※この作品はR-18です。

まやかしの終わり 三部 夜の女王   作:伊駒辰葉

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エロシーンがちょっとあります。
機械なので苦手な方は避けて下さい。


添乗員はいません。

 電源の入っていない由梨佳を担ぎ、多輝は黙って歩き続けた。外の国のことではあるが、発生した大惨事に煽られてこの国の人々も騒ぎ始めている。だがきっとこの地上にはどこにも安全なところはない。多輝は唇を引き結び、街の喧噪を抜けた。

 

 多輝と由梨佳が居たのは清陵のとあるラブホテルだった。転移しようにも力が上手く使えず、出来なかった。そのため、由梨佳を背負ってホテルを出た多輝は地下鉄を使おうとした。

 

 だが急に起こった大きな地震のため、地下鉄は使えなくなっていた。多輝は黙って歩きながら考えを巡らせた。

 

 ホテルの部屋で見たテレビには悲惨なニュースが立て続けに映された。大陸が沈み、島々が沈み、海の真ん中に突如、陸が現れる。そして人々は今も酷い災害に晒されている。

 

 どうしても自然災害とは思えなかった。多輝は強ばった顔をして黙々と歩き続けた。住宅地を抜け、なだらかな坂を上がったところにその屋敷はある。多輝は目の前に広がる荒れ果てた庭に目を細め、由梨佳を担ぎ直した。枯れた木があちこちに生える庭を何とか抜けて、玄関に辿り着く。多輝は鍵のかかったドアを強引に足で蹴り破り、屋敷に入った。

 

 ここならヒューマノイドを修復する設備が整っているはずだ。来てみて正解だったと思いながら多輝は暗い屋敷の中を手探りで進んだ。

 

 先に発生した地震が原因なのか、かつて地面に沈んでいたこの屋敷は元通りに地上に姿を現していた。多輝は埃や蜘蛛の巣を払いのけながら少しずつ先に進んだ。辛うじて探り当てた電灯のスイッチを入れてみる。だが、やはり電気の供給は切れているらしい。

 

 出来るはず、と呟いて多輝は軽い力を周囲に散らした。すると瞬く間に屋敷の電灯が点く。多輝は明るく灯った天井の電灯を見上げ、先を急いだ。

 

 廊下を進み、懐かしい部屋に辿り着く。そこで漸く多輝は背負っていた由梨佳を下ろした。埃を払ったかたいベッドに由梨佳を横たえる。由梨佳の足を開いて股間の具合を確かめた多輝は頷いた。どうやらそれほど酷く壊れてはいないらしい。多輝は部屋に積んであったダンボールを手当たり次第にひっくり返した。そうしているうちに目的の部品が見つかる。多輝はそれを手につかんで由梨佳のところに駆け戻った。

 

 手早く部品を付け替え、カバーをはめ込んだところで由梨佳のへそに指を押し込む。スイッチを入れると由梨佳がゆっくりと目を開いた。

 

「大丈夫か?」

 

 多輝は真剣な顔で由梨佳の顔を覗き込んだ。

 

「わたし……あれ? あなたは、多輝くんよね? わたしは……あっ」

 

 そう言った由梨佳が股間に手をあてがって自慰をし始める。多輝は由梨佳を抱きしめ、台の上に押し倒した。ごめん、と先に詫びてからズボンの前を開き、由梨佳の膣内にペニスを突っ込む。

 

「ああっ! んっ! 多輝くんっ! ああっ! んっ! いいっ! いいのぉっ!」

 

 多輝がペニスを挿入した直後、由梨佳の女性器ユニットが最大出力で作動する。腰をがくがくと揺する由梨佳を抱きしめ、多輝は静かな声で言った。

 

「由梨佳。ごめん、どうしても訊きたいことがあるんだ」

 

 多輝の耳許で由梨佳は甘ったるい声で喘いでいる。多輝は目を細めて由梨佳の身体を抱え上げた。台に座って腕に強く由梨佳の身体を抱きしめる。

 

「ああっ! 多輝くん、なに?」

「落ち着くまで先にするか?」

 

 多輝は真剣な顔をして由梨佳の顔を覗き込んだ。多輝のペニスを膣内に咥え込んだ由梨佳はほんのりと頬を染めている。

 

「んっ、性感レベルを下げてっ! ああんっ!」

「あ、ごめん」

 

 多輝は慌てて由梨佳のクリトリスを操作した。すると少しずつ由梨佳の呼吸が落ち着いてくる。大丈夫か、と多輝は再度訊ねた。

 

「大丈夫……。この状態で、なんとかバランスが保てるみたい……」

「そうか」

 

 頷いてから多輝は今度は包み込むようにして由梨佳の身体に両腕を回した。優しく抱きすくめられた由梨佳が驚いたような顔をする。多輝は由梨佳の肩に額を強く押しつけ、小声で言った。

 

「おれがいない間になにがあったか教えてくれ」

「わたし、あの後、オナニーが止まらなくなって、動けなくなってしまって……。気がついたら、そのあの……」

 

 言葉を濁して由梨佳が俯く。そうか、と呟いて多輝はそっと腕を解いた。それから多輝は由梨佳の手を握り、真剣な顔で由梨佳を見つめた。

 

「テレビのニュースで観た。大陸とか島が次々に沈んでるらしい。さっきも大きな地震があって、交通機関がストップしてる」

「優一郎さんは、立城さんに戦いを挑みにいったわ! その影響!?」

「やっぱりか……」

 

 低い声で呟いて多輝は俯いた。嫌な予感はしていた。空気に溢れる気配を微かに感じた時、多輝は背中がぞくりとするような感じを覚えた。あれは自然災害などではない。二人の力が影響し、陸が海に飲まれてしまったのだ。

 

「多輝くんが掠われたって話をしてから、優一郎さんの雰囲気が変わったから……。言動は普段と変わらないのに、抜き身の刃のような……」

「おれのことはどうでもいい。たくさんの人が」

 

 呻くように言って多輝はかたく目を閉じた。テレビに映されていた悲惨な光景がまざまざと脳裏に蘇る。

 

「たくさん、人が死んでた。人じゃないものもいっぱい、死んでた。……魔なんて目じゃねえ」

 

 あれほど強い力に晒されたら、大抵のものは死んでしまう。多輝は低い声で呟いてから顔を上げた。

 

「そんなに……酷いことに?」

 

 怖々と由梨佳が言う。多輝は頷いてから由梨佳を真剣な顔で見つめた。

 

「この街を出るぞ、由梨佳。安全なところなんてないって思うけど、でも」

「多輝くん、わたしは多輝くんについていく。多輝くんのものだもの」

「はーい! そこで南の島へのバカンスはいかがっすかー!?」

 

 真面目な顔で由梨佳が答えた直後、唐突に部屋のドアが開いて底抜けに明るい声が聞こえてくる。多輝は唖然とした顔で声の主を見た。ドアを開けたのは順だ。肩に藍色の刀を担いだ順が親指を立てて片目を閉じる。

 

「今ならウチの旅行会社の美人添乗員付き! 何ならアッチのサービスもしとくよん!」

「てめえははしゃぎ過ぎだ。ボケが」

 

 順の後ろに現れたのは、確かここの執事だった男のような気がする。多輝は急に現れた二人を見比べ眉を寄せた。

 

「何なんだ、一体」

「おお! 多輝ちゃん、無事生還おめでとう! 由梨佳さんも無事で何より。バカンスで憩いのひとときを過ごしてみませんかー!?」

「ありがとう、ございました。多輝くん、あなたを助け出してくれたのはこの人達よ」

 

 由梨佳がそう言って軽く頭を下げる。多輝は驚きに目を見張って順と背後の男を見比べた。慌ててどうも、と頭を下げた多輝を順が何故か笑い飛ばす。

 

「あっははは! いや、とりあえずね。そゆことは後でいいから。ええとね、今ならヒューマノイドの部品、機材など各種取りそろえたお部屋を準備出来るんですがね?」

「要するに、逃げろってこった」

 

 ずらずらと並べ立てた順とは対照的に男が酷くぶっきらぼうに言う。確かこの男は執事で、丁寧できちんとした喋り方をしていたように思う。が、多輝はその辺りのことはさっぱり無視し、由梨佳をそっと抱え上げて膣からペニスを抜いた。手早く服の乱れを整えて台から飛び降りる。

 

「丁度いい。今さっき逃げる算段をしていたところなんだ」

 

 険しい顔をして多輝は順たちを見た。信用できるんだろうな、という意味を込めて睨みつける。すると順が何故か短く口笛を吹いた。

 

「お。なんかいい顔してんね」

「多輝くん。行きましょう」

 

 そう言ってから由梨佳が頷き、視線を下げる。そこで由梨佳は漸く自分の格好に気付いたらしい。

 

「きゃあっ!」

「あ、ごめん」

 

 多輝は手を伸ばしてそっと由梨佳のスカートを直した。由梨佳はスカートをまくり上げて足を大胆に開いた格好をしていたのだ。

 

「ほんじゃ、ま、豪華リゾートホテルにご招待!」

 

 そう言ってから順がぱちんと指を鳴らす。次の瞬間、多輝と由梨佳はその場から転移させられた。弾けた視界が再構成される。

 

 そこには見知らぬ部屋があった。広々とした海岸が窓から伺える。広い窓は開け放たれていて、さわやかな風がそこから入ってくる。多輝は何度か瞬きをして周囲を見回した。優しい自然な色に包まれた部屋は、そこにいるだけでほっとしそうな雰囲気だ。部屋から張り出した床には大きなカウチが置かれている。

 

「添乗員なんていねえ……」

 

 多輝は苦笑して頭をかいた。由梨佳が物珍しそうに窓から外を眺めている。

 

「多輝くん。これから、どうするの?」

「とりあえず様子を見る。変に動いても仕方ないし、由梨佳が騒ぎに巻き込まれるのは嫌だ」

 

 だから順の勧め通りに少しゆっくりしよう。そう言ってから多輝は籠のように編みあわされた椅子に腰掛けた。




突然出てくるのは順の仕様です。
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