※この作品はR-18です。

淫縁   作:SVX

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2chのエロパロスレに初めて投稿した作品です。
幸いにも好評頂けたので以後も書こうという気になれました。
大変思い出深いです。


淫縁 I

 張り詰めた空気を切り裂くように、羽音が響き渡る。

数瞬遅れて鳴った、小気味の良い乾いた音が、射手の狙い通りに的を射抜いたと告げていた。

織部雪乃が弓道場に着いた時、丁度射手が最後の一本を放った所だった。

「おぅ、どうだった?」

 射手が弓を降ろし、緊張の糸が緩んだのを確認してから、雪乃は親しげに話しかける。

「う~ん、途中まではボクの方が良かったんだけどね。

ちょっとリズムが乱れたら立てなおせなかったよ」

 そう悔しそうに答えたのは、雪乃が話しかけた射手──雪乃の妹、雛乃ではなく、

片隅で控えていた、二人の共通の友人の桜井小蒔だった。

雛乃と同じく胴衣姿の彼女は、空は青く澄み渡り、

吹く風は冷涼な調べとなって肌を撫でるこの季節に、

額にうっすらと汗を貼りつかせている。

「いえ、今回は偶然わたくしの方が調子が良かっただけです」

「そう言って、もう三回も続けて勝ってるじゃないかッ」

「あったりまえだろ、オレの妹だぜッ」

「それがおかしいって言うんだよッ」

「何だとぉ!」

 傍から見ている者には本気で口喧嘩しているようにも見えるやりとりを小蒔と続ける雪乃を、

雛乃は意味ありげな視線で見つめる。

まともに受け止めたら息苦しささえ覚えてしまうような、熱のこもった視線。

しかし雛乃は半瞬で瞳から色を消すと、努めて普段の調子で語りかけた。

「小蒔様、そろそろ着替えに行きませんか?」

「あ、うん。そうだね。それじゃ、ボク達も着替えたらすぐに行くから、ちょっと待っててよ」

「あァ、それじゃ校門の所で待ってるぜ」

 妹が何を企んでいるか知るはずもなく、雪乃は二人と別れると校門への道を一人歩いていった。

 

「遅ぇなアイツら。何やってやがんだ全く」

 もう三十分程は待っただろうか。

元々気の長い方ではない雪乃は、なかなか姿を現さない小蒔達に痺れをきらしていた。

もちろん女性の着替えに時間がかかると言うのは解るが、

いつもならとっくに出てきている時間なのだ。

ポニーテールを軽く揺らして考え込んだ雪乃は、自分から更衣室の方へ出向くことにした。

校門から更衣室までは再び戻る羽目になるが、その分は小蒔にカラオケでも奢らせて手を打とう。

そう考えると自然と足取りも軽くなり、雪乃はやや大股で校内を進んでいった。

 

 角を何度か曲がったところで、小蒔達のいる更衣室が見えてきた。

雪乃は一気に扉を開こうとして、 小蒔達以外の誰かがいるかもしれないと思い至って手の動きを急停止させる。

軽く息を止めて中の様子を伺うと、奇妙な声が聞こえてきた。

啜り泣くような、それでいて妙に心をさざめかせるそれは、紛れも無い媚声だった。

雪乃はもちろんまだそんな声を発したことはなかったし、

他人のそんな声も聞いたことなどなかったが、

しかし初めてでも聞き間違いようのない艶やかさを、その声は纏っていた。

こんな場所で──中に友人が居るはずの部屋の中から、

こんな声が──男女が愛し合う時の声が聞こえてくるはずがない。

雪乃は腋の下に嫌な汗が浮かぶのを感じながら、

向こう側を透視するかのようにドアを睨みつけ、そして──気づいた。

わずかに開いているドアに。

 雪乃はまだ、同級生が騒ぎ立てているような異性に対する感情を抱いたことが無く、

ましてや他人の愛し合っている場面など見せられるのはまっぴら御免だった。

 しかし、今は。

 中に居るはずの小蒔に何が起こっているのか確認しなければ。

 そんな大義名分が頭をよぎり、

それはたちまち跳ね除けることの出来ないほど大きな物となって雪乃を支配する。

その為に、雪乃は遂に気づかなかった。

それが、罠だと言うことに──

 雪乃は慎重に身体を動かすと、最初から自分を誘いこむ為だけに用意されていた扉の隙間から中を覗う。

見える範囲が狭い為に、最初は何だか解らなかった光景が、像を結びはじめた。

視界の半分程を占めている白い物は、はだけた白い胴衣と、同じくらい白い肌。

そして、その下にある赤みがかった黒い物は──頭髪だった。

それも、見覚えのある。

「なッ──」

 叫びそうになった雪乃は慌てて口を押さえると、自分の見間違いだと祈りつつ目を凝らす。

部屋の中にはどうやら二人いて、一人が跪いているようだった。

「小、蒔……」

 頭髪の持ち主が自分の想像と一致していると確認した時、雪乃は呆然と親友の名を呟いていた。

細い隙間からは、全容は覗えなかったが、

媚声とはだけた肌という情報があれば、いくら雪乃でも答えは容易に想像がついた。

では、もう一人の恐らく媚声を上げている方、小蒔が跪いている相手は誰なのか。

心臓が高鳴って頭の芯にずきずきと痛みが走るのを必死に耐えながら、

雪乃は視線を上にずらしていく。

そこにあったのは小蒔よりももっと身近な──半身に近いくらいの存在の、

しかし自分とは全く異なる艶やかさを持った黒髪だった。

小蒔と──小蒔と、雛乃が──

その先の言葉を思い浮かべてしまうのを恐れるように、雪乃は扉を蹴破る勢いで室内に飛びこんでいた。

「姉様……お待ちしておりました」

 激しい音を立てて扉が開いても、雛乃は動じる様子もなく、

まるで来るのが遅いのを咎めるかのような口調で姉を迎えた。

「なッ……何してんだお前!」

 それはあと数ミリで怒りへと変わる声だったが、

雛乃は雪乃が幼い時からずっと目にしてきた、煙るような微笑でそれを受け止める。

「小蒔様は、わたくしの汗がお好きなのですよ」

 物静かな、自分とは正反対の妹の口から紡がれる倒錯的な言葉に、

雪乃は今自分のいる世界が足元から崩れるような錯覚に陥っていた。

目の前の光景に較べれば、まだ龍脈だの鬼道の方がマシだった。

「小蒔……本当なのかッ!? 操られたりしてるんじゃないのか!」

 現実を受け入れられない雪乃の悲痛な叫びに、

それまで振り向こうともしなかった小蒔がようやく身体ごと向き直る。

「雪乃……ごめんね。ボク……本当はこんなに……エッチだったんだ」

 数年来の親友が、今まで見た事も無い表情で、

口の周りにおびただしい量の妖しく光を放つ粘液をしたたらせながら歩み寄ってきた時、

雪乃は思わず後ずさりしてしまっていた。

「や……やめろッ! 来るなッ!!」

 叫びながら、雪乃はまるで、異形の者に対するような根源的な恐怖に駆られていた。

しかしそれは「受け付けない恐怖」ではなく、

「受け入れてしまう恐怖」に根ざすものだった。

それに気がついていたのは、本人ではなく妹の方だった。

以前から──もしかしたら双子として生を受けた時から、雛乃は雪乃を慕っていた。

それは幼い頃は姉妹愛として済ませられるものだったが、

年を経るにつれてその想いは募り、避けがたいものとなっていった。

しかし、残念ながらそれが人の道──そんなものがあるとすればだが──

に外れていると言う事も同時に学び、雛乃は長い間姉に恋焦がれる身を一人慰めねばならなかった。

それが終わりを告げたのは、皮肉にも「力」に目覚めた時だった。

自分と姉の身に突然宿った、人を超えた力。

それは雛乃に、彼女を世の多数に習うことを止めさせ、

禁断の道へと歩ませるに充分な説得力を与えてくれた。

ただ、姉は異性にも──もちろん同性にも、そもそも興味がないように見え、

未だ友人達と遊ぶのに夢中のようだった。

だから雛乃は、姉が最も信頼している友達──桜井小蒔──を使った。

彼女は姉よりもずっと判りやすく、姉と自分に思慕の情を向けていた。

それ故に、ほんの少し自分と同じ嗜好を持っていると仄めかすだけで、

後は小蒔の方から堕ちてきたのだ。

これで準備は整った。

あとは舞台を用意して、逃げられない迷宮へと誘いこむだけ。

雛乃は小蒔と相談して、餌を待ち構える蜘蛛のように周到にその時──

今日という日を待ち続けたのだった。

「雪乃も……ボク達とエッチなコトしようよ」

 ねっとりと、まとわりつくような声で自分を呼ぶ声に後ずさりを続ける雪乃の踵に、固い物が当たる。

思わず振り向くと、何時の間にかドアの所まで下がってしまっていた。

そのまま身体ごと向き直ってしまえば、この悪夢からは逃げられる。

しかし、それではこの先雛乃と小蒔にどんな顔をして良いか判らない。

逃げるならせめて、事情を話してもらってからだ。

 その一瞬の迷いが、雪乃の足を止めてしまう。

次に振り返った時、小蒔の顔が目の前にあった。

驚く程強い力で手首を握られて、そのままドアに押しつけられる。

後頭部がドアに当たって鈍い痛みを覚えた時、柔らかいものが唇に押し当てられていた。

それが小蒔の唇だと知って、雪乃はうなじが総毛立つのを感じる。

抵抗も忘れ、ただ呆然と伝わってくる唇の感触を受け取っていたが、

小蒔の舌が這い出してきて唇に触れると、瞳を見開いて我に返った。

「なッ……何しやがる!」

 ようやく離れた小蒔の唇に、雪乃は思わず制服の袖で口を拭うが、

それを見た小蒔の悲しそうな表情に心が怯んでしまう。

「雪乃……お願いだよ……ボクを……ボク達を、受け入れてよ」

「だ……だってよ、オレ達……」

 何か話さなければと思っても、喉がひりついて上手く声が出せない。

その隙に再び小蒔が胸に飛び込んできた。

汗と交じり合った小蒔の身体の匂いが漂ってきた時、雪乃は奇妙な胸の高鳴りを覚えた。

自分の心が自分の物で無くなった気がして、声を張り上げることで考えを打ち消そうとする。

「やッ……やめろッ! 離せ!」

 だからその声には本心よりも棘が含まれていたが、いつも姉の言うことを素直に聞く妹は、

ただ悲しそうな顔をしただけで、小蒔を諌めようとはしなかった。

それどころか。

「仕方ありませんわ、小蒔様。姉様の手を縛ってしまいましょう」

「うん……そうだね。雪乃、ごめんね」

 小蒔は自らの制服のスカーフを解くと、雪乃の手首を縛り上げる。

雪乃は抗おうとしたが、妹の手が手首に触れると何かの術にかかったように動かせなくなってしまった。

もちろん雛乃が何かしらの術を使ったのではなく、

幼い頃からの姉妹の絆が、まるで呼吸をするような無意識さで雪乃の動きを止めたのだ。

「姉様……わたくしの想い、受け止めてください」

「雛乃……」

 小蒔と同質の、甘い湿り気を含んだ声に、雪乃は空しく妹の名を呼ぶことしか出来なかった。

視界が、雛乃で覆われる。

 

 西に傾きかけた太陽から放たれている日光が、雪乃の身体を陰影濃く映し出す。

雪乃の両腕は、カーテンレールを使って頭上に高々と縛られていた。

「ボクね……ずっと前から、雪乃の身体、触りたかったんだ」

 小蒔の言葉が本当であるのは、その情感を込めた触り方からも明らかだった。

制服の上から、壊れる物を扱うかのような繊細さで撫でる。

「……っ……」

 それは感じたのではなく、単に身体を触れられて反射的に漏らしただけの吐息だったが、

小蒔は気を良くして制服の内側へと手を滑りこませた。

汗ばんだ掌をへそにあてがうと、雪乃は腹をへこませて逃れようとするが、

余裕の笑みを浮かべた小蒔は、左手で腰を捉えて徐々に手を上へとずらしていく。

「雪乃は……おっぱい、どのくらいあるの?」

「し……知るかッ!」

「ふふッ……じゃあ、ボクが測ってあげるね」

「よ、よせッ!!」

 雪乃は懸命に暴れようとするが、両手を縛られた状態ではどれほどのことも出来ず、

ほどなく小蒔の手に胸を捕らえられてしまった。

握るような動きを、二、三度繰り返され、全体を軽く揉みあげられる。

「う~ん……ボクよりは大きいかな? でも、雛乃よりは小さいね」

「あら、そうなのですか? わたくしも測ってみたいです」

 雛乃が顔を薄い桃色に染め上げながら、そっと雪乃の頬に手を触れさせる。

「ひな……の……」

「姉様の肌、滑らかですね……とても、気持ちいいです」

 そう言って雪乃の顔中を撫でまわしながら、

雛乃はさりげなくもう片方の手を制服の内側に忍び込ませた。

小蒔よりも少し温かい手が、反対側の胸に当たる。

「! ひ、雛乃……」

「姉様の胸……とても柔らかい……」

 蠢き始めた雛乃の手が制服越しにその形を浮き上がらせると、

すぐに小蒔も同調して雪乃の制服はいびつなしわだらけになってしまった。

「うん……ね、雪乃も気持ちいいでしょ?」

「そ、そんな訳……ねぇだろ……」

 しかし、微妙に異なったリズムで刺激を送りこんでくる二つの手に、

雪乃の声にいつもの闊達さは失われていた。

「……そんなコト言われると、ボクとしても後には引けないなぁ」

「小蒔様、直接触ってさし上げましょうか」

「あ、それ名案だね!」

「ちょ、ちょっと待てって!」

 思わず雪乃は叫んだが、

普段のおっとりとした雛乃からは想像も出来ない早さで下着がたくし上げられてしまった。

雛乃と小蒔の四本の指先が、胸の小さな突起をつまみあげる。

「は、ぁ……っ」

 爪先で引掻くように、指先で押しつぶすように。

雪乃は今まで自慰をしたことが無い訳では無かったが、

その回数は少なく、殆ど通過儀礼のような感じで夢中になったりはしなかった。

しかし今、二人の愛撫はその時とは比べ物にならない快感で胸先を蕩かし、

身体は少しずつ、確実に反応し始めてしまっている。

「ね、雛乃、硬くなってきたよ」

「ええ。姉様も、気持ちよくなっているのでしょう」

「ち、違う……ん、ぁ……」

 必死に否定しようとしても、二人の指先が送りこむ絶え間無い刺激に弄ばれるように、

抑えきれない声がこぼれてしまう。

「姉様」

 不意にはっきりと自分を呼ぶ声が頭に響き、

思わず顔を上げた雪乃の口を、雛乃のそれが塞いだ。

「!! ぅ……ぐ……っ、ぅあ、んむ……」

 妹と、キスしている──その事実は、雪乃の思考を止めてしまうのに充分な物だった。

先程の小蒔とのキスよりも強烈な衝撃に、大きく目を見開いたまま固まってしまう。

その隙に、雛乃の舌が潜りこんできた。

舌同士が触れ合った時、何もかも捨てて身を任せたくなるような、

快美な感覚が雪乃の身体を一瞬に包み込んだ。

生温かい、ぬるっとした感触が口の中を這い回る。

雪乃は自分が流されてしまう恐ろしさを感じて、懸命に逃れようとするが、

雛乃は後頭部を抱きかかえるようにして抑えつけ、いいようにされてしまった。

「んぐ……あ、ぅ……っぷ、ぁ……ぁ……」

 怯えて縮こまる舌を、下から掘り起こすように持ち上げられてさんざんにねぶられると、

泡立った唾液がお互いの舌を行き来するのが

まるで見えているかのようにはっきりと思い浮かんでしまい、耳が火傷したように熱くなる。

「ん……」

 雛乃の、小さく整った鼻から漏れる呼気が顔にかかる度、

ぞくぞくするような快美な衝動が内と外から雪乃を呑みこもうとする。

まだキスに慣れていない雪乃は息苦しくなってなんとか息をつこうとするが、

雛乃は容赦なく舌を責め立て、しゃぶりあげる。

抗うことさえ許されず、雪乃は膨れ上がっていく疼きをただ耐えるしかできなかった。

 雪乃がいつの間にか閉じていた目を開けると、雛乃の舌がゆっくりと離れていく所だった。

何か言おうとしたが、舌が上手く動かせない。

 口だけを空しく開閉させる雪乃に、雛乃は再び顔を近づけると、唇の周りを舌でやわやわと舐める。

そこが唾液にまみれていたのを、雪乃は妹の舌が触れたことで初めて知った。

「姉様……キス、とても上手でしたわ」

「お前が……無理やりしたんだろうがッ!」

 うっとりとした声でとんでもないことを言い出した妹に雪乃は大声で抗議するが、

雛乃は意に介した様子も無く答える。

「覚えていらっしゃらないのですか? あんなに積極的にわたくしを求めてくださったのに」

「う……嘘だッ!」

「ううん、ボクも見ててびっくりしちゃったもん。それに……ホラ、ここもこんなになってるよ」

 小蒔は雪乃と雛乃がキスをしている間もずっと胸をまさぐり続けていた手を抜くと、

素早くスカートの内側に忍び込ませる。

下着の中心を触られて、初めてそこがおびただしい液体で濡れているのを知り、

雪乃は軽いパニックに陥ってしまった。

「こッ、これ……違う! こんなの、違うって!」

「ううん、違わないよ……だって、ボクももう、同じ位……濡れてるもの。

ね、触っていいよね? ボク、もう我慢できないよ」

 しかし、そう言って下着に手をかけた小蒔が、急にその動きを止める。

衣擦れの音も消えた静寂の中で、かすかな嗚咽の声が小蒔の耳を打った。

「頼むよ……お願いだから、止めて……くれよ……」

 自分が涙を流していることにも気づかず、雪乃は幼い頃から庇護の対象だった妹に哀願していた。

初めて見る雪乃の涙に、小蒔も雛乃もとまどいを覚えつつも、

それを上回る興奮が鼓動を早める。

小蒔は雪乃の頬を伝う滴を舌先で掬いとってやると、そのまま耳元に口を寄せて禁断の矢を放った。

「雪乃は……ボクのコト嫌い?」

「!! そッ……そんなこと……ない……けどよ……」

 巧みな問いかけに、雪乃は逃げ道を塞がれてしまう。

これ以外どう答えても誰かが傷ついてしまう以上、自分が折れるしかなかった。

「ボクはね……ずっと雪乃のコト好きだったよ。多分、初めて会った時から」

頭の奥がずきずきと鳴って朦朧とした意識の中に、

小蒔の告白は甘美な囁きとなって心を侵食していく。

「だけど、だけど……そんなの……おかしいだろ? オレ達……」

「おかしくは無いですわ、姉様」

 雪乃は自分を否定する為に必死に言葉を選ぶ。

そうしないと、自分が──本当の自分が現れてしまいそうだったから。

しかし雛乃に遮るようにはっきりと否定されると、

意思はあえなく潰え、それ以上続けられなかった。

「わたくしも、姉様の事を以前からお慕いしておりました。

この想いを気づかれないようにするのは、大変だったんですよ」

「だけど……だけどよ……」

 いつもの、小さい頃からずっと見てきた笑顔を浮かべる雛乃に、

雪乃は力無く、おうむの様に同じ言葉を繰り返すのが精一杯だった。

「大丈夫、ボク達はお互いがいれば……なんにも怖いコトなんて無いよ」

 小蒔は雪乃の頬にかかる髪を優しくかきあげ、ゆっくりと口づける。

雛乃よりもぎこちない、しかし懸命なキス。

それは、雪乃の心に迷いという名の綻びを生じさせ、

奥底に眠る知らない自分を呼び覚まそうとするかのように何度も求めてくる。

小蒔がキスを続ける傍らで、雛乃がスカートのホックに手をかけるのが判ったが、

もう雪乃は暴れることを忘れていた。

それでも、小さな音を立ててスカートが床に落ちると、反射的に膝をすりあわせる。

程よく引き締まった、ある種の動物を思わせるようなすらりとした足に、

雛乃は思わず感歎のため息をこぼした。

「姉様……」

 色気の無い下着は、しかし雪乃の蜜のせいで淫靡な色に染まり、雛乃の舌を招きよせる。

「んっ……! んむぅぅ!」

 舌がへその下の下着のふちにべっとりと押し当てられ、

子猫のように何度も舐め上げながら降りていく。

熱い舌が湿った部分に触れた時、雪乃は不快感を感じたが、

それはすぐに下腹全体の昂ぶりへと変わってしまう。

もう感覚も消え、剥き出しの快感だけがそこにあった小蒔のキスが終わった。

「ぁ……」

 小蒔の唇が離れると、そこでせきとめられていた唾液が雪乃の口の端からあふれ、

そのうちのいくらかが名残惜しそうに小蒔についていこうとして糸を引いた。

小蒔はそれを手の甲で拭うと、唇に押し当てて舐めとりながら雪乃の後ろに回りこむ。

「雪乃……すごい、可愛いよ……もっと、触るね」

 背後から耳を咥えてそう囁き、雪乃の制服をたくし上げ胸を露にすると、

まだ乳房とは言いがたい大きさのそれを、包み込むように何度も揉み上げる。

「おっぱい……気持ちいい?」

 自分の胸を覆う小蒔の手をぼんやりと見つめていた雪乃は小さく頷いてしまってから、

慌てて大きく首を横に振った。

「ち、ちが、今のは……くっ、う……うぁ……」

 桃色をした乳首が小蒔の指の中で転がされ、ひねられ、痛々しく形を変える。

しかし痛々しいのはあくまでも外見だけで、そこから広がる甘痒い官能の震えは

狂おしいまでの歓喜の渦を雪乃にもたらしていた。

もう何もかも捨てて快楽に身を委ねそうになるのを、

頭上に括られている手を必死に握り締めて耐える。

だがそんな儚い抵抗も、雛乃の舌に下着越しにうっすらと透けている、

薄い繊毛に隠されている秘唇の入り口を探り当てられるとあえなく潰えてしまった。

「うぁぁあ……っ!」

 全身を縦に貫いた衝撃に、雪乃のうなだれていた頭が跳ね上がる。

「姉様……ここが良いのですか?」

「ぁ……ぁあ……」

 頷きとも、呻きともとれる切なげな声が雪乃の口から吐き出される。

もうひと押しで堕ちるのを確信した雛乃は、一気に下着を引き摺りおろして秘部を曝けだした。

年の割に発育の少ない繊毛の下に、

まだ開かれた事のない女陰が妖しい煌きを放ちながら静かに息づいている。

雛乃は谷間に指を割りこませるように沿えると、指先だけを軽く曲げてごく浅い部分を掻き回した。

「んっ……くっ、ふ……」

 快感の源泉を初めて触れられて雪乃の女が歓喜にむせび、

指先を更に奥へ導こうと花開いていく。

しかし、雛乃は無情にもすぐに動きを止めてしまい、

満たされない刺激に雪乃は無意識のうちに腰を動かして求め始める。

「どうしたのですか? 姉様」

 雪乃は焦点の定まらない瞳で雛乃を見ると、小さく口を動かした。

耳をすましていた雛乃にははっきりと聞こえたが、わざと聞こえないふりをしながら、

雪乃の花弁から指を離す。

にちゃり、という粘液の音が鼓膜を打った時、雪乃の心の閂が遂に外れた。

「……もっと……もっと、そこ……触って……!」

 かすれた声で何度も恥ずべき所への愛撫を求める姉の姿に、

雛乃は満足そうに微笑むといきなり半分程も指を差し込んだ。

「ぁ……ぅぁあああっ……!」

 それまで受けた愛撫のどれよりも強い、目の前が白くなるような愉悦が雪乃を襲った。

今まで耐えていた激情が一気にあふれ出し、夢中で自分の中の快感を二人に伝える。

「こんな……オレ……はぁ…おかしく………気持ち、いい、よ……」

 生まれて初めての他人の手による絶頂を迎えた雪乃の身体から

みずみずしい生気が抜け落ち、縄に体重がかかる。

締め上げられた手首が痛かったが、心の痛みに較べれば無いも同然だった。

「もう、いいだろ……手、解いてくれよ……」

 処女こそ奪われてはいないものの、精神的には陵辱されたも等しい雪乃は

つい数十分前の彼女と同じとはとても思えないけだる気な声で虚ろに呟くが、

二人はまだ解放する気はなかった。

「まだ駄目だよ。ボクも……雪乃のエッチな所、よく見たいもの」

 小蒔は雛乃と場所を変わると、親友の肉襞をじっくりと目で犯し始める。

「いやだ……やめて……く……ああっ!」

 恥毛を押し分けてひっそりとただずまう包皮を剥き、真珠のように輝く女の核を外気に晒す。

小蒔は姿を現した雪乃の宝石を愛でるように息を吹きかけると、唇で挟みこんだ。

「ひっ……っああっっ!」

 強すぎる快感に身体がついていけずに、息を吸いこむような、奇妙な悲鳴が雪乃の口から漏れる。

「ここ……気持ちいいでしょ? ボクも雛乃に教えてもらうまでは知らなかったけど、

こうやって吸われると、なんにも考えられなくなっちゃうんだ」

 小蒔の言う通り、小さな突起から広がる気持ち良さは、

意にそまぬ仕打ちを受けている事さえ忘れさせてしまい、

強弱をつけながら唇で軽く何度か咥えられると、

雪乃は答えることさえ出来ず、ただ頷いて小蒔を求めるばかりだった。

「わたくしがもうひとつ……姉様に、気持ち良くてたまらなくなる場所を教えてさしあげます」

 雛乃は快感に打ち震えている雪乃の尻を掴むと、左右に押し分けて菊座を露にした。

雪乃が受けている快楽の波に合わせて小さく開閉を繰り返す孔に、舌を這わせる。

「やああっ!! いやぁあ……ああ……ぁあ……」

 雪乃は汚い場所を舐められているというおぞましい事実すら認識できず、

気が狂いそうな快感が頭から足の指先までも満ちていくのを受け入れるしか出来なかった。

「雪乃……好き……」

 親友の舌が、誰にも見せたことの無い孔に忍び込む。

「姉様……」

 妹の舌が、自分さえ見たことの無い孔を捉える。

同時に前後からもたらされる、凄まじいまでの快楽に、雪乃の心が砕け散る。

「ぁあ……ぅぁぁあっ!」

「雪乃……ボク達が雪乃のコト護ってあげるから」

「そうですわ。わたくしと小蒔様が、ずっと姉様のおそばで護ってさしあげます」

 抗おうと思っても、頭の中を愉悦の波が掻きまわしてまともに考えることさえ出来ず、

何度も壊れた人形のように頷く。

二人の声が左右から心を犯し、二人の舌が前後から身体を嬲り続ける。

雪乃はもはやそれを、穢らわしいとは感じなかった。

ただ、身体に収まりきらない快楽だけが津波のように押し寄せ、

雪乃から全てを奪っていく。

「だめだ、もう、もう、オレ……ぁぁ、うぁああっ!」

 二度目の絶叫が、雪乃の口からほとばしる。

背中を弓のように反らせながら、

雪乃は身体を駆けまわった熱い塊が二人に吸い取られていくような感覚の中で果てていった。

二度の激しい絶頂を迎えさせられた後、雪乃は縄をようやく解かれた。

そのまま床にへたりこんでしまった雪乃の身体を、小蒔が優しく抱きかかえる。

「雪乃……すごい可愛かったよ」

「ぅ……ぁ……オレ……」

 自分でも何を言いたいのか判らず、雪乃は目の前の地面を見ながら呟く。

小蒔はくしゃくしゃになった下着を整えてやると、雪乃の頬に手を添えて自分の方を向かせた。

「だから、これからも、もっとしようねッ」

 気持ちいいことを、二人と、したい──

愉悦の果てに心の奥底から現れた無垢の感情が、

小蒔の問いに対して雪乃に小さく、しかしはっきりと首を縦に振らせた。

小蒔と雛乃は嬉しそうに手を取り合って喜ぶと、両側から雪乃を支えて立たせる。

「今日は、わたくしの部屋で一緒に寝ましょうね」

「あ、ボクも泊まっていい?」

「もちろんですわ、小蒔様」

 部室の扉を出る時、そのまま二人に両脇を支えられて歩く雪乃の腰が、

終わりの無い快楽の迷宮に囚われてしまった事を示すように小さく震えた。




全体的に直球すぎ……思ったことを書くのに必死だったんだね、
と微笑したくなる出来ですねどうも。
そう思えるということは、現在はもうちょっとはマシになってると肯定的に捉えることにします。
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