※この作品はR-18です。

性処理係が導入されたのに、誰も使ってないらしい。〜しかたないのでクラスの女子はみんな俺が孕ませます。〜   作:ユリイカ

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新連載です。
よろしくお願いします。


第1話「法律が制定されました」

「本日より次世代青少年健全育成推進法が施行されます。この法律は昨今の著しい少子高齢化を鑑み、政府主導のもと――」

 

 いつものように朝飯を食いながらテレビを流し見していると、アナウンサーの声が耳に飛び込んできた。

 

「次世代青少年……なんて?」

 

 長ったらしい法律は一度聞いた程度では覚えられない。でも、画面に出てきた説明を見たら、全国の高校になんとか委員会が設置されて云々、という話らしい。高校二年生の俺にも関係のあることだろうか、と首を傾げると母さんが呆れた顔をしていた。

 

「随分前に公布されて、ずっと話題になってたでしょ。アンタも当事者なんだから、それくらい知ってないと恥ずかしいわよ」

「へへへ。で、どういう法律なの?」

 

 母さんは深いため息を吐いたあと、仕方なさそうに教えてくれる。

 

「少子高齢化が随分進んで、そろそろ子供を産める年齢の人口も危機的な状況になってるの。このままじゃ日本消滅ってこともありえるから、各学校に委員会を置くことになったのよ。その委員会に入った女の子とは、誰でもいつでもセックスできるの」

「へー。いつでも誰でもねぇ」

 

 それはすごい。うちのクラスはみんな可愛い子ばかりだからな。誰とセックスできるとしても嬉しい。

 少子高齢化の進行はずっと前から言われていたけど、最近はさらに深刻な事態になってきている。おかげで学校でも性教育の講習が学期ごとに開かれているし、高校生になったらセックスしても合法になった。それでも在学中に妊娠する子はほとんどいないし、周りの男子もほとんど興味なさそうだ。

 

「アンタのクラスでも委員は決めてるはずよ?」

 

 どうせ話を聞いてなかったんでしょう、と母さんが鋭いことを言う。誇れることでもないが、俺は授業のほとんどを聞き流している。聞き流すことにかけては他の追随を許さないという自信がある。

 おかげで定期試験なんかは母さんに見せることもできないが、俺はクラスの女子たちを眺めることに忙しいのだ。なにせ皆とても可愛い。しかしそうか、今日からはそのうちの誰かとセックスできるのか。

 考えただけでワクワクしてくるし、股間がムクムクしてきた。

 

「ほら、さっさと学校行きなさい。ついでに誰か妊娠させてくれたら、ウチもちょっとは楽になるんだけど」

「はーい。行ってきます!」

 

 食べかけの食パンを口に突っ込み、牛乳で流し込む。

 結局法律の正式名称は分からなかったけど、一つ理解できたことがある。――性処理係が導入されたのだ!

 

━━━━━

 

「えー、というわけで今朝のニュースを見た奴もいるだろうが、今日から次世代青少年健全育成推進法が施行された。この学校にも青少年純粋異性交遊推進委員会が設立されて、各クラスから委員が選出されている。男子諸君はいつでも自由にセックスしてもらって構わないからな」

「……はーい」

 

 朝のホームルーム。桂木高校2年1組の担任、体育教師の牛丘はるみ先生は、今日も赤ジャージがパツパツになる立派な爆乳をゆっさゆさと揺らしながら、気怠げに話していた。いくつかの連絡事項の後、主題となったのはやっぱり性処理係の件だった。やっぱり、母さんの言っていたとおり、今日からはいつでも誰でもセックスできる女子がいるらしい。

 一人浮き足立つ俺だったけど、なぜか牛丘先生への返事は素っ気ない。というか、男子たちはあんまり乗り気じゃないようだ。なんでだよ、このクラスの女子とセックスできるんだぞ!

 

「あの、先生。これってセックスが義務だったりは……」

 

 おずおずと手を挙げたのは、なんか頭がいい眼鏡の奴だ。どこか怯えたような顔で、確かめるように尋ねている。牛丘先生は一瞬眉を寄せた後、苦笑しながら首を横に振った。

 

「安心しろ。別に義務付けているわけじゃない。やりたくなかったら、やらなくていい」

「ほ、本当ですか! ……よかったぁ」

「ええええええっ!?」

 

 心底安心したように胸を撫で下ろして椅子に座り込む眼鏡君を見て、思わず立ち上がる。ついでに大声も出てしまって、クラス中から視線を集めてしまった。

 

「なんだ、近藤。――いや、そういう法律ができたこと自体も男にとっては嫌かもしれんが、これも国のやることだからな」

 

 牛丘先生は何か勘違いした様子で宥め始める。けど、俺が驚いたのはそこじゃない。

 もしかして……このクラスの男たちはみんな、この法律を歓迎してないのか? クラスの女子と自由にセックスできる夢のような制度だっていうのに! たしかに少子高齢化に伴って男の積極性も低下したって話は、どっかで聞いたこともあるけど。そこまでみんな、セックスに興味がないなんて。

 

「先生! このクラスのなんとか委員っていうのは誰なんですか?」

「青少年純粋異性交遊推進委員な。まあ()()()()でもいいが。このクラスの担当は、この前のホームルームで決めただろ?」

 

 牛丘先生からも聞いてなかったのかと視線で詰められる。乾笑いで頬を掻くと、先生はおもむろに教室の一角を顎で示した。

 

「宮木。とりあえず挨拶はしとくか」

「は、はいっ!」

 

 ガタガタと立ち上がったのは、黒い長髪を三つ編みにして、丸い眼鏡をかけた女の子。牛丘先生ほどじゃないけど、このクラスでは上位レベルの巨乳だ。ついでに委員長もやっていた気がする。

 役職とかあんまり興味なくて、そのムチムチマシュマロボディにしか目がいかないんだが。

 

「今日から青交委員を務めます。えと、宮木叶恵です! よろしくお願いしますっ!」

 

 宮木叶恵ちゃん。ちょっとふっくらしているスタイルもモチモチしてて可愛いんだよな。委員長も真面目で押しに弱い性格で押し付けられていたような気もするけど、青交委員も同じなんだろう。

 

「青交委員とのセックスはクラスメイト以外でも誰でもできるが、できるだけ一対一で行うように。誰が妊娠させたか分からなくなると面倒だからな。まあ、遺伝子鑑定でどうにかなるけど。……あと、いつでもどこでもできるとも言ってるが、放課後は青交委員が保健室で待機することになっている。それを利用すると授業が楽になるからよろしく頼む」

 

 必要な説明事項だったのか、先生は手元の用紙に目を落としながら早口で捲し立てる。その後は特に他の話題もなく、先生はさっさと廊下へ出てしまった。

 

「うわぁ、ほんとに青交委員始まったね」

「これで妊娠したらお金貰えるんでしょ?」

「でもこれで誰も来なかったらショックすぎるよね」

 

 先生がいなくなった途端、クラス中があちこちで話し始める。やっぱり話題は青交委員のことだ。全体の会話を聞き流してみたところ、どうやら女子は案外友好的に受け止めているらしい。それじゃあなぜ委員長の宮木に押し付けられたのかというと、単純に新しい制度だから誰かに先陣を切って欲しいという思惑からのようだった。

 そもそも、青交委員で妊娠したら次の委員が選ばれる仕組みになっている、らしい。

 

「うわぁ、ほんとに青交委員始まったよ……」

「いくら金貰えるって言ってもなぁ」

「いきなりせ、セックスって……」

「まあ宮木は可愛いと思うけど」

 

 さらに聞き耳を立ててみる。驚いたことに、本当に男たちは青交委員に興味を持っていないらしい。義務じゃなくて本当に良かったなどという声もあちこちで聞こえる。

 マジかよ。あの宮木といつでもセックスできるのに!?

 もちもち巨乳の委員長。ちょっと運動神経は悪いけど、頭も良くて何より可愛い。あんな子とセックスできるなら、いくらでもしたい。今すぐしたい!

 俺の頭の中はもうそれだけになってしまった。

 

「ほら、席につきなさい。授業始めますよ」

 

 一時間目の授業が始まって、終わって。昼休みになって、午後の授業が始まって、終わって。気が付けば放課後。時間があっという間に飛んでしまうくらい、頭の中では宮木とセックスする妄想ばっかりだ。

 

「おーい、リョウタ。大丈夫か?」

「おおっ? ごめん、ぼーっとしてた」

 

 結局、隣の席の男子に声を掛けられるまで、俺は妄想に耽っていた。ふと時計を見れば、午後六時。放課後も放課後だった。

 

「お前もショックだよな。まあ義務じゃないらしいし、気にしなくていいよ」

 

 そう言って、隣の席の男子は教室を出ていく。あいつは何を言ってるんだ? そんなことを考えている場合じゃない。もう時間がない。下校時間は六時半。――あと三十分しかない!

 急いで鞄を掴んで教室を飛び出す。階段を転がるように降りて、何度か角を曲がって。職員室の向こう。少しだけ隙間が空いている扉に手をかける。

 

「宮木ッ! セックスしよう!」

 

 ガラリと保健室の扉を勢いよく開ける。

 夕暮れの日差しが差し込む室内は閑散としていて寂しげだ。いくつかベッドが並んでいる前に、制服姿の女の子が一人所在なさげに立っていた。彼女は驚いた顔で振り返り――。

 

「こ、近藤くん。ほんとに来てくれたの……!?」

 

 眼鏡越しの目を大きく開いて、膝から崩れ落ちた。

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