突入:抑制魔術と破られた結界
リリアーナの軍事的な威嚇が中継されている裏で、アズガルドは、八雲の私室へと続く秘密の通路を突き進んでいた。彼の手に握られているのは、ヴァルグリドの時代から伝わる、対魔王用の魔力抑制具と、淫魔の拘束具だ。
八雲の私室の扉は、羅刹とパールヴァティーが二重に施した厳重な防御結界で守られていた。しかし、アズガルドは、ヴァルグリドの眷属だけが知る「精の魔術」を応用した特殊な抑制魔術を、結界に叩き込んだ。
「キイィン…!!…ガシャン!」(結界が悲鳴を上げ、破壊される音)
扉が爆音と共に吹き飛んだ。アズガルドは、興奮と憎悪に満ちた表情で、密室へと突入した。
対峙:征服者と深淵の淫魔
密室の空気は、朝の献身的な奉仕を終えたばかりの、濃密な情欲と、アビスから発せられる支配の魔力で満たされていた。
八雲は、ゆったりとしたローブ姿で、玉座(もしくは寝台の端)に座っていた。その膝には、漆黒のローブを纏ったアビスが、まるで生きた宝石のように、厳かに、しかし甘えるように寄り添っている。アビスの瞳は、八雲への絶対的な忠誠を示していた。
アズガルドは、八雲の予想以上の回復ぶりと、アビスの完璧なまでの服従の姿を見て、一瞬、たじろいだ。
「馬鹿な…!三日三晩、精を吸い尽くされたはず…!なぜ、貴様は、その命の輝きを保っている!」
八雲は、征服者の冷たい笑みを浮かべた。
「お前が私に献上したアビスの精の吸収能力は、確かに驚異的だった。だが、お前が仕掛けた罠は、結果として、私の精の生成能力を極限まで鍛え上げた。お前の計画は、私を殺すどころか、さらに強大にしたのだ、愚かな裏切り者よ」
⛓️アズガルドの宣言と最後の抵抗
アズガルドは、憎悪に顔を歪ませ、手に持った魔力抑制具を構えた。
「無駄口を叩くな!その女(アビス)は、ヴァルグリド様の血脈だ!貴様のような成り上がりの支配者の道具になる資格はない!アビス!」
アズガルドは、ヴァルグリドの名を叫びながら、抑制具の魔力を解放し、アビスを八雲から引き離そうとした。
「貴様は、精の選別という崇高な使命のために生まれた!すぐにその偽りの主から離れ、私と共に真の支配者の時代を築くのだ!」
抑制魔術は、アビスの身体に直撃した。しかし、アビスは微動だにしない。
アビスは、八雲の太ももに顔を埋めたまま、冷徹で、威厳のある声で、アズガルドに告げた。
「アズガルドよ。貴方は真実を見ていない。私の深淵の空洞を満たし、私を屈服させたのは、ヴァルグリドの血脈ではない。この魔王八雲陛下の、無限の精だけです」
そして、アビスは、八雲の股間に顔を寄せ、その征服者の精の源に、官能的なキスを落とした。
「私の主は、この方だけ。貴方の復讐の炎は、陛下の精の熱によって、無力化される」
この公然の、情欲的な服従は、アズガルドのプライドと計画を完全に打ち砕いた。彼は、絶望的な怒りと共に、八雲とアビスに向かって飛びかかった。