ここに来て亜里沙開眼と言いますか、
エロ姉さんというポジションが確立しました。
高校生にしては多忙な日々を送る龍麻でも、何の予定もない日ももちろんある。
今日はまさに、そんな日だった。
一緒に帰る相手すらおらず、一人で校門を出る羽目になった龍麻は、
わずかながら寂しさを覚えて苦笑する。
普段仲間達に囲まれているのが、どれほど幸福なことなのか再認識したのだ。
マリアのところにでも行こうか、とも思ったが、彼女もまだ仕事が残っているに違いない。
行けば構ってはくれるだろうが、こういう形で邪魔をするのは好むところではなかった。
結局下駄箱までに妙案を思いつけなかった龍麻は、
一日ぐらいおとなしく家に帰り、学生らしいことでもしようか、と決心する。
ところが予定は、学校を出たところで急変を強いられた。
鞄を脇に抱えて校門を出た龍麻を、すぐのところに立っていた、
真神とは異なる制服を着た女子高生が気さくに手を上げて出迎えた。
茶色に染められた髪と、いかにも丈の短いスカートは、
真神の生徒が大部分を占めるこの場所からは相当に浮いていたが、
少女は意に介した風もなく龍麻の許に歩み寄る。
「サボってたらどうしようかと思ってたけど、案外まじめなのね」
初夏の風に漂うような軽い口調でそう言ったのは、藤咲亜里沙だった。
彼女とはつい先日知り合ったばかり──と言っても、肉体関係は既にある──だ。
下校を共にするような関係ではないと思っていたのだが、彼女はそうは思っていないようだった。
「どうしたんだよ、今日は」
なぜ墨田区の高校に通う彼女が、新宿にある真神で待っていられたのか、
龍麻は皮肉を言ってやろうとしたが、多分効果がないだろうと思われたので、短くそれだけ言った。
「ご挨拶ね。わざわざ女が男に会いに来てるんだから、素直に喜びなさいよ」
警戒する龍麻を一蹴した亜里沙は、さっさと腕を巻きつける。
振り払おうとした龍麻は、自分達が既に注目を浴び始めており、
ここで騒ぐのはあまりに危険だということに気づいた。
「あん、待ってよ、せっかちねぇ、もう」
仕方なく早足で歩き出すと、恐らく嫌がらせなのだろう、亜里沙はことさらに甘ったるい大声を出す。
ますます集まる人目から逃れるために、龍麻は亜里沙を引きずるようにして家へと向かった。
亜里沙に自宅を教えることに、危惧がなかったわけではない。
ないけれども、龍麻もしょせん一介の学生であり、
会うたびにホテルを使えるほどには金銭的な余裕はないのだ。
ならばホテルを使うようなことをしなければいい、少なくとも毎回は、
というのが一般的な意見だろうが、とにかく今日は、他に選択肢はなかった。
「へえ、ここがあんたのアジトってわけ」
いかにも流行りに敏感な今時の女、という見かけの割に古風なことを言う亜里沙に、
龍麻は思わず苦笑してしまった。
ちなみにここはアジトでもなんでもなくただの下宿で、
彼女の言う意味のアジトはここではなく、龍麻の担任教師であるマリア・アルカードの家である。
いずれ亜里沙もあそこに招待するとしても、今日はその予定の日ではない。
家主不在で秘密の、ベッドの上でのみ行われる淫靡なパーティーを行っても、
マリアは怒りはしないだろうが、妙なところで道徳心がある龍麻は
勝手に人の家に上がるのは好きではなかった。
それに極端なことを言えば、ベッドがひとつあればするべきことはできる。
ただ舞台が大きいか小さいかの違いで、それほどの差異はないのだ。
亜里沙一人だけなら、一部屋あれば全く問題はなかった。
「シャワー借りるわよ」
部屋のものには興味を示しもせず、亜里沙は既に浴室に入ろうとしている。
彼女の潔さ、あるいは欲求は見上げた率直さで、
まだ一息ついてもいない龍麻は考える暇も与えられず頷くしかなかった。
扉に手をかけた亜里沙が、意味ありげにこちらを見る。
それに適当に答えた龍麻が、彼女がシャワーを浴びている間は
とにもかくにも束の間の安息が得られると思った瞬間、玄関の呼び出し音が鳴った。
「はい」
視線で問う亜里沙に、来客の予定がないことを、これも視線で答えておいて、
少しずつ、だが確実に遠ざかっていく安息に苛立ちつつ龍麻は扉を開ける。
どうせ勧誘か何かだろう、と思っていた龍麻の予想は、現れた、
腰まで届く長い黒髪の女性の姿で大きく裏切られることとなった。
「葵」
同級生である美里葵が龍麻の家を訪れることは、初めてではないにしても
それに近いくらい少ない。
だから龍麻の驚きは、素に極めて近いものだった。
「緋勇……くん……」
そして同級生の突然の訪問に驚く龍麻が見たものは、負けじと驚く同級生の姿だった。
彼女が驚いた理由を、龍麻は多分見当がつく。
さらに葵の驚きには微量の嫌悪がにじんでしまっていて、その理由も、
驚いた理由とほぼ重なるものに違いなかった。
「あら、どうしたの?」
浴室の扉に手をかけていた亜里沙が訊ねる。
それはいかにもわざとらしいもので、
彼女がどこに入ろうとしているか気づいた葵の顔が、能面のように強張る。
それでも帰ろうとしないのは、帰ってしまえば負けを認めたことになると思っているからだろうか。
状況を生み出した原因は、無責任に二人の女を等分に眺めていた。
葵と、亜里沙──ほとんど水と油といった印象を与える二人は、
普通に生活をしていたら、友人になることさえないであろう。
龍麻も亜里沙の気の強さは承知していたので、
彼女を葵やマリア達に引き合わせる時期については多少考えていた。
それがどういった運命のいたずらか、二人はまともな挨拶も交わさないまま、
寝所を共にしようとしている。
亜里沙は葵に対しても隔意を抱いていないようで、さすがといったところだが、問題は葵の方だ。
他者への嫌悪をあまり露にしない彼女が、それと判るほど亜里沙を敬遠している。
葵が亜里沙と出会った経緯を考えれば無理もないのだが、どうもそれだけでもなさそうだ。
それを亜里沙だけでなく、自分にも向けられた暗い眼差しで龍麻は感じ取った。
葵はマリアや絵莉がいることについては何も言わないのだから、
龍麻の許に複数の女が侍るのが嫌なのではないのだろう。
つまり彼女は、亜里沙が龍麻に対してあけすけな好意を見せるのが気に入らないというわけだ。
自分を絡めた関係で、女が嫉妬するのは悪くない気分だ──しかもそれが、
破綻しないことが判っているのなら更に良い。
思いがけず今日も、新鮮な愉しみを享受できることになって、龍麻は内心でほくそ笑んだ。
正統派の美少女と、小悪魔的な、これも美少女。
全く異なる二種類の味を同時に味わうのは、また格別なのだ。
葵は玄関に立ったまま入ってこない。
帰ってしまうのは感情が許さないし、
ずけずけと上がっていくほどには理性を捨て切れないといったところだろうか。
さすがに助け舟を出してやらなければいけないか、と龍麻は思ったが、先に第三の当事者が動いた。
「どうするの? あたしは別に構わないけど」
事もなげに言った亜里沙は、これみよがしに龍麻の肩にしなだれかかってみせる。
どうやら彼女は自分の役割を素早く理解し、協力してくれるようだ。
龍麻は亜里沙の頭の回転の早さに感嘆しながら、表面上は中立を保ち、無言を保った。
まるでこの場にいることが罪であるかのような視線と、
咎めてはいないが積極的でもない、帰るのならば止めはしないという眼差し。
二人の視線を浴びた葵は視線を伏せたが、
その逃げた先で亜里沙の手が龍麻の腰に回されるのを見せられてしまう。
龍麻が自分一人を見てくれることは、残念ながら多分ない。
それでも良いという関係を受容したのは葵自身で、
彼の興味は一定の枠で収まらないというのも受け入れているが、
新たな女性の出現によって彼の関心が減ってしまうのは嫌だった。
「わ、私も……構わないわ」
顔を上げた葵は、龍麻ではなく、亜里沙の眼を見据えて言った。
挑発的な、そして自信に満ちた瞳は、真っ向から葵の眼光を受けとめていたが、不意に和らぐ。
ほとんど喧嘩腰というくらいの、彼女には珍しい種類の眼差しをぶつけていた葵は、
肩透かしを食わされた格好になってしまった。
まるで自分ひとりが怒っていたような、そんな羞恥に囚われ、うつむいてしまう。
そんな葵に近づいた亜里沙は、うやうやしいほどの仕種で彼女の手を取り、室内へと招き入れた。
「そう、それじゃよろしくね、葵」
わずかな駆け引きの間に、もう亜里沙は自分の優位を確立してしまったようだ。
葵は馴れ馴れしい亜里沙を、態度にこそ出さないものの明らかに煙たがっていたが、
残ると決めた以上口を聞かないわけにもいかない。
「こ……こちらこそよろしく」
硬い、距離を置いた挨拶を交わした葵は、一瞬だけ龍麻に視線を向け、男の部屋へと上がりこんだ。
扉を閉めた龍麻は、彼女達に続く。
二人の女の変化しつつある関係は、とても興味深いものだった。
部屋に戻った亜里沙はさっさと制服を脱ぎだす。
自分がいることなど全く関係ないかのような、欲求に対して一直線の行動に、葵は声も出ない。
恥じらいも見せずあっという間に下着姿になった亜里沙は、まだためらっている葵に近寄った。
呆然と同性が服を脱ぐのを見ていた葵は、肩に触れられて初めて激しく抗った。
「あ、あの、待って」
「あら、じゃあ先にしちゃうわよ?」
突き放すようで、その実誘う。
絶妙な緩急を交えた話術に、
成績優秀であってもこういう搦め手に関してはまだ経験の少ない葵は抗しきれない。
「そ、それは……」
「じゃ、早く脱ぎなさいよ」
恨めしげに亜里沙を見た葵は、それでもこの場ではそうするしかないと悟ったのか、ようやく脱ぎ始めた。
現れた身体を、亜里沙は舐めるように観察した。
「へえ、見かけによらずエロいブラしてるじゃない。あんたの趣味?」
「やっ、ふっ、藤咲さん……!」
露出を抑えようと身体を丸める葵を、さっそくおもちゃにし始めた亜里沙は、
逃れようとする葵のストラップの隙間に手を潜りこませたりしつつ龍麻の方を見る。
自分も制服を脱ぎながら、龍麻は軽く肩をすくめてみせた。
「ふーん……それじゃこれ、自分で選んだの?」
「あ、あの……」
葵が口ごもっている間に、亜里沙はホックを外してしまう。
その手際ときたら呆れるしかなく、龍麻はしばらく彼女に任せてみることにした。
「龍麻に見て欲しくて? 健気なのね、あんた」
「ふ、藤咲さんは……違うんですか」
ブラと、それが包んでいる豊かな膨らみを懸命に隠しながら、葵が反発する。
すると亜里沙は、葵と同じか、もしかしたらもっと大きいかもしれない双つの丘を、
覆っている白黒のプリント柄の下着と共に突き出して答えた。
「あたし? あたしは男のために下着を選ぶなんてしないわよ。
あくまでも自分が気に入るかどうかでしか選ばないわ」
龍麻が苦笑してしまうほどはっきりした主張だった。
マリアのように「アナタの為に買った」と言われるのは無論気分が良いが、
亜里沙のように強く自分を持っている女も悪くはない。
結局はどんなタイプの女でも美点を見つける、というのは、
節操がないだけのように見えて、実は物凄い長所なのかもしれなかった。
それが誰かに褒められることは、決してないにせよ。
「……でも、龍麻のためになら選んでもいいかしらね」
葵をも黙らせるほど言い切った亜里沙だが、挑発も忘れていない。
彼女は表情と声の両方で冗談だと言っているにも関わらず、葵は身を固くしてしまう。
そんな、愚直なまでの素直さに、驚いたことに亜里沙も好意を抱いたらしかった。
「いい? 男なんてね、ほっとくとどんどんつけあがるんだから、
突き放した方がいいのよ。特にあんたみたいに可愛いのは、男が調子に乗りやすいんだから」
「え……?」
気まぐれな天気雨さながらに変わった亜里沙の声に、葵は傘をさすかどうか迷ったようだった。
その緩んだ一瞬の隙に、亜里沙はブラを取り上げてしまう。
「あ……っ」
「でもあんたみたいなのがエロい下着してると、確かに興奮するわね」
下着を広げて舌なめずりした狼は、戸惑う子羊に背後から襲いかかった。
「きゃっ……嫌っ」
しゃがみこんでしまった葵に覆い被さった亜里沙は、隙間から手をこじいれようとする。
だが葵の防御は意外に固く、中々先に進めない。
どうするのかと龍麻が見ていると、亜里沙は手はそのまま、いきなり首筋に噛みついた。
「ひ……ひゃぁっ」
噛みついたのはそう見えただけで、実際には吸いついたに過ぎない。
しかし葵の驚きは相当なもので、丸めた背中が逆に反るかというほど伸びた。
「見ーつけた」
葵がのけぞった隙に両側から潜りこんだ手は、間髪いれず、
と言うのがまさにふさわしい神速の動きだった。
抱きかかえるように、何の遠慮もみせずに乳房を掴んだ亜里沙は、
早速その質感を味わってみることにしたようだ。
「随分着やせするのね」
声にわずかに嫉妬が混じっている。
それが龍麻の気のせいでないのは、嫉妬の対象を弄りはじめる手の動きで解った。
「ま、待って……」
双丘を握る手は、か弱い葵の制止など歯牙にもかけず、
大きく、マッサージのように掌を優しく使って全体を揉みしだく。
寄せ、離れ、また近づく双乳は、絶えず形を変え、見る者の目を愉しませた。
「ふ、藤咲……さん……っ」
何がなんだか判らないまま、葵は感じさせられてしまう。
剥がそうとしても、亜里沙の手は蛭のように張りつき、少し力を加えたくらいでは全く剥がれない。
おまけにこの蛭は自由に動き、敏感な部分に重点的に吸いつこうとするのだ。
「ん……っ、お、願い……止め、て……っん」
恥じらう蕾を愛情すら感じるほどの動きで揺り起こされ、葵の声から抵抗の意思が消えていく。
「随分可愛いじゃない……いいのよ、いっぱい感じて」
甘い毒を鼓膜に吹きかけた亜里沙は、葵の肢体をそっと横たえた。
怯えたように身体を丸める葵に、密着し、体温を移す。
両手に余る乳肉をやわやわと捏ねる手つきは、彼女の気の強さからは想像もつかないほど優しかった。
「……っ…………はぁ……っ……ぁ……」
呼吸に合わせた弱いリズムの愛撫に、葵は目を閉じて浸っている。
半身を被せた亜里沙は、舌も使って葵の情感を一層高めていった。
滑らかな肌に、ぬらりときらめく糸筋がつけられていく。
「あぁ……っ、やだ、くすぐった……い……」
舌先を踊らせるたび、肩を小さく震わせる葵の反応が愉しいらしく、
亜里沙の顔には笑みが浮かんでいた。
「ほら龍麻、あんたも見てないでこっちに来なさいよ」
「お、おう」
妖艶に絡みあう二人の美少女にすっかり魅入られていた龍麻は、促されて我に返ると、
慌てて下着を脱ぎ、二人の傍にしゃがんだ。
「ほら葵、あんたの好きなのが来たわよ」
手は休めずに亜里沙が囁く。
巧みな愛撫にすっかり感じさせられている葵は、亜里沙のいいなりになっていた。
「緋勇……くん……」
龍麻が熱く硬直し、異臭を放つ男性器を突き出すと、うっとりと呟いて嫌がりもせず口を寄せ、
紅桃色の唇から艶めかしく舌を伸ばしてそろりと舐めあげる。
しかし龍麻がわざと少し距離を置いたため、口に含むことができない。
もどかしげに吐息をついた葵は、物欲しそうな瞳で龍麻を見上げた。
薄く開いた、ふっくらとした唇に、思いきり己を咥えさせたい衝動をこらえ、少しだけ身体をずらす。
届くようになった葵は、迷うそぶりも見せずに先端を食んだ。
熱気が亀頭を包む。
いつもとは、ちょうど九十度回転した格好で堪能する葵の口腔は、実に新鮮な快感に満ちていた。
頬の粘膜に敏感な部分が当たり、艶めかしい肉の感触が伝わってくる。
やはり勝手が違うからか、舌の動きもぎこちないが、それを補うように葵は奉仕する。
「ん……んふっ……あふっ、はふっ」
「随分美味しそうに舐めるのね」
亜里沙の、揶揄とも感嘆ともつかない声に、葵は束の間動きを止めた。
だがすぐに羞恥を振り払うように、より積極的に舌を絡め始める。
温かな粘質の塊に敏感な部分を包みこまれて、龍麻の背筋を甘い愉悦が駆けぬけた。
可愛らしい鼻息を漏らしながら懸命に咥える葵に、
快楽と不可分の加虐心を、今度は我慢できず、彼女の口内に勃起を突き入れる。
「ん、ぐぅっ……ん、う……」
呻き声が、細やかな振動となって屹立に伝わってくる。
いかにも優等生然とした眉目をしかめ、口一杯に異物を含む表情は、劣情をそそらずにおかない。
甘い香りを漂わせる髪に手を添えた龍麻は、より快感を得ようと軽く力を込め、葵の頭を前後させた。
「ふっ、んふっ、ん、ふぅぅっ」
そんな風に手荒に扱われても葵は決して歯を立てたり吐き出そうとはせず、
感心した龍麻が髪を撫でてやると嬉しそうに喉を鳴らす。
そして口内を埋めつくす熱い肉の筒に、一層情感を込めて奉仕するのだ。
しかし、健気に口淫を続ける葵の態度が、突如として一変する。
葵の情感を高めるような、柔らかな愛撫を行っていた亜里沙が、
遂に悪戯な指をもっともひそやかな場所へと滑らせたのだ。
「んっっ! うむ、ぅ……」
「葵ちゃんはどこが感じるのかしらね?」
赤く熟れた耳朶に、子供に語りかけるような口調で葵を煽る亜里沙は、
細やかに愛撫を行いながら、彼女のわずかな変化も見逃さず、
反応を示した場所をじっくりと責める。
足を絡め、逃れらないようにして感じる場所を探る亜里沙に、
葵の裡に溜まっていた熱気がいちどに噴き上げ、肌をしっとりと濡らした。
薄朱く色づいた肢体は、淫靡な弛緩に支配され、匂いたつような色香を発している。
「あふ……ぅっ、んんんっ」
眉根を寄せ、恍惚と息苦しさがないまぜになった呻きを漏らしながら、
なお歯を立てないよう気を遣う葵は、確かに亜里沙の言うとおり健気だった。
先日の亜里沙の口淫に較べればまだ拙さは残るものの、
丁寧さと、なにより龍麻を悦ばせようという想いが舌から伝わってくる。
薄く頬をへこませ、半分ほども含んだ肉茎をもてなす葵に、龍麻の快感は着実に膨れていった。
その葵の肢体を、楽器を奏でるようにさ迷っていた亜里沙の手は、今は一つ所に留まっている。
黒いレース地の、学校に履いていくには少し大胆なデザインの下着の内側に消えている手首から先だけが、ゆるやかに蠢いていた。
足を使って閉じさせることを許さず、過度の刺激で葵が龍麻の屹立を噛んでしまわないよう、
絹を愛でるような繊細な指遣いでひそやかな部分をなぞる。
すでにしっとりと潤っている、葵の、性格からは想像もつかないほど過敏な渓谷は、
訪れる指先を悦び、ゆっくりとそのとば口を開いていった。
「ふふッ……ここはどう?」
「んっ……む……」
「ここは?」
「うぅっ……ぅ……」
亜里沙が囁くつど、葵の呻きはトーンを変える。
どうやら亜里沙も清楚な美少女の身体の中には、淫蕩な女の血が流れていることを知ったらしく、
葵を弄ぶ手つきが激しくなっていた。
「聞こえる? あんたのいやらしい音。せっかくの下着、汚れちゃうわね」
身体を起こし、パンティを脱がせてやった亜里沙は、そのまま葵の足首に触れる。
「でもホントきれいよね、あんたの身体。女のあたしでも惚れ惚れしちゃうわ」
熱っぽく呟き、ふくらはぎにくちづけた亜里沙は、
足首と尻を押さえ、長い足を伸ばさせて、なだらかな起伏に沿って舌をなぞらせた。
葵の肌は見た目同様質感もすばらしく、きめの細かな皮膚は美味にすら感じられる。
適度に肉のついた腿を幾度かついばみ、臀部へと辿りついた亜里沙は、
大きく盛り上がった丘を、少し強めに吸い上げた。
「っ……!!」
そんなところを吸われるのは、もちろん葵にとっても初めての経験で、大きく身体が跳ねる。
それでも龍麻を咥えているため、声は出せない。
それどころか亜里沙を払いのけることもできず、彼女にいいように尻を触られてしまうのだった。
「ああ……温かいわね、こりゃ気持ちいいわ」
年寄りじみたことを言って、亜里沙は頬擦りする。
その幸福そうな表情に、今は身動きが取れない龍麻は、いつか必ず俺もやろうと決意したのだった。
折り重なり、肌を交える二人の美少女。
その一方に自身を咥えさせて、龍麻の興奮はいよいよ高まる。
このままでは葵の口に出してしまいそうだと思った龍麻は、一旦屹立を抜いた。
呆けたように開かれたままの葵の唇から唾液が伝う。
ぐったりしている彼女を抱き起こした亜里沙は、
ご丁寧に葵の足を広げ、龍麻が挿入しやすいようにしてくれた。
「はいどうぞ」
「や……あ……」
卑猥に牡を求めてひくついている女唇を晒されても、葵はもはや抗う気力もないようだ。
それどころかべったりと濡れた縮れ毛の中に息づく秘裂は、
彼女の荒い呼気に合わせて新たな蜜を生じさせ、見るも淫靡な一条の透明な輝きを、
秘裂の下端から更にその先へと生み出している。
さんざん亜里沙に弄ばれた乳房を大きく上下させて、葵は潤んだ瞳を向ける。
請われるまでもなく、かつてないほど昂ぶっている龍麻は、同意も求めず葵を貫いた。
誘いこむ肉を無視し、奥まで一気に肉茎を埋める。
さっきまで浴びていた生温かい快感が、たちまち塗りかえられていった。
「あ……ぅっ、うっ……!!」
喉を露にして、葵は叫んだ。
柔らかな曲線で構成された肢体が、瞬間、強く強張る。
鼻腔を一杯に膨らませ、それでも美しさの損なわれていない眉目を見た龍麻は、
それだけで深い満足を覚えた。
その瞬間急に膣が締まり、危うく達しそうになる。
しかしどうやら葵は、龍麻がこらえた波に浚われてしまったようだった。
「あら? イッちゃったの?」
亜里沙の問いにも、葵からの返事はない。
女の匂いを全身から漂わせて、恍惚に溺れている。
龍麻に目配せして、葵を抱きかかえさせた亜里沙は、自由になった手を再び彼女の身体へと這わせた。
背中から尻、さらには今まさに繋がっている部分に、指を躍らせる。
しっかりと龍麻を咥えている、
押し広げられている裂け目の上端に息づく芽を探り当てた指は、愛しげにそれを撫でた。
「ひっ……ぁ、ふ、じさき……さん……」
葵の叫びはもはや形になっておらず、
だらしなく開きっぱなしの口から声に似たものが垂れ流されているだけだ。
それは聞く者を狂わせる淫らな成分に満ちていて、耳にした一組の男女は顔を見合わせると、
哀れな少女に激しく襲いかかった。
「あうっ、ひっ、ん……ま、待って、駄目、だめ……っ」
二人の的確な責めが、たちまち葵を官能の虜にする。
理性は瞬時に燃え尽き、灰となって頭の中に吹き荒れていた。
身体の柔らかな部分が全て支配され、おびただしい熱が伝わってくる。
葵は腰がひとりでに動きはじめていることにも気づかないまま、二人の男女が与えてくれる快楽に没頭した。
「嫌、嫌ぁ……あふぅっ、あぁぁっ」
自分から奥深くを抉らせて、切なげに首を振る。
龍麻はともかく、亜里沙にこんな痴態を見られるのは嫌なのだが、どうしても我慢できない。
身体が燃えるように熱く、疼きが爪の間にまで入りこんだかのようだ。
それは男根が奥まで届いた時にのみ癒されるのだが、すぐにまた、より以上の渇きとなって葵を苛むのだ。
そして飢えた欲望は体表を蝕む汗ばんだ四本の手によって焚きつけられる。
乳房を、乳首を、尻を、陰核を自由に玩ぶそれらの手は、
葵の身体が宿す快楽への通路をこじ開け、無慈悲に拡げていくのだ。
葵は口を開け、少しでも淫らな炎が身体を灼くのを遅らせようとしていたが、それももう限界だった。
下腹から生まれたひときわ大きな溶岩が、肉体をねぶっていく。
抗いきれない──そう思った瞬間、葵の意識は弾けた。
「あ、あ、いや、駄目、らめっ」
ろれつが回らなくなった舌が、淫堕な悲鳴を紡ぐ。
しかし葵が追い詰められているのだという認識は、
二人を興奮させこそすれ愛撫を止めさせるようなことはなかった。
反った背中のあちこちに唇の跡を残しながら、張り詰めた乳房を握り締める亜里沙。
そして突き出されたもう片方の乳房の突端と、いよいよ熱く濡れそぼり、
爛熟を迎える肉洞を堪能する龍麻。
二人はほとんど葵を押し潰さんばかりに身体を密着させ、欲望のままに嬲った。
「あっ…………ひっ、は……ぁ、あ……」
虚ろに視線をさまよわせる葵は、もう断続的な絶頂に取りこまれてしまっているのかもしれない。
二人の愛撫のひとつひとつには反応を示さず、細やかな痙攣を繰り返している。
口許をべとべとに汚しながら、犬のように口を開けて酸素を求めていたが、
やがてそれすらも亜里沙によって快楽に変えられてしまう。
「ふッ、んん……あはぁっ……」
滴る唾液を掬った亜里沙の舌は、そのまま葵の口腔を犯し始める。
舌ごと啜るような激しいキスにも葵はされるがままで、おびただしい水音がただれた音楽を奏でた。
葵を対面座位で犯している龍麻は、彼女の腰を掴み、下から突き上げる。
恥毛が擦れ合うほど奥まで挿入し、その状態で腰を揺すり、葵の快感の源を叩いた。
「んくぅ……っ、ひ、あ、あっ」
龍麻にしがみつき、狂乱の態で葵は悶える。
その葵に身体を擦りつけるようにして、亜里沙が龍麻の及ばない部分を責めたてた。
「んふッ、はふぅッ、ふぁッ、はぁッ」
キスの合間にかろうじて息を吸う。
四本の手と二つの器官に蹂躙され、波は波涛となり、理性を浚っていく。
身体が痺れ、それが心にまで及び、葵はほとんど一気に昇り詰めた。
「んぁっ、あぁぁああっっ……!!」
長い、断末魔のような悲鳴と共に葵は達する。
慎みをかなぐり捨てたかのごとき歓喜の声は、龍麻の狭いアパートの室内にたちまち充満した。
女の悦びに狂う葵に、龍麻はとどめを刺す。
痙攣し、収縮する葵が、頂点から折りかえした瞬間。
全ての力が彼女から抜け、弛緩が広がりはじめた瞬間に、龍麻は射精した。
「はぁっ、あ……はぁ……あっ、ああ……っ!」
最も無防備な瞬間に精を注がれ、葵は頭の中まで白く濁る粘液に浸されたかというほどの快楽に溺れた。
伸び切った肢体で脈動を繰り返す屹立が放つ、精の一滴までを受け、ぐったりと崩れ落ちた。
葵を寝かせた龍麻は、亜里沙と視線を交わす。
彼女の瞳に肉食獣の輝きを見出した龍麻は、
きっと彼女も自分の目を見て同じことを思っているのだろう、と思い、静かに笑った。
気を失ってしまった葵を寝かせた龍麻は、亜里沙とニ回戦を始める。
と言っても、精神的な快楽はもう充分に満たされてしまったので、激しくは交わらない。
亜里沙も同じ心境らしく、龍麻に跨った彼女は、ゆるやかに腰を動かしながら笑った。
「ホント、あんたといると退屈せずに済みそうだわ」
それは龍麻も同感だった。
誰に対しても物怖じせず、そして貪欲に快楽を求める亜里沙は、
またとない刺激をもたらしてくれそうだった。
この分ではマリアや絵莉に対しても、すぐに馴染んでしまうに違いないだろうし、
亜里沙の技巧は龍麻も一目置くほどだ。
あんなに乱れた葵を見たのは初めての龍麻は、
一糸まとわぬ姿でぐったりとしている彼女を見てそんなことを考える。
と、不意に亜里沙の肉洞が複雑な動きを見せた。
「ね、あたしと葵……どっちがイイ?」
思いの外真剣味が感じられた亜里沙の声に、まばたきした龍麻は、
目の前にある、張りのある膨らみに顔を埋めた。
含み笑いを彼女の胸の谷間で押し殺しつつ、そのままの姿勢で答える。
「もうちょっと調べてみないとわからないな」
「案外欲張りなのね、あんた」
ああ、俺は欲張りだ──口の中で呟いた龍麻は、
葵とは全く異なる感覚の亜里沙の膣を堪能するべく、彼女を押し倒した。