BL警報!
立城に買い取られてひと月ほどが過ぎた。水輝は昼間は一人でぼんやりと過ごすことが多かった。立城が吉良瀬財閥の当主に返り咲いたからだ。そのため、立城は日中は忙しく出かけていることが多い。その仕事の多くは対外的なものなのだそうだ。
仕事を終えて屋敷に戻った立城と夕食を共にし、それから音楽を聴いたりニュースのチェックをしてベッドに入る。そこからが水輝の仕事になる。立城は飽きもせず毎晩水輝をベッドに呼びつける。水輝は言われるままに立城のベッドに入り、要求に応えてセックスする。そしてそれが終わると立城は大抵、水輝に抱かれて眠りに就く。
ぼんやりとした目で庭先を眺め、水輝はため息を吐いた。
「何でお前は次から次へとそういう訳の判らんことを言うかな」
一息で文句を言ってから水輝は振り返った。真夏が過ぎ、周囲には秋の気配が近づいている。暗い庭からは虫の音が時折聞こえてくる。
「そう? 女性で僕の相手をすることはサービスに含まれていない?」
「女になれるわけねえだろ! おれが! 力なくなったっての、まだ判ってねえのか!」
苛々と頭をかきながら水輝は大股で部屋の中に戻った。立城はのんびりとソファに座って笑っている。水輝は立城をぎらりと睨んでからベッドに座った。
「あのな。やりたいならこのままやれ。自慢じゃないが別におれは男とでも出来るぞ」
腕組みをして水輝はふんぞり返った。すると立城が少し首を傾げて唇に手を当てる。
「それは知っているけどね。たまには僕も女性としたいじゃない」
「なら、外で女買ってこい!」
水輝は部屋のドアを指差して喚いた。すると立城がわざとらしく眉を寄せて悲しそうな顔をする。
不思議なことに立城は水輝がここにいることを他の誰にも話していないという。水輝にはそれが理解出来なかった。多くの配下を失い、護るべき天龍神を攻撃され、天界を大きく乱された白琅渉や、そのとばっちりを食う羽目になった黒妖牙が何も思っていないはずがない。恐らく彼らからは多くの苦情が立城の元に流れているだろう。ここに水輝がいるのだとひと言言えば、彼らからの苦情や文句は全て問題を起こした当人である水輝に向かうことになる。それだけでも立城は随分と楽になるはずなのだ。
あれから二年以上の月日が流れた。もう過ぎたことと彼らは考えているだろうか。恐らくそんなことはないだろう。今もなお、あの時に放った魔法は世界に影響を与え続けている。力が失われた今、あの魔法を覆すほどの力を放つことは出来ない。もしも彼らに事情の説明を求められても事実を述べる以外のことは水輝には出来ない。
考え込んでいた水輝は立城が寂しそうな顔をしている事に気付き、慌てて咳払いをした。
「とにかくだ。おれが女になるなんてプランはサービスには入ってない」
「追加料金を支払っても?」
「あのな。したくないとかじゃなくて、無理なんだよ。判るか? どれだけ金を積まれようが女にはなれねえ」
唇に指を当てて上目遣いで言った立城に水輝は憮然とした態度で返した。だがまだ立城は納得していないのか、水輝に物言いたげな視線を送る。本当は出来るでしょう。立城の視線がそう言っている気がして、水輝は苛立ちをこめて立城を睨み返した。
それで諦めたのか、立城はそれ以上に無理を言うことはなかった。だが女性になって抱かれる気もなかったらしい。水輝の言った通り、立城は男の姿をしたままでのセックスを要求した。水輝はそれなら出来ると立城の要求を飲み、ベッドで相手をした。
これまでに色んな男に抱かれた。中にはわざと水輝に恥辱の言葉を吐かせる趣味のある者もいた。だから決して珍しい訳ではない。水輝は身体のあちこちを弄られながら、求められるままに恥ずかしい言葉を口にした。
「よく聞こえなかったよ。もう一度言って」
うつ伏せになり、膝を立てて尻を上げた格好で水輝は空気を求めて口を何度も開閉した。身体の奥からこみ上げてくる熱が息に混ざって喉を通って外に出る。全身にびっしりと汗をかき、からからに乾ききった喉の奥から水輝は懸命に声を絞り出した。
「だから、ケツの中を、ぐちゅぐちゅに弄くられて」
「それで?」
口許に微かな笑みを浮かべて立城がそれまでより激しく指を揺する。水輝はシーツをつかんで腰を突き出した。オイルをたっぷりと塗された水輝の肛門に立城の指が根元まで食い込む。
「ここを弄られて感じたの?」
深い微笑を浮かべて立城が腸内で指を揺する。水輝は腹の底からこみ上げてくる強烈な快感のままに声を上げた。
十分に水輝を言葉で嬲った後、立城がペニスを挿入する。水輝は犯されながら夢中で腰を振った。何故かどこを触られても気持ちよく感じられた。もう何度射精したか判らない。懸命に腰を振る水輝の背に立城がそっと指を這わす。あまりに快感が強く、水輝は立城が何をしようとしているのか気付かなかった。
水輝はいつもやられ役。