性処理係が導入されたのに、誰も使ってないらしい。〜しかたないのでクラスの女子はみんな俺が孕ませます。〜 作:ユリイカ
牛丘はるみ。35歳、独身。担当教科、保健体育。
ジャージのファスナーが閉まらないほど立派な爆乳をゆさゆさと揺らしながら歩く彼女は、内心で高揚していた。
先日、文科省肝入りの施策として導入された次世代青少年健全育成推進法。これに伴って全国の高校に導入された青少年純粋異性交遊推進委員会の顧問は、半ば無理やり押し付けられたものだ。結婚可能年齢や性行為推奨年齢の引き下げが段階的に行われながらも少子化が危機的状況にまで迫ってくる現代だからこそ編み出された委員会ではあるが、この程度のもので子作りが促進されるとは誰も考えていなかった。
許可されたところで、肝心の男子生徒に積極性が皆無なのだから。
少子化の進行と歩みを共にするように、全世界的に女性の性に対する積極性は上がっていった。しかし、逆に男性は性的なものを忌避し、愛する者との行為さえも控えるようになっていった。
男性の草食化こそが少子化の根本的な原因であるというのに、学校で性行為を奨励したところで、意味があろうはずがない。
しかしお国の組織が大々的に打ち出したキャンペーンは、粛々と進めざるを得ない。誰もその責任など、取りたくないのだ。おかげで保健体育で性教育も教えているから、という理由だけではるみは委員会顧問に任命されてしまった。
誰も性行為などなせないまま、制度だけが形骸化することなど、誰の目にも明らかだったのに。
「まさか、近藤があそこまでの逸材だったとはなぁ」
廊下を歩き、出席簿で肩を叩きながらはるみは口角をあげる。
以前までの近藤リョウタは、少し落ち着きがないもののごく普通の男子生徒という印象だった。休み時間のたびにトイレに飛び込む姿は目立っていたが、体質をとやかく言うわけにもいかない。ただ、女子生徒とも分け隔てなく接する友好的な性格は、周囲の教師たちからも好感を持たれていた。言ってしまえばそれだけだ。
しかし青交委員が擁立されたその日に彼は委員長、宮木叶恵とのセックスをした。他の学年、クラスの青交委員たちが失意のなか帰宅するなか、律儀に保健室で待ち続けていた叶恵と、激しく交わったのだ。そのさいの映像は、しっかりと撮れている。
その日だけでなく、彼は毎日のように、授業の合間に叶恵をトイレに連れ込んで、外まで大きく響きわたるような嬌声をあげさせた。彼女が妊娠するのも、当然のことだ。
宮木叶恵の妊娠は、全国でも最初の青交委員活動の成功例として、教師間では電撃的に広まった。顧問であり、彼らの担任でもある牛丘はるみには、当然称賛が送られた。
さらに、その後も近藤は急遽用意された新たな青交委員、小梨莉菜をも孕ませ、今は復帰した宮木と共に加賀光希に種付けをしている。3人目と4人目の懐妊が報告されるのも、時間の問題だろう。
責任を押し付けこれ幸いと笑っていた同僚たちの鼻白んだ姿が目に浮かぶ。
「しかし、他の男子たちにも頑張ってもらいたいものだが……」
近藤リョウタの絶倫ぷりは驚嘆に値する。
だが、華々しい成功を経験したはるみは、更なる欲望が湧き上がってくる。近藤の恥じらいのない積極性に誘発され、他の男子生徒たちも自発的にセックスをし始めてくれれば、より良いのだが。
いかんせん近藤以外の男子生徒はやはり積極性に欠ける。促進案として行なった特別健診も、近藤以外の生徒は全く参加していない。なんとも寂しい限りである。
「やあ、牛丘先生。何やら悩んでいるようですね」
職員室のドアに手をかけたところ、背後から声がかけられる。意識を他に割いていたはるみが驚いて振り返り、遠心力で爆乳をばるんと揺らすと、そこにすらりとした長身の女性が立っていた。
シックなスーツを見事に着こなす美女で、意志の読めない細目が妖艶だ。狐のような怪しさを醸す美女は、真っ赤な唇を緩やかな弧に曲げて、はるみに微笑みかけていた。
「細波校長……。いや、少し考え事をしていただけですよ」
桂木高校、校長。美女の名は細波しおりと言った。
「分かりますよ。――やはり、近藤くんだけに負担を強いるのは不安でしょう」
彼女は一介の校長という立場に収まらず、文科省とのつながりも深い政治家気質もある女傑だ。即座にはるみの悩みを察して、自然と歩みよる。
「なに、心配には及びません。実は私にいい案があるのですが……」
「はぁ……」
いつにも増して怪しい笑みで、しおりは囁く。
「近藤くんと青交委員のセックスは素晴らしい。受精率も高く、何より予後も良好です。ぜひともこれをモデルケースに、他の男子生徒諸君にも積極的にセックスに励んでいただきたい。――というわけで、ここは記録を活用しませんか」
女狐の懐から、小さな記録カードが出てくる。
校内各所に取り付けられたカメラの映像記録が収められたものであり、そこには青交委員の活動を上に報告する際の資料となるものもある。
「……しかし、それは」
「これは国策なんですよ、牛丘先生」
生徒たちのプライバシーを気にする女教師に、彼女は囁く。
「そもそも、教室の真ん中で女子生徒たちに囲まれながらセックスに励んでいる彼が、これを断る可能性はないかと思いますが?」
「……」
ニヤリと笑う校長。反論のできないはるみは、深いため息が溢れそうになるのを我慢するのが精一杯だった。