廃倉庫での儀式から、二度目のパールヴァティーの覚醒までの期間は、概ね一週間だった。一週間が経つと、パイの体内の魔力バランスが崩れ始め、性魔が再覚醒の兆候を見せる。八雲は、そのサイクルを理解し始めていた。
パールヴァティーの欲求を満たし終え、綾小路パイに戻った後の数日間は、八雲にとって最も平穏で、同時に最も苦しい時期だった。
パイは、先週の一件を「急に熱が出て、やっくんに迷惑かけちゃった」程度にしか認識していなかった。彼女は普段通り、学校生活を謳歌し、八雲に優しく、時にわがままな幼馴染として振る舞った。
しかし、八雲の体内は、もはや普通ではなかった。
无(ウー)となった八雲の体は、無限のエネルギーを秘めている。特に、パールヴァティーによって再構築された精液生成回路は、常にフル稼働している状態だ。
(くそっ……まただ)
八雲は授業中、静かに机に突っ伏した。彼の股間には、常に熱があり、制御不能なほどの膨張を感じていた。普通であれば、一度射精すれば、数日はこの熱は落ち着くはずだ。だが、八雲の体はパールヴァティーの貪欲な要求を満たすためだけに作られた。一度解放しても、数分後にはまた、溢れんばかりの精が満たされてしまう。
体育の授業で体を動かしても、その熱は一時的に紛れるだけ。むしろ、運動によって血流が良くなると、その熱はさらに高まるような気さえした。
放課後、パイと二人で並んで歩く帰り道も、そして共に過ごす家の中でも、八雲にとって最も過酷な時間だった。
「ねぇ、やっくん、あのね、昨日……」
屈託のない笑顔で、楽しそうに話すパイ。彼女の揺れる髪、白い首筋、無意識に触れる手が、八雲の理性の防壁を少しずつ削っていく。
八雲は必死にパイから距離を取り、会話に集中しようとする。
(だめだ、考えるな。こいつは、俺の幼馴染だ。今のパイは、パールヴァティーじゃない……)
八雲は、喉の奥がカラカラに乾くのを感じた。
彼にとって、パイは大切で、汚したくない存在だ。しかし、彼の肉体は、無限の精を抱え込み、解放を叫び続けている。パイの無防備な仕草の一つ一つが、八雲の体内に渦巻く制御不能な精力の奔流を刺激した。
ある夜。八雲はパイに隠れてトイレで、何度も自慰行為に及んだ。だが、その努力はすべて徒労に終わった。
「くっそ……なんでだ……」
射精を終えた直後、八雲は息も絶え絶えになってパイの眠るベッドの横に倒れ込んだ。しかし、わずか五分も経たないうちに、彼の体内は再び熱を持ち始める。まるで、水槽に穴が開いているかのように、精が尽きることなく生成され、満たされていく。
(このままじゃ、パイを襲ってしまう……)
この無限の精力を解放するためには、性魔パールヴァティーが必要だ。彼女だけが、その魔力で八雲の精力を吸収し、一瞬で彼を空っぽにできる。
八雲は、窓の外の月を見上げながら、葛藤する。
「早くパイがパールヴァティーになってくれ」
という、背徳的で自己中心的な願望が、八雲の心を蝕み始めた。
このままでは、彼は理性と本能の板挟みで、精神を病んでしまうだろう。幼馴染の綾小路パイを愛しいと思う気持ちと、性魔パールヴァティーによってしか解消できない肉体の飢餓。
八雲の无(ウー)としての宿命は、肉体的な奉仕だけではなく、この二重人格と無限の精力による精神的な葛藤にもあったのだ。
彼は、この一週間という平静の期間こそ、自分を蝕む最大の苦痛だと悟った。そして、パールヴァティーが再び覚醒する一週間の終わりを、恐れながらも、密かに待ち望むようになっていた。