※この作品はR-18です。

まやかしの終わり 三部 夜の女王   作:伊駒辰葉

43 / 177
このエピソードで二章は終わりです。
エロシーンはありません。


理子とのデートの後

 元々、愛らしい容姿をした理子はどこにいても人の目を惹く。特に柔らかそうなふんわりとした銀色の髪や、それとお揃いの渋い銀の瞳が珍しいらしい。ショッピングモールについた多輝は周辺の人々の目を気にして、出来るだけ人目につかない通路の端を歩いた。

 

 だがそんな多輝の気遣いを余所に、理子ははしゃいだ声を上げてあちこちの店に入りたがる。多輝はそんな理子のわがままに根気よく付きあった。

 

「わあ! とっても綺麗!」

 

 硝子のショーウィンドウの中を覗いた理子が歓声を上げる。さりげなく振り返って物珍しそうに見ている人々に睨みを効かせ、視線を追い払ってから多輝はショーウィンドウを覗いた。

 

「へえ。切子細工だな」

 

 美しい色のついた硝子細工を見つめ、多輝は口許に笑みを浮かべた。独特のカッティングを施された様々な細工物が飾られている。グラスや皿などの食器の他に、ランプや花瓶なども置かれている。

 

「ちょっと待ってろ」

 

 理子の頭を撫で、そう言い置いてから多輝はふらりとその店に入った。硝子越しに理子をちらりと見てから傍にいた店員に話しかける。何故か女性店員の頬が赤い。そのことが少し気になったが、多輝は知らん顔をしてとあるものを買った。プレゼント用にしっかりと包んで貰ってから店を出る。

 

 理子はまだ珍しそうにショーウィンドウの中を見つめている。多輝はそんな理子の頭をぽんと軽く叩き、小さな包みを差し出した。

 

「ほら。これが欲しかったんだろ?」

「え?」

 

 理子が驚いた顔をして多輝の差し出した包みを受け取る。慌ただしくリボンを解き、箱の中を覗いた理子は嬉しそうに笑った。

 

「どうして判ったの!?」

「ん。じっと見てたから」

 

 苦笑をして多輝は両腕に軽々と理子を抱え上げた。多輝の腕に腰掛ける格好になった理子が箱の中から大事そうにそれを取り上げる。

 

 それは冴えた青い色をした水晶で出来た髪留めだった。薄い作りの髪留めの表面には独特の模様が刻まれている。理子は早速、それを髪につけてみせた。似合う似合うと多輝が誉めると理子が嬉しそうに微笑む。ありがとうと笑顔で言われ、多輝は何となく気恥ずかしいものを感じて頭をかいた。

 

「別に大したもんじゃねえし」

「そんなことないよ。多輝がくれたってことが大事なの。理子、ずっと大切にするね!」

 

 理子はそう言って真剣な顔をし、髪留めを手で押さえた。少し俯いた理子が本当に幸せそうに微笑んでいたことに多輝は気付かなかった。

 

 買い物を済ませ、帰りは電車を使って学校に戻る。地下施設に着いたところで理子は真っ先に由梨佳のところに走っていった。その後を追いかける形で多輝はゆっくりと地下施設の廊下を歩いていた。先に由梨佳の居るキッチンに着いたらしい理子の声が微かに廊下に響く。多輝は苦笑をしつつキッチンに入ろうとした。

 

 ふと、背に冷たいものを感じる。驚きに目を見張って多輝は振り返った。だが、そこには何もない。あるのは見慣れた廊下の光景だけだ。多輝は訝りに目を細めてしばしその光景を見つめた。

 

 気のせいか。そう呟いた多輝の脳裏に声が響く。だがその声はとても小さく、何を言ったのかまでは聞き取ることが出来なかった。多輝は慌てて意識を集中し、何度か同居人に呼びかけた。だがやっぱり返答がない。

 

「多輝? どうしたの?」

 

 半開きになっていたキッチンのドアから廊下に顔を覗かせて理子が言う。その背後には心配そうな顔をした由梨佳もいた。多輝は逡巡してから何でもないと首を振り、由梨佳に買い物袋を差し出した。

 

「多輝くん、何か感じたの?」

「あ、ええと」

 

 多輝は困惑に顔を歪め、由梨佳と理子を交互に見た。理子は唇を尖らせ、難しい顔つきで多輝を見上げている。由梨佳は相変わらずの心配顔だ。多輝は二人の顔を見比べてから、改めて何でもないと言った。

 

「ところで優一郎はどこにいる? 部屋か?」

 

 拗ねた顔をした理子のことが多少気になったが、多輝はあえて見なかったことにして訊ねた。

 

「あの、多輝くん……! 今日は診てもらうようにって……だから」

 

 頬を真っ赤に染めて由梨佳が小声で言う。多輝はうっかり忘れていたことに気付き、慌てて詫びた。だがさっきの声がやけに気にかかる。

 

「寄生虫なんてどうでもいいじゃない……」

 

 ぼそりとごく小さな声で理子が呟く。多輝はぎょっとして目を丸くして理子を見た。理子がにこにこと笑って由梨佳の後ろに回る。何をするのかと思ったら、理子はえい、とかけ声をかけて由梨佳の背を押した。よろけた由梨佳が正面に立っていた多輝の胸に飛び込む格好になる。

 

「大変! ママ、具合が悪いのね!? 駄目よ、ちゃんと診て貰わないと!」

 

 わざとらしく焦った声を上げて理子が何度も頷く。

 

「理子ちゃんっ」

 

 真っ赤な顔をした由梨佳が焦ったようにたしなめる。だが理子は悪戯っぽい笑みを浮かべてさっさとキッチンのドアを内側から閉めてしまった。廊下に取り残された多輝は腕に由梨佳をしっかりと抱えて苦笑を浮かべた。

 

「ごめん。最近、ちゃんとみてなかったから」

「多輝くん、おねがい……」

 

 小声で呟いた由梨佳の頬に片方の手をあてがい、多輝は静かに唇を寄せた。




エロシーンに入る前に章が変わりますw

二章登場人物

○多輝

二章ヒロイン?w 苗字は……なんだっけ。
同居人AとBに入り込まれて騒がしい。
同居人は最終的には出てったっぽい。
理子がは甘くニヤニヤ。(注:性的な意味ではない)

たまに自力でTSする。

○吉良優一郎

多輝と同じように同居人CとDに入り込まれた。
優一郎もたまに「うっ」てなっていた。
魔の出現場所を把握している。
多輝といちゃいちゃしたい。

○池田水輝

苗字を書くことも少なくなってきた。
多輝の中に間借りしていた同居人Aの正体。

昔、天彌という雷龍陣は水輝の指揮下にあった。
天彌は水輝が戯れに作ったということになっている。

○蒼

同居人B。
多輝に惚れている。
元は水輝の使い魔。
今の主人は多輝ということになっている。

1度は破壊されたように見えたが、実はこっそり復活していた。

○吉良瀬佑

ものすごくしぶとい立城の娘(の1人)。
何回消えても復活する。
優一郎に間借りしている同居人C。

水輝命で破壊が得意。
本人はその自覚はない。

○吉良瀬奈月

アンドロイド。同居人D。
昔、死んだ人間の代わりに作られた。
実は水輝の好みにしてある。
奈月は水輝しか目に入っていない。
もの凄くスタイルがいいので、他女性陣に羨ましいと言われることが多い。

○池田理子

水輝と佑の娘。
立城が引き取っていたが渚と桜に押しつけられた。
その後、由梨佳が引き取った。

○吉良由梨佳

ヒューマノイド。
かなり前だが優一郎の母親をしていた。
(実は本当の母親ではない。というかヒューマノイドだったので)
この時点で記憶をなくしているので、かつて自分が優一郎の母親だったということは覚えていない。

今は理子の世話役。
兼、多輝の恋人(多輝の認識)。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。