初出時は先にXを書いてからこっちを書いたのでこの変な数字になりました。
転載に際して直そうかとも思いましたが、ややこしくなりそうなのでこのままでいきます。
美里葵が用事を済ませ、教室に戻ろうとしたとき。
B組の前を過ぎたところで、勢いよく教室から出てきた人物がいた。
明確に葵を目指して向かってきたその少女は、立ち止まった葵の手をなれなれしく握ると、
良く通る声で話しかけた。
「ね、美里ちゃん、今度の土曜日空いてる?」
訊ねた少女の名前は、遠野杏子という。
学校ではアン子という方が通りがよい彼女は、明晰にして美麗、性格にも言動にも瑕疵のない
真神きっての有名人、美里葵とは別の意味で双璧をなす有名人だ。
新聞部の部長である彼女が通った後にはフケすら残らず、
一旦彼女に目をつけられた取材対象はトイレで使う紙の長さまで知られてしまうとまことしやかに語られている。
そのアン子が葵に向けた声は、獰猛な虎を撫でるためにご機嫌を取ろうとするような、
うさんくささにまみれたものだった。
彼女の友人――反対側からはただの知人であると猛抗議が来るかもしれない――
である緋勇龍麻や鳳来寺京一が聞けば、必ず良からぬ騒動に巻きこまれる予感を抱いて丁重に断るか、あるいは問答無用で逃げだすに違いない、
銭勘定にまみれた一流の商人でも出せないような、己の利益百パーセントの声だ。
しかし、そこにいたのは虎でも、まして龍麻や京一でもない。
彼女たちが属する真神學園の中で、おそらくもっとも悪という素質から縁遠い、
美里葵という少女だった。
アン子に呼びとめられた葵は、頭の中でスケジュールを確かめる。
アン子の指定した日は空いていた――ただしそれは、用事がないという意味であって、
一時間空きがあれば勉強するなり本を読むなりする彼女にとって、
空いている日というのは基本的にない。
それでも友人からの誘いは極力断りたくないと考える葵は、小首を傾げてアン子に続きを促した。
「土曜日マリア先生に呼ばれてるのよ。ね、美里ちゃん、一緒に行ってくれない?」
アン子や葵にとってマリアに呼ばれるというのは特別な意味を持つ。
二人はマリアも含めて龍麻のグループに属しており、
率直に言ってマリアの家に行くというのは、
彼女の家のベッドに行くというのに等しいのだ。
だから葵は、アン子の誘いに即答しなかった。
葵は龍麻のもっともそばにいる少女で、必然好色の被害も最大級にこうむっている。
にもかかわらず龍麻から離れようとしないのは、二十世紀も終わりというこのご時世には
死滅同然である彼への一途な想いであって、決して葵が淫の性というわけではないのだ。
それにアン子に対してマリアが特別な感情を抱いているのも薄々気づいていて、
自分が行ったところで邪魔にしかならないとも思うのだ。
ところが、アン子は葵の手を握り、必死の形相で離さない。
「あたし一人だと死んじゃうかもしれないのよ。
美里ちゃんだってマリア先生を犯罪者にしたくはないでしょ?」
「そんな……大げさだわ。マリア先生だって、その……わかっていらっしゃるわよ」
「それが甘いんだって! 前なんて腰が抜けたって言ってるのに、
後ろからガバってこられて、最後なんて気を失うくらい凄かったんだから」
嫌だと言うことを力説したいがために具体的な描写に及ぶアン子は、
そういう話は昼間から、ましてや学校の廊下でするものではないと思っている
葵が眉をしかめているのにも気づいていない。
そんな葵を救ったのは人間ではなく、休み時間の終わりを告げるチャイムの音だった。
「ね、とにかく後生だから美里ちゃん、功徳を施すと思って。卒業まで恩に着るから」
切羽詰まっているのに感謝に期限を切るアン子の図々しさを、
彼女の知人達ならすかさず指摘しただろう。
しかし躾の行き届いている葵はそのようなことを思ったとしてもおくびにも出さず、
かといって頼みを頑と突っぱねることもできず、結局押し切られて了承してしまうのだった。
夕方、二人は連れだってマリアの家に赴く。
呼び鈴を押すとよほど待っていたのか、間を置かずにドアが開き、女主人が二人を出迎えた。
「いらっしゃい、待っていたわ……アラ? 美里サンも一緒なのね」
出迎えたマリアの姿に、二人は圧倒されていた。
シャワーを浴びていたのが一目で知れる、白いバスローブ。
まだ乾ききっていない髪からはローズの匂いが漂ってきて、
学校で教鞭を執っているときとはまったく異なる、
上流社会の貴婦人めいた気品を醸しだしていた。
彼女が教え子の爛れた性関係を正すどころか、率先して生徒たちに淫靡な授業を行い、
今日もまたそのつもりで自分たちを呼び寄せたと知っている二人でさえ、
マリアを嫌悪することはできない。
彼女を特に印象づけている蒼氷色の瞳に見つめられると、そのまま氷づけにされてしまうような、
妖しくも甘美な感覚に心が囚われてしまうのだ。
「は、はいッ、来る途中でばったり会ったんでマリア先生の家に行くって話したら、
どうしても美里ちゃんも行きたいって言うんで」
友人の策謀に葵は唖然として声も出ない。
しかし、ここでアン子を問い詰めても話がややこしくなるだけだと思い、
仕方なく慎ましやかに沈黙を保った。
「ええ、もちろん歓迎するわ、美里サン。さァ、二人とも入って」
幸いなことにマリアはアン子の嘘を追求しなかったので、
葵も黙したまま、マリアの家に入った。
「まずは座って。何か食べてきた?」
親しげに語りかけるマリアに、二人が揃って首を振ると、
女主人は我が意を得たりとばかりに用意を始めた。
手伝おうとする葵を制し、手際よく皿と食べ物を並べていく。
食べものといっても火を通したものはなく、チーズやクラッカー、
それにその上に乗せる物がほとんどで、それらを並べ終えたマリアは、
ワインセラーから一本のワインを取りだし、テーブルの中央に置いた。
最後に部屋の照明を落とし、キャンドルに火を灯す。
経験したことのない幻想的な雰囲気に、二人は包まれていた。
「いつもは一人で食べることが多いから、今日は嬉しいわ」
マリアの好意に感謝しながらも、葵は控えめに辞退する。
「私達、未成年ですから」
「少しだけよ。これはそんなに度数の高くないワインだし、
大人が適切に飲ませるのなら問題はないわ」
「でも……」
葵がためらっている間にも、マリアはグラスに注いでしまう。
二口分ほどの白く透明度の高い液体は、確かにそれほど危険な飲み物という印象はない。
それでもやはりアルコール飲料ではあるはずで、葵はふんぎりがつかなかった。
「さあ、乾杯しましょう。……そうね、女だけのひそやかな集まりに、ということにしましょうか」
性急ではないがさりげなく有無をいわせないマリアに、
とりあえず乾杯だけでも葵はグラスを合わせた。
その隣ではアン子が、いかにも知った顔をしてグラスを傾けていた。
「……へえ、ホント、アルコールの感じがしなくて美味しい」
「アン子ちゃん」
葵の傍らでアン子が一気にグラスを傾ける。
少量とはいえ一気に呑むのは危険だと葵が指摘するより先に、
真っ先に止めるべき年長者があろうことかアン子をねぎらった。
「いい飲みっぷりね、遠野サン。もう少しいけるかしら?」
「いただきます。……はぁ、美味しい……ね、美里ちゃんも呑んでみなさいよ。
平気だって、これくらい。本当に美味しいんだから」
「そうね、無理強いはしないけれど、この量でひっくり返ることはないでしょうから、
何事も経験だと思って呑んでみるのはどうかしら」
二人に迫られ、また、非日常的なオレンジ色の照明が
ほんの少しの好奇心を葵に芽生えさせる。
それでもしばらくは理性との間で迷っていたが、
夢幻的な炎のゆらめきについにグラスを手にした。
「ん……」
予想と異なり、ワインは喉を素通りしていく。
口の中に広がったぶどうの味に、ごくわずかなアルコールが彩りを添え、
爽やかな呑みごたえが後に残った。
さらに数拍おいて、腹にアルコールのおだやかな熱が満ちていく。
その熱は、構えていた自分が馬鹿らしくなるほど快適だった。
「どうかしら?」
「美味しい……です」
「気に入ってもらえたみたいで良かったわ。もう少し、呑んでみる?」
砕けた口調のマリアに警戒心も薄れ、葵はグラスを差しだす。
二杯目はさらに味わいが深くなったように感じられた。
「ねえ先生、あたしにももう一杯ください」
「ええ、どうぞ」
アン子は早くも三杯目を注がれている。
彼女のペースは少し早いのではないか、との危惧が葵の脳裏をよぎったが、
キャンドルの炎が照らす、肘までむきだしになったマリアの、
ボトルを持つ白い腕の美しさに見惚れているうちにそのような思いも消え、
マリアの巧みな話術に引きこまれ、三人での談笑に時間を忘れていった。
葵がふと気づけば、隣でアン子はテーブルに突っ伏していた。
幸せそうな寝顔に、はしたないという思いと、
自分もあんな風に寝てしまいたい、という欲求が、
葵の頭の両端を数秒ごとに行ったり来たりする。
「よほど気に入ったみたいね」
マリアの囁きがどこかから聞こえた。
正面にいたはずなのに、と葵が横を向くと、マリアはアン子に毛布を掛けてやるところだった。
「アナタはどう? 美味しかった?」
「はい、とっても」
正面で見ていたときよりも、陰影が濃さを増したマリアに、葵の心臓は高鳴る。
もともと美女として名高い彼女ではあるが、こうして昼よりも夜、
夜よりも闇にたたずむマリアは、同性であっても心奪われる美しさだった。
「そう、良かった」
紅の唇を三日月型にしたマリアが、髪をかき上げる。
そしてその手はもとあった場所に戻らず、葵の髪に触れた。
「あ……」
髪に触られただけなのに、官能のさざめきが肌を走り抜けていく。
身体の内側に溜まっているワインの味に似た、それよりもずっと蕩けるような甘さ。
もっとその甘さに浸かりたくて、葵は首を傾げた。
冷たいマリアの掌が心地よい。
その冷たさは葵が素面であったなら気づいたかも知れない、
人の手にあらざる冷たさだったが、火照った肌が妖艶な教師の掌から感じたのは、
ただ恍惚だけだった。
「アナタは……酔った顔も素敵ね、美里サン」
「先生……」
葵は頬へと滑る掌に、上から手を重ねた。
大人の女性に美しさを褒められたのは悪い気分ではなく、葵の気分は高揚する。
マリアの指先が明確な意志をもって唇をなぞりはじめても、むしろそれを歓迎すらした。
新雪の上に跡も残さない、そんな繊細なタッチで一周、唇をなぞった指は、
さらに下へと滑っていき、顎の下端で止まる。
そこでごく微量加えられた力が、葵の唇をマリアのそれと引き合わせた。
「ん……」
指先と同じく冷たい唇。
口の中に冷気が流れこんだように感じたのは、錯覚か否か葵にはわからなかった。
肉厚のマリアの唇が、優しく唇をついばむ。
キャンドルの炎が闇に消え落ちたとき、葵は全てをマリアに委ねた。
下着姿の葵の目の前で、マリアがガウンを脱ぎ捨てる。
白い裸身が暗い寝室に淡く浮かび、葵を魅了した。
ベッドの上に座る葵に近づいたマリアは、陶然としている少女を抱きしめ、
甘いくちづけを何度も与える。
ブラジャーを脱がせ、反射的に胸を覆った手に指を絡め、
マリアには劣るものの充分すぎる大きさと美しさを備えた乳房に、自分のそれを押し当てた。
「あ……」
頬を染める葵に、幾度か動きを繰り返す。
こうした他愛のない戯れが、自分の見た目とのギャップを与え、
少女たちを打ち解けさせることをマリアは長年の経験で知っていた。
「美里サンのバスト、とっても柔らかいのね」
「……」
どう応じて良いかわからないらしい葵の乳房に横から触れる。
葵に嫌がる様子はなく、四つの巨大な肉果が押しあう光景を恥ずかしがりつつも
受けいれているようだった。
「でも、硬いところもあるみたい」
悪戯っぽく告げたマリアは、バストトップを擦りあわせる。
「は、恥ずかしい……です……」
「ワタシのも、硬くなっているでしょう? 美里サンがあまり可愛いからよ」
「先……生……」
「呼びつけておいて遠野サンには悪いけれど、二人きりで愉しみましょう」
優越感をくすぐられた葵は、潤んだ瞳でマリアを見上げる。
マリアは期待に応え、しっとりと唇を重ねてやった。
胸に顔を埋めて甘えてくる葵に見えない位置で、マリアはゆっくりと唇を舐め回す。
次に濡れた唇から紡がれた台詞には、少女を誑かす毒が含まれていた。
「ところで、遠野サンの話だと、美里サン、アナタが頼んで同行してきた、ということだけれど」
マリアの微笑は授業で当てた生徒が解らない、と答えたときに浮かべるものに近く、
真意を洞察するのは難しい。
心ならずも嘘をつかされた葵としては、今が謝る絶好のタイミングだと考え、
実際に謝ろうとしたのだが、マリアの動きは葵の予測を超えていた。
マリアが腹ばいにした葵を膝の上に乗せる。
何が起こったのかわからないでいるうちに、葵は突然、何かが破裂したような音と同時に、
尻に焼けるような痛みを感じた。
「きゃあッ……!!」
悲鳴が消え去るよりも早く、再び痛みが臀部を襲う。
混乱しきった葵が暴れることもできないでいるうちに、都合五発の平手打ちが葵の、
生白い右のヒップをしたたかに打った。
「やッ、やめて……くださ、い……」
訳もわからず暴力をふるわれた葵は、泣きながらに懇願する。
熟した林檎にも似た球体を眺めるマリアの顔には、凄艶な笑みが浮かんでいた。
厚い、仕上げた作品よりも濃い色の唇をゆっくりと舐めまわしてから、
突っ伏した葵を抱きおこす。
「痛かったかしら?」
「は、い……」
まだ涙が止まらないでいる葵の、背中をマリアは撫でさすった。
すると堪えきれなくなったのか、葵はマリアにしがみつき、子供のように声を上げて泣き始めた。
「先生、ごめんなさい、私……わたし……!」
「いいのよ、美里サンは罰をちゃんと受けたのだから」
数百年の生においても類希な美少女の、艶やかな黒髪を撫でてやりながら、
マリアは会心の笑みを浮かべていた。
葵を龍麻から奪うつもりはない。
だが、美しい花を愛でるのは許されるだろうし、
いっそう美しくするために少し手入れをしてやっても構わないはずだ。
人間の少女の熱い涙を受けとめるマリアの胸は、期待に高鳴っている。
少女の涙は例外なく美しく、彼女たちの涙を見るためになら、
どのような手間も惜しむつもりはなかった。
潮が引くように激情が去り、涙も引いていく。
泣きやんだ葵は、マリアに抱きついたままであるのを思いだして、
恥ずかしさから離れようとするが、担任にして絶世の美女の腕はそれを許さなかった。
「もう少し、泣いていてもいいのよ。……フフッ、アナタの身体はとても抱き心地がいいから」
「先生……」
耳朶からじかに注ぎこまれる濃密な声は、葵にそむくのをためらわせるだけの誘引力があった。
それに、マリアの女として完成の極みに達しているような肉体は、
同性であっても触れていて気持ちが良く、
冷たさを感じさせるくらいの体温も火照った身体には心地がよくて、
葵は今しばらくマリアに甘えることにした。
少女の手に微量の力が加わったのを感じたマリアは、きめの細かな肌を愛おしむように撫でる。
腰、背中、太腿。
女の大切な部分には触れず、葵を安心させるのが目的だ。
「美里サン……ごめんなさい、ワタシは……罰とはいえ、酷いことをしてしまったわ」
「そんな……悪いのは、私ですから」
思惑通り、葵は理不尽な暴力を与えた相手にすがりついてきた。
彼女の身体を撫でまわし、マリアは少しずつ密着の度合いを強めていく。
そうして自然な形で葵を、あぐらをかいた足の上に乗せると、
そこで初めて自分が叩いた尻に手を置いた。
「あっ……」
「まだ痛むかしら?」
「いえ……そんなには」
だが尻は熱く、口調も正直ではない。
マリアがいたわるように撫でてやると、嬉しそうにしがみついてきた。
まずは右の尻を撫で、頃合いを見て左にも手を這わせ、
さらに今度はやんわりと揉みはじめた。
「あ、ぁ……先生……」
冷たい手が熱くなった肌に染みとおっていく。
決して激しくはない、ぬるま湯が浸透していく心地よさに、葵はか細くうめいた。
「フフ……美里サンのヒップはとても揉みごたえがあるわね」
「そんな……恥ずかしいです……」
「アラ、恥ずかしがることなんてないわ。
とてもセクシーなスタイルなのだから、もっと誇っていいのよ」
マリアの囁きは羽毛のごときタッチで葵の羞恥心を撫でる。
恥ずかしく、同時に女としての自尊心も刺激されて、
まんざらでもない気分になる葵だ。
しかもマリアの両手が刺激するのは丘だけではなく、
その谷あいにたたずむ菊座までもがじわじわと捏ねられて、
声に出せないまま官能を高められていくのだった。
「は……あ、ん……」
尻の孔が気持ちよくなってしまったなどと言えるわけがなく、いつしか葵はぐったりしてしまう。
それこそがマリアの狙いで、葵の力が抜けたと見るや、すぐさまアナルに指を伸ばした。
「あっ……駄、目……です、そんなところ……せんせ、いっ……!」
「いけない子ね……真神學園一の優等生が、お尻が大好きだなんて」
「ち、違います、私、大好きなんかじゃ」
「美里サン、また嘘をつくのかしら?」
低められたマリアの声に、葵が怯える。
すると肛孔がきゅっとすぼまって、マリアがあてがった指に快い感触を伝えた。
「本当です、嘘じゃありません」
葵が懸命に否定しても、乙女にとってもっとも恥ずかしい場所から
女教師の指が離れることはない。
孔の上からたまらない微弱さで刺激を続け、
侵入を許すまいと息み続ける葵をくたくたにしてしまうのだ。
「お願い……で、す……許して……」
「一生懸命しがみついているのに、何を許してほしいのかしら?」
「それは……あ、ぁぁ……」
生徒からも教師からも絶大な信頼を得ている、真神の顔といって過言ではない少女も、
こうなっては形無しで、尻孔を弄ぶ女教師の指先に身悶えするほかない。
輝くほどの白い裸身を必死に組みつかせる美少女と、
それを受けとめ、翻弄する、人ではありえない白さを放つ素裸の美女の妖しさは、
悪魔的なほどだった。
「ずいぶんほぐれているわね。龍麻に可愛がってもらっているのでしょう?」
「それは……でも……わ、わた、んっ、んふうっ」
何しろ少しでも力を緩めれば、マリアの指はすかさず禁忌の孔をこじ開けようとするので、
葵は耐え続けるしかない。
足指を突っ張らせ、鼻の穴を膨らませて括約筋を締め続けるが、
蛭のように吸いついた魔性の指は一瞬として離れず、
葵の心身を煮えたぎる坩堝に引きずりこもうと暗躍していた。
「嫌、いやぁ……もう、やめてください……」
マリアがしがみついて頭を振る葵の、アヌスを軽く掻く。
これまでとは違う動きに葵は息を呑み、尻にいっそう力を入れた。
「フフッ」
対してマリアは無理やりに指をねじ込もうとはしない。
葵の意識が下半身に集中していると見るや、固く引き結ばれた唇を奪った。
「――!!」
口紅も引かれていない少女の唇を、厚い唇で挟むようにキスをする。
ただしそこから力づくで舌を挿れようとはせず、代わりに尻孔への責めを再開させた。
「んんッ、んんぅ」
マリアの舌は時に犬のようにべったりと、時に蛇のようにちろちろと唇をくすぐる。
尻への集中力も切らすわけにはいかず、懸命に耐える葵の、健康的な唇が白く塗れていった。
「いつまで我慢できるかしら? ひくひくしているわよ、美里サンの可愛いアヌス」
口と尻に加えて言葉でもなぶられて、葵の顔がいよいよ羞恥に染まる。
頬に貼りつく黒髪をマリアは吹いてやり、そのまま耳朶を咥えた。
「あッ……!」
ほんのりと熱い耳たぶに、牙を立てたい衝動を女吸血鬼は抑えた。
処女でないことを差し引いても美里葵の血はさぞ美味だろうが、
彼女の血を吸ってしまうと後々話がややこしくなるのだ。
衝動を満たせない代わりに、マリアは葵の耳に舌を入れる。
起伏の全てを舌先でなぞり、耳の奥に唾液を塗りつけていった。
「んっ、あっ、せん、せっ……」
無防備な耳を犯された葵の、全身から力が抜ける。
その機を逃さず、マリアは尻孔上で待機させていた指に力をこめた。
「ひっ……!」
白い指が魔法のように消える。
異物感に葵が慌てて括約筋を締めたとき、すでに三分の一以上が孔の中に埋まっていた。
「ぬ、抜いて、くだ、さいっ」
「駄目よ、せっかく挿ったのに。フフ、美里サンのアヌスの中……とっても温かいわ」
「嫌ッ、お願いです、抜いて……ひんッ」
淫艶に微笑んだ生徒の信頼も篤い女教師は、優等生である教え子の頼みを聞きいれず、
尻壁の具合を確かめるように指を動かす。
尻を苛む異様な感覚に葵は悶絶するが、マリアに抱きしめられて身悶えすら叶わなかった。
もはや排泄の路を逆に昇ってくる指を止める術はなく、
女教師の淫虐に哀れに弄ばれるのみだ。
「はっ、あ……あッ、んふッ」
さかんに漏れる美少女にそぐわぬ鼻息も、いつしか音色を変えている。
龍麻によって開発されつつあった禁断の孔が、その妖淫の花を咲かせはじめたのだ。
「あァッ、せんせ……いッ、んふッ、駄目、わたし、おかし……ッ、んはぁぁッ」
身悶えする教え子を支えるふりをして、女教師はより深く指を挿れる。
そして淫魔さながらに、さらに淫堕の沼へと葵を誘惑するのだった。
「美里サン、お尻に力を入れて締めてごらんなさい」
「……! そ、そんなことできません……!」
「龍麻を気持ちよくさせてあげたいのなら、やってみるべきだと思うわよ」
葵にとって龍麻は魔法の言葉だ。
それを知っているマリアが囁くと、思惑通り葵は悩みはじめた。
「ほ、本当に……緋勇君は悦んでくれるでしょうか?
いやらしい女だって軽蔑されませんか?」
「そうね、他の女ならそうなってしまうかもしれない。
でも美里サン、アナタなら大丈夫よ。龍麻はきっと悦んで、ますますアナタに夢中になるわ」
耳に直接注がれる低められた声と、腸内でじんわりと動き続ける指に思考を導かれて、
ついに葵は決断する。
「ん、んんっ……こ、こう……ですか……?」
「そうよ、上手ね、美里サン。今度は指が挿ってくるのに合わせて」
「は、はい……あ、ふ……んっ……」
マリアの合図に合わせて、葵は何度も括約筋を締める。
秀麗な眉目を歪め、濡れ牡丹の唇を噛んで、肛門を操る美少女の姿は、
汚れた世紀末にふさわしい退廃の美だった。
その美を特等席で鑑賞する立場の女性は、締めあげる肛門の快美感と、
そのために葵が払っている途方もない羞恥心という対価を、
それが彼女の身体から噴きでているかのように唇を寄せて吸いあげていた。
「ああ……素敵よ、美里サン。こんな風にされたら、龍麻もたまらないでしょうね」
褒めたたえながら、マリアはさりげなく根元まで指を埋め、腸の奥を刺激する。
膣内とも異なる腹の中での快感に翻弄される葵は、もはやマリアの言いなりでしかない。
指を抜かれて喘ぎ、挿入されて息を漏らし、
肛門快楽に浸る清純な女子高生らしからぬ淫声を幾度も室内に響かせた。
「あふぅっ……せんせいっ、あぁ、はぁ、あうぅ……!」
「フフッ、すっかりアヌスの虜になったようね」
「わ、わたし、こん、なっ、んぅ、恥ずかしい」
「恥ずかしさも女を美しくするのよ。だから、もっとたくさん……
アナタのいやらしいところを、ワタシに見せてごらんなさい」
マリアは唇を合わせ、舌を伸ばす。
葵も応じてきて、二枚の舌が艶めかしく絡みあった。
「あう、あ……はぁ、ん……せ、んせ、い……」
「フ……ンッ、ゥム……美里サンはキスも上手なのね。それなら、こういうのはどうかしら?」
マリアが葵の舌を吸う。
他人の口の中で舌を犯される快楽に、葵の全身から力が抜けた。
「はッ、はッ、はァッ、へんへい」
痺れてろれつが回らない葵の舌を、マリアは優しく舐めてやった。
もちろんそれだけにとどまらず、今度は自身の舌を出してみせる。
「さあ、美里サンもやってごらんなさい」
「は、はい」
素直に葵はマリアの舌を咥えた。
マリアほど巧みにではなくても、肉厚の舌を食み、口の中で舌先をくすぐる。
粘膜を擦り合わせていると下腹でマリアの指が蠢き、葵を陶酔させていく。
「んッ……んンッ……」
葵の息が続かなくなって口を開ければ、すかさずマリアがその口を塞ぎ、舌を蹂躙する。
半ば酸欠状態に陥った葵は、目の焦点も失い、口の両端からは泡だった唾液を垂らす有様だった。
唾液を音を立てて啜りながら、マリアは左手の指をおびただしく濡れる葵のクレヴァスに添える。
中指にその周縁を一周なぞらせると、膣内へと沈めていった。
前後の穴に挿入された葵が我に返り、がくがくと腰を揺らせて叫ぶ。
「あぅッ……! っ、は、あぅぅぅっ、だめ、先生、だめぇっ……!」
「こうやって両側から擦られるとたまらないでしょう?」
「あああっ、わ、わたしっ、あぁ、おかしく……!」
「いいのよ、美里サン……おかしくなってしまいなさい」
激しい水音を立ててマリアが両手の指を出し入れさせる。
微妙にタイミングの異なった刺激が絶え間なく下腹を襲い、葵を追い詰めていった。
「ひッ……あ、あ、せんせい、マリアせんせいっ……!」
顔をくしゃくしゃにし、涎を撒き散らしながらろれつの回らない声で叫ぶ葵に
優等生の趣は微塵もない。
一方で教え子を抱きかかえ、仮借ない指技で女の二穴を責めるマリアの顔にもおよそ
聖職者の面影はなく、裸身で絡みあう二人の女性は妖美に過ぎるものだった。
「あァ……美里サンのヴァギナ、とても嬉しそうよ」
「あぅぅ、お腹……指、動い……苦し……っ」
「苦しいだけではないでしょう? ちゃんと言ってごらんなさい」
「ああ、でも、そんな……」
理性の残りかすで葵はなお耐える。
だが、懸命の努力もマリアの前では蟷螂の斧に過ぎなかった。
「正直に言わないと、またお尻を叩くわよ」
「……! い、言います、気持ちいいですっ」
「どっちがいいのかしら? こっち? それともこっちかしら?」
「りょ、両方です、両方とも、んぅ、あぁッ」
「両方ってどことどこかしら? 美里サンなら言えるわよね?」
熱を孕んだ口調で言いながら、マリアは葵のアナルに埋めた指の根元を、
孔を拡大するように渦を描かせる。
もちろん実際に拡がるわけがないが、葵を恐慌に陥らせるには充分だった。
「……お、おまんこと……お尻の、孔……です……!」
「良く言えたわね、美里サン」
淫語は龍麻にも何度か言わされているのに、未だに羞恥で死んでしまいそうな顔をする葵に、
一転して難問を解いた生徒を称える甘い声を発したマリアは、
もう何度か達している葵の、膣にもう一本指を挿れた。
「さァ、もっと気持ちよくしてあげるわ」
膣内の二本の指が隘路をくつろげ、弄る。
男性器よりも細い指は、しかし縦横に自在に淫壁を擦りあげ、
龍麻にも与えられたことのない快感を葵にもたらした。
「んふぅ、あ、あ、嫌っ、あっ、ん、ひぐぅッ……!」
蠢く三本の指に膣道と尻路がひとつになったかのような錯覚を覚え、
快楽と痛みが不可分の大きな塊となって下腹から昇ってくる。
頭の中に雷鳴が轟き、葵は渾身の力でマリアにすがった。
「フフッ……イキなさい、美里サン……!」
マリアの声は葵に届いてはいても、伝わってはいなかった。
膣内でマリアの指が腹の側を擦る。
そこは葵も知らなかった急所で、強く擦られた瞬間葵の意識が飛んだ。
同時に、もう一番奥まで挿っていたと思っていた、尻を塞ぐマリアの指が、さらに奥へと伸びた。
「んあッ、ああぁあ――!!」
苦痛と快楽、二種類の刺激が同時に葵の身体を駈けのぼる。
それらが頭の中で混ざり、閃光となって弾けた。
「――ッあ、ひ、あァ――!!」
がくん、がくんと大きく二度、弾けたばねのように身体を弾ませ、葵は達する。
これまで彼女が経験してきた中でも激しい絶頂は、容易に彼女の意識を断ち、
一瞬全身をこわばらせたかと思うと、一気に弛緩した。
官能の震えを全身で受けとめたマリアは、葵が放つ濃密な匂いを深く鼻腔に導きいれる。
咲き誇る少女がエネルギーを放出してしおれるさまは、
何百年味わっても飽きるものではなかった。
「とても可愛かったわよ、美里サン……また、しましょうね」
紅い舌で葵の耳朶を舐めたマリアは、甘美な囁きを聞こえるはずのない耳に注ぐ。
そうして彼女の二つの穴に収まっている三本の指を引き抜くと、
てらてらと光る己が指を愛おしそうに眺めるのだった。
気を失った葵を、マリアはベッドに寝かせてやる。
前菜は十二分に堪能したので、いよいよメインディッシュの番というわけだ。
「少し休んでいなさい、美里サン……」
葵に優しくシーツをかけたマリアは、もう一人、
居間で幸せそうな顔をして寝息を立てている少女の許に向かった。
息苦しさに、アン子は目を覚ました。
目を開けて最初の世界との接続は、普段通りの視界の悪さだ。
眼鏡を常用する人間の、登録された無意識下の行動として、
目の前をクリアにするデバイスを手に取ろうとする。
しかし、眼球よりは言うことをきくはずの右手は、がちゃりと不自然な音を立てただけで、
普段なら顔の右側にはずの眼鏡に伸びようとはしなかった。
「ちょッ、ちょっと何よコレ、どうなってるのよ!」
右手に加えて左手も動かない。
それどころか両足さえも意のままにならず、アン子は自らの悲鳴に頭痛を覚えつつ、
ようやく事態の異常さを悟った。
慌てて記憶を逆再生して、身に生じた危険を把握しようとする。
「おはよう、遠野サン。よく眠れたかしら?」
しかし、耳元で聞こえた粘り気のある声に、頭痛などどこかへ吹き飛んでしまった。
今どこで、誰と何をしているのか瞬時に思いだす。
けれども声の主の方を向くことは、アン子にはできなかった。
「マ、マリア先生……」
「ずいぶん気持ち良さそうだったけれど、そんなにあのワインが美味しかったかしら?」
「い、いえ……それより、どうしてあたし拘束されなきゃならないんですか?
未成年にお酒を勧めるし、人権問題だと思うんですけど」
この時アン子を支配していたのは恐怖で、ゆえにマリアに対しても強く出たのだ。
糾弾されたマリアは動じるでもなく、アン子の顎を人差し指でなぞる。
甘くも冷たい指先が、アン子にこれまで抱くことのなかった感情を抱かせた。
「アナタ、家に来たときは来る途中で美里サンに会って、
美里サンの方が一緒に来たい、そう言ったわよね」
「……! さ、さあ、そうだったかしら、忘れちゃいました」
「美里サンは遠野サンに無理やり連れてこられたと話しているのだけれど、
どちらの言い分が正しいのかしら?」
疑問の形はしていても、マリアは明確に断定している。
大人の女性の凄みを感じさせる笑みに、アン子は喉が干上がるのを感じた。
「ワタシは一人で来て欲しかったのだけれど、遠野サンは違ったみたいね」
「それは……」
どう言えばこの場を切り抜けられるだろう。
アン子は唯一自由である思考能力をフル回転させようとした。
だが、有効な言葉を一言すら生みだす前に、顎がつままれ、横を向かされる。
至近距離でまともに蒼氷の瞳を見てしまったアン子の心は瞬時に凍ってしまった。
「あ、あの、あたし」
「なあに?」
マリアの声は教え子に対するものではなく、ペットに向けるものだ。
それを皮膚で感じたアン子の、背筋が総毛だった。
口をつぐんだアン子にマリアは怒るでもなく、乱れたアン子の髪に手櫛をいれる。
どこまでも優しいが、なぜか物理的な冷たさを感じさせる手つきに、
アン子は奇妙な安らぎを覚えた。
「その……先生のことが嫌だとかそういうんじゃなくて、
ただ、先生はずいぶん……激しいからそれがちょっと怖くて」
「そうだったの」
指が耳に触れる。
ずいぶんと熱くなっていたらしく、冷たい指がとても気持ちいい。
輪郭をなぞる爪の硬質な感触も快くて、アン子は小さく身じろぎした。
「心配させたみたいでごめんなさいね」
「い、いえ、約束を破ったのはあたしですから」
先に謝られると、いかにも自分が子供っぽく思えて、アン子は赤面する思いだ。
だから微笑を浮かべるマリアに、彼女が大きく安堵したのは無理からぬことだった。
「んッ……」
赤と紫の中間の色をした唇が近づいてくる。
ソフトクリームの滑らかさと冷たさを併せ持った唇を、アン子はごく自然に受けいれた。
「あ、あぅ……う、ん……っ」
顎をつままれ、口を開けさせられた状態で、アン子はキスを受ける。
マリアの舌は、舌とは思えない力強さで口内を蹂躙していった。
他人に無理やり何かをさせられるのを嫌うアン子だが、マリアにはなぜか不快感を感じない。
それにマリアは若干行き過ぎではあっても、大人の快楽を教えてくれる女性でもあり、
受けた洗礼は刷り込みに近くアン子を支配していた。
拙いながらもアン子が、教わった舌の動きを披露してみせると、
マリアは嬉しそうに応じてくる。
もちろん師匠、というか本家に及ぶわけがなく、しばらくするとアン子の舌は
肉厚のマリアの舌にいいように弄ばれる一方になるのだが、
粘膜が触れあうただれた快感にアン子は浸り、学校ではおよそ見せないだらしのない顔を、
むしろ倒錯した悦びをもって自覚的にしていた。
「あの、でも」
「なあに?」
「拘束は、できれば解いて欲しいかなって思ったりしてるんですけど」
長いキスが一度終わり、唾液が糸を繋ぐ距離で二人は見つめあう。
この雰囲気なら言える、と判断したアン子は、思いきって要望を告げた。
「遠野サン」
「は、はい」
「遠野サンは勉強も良くできて、将来のこともきちんと考えている優秀な生徒だと
ワタシは思っています」
「そ、それはどうも」
「でも……嘘はいけないわ。特に自分のために吐く嘘は、許されないものよ」
「……」
マリアは案外根に持つ性格かもしれない。
若干悪くなってきた雲行きを、どう回避しようかアン子は思案する。
しかし、雨雲はアン子の予想を超える速さで接近していた。
「美里サンはきちんと罰を受けたわ。
だから遠野サン、アナタにも罰を受けてもらわないといけません」
葵がいったいどんな罰を受けたのか、気になったアン子だが、
視界は著しく制限されている上に眼鏡まで奪われていてマリア以外ほとんど見えない。
わからない、というのがどれほど恐怖を生みだすのか、アン子は実感する。
マリア・アルカードは真神全生徒の憧れと言って良いくらい絶大な人気を誇る教師だ。
その彼女と一対一で向き合えるというのはアン子も含めて嬉しいはずなのだが、
昼よりは夜を、夜明けよりは黄昏を想起させる今のマリアは、
親しみよりも遠ざかりたい存在だった。
マリアの手がアン子の身体をなぞる。
冷たい手が肌に触れることで、アン子は自分が裸であることを知った。
ただ、それはアン子に相応の驚きと恥ずかしさをもたらしはしたものの、
声を出して騒ぐといった事態にまでは及ばない。
四肢の拘束の方に度肝を抜かれていたので、裸程度では焦らなかったのだ。
降りてきた指先は、当然のように胸に着き、乳首を弄ぶ。
指先と爪を交互に使った巧みな愛撫に、アン子は昂ぶりを覚えた。
「……これが……罰ですか?」
「いいえ、まさか。……遠野サンは早く罰を受けたいのかしら?」
「そうじゃないですけど、嫌なことは早く済ませたい主義なんです」
「そう……わかったわ。それなら、始めましょうか」
マリアは立ちあがり、彼女の全身をアン子は見ることができた。
日常のどこでこんな下着を着用する機会があるのか全く思い浮かばない、
深い紫のブラジャーとパンティにビスチェ、
それにパンティストッキングとガーターベルトといういでたち。
いやらしさもさることながら、どこか戦闘的にも見えるコスチュームは、
アン子に不安しかもたらさない。
アン子の目の前でマリアは後ろを向き、見事な、そして丸出しのヒップを晒す。
初めて目にする本物のTバックに圧倒されて声も出ないアン子の前から、
マリアは一旦姿を消した。
葵には平手でスパンクしたマリアは、アン子に対しては同じ手段を使うつもりはなかった。
アン子の見えない場所に行き、アン子を不安にさせる音と共に、何かを取りだす。
彼女が手にしていたのは、一本の鞭だった。
先端が台形になっている乗馬用の鞭は、マリアのような女性が持つといかにもサディスティックで、これから始まる惨劇をいやでも想起させる。
手首と足首を繋がれたままのアン子には、マリアが鞭を手にしたのは見えず、
もし見えていれば、いくら大抵の男より肝が据わっている彼女でも恐慌に陥ってしまっただろう。
戻ってきたマリアは、アン子をうつぶせにさせた。
「ちょッ、先生、何するんですか」
手首と足首が繋がれているアン子は、自動的に尻を掲げた姿勢になる。
柔らかな枕を敷かれて顔は辛くなかったものの、高まる不安は彼女の声を尖らせた。
マリアはそんなアン子を全く無視し、手にした鞭を悠然と構える。
「さあ……始めるわよ、遠野サン」
「――ひッ!? い、痛……あぅぅッ!!」
乾いた音と尻を襲った鋭い痛みは、アン子にとって全く予想外だった。
立て続けに二発、左右の尻に痛打を浴びたアン子は、ほとんど狂ったように暴れた。
「い、嫌ッ、先生ッ、あたしが悪かったですッ、だから」
懇願を遮って乾いた音が炸裂する。
吸血鬼のマリアが本気で鞭を打ったら、アン子の皮膚は避け、肉を抉っていただろう。
当然彼女の打撃は充分に手加減されていたが、アン子がそれを知る由もなく、
また、知ったところで灼けるような激痛に感謝することなどとてもできなかったに違いない。
「ひぅッ! あぅッ……や、やだ、止め、んああッ!」
双臀が朱に染まる。
掲げられたヒップを下ろすこともできず、半ば気を失った状態でアン子は、
マリアの嗜虐になぶられるばかりだった。
寝室に都合二十発の音を鳴り響かせて、マリアは一度手を止めた。
肉の焼け具合を確かめるように朱から深紅へと、
まんべんなく色を変えた丘陵を見下ろし、満足げに微笑む。
形も良く、大きさも申し分ない豊かなヒップは、マリアの所有物であり、
彼女はその権利を行使して芸術作品を作りあげたのだ。
微笑をたたえ、マリアは肉臀に触れる。
左右に押し割り、上を向いた綺麗な薄褐色のアヌスと、その下のヴァギナを露出させた。
被虐の悦楽をまだ知らないクレヴァスが、鞭の痛みで湧き水を滴らせるようになったとき。
彼女はどんな顔をして、苦痛をねだるだろうか。
その時を思うと、マリアの疼きはたまらなくなるのだった。
「遠野サン……痛かったかしら?」
「ごめん……なさい……」
アン子は問いかけに答えたのではなく、オウムのように同じ言葉を反復しているに過ぎない。
それを確かめ、マリアは彼女の背中を撫でた。
葵には幾らか劣るが肌理の細かな肌に、官能の吐息を漏らす。
おそらくはアン子自身も気づいていない、彼女の美しさ。
今は素質に過ぎないそれを、マリアは極限まで引きだしてやらなければならない。
一旦アン子から離れたマリアは、まだ気を失っている葵を揺り起こした。
「あ……せん、せい……?」
激しいエクスタシーにまだ葵の意識は酩酊しているようだ。
誰をも魅了する笑顔で葵に顔を寄せたマリアは、目覚めのキスを彼女に与えた。
「あ、ん……」
葵は素直にくちづけを受けいれ、腕をマリアの身体に回してくる。
激しくはない、さざ波のようなキスを与えるマリアは、同時に葵の腰回りを撫でさすった。
ヒップから足の付け根、それからクレヴァス。
女の余韻が残っている葵は、マリアの愛撫に甘えるように腰を浮かせた。
ヴァギナに浅く指を沈め、掻き回してやったマリアは、しかしそれ以上はせずに指を抜いた。
「ああ……」
蕩けた顔をする葵の、耳元にマリアは命じた。
「美里サン……アナタのお友達の手当をしてあげてほしいの」
聡明な少女は意志を持たぬ人形のようにのろのろと命令に従う。
教師が同性の教え子をいたぶるという異常にも心が麻痺してしまったようで、
マリアの代わりにアン子の股間に陣取った葵は、憑かれたように赤く腫れた尻に触れた。
「アン子ちゃん……とても痛そう」
白い丘が孕む熱を確かめると、子犬のように患部を舐める。
灼けるような痛みは相変わらず臀部を覆っていたが、
葵の舌はその上から恥ずかしさを伴うむず痒さをアン子に与えた。
「や……あ……みさと……ちゃん……」
声が出ないアン子は、むず痒さから逃れようと尻を揺する。
だが、それは別の場所を舐めさせるだけでなく、
葵に一層の奉仕を促す全くの逆効果となってしまった。
「あぅ……あ……っうん……」
情感をこめた葵の舌使いに、むず痒さがどんどん広がっていく。
その気持ちよさを今は受けとってはいけない気がして、アン子は意識を殺そうとした。
しかし、鋭敏になった肌は否応なしに舌の感触を脳へと伝える。
さらに美里葵という最上級の美少女に尻を舐められているという背徳は
拘束と鞭による昂ぶりに油を注ぎ、アン子の理性を燃やしていくのだった。
「あッ……あ、やだ、美里ちゃん、駄目……ぇ、駄目だったらぁ」
自分でも知らぬうちに、アン子の声に甘えが混じっていく。
それは葵が双つの紅い球を舐め終え、
マリアの指示によってさらにアナルへと舌を這わせたときに一層はっきりした。
「んぅっ、やだっ、そんな……とこ、舐めないで、美里……ちゃん……」
アナルをひくひくと収縮させながら、アン子は言葉とは裏腹に葵の舌から逃げようとしない。
アン子と同様に同級生の尻孔を弄っていることに酔っている葵は、舌をすぼめて孔に挿れた。
「あぅぅぅ……美、里……ちゃあんっ……!」
身体の内側を舐める舌に、アン子の理性が崩壊する。
まだ残る尻の痛みも、拘束されてみっともない格好を晒しているのも、
尻の孔から広がる快感に統合され、ひとつの大きな快楽となっていった。
「んふ……んっ、は、んん……アン子ちゃん……お尻、気持ち……いいの……?」
「ち、違うの、あたしそんなお尻なんかで気持ちよくなんかっ」
「うふふ……でも、アン子ちゃんのここ……とっても嬉しそう」
「そ、それは刺激されて……あんっ、は、あ、あ、んうぅっ……!」
身体は肛虐の淫悦に溺れながらも、口ではなお抵抗するアン子に、マリアが動いた。
「遠野サンは余程アヌスが嫌いらしいわね」
「そ、それは……こんなところ好きな人なんて……」
「アラ、そうかしら? それなら美里サンに訊いてみるわね」
アン子へアニリングスを行っている葵の尻孔をマリアはまさぐる。
先の愛撫で充分に解れている排泄孔は、たやすく指を呑んでいった。
「あ、ん、せんせいっ……!」
細やかな動きで意識を向けさせ、大きな動きで翻弄する。
真神學園きっての優等生も肛門快楽にはあらがえず、マリアの技巧に他愛もなく嬌声をあげた。
「どう、美里サン……アナタはアヌスをほじられるのは嫌い?」
先に一度認めさせられたとしても、今度は知人の目の前で言わされるのだ。
葵がアン子への愛撫を中断し、唇を強く噛んだのも無理はなかった。
だが、葵が言わないと見るや、マリアはすぐに指を抜いた。
そして薄く孔を開いたままのすぼまりの、表面だけを指腹でこする。
「あ……」
すでに脳髄にまで回った淫毒は、快楽に対する中毒症状を哀れな少女の身に引き起こした。
疼く尻孔は狂おしいまでに快感を要求し、口にかけた理性の閂を内側から開けてしまう。
「す……好き……です……」
変わらないマリアの愛撫に、葵は声を振り絞った。
「わ、私、お尻の孔を弄られるのが好き……です……」
「遠野サンに聞こえるように、もう一度言ってごらんなさい」
「アン子……ちゃん……私……お尻の孔、触られると……
き、気持ちよく……なっちゃう、の……あ、ぅンッ……!」
完全無欠の美少女だと思っていた葵の痴態にアン子は声も出なかった。
同時に、葵でさえそうなのだから、とアナルで感じてしまうことへの嫌悪が薄れていく。
もともと性的な快楽それ自体には抵抗の薄いアン子だ。
ただ今回はあまりに色々なことが急激に進み、少しどうしたらいいか判らなくなっただけで、
実際、アナルへの愛撫を再開されて悩ましげに喘いでいる葵を羨ましいとも思い始めていた。
「さあ、美里サン……お尻の気持ちよさを、遠野サンにも教えてあげなさい」
「あぁ……はい……」
尻の中を掻き回されたまま、葵がアニリングスを再開させる。
それまでよりも熱のこもった、自分の受けとっている快感をそのまま
伝えようとしているかのような愛撫を、アン子はもう拒まなかった。
「く……ぅ、ん、美里……ちゃんっ……」
葵の舌は的確に快感を与えてくれるが、次第に物足りなさが募っていく。
葵がされている、かつてマリアがしてくれた愛撫を、アン子は渇望していた。
「お願、い」
枕に顔を埋めながらではあったけれども、アン子は言った。
「あたしのお尻にも……指、挿れて。あたしも……お尻、ほじって欲しいのっ!」
最後には叫びとなったアン子の懇願に、葵はマリアを見た。
懇願は当然マリアに向けてのものだと思ったからだ。
しかし、マリアは葵のアナルに入れた指を軽く曲げ、静かにうなずいた。
葵は唾を飲みこみ、友人の臀部に向き合った。
大きな白い尻の中央にひっそりと存在する、排泄の孔。
夢中で舐めていたが、薄く孔を開け、アン子の呼吸に合わせて開閉を繰り返しているそこは、
本来どんな親しい人間にも見せたり触らせたり、まして舐めさせたりはしない部分なのだ。
葵はまず、孔の表面を指で撫でてみた。
びくりとアン子が反応し、孔が閉じる。
けれどもそれは長い間のことではなく、しばらくすると孔は緩んだ。
だからといって指が入るような大きさには拡がらず、本当に挿入できるのか、葵は戸惑う。
「や……だ、美里ちゃん……イジワル、しないで……」
切なげに尻を揺らすアン子を助けてやりたいと思いつつも、容易に決心のつかない葵だ。
「大丈夫よ、美里サン……アナタのアヌスだって、きちんと拡がっているのだから」
「は……はい」
赤面した葵は、意を決してアン子の尻孔に指を添えた。
「そ、それじゃ……挿れる、わね、アン子ちゃん」
指先に力をこめる。
挿った、と思った瞬間、葵は指先が締めつけられるのを感じた。
「あっ……」
「平気よ、そのまま挿れて……そう、ゆっくり」
マリアの声が催眠術のように葵を促す。
さらに尻孔の中で指が蠢き、葵は白い指を級友の体内へと埋めていった。
「んううっ……」
感極まった吐息がアン子の口から漏れる。
彼女の尻はあっさりと異物を受けいれ、葵は指の半分ほどを尻孔に埋没させた。
生温かく、ぬるりとした感触は排泄器官という印象から受けるほど嫌なものではない。
「壁を擦るように……こんな感じよ」
尻の中で動くマリアの指を参考に、葵もアン子の直腸をまさぐってみた。
「ん……ふ……うぅ……」
指のわずかな動きに応じて、アン子が息を漏らす。
同時に葵の直腸も快感を得て、葵は奇妙な倒錯に陥った。
自慰をするのとも違う、与えて、与えられる快感。
二つは連動していて、能動と受動で快楽が二倍となるのだ。
「アン子ちゃん……気持ちいい……?」
震える尻にくちづけをして、葵は囁く。
答えが返ってくるより先に、尻の孔がきゅっと締まった。
「ええ……気持ちいいわ……ね、美里ちゃん、もう少し、指……」
「ええ、わかったわ」
友人の頼みを聞きいれ、葵は根元まで指を挿れた。
「んふぅッ!」
アン子の尻が跳ねる。
「ご、ごめんなさいアン子ちゃん、痛かった?」
「ち、違う……違うけど、美里ちゃん、案外酷いのね」
何が悪かったのかわからないで葵がうろたえていると、マリアが耳打ちした。
「大丈夫よ、美里サン。遠野サンは急に強い快感が来たから、少しびっくりしただけ。
それに彼女は本当はそういうのが大好きなのよ」
「ほ、本当ですか……?」
「ええ、その証拠に見てごらんなさい、彼女のヴァギナを」
葵は友人の性器を覗きこむ。
そこは確かに女の滴をとろとろと吐き出し、妖しくも淫らに濡れ光っていた。
きらめく濃いピンクの肉襞に、自分もあんな風になっているのだろうかという思いがよぎる。
その思いを読み取ったかのように腹の中でマリアの指が強く曲がり、葵は、
自分の淫口からも愛液が垂れるのを感じた。
「あっ、く……ぅ」
「フフ、どうやら美里サンも少し強めが好きなのかしら」
からかうようなマリアの口調に、葵は返事もできない。
尻の内部で動く指が激しさを増し、苦しいほどだったのだ。
「あぁ、っふ、んぅ……はぁ、はぁっ、は……あん……っ」
「たまらないでしょう? 苦しいけれど、気持ちいいでしょう?
さあ……遠野サンにも教えてあげなさい、アヌスをほじられる快感を」
「あ、あぁ……」
マリアに促されて、葵はアン子の尻の中で指を動かす。
マリアがしているのと同じように、強く、激しく。
「あッ、かッ……! み、美里ちゃん、待って、うあ、あぁぁッ!」
あまりに急激な刺激に、アン子は絶叫した。
背中を丸めて逃れようとするが、連結された手足が空しく鎖の音を鳴らすだけで、
挿さった指からは一ミリも逃れられなかった。
しかも葵は憑かれたように指を操り、同級生の肛門を虐めぬく。
頭の後ろ側に雷を落とされたような衝撃が幾度もアン子を襲い、
一人で記事集めから印刷までこなす敏腕の新聞部部長は、幾筋もの涎を唇に貼りつけて悶えた。
「だめ、だめ、美里ちゃんっ、だめぇッ! あたし、あたしこんなのっ、だめぇぇッ!!」
悲鳴は葵を不安にさせるが、愛撫を止めようとしてもマリアの指がそれを許さない。
尻を占拠し、あらゆる方向に自在に動く魔指は、腹の中心にまで届いているかのような錯覚を
葵に与え、彼女と彼女の友人を共に肛虐の沼へと沈めて浮かばせなかった。
「あぁ、はッ、先生っ、私っ、変です、お尻が、あぁ、お尻がむずむずして……!」
「美里ちゃんっ、美里ちゃんっ……! うぅっ、あたしもうらめっ、らめなのぉ」
二人の美少女が奏でる嬌声のハーモニーを陶然とした表情で聞いたマリアは、
ひときわ強く指を葵のアナルへと突きいれた。
「さあ、二人ともイキなさい……!」
マリアからもたらされた快楽が、葵からアン子へと連鎖する。
「ひっあ、あううぅんっ……!!」
「あはあぁぁ……っ!!」
百戦錬磨のマリアでさえ声だけでエクスタシーを覚えてしまうような、それは淫らな叫びだった。
少女達の鮮血を、干からびるまで飲みほしたいという衝動を必死でこらえ、
ついにアン子の隣に突っ伏してしまった葵の尻孔絶頂を堪能した。
双丘の谷間に突き立った指の根元が、強烈な締まりを受けとめる。
それは一度目に比して劣るものではなく、この黒髪の美少女が
禁断の孔での悦びを覚えたことに他ならないのだった。
……数十分後、ベッドの上で三人は交錯している。
マリアの責めにアン子が哭き、葵が悶える。
さらに少女達はくちづけを交わし、マリアに左右から奉仕した。
「フフッ……二人とも、たくさん可愛がってあげる。夜はまだ、始まったばかりよ」
葵とアン子の乳房を掬いあげ、マリアは高らかに告げる。
快楽に囚われた少女達は嬌声で応じ、競うようにマリアにしなだれかかっていった。
お尻を書きたかったとはいえ、ちょっと二人の性格が逸脱してしまったかもしれません。
あと、当時は何かに反発してアナルではなくアヌスって書いたんでしょうけども、やっぱりアナルの方が馴染みというかやらしさがありますよね。