先輩とたっぷりオーラルセックスをした後、図書室の鍵を返して一緒に歩く帰り道のこと。
「次にエッチなことができるのは里塚くんの誕生日か」
今月後半に先輩と当たっている当番はすべて人の多い第二図書室だ。先輩とイチャついたり、まして性的行為なんて到底できない。
「長いですね」
「長いよね。その間はオナニー動画で時間差相互オナニーするしかないか」
言い方……。時間差相互オナニーって何。いや、意味はわかるけど。
「そういえば、俺の誕生日、どうしましょうか」
「どうしましょうかって、先週言ってたじゃん。私の家で朝までぶっ通しでって。あ、あとほら、生でしたいからピ、ピル飲んでくれ……って」
「えっ……ああ、帰りに言葉責めしたときの?」
俺としてはその場を盛り上げるために言ったつもりだったが、先輩は本気にしてくれていたらしい。
「……忘れてたの?」
先輩がちょっとむっとする。
「というより、先輩が本気にしてくれるとは思ってませんでした。いくらなんでもちょっと無理がありすぎですからね」
「えー、私、けっこう楽しみにしてたのに」
「でも、まさか親御さんに『家に彼氏連れ込んで朝までセックスするから家空けてくれ』なんて言えないでしょう」
「そこはほら、娘としての信用がちゃんとあるから大丈夫だよ」
親御さんを説得できるとしても、先輩の都合で家を空けてほしいという話をするのだから、旅行費用は先輩が出すことになるのが自然だ。大人二人の一泊二日の旅行なんて最低でも数万円はかかる。いくら将来を約束したと言っても、高校生の彼氏に数万のプレゼントはふつう贈らないだろうし、さすがにそれは先輩に負担をかけすぎだと思う。
そういう話をすると。
「でもさ、未来の旦那さんとの初セックスだよ。絶対いい思い出になるような、最っっっ高に幸せな初セックスにしたいじゃない? そのためなら数万なんて大した額じゃないよ。むしろ張り込むべき場面だよ」
先輩の顔を見る。冗談で言ってるわけではなさそうだ。
思い返せば、先輩は高校生で初彼氏なのに、将来的に俺と結婚して同じ墓にも入ってくれるとまで言ってくれた人だ。三つ編みメガネの図書委員スタイルを見ると慎重そうな人に思えるが、先輩は意外と大胆というかギャンブラーというか、そういうところがある。
ともかく、先輩は俺との関係をそれくらい大事なものと考えてくれているというのは間違いない。それなら、俺はそれにきちんと応えることで報いたい。
「……わかりました。先輩がそこまで言ってくれるなら、俺も覚悟を決めます」
「んふふ。よかった、里塚くんが乗ってくれて。里塚くんの誕生日だし、私は年上の彼女だし、段取りは任せなさい!」
そう言って先輩は大きな胸を張った。
「……里塚くんの誕生日にはさ、死ぬほど気持ちいいセックスして、一生忘れられない日にしようね?」
「はい!」
先輩は本当に
その後、歩きながら俺と先輩は当日までのスケジュールを詰めた。
まず今日はこの後、寄り道して洋菓子屋で手土産を買い、先輩を家まで送ると同時に、先輩のお母さんに挨拶をするということにした。
「なんだかんだ言っても俺たちはまだ未成年ですし、家に泊めてもらう以上はちゃんとご挨拶しておくべきだと思います」
「里塚くんはそういうところ、なんていうか、
先輩のお母さんへの挨拶の席で、先輩から俺の誕生日の計画と、俺と過ごす夜に向けて避妊薬を飲みたいので協力してほしいという話について、先輩のお母さんに提案する。
避妊薬についても俺はその場を盛り上げるために言っただけのつもりだったが、先輩は本当に飲んでくれるらしかった。
「ちょっと調べてみたんだけど、薬局では売ってなくて、お医者さんから買うことになるみたいだね。保険は効かないけど、診察料別で1か月分2,3千円とかくらい」
それくらいなら俺の小遣いでも昼飯を抜けばどうにかなるな。
というか、セックスの回数によってはコンドームを買って避妊するより安いのではないか。後で計算してみよう。
「飲み始めて7日後から避妊効果があるみたいだから、すぐ飲み始めれば里塚くんの誕生日には余裕で間に合うね」
「お手数をおかけします」
「いえいえ。私もせっかくなら生でしたいし」
俺の誕生日の日、授業が終わったら先輩は早々に下校して俺を迎える準備をする。俺も一度帰宅し、着替えの準備や入浴・身繕いなどを済ませて先輩の家に向かう。
先輩の家に着く頃にはちょうど夕食時の見込みなので、先輩に手料理を振る舞ってもらい、誕生日ケーキを食べる。
その片付けが終わったら、いよいよ本番。先輩の部屋で朝までセックスをする。
翌朝は少なくとも正午まで親御さんには帰らずにいてもらうことを事前に約束しておき、二人で迎える初めての朝をだらだらと過ごす。二人でシャワーを浴び、朝食を摂り、昼近くになったらベッドシーツや先輩の下着などの洗い物を始め、先輩のお父さんにバレないように証拠隠滅を図る。そして正午までに俺は先輩の家を出る。
「完璧な計画だよ里塚くん! いやぁ~こんな初めて、幸せだろうなぁ~」
「なんかもう今から緊張してきました」
「前に里塚くんが言ったように、私は3日前からオナニーしてもイかないようにするから、里塚くんも3日前から射精禁止だからね。グラグラに煮立った性欲を当日私にぶつけるんだよ。私も完っ全に発情してるだろうし、セックス絶対気持ちいいよ!」
確かに我慢に我慢を重ねた欲望を先輩の中に注ぎ込むのは気持ちいいだろうな……。やばい、想像したらちょっと勃ってきてしまった。
先輩の家は学校から歩いて30分ほどのところにある。先輩のご家族については特に何も聞いていないが、家は普通の一戸建てだ。都市部に一戸建てを建てられる(見た感じまだ新しく、建ってから10年もたってなさそうだ)くらいには裕福なご家庭とも言える。
俺が洋菓子屋で手土産(もちろん先輩のお母さんの好みは先輩から聞いている)を買っている間に、先輩はお母さんに彼氏を連れていくと連絡を入れたという。つまり、先輩のお母さんは俺が来るということを知っている。ああ、大丈夫かな……。いきなり塩撒かれたりしないだろうか。
大事な人の親に挨拶するというのは、人生で何度もないくらいの山場だろう。平常心ではいられない。先輩と結婚するとなったら先輩のお母さんは俺の義理の母ということにもなるわけだし、なるべくいい第一印象にしたい。
いつもなら玄関ポーチの前で先輩と別れるが、今日は玄関ポーチを通って玄関の前まで先輩についていく。
先輩と性行為をするときほどではないが、緊張でバクバクと脈拍が激しくなっている。大きく深呼吸するが、緊張は解けない。
「せ、先輩。俺、変なところありませんよね? 寝癖立ってるとか変な臭いがするとか」
「んふふ、大丈夫大丈夫。心配し過ぎだよ。いつもどおりかっこいいし、別にお母さんも里塚くんを取って食ったりしないって。……じゃあ行くよ?」
「は、はい」
ガチガチに緊張している俺とは対照的に、先輩は見るからに平常心で(自宅なんだから当たり前だが)玄関ドアを開けて中に入り、家の中に向かって「ただいまー。おかーさーん!」と声をかけた。一歩遅れて俺も「お、お邪魔します……」と言いながら玄関の中に入れてもらう。
「おかーさーん?」
「はいはい、聞こえてるってば」
フローリングをパタパタと歩いて出てきたのは、アニメによくいる、ヒロイン(ここでは先輩)がそのまま年を取ったような感じの母親だった。さすがに三つ編みではないが、先輩と同じで肩にかかるくらいの髪の長さで、顔には細身のメガネをかけている。そしてなにより、おっぱいが先輩と同じくらいでかい。遺伝子すげえ。
「こちらが電話で話した彼氏の里塚くん」
先輩に紹介され、改めて背筋を伸ばして挨拶をする。
「前に
「んふふ、ななみの母の
「は、はいっ。あ、これ、よろしければ」
そう言って手土産のお菓子を先輩のお母さん、みのりさんに渡す。
「あら、モリモトのどら焼き? わたしこれ好きなのよ~。ありがとね」
「いえ、とんでもないです」
「玄関で立ち話もなんだし、上がって上がって。外寒かったでしょう。お茶淹れるから飲んでいって」
「はっ、はい。お邪魔します」
先輩は「じゃあ私は着替えてくるね」と言って階段をトントン上がっていってしまった。
恋人の母親と二人きりにされる。不安だ。
みのりさんに案内されてリビングダイニングの食卓に座らされる。食卓からは台所が見えるが、明らかに晩ごはんの準備をしている最中だった。
「あの、申し訳ありません、夕飯時に突然お邪魔してしまって」
台所でお茶の準備をしてくれているみのりさんに声をかける。
「いいのいいの。どうせあの子が突然『お母さんに会ってほしいの』とか言って引っ張ってこられたんでしょう? いつものことよ」
「ははは……」
いや、言い出したの俺です。タイミングが悪くて本当に申し訳ない……。
「それより、里塚君はななみと同じ高校よね? 学年も一緒?」
「ひとつ下で、今年高2です」
「おっ、じゃあちょうど青春真っ只中だ! いやーあの子ももうそんな年よねえ。わたしも年取るわけだわ~」
「おb……」
言いかけて、恋人の母親に「おばさん」と呼びかけるのはよくない気がする。しかし「山口さん」と呼ぶのもちょっとおかしい。
「み、みのりさんは十分お若いと思いますよ」
「あら、うれしいこと言ってくれるわね~! 口がお上手なんだから」
みのりさんは「どら焼きだから緑茶でいいかな?」と尋ねた上で俺に緑茶を出し、俺が座っている食卓の対面の席に掛けた。
巨大なおっぱいが食卓に載っているが、これは罠だ。俺が注視していいおっぱいは先輩のだけなのだ。
「それじゃ、まず里塚君はななみのどこを好きになったのか、ってとこから聞かせてもらいましょうか」
「は、はいっ。ええっと、そうですね……何から話したらいいか」
「……やっぱりおっぱい?」
みのりさんは自分の胸を持ち上げて俺に尋ねてくる。これは罠だ!
みのりさんの胸に視線が行かないよう、ギュッと目をつぶって顔を逸らす。
「い、いえっ! そんなことはっ!」
「んふふ、冗談冗談。からかってごめんね」
「……最初は先輩、じゃなくて、ななみさんの三つ編みメガネがいいな、素敵だなと思って一目惚れしました」
「あら、一目惚れかあ」
「
出会ったときの先輩は敵対的でこそなかったが、男子生徒には後輩であっても敬語を使って明確に距離を置き、目を合わせようともしなかったし、男子生徒が近づくとなにか口実を作ってその場を離れ、男性教師にも完全に事務的な対応をしていた。俺だってもちろん例外ではなかった。
先輩がそうなっていたのは、先日卒業していった図書委員の先輩によれば、「胸が大きいばっかりに知らない男子からは言い寄られ、女子からはそれをやっかまれる」ためであるとのことだった。実際、俺が入学したとき既に先輩は校内で爆乳図書委員として有名だった。
「去年の今頃は確かにあの子、そんな感じだったなあ。お父さんすら避けてたくらいだったから」
「そうだったんですか」
「そうそう。2学期に入ってちょっとたったくらいからずいぶんマシになったけどね。あ、もしかして里塚君がななみを変えてくれたのかしら?」
「ど、どうなんでしょう。確かにななみさんと話すようになったのはそれくらいですが」
「じゃあ里塚君が原因でしょうねえ。……ありがとうね、あの子と仲よくしてくれて」
「いえ、とんでもない」
照れ隠しにお茶をすする。いろんな意味で冷えてる体に、熱いお茶が染み渡る。
ちょうど話が一段落したタイミングで、着替えた先輩がリビングダイニングに入ってきた。
た、助かった……。
「お母さん、里塚くんに変なこと言ってないでしょうね?」
「ちょっと世間話してただけよ。ねえ?」
「え、ええ」
「ほんとかなあ」
先輩は俺がいるからか、どうやら部屋着ではなく外出着に着替えてきたらしい。制服ではないブラウスとロングスカート姿で、ちょっといいとこのお嬢さんといった出で立ちだ。この姿を見るのはクリスマスにデートしたとき以来か。
「それで、今日はあなたたちから話があるってことだったけど?」
「単刀直入に言うけど、再来週の金曜土曜って旅行に行ってほしいんだ」
先輩が俺の誕生日の計画について説明する。
「まさか一人娘から彼氏を家に泊めたいから旅行に行けって言われるとは思わなかったわ……」
みのりさんは頭が痛いというようにこめかみを押さえた。
「どうかな。お金はほら、私のお年玉貯金崩せば出せるから」
「そういう問題じゃないでしょ。里塚君ごめん、ちょっと君のことを悪く言うわね。ななみ、お母さんはあなたを里塚君と二人にしたときに、彼からひどいことされないかってことを心配してるの」
みのりさんの表情は真剣である。
そりゃ一人娘が家に男を連れ込みたいから旅行に行けなんて言って、普通の親がはいそうですかと認めるわけがない。俺が親でも、まず娘が男に騙されてないか心配するだろう。
「うん、お母さんがそう言うのはわかってる。でも里塚くんはそういう人じゃない……って私が言うのもわかってるよね」
「そうね。里塚君はさ、ななみのことをどう思ってるの?」
みのりさんが俺に鋭い視線を向ける。
これは下手にごまかしたり先延ばしにしたりしないほうがいいだろう。みのりさんは俺の将来の義理の母にしたい人である。誠実に対応して「娘を任せられる義理の息子候補」という信頼を勝ち取りたい。
「先輩、先のことまでお母さんに話してしまってもいいですか?」
「え? ……あー、そうだね。この際だから話しちゃおう。お母さん、私は」
「先輩、俺から言わせてくれませんか」
先輩の話を遮って尋ねると、先輩はうなずいた。
大きく深呼吸する。
「みのりさん。僕が先輩の……ななみさんのことをどう思っているかですが、単刀直入に言うと、高校を出たら大学生のうちに結婚したいと思っています」
「は、はい~!?」
みのりさんが食卓に身を乗り出す。
「お母さん、ほんとだよ。私たちで話し合って決めたの」
「もちろん、高校生の子供が結婚なんてなに甘いこと言ってるんだとお思いだと思いますし、実際、僕とななみさんは考えの浅いところがあると思います。ですから、早い段階でみのりさんのような立場の大人に相談して、結婚について
初セックスの段取りのはずが、いつの間にか結婚の挨拶になっていた件。
でももう後戻りはできない。
「僕にはななみさんしかいません。これから先いろんな人に出会うでしょうけど、それは変わりません。ななみさんと一緒に人生を送っていきたいと思っています」
ペラペラとそんな言葉がよどみなく出てくる。俺、もしかしたら詐欺師とか向いてるかもしれない。
でも今言っていることは本心だ。俺には先輩しかいない。先輩をただ一人の相手として既に
「……里塚君の考えはわかりました。ななみ、あなたはどうなの?」
「私だって同じだよ。里塚くんと結婚するつもりだし、ずっと一緒にいるつもり。お母さんやお父さんに反対されてもね。でも、賛成してくれたらそれに越したことはないとも思ってるよ」
しばし母娘でにらみ合った後、みのりさんは、はぁ~と大きくため息をつき、お茶請けとして出していた手土産のどら焼きの袋を開けてかぶりついた。
「あのねえ、結婚するってのはあなたたちが思ってるほど簡単なことじゃないのよ。お互いにお互いの家族とうまくやっていけるかとか、お金の話とか子供の話とか、いろいろあるんだから」
みのりさんはどら焼きを食べながらしゃべり、ひとつ食べ終わると間断なくさらにもうひとつ袋を開けた。
「うん。わかってる。それでもだよ」
「あとウチに二人でお泊りってことだったけど、避妊だけは絶対にちゃんとしなさいね」
「それなんだけどさ」
先輩は続いて避妊薬の話を切り出した。
「まさか一人娘から彼氏とナマ中出しセックスしたいからピル飲みたいって言われるとは思わなかったわ……」
「お母さん言い方……」
みのりさんがまたこめかみを押さえる。
そりゃ一人娘が突然こんなこと言い出したら頭も痛いよな……。
「下調べはもうしててさ、値段は高校生のお小遣いでもどうにかなるくらいらしいんだ。それで飲み始めてから効果が出るまで7日。お医者さんの診察を受ける必要があって……」
「あーはいはい。あなたがもうノリノリなのはわかったから。まったく、いつの間にこんなスケベな娘になっちゃったのかしら。里塚君のせい?」
「えっ、いや、
「じゃ生まれつきかな」
「お母さん! 里塚くんのせいに決まってるでしょ」
「そ、そうですか?」
「そうだよ?」
「はいはいごちそうさま。……でも、あなたたちがあなたたちなりに真剣に考えてるのわかりました。お母さんとしても旅行に行けるわけだし、協力してあげる」
みのりさんの雰囲気が一気に和らいだのを見て、思わずほっと息をつく。どうやら山は越えられたようだ。
緊張からカラカラに乾いた喉をお茶で潤し、視線をみのりさんに戻すと、みのりさんは穏やかな目で俺を見据えていた。
「里塚君。もうわかってると思うけど、ななみは勉強はできてもおバカなところがある子だから、付き合うのに本当に苦労すると思います。それでも、自分にはななみしかないと言ってくれたあなたの言葉を信じます。――この子のこと、よろしくお願いします」
そう言って、みのりさんは俺に頭を下げた。
「はっ、はい! こちらこそ、不束者ですが幾久しく……」
こんな短時間の会話でみのりさんから「娘を任せられる義理の息子候補」という信頼を勝ち取れたとは思わない。しかし最初の関門は抜けられたと思っても、うぬぼれではなさそうだった。
「んふふ。いやぁ、まさか娘がこんなに早く片付くとはねえ……。旅行先でもう一人作ってこようかしら」
「お母さん。そういう生々しい話やめて」
「はーい」
さっきは「いつの間にこんなスケベな娘に」とか言ってたけど、みのりさんからの遺伝なのでは……と思った。顔には出なかったと思う。
思いがけない方向に転がっていったが、とにかく話は済んだ。夕食時でもあるし、さすがに先輩のお父さんに会う覚悟はなかったので、俺はこのあたりでお暇させてもらうことにした。
みのりさん、まさに先輩の20年後という感じの人だったな。おっぱいも先輩と同じくらいでかかったし。
……いやいや。俺はあくまで先輩一筋である。いくらみのりさんが二次創作で主人公と不倫させられてそうな母親だからと言って、変なことを考えてはいけない。