※この作品はR-18です。

ヤッて改造! 〜悪の組織の黒幕です〜   作:ろくさん

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59話

 朝日が差し込む土蔵の中は、昨夜の狂宴の熱気がまだ抜けきらず、甘ったるい腐熟した果実のような匂いが充満していた。 煎餅布団の上。 黒野改蔵は、奇妙な拘束感の中で目を覚ました。 重い。 そして、ぬめる。 彼の身体には、人間の腕や脚とは異なる、ピンク色をした半透明の触手が幾重にも巻き付いていた。

 

「……んぅ。おはよう、監督(マスター)

 

 改蔵の胸元から、天野ユキが顔を上げた。 彼女は全裸であり、その背中や髪の毛先からは、無数の触手がうねうねと伸びている。 イソギンチャク怪人。 昨夜の儀式で生まれ変わった彼女は、一晩中改蔵の精気を吸い続け、肌は艶やかに輝いていた。

 

「おはよう、大女優。随分と寝起きがいいじゃねえか」

 

「ええ。最高の気分よ。……まだ足りないくらいだけど」

 

 ユキは妖艶に微笑み、触手の一つを動かして改蔵の股間を愛撫した。 吸盤が吸い付き、粘液が潤滑油となって刺激する。 改蔵のイチモツは、休む間もなく再び硬直を始めた。

 

「元気ね。朝の『発声練習』、付き合ってくれる?」

 

「ハッ。その前に仕事だ。マナ、いるか?」

 

 改蔵が天井に向かって声をかけると、梁の上から小悪魔マナがひょっこりと顔を出した。

 

「おはようございます改蔵様! バイタルチェック完了してますよ! ユキさんの魔力値、安定して高水準です!」

 

「おう。サイトウから連絡は?」

 

「来てます! 『都内のテレビ局で生放送中の情報番組がある。そこを占拠して、公共の電波で恐怖と快楽をバラ撒いてほしい』とのことです!」

 

 マナがタブレットを見せる。 画面には、朝のニュース番組の予告が映っていた。 真面目腐ったキャスターたちが、昨今の社会情勢を報道している。

 

「テレビ局か。……おいユキ。お前がいたAV業界とは違うが、派手なステージだぞ」

 

 改蔵が尋ねると、ユキは目を細めた。 彼女は業界のトップだったが、地上波のテレビには縁がなかった。 そこは彼女にとって、清廉潔白を演じる偽りの世界。 だからこそ、汚し甲斐がある。

 

「いいわね。お堅いニュース番組を、私の色で染め上げてあげる。……全国のお茶の間に、本当の『快楽』を教えてあげるわ」

 

 ユキは立ち上がった。 その瞬間、彼女の姿が変化する。 人の肌がピンク色の粘膜質に変わり、触手が膨張する。 完全に人外の姿、イソギンチャク怪人への変身だ。 もはや、誰も彼女が「天野ユキ」だとは気づかないだろう。

 

「行ってきます、監督。……録画予約、忘れないでね?」

 

「おう。特等席で見ててやるよ」

 

 マナが転送ゲートを開く。 ユキは優雅に一礼し、光の中へと消えていった。 新たなステージ、そして狩場へと。

 

 ***

 

 都心のキー局、テレビ(みやこ)。 そのメインスタジオでは、朝の生放送が行われていた。 清楚な女性アナウンサーと、知的なコメンテーターたちが、議論を交わしている。 平和で、退屈な朝の風景。 だが、その平穏は唐突に破られた。

 

 ドガアアアアン! 

 

 スタジオの壁が内側から弾け飛んだ。 悲鳴を上げるスタッフ、逃げ惑う出演者たち。 噴煙の中から、ピンク色の粘液を滴らせながら、異形の怪人が現れた。

 

「ごきげんよう、愚民の皆さん。……朝の体操の時間よ」

 

 マイクを通さずとも、その甘く響く声はスタジオを支配した。 彼女の背中から伸びる太い触手が、生き物のように鎌首をもたげる。

 

「な、なんだ君は! ここを生放送中だと……!」

 

 男性プロデューサーが怒鳴りながら近づこうとする。 シュルルッ! 触手の一本が、プロデューサーの足首を捉えた。

 

「うわぁっ!? な、なんだこれ! ぬるぬるして……!」

 

「うるさいわね。エキストラは静かにしてて」

 

 ユキはプロデューサーを引き寄せると、その顔面に自身の顔を近づけた。 そして、怪人の口から伸びる管を、男の口に押し当てた。 チュプ……ジュルルッ……。 プロデューサーの身体がビクンと跳ね、見る見るうちに萎びていく。 精気を吸い取られたのだ。

 

「ん……。おじさんの味。脂っこいけど、エネルギーはあるわね」

 

 ユキは男をゴミのように放り捨てた。 彼は白目を剥いて倒れ込んだが、その顔はどこか幸せそうに緩んでいた。 それを見た他の男性スタッフたちの足が止まる。 恐怖よりも先に、本能的な何かが刺激されたのだ。

 

「次の方。もっとイキのいい男はいないのかしら?」

 

 ユキがスタジオを見渡す。 彼女の全身から放たれるフェロモンは、理性を溶かし、恐怖を上書きするほどの快楽物質を含んでいた。 カメラマン、照明、音声。 スタジオにいた男たちの目が虚ろになり、ふらふらとユキの方へと吸い寄せられていく。

 

「あぁ……。ピンク色の……」

 

「俺を……俺を使ってください……」

 

「ふふ。いいわよ。全員、私の糧になりなさい」

 

 ユキが両手を広げる。 無数の触手が放射状に広がり、男たちを次々と絡め取っていく。 衣服を溶かす粘液。 肌に吸い付く吸盤。 スタジオは瞬く間に、酒池肉林の触手地獄へと変貌した。 カメラは倒れ、しかしそのレンズは残酷なまでに鮮明に、この狂宴を全国に生中継し続けていた。

 

 ***

 

「ヒャハハ! すげえ絵面だ。放送事故なんてもんじゃねえぞ」

 

 アジトの居間。 黒野改蔵は、ステテコ姿で寝転がりながら、大画面テレビに映る惨劇を肴に酒を飲んでいた。 画面の中では、ピンク色の怪物が男たちを蹂躙している。

 

「さすがプロですねぇ。見せ場を分かっています」

 

 天井からぶら下がった小悪魔マナが、感心したように言う。

 

「ああ。だがあの触手……見てるとムラムラしてくんな」

 

 改蔵が股間をボリボリと掻く。 ステテコが大きく盛り上がっている。

 

「お任せください! ユキさんの活躍に合わせて、こちらもセットを用意しました!」

 

 マナが指を鳴らす。 ボンッ! アジトの畳の上に、巨大な魔法陣が出現した。 そこから召喚されたのは、ユキの触手と同じ質感を持つ、ピンク色のスライム触手たちだった。 うねうねと蠢く無数の触手が、狭い居間を埋め尽くす。

 

「うわっ、なんだこりゃ。本物そっくりじゃねえか」

 

「『イソギンチャク・シミュレーター』です! さあイスズさん、メイさん! 負けてられませんよ!」

 

 マナの掛け声と共に、台所からエプロン姿の五十嵐イスズと、昼寝をしていたサキュバス怪人メイが現れた。

 

「まあ……。お家の中が水族館みたいですね」

 

「マスター。これ、ぬるぬる。きもちいい」

 

 二人は躊躇なく触手の海へと足を踏み入れた。 ぬちゃり。 粘液が足に絡みつく。 触手たちは意思を持ったように二人の着物に潜り込み、素肌を這い回る。

 

「ああんっ! こ、こら! そんなところに入って……!」

 

 イスズが崩れ落ちる。 触手が彼女の太ももを割り開き、秘所へと殺到する。 吸盤が吸い付き、粘液が潤滑油となって摩擦を高める。

 

「神主様ぁ……! 助けてください……! 食べられちゃいます……!」

 

 イスズが潤んだ瞳で改蔵に救いを求める。 だが、その表情は明らかに期待に満ちていた。

 

「助けるどころか、俺も混ざるぜ」

 

 改蔵はランニングシャツを脱ぎ捨て、触手の海へとダイブした。 ぬめぬめとした感触が全身を包む。 そして、彼自身もまた、一人の捕食者として女たちに襲いかかった。

 

「イスズ、こっち向け。口開けろ」

 

「は、はいぃ……んむっ!」

 

 改蔵はイスズに覆い被さり、深いキスをした。 同時に、マナが操る触手がイスズの胸を揉みしだき、メイが改蔵の足に絡みついて吸い付く。 画面の向こうの狂宴とリンクするように、アジトでも粘着質な乱交が始まった。

 

「んっ、んぐっ! 改蔵様の舌と……触手の動きが……一緒ですぅ!」

 

 イスズが喘ぐ。 ユキが男たちから精気を吸い取るように、改蔵たちは互いの快感を貪り合う。

 

「いいぞ。もっと粘れ。もっと絡みつけ」

 

 アジトの湿度は急上昇し、硝子戸が白く曇り始めた。 外の世界ではユキが暴れ回り、内の世界では改蔵たちが溺れる。 二つの宴は、終わりの見えない絶頂へと向かっていた。

 

 ***

 

 テレビ局のスタジオ。 ユキの支配領域は、フロア全体に広がっていた。 数十人の男たちが繭のように触手に巻かれ、床に転がっている。 彼らは皆、精気を吸い取られて意識を失っていた。

 

「あぁ……。満ちていく。力が、快感が、私の中で渦巻いてる」

 

 ユキは恍惚の表情で自身を抱きしめた。 その時、スタジオの天井ガラスが割れ、五色の影が飛び込んできた。 正義戦隊ジャスティンジャーだ。

 

「そこまでだ! 悪の怪人め!」

 

 リーダーのジャスティンレッドが叫ぶ。 彼らは触手の隙間に着地し、武器を構えた。

 

「放送をジャックして、あんな破廉恥な映像を流すなんて! 子供も見ている時間だぞ!」

 

「あら。正義の味方さんたち。……貴方たちも、私の虜になりに来たの?」

 

 ユキは舌なめずりをした。 特に、レッド、ブルー、グリーンの男性陣に向ける視線は、極めて卑猥だった。 彼女の触手がうねり、一斉に襲いかかる。

 

「くっ! 斬り払え!」

 

 レッドが剣を振るう。 だが、触手は軟体動物のように剣撃を受け流し、逆に剣に絡みついた。

 

「無駄よ。硬いだけの棒なんて、私には通じないわ。もっと優しくして?」

 

「なっ!?」

 

「捕まえた」

 

 シュルルッ! レッド、ブルー、グリーンの三人が同時に捕獲された。 触手が彼らのスーツに吸い付き、強力な吸引を開始する。

 

「うわぁぁぁ! 力が……抜ける……!」

 

「ダメだ……! 身体が……熱い……!」

 

 ユキの放つフェロモンと、直接的な精気吸収。 男性ヒーローたちは、抗う術を持たなかった。 生物としての根本的な弱点を突かれ、戦意を骨抜きにされていく。

 

「ふふ。いい声で鳴くじゃない。もっと吸ってあげる」

 

 ユキは三人を吊り上げ、弄ぶように触手を這わせた。 彼らの目は虚ろになり、口元からは涎が垂れている。 完敗だ。 男という生物である以上、彼女の前では無力だった。

 

「レッド! ブルー! グリーン!」

 

 残されたジャスティンイエローとジャスティンホワイトが叫ぶ。 彼女たちは女性だ。 ユキの対男性用フェロモン攻撃が効かない。

 

「許さない……! よくも仲間を!」

 

 ホワイトが拳を構え、イエローがハンマーを振り上げる。

 

「あら。女もいたのね。……可愛くないわね」

 

 ユキの表情が曇った。 彼女は女に対しては冷淡だった。 自分より目立つ女、自分に楯突く女は、ただの敵だ。

 

「消えなさい!」

 

 ユキが触手を叩きつける。 だが、ホワイトはその軌道を読み切り、華麗に回避した。

 

「効かないわ! 貴女の攻撃は、男を捕まえるためのもの。私たちには通じない!」

 

「イエロー、今よ!」

 

「はいっ! ジャスティン・ハンマー!」

 

 ドガァッ! イエローのハンマーが、ユキのわき腹に直撃する。 物理的な衝撃。 男相手なら通用した「受け流し」も、本気で殺しに来る同性の攻撃には耐えきれなかった。

 

「ぐっ……! 痛い……!」

 

 ユキが吹き飛ぶ。 捕らえていた男性陣が解放され、床に落ちる。 だが、彼らはピクリとも動かない。 完全に骨抜きにされている。

 

「しっかりしてよ男子! 起きて!」

 

 ホワイトが叫ぶが、レッドたちは夢見心地で寝息を立てている。 戦力半減。 いや、ユキの触手は再生し、数を増して二人を取り囲む。

 

「くそっ……! 私たちだけでやるしかないわ!」

 

 イエローとホワイトが再びユキに迫る。 だが、ユキの物量は圧倒的だった。 無数の触手が壁となって二人を阻む。

 

「いや……! 数が多すぎる……!」

 

 ホワイトが触手に足を絡め取られる。 イエローもハンマーを弾き飛ばされた。 じりじりと追い詰められていく女性ヒーローたち。 このままでは、彼女たちも捕らえられてしまう。

 

 その時だった。

 

 ザシュッ! 

 

 鋭い風切り音と共に、ホワイトを拘束していた触手が切断された。

 

「え?」

 

 スタジオの入り口に、一人の影が立っていた。 凛とした立ち姿。 手には白銀に輝く長剣。 かつては魔法少女として名を馳せ、今は剣の道に生きる孤高の戦士。 聖剣姫(せいけんき)キリハである。

 

「……見苦しいな、ジャスティンジャー」

 

 キリハは冷たく言い放つと、一足飛びに間合いを詰めた。 その動きは風のように速く、迷いがない。

 

「キリハさん!?」

 

 イエローが声を上げる。 キリハは答えない。 ただ、その切っ先を怪人に向けた。

 

「貴様か。街に淫らな空気を撒き散らしているのは」

 

「なによアンタ……! 邪魔しないで!」

 

 ユキが触手を殺到させる。 だが、キリハは表情一つ変えずに剣を振るった。

 

「遅い」

 

 閃光。 一度の剣閃で、迫り来る触手が全て切り落とされた。 魔法を忘れたとはいえ、その剣技は達人の域に達している。 いや、魔力を剣に乗せる『魔法剣』の威力は、物理攻撃の比ではない。

 

「ぎゃあああああ!」

 

 ユキが絶叫する。 再生が追いつかないほどの速さで、身体を刻まれていく。

 

「な、なんなのよこいつ……! 強すぎる……!」

 

 ユキはその場に膝をついた。 もう限界だ。 せっかく手に入れた力も、あの甘い時間も、ここで終わってしまうのか。

 

(嫌……。まだ、足りない。もっと……愛されたいのに)

 

 キリハがトドメの一撃を振りかぶる。 ユキが絶望に目を閉じた、その時だった。

 

 ドォォォォン! 

 

 スタジオの床下から爆発が起きた。 黒い煙と共に、無数の影が湧き出してくる。 黒いタイツに身を包んだ集団。 悪の組織の戦闘員たちだ。

 

「イ──ーッ!」

 

「イ──ーッ!」

 

 戦闘員たちがキリハとユキの間に割って入り、人海戦術で壁を作る。

 

「何!? 増援!?」

 

 キリハが舌打ちをして距離を取る。 煙の向こうから、冷静な声が響いた。 ホログラム通信機を持った指揮官クラスの戦闘員だ。

 

『回収班、到着。対象、イソギンチャク怪人を保護せよ』

 

「え……? 助けてくれるの?」

 

 ユキが顔を上げる。 戦闘員たちが彼女を囲み、守るように陣形を組んだ。

 

『本部より通達。その個体は、対男性ヒーロー兵器として極めて有用であると判断された。また、組織内の士気向上のための「福利厚生」要員としての適性がSランクと認定された。絶対に持ち帰れ』

 

「福利厚生……?」

 

『そうだ。君の活躍の場はここだけではない。日本支部には、君の慰めを待っている男たちが山ほどいる。戦闘だけではない、夜の戦いこそが君の戦場だ』

 

 戦闘員が手を差し出す。

 

『来るか?』

 

 ユキはその言葉に、ゾクリとするような興奮を覚えた。 山ほどの男たち。 全員が、私を求めている。 それは、テレビ局のスタジオよりも遥かに広大で、魅力的なステージに思えた。

 

「……ええ。行くわ。私を必要としてくれるなら、どこへでも」

 

 ユキは戦闘員の手を取った。

 

「イ──ーッ! 撤収!」

 

 戦闘員たちが煙幕を張り、ユキを抱えて撤退を開始する。 屋上で待機していた輸送ヘリへと向かう。

 

「待て! 逃すか!」

 

 キリハが追おうとするが、爆煙と、次々と特攻してくる戦闘員たちに阻まれる。 その間に、ユキたちを乗せた輸送ヘリが夜空へと消えていった。

 

「……チッ。逃げられたか」

 

 キリハは剣を納めた。 彼女は倒れているジャスティンジャーの男性陣を冷ややかな目で見下ろした。

 

「鍛え直せ。見苦しい」

 

 それだけ言い残し、彼女は風のように去っていった。 残されたのは、骨抜きにされた男たちと、状況についていけず呆然とするイエローとホワイトだけだった。

 

 ***

 

 数分後。 アジトのモニターを見ていた改蔵の元に、サイトウからの通信が入った。

 

『……黒野君。作戦は成功だ。イソギンチャク怪人は無事回収した』

 

「おう。キリハまで出てきて冷や汗かいたが、なんとかなったな」

 

 改蔵はマナの身体から身体を離し、タオルで汗を拭った。

 

『彼女はそのまま組織の日本支部基地へ移送し、治療を行う。その後は……「特別慰安部隊」の隊長として、日本支部の精鋭たちへの「ご褒美(ヌキ)」担当になってもらう予定だ』

 

「ご褒美担当か。あいつにぴったりの役職だな」

 

 改蔵は笑った。 あの貪欲な女優なら、組織中の男を骨抜きにしてしまうかもしれない。 彼女のテクニックで抜いてもらうために、戦闘員たちが死に物狂いで成果を上げる姿が目に浮かぶようだ。

 

『もちろん、君へのサービスも最優先で行わせる。彼女自身、「監督には特別濃厚なやつを」と希望しているからな』

 

「そいつは楽しみだ。いつでも呼んでくれ」

 

 通信が切れる。 改蔵は、満足げに伸びをした。 アジトの住人は増えなかったが、いつでも呼べる強力な「外注スタッフ」が手に入った。 これでまた、悪の組織の福利厚生は充実するだろう。

 

「さて。俺たちも仕上げといくか」

 

 改蔵はヌルヌルになった床を見渡し、そして、まだ火照ったままの女たちを見た。

 

「掃除の前に、もう一回戦だ。お前らも『ご褒美』が欲しいだろ?」

 

「はいっ! 欲しいです!」

 

「マスター。わたしも」

 

 アジトの夜はまだ終わらない。 テレビの向こうの祭りは終わったが、ここの祭りは日常だ。 改蔵は女たちを引き連れて、風呂場へと向かった。 湯気の中で交わされる肌と肌の触れ合いは、どんな高画質の映像よりも鮮明に、彼らの記憶に刻まれていくのだった。

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