羅刹とパールヴァティーの背徳的な戦略は、『黒い羊』の計画に甚大な打撃を与えました。彼らが流した「不正蓄財」の噂は、逆に「魔王の愛の強さと、女たちの能力の高さ」の証明となり、八雲の支配の正当性を強化してしまったのです。
裏切者の焦燥と最後の決断
『黒い羊』のリーダー、元財務官僚アズガルド(ヴァルグリドの眷属)は、地下の隠れ家で怒りに震えていました。
「畜生め!あの女ども、情欲を武器にするとは…!八雲の精の力が、魔界の価値観そのものを捻じ曲げおった!」
アズガルドは、八雲の支配の根幹が「アビスという究極の吸収体」と、「女たちの結束」にあることを再認識しました。彼は、もはや情報戦では勝てないことを悟り、物理的な破壊による最後の、絶望的な一撃を決意しました。
目標の変更: 世論ではなく、支配の物理的なシンボルを破壊する。
最終目的: アビスを奪還し、魔王八雲に精神的な屈辱を与えた上で、八雲の命脈を完全に絶つこと。
実行:軍事施設の破壊工作
アズガルドは、自らの忠実な信奉者たちと、彼が秘密裏に蓄積していたヴァルグリド時代の遺物である破壊魔術を用い、八雲の支配の要の一つであるリリアーナの軍事施設を標的にしました。
その夜、魔界の首都郊外に位置する大規模な魔力兵器庫に、黒いローブを纏った一団が侵入しました。
1. リリアーナの軍事施設への侵入
『黒い羊』の信奉者たちは、情報技術と破壊魔術を組み合わせて、警備魔術とリリアーナの軍事結界を突破しました。彼らの目的は、兵器庫の奥に保管されている「魔力増幅炉」の破壊です。
「この増幅炉が破壊されれば、リリアーナの軍は機能不全に陥る!そして、陛下の女たちが『公私混同』の挙げ句に『公の設備』を守れなかったという最大の不信を植え付けてやる!」
2. アビスの奪取と八雲への挑戦
破壊工作と同時に、アズガルド自身は、八雲の城への潜入を図りました。彼の狙いはただ一つ。アビスの奪取です。
アズガルドは、ヴァルグリドの遺した精を吸引する特殊な拘束具と、対魔王用の抑制魔術を携えていました。
アズガルドの最終計画: アビスを拘束具で完全に制御し、「ヴァルグリドこそが真の主であり、八雲は偽りの支配者である」という言葉をアビスに吐かせ、その場面を魔界全域に中継させる。これこそが、八雲の支配の正当性を完全に打ち砕く、究極の屈辱だと彼は信じていました。
魔界城の地下深くに潜伏していたアズガルドは、八雲とアビスが共にいる私室へと続く秘密の通路を開きました。
「八雲よ。お前の『公私混同』の支配は、今日で終わる。お前の愛の証であるアビスを奪い、お前の命の源を断ち切ってやる!」