夜の帳が下りたアジトの居間は、温かな湯気と甘辛い割り下の香りで満たされていた。 ちゃぶ台の中央に鎮座するのは、五十嵐イスズが腕によりをかけた特製すき焼き鍋だ。 ぐつぐつと煮える牛肉、焼き豆腐、そして春菊。 その横には、マナが苦労して手に入れたブランド卵『極』が、黄金色の黄身を輝かせて器に盛られている。
「……おいしい」
銀髪の少女、マリーが呟いた。 彼女は小鳥のような見た目に反して、恐ろしい速度で肉を吸い込んでいた。 熱々の肉を卵にくぐらせ、咀嚼もそこそこに飲み込む。 その瞳は恍惚と食欲で潤んでいる。
「ちょっとマリー! ガツガツしないでよ! 品がないわ!」
金髪の少女、ルイーズが嗜める。 だが、彼女自身の箸も止まらない。 口元にタレをつけながら、必死に肉を確保している。
「だ、だって……こんな美味しいもの、お屋敷じゃ出なかったもの。缶詰と、乾パンばっかりだったから」
マリーが言い訳をする。 洋館での二人きりの生活。 それは自由だったかもしれないが、ひどく味気ないものだったのだろう。
「ふふ。たくさんありますから、喧嘩しないでくださいね」
イスズが微笑ましそうに肉を追加する。 その横で、小悪魔マナとサキュバス怪人メイも負けじと箸を伸ばしている。 アジトの食卓は戦場だ。
「よく食うな。いいことだ」
黒野改蔵はビールをあおりながら、その様子を満足げに眺めていた。 食欲は性欲に通じる。 これだけ生命力に溢れていれば、今夜の『儀式』も期待できそうだ。
「さて。腹も満ちたことだし、デザートといくか」
改蔵が箸を置き、ニヤリと笑った。 その視線が双子を射抜く。 ルイーズがビクリと肩を震わせ、マリーが箸を止めた。
「……デザート? プリン?」
マリーが首を傾げる。
「違うわよマリー。この変態おじさんが言ってるのは、そういう意味じゃないわ」
ルイーズが改蔵を睨みつける。 だがその頬は朱に染まり、期待と不安がないまぜになった表情を隠せていない。 昼間、洋館で交わした契約。 『俺の人形になれ』という言葉。 その意味を、彼女たちは本能で理解していた。
「準備はいいな。俺の部屋……いや、蔵へ来い」
改蔵が立ち上がる。 その背中は大きく、逆らえない威圧感を放っている。
「行くわよマリー。……手を離さないでね」
「……うん。ルイーズと一緒なら、平気」
双子は互いの手をしっかりと握り合い、改蔵の後を追った。 その繋がれた手こそが、彼女たちの命綱であり、魔力の回路だった。
***
土蔵の中は、昼間の湿気が残る独特の空気に包まれていた。 床に描かれた魔法陣が、薄ぼんやりと怪しい光を放っている。 改蔵は入り口で振り返り、重厚な扉を閉めた。 外界からの遮断。 ここからは、三人だけの世界だ。
「さて。服を脱げ」
改蔵は短く命じた。 双子は一瞬顔を見合わせたが、拒絶はしなかった。 マリーがルイーズの背中のファスナーを下ろし、ルイーズがマリーのリボンを解く。 互いが互いの服を脱がせ合うその仕草は、儀式めいていて、そして背徳的だった。 さらりとドレスが滑り落ちる。 露わになったのは、陶磁器のように白く、滑らかな肢体。 膨らみかけの胸、くびれた腰、すらりと伸びた脚。 二人の身体は、細部に至るまで鏡写しのように瓜二つだった。 違うのは、恥じらいで赤くなったルイーズの肌と、好奇心で少し上気したマリーの肌の色味くらいか。
「……見ないでよ」
ルイーズが手で胸を隠す。
「……おじさん、見てる」
マリーは隠そうともせず、じっと改蔵を見つめ返す。
「いい眺めだ。最高級の人形だな」
改蔵は感嘆の声を漏らした。 これほどの素材はそうそういない。 しかも二人。 魔力が共鳴し合っているのが、目に見えるようだ。 二人の間には、青と赤の微かな光の糸が行き交っている。
「観測します! 共鳴率、安定しています!」
隅に設置されたモニターからマナの声が響く。 彼女とイスズ、メイは別室で待機だ。 今回はデリケートな『共鳴』を扱うため、ノイズになる他者の介入を避けたのだ。
「こっちへ来い。魔法陣の上だ」
改蔵が手招きする。 双子は手を繋いだまま、恐る恐る魔法陣の中央へと進み出た。 冷たい床の感触に、二人の身体が同時に震える。
「どうすればいいの? 私たち、こういうの……初めてなんだけど」
ルイーズが強気な口調で、しかし声を震わせて問う。
「……痛いのは、いや」
マリーが改蔵を見上げる。
「安心しろ。俺が優しく『繋げて』やる」
改蔵は服を脱ぎ捨て、全裸になった。 その圧倒的な質量と熱量に、双子が息を呑む。 特に股間の怒張した一物は、彼女たちの知る『人体』の規格を超えていた。
「……大きい」
「……あんなの、入るわけないじゃない。馬鹿なの?」
「無理よ。壊れちゃう」
「壊れねえよ。お前らは二人で一つなんだろ? 俺がその間に入って、魔力を循環させてやる」
改蔵は魔法陣の上に胡座をかいて座った。 そして、左右の膝をポンポンと叩いた。
「乗れ。対面座位だ」
双子はおずおずと改蔵に近づいた。 改蔵の右膝にルイーズが、左膝にマリーが跨る。 二人の少女が、改蔵を挟むようにして向かい合う形だ。 改蔵の太い首に、二人の細い腕が回される。 密着する肌。 若い少女特有の甘い香りと、改蔵の雄臭い匂いが混じり合う。
「まずは『回路』を開くぞ」
改蔵は両手で、それぞれの少女の頭を引き寄せた。 そして、交互に唇を奪った。 まずは右のルイーズ。
「んっ……! んむ……!」
強引に舌をねじ込む。 ルイーズの身体がビクンと跳ねる。 ファーストキス。 荒々しく、唾液をかき回される。 そして不思議なことに、改蔵とキスをしているのはルイーズなのに、隣のマリーが「んっ」と声を漏らし、顔を赤らめた。
「……感覚が、流れてくる」
マリーがぽつりと呟く。 共鳴現象だ。 片方が受けた刺激が、魔力のパスを通じて片方にも伝播する。
「次はマリーだ」
改蔵はルイーズを離し、息を切らせる彼女を放置してマリーに口づけをした。
「ん、ちゅ……。んん……」
マリーは素直に口を開き、改蔵の舌を受け入れた。 ねっとりと絡み合う舌。 今度はルイーズが、キスもしていないのに唇を震わせ、吐息を漏した。
「な、なによこれ……。マリーがされてるのに、私の口の中が……熱い……」
「これが『共鳴』だ。お前らの魂は繋がってる。片方の快感は二倍になり、痛手は半分になる」
改蔵はニヤリと笑った。 この性質を利用すれば、無限の快楽ループを作り出せる。
「いくぞ。本番だ」
改蔵はマリーの腰を持ち上げ、その秘所を自身の剛直にあてがった。 まだ蕾のように固く閉じた入り口。
「……入る」
マリーが身構える。 ルイーズがマリーの手を強く握る。
「大丈夫よマリー。私がついてる」
「うん。ルイーズがいるから、平気」
改蔵はゆっくりと、しかし容赦なく腰を下ろさせた。 ズプッ。 処女膜を破る感触。
「いっ……!」
マリーが顔をしかめる。 同時に、ルイーズも「あっ!」と声を上げ、股間を押さえた。
「痛い……! なんで、私まで……!」
「繋がってるからだろ。痛みも分け合え」
改蔵はさらに深く、根元までマリーを貫いた。 マリーの小さな身体が、改蔵という異物を受け入れ、ミシミシと音を立てて広がる。
「ふぅ……っ。入った……。おじさん、中、すごい……」
マリーが荒い息を吐く。 痛みはすぐに引き、代わりに重厚な充足感がせり上がってくる。 そしてそれは、即座にルイーズにも共有された。
「あ……あぁ……。なにこれ。お腹の奥が、重い……。何も入ってないのに、埋まってるみたい……」
ルイーズが自分の腹をさする。 そこには確かな『充填感』があった。
「へへ。面白い反応だ。じゃあ、動くぞ」
改蔵が腰を揺らす。 マリーの中を剛直が擦り上げる。
「あ……っ! ん、ああっ!」
マリーが声を上げる。 それに合わせて、ルイーズもビクンビクンと身体を震わせる。
「や、やだ……! マリーが動くと、私の中も……! 擦れる……! イイとこ、当たってる……!」
ルイーズの秘所から、愛液が溢れ出した。 直接触れられていないのに、彼女は感じていた。 マリーが感じる快感の全てを、リアルタイムで。
「すごい数値です! マリーさんの快感がルイーズさんに伝わり、増幅されてマリーさんにフィードバックされています! 無限ループです!」
マナの声が興奮で裏返る。
「よし。次はルイーズ、お前の番だ」
改蔵はマリーと繋がったまま、手を伸ばしてルイーズの秘所を弄った。 指先でクリトリスを弾き、濡れた入り口をこじ開ける。
「ひゃうっ!? わ、私まで!?」
「当たり前だろ。二人で一つなんだからな」
改蔵は指を挿入した。 一本、二本。 そして激しく出し入れする。
「あ、あ、あっ! 指! 指が入ってる! マリーのが太いのに、指でも、すごい!」
ルイーズが喘ぐ。 今度はマリーが反応する。
「んぁっ……! おじさん、そこ、違う……。あ、ルイーズの、気持ちいい……」
マリーの膣内がキュウッと収縮し、改蔵を締め付ける。 ルイーズへの刺激がマリーを締め付けさせ、マリーへの刺激がルイーズを濡らす。 二重の螺旋階段を登るように、快感が増幅していく。
「すげえな。どっちを攻めてもどっちもイく。最高の玩具だ」
改蔵は舌なめずりした。 左右の少女の胸を同時に揉みしだく。 マリーの乳首をつまめばルイーズが震え、ルイーズの首筋を舐めればマリーがのけぞる。 二人の境界線が溶けていく。
「あ、あ、もう、わかんない……! 私が感じてるの? マリーが感じてるの?」
ルイーズが混乱し、涙目で改蔵にしがみつく。
「どっちでもいい……。気持ちいいなら、それでいい……」
マリーがとろけた瞳で改蔵にキスをする。
「ああ。一つになれ。俺の中でお前らは融合するんだ」
改蔵はマリーの腰を固定し、激しいピストンを開始した。 同時に指でルイーズを責め立てる。
「いくぞ! 二人まとめて飛べ!」
「あ! くる! おじさんの、熱いの!」
マリーが叫ぶ。
「や、やだ! 私も! 私もきちゃう!」
ルイーズが絶叫する。 二人は強く抱き合った。 改蔵の首の後ろで手が組まれ、胸と胸が押し付けられる。 魔力の回路がショート寸前まで加熱する。
「受け取れ! 双子の『
改蔵がマリーの最奥に魔力を解き放った。 ドピュッ! ドピュルルルッ! 膨大な魔力が注ぎ込まれる。 それはマリーの胎内を満たすだけでなく、繋がった手を、触れ合った肌を通して、ルイーズの身体へも奔流となって流れ込んだ。
「イイイイイイイイイッ!」
二人の絶叫が重なり、完璧な
「最終変態、開始します! 共鳴レベル、マックスです!」
光の中で、二人の身体が作り変えられていく。 肌はより白く、陶器のような光沢を帯びる。 手足の関節部分には、球体関節のようなラインが浮かび上がり、より『人形』に近い造形へと変化する。 ドレスは魔力で再構築され、フリルとレースがふんだんにあしらわれたゴシック調の衣装へ。 マリーの青いドレスには無数の『銀の糸』が、ルイーズの赤いドレスには鋭利な『金の針』が装飾として現れた。 そして背中には、それぞれ片翼ずつの、ステンドグラスのような翼が生え出した。
「う……うう……」
光が収まると、そこには人間離れした美しさを持つ、二体の生きた人形が座っていた。 『双子人形怪人』。 彼女たちはまだ改蔵の膝の上で、余韻に浸っていた。
「……すごい。身体が、軽い」
マリーが自分の手を見つめる。 指先から銀色の糸が伸び、空中でキラキラと輝いている。
「力が……溢れてくるわ。これなら、誰にも負けない」
ルイーズが金の針を指の間に挟み、妖艶に微笑む。 そして二人は顔を見合わせ、同時に改蔵を見た。 その瞳は、契約の証であるハート型に歪んでいた。
「……マスター」
二人の声が重なる。 彼女たちは改蔵の首に抱きつき、左右から頬にキスをした。
「ありがとう。私たちを『完成』させてくれて」
「あたたかかった。おじさんの魔力、いっぱい入ってる」
「へへ。気に入ったかよ」
改蔵は二人の腰を抱き寄せた。 マリーの中からは、まだ改蔵の魔力が溢れ出し、太ももを伝っていた。 ルイーズの股間も、共鳴による絶頂でぐっしょりと濡れている。
「お前らは二人で最強だ。だが、俺がいなきゃその力は維持できねえ。わかってるな?」
「ええ。わかってるわ。貴方は私たちの『ネジ巻き』よ」
ルイーズが悪戯っぽく笑う。
「ネジが切れたら、また巻いてね。毎日、いっぱいに」
マリーが甘えるように改蔵の胸に顔を埋める。
「おう。任せとけ。壊れるまで愛してやるよ」
アジトに新たな戦力が加わった。 共鳴する魂と、絡み合う糸。 双子人形怪人の誕生により、悪の組織の