※この作品はR-18です。

まやかしの終わり 三部 夜の女王   作:伊駒辰葉

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エロシーンはありません。
ここから六章です。


六章
無責任と言われる水輝w


 眠る理子の傍で優一郎はぼんやりと理子を見つめた。理子は眠る前までの剣幕が嘘のように穏やかな表情をしている。優一郎はベッドに座り、理子の髪を優しく撫でた。すると理子がくすぐったそうに顔をしかめ、優一郎の手に頬ずりをする。

 

 恐らく理子が眠りについてしまったからだろう。あの後、理子が作り出した鏡は唐突に消えてしまった。壊れかけた沙雪に自慰を命じて退室させた後、優一郎は理子をベッドに横たえた。

 

「んー……ぱぱー……」

 

 優一郎の手に頬ずりをしながら理子が小声で呟く。優一郎はそんな理子を見つめて微笑みを浮かべた。だがすぐに優一郎の顔からは笑みが消えた。

 

「理子、君は必ず護る」

 

 そう呟いて優一郎は考えを巡らせた。理子を敵と認識している以上、立城は容赦はしないだろう。今の理子に本気で攻撃を加えられたら、それこそあっけなく死んでしまうかも知れない。

 

 優一郎は深々とため息を吐いて頭を押さえた。理子がどうして立城をあれだけ毛嫌いしているのか、何となく想像がつく。水輝も言っていた。立城は最初から理子に目を付けていたのだ。だから理子は本能的に立城を嫌い、あれだけ怒り狂っていたのだろう。

 

 恐らく立城にはなにか思惑があるはずだ。もしもただ殺すのが目的なら、理子が幼い赤子の時に手を下していただろう。その方が早い。だが立城はそうしなかった。水輝の言葉から、立城が理子を取り上げたことは判っている。その時に手を下せば今よりずっと楽だったはずだ。

 

 何のために。そう呟いて優一郎は眉を寄せた。しかも、立城の子供が無事に産まれたこの時に、というのがやけに引っかかる。水輝はあれに時限爆弾を仕込んだと言っていた。が、話の流れからするとあれはまだ生きている。

 

 多輝を狙うなら、まだわかるんだけど……。心の中で呟いて優一郎は息を潜めた。多輝は水輝の力を使えないながらも持っている。しかも龍神としての力をほぼ丸ごとだ。多輝の大きな器だからこそ、あの力は何とか納まっているのだ。立城がもし、水輝の力を狙うなら襲われるのは多輝だろう。だから尚のこと、理子が狙われる理由が判らない。

 

 夜叉の属性も持つから? 今さらどうして。そこまで考えて優一郎はあっ、と小さな声を漏らした。慌てて理子を見る。だが理子は優一郎の手に頬を寄せ、穏やかに眠っているままだ。優一郎はそっと手をずらし、理子の手に自分の手を重ねてみた。ゆっくりと意識を理子の意識に潜らせていく。

 

 夜叉とは龍神のある感情を固めたものの名前だ。だがその属性はあまりにも強く、無作為に龍神の性欲を誘う傾向がある。優一郎は慎重に理子の夜叉として見た場合の力の源流を探った。きっと理子の持つ夜叉の属性の源流は佑か自分にあるに違いない。そう思っていた優一郎は、力の流れの底に水輝を感じて驚きに息を飲んだ。

 

「ぱぱ……」

 

 微かに呟いた理子が優一郎の手を軽く握り、指を絡める。優一郎はぎくりと肩を竦めて慌てて理子を見た。だが理子は目を覚ましてはいない。

 

 しかも、今も繋がっている!?

 

 呆然とする優一郎の指に指を絡め、理子が微かな声を漏らす。理子は眠りながらも優一郎の指を自分の指で艶めかしく愛撫し始めた。慌てて引っ込めようとした優一郎の手を、今度は反対側の手で捕らえ、唇を寄せて指をしゃぶりはじめる。

 

「理子……」

 

 そっと呟いて優一郎は指で理子の口の中を弄った。小さな口の中を指で蹂躙しているうちに、熱いものが腹の底からこみ上げてくる。優一郎は無意識に身を屈め、自分から理子の口に指を入れて舌を弄りはじめた。甘えた声を上げた理子がひくりと眉を寄せて優一郎の指に舌を絡ませる。

 

「水輝さんも無責任な」

 

 力の流れを読みながら優一郎はぽつりと呟いた。理子の持つ夜叉の属性に繋がっているのは水輝の想いだ。その多くは水輝が優一郎に向けるものに繋がっている。が、一部が立城に対する、それも生理的嫌悪感にのみ繋がっているのだ。

 

 結局、全て切り離せていないってことじゃない。心の底で呟いて優一郎はそっと息を吐いた。




エロシーンに入る前に切りました。
短くてすみません。
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