅していった。
「ぁぁぁぁぁッ!!!」
そして直後、目にも止まらぬ閃光が走り抜けた。
ユイがエンジェルストライク改を構え狼ゾンビの群れに突撃していく。
スピードブースターによって加速されたその動きは閃光となって煌めいた。
ツインダガーが狼ゾンビたちの首を次々と切り裂いていく。
エンジェルストライク改が中位種の狼ゾンビに、突き刺さる。
「ぐるぉっ!?」
中位種の狼ゾンビの身体が徐々に、石化していく。
その瞳には驚愕と恐怖の色が浮かんでいる。
さらに戦場には見えない罠が張り巡らされていた。
絡新婦のデスウェブシステムだ。
上位種の外皮すらも切り裂く黒く鋭い糸の刃が、狼ゾンビたちを次々と切り刻んでいく。
「ギギィー!!!」
ある者は身体を真っ二つに引き裂かれ、ある者は手足を切断され、ある者は全身を切り刻まれ絶命していく。
またベノムウェブによって麻痺毒を付与された糸が、狼ゾンビたちの動きを完全に封じ込めていく。
そして──
「みんな、無事か!!!!」
カケルの声が林に響き渡った。
女ゾンビたちはその声を聞き、一斉に顔を上げた。
──四人が揃った。
女ゾンビたちの顔に安堵と喜びの色が浮かんだ