リビングでゲームをしていたが、パイの体調は悪くなる一方だった。熱にうかされたようなパイは、八雲の腕の中で身をよじっている。
「パイ、やっぱり今日はやめよう。横になろう?」
八雲はパイを抱き抱え、ベッドへと連れて行った。
ベッドに横たわらせると、パイは潤んだ瞳で八雲を見つめた。その眼差しは、昼間の純粋な幼馴染のものではなく、何かを激しく求める、獣のような切実さに満ちていた。
「やっくん……お願い……」
パイが差し伸べた手は、熱くて湿っていた。八雲は、この熱が単なる風邪ではないことを感じていた。それは、理性を焼き尽くす、本能の炎だった。
「私、苦しいの。この熱を、どうにかして……」
パイは震える声で訴える。八雲は、彼女の苦しみを和らげたい一心だった。幼馴染が目の前で苦しんでいる。その原因が何であれ、彼にできることがあるなら、と。
八雲はパイを抱きしめた。その瞬間のパイの熱は、彼の体温を遥かに超えていた。
「大丈夫だ、パイ。俺がそばにいるから」
抱きしめ合ううちに、八雲の理性は徐々に麻痺していった。パイの体から発せられる尋常ならざる熱と、それに呼応するように高まる彼の動悸。互いの呼吸が乱れ、唇が触れ合ったとき、もう引き返す道はなくなっていた。
二人は、もつれるように服を脱ぎ捨てた。
八雲は、初めて触れるパイの裸体に戸惑いながらも、その熱と必死さに突き動かされた。パイの肌は絹のように滑らかで、その体から放たれる甘い香りが八雲の意識を支配する。
「やっくん……」
パイの懇願するような瞳に、八雲は力強く頷いた。
初めての行為は、痛みと焦燥に満ちていた。パイは苦しげな声を上げるが、それと同時に、どこか解放を求めるような熱狂を帯びていた。
そして、硬い壁を突き破り、パイの中に精を解き放った瞬間。
「ああっ……!」
パイの短い悲鳴とともに、八雲の視界に鮮烈な赤が飛び込んできた。
その瞬間、部屋の空気が一変した。
パイの体から放たれていた熱が一気に膨張し、室内のすべてを飲み込む。その熱はもはや体温ではなく、灼熱の魔力だった。
パイの瞳の色が変わった。澄んだ黒目から、燃えるような黄金色へと。そして額にもう一つの目が現れたのだ。
髪が、闇夜の艶を増して波打ち、肌は発光しているかのように白く輝く。
「……ようやく、目覚めたわ」
その声は、もはや綾小路パイの可憐な声ではない。低く、妖艶で、すべてを支配するような、女の声だった。
八雲は恐怖に全身が凍り付いた。目の前の存在は、幼馴染のパイではない。
彼女は優雅に微笑んだ。唇の端には、処女喪失の際に飛び散った血が、一滴、宝石のように輝いている。
「私の名はパールヴァティー。ああ……この体は、なんて甘美な欲求を求めているのでしょう」
パイの体から覚醒した性魔パールヴァティーは、歓喜に震えていた。
「お前が私を目覚めさせた、最初の男。だが、その精は……あまりに不足しているわ」
パールヴァティーは、八雲を、獲物を見定める冷たい目で見た。彼女の体が、人間の男の精を渇望しているのが八雲には伝わってくる。
「さあ、私のために、お前のもつすべてを捧げなさい。そして、私を満たしなさい」
八雲は戦慄した。彼女の口から零れる言葉は、本能的な恐怖を掻き立てる。
(このままでは、パイが……)
八雲の頭によぎったのは、パイを救わなければならない、という強烈な使命感だった。彼は、恐怖を押し殺し、覚醒した性魔と対峙した。