※この作品はR-18です。

まやかしの終わり 三部 夜の女王   作:伊駒辰葉

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エロシーンです。


青い寝所であれこれと 1

 屋上に野ざらしにされていた裸の多輝に女が二人がかりで服を着せた直後、素っ頓狂な悲鳴を上げながら由梨佳が多輝に駆け寄る。そんな光景をぼんやりと見つめて水輝は目を細めた。

 

『ありゃあ、当分再起不能だな』

『過保護すぎたのよ。今までが。水輝さんも優一郎も』

 

 水輝に膝枕をしていた佑がそう言う。水輝は佑の膝に頬ずりをしてから水鏡に目を戻した。虚ろな眼差しをした多輝を由梨佳が引きずっていく。

 

『過保護もなにもなあ……。あれはどう転んでも根っからイチゴだし』

 

 由梨佳は苦労するだろうが、今のところはいいマネージメントをしているようだ。そう付け足して水輝は欠伸をした。今日は趣向を変え、ベッドに横たわって水輝は水鏡を見ていた。水輝ももちろん、膝枕をする佑も裸のままだ。

 

『イチゴって言ってればなんでも済むっていう発想が過保護なのよ』

 

 そう言って佑が難しい顔をする。だがその手は優しく水輝の髪を撫で続けている。水輝はそうは言ってもなあ、と呟いてため息を吐いた。

 

『本質的な話をしているんだがな、おれは。何も茶化したりごまかしたりしてるつもりはないぞ?』

 

 手触りのいい佑の乳房を下から手で軽く持ち上げ、先端を指先で擦る。するとそれまで水輝の髪を撫で続けていた佑がぴくりと身体を震わせた。

 

『理子に圧されなければいいけど……』

『理子は大丈夫だろう。多輝のことはやっぱり好いているし、その辺りは上手くやるさ』

 

 まだ多輝は必要だ。そう続けて水輝は手を軽く動かした。水輝の手に揺すられた佑の乳房が上下に揺れる。

 

『それにしても……。理子って、どうやったらあんな無茶な発想ができるのかしら』

『それをお前に言われたくはないと思うがな』

 

 苦笑を浮かべて言ってから、水輝は身体を起こしてあぐらをかいた。足の間に佑を抱きかかえて座らせる。両腕で佑の身体を包み込み、ゆりかごのように身体を揺すりながら水輝は冗談交じりに子守歌を口ずさんだ。すると佑が困ったような顔をして笑う。

 

『わたしは確かに客観的に見れば無茶やってるように見えたかもしれないけど、きちんと熟慮のうえ行動してたわよ! 脊髄反射で動いてるようなあの子と一緒にしないで』

 

 そう言って胸を張る佑を見つめ、水輝はそうかそうかと頷いた。

 

『熟慮の上で建物の壁や床をつるはしで破壊し、熟慮の上で紫翠を叩き殺し、熟慮の上で順を檻に閉じこめ、熟慮の上でおれを殺しかけたと』

 

 ずらずらと並べてから水輝は佑の顔を覗き込んだ。

 

『それは、不幸な事故もあったかもしれないけど……』

『理子と大差ないだろ?』

 

 しょんぼりとする佑に笑いかけて水輝は身体を前後に揺さぶった。水輝の足の間に座る佑の身体も一緒になって揺れる。

 

『あの子のほうが上。子は親よりも優れてるんだから』

『優れる、って言葉の意味をもう一度よく考えろ』

 

 呆れた顔で言ってから水輝はぷっ、と吹き出した。拗ねた顔をした佑が妙に可愛らしく見えたのだ。

 

『わたしなんかの、どこがいいの?』

 

 ふと真面目な顔になって佑が訊ねる。そうだなあ、と視線を彷徨わせてから水輝は佑に目を戻した。

 

『そういう、真面目な顔して質問しながら実はどきどきしてるところ』

『水輝さんの意地悪っ』

 

 ぷくっと頬を膨らませて佑が横を向く。水輝は身を屈めて佑の耳許に軽くキスをした。唇を寄せたままで囁く。

 

『拗ねた顔もけっこう好みかな。基本的に佑の身体は好きだし、予測できない無茶をするところも、割と面白いと思ってる』

『もう、水輝さんってば』

 

 拗ねた顔をしつつ佑が頬を赤くする。水輝は佑の耳許でくすりと笑い、でも一番は、と言葉を続けた。

 

『おれ以外が見えてないところ。おれがこうやって囁くだけで感じるいやらしいところも好み』

 

 佑の耳に唇を触れさせたまま、水輝は言葉を紡いだ。腕の中で佑がぴくん、と何度も身体を震わせる。

 

『んっ……水輝さんっ』

 

 掠れた声で呟いて佑が目を潤ませる。水輝はゆっくりとあぐらを解き、片方の膝を立て、その足に佑の身体をもたせかけた。軽く顎をつかんで横を向かせたまま、佑の耳許に囁く。

 

『何を囁いて欲しい? 今なら好きな言葉を紡いでやるぞ』

 

 折り曲げた水輝の足に背中を預け、頬を染めて息を荒らげていた佑が薄く目を開ける。

 

『んっ、水輝さんが、わたしに、本当に求めることを』

 

 たまに覗かせる儚げな笑みを浮かべ、佑がぽつりと呟く。

 

『おいおい。こういう時は愛してるとか、そういう言葉を要求するもんだろ』

 

 苦笑をしつつ、水輝は改めて佑の耳に唇を寄せた。軽く耳朶を噛んでからそっと囁く。

 

『おれはここで余生を穏やかに過ごすつもりなんだよ。荒れる世界を面白おかしく眺めながら、奈月と佑と一緒にな』

『……ごめんなさい。幸せすぎて、心配になるの。夢の中の、あの頃みたいに……。ああんっ!』

『お前のそれも根深いな……』

 

 微かな声を上げた佑を抱きしめ、水輝はベッドに一緒に倒した。小さな悲鳴を上げて横たわった佑にのし掛かり、耳許に唇を寄せる。

 

『ほら、他には?』

 

 佑の髪を指に玩びながら水輝は囁いた。蕩けそうな顔をした佑が水輝の身体の下で身震いする。

 

『んふっ! 愛してるって、言って……ください』

『愛してる、佑』

 

 微かな笑みを浮かべ、水輝は佑の耳にそう囁きかけた。その瞬間、佑が切なそうな声を漏らして身を捩る。だが水輝は身体で佑の身体を覆っているだけで、愛撫はわざとしなかった。




エロシーン開始です。
4回分くらいに分けました。
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