※この作品はR-18です。

性魔伝説パールヴァティー   作:坂本太郎

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第十章:背徳の駆け引き

羅刹から渡された住所の紙片は、八雲のポケットの中で熱を持っていた。その熱は羅刹の魔力ではなく、八雲の体内で生成され続ける無限の精力が引き起こす、抑えきれない渇望の熱だった。

 

八雲は、羅刹の誘いを拒絶し続けた。しかし、三日後、彼の理性はついに限界に達した。

 

その日、パイが風邪で学校を休んだ。パイは発熱し、家のベッドで眠っている。当然、一週間サイクルでのパールヴァティーの覚醒はまだ遠い。八雲は、パイの平穏な寝顔を見るたびに、自らの体内に渦巻く尽きない熱が、パイの存在を脅かすかのような罪悪感を覚えた。

 

(このままでは、また俺が壊れてしまう……)

 

無限に満たされ続ける精力の苦痛は、彼を常に苛んでいた。羅刹が言った通り、この苦痛を理解し、一瞬で解消できるのは、三只眼である羅刹かパールヴァティーだけだ。

 

夜、パイの寝息が一定になったのを確認すると、八雲は静かに家を出た。彼の行先は、背徳的な解放を約束する、黒崎羅刹の家だ。

 

羅刹の家は、街の喧騒から離れた、瀟洒なマンションの一室だった。

 

インターホンを押すと、羅刹はすぐにドアを開けた。彼女は、学校で着ていた制服ではなく、夜の闇に映える、滑らかなシルクのガウンを纏っていた。ガウンの胸元は深く開き、八雲の視線を誘う。

 

「待っていたわ、私の无(ウー)」

 

羅刹の黄金の瞳は、室内を薄暗く照らす間接照明の中で、妖しく光っていた。彼女は、三只眼の姿ではないが、その存在はすでに魔性の誘惑そのものだ。

 

「……話だけしにきた、すぐに帰る」

 

八雲は、一歩も家に入らず、ドアの前で立ち尽くした。

 

羅刹はドアから出て、八雲の背後に回り込んだ。彼女の吐息が、八雲の耳元にかかる。

 

「そんなに我慢しなくてもいいじゃない。あなたは、その無限の熱を抱えて、ここまで来たのでしょう?」

 

羅刹の長い指が、八雲の首筋を撫でた。八雲の体は、抵抗しようとする理性の命令を無視し、羅刹の触手に反応して熱を発した。

 

「ほら。あなたの体が、私を求めているわ」

 

羅刹は八雲の手を取り、ドアを閉め、リビングへと導いた。そこには、香りの良いアロマが焚かれ、ムーディーなジャズが静かに流れていた。すべてが、八雲の理性を麻痺させるための舞台装置だ。

 

「楽にして。パールヴァティーの覚醒を待つ必要なんて、ないのよ」

 

羅刹は、ソファに八雲を座らせると、自分も彼の隣に密着して座った。

 

八雲は、必死に壁を作ろうとする。

 

「俺は、パールヴァティーのためだけに、无(ウー)になった。他の三只眼の精を供給する器になるつもりはない」

 

八雲の言葉に、羅刹は優しく笑った。

 

「可愛い抵抗ね。でも、あなたは知っているはずよ。あなたが私を満たすことは、誰にも迷惑をかけない、一番簡単な『自己救済』だって」

 

羅刹の手が、八雲のシャツの中に忍び込み、熱を帯びた腹筋を撫でる。

 

「私を満たしなさい。そうすれば、あなたの無限の精の苦痛は、すぐに解放される。パールヴァティーが次に覚醒するまで、あなたは平穏を得られるのよ」

 

彼女の指先が、八雲の肌の上で優しく、しかし執拗に這い回る。八雲の体は、羅刹の巧みな誘惑に抗うことができない。彼の体内で、精が今にも溢れ出しそうな感覚が、理性を焼き尽くす。

 

「くっ……」

 

八雲は、羅刹の手を掴み、振り払おうとした。

 

「帰る。俺は、パイを裏切れない」

 

八雲が立ち上がろうとすると、羅刹は彼の胸に身を寄せ、その耳元に、さらに深く官能の毒を注ぎ込んだ。

 

「裏切り? いいえ、これは治療よ。パイが平和に眠っている間に、あなたが抱える無限の飢餓を、私が代わりに受け止めてあげる」

 

羅刹の艶めかしい吐息が、八雲の理性を溶かす。

 

「それに、あなたはもう私に触れている。私の体は、三只眼として、あなたの精の熱を肌で感じ、満たされたいと叫んでいるわ。あなたも、私のこの熱を、無視できないでしょう?」

 

羅刹は、ガウンの肩紐をそっとずらし、白い肩を露わにした。その仕草は、八雲の『无(ウー)』としての本能を直撃した。

 

八雲は、羅刹の誘惑に屈しそうになる自分自身との激しい葛藤に、身悶えた。彼の全身は汗で濡れ、理性と本能のせめぎ合いで、呼吸すらままならない。

 

(俺は……パイを裏切って、こいつの器になるのか……?)

 

八雲の決断が、問われていた。羅刹の家は、今や彼の精神的な戦場と化していた。

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