※この作品はR-18です。

ヤッて改造! 〜悪の組織の黒幕です〜   作:ろくさん

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52話

 アジトの裏手に建つ土蔵の扉が、ズズズと重々しい音を立てて閉ざされた。 外界の夏の日差しと蝉時雨は完全に遮断され、カビと埃、そして幾多の情事の残り香が染み付いた、鼻をつくような濃厚な空気が澱んでいた。 床に描かれた魔法陣が、怪しげな紫色の光を放ち、周囲をぼんやりと照らし出している。

 

「……暗い。ここ、何?」

 

 桐藤ネムは、魔法陣の中央でペタンと座り込んでいた。 お腹いっぱいにお粥を食べさせてもらい、満腹感と薄暗さで少し眠気が勝っている彼女は、自分がどこに連れてこられたのか深く考えることを放棄していた。 だぼだぼのグレーのパーカーに身を包み、膝を抱えるその姿は、捨てられた子猫か、あるいは雨宿りをする蓑虫のようだ。

 

「ここは『孵化場』だ。お前が新しい自分に生まれ変わるためのな」

 

 闇の奥から、ペタペタと素足の音をさせて男が現れた。 黒野改蔵だ。 彼は決して、威厳ある魔王のような格好ではなかった。 黄ばんだランニングシャツに、腰ゴムの緩んだステテコ姿。 無精髭を生やし、片手でボリボリと腹を掻いているその姿は、昼間からワンカップ片手に競馬中継を見ていそうな、うだつの上がらない中年オヤジそのものだ。 だが、そのだらしない外見からは想像もつかないような、暴力的なまでの『雄』のオーラが全身から立ち昇っている。 特に、ステテコの前部分がテントのように大きく盛り上がっている様は、ネムのような華奢な少女にとっては、生物としての規格の違いをまざまざと見せつける恐怖の対象でしかなかった。

 

「……ふーん。生まれ変わるの、面倒くさい。このままでいい」

 

 ネムはあくびをした。 目の前の男が放つ威圧感よりも、今の心地よい眠気の方が彼女にとっては重要だった。 向上心ゼロ。 現状維持バイアスが極まっている。

 

「そう言うな。お前の望みは『働きたくない』『動きたくない』『誰かに養われたい』だろ?」

 

「……うん。呼吸するのも、たまに面倒になる」

 

「その願い、叶えてやるよ。最強の『引きこもり』になれる身体をくれてやる」

 

 改蔵はニヤリと下卑た笑みを浮かべ、ネムの前にどっかりとあぐらをかいて座った。 そして、彼女のパーカーのフードを乱暴に掴んだ。

 

「まずは、その薄汚い殻を脱ぐんだな。中身の検品だ」

 

「……えー。やだ。これ、落ち着くのに。脱ぐのダルい」

 

「ダルけりゃ俺が剥いてやるよ」

 

 改蔵は有無を言わせず、パーカーの裾を持ち上げた。 ネムは抵抗しなかった。 手を上げるのも、拒絶の言葉を叫ぶのも、カロリーの無駄だと思ったからだ。 されるがままにバンザイをし、パーカーが脱がされる。 続けて、よれたジャージのズボンも引きずり下ろされた。

 

「……ほう」

 

 改蔵の口から、感嘆の息が漏れた。 露わになったネムの身体は、そのだらしない外見からは想像もつかないほど『極上』だった。 日光を浴びていない肌は陶磁器のように白く、キメが細かい。 運動不足ゆえの脂肪は、嫌なつき方ではなく、女性特有の柔らかさとして胸や腰にたっぷりと蓄積されている。 豊かな乳房は重力に従ってたわわに実り、くびれたウエストから広がる骨盤のラインは安産型そのものだ。 薄ピンク色の下着が、その白肌に艶めかしく映えている。

 

「いい肉付きだ。ネットカフェの個室で腐らせとくには惜しいな。これなら食い甲斐がありそうだ」

 

 改蔵の太い指が、ネムの柔らかい腹肉をつまんだ。

 

「……寒い。早くして」

 

 ネムは身を縮こまらせた。 恥ずかしさよりも、肌寒さの方が気になるらしい。

 

「改蔵様! データ解析完了しました!」

 

 隅で待機していた小悪魔マナが、タブレットを見ながら声を弾ませる。

 

「ネムさんの精神構造、凄まじいです! 『怠惰』の数値が測定限界を突破しています! さらに『ネットへの依存』と『捕食者への憧れ』が強く出ていますね」

 

「捕食者への憧れ?」

 

「はい! 『自分は動かず、網にかかった獲物をただ待ち、吸い尽くしたい』という欲求です! まさに蜘蛛! ウェブ(蜘蛛の巣)とウェブ(インターネット)のダブルミーニングですね!」

 

「なるほどな。インターネットの海で餌を待つ毒蜘蛛か。悪くねえ」

 

 改蔵はネムを押し倒した。 ドサリ。 畳の上に、白い肢体が無造作に投げ出される。 ネムは天井の染みをぼんやりと見つめ、抵抗の素振りすら見せない。 まるで打ち上げられたクラゲのようだ。

 

「……なにすんの? エッチなこと?」

 

「ああ。嫌か?」

 

「……痛くしないでくれるなら、いいよ。どうせ、家賃の代わりでしょ。タダ飯は申し訳ないし」

 

 その投げやりな態度。 諦めとも、悟りとも取れるその受動性が、改蔵の嗜虐心を逆に煽った。 反応がないなら、引きずり出してやればいい。 その無気力な瞳が、快楽で焦点を失い、だらしなく涎を垂らすまで。

 

「サービスしてやるよ。お前は何もしなくていい。ただ寝てれば、俺が勝手に気持ちよくしてやる」

 

 改蔵はネムの下着を指でズラした。 露わになる秘所。 手入れされていないアンダーヘアが、逆に生々しい色気を醸し出している。

 

「……ん」

 

 改蔵の無骨な指が、乾いた秘肉に触れる。 最初は反応が薄かった。 だが、改蔵が魔力を指先に込め、クリトリスを執拗に愛撫し始めると、ネムの身体がビクリと跳ねた。

 

「……あっ」

 

「どうだ。スイッチが入ってきたか?」

 

「……なんか、変。ピリピリする。……ムズムズする」

 

「それは『起動』の合図だ。お前の身体は今、快楽を受け入れるためのポートを開こうとしてるんだよ」

 

 改蔵は指を中へと進めた。 一本、二本。 壁を擦り、奥を突き、かき回す。 ネムの呼吸が少しずつ荒くなっていく。 彼女は動きたくないはずなのに、腰が無意識に揺れ、改蔵の指を求めて吸い付こうとしている。

 

「……んぅ……。あ……。熱い……」

 

「いいぞ。その調子だ。もっとダラけろ。もっと溶けろ」

 

 改蔵はステテコから自身の一物を取り出した。 血管の浮いた凶暴な熱塊が、ネムの入り口を割り開く。

 

「……おっきい。入るの?」

 

「無理やりねじ込むんだよ。お前のその怠けた身体に、カツを入れてやる」

 

 ズプンッ。 容赦のない侵入。 処女膜を突き破り、狭い膣道を押し広げながら、最奥へと到達する。

 

「……っ!」

 

 ネムの目が大きく見開かれた。 痛み。 そして、それを上回る圧倒的な『充填感』。 空っぽだった彼女の内側に、重くて熱い何かが満ちていく。 それは、彼女が心のどこかで求めていた「重石」のような安心感だった。

 

「……あ、が……。お腹、重い……。いっぱい……」

 

「これがお前の欲しかった『餌』だ。たっぷりと食え」

 

 改蔵は腰を動かし始めた。 激しくはない。 しかし、一突き一突きが重く、粘着質に絡みつくようなピストンだ。 ズポ、ズポ、ヌチュ……。 湿った音が蔵に響く。 ネムの思考は、急速に白く塗りつぶされていった。 考えるのが面倒くさい。 抵抗するのが面倒くさい。 ただ、この波に揺られていたい。 この熱い棒に貫かれたまま、脳みそを溶かしてしまいたい。

 

「……あ、あ……。なんか、いい……。これ、楽……」

 

 ネムの口から、甘い喘ぎが漏れる。 彼女にとって、セックスは労働ではなく、究極の『安らぎ』になりつつあった。 自分で動かなくても、相手が勝手に快感を与えてくれる。 自分はただの『穴』になり、受け入れるだけでいい。 それは彼女の怠惰な本能に、これ以上なく合致していた。

 

「そうだ。お前はただの受け皿だ。俺の欲望を全部受け止める、便利な『巣』になれ」

 

「……うん。なる。巣に、なるぅ……」

 

 ネムの瞳がとろりと濁る。 彼女の手足が、改蔵の身体に絡みついた。 抱きしめるのではない。 捕獲するように、逃がさないように、じっとりと張り付く。 その力は弱々しいが、一度触れたら離れない粘り気があった。

 

「改蔵様! 共鳴率が上がっています! 彼女の『拘束願望』と『捕食本能』が覚醒し始めました!」

 

 マナが叫ぶ。

 

「見てください! 彼女の影が!」

 

 魔法陣から伸びるネムの影が、異様な形に変形していた。 四本の手足だけではない。 八本の、鋭利な節足動物の脚のような影が、壁に蠢いている。

 

「いいぞネム! そのままだ! お前の本性を形にしろ!」

 

 改蔵はさらに深く、激しく打ち付ける。 汗が滴り落ち、ネムの白い肌を汚していく。 ネムの身体が弓なりに反る。

 

「あ、あ、イク……! めんどくさいけど、イクの……! 中に出して……!」

 

「イッちまえ! そして生まれ変われ! 怠惰の女王に!」

 

 改蔵はネムの腰をガッチリと掴み、子宮口をこじ開けて、膨大な魔力を解き放った。

 

「怪人化プログラム、インストール!」

 

 ドピュッ! ドピュルルルッ! 白濁した魔力の奔流が、ネムの胎内を駆け巡る。

 

「ん、ぐぅぅぅ……っ! 熱いぃぃぃっ!」

 

 ネムが絶叫する。 その瞬間、彼女の下半身を包む空気が歪んだ。 バキバキバキッ! 骨が組み換わる音。 肉が盛り上がる音。 彼女の白く柔らかな二本の脚が、黒い霧に包まれて融合し、そして膨張していく。

 

「あ……あぁ……。足が……増える……」

 

 ネムは恍惚とした表情で自分の下半身を見つめた。 人間の脚が消失し、代わりに現れたのは、巨大な球根のような蜘蛛の腹部。 そしてそこから生える、黒い剛毛に覆われた八本の長い脚。 それぞれが鋼鉄のように硬く、先端は鋭利な爪になっている。 上半身は人間のまま、下半身は巨大な蜘蛛。 『アラクネ怪人』。 ネットの海と現実の狭間で、獲物を待ち続ける魔物。

 

「はぁ……はぁ……。すご……。身体、大きい……」

 

 ネムは身を起こした。 巨大な蜘蛛の下半身が、蔵の床を軋ませる。 八本の脚がワキワキと動き、天井や壁に爪を突き立てて身体を支える。 彼女は自分の変化に動じるどころか、むしろ満足げだった。

 

「これなら……もう歩かなくていい。壁でも天井でも、どこでも座れる」

 

 ネムは天井の梁に向けて、お(蜘蛛の腹部先端)を向けた。 シュパッ! 白い糸が噴射される。 それは瞬く間に広がり、ハンモックのような、あるいは巨大な巣のような形状を作り出した。

 

「……よいしょ」

 

 ネムは器用に糸を操り、空中に作られた巣の中心に陣取った。 そこは、彼女だけの玉座。 ゲーミングチェアよりも快適で、絶対的な安全圏。

 

「どうだ、新しい身体の具合は」

 

 改蔵がステテコを履き直しながら見上げると、ネムは巣の上から顔を出し、気だるげに、しかし妖艶に微笑んだ。

 

「……最高。楽ちん。もうここから動かない」

 

 ネムの瞳は、複眼のように怪しく輝き、その周囲にはデジタルのノイズのようなエフェクトが走っている。 彼女は指先から細い糸を垂らし、床に落ちていた自分のスマホをシュルリと巻き取って手元に引き寄せた。

 

「Wi-Fiも、魔力で強化されてる……。爆速だ。これでラグなしでゲームできる」

 

「そりゃ重畳。だが、家賃は払ってもらうぞ?」

 

「……わかってるよ。飼い主」

 

 ネムはスルスルと糸を使って降りてきた。 その動きは、先ほどまでの鈍重さが嘘のように滑らかで、音もなく改蔵の背後に忍び寄った。 八本の脚が、檻のように改蔵を取り囲む。

 

「動くのは面倒だけど……来た獲物を食べるのは、好き」

 

 ネムは改蔵に抱きつき、その耳元で囁いた。 甘く、危険な毒を含んだ声。

 

「あんたの魔力、美味しかった。もっと頂戴。……空っぽになるまで、吸い尽くしてあげる」

 

 彼女の糸が、改蔵の身体に巻き付き始める。 粘着質で、一度捕まったら二度と逃れられない蜘蛛の糸。 それは、彼女の「離さない」「養え」という執着心の具現化だった。

 

「ハッ。食えるもんなら食ってみな。俺のスタミナは無尽蔵だぞ?」

 

「……試してみる?」

 

 ネムは改蔵を押し倒し、今度は自分が上になった。 巨大な蜘蛛の下半身が改蔵を跨ぎ、その重量感で押さえ込む。

 

「マナちゃん! 記録を!」

 

「はいっ! アラクネ怪人の拘束力、Sランクです! この粘着度は危険ですよ! 一度くっついたら剥がれません!」

 

 マナが興奮して叫ぶ中、アジトの夜は更けていく。 土蔵の中には、巨大な巣が張り巡らされ、その中心で捕食者と被食者が入れ替わり立ち替わり絡み合う、背徳的な宴が朝まで続くのだった。 こうして、悪の組織にまた一人、最強のニート怪人が誕生したのである。

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