BL警報! 調教? 警報です!
濡れた服を剥ぎ取られ、バスルームで二人の女に嫌と言うほどに身体を擦られる。水輝は黙ってされるがままになっていた。十分ほど執拗に水輝の身体を磨きまくったところで漸く納得したらしい。女たちがしずしずとバスルームを後にする。
湯船に浸かって身体を暖めてから、水輝はふらりとドアの外に出た。バスルームの外で待ち構えていた女たちが今度は水輝の頭や身体を拭きにかかる。うっとうしいと思いつつも水輝は黙って女たちの好きにさせた。
ガウンを着て部屋に戻った水輝に紫藤が手招きをする。あの煩い男二人組はいつの間にか居なくなっていた。水輝は無言で紫藤に寄りながら何となく部屋を見回した。豪奢なじゅうたんにやたらと大きなオーディオセット、それに広々としたベッドが印象的な部屋だ。大きなスピーカーからは朗々とした男性の歌が流れている。
「意外だな。オペラかよ」
「何だね? 私に似合わないかな」
愉快そうに笑って紫藤が手を伸ばす。水輝はされるがままに紫藤の横に腰掛けた。どうやら紫藤は音楽が好きらしい。部屋の隅にある硝子張りのケースには楽器が幾つか納まっている。振り返ってそれを見てから水輝は口許に嗤いを浮かべた。
「いつだったか、博物館から楽器が三点なくなったって聞いたことがあるな」
「おや、そんな事件があったかね。それは初耳だな」
驚いた顔をして紫藤が言う。水輝はけっ、と喉の奥で嗤った。硝子ケースに飾られているバイオリン、ビオラ、チェロの三点はどれも博物館入りしていた逸品中の逸品だ。
「弾いてやろうか?」
「弾けるのか?」
笑い混じりに言って紫藤が立ち上がる。手にしていたブランデーのグラスをテーブルに置き、紫藤は硝子ケースに歩み寄った。執務机の引き出しから鍵の束を取り出し、硝子ケースを開ける。中からバイオリンと弓を取り上げる。水輝は立ち上がって身軽にソファを飛び越えて紫藤に歩み寄った。
「別にうまかねえよ」
差し出されたバイオリンと弓を受け取って、水輝は軽く音を出してみた。どうやら長くケースに閉じこめられていた割には音は狂っていないようだ。紫藤がオーディオセットに近づいて流れていた音楽を止める。水輝は顎の下にしっかりとバイオリンを挟んで静かな曲を弾き始めた。
「ほう」
感心の声を漏らして紫藤がソファに座り直す。水輝は黙って目を閉じて曲を弾き続けた。
「たまには弾いてやれよ。楽器が拗ねるぞ」
「無気力な顔をしている割にやけにロマンチックなことを言うな」
水輝はそこで目を開けて、楽しそうに笑った紫藤を睨みつけた。すると紫藤が肩を竦めて言う。
「残念ながら私も、社員も楽器は弾けなくてね。何ならお前が毎日弾いてやるか?」
「冗談。面倒だ」
そう言いつつも水輝は曲を奏で続けた。弦に弓を乗せて音に耳を澄ます。やっぱり前のように無意識に弾いているとどうしても音がぶれる。水輝は意識を研ぎ澄ましてなるべく音が不自然にぶれないように気をつけた。
曲が終わると紫藤が感心したように拍手する。水輝は仏頂面でバイオリンを紫藤に突き出した。
「あんたは音楽鑑賞がしたいのか、それともセックスしたいのか、どっちなんだ」
「面白い奴だな、お前は。それだけの腕があるのに音楽で食おうとは思わないのか?」
何が楽しいのだろう。紫藤が笑いながらそんなことを言う。水輝は不機嫌な顔で紫藤の手にバイオリンを押しつけ、その場で唐突にガウンを脱ぎ捨てた。
「やるのかやらないのかどっちだ。やらないならおれは出て行くぞ」
「ほう。やはり身体も綺麗だな。彫り物でも入れるかね?」
舐めるように水輝の身体を眺めて紫藤が感心したように言う。そんな紫藤を鼻で笑って水輝は腕組みをした。
「おれはあんたに買われたんだ。彫り物でも何でも好きにしろ」
「やれやれ。せっかちな男は嫌われるぞ?」
紫藤がそう言って腰を上げ、バイオリンを元通りにケースにしまいこむ。水輝は裸のままでベッドに飛び乗り、横になった。紫藤がゆっくりとベッドに歩み寄り、うつ伏せになった水輝の背を撫でる。
「ここに龍でも彫ればたいそう映えるぞ」
それを聞いた水輝はぴくりと眉を寄せた。いいからとっとと入れろ。不機嫌にそう告げると紫藤が笑う。
「龍は嫌かね?」
「いいからさっさとしやがれ。前戯もいらねえ。とっとと入れろ」
不機嫌きわまりない顔で肩越しに振り返り、水輝は紫藤を睨みつけた。ふむ、と呟いた紫藤が指を滑らせて水輝の尻に触れる。水輝は組み合わせた腕に顔を伏せ、自分から膝を立てて腰を上げた。
「前戯もなしでやったら怪我をするぞ?」
「わざわざ気遣いどうも。でも要らないっつったらいらねえんだよ」
どうせ性行為というのはペニスを突っ込んで擦って射精するだけのことだ。水輝は腕に顔を伏せたまま、ぶっきらぼうに言った。だから入れたければ勝手に入れればいいし、出したければ出せばいい。
なるほど、と呟いた紫藤が無造作に水輝の尻の間に指を突っ込む。水輝は目を見張って息を殺した。節くれ立った指が無遠慮に窄まりを押し広げて出入りする。
「ここは調教済みかな? やけに指の通りがいいが」
笑い混じりに言って紫藤が指を根元まで一気に挿しこむ。水輝は目をかたく閉じて漏れそうになる声を殺した。だが紫藤が指を腸内で強引に折り曲げた瞬間、水輝は堪えきれずに思わず声を上げた。
水輝の様子がおかしいのは仕様です。