記す力を持った男 作:白紙氏
「そうですか。なら後日顔を出しても? ……はい、ありがとうございます。では」
なんて事のない日常は続き、大学生にまで年齢が上がった頃。漸く標が待ち望んだ出来事が起こった。【DEATH NOTE】の作中でもあった事だが、夜神粧裕は一度誘拐されてしまう。結果的に命は助かりはするが、その過程で心に深い傷を負い心を閉ざしてしまう。
(スーパーマンになるのは違うしな)
最初この誘拐事件に首を突っ込んで、吊り橋効果を狙おうかとも思った。けれどそうするとかなりの超人っぷりを発揮する事になる。なまじマフィアもこの事件に関わりがある為、実行すると目立ち過ぎてしまう。そうなると後からのテコ入れが面倒だ。
あくまでやりたいのはヒロインを堕として関係を結ぶ事。それ以外での出来事で面倒を被るのは御免だ。
「こんにちは。お見舞いに来ました」
「あら標君? ほら、粧裕。標君が来たわよ」
「……」
「……ごめんなさいね。まだショックが大きいみたいで」
「いえ、構いませんよ。お見舞いさせてくれただけでもありがたいですから」
夜神幸子。茫然自失状態に陥った粧裕の下へ足繁く通う粧裕の母親。粧裕との交流時には彼女と顔を合わせる機会も何度かあった。だからかお見舞いの申し出の際にも難色を示されるという事もなかった。
病院のベッドから降りてはいるが、粧裕は車椅子に乗ったまま外を眺めている。訪れた時に開いたドアの音にも興味を示さず、母からの呼び掛けにも応えず黙り込んだままだ。
そんな娘の態度に罰が悪そうな顔を浮かべながら、幸子は標へと頭を下げた。
「と、そろそろ時間ですね。また来ます」
「ありがとうございます。反応は返さないけど粧裕も喜んでると思います」
「はは、そうだと嬉しいです。またな、夜神さん」
「……」
頭を下げた幸子さんへとフォローをしつつ、他愛もない話題を粧裕へと振った。しかし変わらず返答はない。これも予想していた範疇なので焦らずゆっくりとだ。
やがて面会時間が終わりに近付き、病室から姿を消す。これからは嫌がられない範囲で顔を出しに行くとしよう。
***
「よ、元気か?」
「あ……標君。こんにちは」
「こんにちは標君」
あれから一、二週間。今では自宅療養へと移り変わった粧裕の元へと足を運ぶ。元々交友を深めていた相手。思ったよりも粧裕の標への対応は表れるようになっていき、今では挨拶にも返事を返してくれるまでに。
陽の光を浴びる為か外に出ていた粧裕と幸子さんに声を掛ける。
「最近は車椅子から降りてるんだ」
「……うん。歩かないと体力落ちるから」
「少しだけど元気になって良かったわ。標君がよく来てくれたからかしら?」
「そんな事……ないよ。お母さん」
「あら。冗談のつもりだったんだけど、ふふ」
元の未来ではどうなるかはさておき。少なくとも目の前の粧裕は徐々に事件のショックから立ち直りつつある。この時用に稼いだ好感情は上手く機能し、立ち直り始めた粧裕は時折前とは違う視線を標へと向ける。それを知ってか知らずか、母親の幸子はニコニコとしているが。
「大学の話って聞いてもいい? 今行ってないから気になってるんだ」
「理由は本当にそれだけなの? 粧裕」
「お母さん」
「ふふ、ごめんごめん」
反応がピクリとも無かった娘の状態を思えば、今の粧裕の様子は嬉しく思うのだろう。からかえば反応が返って来るのも。和やかな時間が過ぎていく。
「……標君?」
「……人伝に聞いたけど、お父さんがその」
「撃たれて……撃たれて、死んじゃったんだ」
「……」
穏やかな時間は長くは続かなかった。特に何かをしてないのだから粧裕の父親が死ぬのは既定路線のままだ。徐々に元の明るさを取り戻しつつあった粧裕はこの出来事により再び深い憂いを帯びるようになった。
「……私を誘拐した人達と戦って死んだんだって」
「そう、なのか?」
「そう。それ聞いた時にさ、私お父さんを殺した人への怒りよりもあの時の事を思い出しちゃって……刑事の娘失格だよね。怖くて怒れなかったもん」
粧裕は自分の体を抱き締めながら震えていた。刑事の娘という特異な生まれだが彼女の精神は極めて平凡である。マフィアに拉致されれば恐怖を覚えるしトラウマになる。至って普通の女の子。
「でも夜神さんはお父さんの死を悲しんでる。それだけで充分で、失格なんかじゃないよ。怖いのは当たり前だ」
「……あり、がとう。……っ、ぅ……」
今にも崩れ落ちそうな粧裕へと言葉を考え、選んでから話していく。標の言葉は粧裕の心へと確かな安らぎを与え、
スッと近くに寄り、標に抱き支えられた状態で粧裕は泣き続けた。
「……ま、また連絡するから! じゃあっ」
暫くの間胸の中で泣いた粧裕は冷静になった。すると今の状況がかなり恥ずかしかったのか、慌てて礼と共に一歩後ろへと下がる。このまま面と向かって話すのは気恥ずかしいのか会って、涙を流しだけでこの日の邂逅は終わった。
(夜神粧裕の父親が亡くなった。となると兄の方ももう少しかな)
今日の交流を終えると家に帰る。積み上げた好意。特殊な状況での感情の変化。夜神粧裕が特別な感情を標へと抱き始めてるのは分かっている。其処に肉親の死というショックが加わり、丁度良い時に心の隙間にも入り込めた。
標へと抱いている想いが増幅したのに加え、少しばかりの依存も見える。良い方向に夜神粧裕の精神は育っている。
(友達以上恋人以下を続けて、攻めるのは兄の夜神月が死んでからだな。家族の死に更には
標が何かをしなくとも物語の結末上、夜神月の死は必然だ。本来ならば兄の死を経験するに留まるのだが、夜神粧裕の精神を削る為に標は少々の介入を行う。とは言っても仕込み自体は夜神月が死んだ後に、ノートにでも力を使って書き込むだけだ。
【DEATH NOTE】のお話が完結するまで、標は粧裕の呼び掛けに応じていた。
数ヶ月後。
(嘘っ……! 嘘っ……!! お、お兄ちゃんが!? 何で!?)
夜神粧裕は混乱の極致にいた。敬愛する兄の死。それにも勿論驚いたがふと耳にした事実が気を動転させた。
「キラ……お兄ちゃんがキラ……?!」
(そんなの嘘! 信じられない!!)
殉職した兄の遺品。それを受け取る為に警察まで足を運んだ。父総一郎、続いて兄の夜神月の死は母である幸子にはショックが大きすぎた。今も自宅で母は寝込んでいてとてもではないが遺品を回収しに行く余裕はない。その為比較的動ける粧裕が警察へと向かったのだ。
そしてその時に偶々聞いたのが刑事達の会話であった。
「嘘、嘘。じゃないと……」
遺品は受け取っている。話を聞いた後はそそくさとその場から、警察から離れた。重い足取りで絶望した表情で、粧裕は歩き続ける。
さっき聞いた話は嘘だ。そうでなければ父は、キラを止める為に尽力してその結果死んだ父は、間接的にだが兄に──。
「──違う。絶対に違う」
絶望した顔から一転。粧裕の瞳には決意が宿る。出来る事は限られている。だが動かない訳にはいかない。聞いた話が噂、ただの嘘っぱちだと言い切る為に、この日から粧裕は独自調査を行った。
しかし。
「あ、はは……どうしよう。逆じゃん、お兄ちゃん……」
夜神粧裕の調査は
「何時から? ねぇ何時からキラだったのお兄ちゃん? 皆でご飯食べて、笑って、その時からもうお兄ちゃんはキラだったの……? ねぇ答えてよ……」
かつて四人の家族が居て、今は二人しか居ない家で粧裕は嘆く。色々な感情が浮かんでは他の感情に呑まれていく。写真の中で笑う兄に問いかけても、答えが返って来る筈もなく。
「お母さん……には絶対に言えない。他の人にも。……でもこんな事一人じゃ……あっ」
兄がキラで大量殺人犯だった。前述した通り普通の人間である粧裕一人で抱えるには重い事実。知らなければ良かった。それなら尊敬する兄を失った妹として振る舞えたから。けれどふとした偶然が、兄の無実を証明しようという義憤が。粧裕の苦しみへと繋がる。
誰にも打ち明けられない。一度はそう思ったが脳裏に彼の顔が浮かぶ。彼ならば、続いて浮かんだ考えを振り払うように頭を振った。けど何度振り払ってもその考えは酷く魅力的に思えて。
「い、いきなりごめんね? 次、何時会えそうかなって思って……」
(会うだけ、うん会うだけ。最近調べ物で会えなかったし気分転換に会うだけ)
真実を知った代償に生じた多大なストレス。それを緩和する為に会う。そう自分に言い訳して彼へと連絡を取った。現金なもので彼の声を聞くと安心する。兄のように優れた人間だった訳ではない。だけど何でか一緒に居たいと思える相手。そんな彼と会うのは次の日だった。
「そりゃまた、とんでもない情報だね……驚いた」
(はは、結局全部話しちゃった。何やってるんだろ私……)
しかし言い訳じみた理由付けも標に会い、過ごしている内につい切り出してしまい。其処からズルズルと全てを話す羽目になった。この時ばかりは自制をしない自分が恨めしかった。
「まさか粧裕のお兄さんがね。だとしたら亡くなったのもキラだったから?」
「多分、そうだと思う。って、信じてくれるんだ。標君」
「粧裕ちゃんの言う事だしね。そりゃ信じるよ」
「……そ、そっか。ありがと」
何時からか名字から名前で呼ぶのを強要していた。何だか名字で呼ばれると他人行儀で寂しかったからだ。それはさておきあっさりと信じて兄がキラだという前提で話す標の対応に、粧裕は不謹慎ながらとても喜んでいた。
「誰にも言ってないのこれ?」
「流石にね……お母さんには絶対言えないし。他の人なんて尚更だよ」
「じゃあ僕に教えてくれたのは何で?」
「し、信頼……してるから。それだけ……」
「そりゃどうも。嬉しいね」
秘密の共有。それはただでさえ近くなった標と粧裕の距離を縮め、更に特別な感情を加速させる代物だ。頼り慕っていた父、兄はもう居ない。尚且つ兄には隠していた側面があった事を知る。今までの記憶、過ごした時間から嫌うことはどうしても出来なかったが。素直に好きだとは言えないくらい、兄への敬愛は揺らいでいるのは間違いない。
「……標君って彼女とか居るの?」
「どうしたの? 急に」
もう此処まで来ると自らの想いを誤魔化せなくなった。一度は告白され、それを断ったからと二の足を踏んではいた。けれど恥を捨ててもこの想いが叶うならばそれでもいい。標の隣に座り、肩に寄り掛かりながら粧裕は聞いた。
「答えて欲しい」
「今は、居ないけど……」
(今? それってつまり……いや、それは考えないようにして)
「そっか。じゃあフリーなんだ。今は」
「……そうだけど」
返答に引っ掛かる事はあったが今は気にするじゃない。重要なのは誰とも付き合っていないという事実。それさえ分かれば充分。
「昔。標君に告白されたよね」
「そうだったね」
粧裕の方へと向いた顔に彼女は両手を添える。目はしっかりと合わさるように見つめ続けた。
「今度は私から言うね。私と付き合ってください。彼女にしてください」
この告白への答えは二人の合わさった影が示していた。心の中で標は笑みを浮かべる。計画通りと。
***
「ひうっ♡ ゆびっ♡ きもちいところきてるっ♡♡」
「粧裕の凄い吸い付いて来るよ。期待してた?」
「つ、付き合って初めて家に来たんだから。す、するよ期待くらい……♡」
「へぇ」
「はぅ──っ♡♡」
対外的には一人で暮らしている家へと粧裕は招かれた。下着は大人っぽく黒くセクシーなのを履き。いざという時に備えて万全の準備を整えていた。キスやハグは経験があるがその先はまだまだ。ドキドキする胸を抑えながら標について行った。
「何時も履いてるの? こんなの」
「……い、意地悪♡ 言わせたいの……?」
「用意したんだ。嬉しいな」
「ど、どういたしまして……♡」
背中は標に預け、後ろ側から伸びた手が粧裕の肉体を弄る。片手は誰にも触れさせた事のない蜜園。もう片方は膨らみに這わされ。その何方もが動く度に粧裕の体へと快感を教えていく。
(じょ、上手♡ 気持ち良いけど、複雑っ……♡)
乳房を弄くる力加減が硬くなった突起を触る頻度が絶妙。蜜園の中に入った指は的確に感じる場所を探り当て、今では簡単に絶頂を迎えさせる程に慣れてきた。今は彼女が居ない。裏返せば前までは居たという情報。その情報が粧裕の心に昏い感情を落としていった。
「年上の人だったよ。誰かは言えないけど」
「……ふーん。そうなんだ……」
(嫉妬煽れるかなって思ったけど予想以上に効果あるな。ビックリした)
付き合ってない時には性処理相手として南空ナオミを使っていた。なので思い付きで彼女だった事にしたが。悔しそうな顔で、名も知らない女について考えている様子を見ると。かなり効いているようだ。想像以上に粧裕からの矢印は強い。
「ふぅ、ふぅ♡ 何でも、言ってね……♡ 私、標君がするなら受け入れるよ……♡」
「んー、例えば毎日こういう事したいって言っても?」
「……恥ずかしいけど、いいよ……♡ 何時でもする……♡」
(可愛い〜。じっくり堕とした甲斐があるな!)
標の手で何度も絶頂を迎えた粧裕は肩で息をしている。顔を手で隠すのは恥じらいから。けれど見せてと言えばその防御もゆっくりと解かれる。この恋人期間で分かった事だが粧裕は何を望んでも断りはしない。熟成した感情は標の全てを肯定する。
「ちゅる、ちゅう……そう言って、実は粧裕が毎日したいだけじゃないの?」
「あむっ♡ れろ、ちゅるちゅる♡ あむ、れる……そんな事……ないよ……♡」
「ふーん」
「ひあっ♡♡ ち、乳首苛めないでっ♡♡ キス出来ないからっ……♡」
キスをするよう指示する。嬉しそうに粧裕は顔を向けると唇を合わせた。舌が侵入し、口の中に彼女を感じる。少し意地悪をした後はフリーな両手を使い粧裕の突起を弄る。
「粧裕の胸は美乳って感じだね」
「む、他の人と比べてない?」
「ああごめん、ついつい。今は粧裕だけしか見てないから許して」
「──っ……♡」
(こんな言葉にときめくって、私かなりチョロい……? 耳元で言われると……♡)
今の標の言葉は粧裕に大体効く。標が陥れた恋する乙女モードは粧裕の心を甘々でチョロくし、褒めまくるだけで快感を与えられそうだ。
「もう挿れていい? 粧裕」
「うんっ♡ ちゃんと初めてだから安心してね? 全部標君にあげるね♡」
「よっと……」
「……わ♡ お、大きいっ、入るかな……♡」
大事な大事な標の獲物である。誘拐されるのは許容範囲だがそれ以外はNG。なので力を使って保険はかけておいた。そのお陰で粧裕は未だ清い身である。それも今日で全て塗り替えられるが。
「興味あるなら触る?」
「いいの? し、失礼します……熱っ♡ それにちゃんと硬い♡」
「後で手でするのも教えるから。良いよね?」
「勿論♡ 標君が喜ぶ事、全部教えて♡」
「さて。仰向けに寝て、粧裕ちゃん」
「これでいいかな?」
「OK。挿れるよ、これ」
「来て……ください♡」
粧裕は何も羽織らず裸体の状態で仰向けに寝転がる。恋人の部屋に連れ込まれ、恋人の寝る場所でとうとう繋がろうとしている。粧裕の心臓はバクバクと鼓動を打ち、顔は真っ赤に染まる。
亀頭が入り口に触るとびくんと反応し期待と不安が入り混じった表情を見せた。安心させるように軽くキスを交わしてから再び挿入を始めていく。今度は奥に到達するまで腰は突き入れられる。
「ぽ、ぽかぽかするぅ……♡」
「粧裕の処女、貰ったよ」
「あげちゃった……♡ 少し痛かったけど幸せな気持ち♡」
標が上から覆い被さる。挿入は恙無く終わり、途中あった初めて故の障害も越えた。ぷつんと破った感触が伝わると粧裕も声を上げたが、直ぐに落ち着く。最奥まで到着すればぎゅうっと粧裕は標に抱き着き喜びを露わにした。何とも可愛らしい生き物だ。
「本当に生で良かったの?」
「は、初めてだし。それに、今日は大丈夫だから♡」
「もしも出来たら責任取らないとね」
「……取ってくれるんだ♡ 責任……ふふ♡」
(標君♡ 標君♡ 好き……♡)
恋人気分を満喫する為に標は甘い言葉を選んで吐き続ける。それは粧裕には劇薬で、だけど嬉しいもの。この交合を始めてから何度標への想いが増幅したか分からない。
「あんっ♡ 中、突かれると安心する♡ 標君に愛されてるからかな♡」
「痛くない?」
「だ、大丈夫。それよりもっとぎゅってして欲しいな♡ トントンされながら抱き締められるの好きかも……♡♡」
「分かった」
(ちゃんと効果は出てるな)
標のペニスは粧裕の中で前後に動いていた。ゆっくりと引いては前に突き出す。痛みは少し。快感はそこそこ。今最も粧裕が感じているのは安心感だ。マジカルチンポで粧裕に多量な快感を覚え込ませるより、今回はペニスで突かれる度に幸福、安堵を覚えるようにした。その結果粧裕の顔は緩みきった状態である。
「ちゅ♡ ちゅうぅ……離れちゃだめ……ぎゅってしたままオチンチンで気持ち良くしてぇ……あむっ、れろれろぉ……」
(甘えん坊の子供みたいになったな。これも可愛いからいいけどね)
「よしよし。粧裕の言う通りにするよ」
「……♡」
思い付きで快感特化から別方向のペニスに変えたが効果の程が高い。少し体勢を変えて腰を振ろうかと思い、上体を上げようとするのも許されない。目を合わせれば粧裕はムスッと膨れ顔を作り如何にも不満ですよといった様子。
仕方ないので改めて正面から抱き締め、片手でご機嫌取りのつもりで頭を撫でる。これが功を奏したのか粧裕の機嫌は不機嫌から上機嫌になった。
「そろそろ出したいんだけど、このままだと中に出しちゃうよ?」
「んぅ……♡」
(更に強く抱きしめられた。これは中出ししていいかな)
スローペースで抽挿を行っていたが徐々に射精欲は高まっていく。粧裕のおまんこの内で肉棒は膨張していき、一度吐き出したくなる。それを伝えてみたが粧裕は抱き着いた状態を続ける。これは合意だろう。という訳で。
「ああああ……っ♡♡♡ 熱い……♡♡」
「ふぅ……粧裕のおまんこ気持ち良かった。粧裕はどうだった?」
「気持ち良かった……♡ 標君とのセックス気持ち良い♡ 幸せ……♡♡」
「気に入ったみたいで良かったよ」
初体験にして一度目の射精は生のまま奥深くに放たれた。びゅるるっと解き放たれた精液は粧裕の中を満たしていく。愛する恋人からの種をその身で受け入れた粧裕はブルリと震えながら、幸福そうな表情を浮かべて夢見心地。彼女からしたら最高の初体験であろう。その表情も
「対面座位も悪くないでしょ?」
「うんっ♡ うんっ゙♡♡ この体勢好きっ♡ 標君に全身で抱き着ける♡♡」
「セックスの時は甘えん坊なんだね、粧裕は」
「し、知らなかったのっ♡ 大好きな人に抱かれるのも♡♡ 私がこんなに標君が大好きだったのも♡♡ だから良いよねっ? 今だけはいっぱい甘えて♡♡」
粧裕は標から離れたがらないのは勿論標のせいである。一回突かれる度に少しの幸せを粧裕は感じる。何回もそれを繰り返せば粧裕がセックス自体に強い幸福感を覚えるのは当然。なまじ粧裕は標への愛情や依存が強い為勘違いは早かった。
自分は標君の事が好きだからこんなにセックスが気持ち良いんだ。一度でもそう思ってしまえば勘違いは補強されていく。
腰振りを止めて標が離れようとすれば幸せが感じられなくなる。強く抱き寄せてまたセックスが再開すれば幸せを感じられる。粧裕はどんどん標と標とのセックスに嵌っていった。
「ふぅ、ふぅ……♡♡」
「粧裕? おーい」
「標君……♡ 標君……♡♡」
(これ以上やると本格的におかしくなりそうだ。今日は此処までにしとこ)
標にとって少々誤算だったのは効き目があり過ぎた事。六回目の中出しを終えた時には粧裕の目は虚ろな状態になっていた。摂取しすぎな幸せは粧裕の心をふにゃふにゃに蕩かせ。しがみついたまま粧裕は反応を返さなくなってきた。これは不味いと一旦性行為は中断し、残りの時間は粧裕を正気に戻す事に費やした。
「ご、ごめん! ゴム着けようとしてたのに邪魔しちゃった……まだ赤ちゃん出来たら困るのに、本当にごめんなさい」
正気に戻った粧裕は行為中のホールドについて頭を下げた。標も粧裕もまだ学生。恋人らしい事をするのはセーフでも子供を作るのは早い。それが分かっているからこそ避妊はしっかりしようとしていたのだ。残念ながらその予定は全て無に帰し、使われたゴムはゼロであった。
「いやいや言う粧裕も可愛いかったから良いよ。本当に可愛いかった」
「も……もう! は、恥ずかしいからその事は言わないでよ! 変になってたの私……」
「また見せて欲しいな」
「っ! し、標君が言うなら断らないけど……思い出すと恥ずかしいのも本当だからね?」
粧裕も初めての経験がこんな甘々になるとは思わなかった。行為中の記憶はばっちり残っていた粧裕は真っ赤に顔を染めて標と目を合わせない。何でもすると誓いはしたが、吹っ切れるには少し恥じらいが残っている。
それでも標に頼まれたり命じられれば恥じらい<標になる辺りしっかりと出来上がっている。
「結局今回は出来なかったから、次は口での仕方を教えるね」
「うん……♡」
愛する者に盲目な状態とは恐ろしいものである。
***
「粧裕……ごめん。僕と別れてくれないかい?」
「…………え? え? な、何言ってるの……? 冗談だよね……標君?」
「ごめん」
(さて、上手くいくかな?)
粧裕と恋人同士になってから数ヶ月経った。真っ当な恋人としても乱れた男女の関係も順調に進んでいた頃。標は自分の彼女を呼び出し別れを告げた。やるかどうかは悩んだがこうした方が望んだ光景は見れそうだ。なのでやる事にした。
「し、標君、何で? 私嫌われる事しちゃった? 謝る、謝るから許して。ね? ね?」
「…………」
「お願い……辞めて……もう標君が居ないなんて考えられないよぉ……だからお願い……」
(……もう少しかな?)
本題を切り出すのはもっと粧裕の余裕が無くなってから。余裕を無くして焦りを募らせた方が判断力は鈍る。その状態の方が成功率は高いだろう。
何も知らず今日も標の自宅へと遊びに来た粧裕は、入った時とは比べ物にならない程、顔を青褪めさせている。深刻な顔付きで黙りこくる標を見て粧裕の不安定さは増していった。
「……僕には昔付き合ってた人が居るのは知ってるよね?」
「う、うん! 知ってるよ!」
「その人と最近会ってね」
「──っ!?」
せめて理由を教えてとせがみ出した粧裕を見て、そろそろかと本題へ入った。元カノとして語り始めたのは南空ナオミについて。流石にそのままの名前だとアレなので、偽名にはしているが南空ナオミなのは変わらない。
「そ、そのナオミさん*1と何かあったの?」
(もしかしてよりを戻そうって言われたとか……)
「何か……まあそうだね。そうなるかな……」
粧裕は直接は聞かないが前の恋人について凄く気にしている。昔の自分が告白を断ったせいと言えばそれまでだが。今は唯一無二心から愛する人が付き合っていた相手。愛情深くなり依存している粧裕が気にしない筈がない。
偶に前の彼女との出来事を匂わせると直ぐに反応するくらいだ。
「ナオミさんとは些細な切っ掛けで喧嘩してさ。その流れでそのまま別れたんだ。けどこの前久し振りに再会したらまた一緒に居たいって言われて……」
「……そう、なんだ」
(やっぱりよりを戻そうと……今の彼女は私なのに……)
喧嘩して恋人が引っ越す事になり自然と破局。そんな話を伝えた後は偶然再会したナオミと会い、復縁を求められたと話す。予想はしていたのか粧裕の表情は強張るが黙って標の話は聞いている。
「誤解しないで欲しいんだけどよりを戻すつもりは無いんだ」
「え? 違うの……?」
「うん。けどさ、その時に心が揺らいだのも本当なんだ」
その言葉を聞くと一度緩んだ雰囲気が再度張り詰める。この隙に連続して話してしまおう。
「言葉にはしなかったけどナオミさんも諦めてなさそうで。それをちょっと喜んでる僕もいて。このまま粧裕ちゃんと付き合ってても、何時かふとした気の迷いで致命的な事をしそうなんだ」
「そんな事……」
「ごめん。何より僕自身信じられないんだ、僕を。自分がこんなに不誠実な人間だと思わなかったよ。だから粧裕ちゃんを何時か傷付ける前に、いっそ今別れようって思ったんだ」
「……勝手だよ……標君……!」
(まあそうだよね。僕も言っててアレだなと思う)
標が別れを切り出した理由を聞き粧裕は両手で顔を覆いつくす。そのまま暫くの時間が過ぎたかと思う程の沈黙が、二人の間に流れる。
先に口を開いたのは粧裕だった。
「……私の事を嫌いになった訳じゃない?」
「違う。それだけはない。こんな不誠実な男だけど今も変わらず粧裕を愛してる」
「その、ナオミさんよりも?」
「それは……」
「それなら、私認める」
「え?」
話は進んでいく。標が望んだ方向へと確かに。内心を悟られないよう標は粧裕の恋人としての仮面を被り続け、とうとう粧裕からその台詞を引き出す事に成功した。
「粧裕がこれからも一番に愛してる女性だ」
「うん……標君がそう想ってくれるなら、私我慢する。だからもう別れるなんて言わないでね? 絶対だよ」
「分かった。ありがとう粧裕ちゃん」
「……今日は帰らないから」
粧裕の内面には南空ナオミという女への激しい嫉妬が渦巻いている。少しでも粧裕にではなくその女へと恋人の想いが向いているのが悔しかった。
「──好きっ゙♡ 好きっ゙♡ 離さないからっ゙♡♡ 標君の一番は私だけのものだからっ゙♡♡ ああんっ♡♡♡」
「粧裕! 中に出すよ!」
「来て来て♡♡ ナオミさんよりも沢山注いで、愛して♡♡」
何時もならば愛を確かめ合うような甘くゆっくりとしたセックスが二人のお決まり。しかし今日は激情を胸に秘めた状態。普段の交わりよりも激しく執着心に満ちた触れ合い。
中出しを終え休憩を挟む時にも粧裕は標に強く抱き着き、唇を熱烈に合わせる。一瞬でも他の女が恋人の脳内に蘇らえないよう、その姿勢は鬼気迫るものがあった。
***
「れろれろ♡ ちゅるる……♡ 標君のペニス、久し振りに味わうわ♡ 私のおっぱいどう?」
「気持ち良いですよ……ナオミさんのパイズリは好きでしたから嬉しいです」
「……標君」
「おっと、ごめん。キスの続きお願い」
「ちゅる……ちゅぱ♡ 標君、大好き……♡ もっとこっち見て♡♡」
標の家には今二人の美女が居る。片方は今の恋人の夜神粧裕。もう片方は南空ナオミだ。粧裕が提示した条件。ナオミとセックスをする時は自分の前でだけする事。嫉妬の炎に身を焼かれはするが知らない所で愛を交わし合うよりはマシ。そう考えた粧裕が浮気を黙認する代わりに頼んだのがこの条件だ。
顔合わせを終え、久し振りにとナオミが誘惑を仕掛けて来た事で自然と3Pの流れが出来上がる。久し振りどころか粧裕には隠れてナオミとのセックスは繰り返していた。だからご無沙汰でもなんでもないがそれはそれ。標もナオミも設定に合わせた役を全うしているだけである。
「はぁ……♡ ぴくぴくしてる♡ 凶悪なあなたのペニスも、胸で挟んであげたら可愛く見えるわね♡」
「標君、私も後でしてあげる?」
「あら、あなたのサイズで挟めるの? 粧裕さん」
「……」
標は全裸になり、粧裕とナオミは下着だけの姿になる。何方も大人っぽく色気のある黒の下着を身に着け、豊満な膨らみの間に標の男根は挟まれている。直ぐとなりには粧裕が腕を抱き寄せながら座っており、前からも横からも女の匂いが鼻を擽る。
「最近は大きくなってるからね。それに粧裕にして貰えばそれだけで気持ち良いよ」
「標君……♡」
「……れろ、ちゅる♡ れろれろ……ちゅるる♡♡」
(シルシ様も悪い
表面上は標という恋人の前でマウントを取り合う女達。けれど敵意を向けているのは粧裕の方だけ。既にナオミは標に完全に墜とされている。このしゃぶっている肉棒を定期的に与えてくれるなら、ナオミは標へと絶対の忠誠を捧げる。
チンポを与えられ可愛がって貰えるならば、粧裕の反応を引き出す為に使われても文句は言わないのが南空ナオミだ。
「標君♡ 私のおまんこが先よね?」
「標君! 私準備出来てるから気持ち良いよ、絶対♡」
「どっちにしようかな」
ナオミのパイズリを堪能し、完全に勃起したペニスを構える。最初に挿れられた方が一番搾りのザーメンを注ぎ込まれる。それが分かっているから二人はお尻を突き出し、黒のパンティを着けたままのヒップを見せ付け、我先にと標を誘惑している。
二人の間に膝をつき、伸ばした手でそれぞれのお尻を掴み揉む。恋人を喜ばせる為、主人を喜ばせる為と甘く艶やかな声色が部屋に木霊する。股間の一物を隆起させながら標は考え、その矛先を遂に決めた。
「あぁんっ♡♡ 標君♡♡」
「残念、後で愛してよ?」
狙いを付けたのは粧裕の方。隣のナオミに比べると少し肉付きの薄い体を後ろから抱き、奥にまで肉棒を突き入れる。約束通り一番に己を選んでくれた。粧裕の喜びは全身を震わせ、快感の更なる加速の一助となった。
「粧裕、愛してる。今日もたっぷり注ぐぞ!」
「嬉しい♡♡ 私標君に中出しされるの好きなの♡ 何時かは絶対、赤ちゃんも産むからっ♡♡」
「くぅぅ……! 孕め! 孕め粧裕!」
「欲しい♡ 赤ちゃん欲しい♡♡ もう今赤ちゃん妊娠して結婚したいよ♡♡ いい? 標君の赤ちゃん産んでいい?」
「産め、粧裕!」
「はぃ゙ぃ゙ぃ゙っ゙──いくっ゙♡♡♡」
愛してる。子供を孕め、産め。今直ぐにでも確固たる立ち位置を望む粧裕はこの手の言葉に弱い。愛してると囁けばキツく膣内は肉棒を締め付けてきて。孕め、産めとまくし立てながら腰を振ると絞り取る、その意思を感じさせるように中の膣壁が締め上げてくる。
その膣内の責めに抗わずそのまま頂点まで登り詰めると一気に解放する。ビクッビクッと全身を痙攣させながら粧裕は絶頂に至る。
「ふぅ、ふぅ……♡♡」
「お掃除する? 標君♡」
「ああ、よろしく」
「失礼するわね♡ あー……♡♡」
バックから獣のように突かれ絶頂と共にうつ伏せに倒れ伏す。標の荒々しい責めにはまだ粧裕も慣れておらず、暫しの休憩が必要だ。その間に粧裕の中から引き抜いた白濁液が付いた肉棒。それをナオミの前に差し出し、お掃除フェラをさせる。
「次は此処に欲しいの……♡」
両足を抱えゴロンとナオミは仰向けに倒れる。開いた股の間からはヒクヒクと標の男根を欲しがるおまんこが見え、それを見ただけで標のペニスは勃起していった。
「いっ゙──♡♡」
(──一気に奥までっ゙♡♡)
男一人、女二人の性の時間は刻まれていく。長く。長く。
***
「次の世界行くから後はよろしく」
「了解。粧裕とナオミの相手はしておくよ」
夜神粧裕と南空ナオミ。二人の女を手に入れ気の済むまで性を謳歌した。となるとそろそろ他の味が欲しくなってくる頃合い。とはいえ自らに課した制限からこの世界での獲物は二人が打ち止め。
こうなったら他の世界に行くのが決まり。前二つの世界と同じく自らの分身を作り本体は別の世界の選定へと向かう。
ちまちま書いてたら長くなったし遅くなった。ごめんね。流石に今回は長かったから分割。
デスノで興味持った二人で書いたっす。性欲発散相手はハル・リドナーとも迷ったけどナオミさん選びました。
ここすき入れてくれた人サンキュー。
タイトル考えるのむずい。
また次の話出来たら投稿します。
追記 12/13
今書いてるのが10000文字超えたから途中報告。ゆっくり書いてるからもう少し待って。