※この作品はR-18です。

ヤッて改造! 〜悪の組織の黒幕です〜   作:ろくさん

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 世間は騒がしかった。 テレビの液晶画面の中では、今日も今日とて正義と悪が激突している。 けたたましい爆発音。崩れ落ちるビルディング。逃げ惑う人々の悲鳴。 その混沌の真っただ中で、五色の強化スーツに身を包んだヒーローたちが、異形の怪人を相手に派手な格闘戦を繰り広げていた。

 

「いけーっ! ジャスティンレッド! 必殺のジャスティンソードだ!」 「キャー! 聖剣姫(せいけんき)キリハ様、素敵ー!」

 

 ワイドショーのスタジオでは、コメンテーターたちが興奮した様子で戦局を解説している。 正義戦隊ジャスティンジャー。聖剣姫キリハ。聖乙女(ホーリーメイデン)ヒカリ。 彼ら正義の味方の活躍は、今や世界で最も視聴率の取れるエンターテイメントと化していた。 地球征服を目論む悪の組織と、それを阻止せんとする正義のヒーロー。 そんな壮大な戦いが日常となって久しい世界。 だが、その熱狂は、少なくともこの家の縁側までは届いていないようだった。

 

 日本の、どこにでもある長閑な田舎町。 その町外れにひっそりと佇む、古びた一軒家。 黒野改蔵(くろの かいぞう)は、テレビから流れる世界の危機をBGMに、熱い緑茶をすすっていた。 二十代半ば。Tシャツにスウェットという気の抜けた格好。 その視線はテレビ画面ではなく、家の前を通り過ぎていく女子高生のスカートの中を、真剣な眼差しで追いかけている。

 

「うーん、今日の風は仕事しねえな」

 

 ぽつりと呟き、再び茶をすする。 改蔵は、良く言えば能天気、悪く言えば「何も考えていない」男だった。 世界がどうなろうと、怪人がどこで暴れようと、彼にとっては縁側から見える「あの子のパンツが見えるかどうか」の方がよほど重大な関心事だった。 祖父が亡くなり、このだだっ広い一軒家を持て余すように相続してからというもの、彼のスローライフ(という名の怠惰な日常)は加速する一方だった。

 

「さて、と。そろそろ蔵の掃除でもすっか」

 

 重い腰を上げ、欠伸を一つ。 彼が掃除を決意したのは、単に暇を持て余した好奇心からだった。 ギイ、と重い音を立てて開かれた土蔵の扉。 埃っぽい空気が鼻をくすぐる。 天井の梁から差し込む光が、空気中を舞う無数の塵をきらきらと照らし出していた。 ガラクタとしか思えない古い家具や、用途不明の壺。 それらを適当に片付けていた改蔵の手が、ふと止まった。 ひときわ立派な桐箪笥。その一番下の引き出しの、さらに奥。 板一枚で隠された空間に、それはあった。

 

 一冊の、分厚い本。 表紙は黒い革で装丁され、中央には読めない文字で何かが刻まれている。 パラパラとページをめくってみる。 中身はほとんどが理解不能な文字列だったが、ところどころに詳細な挿絵が描かれていた。 魔法陣のような図形。異形の生物。 そして、改蔵の目を釘付けにした一枚の絵。 それは、魔法陣の中で、裸の男女が抱き合っている図だった。

 

「……悪魔召喚の儀式?」

 

 添えられた数少ない日本語の記述を拾い読みする。 どうやらこれは、祖父の……いや、黒野家に代々伝わる黒魔術の魔導書らしい。 そして、その挿絵の儀式は、異界から悪魔を呼び出し、使役するための「契約」の図解らしかった。 特に、召喚される悪魔として描かれた「女性」の絵が、妙に扇情的で可愛らしい。

 

「へえ。じいちゃん、こんな趣味あったのかよ」

 

 普通なら気味悪がって放り出すところだろう。 だが、改蔵は違う。 彼の座右の銘は「面白そうだからやってみる」だ。 そして、その「面白い」の基準は、九割がた「エロいかどうか」で決まる。

 

「悪魔召喚ねえ。しかも、こんな可愛い子が出てくる(かもしれない)と」

 

 ニヤリと、どうしようもなくスケベな笑みが浮かぶ。 どうせガセだろう。こんなもので本当に悪魔が呼べるなら、世の中は悪魔だらけだ。 だが、もし。 万が一、本当にこんな美少女悪魔が出てきたら? 

 

「……やるか」

 

 後先など、考えたこともない。 改蔵は魔導書を小脇に抱え、蔵の床に積まれたガラクタをせっせと片付け始めた。 幸い、蔵は広い。魔法陣を描くスペースは十分にあった。 魔導書の記述に従い、倉庫からチョークを持ち出し、床に歪な円を描いていく。 儀式に必要な供物。 「契約者の血」とある。 改蔵は躊躇なく台所から包丁を持ち出し、親指の先に軽く傷をつけた。 血が数滴、魔法陣の中央に落ちる。

 

「あとは、呪文か」

 

 魔導書に書かれた、意味不明な文字列。 おそらくラテン語か何かだろうが、改蔵に読めるはずもない。 彼は、その文字列の「雰囲気」だけを頼りに、それっぽく詠唱を始めた。

 

「えー、なんちゃら、かんちゃら。いでよ、俺の美少女悪魔ー」

 

 適当極まりない詠唱。 魔法陣は、ピクリとも反応しない。

 

「だよな。んなワケないよな」

 

 改蔵が肩をすくめ、立ち上がろうとした、その瞬間だった。 ブォン、と地鳴りのような低い音が響いた。 改蔵が落とした血溜まり。そこを中心に、チョークで描いた魔法陣が、眩い紫電の光を放ち始めた。

 

「うおっ!?」

 

 蔵全体が激しく揺れる。棚のガラクタがガラガラと床に落ちた。 魔法陣から、黒い煙が渦を巻いて立ち上る。 煙は瞬く間に蔵の中を満たし、改蔵の視界を奪った。 濃密な硫黄の匂い。 改蔵は思わず咳き込み、腕で顔を庇う。 やがて、凄まじい光と振動が、ふっと消えた。

 

 咳き込みながら目を開けた改蔵は、息を飲んだ。 煙がゆっくりと晴れていく。 魔法陣の、まさに中央。 そこに、一人の少女が立っていた。

 

 ボリュームたっぷりの、輝くような金髪。それを高い位置でツーサイドアップにまとめている。 小柄で、華奢な身体。 だが見た目に反して、その肢体は驚くほどに、むっちりとした曲線を描いていた。 肌は透き通るように白い。 なにより目を引くのは、その衣装だった。 身体のラインに吸い付くような、光沢のある黒いレオタード。 胸元は大きく開かれ、小さな膨らみがこぼれ落ちそうだ。 背中からは、蝙蝠のような小さな翼が生えている。 天使のような愛らしい顔立ちに、悪魔の装束。 アンバランスなその姿は、改蔵の性癖をピンポイントで撃ち抜いた。

 

 少女は、パッチリとした空色の瞳を数回またたかせ、キョロキョロと周囲を見渡している。 埃っぽい蔵の中。目の前に立つ、Tシャツ姿の間抜けな男。 彼女は、状況が全く理解できていないようだった。

 

「ここは……? 地球、ですか?」

 

 鈴を転がすような、可憐な声が響く。

 

「あの……貴方が、私を召喚した方、でしょうか?」

 

 改蔵は、ゴクリと生唾を飲んだ。 返事もせず、少女の頭の先からつま先まで、舐め回すように見つめている。 身長は百四十センチそこそこか。小柄だが、出るべきところは(コンパクトながら)しっかり出ている。 特に、レオタードから伸びる、むき出しの太ももが眩しかった。

 

「……マジで、出やがった」

 

「え?」

 

 少女が小首を傾げる。 その仕草すら、計算されたかのように愛らしい。 改蔵はようやく我に返り、咳払いをした。

 

「あー、うん。たぶん、俺が呼んだ。みたいだ」 「そうですか! よかった!」

 

 少女は、ぱあっと顔を輝かせた。 そして、その場でピンと背筋を伸ばし、改蔵に向かって恭しく(しかし胸元を強調するように)お辞儀をした。

 

「はじめまして、召喚者様!」

 

「わたしは、悪の組織・地球征服軍団に配属されました、サポート担当の悪魔! マナと申します!」

 

「悪の組織?」

 

 改蔵の眉がピクリと動いた。 テレビで毎日やっている、アレか。

 

「はい! 貴方はどうやら、我が軍団の協力者……いわゆる『黒幕』候補の資格をお持ちのようです!」

 

 マナは、訓練校で習った通りであろう完璧なマニュアル口調で、スラスラと説明を始めた。 地球征服軍団。魔界からのサポート。自分はその尖兵であること。 そして、改蔵が魔導書の血統を受け継ぐ、潜在的な協力者であること。 改蔵は、その話の半分も聞いていなかった。 彼の思考は、目の前のエロ可愛い少女と、さっき見た魔導書の挿絵でいっぱいだったからだ。

 

「……で、協力者になるには、どうすりゃいいの?」

 

 改蔵が、マナの説明を遮って尋ねた。

 

「はい! 協力者となっていただくには、まず神聖なる『契約』を執り行う必要があります!」

 

 マナがビシッと敬礼のポーズをとる。 キタ。改蔵の目が光った。

 

「その『契約』って、もしかして……」

 

 改蔵はニヤニヤしながら、魔導書の「あの」ページを指差した。 マナの視線が、挿絵に落ちる。 次の瞬間、彼女の顔がカッと赤く染まった。

 

「なっ、なっ……!?」

 

「これ、セックスしてるよね?」 「せ、セックス、と申しますか……!」

 

 マナはブンブンと首を横に振り、必死で弁解を始めた。

 

「あ、あくまで神聖な! 魔力供給の儀式であって……その……!」 「ふーん」 「ま、魔界の訓練校でも、そう習いました! これは召喚者様とサポート悪魔の、厳粛なる『義務』です!」

 

『義務』。 その言葉の響きに、改蔵の理性のタガが外れた。 後先考えない男、ここに極まれり。

 

「そっか。義務なんだ」

 

 改蔵は、マナの華奢な肩に、そっと手を置いた。

 

「じゃあ、やろうか。神聖な儀式」 「えっ」

 

 マナの空色の瞳が、驚きに見開かれる。

 

「い、今から、ですか!?」 「義務なんだろ?」 「そ、そうですけど……! し、心の準備が……!」 「大丈夫だって。儀式なんだから、流れに任せりゃいいんだよ」

 

 改蔵は、抵抗する間もないマナの小さな身体を、軽々と抱き上げた。 埃っぽい蔵の床。ガラクタの山。 そんな劣悪な環境など、今の改蔵には関係なかった。 彼は、魔導書の挿絵の通り、マナのレオタードの股間部分に手をかけた。

 

「ひゃあっ!?」

 

 薄い布地をずらすと、そこには悪魔らしからぬ、清純な秘所が隠されていた。 マナは、魔界の訓練校を首席で卒業した才媛だった。 座学も、魔術戦闘訓練も完璧。 だが、この「神聖な儀式」の実技だけは、今日が初めてだった。

 

「だ、ダメです……! こんな、心の準備もなしに……!」 「義務、なんだよな?」

 

 改蔵の巨根が、マナの白い太ももに押し当てられる。 その、訓練校の教本でしか見たことのない、圧倒的な熱量と質量。 マナは恐怖と、それから未知の興奮で身体を震わせた。 首席才媛としてのプライドと、任務を遂行せねばという義務感。 そして、目の前の「オス」が放つ強烈な欲望。 彼女の思考は完全にショートしていた。

 

「……っ、はい……ぎ、義務、ですから……」

 

 マナが、涙目でこくりと頷いたのを合図に、改蔵は一切の躊躇なく、その身を貫いた。

 

「あぁああんっ!」

 

 蔵の中に、少女の甲高い悲鳴が響き渡る。 それは、痛みと、驚きと、そして……ほんの少しの、快感を含んだ声だった。 儀式は始まった。 改蔵は、持ち前の絶倫さで、神聖なる儀式を執り行う。 マナの小さな身体は、改蔵の激しい動きに翻弄されるだけだった。

 

「な、なんですか、これ……! ああっ!?」 「魔力供給だろ?」 「きょ、教本には……! こんな、感覚になるなんて、書いてませんでした……!」

 

 義務だったはずの行為。 それが、マナの身体の奥に、未知の熱を灯していく。 脳が痺れ、思考が溶けていく。 首席才媛としての矜持が、快感の奔流によって洗い流されていく。

 

「だめ……あ、あ、そこっ……! 儀式、ですから……もっと、魔力を……あぁん!」

 

 どれほどの時間が経っただろうか。 蔵の中には、マナの嬌声と、肉体がぶつかり合う生々しい音だけが響いていた。 やがて、改蔵の中で何かが弾け、膨大な魔力がマナを通じ、改蔵の全身に流れ込んだ。

 

「イクッ……! 契約、完了、ですぅ……!」

 

 マナは白目を剥き、ぐったりと改蔵の腕の中で脱力した。 身体はビクビクと痙攣し、口元からはよだれが垂れている。 首席才媛の面影は、そこにはもうなかった。

 

「ふう。すごい儀式だったな」

 

 改蔵は、汗だくの身体を起こし、満足げに一息ついた。 身体の奥から、不思議な力がみなぎってくるのを感じる。

 

「で、俺は何すりゃいいの? 結局」

 

 改蔵の能天気な声に、マナが、うつろな瞳でゆっくりと顔を上げた。 腰は砕け、思考はまだトロトロに溶けたままだ。

 

「あ、はい……ええと……」

 

 マナは、ほとんど呂律が回らない口で、最後の任務を遂行しようとした。

 

「改蔵様は、本日より『悪の組織・地球征服軍団』の、黒幕……」 「黒幕」 「その……怪人作成担当、です……」 「怪人?」 「はい。その……人間の、若い娘と……今みたいに、その、『儀式』……契約(セックス)を、すると……」

 

 マナはそこまで言って、ハッとしたように自分の股間を見た。 そして、改蔵の巨根を見た。

 

「……その娘を、怪人に、改造できます……」 「へえ」

 

 改蔵の目が、儀式を始める前よりも、さらにギラギラと輝いた。

 

「つまり、俺はこれから、女の子と合法的にセックスしまくれるってこと?」 「は、はい……あ、あくまで、任務、ですから……」

 

 そう言ったマナの手が、おずおずと改蔵の逞しい胸板に触れた。 彼女は、まだジンジンと熱を持つ自身の秘所を押さえながら、潤んだ瞳で改蔵を見上げる。

 

「そのぅ……」 「ん?」 「契約の魔力が、まだ安定していないみたいで……その、定期的に……」

 

 マナは、改蔵の身体にすり寄った。

 

「注入、した方がいいと思うのですが……!」 「おう、そうか。そりゃ大変だ」

 

 改蔵はニヤリと笑い、再びマナの小さな身体を抱き寄せた。

 

「あぁんっ! 改蔵様! 契約の安定、ですね!」

 

 こうして、世界征服になど微塵も興味のない、悪の組織の黒幕が爆誕した。 世間では今日もヒーローが怪人を倒している。 だが、その怪人を「作成」している張本人が、日本の片田舎の埃っぽい蔵の中で、召喚したばかりの小悪魔と二回戦に突入していることなど、知る由もなかった。

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