東京都港区。 煌びやかなテレビ局の第1スタジオは熱気に包まれていた。 無数の照明がステージ中央の一点に集中している。 そこには一人の少女が立っていた。
「はい! カット! オッケーです!」
ディレクターの声が響くのと同時にスタジオの空気が弛緩する。 ステージ上の少女、石川カスミは維持していた完璧な笑顔をふっと緩めた。 額に滲んだ汗をスタッフが慌てて拭きに来る。
「カスミちゃんお疲れ様! 今日の収録も最高だったよ!」
「ありがとうございます! 放送楽しみにしてますね!」
カスミは鈴を転がすような声で答え、愛想よく手を振った。 国民の妹。 清純派アイドルの頂点。 それが表向きの彼女の顔だ。 だが楽屋に戻り重厚な扉が閉まった瞬間、その表情は能面のように冷徹なものへと変貌した。そうミスティこと石川カスミは怪人と成りながらも、人の姿を失っていないためアイドルを続けているのだ。
「はぁ。くだらない」
彼女はドサリとソファに身を投げ出した。 マネージャーが気を使ってミネラルウォーターを差し出すが、彼女はそれを見向きもしない。 彼女の渇きはこの程度の水では癒せない。 彼女が求めているのはもっと濃密で、熱く、そして暴力的なエネルギーだ。
「ねえマネージャー。次の予定は?」
「ええと次は雑誌の取材が一件と、夜は歌番組の生放送が……」
「全部キャンセルして」
「えっ!? で、でもカスミちゃん! 急にそんなこと言われても!」
「うるさいわね。体調不良とでも言っておきなさいよ。私にはもっと大事な『用事』があるの」
カスミは立ち上がると、マネージャーの制止を振り切り楽屋を出た。 彼女の瞳の奥には、アイドルとしての野心とは異なる、もっとドロドロとした光が宿っていた。 彼女の身体の奥底。 子宮のあたりに埋め込まれた『魔人』としての核が疼いていたのだ。アイドルとして承認欲求を満たした後は、怪人として力の行使を求めている。
(……足りない) (魔力が、減ってきている)
彼女は自分の掌を見つめた。 指先からチリチリと紫色の火花が散る。 悪の組織の四天王『魔人ミスティ』。 黒野改蔵による過剰なまでの魔力注入によって生まれた、規格外の怪人。 その力は絶大だ。 だがその代償として、彼女は常に魔力欠乏の恐怖と戦わなければならなかった。 彼女の器は大きすぎる。 常にフルパワーで稼働し続けるエンジンは、燃料を食い潰す怪物だ。
(……イライラする) (暴れたい。壊したい。そして満たされたい)
彼女は非常階段の踊り場に入ると、誰にも見られないようにスマートフォンの特殊アプリを起動した。 画面には胃薬を手放せない中年男、サイトウの顔が映し出される。
「あらサイトウ。生きてたの?」
『ミスティ君か! ちょうどよかった! 連絡しようと思っていたところだ!』
「仕事よ。手頃な暴れ場所はないの? ムシャクシャしててね。何か壊さないと気が済まないの」
『相変わらず好戦的だな……。実は湾岸エリアの倉庫街で、ジャスティンジャーの支援部隊が新型兵器の搬入を行っているという情報がある』
「支援部隊? 雑魚ね」
『雑魚だが数は多い。それに新型兵器のデータも欲しい。君の火力で一掃してくれないか』
「いいわ。憂さ晴らしにはちょうど良さそうね」
カスミはニヤリと笑った。 その笑顔にはアイドルの愛嬌など微塵もない。 あるのは絶対的な強者の傲慢さだけだ。
「転送ゲートを開いて。今すぐ行くわ」
『了解した。だがミスティ君。くれぐれもエネルギー残量には……』
「うるさいわね。わかってるわよ」
カスミは通話を切った。 足元に紫色の魔法陣が展開される。 彼女はヒールを鳴らしてその中へと踏み込んだ。 光が弾け、アイドルの姿がかき消える。 次に現れた時、彼女は漆黒のボンテージに身を包んだ魔人となっていた。
***
湾岸倉庫街。 夕暮れの海風が吹き抜けるその場所は、一瞬にして地獄へと変わっていた。
「オホホホホ! どうしたの!? その程度!?」
ミスティの高笑いが響き渡る。 彼女はコンテナの上に立ち、眼下の敵を見下ろしていた。 正義の科学研究所の精鋭部隊。 強化外骨格を装備した数十人の兵士たちが、彼女に向けて一斉射撃を行っている。 だがその弾丸はミスティに届くことすらない。 彼女の周囲に展開された魔力障壁が、全てを弾き返していた。
「効かないわよ。豆鉄砲なんて」
ミスティが指先を振るう。 それだけで紫電の鞭が走り、兵士たちをなぎ倒した。 爆発。 悲鳴。 鉄屑と化す新型兵器。
「化け物め……! 総員退避!」
「逃がすわけないでしょ。私のステージはまだ終わってないわ」
ミスティは両手を広げた。 背中から漆黒の翼のような魔力が噴出する。 彼女は空中に浮遊し、掌に巨大なエネルギー弾を生成した。
「消えなさい。デッドリー・スターライト!」
閃光が倉庫街を飲み込んだ。 轟音と共に巨大なキノコ雲が上がる。 圧倒的な破壊力。 彼女一人で一個師団を壊滅させるほどの力。 それが魔人ミスティだ。
「……フン。他愛ないわね」
ミスティは瓦礫の山に降り立った。 敵は全滅。 任務完了だ。 高揚感が全身を駆け巡る。 やはり私は特別だ。 誰よりも強く、誰よりも美しい。 だが。 その絶頂の瞬間に『それ』はやってきた。
「……ッ!?」
ドクン。 心臓が嫌な音を立てた。 視界がぐらりと歪む。 手足の先から急速に力が抜けていく感覚。 寒気。 そして猛烈な倦怠感。
「あ……う……」
ミスティはその場に膝をついた。 ボンテージ越しに冷や汗が噴き出す。 まずい。 やりすぎた。 雑魚相手に最大出力の技をぶっ放してしまった。
「ガス……欠……」
彼女の身体から魔力の光が消えていく。 それは彼女にとって『死』にも等しい恐怖だった。 魔力がなくなれば、彼女はその存在を維持できない。 ただの無力な少女に戻ってしまう。 いや、それ以下だ。 魔力に蝕まれた身体は、外部からの供給なしには呼吸することさえ苦痛に変わる。
「はぁ……はぁ……!」
身体が熱い。 なのに寒い。 そして何よりも身体の奥底が疼く。 魔力をよこせと、細胞の一つ一つが悲鳴を上げている。
「マスター……」
彼女の脳裏に浮かぶのは一人の男の顔だった。 だらしなくて、スケベで、どうしようもない男。 黒野改蔵。 だが今の彼女にとって、彼は唯一無二の『生命線』だった。
「帰らなきゃ……。早く……充電しないと……」
彼女は震える手で通信機を取り出した。 プライドも何もない。 ただ助かりたい一心だった。
「マナ……! 聞こえる!?」
『はい! ミスティさん! 任務完了ですね! さすがです!』
無邪気な声が返ってくる。
「迎えに来て……! 今すぐ! 限界なの……!」
『えっ!? またですか!? つい先日もガス欠したばかりじゃ……』
「いいから! 早くしなさいよこの駄犬! 死んじゃう……! 私が死んじゃうのよ!」
彼女は半泣きで叫んだ。 その姿にはアイドルの華やかさも魔人の威厳もない。 ただの禁断症状に苦しむ哀れな女だった。
***
アジトの土間に黒い光が走った。 ドサリという重い音と共にミスティが転がり落ちてくる。 彼女は床に這いつくばったまま、起き上がることさえできなかった。 ボンテージは汗で肌に張り付き、乱れた黒髪が顔にかかっている。
「あ……あ……」
目の前には彼女の『神』がいた。 Tシャツにスウェット姿の改蔵。 彼は夕刊を読みながら片手で煎餅をかじっていた。 その足元にはいつものようにメイが侍っている。
「おう。お帰り女王様。また派手にガス欠かよ」
改蔵は呆れたように見下ろした。 ミスティはその視線に屈辱を感じる余裕さえなかった。 彼女は芋虫のように床を這い、改蔵の足元へと進んだ。
「マスター……」
かすれた声。 彼女は改蔵の足首を掴んだ。 その手は氷のように冷たかった。
「魔力……ください……。空っぽなの……」
「お前は学習しねえなあ。あれだけ燃費考えろって言っただろ」
「うぅ……ごめんなさい……。いうこと、ききます……。だから……」
ミスティは涙目で改蔵を見上げた。 その瞳は完全に理性の光を失い、欲望と生存本能だけで濁っている。
「早く……入れて……。中に入れて……!」
彼女は改蔵のスウェットに顔を押し付けた。 布越しに伝わる熱。 濃厚な『陽』の気。 それだけで彼女の身体がビクビクと痙攣する。
「まったく。手のかかる兵器だぜ」
改蔵は新聞を置いた。 そして立ち上がると、ミスティの襟首を掴んで引き上げた。
「ほらよ。口開けろ。給油の時間だ」
改蔵はスウェットを下ろした。 そこに鎮座するのは極太の給油ノズル。 ミスティはそれを見た瞬間、涎を垂らした。
「あ……! ああっ!」
彼女は犬のように飛びついた。 プライドの高いトップアイドルが、地面に這いつくばり男の股間に食らいつく。 その姿は背徳的であり、同時に憐れでもあった。
「んむッ! んんーッ! んぐッ!」
ミスティは貪った。 喉の奥まで突き入れ、一心不乱に吸い上げる。 流れ込んでくる魔力が、干からびた身体に染み渡っていく。 その快感は麻薬以上だった。 脳髄が痺れ、視界が白く染まる。
「おいおい。噛むなよ」
改蔵はミスティの頭を掴み、腰を振った。 彼女の口内は熱く、吸い付きが凄まじい。 極限状態の『渇望』が、彼女のテクニックを無意識に向上させている。
「すごい……。今日のミスティさん、吸引力がダイソン並みです……」
マナがモニターの数値を見ながら戦慄している。
「あらあら。あんなに慌てて。喉に詰まらせなきゃいいですけど」
五十嵐イスズがお茶を飲みながら、のんきに見守っている。
「……マスター。わたしのぶん、なくなる」
メイが不満そうにミスティの尻をぺちぺち叩いている。 だがミスティは止まらない。 止まれない。
「んぐうッ! おっ、おいひい……! 魔力が……! 生き返る……!」
彼女の瞳が白目を剥き始める。 魔力の過剰摂取によるトランス状態。 彼女のキャパシティは限界を超えていたが、それでも彼女は求めることをやめなかった。
「よし。満タンにしてやるよ」
改蔵はミスティの頭を固定し、最深部へと腰を突き入れた。
「オラアアアッ!」
「ん、ぐううううッ!」
改蔵の魔力が口内へ爆発的に放出される。 ミスティは喉を鳴らして白濁したエネルギーを飲み干した。 だが、改蔵は止まらなかった。 彼はまだ痙攣しているミスティの頭を離すと、ギラついた目で彼女の身体を見下ろした。
「ハッ。口だけじゃ足りねえだろ? その魔力切れの身体、隅々まで満タンにしてやるよ」
「あ……は、はい……! お願いします……! 下も……下の口も、カラカラなんですぅ……!」
ミスティはボンテージ姿のまま、自ら仰向けになり、M字に足を開いた。 かつてステージでスポットライトを浴びていた国民的アイドルが、今やアジトの床で股間を広げ、男にねだっている。 その股間は、魔力を求めるあまり、すでに愛液でぐちょぐちょに濡れていた。
「いいザマだ。ファンが見たら泣いて喜ぶぜ」
改蔵はミスティの腰を掴み、強引に引き寄せた。 そして、まだ怒り狂っている剛直を、彼女の濡れた秘所へとあてがった。
「いくぞ。ガス欠のポンコツ車には、極上のハイオクを直注入だ」
「あぁっ! 来て! マスターの太いの、来てくださいぃぃ!」
ズプンッ! 根元まで一気に貫く。
「はひぃっ!?」
ミスティが白目を剥いて絶叫した。 枯渇していた子宮に、熱い楔がねじ込まれる。 それは痛みではなく、魂が震えるほどの充足感だった。
「す、すごい……! ダイレクトに……! 魔力が、染み込んでくるぅ!」
「オラオラ! アイドルなんだろ! もっといい声で鳴け!」
改蔵は容赦なく腰を打ち付けた。 パン、パン、パン、と肉と肉がぶつかる音が響く。 ミスティの豊満な胸が揺れ、ボンテージが擦れて悲鳴を上げる。
「あ、あ、あんっ! アイドルなんかじゃありません! 私はマスターの、マスター専用のオナホールですぅ!」
プライドの高いミスティが、快楽と魔力の前には完全に屈服していた。 彼女は改蔵の首に腕を回し、もっと奥へと誘うように腰を振る。
「マナちゃん! 見て! ミスティさんの魔力充填率、急上昇してます!」
「わあ……。身体がピカピカ光ってますねぇ」
「……マスター。ずるい。わたしも」
ギャラリーの視線など、今のミスティには快感のスパイスでしかなかった。 見られている。 一番恥ずかしい姿を、一番情けない姿を。 それがたまらなく興奮する。
「あ、あ、イっちゃう! タンクが一杯になっちゃう! あへぇ!」
「おう! 溢れるまで注いでやるよ!」
改蔵はミスティの足を自身の肩に担ぎ上げ、最深部を抉るように突き上げた。 子宮口をノックし、魔力を直接流し込む。
「そこっ! そこぉ! 満タン! 満タン入りますぅぅぅぅ!」
「受け取れ! 満タン証明書だ!」
ドピュッ! ドピュルルルッ! 改蔵の全てが、ミスティの胎内に解き放たれた。
「イグゥィィィィィィィッ!」
事後。 ミスティは床に大の字になって倒れていた。 その姿はまさに『潰れたカエル』だった。 手足はだらしなく投げ出され、口は半開きで舌が出ている。 目は焦点が合わず、アヘ顔のまま固まっている。 ボンテージははだけ、胸も股間も丸出しだ。 かつてステージで何万人ものファンを魅了したアイドルの面影はどこにもない。 あるのはただの『魔力漬けの肉人形』だけ。
「……あへ……あへぇ……」
彼女の口から漏れるのは、意味をなさない喘ぎ声のみ。 だがその表情は、至福に満ちていた。 空っぽだった身体が、改蔵の魔力で満たされ、重く熱く脈打っている。 その充足感だけが、彼女の世界の全てだった。
「……ふぅ。結構搾られたな」
改蔵はズボンを上げながら、満足げに息をついた。
「世話かけさせやがって。あとでしっかり身体で払ってもらうからな」
「……はいぃ……。マスター……だいすき……」
ミスティはうわ言のように呟いた。 彼女はもう、改蔵なしでは生きられない。 どんなに強大な力を手に入れても、その燃料(ガソリン)の蛇口を握られている限り、彼女は永遠に改蔵の『所有物』なのだ。
「カスミちゃん。タオルですよ。顔拭いてくださいね」
イスズが甲斐甲斐しく世話を焼く。 ミスティはされるがままになりながら、だらしなく笑った。 アジトの夜は更けていく。 華麗なるアイドルの堕落した姿を、世間のファンが知ることは永遠にないだろう。