※この作品はR-18です。

性魔伝説パールヴァティー   作:坂本太郎

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第十一章:理性の最後の抵抗

羅刹の言葉は、八雲の无(ウー)としての本能を鋭く刺激した。彼女の肌の熱、ガウンの隙間から見える艶かしい肌、そして何よりも、彼の体内に渦巻く無限の精力の解放を約束する誘惑。八雲の理性の壁は、今にも崩れ去りそうだった。

 

「さあ、藤井くん。もう我慢しなくていいのよ」

 

羅刹は、八雲の体に完全に寄りかかり、その滑らかな手で八雲の腰を包んだ。その接触は、八雲の体内の精を爆発寸前にまで高める。

 

「あぁ……!」

 

八雲は、思わずうめき声を漏らした。目の前には、すべてを受け入れる覚悟を決めた羅刹の、妖艶な顔がある。このまま身を委ねれば、一瞬でこの苦痛から解放される。

 

(俺は、この熱から逃げたいだけなのか……?)

 

その時、八雲の頭の中に、幼馴染の綾小路パイの寝顔がフラッシュバックした。熱を出して苦しみながらも、八雲に迷惑をかけまいと健気に微笑んでいた、パイの純粋な顔。

 

パイは、自分が性魔パールヴァティーであることすら知らない。そんな彼女の平穏な日常を守るため、八雲は『无(ウー)』になったのだ。

 

(裏切れない……! 俺がここで、この快楽に身を委ねたら、パイの平穏を保つという无としての使命を、自ら汚すことになる!)

 

八雲は、無限の精力が引き起こす、体の内側からの激しい痛みと戦った。この快感と解放を求める本能は、パールヴァティーによって植え付けられた、魔性の枷だ。

 

「……ッ、違う!」

 

八雲は、振り絞るような声で叫んだ。

 

彼は、全身の力を振り絞り、羅刹の体を突き放した。

 

「俺は……俺は、お前の器になるために『无(ウー)』になったんじゃない! パイを、守るために……!」

 

羅刹の美しい顔に、初めて動揺の色が走った。

 

「馬鹿な……この体質と、この渇きに、抗える人間がいるとでもいうの?」

 

羅刹は、すぐに体勢を立て直し、再び八雲に迫った。彼女は、八雲の理性がまだ残っていることに、苛立ちを覚えている。

 

「いいえ、あなたはもう、私のものよ。あなたのその体が、私を求めている! 早く私に精を注ぎなさい!」

 

羅刹は、三只眼としての魔力を解放した。部屋の空気が一気に重くなり、八雲の全身を締め付けるような圧力がかかる。額の瞳は開眼し、羅刹の瞳の黄金色が、さらに深く、強烈に輝いた。

 

八雲は、全身の骨が軋むような激しい魔力の攻撃を受けた。しかし、彼は、その痛みを、無尽の精力の熱を抑え込むためのエネルギーに変えた。

 

「させるか……ッ!」

 

八雲は、羅刹の魔力に抗い、なんとかドアへと手を伸ばした。

 

「逃がさないわ、无(ウー)! お前の精は、私のものよ!」

 

羅刹は、鋭い爪を立てて八雲の背中を掴もうとした。しかし、八雲は、振り返ることなく、必死の勢いでドアノブを回し、勢いよく家を飛び出した。

 

八雲は、深夜の住宅街を、ただひたすらに走った。彼の背後からは、羅刹の怒りに満ちた魔力が、追いかけてくるような錯覚を覚えた。

 

冷たい夜風に晒されながらも、彼の体は相変わらず熱かった。精力の熱は一向に引かない。だが、八雲の心には、パイを裏切らなかったという、僅かな安堵と使命感が残っていた。

 

羅刹の誘惑を退けたことで、八雲の无(ウー)としての宿命は、より複雑になった。羅刹は、八雲の無限の精力を諦めないだろう。そして、一週間が経てば、再び性魔パールヴァティーが覚醒する。

 

八雲は、この二人の三只眼との三角関係、そして無限の精力の苦痛という現実から、逃れることはできない。

 

自宅に戻った八雲は、静かにパイの寝顔を覗いた。パイは、穏やかな寝息を立てて眠っている。その寝顔を見て、八雲は、自分が背負うべき无尽の宿命を再確認した。

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