「オホホホホ! オッホホホホホホ!」
埃っぽい土蔵に、水玉リン(みずたま りん)……いや、『ドリル怪人』と化した彼女の、甲高い高笑いが響き渡っていた。 その姿は、もはや昨日までの令嬢のそれではない。 全身を、気品すら感じさせる流線型の鋼鉄の装甲が覆い、頭部と両腕には、岩盤すら容易く粉砕しそうな巨大なドリルが鎮座している。 彼女は、自らの新たな力を確かめるかのように、腕のドリルを高速で回転させた。
ギュルルルルルン!
耳障りな金属音。 彼女は、その回転するドリルを、蔵の分厚い土壁に、なんのためらいもなく突き立てた。
ズガガガガガガガ!
凄まじい轟音と振動。 土埃が舞い上がり、蔵全体が揺れる。 ものの数秒で、厚さ一メートルはあろうかという壁に、完璧な円形の穴が穿たれた。 穴の向こうには、長閑な田舎の青空が見えている。
「素晴らしいわ! なんて、なんて素晴らしい力!」
ドリル怪人は、自らが開けた穴を見下ろし、恍惚とした表情で身を震わせた。 あの退屈な屋敷の、分厚い壁。 自分を閉じ込めていた、あの忌々しい『常識』。 そのすべてを、今の自分なら粉々にできる。 その確信が、彼女を最高にハイにさせていた。
「おいおい。アジト壊すなよ」
居間の縁側から、
「いえ、改蔵様。素晴らしいポテンシャルです! あの『水玉リン』の鬱屈した破壊願望が、魔力と完璧に融合し、純粋な『破壊兵器』として昇華されています!」 「オホホホ! 聞こえたかしら、下民!」
ドリル怪人が、蔵からゆっくりと姿を現す。 鋼鉄の身体が、日の光を浴びて鈍く輝いた。
「アンタが、この私に力を与えた『最初の下僕』よ。光栄に思いなさい。この力で、私はこの退屈な世界を、すべて粉々にしてあげるわ!」 「はいはい。その前に、仕事だ」
改蔵がそう言った、まさにその時だった。 ビーッ! ビーッ! マナの懐の魔術スマートフォンが、けたたましいアラートを鳴らした。 画面には、あの胃痛持ちの幹部、サイトウの顔が映し出されている。
『あ、マナ君! ちょうどよかった!』 「はいっ! サポート担当マナ、待機しておりました!」 『例の、新しい怪人、完成したと聞いたが!』 「はい! たった今、最終調整が完了しました! 『ドリル怪人』、いつでも出撃可能です!」
マナがビシッと敬礼する。 その隣で、ドリル怪人が「フン」と鼻を鳴らした。
『そうか、助かる! 実は今、我が軍団の戦闘員部隊が、オオテマチの金融街でジャスティンジャーと交戦中なんだが、押されていてね! 首領が、新戦力の『顔見せ』も兼ねて、派手に増援してやれ、と!』 「金融街……ですって?」
ドリル怪人の鋼鉄の仮面の奥で、翠色の瞳がギラリと光った。 オオテマチ。 父親が、水玉財閥のライバル企業と、退屈な会議を繰り返している場所。 自分を縛り付けていた、古い秩序の象徴。
「オホホホホ! いいわ! 面白いじゃない!」
ドリル怪人が、サイトウのホログラムに割り込んだ。
「その『じゃすてぃんじゃー』とかいう連中ごと、退屈なビルを、全部『お掃除』してあげるわ!」 『お、おお……なんとも、やる気に満ちた新人だね……』
サイトウは、そのあまりの威圧感に、少し引き気味だ。
「では、ドリル怪人さん! 転送します!」
マナが魔術スマホを操作する。 ドリル怪人の足元に、禍々しい紫色の転移魔法陣が浮かび上がった。
「見てなさい、下民! この私の、華麗なるデビュー戦をね! オッホホホホホホ!」
高笑いを残し、鋼鉄の怪人の姿が、光と共にアジトから消え去った。
「……すげえうるさい奴だったな」 「いえ! あれこそが、高ポテンシャルの証です! さあ、改蔵様、私たちも『観戦』の準備を!」
マナが、居間の中央に魔術モニターを展開させた。 空間に、オオテマチ金融街の、上空からの映像が映し出される。
***
東京、オオテマチ。 ガラスと鋼鉄でできた摩天楼が、権力の象徴のようにそびえ立つ。 その一角で、すでに戦闘は始まっていた。
「うわあああっ!」
悪の組織の
「くそっ! しぶとい!」 「レッド! そっちはどうだ!」 「こっちも片付いた! まったく、今日の怪人はどこだ!」
ジャスティンレッドが、悪の組織の四天王の一人、ミミガー(オークにしか見えない)を相手に、一進一退の攻防を繰り広げていた。
「ガハハ! 正義の味方ごっこも、今日までだ!」 「ぬかせ!」
戦局が、わずかに正義側に傾きかけた、その時だった。 ミミガーとレッドの間に、紫の雷光と共に、それが転移してきた。
「「なっ!?」」
土煙が晴れ、そこに立つ、鋼鉄の威容。
「……オホホホホ」 「な、なんだ、あの怪人!?」
ジャスティンレッドが、警戒して距離を取る。 ミミガーが、ニヤリと笑った。
「フン。ようやく来たか、新人め」 「お黙りなさい、この豚」 「ブ、ブタじゃねえ! ミミガーだ!」
ドリル怪人は、ミミガーの抗議など意にも介さず、周囲の摩天楼を見上げた。
「……ああ、なんて退屈な景色。私の父が、愛してやまなかった『秩序』の墓場」
彼女は、両腕のドリルを、ゆっくりと構えた。
「まずは、あの忌々しい『東亜中央銀行』のビルから、更地にしてあげるわ!」 「なっ! あそこには、まだ避難できていない市民が!」
ジャスティンブルーが叫ぶ。 だが、ドリル怪人は、その言葉を嘲笑った。
「だから、いいんじゃない」
ギュルルルルルン!
凄まじいモーター音と共に、ドリル怪人が、地中を掘削するかのごとく、ビルに向かって突進した。
「させんっ!」
ジャスティンレッドが、必殺のジャスティンソードで迎え撃つ。 キイイイイイン! 甲高い金属音。 ジャスティンソードの刃が、ドリル怪人の鋼鉄の装甲に、あっさりと弾かれた。
「なっ! 硬い!?」 「オホホホ! そんな玩具で、この私に傷がつくと思った?」
ドリル怪人は、回転する腕のドリルで、レッドを容赦なく弾き飛ばした。
「ぐわあああっ!」
レッドの身体が、ビルの壁に叩きつけられる。 その隙に、ドリル怪人は、銀行の壁にドリルを突き立てた。
ズガガガガガガガガ!
強化コンクリートの壁が、豆腐のように崩れていく。 金融街に、市民の悲鳴が響き渡った。
***
「うおお! やるじゃん、あいつ!」
悪の組織のアジト。 魔術モニターに映し出される、圧倒的な破壊。 改蔵は、畳に胡坐をかき、興奮したようにせんべいをかじっていた。
「はいっ! さすが、高ポテンシャルの素材です! あのジャスティンレッドを、初見で弾き返しました!」
マナも、自分の手柄のように、小さな胸を張っている。
「いやあ、いいねえ。ああいう、プライド高そうな女が、力任せに暴れてる姿。最高にエロい」 「か、改蔵様! 不謹慎です! あれは、組織の戦力であって……!」 「まあ、そう言うなって」
改蔵は、せんべいの最後の一口を放り込むと、マナの小さな肩に、そっと手を置いた。
「ひゃっ!?」 「あれだけ派手に魔力を使ってるんだ。こっちの『大元』も、しっかり『安定』させとかねえと、ガス欠になるだろ」
その手が、マナのレオタ──ドの襟元から、するりと滑り込んでいく。
「な、な、何を……! 今は、ドリル怪人さんの、大事なデビュー戦を、観戦中で……!」 「観戦しながら、やるんだよ」
改蔵は、有無を言わさず、マナの小さな身体を抱き寄せ、自分の膝の上に乗せた。 そして、モニターから目を離さないまま、自分のスウェットの紐を解いていく。
「改蔵様の、おっしゃる通り、かもしれません……」
マナの瞳が、早くも、とろりと潤み始めた。 彼女の小さな手が、改蔵の股間に鎮座する『力』の源に、おずおずと触れる。
「あ、あんなに、激しく『出力』されているのですから……『入力』も、しっかり行わないと、契約の、安定が……」 「だろ? さすが、首席才媛。話が分かる」
改蔵は、マナのレオタードの股間部分をずらし、膝の上に乗せたまま、自らの巨根を、ゆっくりと受け入れさせた。
「ひぅうんっ!」
マナの背中が、小さく跳ねる。 だが、二人の視線は、モニターに映る激戦に、釘付けのままだった。
***
「くそっ! なんてパワーだ!」
ジャスティンブルーとグリーンが、ビームライフルを連射する。 だが、鋼鉄の装甲が、すべての光弾を弾き返す。
「オホホホ! 無駄よ、無駄! この私には、そんな豆鉄砲!」
ドリル怪人は、今や、戦闘そっちのけで、ビルというビルを片っ端から破壊し始めていた。 金融街は、文字通り、瓦礫の山と化していく。
「いけいけー! ドリルちゃーん!」
アジト。 改蔵が、マナの小さな尻を叩きながら、声援を送る。 マナは、改蔵の膝の上で、前後に激しく腰を揺さぶられながら、喘ぎ声を上げていた。
「あ、あんっ! すごい、です! ビルが、まるで、積み木のよう、に……! ああっ!」 「ミミガーの奴、完全にドン引きしてやがるぞ。ハハハ!」
モニターの隅では、ミミガーが「あいつ、やべえ……」と呟きながら、戦闘員たちに瓦礫の撤去を指示している。完全に戦闘から離脱していた。
「このままでは、街が!」
ジャスティンレッドが、仲間たちに叫んだ。
「もう、あれしかない! ジャスティンジャー・ストームキャノンだ!」 「「「「ロジャー!」」」」
五色の戦士たちが、一箇所に集結する。 それぞれの武器を合体させ、巨大なバズーカ砲を形成し始めた。
「おっと」
アジト。 改蔵の腰の動きが、一瞬止まった。
「あ、あれは! ジャスティンジャーの、必殺武器です!」
マナが、焦ったように声を上げる。 改蔵は、ニヤリと笑った。
「へえ。面白くなってきたじゃねえか」
改蔵は、マナの体勢を反転させ、畳の上に押し倒した。
「ひゃあっ!?」 「クライマックスには、こっちも『全力』で応えねえとな!」
改蔵の腰使いが、突如として、嵐のような激しさに変わった。
「あ、あ、あああんっ! か、改蔵様! は、激しい! 激しすぎ、ますぅ!」 「オラオラ! フィナーレだ!」
モニターの中。 ストームキャノンが、眩い虹色のエネルギーをチャージし始めた。
「チャージ! 百パーセント!」 「ターゲット、ドリル怪人!」
ドリル怪人が、ようやくその動きを止め、バズーカ砲を睨みつけた。
「オホホホ! 面白い余興ね! やれるものなら、やってみなさい!」 「いくぞ! ジャスティンジャー・ストーム……」
「あ、あ、あああっ! ドリルさんが、危ない! あ、だめ、私も、イク、イっちゃいますぅ!」
「ファイヤアアアアアア!」
虹色の極太ビームが、空気を焼きながら、ドリル怪人に直撃した。
「オホ……!」
鋼鉄の装甲が、凄まじいエネルギーに耐えきれず、融解していく。
「ギ……ギャアアアアアアアアアアアアアア!」
金融街に、ドリル怪人の断末魔の叫びが響き渡った。 大爆発。 白い光が、モニターのすべてを覆い尽くした。
「あぁ! 負けちゃったあああああ!」
マナが、絶叫した。
「……ッ、イグウウウウウウウウウウッ!」
改蔵の絶倫な
***
畳の上には、静寂が戻った。 改蔵は、満足げに一息つき、マナは、完全に燃え尽きたように、白目を剥いてぐったりと伸びていた。 「……はふぅ。今日も、完璧な、『安定』、でした……」
モニターの光が、現実の映像に戻る。 爆炎が晴れた、瓦礫の中心。 そこには、気を失い、裸で倒れている一人の少女、水玉リンの姿があった。 あれほど見事だった金髪のドリルは、見る影もなく解け、ただの美しい金髪が、瓦礫の上に散らっている。
「やったぞ! 怪人を倒した!」
ジャスティンジャーたちが、勝利のポーズを決めている。
「しかし、ひどい破壊だ……」 「また、攫われた市民か。悪の組織め、許せん!」 「レッド! 急いで彼女を保護し、研究所へ!」
ヒーローたちが、毛布を持って、リンに駆け寄っていく。
「……ふう」
アジト。 改蔵は、起き上がり、棚から湯呑みを取り出した。
「ま、派手にデビューできたんだ。首領も満足だろ」 「は、はい……データも、ばっちり、です……」
マナは、まだ指一本動かせないようだった。 改蔵は、ヤカンに残っていた、ぬるい茶をすすった。 そして、うつ伏せで痙攣しているマナの、小さな尻を、軽くポンと叩いた。
「おい。いつまで寝てんだ。次の『素材』、探しに行くぞ」 「……ひゃん!」
マナの小さな身体が、ビクリと跳ねた。 黒幕の、エロエロスローライフは、まだまだ終わらない。