※この作品はR-18です。

まやかしの終わり 三部 夜の女王   作:伊駒辰葉

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エロシーンありです。
BLとか調教とか警報です!


水輝の仕事始め 1

「おお、なかなかいい声で鳴くじゃないか」

「うっ、せえ! いいからとっとと、いれろ!」

 

 こみ上げてくるものを堪えて水輝は怒鳴った。豪快に笑った紫藤がやっとベッドにのぼる。指の代わりにペニスを押しつけられる感触に水輝は歯を食いしばって顔を腕に押しつけた。

 

「今日はリクエストにお答えしてすぐに入れるが」

「あ!」

 

 目の前に火花のようなものが散る。一気に突き入れられた感触に水輝は無意識に顔を上げて声を出した。紫藤の腰の動きに合わせて自然に腰がくねる。

 

「弄られて鳴く声を聞くのも堪らないものでな。……ほう。いい締まり具合だ」

「あっ、そこ、駄目!」

 

 全身がぞくりとして肌が粟立つ。太いペニスで貫かれながら水輝は甘ったるい声で鳴いた。快感が身体の奥底からこみ上げてきて、股間でペニスがそそり立つ。

 

 数時間後、水輝はぐったりとベッドに沈み込んだ。入れて出すだけなのに何でこんなに疲れなきゃならないんだ。そう愚痴をこぼした水輝を笑い飛ばし、紫藤が元通りにガウンを身に着ける。疲れ果てて動けなくなった水輝の身体を汚れを拭いたのは、バスルームで見たあの二人の女だった。

 

 毎日、夜になると紫藤に抱かれた。紫藤は体力が有り余っているのか、いつも水輝がへばってベッドに沈むまで長々と抱いた。時には他の少年を交えて複数でのセックスもした。だがそれでも水輝は特に感じることもなく、ぼんやりと日々を過ごした。

 

 全てがどうでもいい。そんな無気力な水輝が何故か気に入ったらしく、紫藤は多少の事は笑って流してくれた。

 

 ある日の夜、いつもと同じように食事をしていた時のことだ。紫藤が急に神妙な面持ちになって言った。

 

「なあ水輝。お前は仕事に興味はないか?」

 

 食事のマナーはいつの間にか身に付いていた。器用にカトラリーを操って食事をしていた水輝はぴたりと手を止め、正面に座る紫藤をまじまじと見た。

 

「おれの仕事はベッドであんたの相手をすることだろ」

「いや、実はな」

 

 言いにくそうにしつつも紫藤は説明をした。どうやら紫藤の友達が経営している店が倒れそうになっているらしい。

 

「ホストねえ……」

 

 皿にのった肉料理を片付けながら水輝はやる気のない返事をした。紫藤はそんな水輝を困ったような顔で見る。いつも若い男たちに見せている威厳のある姿ではない。少し気弱な態度が見え隠れしている。紫藤のそんな姿に水輝はため息を吐いた。

 

「別にいいけど? 要するにあれだろ? 女に貢がせるとかそういうの」

「おお! 引き受けてくれるか!?」

 

 水輝が相変わらずのやる気のない返答をすると紫藤が急に嬉しそうな顔をする。年甲斐もなく子供のように喜んでいる紫藤を何となく見ていられず、水輝はふいとそっぽを向いた。

 

「何だよ、紫藤さん。そいつに弱みでも握られてんのか? 何なら殺してやろうか?」

 

 ためらうこともなく水輝はさらりと告げた。すると待て待てと紫藤が慌てたように手を振る。水輝は淡々と食事を続けながら言った。

 

「一宿一飯の恩義っていうしな。別にその程度のことならしてもいいが」

「だから待て。そうじゃない。どうしてもと泣きつかれたんだが、お前の他にいい人材を思いつかなくて」

「はあ? 紫藤さんの周り、それなりに美形の男はたくさんいるだろう?」

 

 何しろ紫藤自身が筋金入りの美形マニアなのだ。勿論、男にしか欲情しないという性質も原因だろうが、紫藤の周りにはやたらと若く容姿の整った男がいる。そのことを思い出して水輝は渋面になった。

 

「待て。お前は何かを誤解しているぞ? 私は確かに綺麗な少年が好きだが、私の周りにいる誰もが女を抱ける訳じゃない」

 

 その多くは紫藤と同じく、男性にしか興味のない者なのだそうだ。それを聞いて水輝はふーん、と愛想のない返事をした。要するに紫藤は水輝なら男だけでなく女でも相手に出来るだろうと言っているのだ。

 

「そんなの、見ただけで判るのか?」

「判る」

 

 そこだけやけにきっぱりと紫藤が言い切る。同族の匂いでも感じ取れるというのだろうか。だが水輝はそれ以上、紫藤を言及する気にもならず、いつものように適当に話を流した。

 

 結局、水輝は紫藤の紹介という形で問題の店に勤めることになった。紫藤の愛人だということは先に伝えてあったのだろう。店のオーナーは笑顔で水輝を迎え入れた。

 

 どこにでもあるような、くたびれたビルの三階に問題の店はあった。繁華街の一角に建つそのビルはとても目立つような外観はしておらず、意識してなければ誰もが見過ごしてしまいそうな感じだった。店名の入ったネオンも壊れかけ、今にも潰れそうな雰囲気が漂っていた。

 

「それで? おれの勤務時間は? いっとくけど、おれは高いよ? 紫藤さんに聞いてると思うけど」

 

 あらかじめ紫藤に言われた通り、水輝はまず最初に給料の交渉に入った。本当はそんなものどうでも良かった。だが紫藤は面子が立たないからと強く言っていたのだ。

 

「勤務時間は週末に次週のシフトが組まれるから、その時に決まるよ。給料はそうだね。基本給を他の子の一.五倍、あとは働きに応じて能力給を乗せていくというのはどうかな」

 

 店のオーナーは紫藤とそれほど年が変わらないように見えた。だが紫藤とは異なり、威厳や覇気は感じられない。目の前に座る気弱そうな男をまじまじと眺め、水輝は判ったと頷いた。

 

 オーナーは北原と名乗った。どうやら北原は以前、紫藤の愛人だったらしい。その辺りの話を水輝は同僚になった青年たちから聞いた。同僚たちはこの店の行く末が気になっていたらしく、新人の水輝に何か情報はないかとしつこく訊ねた。だが水輝は知らん顔を決め込んだ。説明するのも、言い訳するのも面倒だったからだ。

 

 水輝は同僚が感心するほど仕事の覚えが早かった。最初はフロアで客を案内する役から始まり、続いて客についた同僚に同席させて貰う程度に、最終的には水輝自身が客を取るまでにかかった時間はほんの三日ほどだった。新顔の固定客がつくまでには一週間。つまり水輝は店に勤め始めてたったの一週間で、店に訪れる客の数を増やすことに成功したのだ。




実は水輝は人の中で働くのは初めてです!wwww
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