龍麻と葵は並んで下校している。
真神學園でも一、二を争う美少女である葵と、
人気は及ばないとしても充分に好漢である龍麻は、
こうして交際を公にしても大丈夫な程度には友人達の信頼を得ていた。
二人の交際の中身を知ればまた別の意見があったかもしれないが、
彼らを邪魔する存在は、少なくともいなかった――今日までは。
何人かの同級生と挨拶を交わしながら、二人が龍麻の家に着いたのは午後五時に近かった。
葵は両親の信頼が篤い娘であり、夜七時までには帰宅しなければならないとしても、
まだ二時間はある。
二時間あれば葵の両親の期待を裏切るには充分で、龍麻は意気揚々と玄関を開けようとした。
そのとき、視界の端に何かがよぎる。
以前にもこんな展開があった、と記憶をたどる間もなく、
猛烈な勢いで突進してきた何者かに首を掴まれた。
首を掴まれる、というのは尋常ではなく、奇襲を受けて完全に息が止まった龍麻は、
薄れていく意識の中で過去を思いだした。
武術の達人である龍麻をここまで追い詰める、恐ろしい敵手の存在を。
「ぐ、うッ……!」
全力で絞めてくる両手を、龍麻は掴む。
首を絞める力からすると細い手首は、葵と同じ制服に包まれていた。
指と、何より爪が深く食いこんで危険な痛みをもたらしてくる手を、
龍麻は必死の努力で引きはがす。
葵の目の前でなかったら両腕を折っていたかもしれない、それほど死の危険を感じた相手は、
プラスチックのレンズの向こう側でまぎれもない殺意を浮かべていた。
「アンタ美里ちゃんに何する気よッ!!」
甲高いドスの効いた声を張りあげたのは、龍麻と葵と同じ学校に通う、遠野杏子だった。
ただしその名で呼ぶ人間はほぼ皆無で、アン子が彼女を識別するコードネームになっている。
「何しに来やがった、アン子……!」
「何だっていいでしょ、質問に答えなさいよッ」
言質は全く与えず、自分の質問を押し通す。
それはまさしく彼女が目指しているジャーナリストの流儀に則ったものであり、
龍麻は、彼女のかぎ状に曲げられた指をちらりと見てから仕方なく答えた。
「別に、恋人同士がすることだよ。それくらいわかるだろ?」
憤怒に燃えあがる目を見て、龍麻は虎の尾を踏んでしまったかと冷や汗を背中に滲ませた。
武術の達人であっても苦手なものはあり、アン子は龍麻にとって、まさに蛙に対する蛇、
蛇に対するマングースだった。
『黄龍の器』という神秘の力を抜きにしても、武術を修める者としてどんな時でも
不意打ちには警戒するという心構えを龍麻は持っている。
だが、どういうわけかいつもレーダー網をかいくぐって侵入してくるアン子は、
不意打ちどころか致命の一撃を龍麻に与え、少なからず自尊心を傷つけているのだった。
「で、なんでお前が来るんだよ」
「目の前でいたいけな美少女が頭の中まで腐りきった最低男にたぶらかされるのを
黙って見過ごせるわけないでしょ」
数メートルほど移動した場所でも、アン子の舌鋒は毒針のごとしだった。
家の外で騒がれては敵わない、と龍麻は葵の手を引いて自宅に入った
――決して逃げたのではない――
のだが、素早い身のこなしでアン子まで家に入ってきてしまったのだ。
何人もの女性をたぶらかし、女性が家に来るのは普通なら大歓迎の龍麻も、
言葉の毒針をマシンガンの勢いで撃ちだす彼女にはまったく辟易し、
反撃の無益を悟るとベッドに腰を下ろして制服姿の二人を見やった。
白いセーラー服に黒のストッキングもまぶしい葵は、
制服などなくても正統派の美少女であるが、
下品ではない膝より少し上程度のスカート丈をはじめ、
一カ所たりとも着崩してはいない服装が今や東京では希少種となった清楚ぶりを、
ごく控えめながら燦然と主張している。
その隣に立つアン子は、同じ真神の制服であり、
葵と同様にスカート丈を短くすることに欠片も価値を見いだしていないにもかかわらず、
受ける印象は月とスッポンほども違った。
「どこ見てんのよ」
お前は見ていない、という台詞をさすがに飲みこんで、龍麻は足を組む。
実際、アン子もスタイルは相当に良いし、
顔立ちもやや目が険しくなりがちな点を除けば決して悪い方ではない。
なのに彼女を見て色気や可愛さというものを微塵も感じないのは、
やはりあの、遠野杏子の本体は口であとはおまけだという
まことしやかな噂が本当なのだろう。
腰に手を当てて傲然と見下ろすアン子に、
今日はもう諦めて二人を帰らせようかとも思った龍麻だが、
それではアン子を調子に乗らせるだけで、
むしろ意地でも予定通りに事を運ぶべきだと考え直した。
「それじゃ着替えてくれよ、葵」
「はい」
「ちょっとアンタ、美里ちゃんに何させようってのよ」
「今日体育あっただろ? そん時に葵見たらちょっとムラムラしたからよ」
「……アンタ、本ッ当に最低ね」
この程度の罵倒で屈していてはアン子とは到底渡りあえない。
本当、と最低、のコンボボーナスで五割り増しのダメージを受けつつ、龍麻はしたたかに反撃した。
「どうせだからお前も着替えろよ。金曜日だから体操服持って帰ってきてるんだろ?」
「どうしてあたしがアンタの変態コスプレ趣味につきあわなきゃならないのよッ!」
「そうか、お前の正義感は言葉だけなのか。
葵を救うなんて言っておきながら、窮地には飛びこまずに
遠くから見まもるだけがお前の友情だったのか」
「くッ……」
言おうと思えば龍麻でもこれくらいは言える。
でなければ何人もの女性をたぶらかし、後宮の王のようにふるまうことなどできないのだ。
「傍観者でいるならそれでいいさ。どうせなら俺と葵がヤッてるところをじっくり見て、
記事にでもしてくれよ。さすがに実名はマズいけどな」
「わ、わかったわよッ、着りゃいいんでしょ着りゃッ!!
体操服でもナース服でもなんでも着てやるわよこのすっとこどっこいッ!!」
ナース服という発想はなかったが、今後のレパートリーとしてしっかり記憶に留めた龍麻は、
アン子が前言を撤回しないうちに事を運んでしまうことにした。
「いい、着替えてるところ見たら殺すわよッ」
どうせ脱ぐのに何を今さら、と思ったが、
アン子の言い方には本気度が三十パーセントくらい感じられたので、
龍麻はおとなしく部屋で待機することにした。
数分後、現れた二人を見て、龍麻は思わず口笛を吹き鳴らした。
それほど二人のブルマ姿は劣情をそそるものがあったのだ。
葵もアン子もスタイルは申し分なく、基本的には何を着ても似合うのだが、
特徴として二人とも尻が大きく、ブルマはその大きさをいやというほど引き立てていた。
さすがに二十歳にも近いので上着は外に出しているが、
股のところにちらちらと覗く赤色の三角形がまたたまらないエロスを醸しだしている。
しかもその三角形の両側から下方へと伸びる白い足は、
いかにも龍麻好みにむっちりとしていて、何度となく触ったことがある龍麻でも
興奮をかきたてられずにはいられなかった。
くっつきそうでくっつかない膝の少し上のあたりなど、何時間でも見ていたくなる。
どうしても下半身ばかりに目が行く服装だが、
では上半身はどうでもいいかというともちろんそんなことはなく、
白いシンプルな体操服は二人の、同世代の平均を大きく上回るバストを
惜しげもなく浮かびあがらせていて、中途半端な水着よりもかえっていやらしい。
さらにその丘の大きさゆえに生じるしわに目を凝らしてみれば、
うっすらと下着のラインまでが見えて、
これもまた男を興奮させるのに充分な役割を果たしていた。
男はなぜ、ブルマに興奮するのか。
それはおそらく日常と非日常、機能とセクシーさが絶妙の融合を果たしているからだ。
水着ほど非日常ではなく、見せることを目的とはしていない。
かといって制服とは露出の度合いが明らかに異なり、機能を優先させて設計されたブルマは、
足の付け根で生地が終わっているため激しく動けば尻肉がはみ出てしまう。
それをなおす仕種と、さらにそれに伴う女の子の恥じらいという、
おそらくデザイナーにとって予想外の産物までもたらし、否応なしに男の目を惹きつけるのだ。
などと龍麻が健康的な四本の太腿を見ながら考えていると、
アン子の吐き捨てるような声がした。
「ねえ美里ちゃん、本当にこんな奴とつきあうの考え直した方がいいわよ」
まったくもって余計なことを言うアン子だが、葵は困ったように笑うだけで言質を与えない。
その態度はアン子に劣勢を、龍麻に勢いを与え、二人に近づいた龍麻は大胆に腰に腕を回した。
「あっ……」
「何いきなり触ってんのよ、このスケベ!」
すかさずアン子が引きはがそうとしてくるが、この程度でひるむわけにはいかない。
龍麻は二人を自分の方に引き寄せ、同時に二人を近づかせた。
「アン子ちゃん……」
「み、美里ちゃん……」
アン子が葵に弱いのは先刻承知済みだ。
マリアがアン子を狙ったのは、単に彼女の血液が美味だからという
極めて散文的なものだったのだが、その血には秘めた耽美の嗜好が流れていたらしく、
マリアによって蛹から羽化させられて以後は特に葵につきまとっている。
しかも葵は本人の自覚なしで雄雌問わずに惹きつける妖花であり、
今もまた、薄い羞恥を浮かべた顔を向けただけで、
たちまち群がる虫を陥落させていた。
もじもじするアン子、などという珍妙なものを目にしながら、
どさくさに紛れて龍麻は手を下ろしていく。
腰から尻に触れたとき、アン子の身体がわずかに硬くなったが、
表に出しての反抗はもうなかった。
掌をブルマに当て、まずは軽く撫でる。
いきなりブルマを食いこませるようなもったいないことはせず、
柔らかすぎる肉の弾力をじっくりと堪能するのだ。
「……ん……」
敏感な葵は早くも腰をくねらせる。
まだ軽く撫でただけなのにこの反応だ
自分がどれだけ葵に惚れられているか、というのを図々しくも把握している龍麻だが、
それにしてもここまで感じやすいのは、少し問題ではないかとも思ってしまう。
龍麻の目の前ではさすがに誰も口にしないが、容姿端麗かつ頭脳明晰かつ生徒会長と、
四字熟語の美辞麗句が多数並ぶ葵は歩いているだけで話題の種となり、
その中にはかなり品のないものもあることを龍麻は知っていた。
庭師の務めとして変な虫がつかないようにするのは当然であるが、
花のできばえがどのようなものかを確かめるのも大事な仕事である。
たぷん、と揺れた尻肉に得もいわれぬ幸福を覚えつつ、
龍麻はさらに尻を撫でまわした。
「あ……」
「何いやらしい触り方してんのよッ!」
ブルマのラインに沿って指をなぞらせてみると、
二人ともそれぞれの性格に合わせた反応を示す。
葵の恥じらいももちろん良いが、アン子の怒りを露にするのもなかなか新鮮だ。
しかも今日は葵という盾があるので、被害がこちらに及ぶ可能性も少ない。
これはもしかしたらチャンスではないかと、がぜん乗り気になる龍麻だった。
腿のつけねまで指を移動させた龍麻は、人差し指をブルマの内側に引っかけた。
そこから今度は上方へとなぞっていく。
埋没しそうな柔肉は甲乙つけがたく、知らず両頬が緩んでしまった。
「お前ら本当にいい尻してんだな」
「そんな……」
「別にアンタのための尻じゃないわよ」
アン子の剣幕はあいかわらずだが、やや勢いがない。
原因を探った龍麻は、ほどなく突きとめることに成功した。
泳いでいるアン子の目線の先には、葵がいる。
葵は龍麻が右手を操るたび悩ましげに身体をくねらせ、
ほとんど触れんばかりの距離にいるアン子は、
葵が発する淫気をまともに浴びて困惑しているのだった。
そうとわかれば取るべき手は一つしかない。
龍麻は熟練の手つきで痴漢さながらに面積の大きな尻を縦横無尽に撫で、
哀れな少女に官能のともしびを灯していった。
「……ぁ……っ……」
ブルマを食いこませてしまわない程度に、やんわりと掌を滑らせる。
丘を越えてもう一つの丘を行きつ戻りつさせ、充分に堪能したところで谷間を下りていった。
「は、ぁ……っ、ん……」
内股を撫で、葵の声に色がこもったところで中指をブルマの中心にあてがう。
はっきり熱を帯びている小さな渓谷を、指全体で擦りあげた。
「あっ……あ、ん……!」
声を押し殺してよく我慢していた葵だが、敏感な部分を触られて、
ついにアン子の腕を掴んでしまった。
「み、美里……ちゃん……」
葵の官能は腕を通してたちまちアン子に伝播する。
頬を染め、吐息をつく仕種に目を奪われ、
たちこめる甘い香りに心を囚われかけていたところに、
ふわりとしがみついてきた葵は、アン子を縛る理性をはじき飛ばした。
よろける葵を受けとめ、抱きしめる。
柔らかくて温かな、陳腐な言い回しだがそれ以上表現しようのない身体を、
アン子は夢中で捕らえた。
「んっ……あ、あぁんっ……」
葵は抱きついていっそう悩ましく喘ぐ。
それが自分の手によるものではないことに苛立ちを覚えたアン子は、
自身の手を葵の尻へと伸ばした。
「ア、アン子……ちゃん……?」
戸惑う葵をあえて無視して、ヒップラインを撫でる。
邪魔すると思った龍麻はなぜか手を引き、代わりにアン子の尻を撫ではじめた。
集中を妨げられるのはうっとうしかったが、それよりも誘惑が勝り、
アン子は友人の尻をまさぐるのに専念することにした。
「ぁ……ん……」
まろやかな尻を撫で、優しく揉みしだく。
丸い、とか柔らかい、といった語句よりも、直線や鋭角といった言葉の方を好むアン子だが、
葵の尻は宗旨替えもいとわないほど気持ちよく、手を一杯に広げて五本の指全てで味わった。
すがりつく葵がまた淫らがましくて、鼻息も荒く同性の少女を愛撫する。
「アン子……ちゃ、ん……」
切なげな囁きに五本の指は十本に増え、中年男性じみた手つきでブルマごと柔肉を辱める。
「美里ちゃんって、こんなにいやらしい子だったのね。
お尻触られて顔真っ赤にして、でも気持ちいいんでしょう?」
「ひ……酷いわ、そんな……」
「酷くなんかないわよ、本当のことなんだから。
ほら……ここ、ブルマの上からでも音がするわよ」
「だ、め……!」
龍麻が感心するほどアン子はねちっこく、
葵も同級生に言葉で嬲られて興奮しているのがはっきりわかる。
とはいえ、横取りされたような気分になるのも確かで、
アン子をあまり勢いづかせないためにも、龍麻は淫手の矛先をアン子に絞った。
「ほら、聞こえるでしょ? えっちな美里ちゃんのえっちな……って、
あたしはいいのよ触んなくてッ」
奇襲を受けた尻を守るか、そのまま尻を攻めるか。
舌は二枚以上持っていると思われるアン子も、手は二本しかないので迷っている。
その隙に乗じて龍麻は一気に本丸へと突入した。
「こらッ、馬鹿ッ、やめなさいよッ、あたしに手を出したらマリア先生が黙っちゃいないわよッ」
「穴を開けなきゃ怒んねえよ」
「あ、穴とか下品なこと……っ、言ってんじゃ、ない、わよ……ッ」
龍麻の女遍歴は伊達ではなく、的確な愛撫でアン子を昂ぶらせていく。
一旦は蹴り飛ばそうとしたアン子だが、龍麻の愛撫はそこまで激しくはなく、
徹底的に妨害する意図がないのはわかったので、しぶしぶ男の手を受けいれることにした。
「なんだ、お前も結構濡れてんじゃねえか」
「うッさいわね」
ブルマの中に入ってくる手はうっとうしくてたまらなかったが、
気にしていては絶世といってもよい美少女を快楽に身悶えさせるという大事な仕事に集中できない。
大きさと形でいえば実は葵のそれにもひけをとらないヒップを放りだして、
アン子は汗ばむ手を葵にぐっと密着させた。
「あぁっ……!」
いかにも女性を欲望の対象として見ているようで、
むっちりという表現を嫌っていたアン子だが、この尻のむっちり具合には感嘆するほかない。
外側から押して集め、手に力を入れると指の間から肉がこぼれるこの気持ちよさは、
きっと他の何でも味わえないものだろう。
「こんなにお尻大きいと、ブルマがすぐ食いこんじゃって大変でしょ」
龍麻でも訊かないような質問を、ブルマの縁を指で引っ張りながら投げかけ、
あまりの恥ずかしさにしがみついてくる葵にアン子はなお意地悪く囁く。
「きっと男は皆見て下品なうわさするわよね。たまんないものね、実際」
「そんな……」
「ブルマなんてオヤジを喜ばせるだけのしょうもない服だと思ってたけど、
ああ凄いわ本当に、美里ちゃんのお尻」
「ア、アン子……ちゃ、ん……っ」
痴漢よりも大胆に、龍麻よりも繊細に揉み、撫で、捏ねるアン子に、葵の声がうわずっていく。
それはもはや龍麻の妨害などでは止められず、アン子は暴走気味にブルマの足側から手を入れ、
手の甲で赤い布を中央の谷間に集めてしまうと、むきだしの白い肉果をさらに揉みほぐした。
「あ……あぁ……」
大きさと形が強調されたヒップは、完全にアン子の手中に堕ちている。
滑らかなナイロンにも劣らない肌の感触を愉しみ、
手にしっとりと吸いつく弾力を堪能し、葵が身じろぎするたびに右に左に揺れるさまを味わった。
「う……ん……ぅ……」
飽きることなく尻と戯れていると、次第に葵の反応が変わってくる。
ただの喘ぎではなく、熱量が増大した、芯から感じているような声だ。
それほど厚くはない体操服を浸透して肌が感じる熱に、アン子の鼓動はいや増していく。
「美里……ちゃん……」
葵が見つめる。
正統派の美少女である葵と、正面から見つめあうのは至難の業だ。
ましてこの時葵はすっかり発情していて、アン子と同じ歳とは思えない色気を、
匂い立つほどに醸しだしている。
理性など保てるはずもなく、アン子は葵の唇を奪った。
「ん……っ……」
熱い口唇を味わったのも束の間で、すぐさま二本の舌はお互いを求めて絡みつく。
ゆるやかに、しかし一瞬の停滞もなく、口の周縁にてらてらとした輝きを残しながら、
淫靡にくねりあった。
「う……ん……」
マリアにキスの技巧を仕込まれたアン子だが、葵とのキスに膝が砕けそうになる。
つい今しがたまでさんざん意地悪をしたというのに、葵は怒る気配もみせず、
求め、あるいは誘い、キスに身を委ねていた。
「あ……う、美里ちゃん……」
ふやかされた唇を優しく吸われると、気が遠くなるほど気持ちいい。
舌で舌を溶かされると、倒れそうなくらいに感じてしまう。
もはや至近距離で見ている邪魔な男のことなど記憶の果てまで蹴飛ばし、アン子はキスに興じた。
記憶から抹消されようと眼中になかろうと、龍麻にはどうでもいい。
二人のタイプの異なる美少女が交わるのは眼福であったし、
少なくともそのうち片方は完全に自由にでき、もう片方も半分くらいはもてあそべるのだから。
現に龍麻は今、ブルマの脇から指を入れてアン子の秘唇を直接触りながら、
もう一方の手で占領していたアン子の手が上方へと移動したために
空いた葵の尻にも愛撫を施している。
図らずもアン子がしっかり前戯してくれたおかげで、敏感になっているであろう後ろの孔を、
ブルマの上から甘くつついてやると、葵は大きな尻をもじもじとさせた。
あまり激しくしすぎないよう注意しながら、龍麻は左右の手を均等に操った。
「ん……っふ、あ、み、さと……ちゃん……」
「あ、んっ……んっ、あぁ、アン子ちゃん……」
キスは激しさを増していき、唾液が攪拌される水音がはっきり聞こえる。
両手の指先からも確かな熱を感じ、龍麻も興奮を抑えられない。
手を限界まで開き、尻肉の柔らかさとブルマの質感、そしてアナルの感触を同時に堪能した。
「はっ、はっ、はふっ、はふうぅ……ん……」
「ふっ、あ……ぁ、はふ、はぁ、ん、ん……ぅ」
葵とアン子はいよいよ昂ぶってきたらしく、胸をまさぐりあいはじめる。
葵が先に体操服の内側に手を入れると、アン子もすぐに葵の右胸を触りだした。
龍麻がサービスでブラのホックを外してやれば、待ちかねたように直に乳房を揉みはじめる。
「あぁ……アン子ちゃんの胸、大きくて素敵……!」
「み、美里ちゃんだって……凄いわよ、もちもちして吸いつくみたい」
美少女二人は互いのバストを褒め称えながら、さかんに肉果を味わおうと手を動かす。
体操服に浮きあがる手の動きには美しさすらあったが、
先に反応が変わったのは葵の方だった。
「ん……っ……」
あくまでも慈しもうとする葵の手つきと、劣情に支配されたアン子の手つきでは
自ずと差が生じ、また、尻孔を刺激する龍麻の指先も一役買っていた。
葵は豊かな肉体をぶるりとさせたかと思うと、その場にくずおれてしまった。
「だ、め……立って、いられない……」
すかさず葵を下にして、龍麻は二人を寝かせる。
肉感たっぷりの四本の足に、否応なしに目を惹きつける赤色の布。
上になっているアン子のブルマは尻にぴったりと貼りつき、
下になっている葵の鼠径部もブルマが隙間なく塞いでいて、
健康的であるはずなのに途方もないエロスを醸していた。
さらに二人の股間には大きな染みが広がっていて、嫌が応にも劣情をかき立てる。
寝転がっても再びキスをはじめる二人の下半身側に陣取った龍麻は、
染みを塗り広げるようにブルマの上から秘裂を撫でた。
「あ、ん……!」
「あ……っ……!」
味わいの異なる二つの淫声は甲乙つけがたく、龍麻は何度も聞き比べる。
指で、爪で、ナイロン越しに、小さな豆の辺りを重点的に触れると、二人の腰が不規則に跳ねた。
うねりは激しく、そして卑猥で、ブルマを愛でる手を再三はじき飛ばす。
それでも龍麻はめげずに、上下に実った粒を刺激し続けた。
「んっ……ぷ……あ、うふぅ……ん……」
「あ、あ、あぁ……ん……っふぅ、ん……」
お互いの色に染まった顔を凝視した二人は、そのままくちづけをはじめる。
腰をくねらせ、さかんに髪や背中に触りながら、桃色の舌だけは片時も離さずに堕淫を貪りあった。
積極的なのはアン子の方だが、葵も嫌がっているわけではなく、
好奇心の先兵と化した舌を受けとめ、矛先を交え、時には押し返しさえする。
「くっ……ん、あ、あぅ……美里、ちゃんっ……」
べったりと舌を合わされながら無理やり喋るので、ほとんど言葉になっていない。
それでもわかっているというように葵に抱きしめられると、
抑えがたい情動がアン子の背筋を巡るのだ。
「んっ、はぁぁっ、あぁ、んぷぁっ……!」
息をする間も惜しくキスを交わし、乳房を揉みしだく。
乳首に触れたときに漏れる鼻息までもが愛おしく、アン子は葵から全く離れようとしない。
そろそろ頃合いだと見た龍麻は、葵のブルマを強引にずらし、秘唇を露出させた。
一色のなめらかな丘陵の下から現れた複雑な渓谷は、
普段よりも淫猥な形をしていて、この道において熟練である龍麻に生唾を飲ませた。
もう一秒でも我慢できないと、物欲しそうにひくつく秘唇に切っ先を添え、
ゆっくりと押しこんでいく。
「あ……あぁ……ん……!」
たちまち熱い媚肉に陰茎が歓待された。
もともとそのために着させた体操服であるが、アン子という思わぬおまけもついてきて、
興奮は期待以上となっている。
葵の足を大きく開かせ、龍麻は腰を使いはじめた。
眼下で葵が喘いでいる。
端正な眉目をゆがめ、美しい唇からあられもない喘ぎを発しながら、快楽に溺れている。
真神の聖女を穢す者として龍麻は許せないが、こうして葵を組み敷いてみると、
まるで自分が犯しているような気分が、確かにするアン子だ。
身体が揺れるたびに表情を変える葵から片時も目を離さずにいると、
愛おしさと興奮が同時に頭の中で炸裂する。
「ね、美里ちゃん、気持ちいいの?」
問いかけに葵はうっすらと見返しただけで答えない。
何を今さら、と言わんばかりの態度だったが、アン子が直に乳首を摘むと、
我に返ったように顔をそむけた。
「え、ええ……気持ち、いいわ……とても……ん、あ……ぁ」
恥ずかしがるその態度が、アン子をますます興奮させる。
膝をつき、前のめりになって葵の首筋に吸いつき、白い肌を蹂躙すると、
何か抑えがたい情動に衝かれ、歯まで立ててしまう。
「やっ……! ア、アン子……ちゃん……?」
突然の痛みに葵は驚くが、アン子は噛みつくのをやめない。
ぬらぬらと蠢く舌の甘さと歯の痛みが渾然一体となって神経を巡るうち、
龍麻によってもたらされる下半身の快楽が溶けこんできて、どうでもよくなってしまう葵だ。
「あ……う……ん……」
快楽に流されていく葵の膣内を、龍麻は何度も掻き回す。
アン子がいきなり噛みついたときは驚いたが、苦悶にのたうつ葵というのも新鮮で悪くない。
それにしても、アン子を眷属にはしないとマリアは言ったはずだが、
吸血鬼の性質というのは多少なりとも伝染するのだろうか。
だとしたら、葵が危ない。
危機感を抱いた龍麻は、抽送を続けたままアン子を止める行動に移った。
葵の首筋にむしゃぶりつくのに夢中なアン子の尻が目の前にある。
大きく、そして張りのある尻の、カーブが重なる場所に指を挿れ、
遠慮やためらいなど微塵も見せずにそこにある孔に突きさした。
「……!!」
いきなり直腸に指を挿れられたアン子はたまらずのけぞる。
だが見上げた根性と言うべきか、最初の衝撃から立ち直ると、ふたたび葵の首筋に執着した。
これは蹴りが飛んでくるのを想定していた龍麻にとって予想外の展開で、
ならばとさらに指を埋める。
異物を拒むように収縮する括約筋は、走り回ることで鍛えられているのか、
強烈に指を締めあげてきた。
左右から押しつぶそうとする臀部に抗い、挿れた指を中で曲げ、アン子のアナルを責めたてる。
「く……ッ、ちょっとッ、何……してんのよ……!」
内臓を抉られてさすがにアン子もキレがない。
ここで怯んだら負けだと龍麻は指先に渦を描かせた。
「ひぐッ……ぬ、抜きな、さい、よ……!」
びくびくと震える巨大な尻は壮観であり、赤いブルマが右に左にとよじれるさまは
滑稽さと紙一重のエロスを見る者に与える。
温かな直腸を満喫しながら、同時に膣内をも堪能する龍麻は、
両方の支配権を確立しようと躍起になった。
「あ、あぁ、緋勇君っ、あ、あんっ」
「はぁッ……んッ、はッ、あふッ、はぅッ……!」
作戦は功を奏し、葵とアン子はそれぞれの悶え方で快楽に耽る。
指を操り、腰を叩きつけながら、龍麻は美少女二人を手玉に取る愉悦に酔いしれた。
「あ、あ、あっ、あ……んっ、はぁ、あぁ……ん……!」
「み、美里……ちゃん……」
喘ぎが混ざり、溶けあう。
学校内でアンケートを採ったとしたらおそらく百パーセント賛成で、
アン子にもまったく異論はない美少女があられもなく乱れている。
葵が受けているであろう快楽と、認めたくはないが龍麻による肛虐の快感とがリンクして、
たまらなくなったアン子は葵の乳房を強く握り、顔を歪めさせた。
「い、たい……痛い、わ、アン子ちゃん……」
「嘘おっしゃい、気持ち良さそうな顔して。美里ちゃんはね、
男に犯されても女に犯されても気持ちよくなっちゃう淫乱なのよ」
「ひ、酷いわ、そんな言い方……!」
「事実なんだからしょうがないじゃない。真神のアイドル美里葵はね、
どうしようもないスケベなんだから!」
大粒の涙をこぼし、懸命に首を振る葵だが、
龍麻の抽送に淫声を紡がされてはまるで説得力がない。
さらにアン子に再び首筋に噛みつかれ、痛みと快感が判然としなくなっていった。
「かッ……は、アン子……ちゃん……」
酸素を求めて白い喉がうごめく。
異様ななまめかしさは、龍麻がスパートをかけることで極限に達した。
「はぁっ、あぁ、はッ、はッ、は、ァッ……あ……!」
まだらに染まった顔をくしゃくしゃに歪ませて、葵は身に余る快感に煩悶する。
襲いかかる二人から逃れるように身をよじり、手足をもがかせて叫ぶ姿は、
アン子ならずとも普段の彼女を知る人間にとって、罵らずにいられないほど醜かった。
「ほらッ、イキなさいよッ、あたしの目の前でイッてみなさいよッ!」
葵に対するアン子の攻撃性も、もはやアナルへの刺激程度では抑えきれないほど高まっている。
葵の状態などお構いなしで唇を奪い、乳房を鷲づかみ、
首筋だけでなく耳や肩にも噛みついていた。
その狂乱ぶりはなにがしかの影響を受けたとしか考えられず、
龍麻は興奮しながらもぞっとする。
何か策を講じて葵から遠ざけるべきかもしれない――そんなことを考えながら、
抽送を続けていると、葵の膣内が快くうねりだした。
「あっ、あ、あ、あ、アン子ちゃん、私っ……!」
「イクのね? みっともない顔晒してイクのね!?」
「わ、私……ああ……!」
「イクときはイクって言わないとダメよ。ほらッ、言いなさいよ美里ちゃんッ!」
マリアの薫陶も厚いアン子がサディスティックに叫ぶ。
龍麻も霞む迫力に圧されたのか、それとも快楽の波濤に浚われてしまったのか、
葵は同級生にしがみついて禁断の言葉を口走った。
「だめ……っ、私、私……っ、イク……のっ……!」
自らの声を契機として、葵は絶頂を迎える。
アン子を跳ねとばさんばかりに身体を仰け反らせ、反りきったところで大きく腰を震わせた。
「イ、ク――!!」
ほとばしった淫声が、長く尾を引く。
部屋に反響したそれが消え去ると、ようやく張り詰めた肉体が弛緩していった。
葵が絶頂するのに合わせて龍麻も射精する。
もともと葵とは相性が良く、同時に絶頂するのもたびたびで、
今日は特に葵が感じているので簡単だった。
常になく激しい膣内の収縮に逆らわず、根元までペニスを挿入したところで一気に精を放つ。
射精は当然の快感をもたらしたが、最後に龍麻は別働隊のことも忘れていなかった。
アン子の尻の奥深くまで埋めて掻きまわしていた指を、予告なしに引き抜く。
「ひんッ――!?」
葵の痴態を自分の愉悦に取りこんでいたところを、
いきなり強烈な快感に襲われたアン子は、そのまま上りつめてしまった。
葵に較べれば短いが激しさでは劣らない絶頂に力を奪われ、葵の上に突っ伏す。
三様の絶頂を迎えた三者はしばらく荒げた息を繰り返すばかりだったが、
最初に復活したのはアン子だった。
「はぁ……気持ちよかった……」
ぐったりとしている葵を見下ろして満足げに呟いたアン子は、
一転して身体を起こし、怒濤の勢いで龍麻に詰め寄った。
「それはそうとアンタ、よくも乙女の恥ずかしい場所をさんざん弄ってくれたわねッ!」
「な、なんだよ、お前だって気持ちいいって言ったじゃねぇか」
「それとこれとは話が別よッ! どう落とし前つけてくれんのよッ!
美里ちゃんあたしによこしなさいよッ!!」
至近距離でまくし立てられて龍麻は唾をもろに被ってしまう。
さらにどさくさに紛れてむちゃくちゃなことを言うアン子に怒りがこみあげたが、
それよりも大事なことを思いだした。
「そうだ、葵……!」
このときばかりは余裕も失せ、龍麻は葵を診る。
だが、薄幸の美少女の首筋に歯形は残っていても、
吸血鬼の仕業らしき二つの孔はどこにも見あたらなかった。
「ちょっと、人の話聞いてるのッ」
「お前……血吸わなかったのか?」
「あたしが? どうしてそんな吸血鬼みたいな真似しなきゃなんないのよ。
そりゃ美里ちゃんは食べちゃいたいくらい可愛いけど」
ぐったりしている葵の髪を梳いてやりながらどさくさに紛れて愛撫しているアン子を
細目で見やった龍麻は、おもむろに告げた。
「お前、口開けてみろ」
「は? なんでよ」
「いいから」
渋々開いたアン子の口を覗きこむ。
そこに、マリアには備わっている鋭い犬歯はなかった。
「……じゃあ、単にこいつの趣味が変だったってだけか」
龍麻は大きく安堵のため息をついた。
どうやらアン子は吸血鬼の仲間入りをしたわけではないようで、
葵を噛んだのは単に情欲を昂ぶらせすぎただけらしい。
「変とは何よ、アンタみたいなド変態にそんなこと言われたくないわよ」
「ケツでイッた奴が何言ってやが……!」
龍麻は最後まで言い終えることができなかった。
まだ快楽の余韻が少し残っている性器に、容赦のないストレートが叩きこまれたからだ。
一瞬で顔を青ざめさせ、内股になった龍麻は、そのまま悶絶する。
東京を護る使命を持つ男に、生命に関わるほどのダメージを与えたアン子は、
自身の行いを省みることなどまったくなく、ふん、と鼻息を一つ鳴らして
右手をティッシュで丁寧に拭くと、葵の隣に寄り添って横たわった。
「さ、邪魔者は消えたわ、美里ちゃん。もっとしましょ」
「ア、アン子……ちゃん……」
鼻の穴を広げて迫ってくるアン子に、葵は助けを求めて辺りを見回すが、
頼みの綱は股間を押さえて微動だにしない。
ほどなく首筋に痛みを覚えた哀れな被害者は、慄然たる陶酔に引きずりこまれてしまうのだった。
この辺りが一番欲望と文章のバランスが取れているようにも思います。
このあとは彼此岸とか別のシリーズはじめて非エロ分が増えていく……
目指したのはあくまでエロ文書き、のはずだったんですが。