※この作品はR-18です。

僕の制御不能なヒーローアカデミア   作:龍座

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8話 娯楽の狩り

PM『終了〜〜!!!!』

 

プレゼント・マイクの終了の合図が響き渡る。各々が自身の結果に自信を持ち、悔やみ、様々な感情が内に宿る。

 

だが、今、受験生達は本当の終了を目の当たりにしていた。

 

「あ、あれは…さっきの…」

「や、やばい…!ヴィランだ…!本物のヴィランだ!」

 

インドミナス・レックスは、そんな彼らの「停止」を、獲物への興味と捉えた。

 

落ちてくる出久を救けようとしたお茶子は変身したインドミナス・レックスに吹き飛ばされていた所を辛うじて天哉に救けられていた。二人が目にしたもの。それは、会場にいた0P敵が現れた時とは比べ物にならない本能的な恐怖に打ちのめす。単なるロボットでは絶対に出せない血の匂いと殺意を放つ最凶の捕食者。

 

これから行われるのは試験なんて生易しいものじゃない。

 

狩り(・・)だ。

 

お茶「ひっ…あ…」

 

麗日お茶子は、目の前で自分を救った少年が、一瞬で人類の脅威へと変貌した光景を前に、言葉を失って、ただ立ち尽くすしかなかった。

 

「ーーーーーー!!!!」

 

インドミナス・レックスの喉から放たれた爆音の咆哮が、試験会場の平和を完全に打ち破った。

奴の狡猾な知性は、「道楽の狩り」を始める絶好の機会と捉えた。

 

最初に動いたのは天哉だった。彼はその冷静な判断力で状況の深刻さを瞬時に理解した。

 

天「逃げろぉぉぉ!!!」

 

飯田の叫びが、受験生たちを現実へと引き戻した。恐怖がパニックへと変わり、彼らは我先にと、会場の出口を目指して走り出した。

1.

しかし、インドミナス・レックスは、彼らを逃がすつもりはなかった。巨体でありながら俊敏な動きで、逃げ惑う群衆に襲いかかる。

 

逃げ遅れた数名の受験生がインドミナス・レックスの巨大な足の下敷きになった。彼らの身体は粘土のように平らに潰され、アスファルトには血と肉塊が飛び散る。その足跡は、赤黒い液体で汚れた巨大な窪みとなった。

 

次にインドミナス・レックスは、凶悪な鉤爪を持った右腕を巨大な鎌のように振り回し、受験生たちを横一文字に薙ぎ払った。その爪に触れた肉体は、豆腐のように易々と引き裂かれ、内臓や骨片が宙を舞う。四肢がもぎ取られ、胴体が真っ二つになる者が続出した。

 

受験生数名は建物の瓦礫の陰に隠れようとするが奴はそれを許さなかった。巨大で硬質な尻尾が、まるで鉄骨のように一閃する。その一撃で吹き飛ばされ、彼らの身体は肉塊となって壁に叩きつけられた。

 

インドミナス・レックスの恐ろしさはそのパワーだけではない。

 

奴は、単に無作為に暴れるのではなく、逃げ道を塞ぎながら誘導するという、遺伝子に組み込まれた捕食者の知性を発揮した。

 

建物を破壊して崩落した瓦礫をバリケードのように利用し、受験生たちが出口から遠ざかる、会場の中心へと追い立てていった。

 

時折、カモフラージュ能力を使い、一瞬姿を消すことで、受験生たちの精神的な恐怖を極限まで煽った。「どこから来るかわからない」という絶望感が、彼らのパニックをさらに加速させた。

 

インドミナス・レックスはその残虐な道楽を心底楽しんでいるかのようだった。

 

逃げ惑う受験生たちは、やがて会場の端に位置する袋小路の場所に牧羊犬に追い立てられた羊の群れのように、密集して追い詰められた。

 

受験生たちの顔は、血と泥、そして自身の恐怖で濡れていた。彼らはもはや、ヒーローを目指す者ではなく、ただ生き残ることに必死な獲物だった。

 

インドミナス・レックスは立ち塞がるように巨大な体を静止させた。その白い巨体は、血の海に濡れ、禍々しい輝きを放っている。

 

「グルルルル…」

 

彼は満足げな唸り声を漏らし、獲物の苦痛を味わうかのように、一歩、また一歩と、受験生たちに近づいていく。

その光景は地獄そのものだった。

 

追い詰められた受験生たちは、白い悪魔の巨体に完全に囲まれ、文字通りの袋小路に陥っていた。瓦礫の山と、既に血の海と化したアスファルトが、逃げ場がないことを雄弁に物語っている。

 

「イヤァァァ!!!」

「駄目だ!逃げられない!もう、終わりだ!」

 

悲鳴と絶叫、そして嗚咽が、地獄と化した試験会場に響き渡る。 

その中にあって、麗日お茶子だけは、この光景を信じることができなかった。

 

お茶(そんな…嘘や……!)

 

あの時、雄英高校に入る直前で転びそうになっていた、優しくて緊張していた彼。

試験で、自分の命を顧みずゼロポイントヴィランから救けてくれた、あの彼が…今、純粋な悪意と捕食本能に満ちた目で、人を襲っているなんて…!

 

お茶子の脳裏では、「優しい彼」と「目の前の怪物」のイメージが激しく衝突し、現実を受け入れることができなかった。

 

 

追い詰められた受験生たちの一部は、絶望の中で最後の抵抗を試みた。

 

「畜生!!死ぬか、やるかだ!!」

 

複数のモブ受験生が自身の個性を限界まで解放し、インドミナス・レックスの巨体目掛けて一斉に攻撃を放った。

 

轟音と共に、攻撃の衝撃で土煙が大きく舞い上がり、インドミナス・レックスの巨体が完全に視界から消えた。

 

煙の中から、「グルル…」という低く、満足げな唸り声が聞こえた後、巨大な影は、煙の中へと消えた…。

 

「今のうちに逃げろぉ!!」

 

誰かが叫んだ。その声に、受験生たちは一縷の希望を見出した。怪物は、こちらの攻撃でダメージを負ったか、一時的に退いたのかもしれない。

僕たちは助かった。もう安全だ!

否。

 

一気にインドミナス・レックスが姿を現した!

 

奴は自らのカモフラージュ能力を使って、土煙の中に紛れ込み、体色と熱を周囲に同化させていたのだ。

 

そして、獲物が最も無防備になり、油断しきった瞬間に、獲物の真横、そして背後から飛び出した。

 

「ウ…ア…!?」

 

逃げ出そうとしていた受験生たちの群れは、突然の怪物の再出現に、物理的にも心理的にも押し返されてしまった。

 

インドミナス・レックスは、受験生たちの悲鳴を至高の音楽として聞きながら、その巨大な顎を開いた。その口内には、剃刀のように鋭い、無数の歯が並んでいる。

 

グシャアアアア!!!

 

奴の鋭利な牙が柔らかい人間の肉体に食い込む。悲鳴を上げる間もなく、複数の受験生の頭部や胴体が、強大な顎の力でメリメリと音を立てて圧し潰される。

口に収まりきらなかった受験生の体は、インドミナス・レックスの口の端から内臓を露わにしたまま垂れ下がり、生きたまま引き裂かれた。

 

鉤爪を持つ大腕が、広場を無差別に薙ぎ払う。その一撃は、受験生の身体を骨と肉の区別なく粉砕し、赤い霧を撒き散らした。血まみれの破片が瓦礫に飛び散り、凄惨な芸術のような光景が広がる。

 

 

巨大な尻尾によって容赦なく打ち据えられ、体は空中でねじ曲がり、致命的な一撃で瓦礫へと叩きつけられる。彼らの体は、怪物の力によって、原型を留めないほどの損傷を受けていた。

逃げようと足掻く受験生達の末路は押し戻され、そして、そのほとんどが逃げる間もなく食われてしまった。

 

広場は一瞬で、血と体液で滑る、生々しい肉塊の場所へと変貌した。生き残った者は、友人の肉片を浴びながら、絶叫と錯乱の中で、ただ動けずにいるしかなかった。

インドミナス・レックスは、血まみれの顎を上げ、勝利の咆哮を上げた。

 

目の前にはヒーローを目指す者たちだった者(受験生)の無残な残骸**が広がっている。

 

「ーーーーーーーーー!!!」

 

インドミナス・レックスは、獲物の死体を嘲笑うかのように踏みつけ、その上に立つ。それは、緑谷出久の個性ではなく、純粋な「破壊と殺戮」の本能が解き放たれた、白い悪魔の姿だった。

 

追い詰められた受験生たちの集団は、既に半壊状態となり、路地裏全体が地獄絵図と化していた。彼らは、一瞬の希望が、最も残酷な絶望に変わるという、耐え難いトラウマを背負わされた。

 

路地裏は既に血の池と化した地獄絵図だった。

受験生の血飛沫と、肉体と骨の破片でアスファルトが濃い赤と黒に染まる、凄惨な屠殺場と化していた。

 

生き残った者たちは、瓦礫や、変わり果てた仲間の残骸の陰に身を潜めるしかなかった。彼らの顔は恐怖とショックで麻痺し、もはや悲鳴すら上げられない。

その絶望が、彼らの頭を完全に塗りつぶした。

 

「もう…逃げられない…」

 

彼らはただ、インドミナス・レックスの巨体がゆっくりと近づいてくるのを、無感情に見つめていた。

 

その瞳には、「早く終わらせてほしい」「この悪夢を終わらせてほしい」という、死への渇望が宿っていた。生き残ってしまったことこそが、最大の罰だと感じていた。

 

白い悪魔、インドミナス・レックスは、その諦めを最高の獲物への賛辞と受け取ったかのように、ゆっくりと、優雅に彼らに近づいた。彼の凶悪な大口が、血の滴る牙を露わに、ゆっくりと開かれていく。

 

最期の瞬間が訪れた、次の瞬間――!

 

ドォオオオオオン!!

 

突如、空が裂けたかのような爆音と共に巨大な人影がインドミナス・レックスの眼前に降り立った。着地の衝撃でアスファルトが砕け、土煙が巻き上がる。

 

オールマイトだった。

 

彼の声が、絶望の路地裏に響き渡る。

 

AM「止めるんだ!緑谷少年!!」

 

その巨大な姿と声は、地獄に落ちた受験生たちにとって、まさに「救済の光」だった。

 

「オールマイトだ!」

「助かった…!オールマイトが来てくれた!」

 

生き残った受験生たちから、微かな希望の歓声が上がった。

オールマイトの登場と同時に、雄英の教師陣、イレイザーヘッド(相澤消太)、13号、そして他のプロヒーローたちが路地裏の上空や周囲の建物に展開した。

 

彼らは、目の前の「事態」が、単なる試験中の事故ではなく、極めて危険なヒーロー志望者による大規模な暴走であることを理解していた。

 

AM「13号!すぐに受験生を回収しろ!相澤!個性の抹消を試みろ!」

 

オールマイトは、インドミナス・レックスの巨大な装甲を打ち破るべく、渾身の一撃を繰り出そうとした――その時だった。

 

突如、インドミナス・レックスが、奇妙な雄叫びを上げながら、悶え苦しむように暴れだした!

 

「グガアアアァ!!!アァアアア!!!!」

 

彼は巨大な頭部を振り回し、自分の鉤爪で自身の装甲を掻きむしろうとするかのような自己破壊的な行動を見せ始めた。

 

AM「緑谷少年!君も戦っているのか…!?内側から本能と戦っているのか!」

 

オールマイトは、デクの理性」が、インドミナスの本能とOFAの暴走という二重の怪物化に抗っていることを察知した。

 

イレイザーヘッドは、この決定的な隙を見逃さなかった。彼は、髪を逆立て、個性を発動させる。しかし、インドミナス・レックスは悶え苦しみながらも壁に激突し地面を転がり回った。その動きは予測不能で、激しい土煙を巻き上げた。イレイザーヘッドの個性の光線は、土煙に阻まれ、巨体の動きに追いつけず、抹消は不可能だった。

 

消「チッ、暴れやがって!」

 

セメントスは《セメント》の“個性”を発動し、インドミナス・レックスを拘束を開始する。

 

インドミナス・レックスの視線がそれている隙に13号が《ブラックホール》の“個性”で障害となっている瓦礫の山を吸い取り、生き残った受験生を逃がすための安全なルートを確保しようと誘導する。

 

13「受験生はそちらへ!急いで!」

 

だが、インドミナス・レックスは「獲物」を奪われることを許さなかった。

彼は、悶え苦しみながらも、最後の奥の手、そして最悪の進化を見せた。

 

インドミナス・レックスの体から、突然、緑色の強烈な電流が流れ出した。

 

ドォォン!!

 

セメントが破壊され、一瞬の静寂の後、インドミナス・レックスの身体に電流が奔り、その力は遥かに強くなっていた。

 

グラ「小僧の奴…こんなに早く会得しやがって…」

 

彼の白い装甲は、緑の稲妻のようなワン・フォー・オールのエネルギーをまとい、その巨体から発せられる殺意の圧力は、参戦したプロヒーローたちをも圧倒した。

 

AM(緑谷少年!まさか…ワン・フォー・オールをインドミナスの遺伝子で使ってるのか…!?)

 

奴は、制御不能なインドミナス・レックスの肉体で、ワン・フォー・オールを発動させたのだ!

 

インドミナス・レックスとワン・フォー・オールの力が合わさった事でその力は極限まで増幅され、破壊衝動とパワーが無限の連鎖を引き起こした。

 

インドミナス・レックスは、血と瓦礫に塗れた広場の中央で、人類史上最凶のハイブリッド体として、新たな咆哮を上げた。その声は、歓喜と絶対的な支配欲に満ちていた。

 

「グァアアアアアアアァァ!!!」

 

ヒーローたちと、生き残った受験生たちの顔に、再び絶望の色が塗り付けられた。

 

ワン・フォー・オールの力を無意識に引き出し、圧倒的な暴力性を増したインドミナス・レックスはもはやただの暴走ではなく明確な目的を持った行動を始めた。

その目は、苦悶の表情を浮かべた緑谷出久の理性とは裏腹に狡猾で冷徹なハンターの知性を宿していた。

 

彼の最初の標的は、受験生を逃がそうと尽力していた13号だった。

 

「グアアァァ!!」

 

インドミナス・レックスは、ワン・フォー・オールで強化された剛腕を、音速に近い速さで叩きつけた!

 

ドバァァン!!

 

空気の圧縮と骨質の装甲がぶつかり合う凄まじい衝撃波が13号のヘルメットを直撃する。

13号はその衝撃に耐えきれず、悲鳴を上げる間もなくその場に倒れ込んだ。

 

逃走経路の確保を試みたヒーローを無力化すると、インドミナス・レックスは次の行動に移った。彼は、自身の進路にある巨大なビルに向かって、ワン・フォー・オールを頭部に集中させ、一気に突っ込んだ!!

 

ドォォオオオン!!!

 

凄まじい衝撃波が炸裂し、ビルの中心部に、直径数メートルにも及ぶ巨大な穴が、まるでバターを切り裂くように貫通した。コンクリートと鉄筋は粉砕され、煙と塵が巻き上がる。

トンネルが開いた。

 

インドミナス・レックスは路地裏に残された受験生たち、そして瓦礫の陰で震えるお茶子や天哉に向かって威圧的な咆哮を上げた。

 

「ーーーーー!!」

 

恐怖で判断力を失った受験生たちは血飛沫の道を通り、そのビルに開けられた闇のトンネルへと我先にと駆け込んでいく。インドミナス・レックスは、その背後を追うように、巨大な足音を轟かせながら、トンネルへと飛び込んだ。

 

一連のあまりにも迅速で、知性を感じさせる行動に、雄英の教師陣とプロヒーローたちは、一瞬、呆然と立ち尽くした。

 

シン「馬鹿な…!まるで、獲物を誘導しているようだ…!」シンリンカムイの身体に戦慄とが奔る。

 

イレイザーヘッドは、目を大きく見開いたまま、その信じられない光景を睨みつけていた。彼は、出久の“個性”は単純な暴走ではなく「殺戮を楽しむための戦略を持った敵」として発揮されていることを悟った。

 

その中で、個性の特性から建築構造に詳しいセメントスの顔が、蒼白に染まった。

 

セメ「マズイ…!急いで追いかけるぞ!!」

 

彼の声は、緊張で張り裂けそうだった。

 

セメ「あのトンネルの方向は…!あの建物群の向こう側は、別の試験会場、第3試験会場がある!奴は新しい獲物を求めてそちらに向かったんだ!」

 

セメントスの絶叫で、雄英の教師陣は、事態の最悪の可能性を理解した。

 

インドミナス・レックスは、自身の狩場を拡大し、より多くの人間を蹂躙するという、猟奇的な目的のために、ワン・フォー・オールを使って新しい殺戮の舞台を準備したのだ。

 

オールマイトは、ワン・フォー・オールを極限まで発動し、自らの体が限界を迎えているのを無視し、痛む胸を叩きながら、巨大な穴が開いたビルの入り口へ向かって走り出した。

 

AMは教師陣やプロヒーロー達に他の受験生の避難誘導を指示した。

 

AM「緑谷少年…!君の心を…怪物の本能に渡しはしない!!」

 

オールマイトは最高速度で「白い悪魔」と化した出久を止めるため、地獄へのトンネルへと飛び込んでいった。

 

そのトンネルの先には、何も知らずに試験に挑んでいる、もう一つの受験生たちの集団が、新たな惨劇の舞台として待っていた。

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