モキュメンタリー風ホラー

1 / 1
第1話

 

  01

 

 山の稜線を背に、刈入れのあとの田畑が広がっている。遠景に送電塔が連なり、鉄塔のあいだに渡された電線が上下している。

 関東管区支局の支署から借りた公用車で、私と間宮は千葉県K市の市役所に向かっていた。黒のホンダ・シビックだ。

 刈入れ後の田畑はまるでブラシの毛のようだ。私は車を運転しつつ、その眺めに荒涼とした印象をおぼえた。

 横目で助手席の間宮を見る。

「この仕事にも馴れてきたつもりだけど… 出生数の増加なんかが本当にうちの管轄になるの?」

 私たちは総務省統計局調査資料室の調査官だ。

 内規では調査資料室の所掌事務は「統計分析について異状が認められるとき、統計方法に不備がないか予備的調査を行うこと」と定められている。

 だけど、組織の実態は、その文言から想像される事務的なものじゃない。

 私が警視庁警備部銃器対策部隊から出向を命じられたとき、左遷にしても奇妙だと思ったけど、今ならその理由が分かる。

 調査資料室の略称、「調資(チョウシ)」は部内では「超自然現象対策室」の略だと言われている。

 間宮はサイドウィンドウを見たまま言った。

「異常ですよ」

 秋の薄日で、間宮の白い顔が窓ガラスに映っている。

 私より年下の間宮は24歳だ。小柄な体に黒のパンツスーツを着ている。肩幅が狭く、体格のために幼く見える。

 黒髪を肩口で切っている。肌は紙のように白い。顔立ちは整っている。痩せているために目が大きく、童顔に見える。切長の眉と泣き黒子が、その幼さと対照的だ。

「K市の出生数は一昨年1,011人。それが去年1,378人。今年1,402人。3分の1も増加しているんですよ」

「たしかに急増だけど… おめでたいことだしいいんじゃないの? 子宝祈願って言うくらいだし」

 私が言うと、間宮は黒眼を上目に向けた。

「頭痛、目眩、吐気… 病気、老い。何より、死。生まれることはめでたくなんかありませんよ」

「そりゃ、生きてたら苦労することもあるだろうけど… でも、生まれたほうがいいんじゃないの? 人生の意味は困難を克服することにあるだろうし…」

「不幸を与えておいて、その不幸が除かれたら、それが幸福だと言うわけですか。マッチポンプもいいところですね。生まれることに意味があるなら、屠殺される家畜だって人間に感謝しますよ。子供を18歳まで育てて、殺して食肉に供したって、その子供は親に感謝すべきだってことになるでしょうね」

 間宮はサイドウィンドウの向こうを眺めていた。

 ハンドルを握ったまま、私は溜息をついた。フロントウィンドウに目を向ける。

 付きあって半年になるけど、間宮の皮肉には慣れそうにない。

「じゃあ、この件も今までみたいに怪異が関わってるってこと?」

 4月の神奈川県東名高速道路の交通事故。6月の群馬県Yダムの水難事故。そして、8月の神奈川県T川沿岸の児童遺棄。

 多発する死亡事故や犯罪は、調査するとすべて怪異が原因だった。

 出向中とはいえ、私は警察官だ。怪異なんて信じることはできない。けど、自分の目で見たものは認めるしかなかった。

 神奈川県東名高速道路で多発する死亡事故は「むじな」が人間を化かしていた。

 群馬県Yダムで続発する水死事件は、水没した村の「迷(まよ)い家(が)」が人間を誘っていた。

 神奈川県T川沿岸で連続する児童遺棄は、それ自体が怪異の結果じゃなかった。河川が増水して逆流する戻り川になるとき、川を遡上すれば、その人間が生まれた歴史ごと、存在が消滅する。けど、新たに生まれた子供は別の人間だ。だから、その人間に関わる全てが消滅しても、子供だけは残る。それが連続する児童遺棄の真相だった。戻り川に潜む「河童」の仕業だった。

 横目で間宮の白い顔を見る。その縹緲(ひょうびょう)とした面持ちからは、内心を伺うことはできなかった。

「セックスカルトが見つかるくらいで済めばいいですけどね」

 間宮は淡々と言った。

 T川の事件のとき、間宮は戻り川に入水し、川を遡上していった。

 東名高速道路の事件で、走行する自動車の合間を縫っていったときも、Yダムの事件で、呼吸が保たない深さまで貯水池を潜っていったときも、間宮は自分の命に執着がないように見えた。けど、死にたがっていたとは思わなかった。

 それを考えれば、間宮が皮肉を言うのも当然に思える。

 けどそのわりには、このあいだ家に来たとき、私が引きとった梓のことをかわいがっていた。意外なことに、子供をあやすのもうまかった。

「まあ、たまには事情がないことがあってもいいんじゃないの? 統計上の不合理って言っても、本当にたまたまで…」

 間宮は長く溜息をついた。細い首を傾ける。

「守屋さんはまだ調資(チョウシ)のことが分かってないようですね。守屋さんは私のことをおかしいと思ってるようですが… 私なんか、調資の中ではまともなほうですよ。主査やもっと上の人たちが、私たちをただの子育て支援のモデルケースに派遣するわけないでしょう」

 調査資料室は表向きは事務部門で、その裏は超常現象を調査する部署。けど、そのさらに裏があるということを、私も理解しつつあった。

 私たちが怪異の存在を報告したあと、東名高速道路の交通事故の多発は高速道路催眠現象、Yダムでの溺死の続発は水没した村からの金属盗に伴う事故、T川流域での児童遺棄の増加はマスメディアの影響だと公式発表された。

 東名高速道路に、高速道路催眠現象の対策として照明が設置されるほどだった。超常現象を公式に調査研究するどころか、まるで、政府がその存在を隠蔽するようだった。

「まあね…」言葉少なに答える。横目で間宮を見る。「頼りにしてるから」

 間宮は無言だった。市松人形を思わせる顔にはなんの表情も浮かんでいない。

 私はアクセルを踏み、直線道路で車を走らせた。

 

  *

 

 空は曇天で、強い雨が降りしきっている。

 コンクリートの擁壁のあいだで川が水量を増し、水流が逆巻いている。

 間宮は堤防の階段を下り、スーツのまま川に入っていた。川は増水しているとはいえ、氾濫というほどではない。膝で川面を蹴り、川を遡上していった。

「間宮!」

 名前を叫んだけど、雨音と川音のせいか、間宮には聞こえないようだった。

 私は擁壁を滑り、川に着水した。足に水圧を感じつつ、間宮の後を追う。雨で濡れた髪が額に張りつく。

 間宮の背中に追いつき、その腕を掴む。

「川が戻り川になってる。それ以上行ったら死ぬよ」

「死ぬ?」

 間宮がふり返る。顔は雨で濡れ、髪から流れた雨水が筋になっている。

「まだこの川のことが分かってないんですね。死ぬんじゃなくて、因果を遡って、その人が生まれたことがなかったことになるんですよ」

「だから… それは死ぬってことでしょ」

 私は困惑した。雨水を吸ったスーツが重く感じる。

「生まれたことからなかったことになれば、守屋さんは私がいたことも忘れます。この川の正体は憶えているでしょうから、誰か、他の調査官と派遣されたことは分かるかもしれませんが」

「そんな… 無責任じゃない」

 間宮は無表情な顔で私を見た。

「今までの事件で、もう守屋さんも分かっているはずですよ。この世界には生きる価値がないって」

 雨水が白い顔を流れていく。

 私は言葉を返すことができなかった。

「これまで、何度か守屋さんの命を助けましたよね。そのことに恩を感じているなら… お願いですから行かせてください」

 間宮は私の腕を振りきり、川の上流に歩いていった。雨で烟(けぶ)る背中が遠ざかっていく。

 どうすべきかも分からないまま、私は足で川面を切り、間宮を追った。

「待って!」

 間宮は歩みを止め、凝然として立ちすくんだ。

「何をやってるんですか… このまま川を遡れば死ぬって言ったのはあなたでしょう」

 雨を吸ったスーツが重く、体を強ばらせているように感じる。荒くなった息を落ちつける。

「私は間宮みたいに難しいことは分からない… だから、間宮が行くなら私も行く」

「やめてください」

 濡れて冷えているのか、間宮の顔はいつもよりさらに白く見えた。

「これは死ぬことじゃないんでしょ? なら、間宮が私を止める理由もないじゃない」

 間宮は呆然としていた。

 私は言いつのった。

「お願いだから… 置いていかないで…」

 間宮はしばらく黙ったあと、踵(きびす)を返した。川面に小波が立つ。

「帰りましょう。守屋さん」

「うん…」

 私たちは雨に濡れたまま、川を下っていった。

 

  ♡♡♡

 

 御主人様のお目覚めの時間です♡

 朝日が薄いカーテンを透かして部屋を照らしています♡

 御主人様がお住まいなのは、よくある団地の一室ですが、部屋数は十分♡ ベッドは部屋の中央に置いて、贅沢な空間の使いかたをしています♡

 

「失礼します♡ 御主人様♡」

 

 御主人様は仰向けになって大いびきを嗅いています♡ 立派なお腹が空中に突きだしています♡

 わたくしはベッドに上がりこむと、御主人様の上に覆いかぶさりました♡

 その振動で目を覚ましたらしく、御主人様は薄目を開けました♡

「んおッ… おお…」

「おはようございます♡ 御主人様♡」

 御主人様の目にはわたくしの麗しい顔が大写しになっているでしょう♡

 僭越ではありますが、わたくしの顔はかなり美しいです♡

 マリー・マルダセナ、19歳♡ 身長175センチ♡ バスト98センチ♡ ウエスト58センチ♡ ヒップ88センチ♡

 小顔で顎が小さく、細い鼻筋が通っています♡ 澄んだ大きな目で、青い瞳が輝くようです♡ その目を金色の長い睫毛が縁どっています♡

 ふわふわとした柔らかい金髪が腰まで伸び、小さな顔を囲んでいます♡

 まさに天使そのものの顔です♡ そのかんばせに覗きこまれ、金色の朝日が降りそそぐように、ふわふわした金髪が垂れさがっているのですから、極上の目覚めでしょう♡

 しかも、わたくしは天使にふさわしい装いをしています♡

 金髪の頭にはメイドのカチューシャであるホワイトブリム♡

 首には白いレースのチョーカー♡ 体に身に着けているのは、半透明の白いレースのレオタードのみ♡ しかも、レオタードは胸の下から始まっていて、大きなおっぱいは放りだしています♡ 覆いかぶさる姿勢ですので、ふた振りの大きなおっぱいが御主人様の頭上でぶら♡ ぶら♡ と揺れています♡

 レオタードもおまんこのところは開いていて、恥ずかしいところは丸見えです♡

 そんな全裸にも等しいすがたですが、白のガーターベルトと縁がレースのタイツ♡ レースの長手袋はしっかり着けています♡

 

 さて、わたくしの仕事はここからです♡

 御主人様の太った足のあいだのほうに、ベッドの上を下がります♡

 

 股間のところで、御主人様の御立派なおちんぽ様が朝勃ちで頭をもたげられています♡

「失礼します♡」

 わたくしは御主人様のおちんぽ様を咥えこみました♡

 薔薇の蕾のような唇が、御主人様の芋虫のようなおちんぽ様を咥えこんでいる格好です♡

 

 ちゅぱっ♡ ちゅぽっ♡ ちゅぽっ♡ ちゅぽっ♡

 

 頬を窄めて御主人様のおちんぽ様を吸いたてます♡

 朝のお目覚めのときなので、あまり刺激を与えすぎないように♡

 

「そろそろ代わりなさい。マリー」

 わたくしの後ろで冷たい声が響きました♡

 

 長身の銀髪の美女が立っています♡

 ソフィア・ソルジェニーツィン♡ 通称ソーニャです♡

 20歳♡ 身長182センチ♡ バスト101センチ♡ ウエスト57センチ♡ ヒップ92センチのナイスバディ♡

 顔も美しいです♡ やや面長で鼻筋の通った顔立ち♡ 切長の目と薄い青白色(アイスブルー)の瞳、刷(は)いたような眉が怜悧に見えます♡ 直毛の銀髪は腰まで伸びています♡

 頭には黒いメイド用のカチューシャ♡ 黒いレースのチョーカーとレオタードを身に着けています♡ おっぱいのところは縦に開いていて、乳首が丸見えです♡ もちろんおまんこのところも開いています♡ 黒のレースの長手袋とタイツを着けています♡

 ソーニャのような長身の美女がそのような煽情的な格好をしているのですから、誘惑もひとしおです♡

 

「そうですね♡ どうぞ、ソーニャ♡」

 そう言いつつ、完全に退くことはせず、体半分だけ場所を空けました♡

 ソーニャがわたくしとともに御主人様の両足のあいだに入ります♡ 長身なのですこし窮屈そうです♡

「失礼するわ♡ 御主人様♡」

 ソーニャが冷たい声で言って、わたくしが口から吐きだした御主人様のおちんぽ様を咥えこみます♡

 わたくしとソーニャで、ふたりで御主人様のおちんぽ様を取りあっているようです♡

 

「んん…♡ んう…♡ んお…♡」

 

 ソーニャが口の中で御主人様のおちんぽ様をねぶりまわします♡ 鼻の下が伸びて、怜悧な顔がすっかり間抜け面です♡

 

 御主人様はモーニングフェラされている最中にすっかり目覚められたようです♡ なんて贅沢なモーニングコールなのでしょう♡

「お、おお…」

 御主人様は指に毛の生えた手でソーニャの頭を押さえました♡

 

 びゅるっ♡ びゅるるるっ♡

 

 御主人様のおちんぽ様がソーニャの口の中に精液を放ちます♡

 

「ごくっ…♡ ごくっ…♡」

 

 ソーニャは朝一番の濃い精液を残さず飲みこみました♡ まったく羨ましいかぎりです♡

「ぷはっ…♡」

 御主人様のおちんぽ様を吐きだして、ソーニャは息をつきました♡ 冷然とした顔のまま言います♡

「量、濃度、粘度ともに好調よ♡ 今日も健康だわ♡ 御主人様♡」

 

 ソーニャには体調管理という重大な使命があります♡

 朝一番の精液という甘露を譲ることは口惜しくはありますが、仕方ありません♡

 

 さて、わたくしも自分の使命を果たさなければなりません♡

 

 まずはドレッサーに備えられている歯ブラシで歯を磨きます♡

 歯ブラシのブラシは小さく、まるで真珠のよう♡ 柄も真っ白で、それ自体が工芸品のようです♡

 歯磨き粉も白い小瓶に入っていて、それらの小物類は宝飾品の展示のようにも見えます♡

 

 さて、歯磨きを終えたらようやく本来の務めができます♡

 キッチンに行き、御主人様のために用意された朝食を銀製のトレイに載せて運びます♡

「失礼します♡ 御主人様♡」

 ベッドに寝たままの御主人様のもとまで行き、サイドテーブルに銀製のトレイを置きます♡

 まさにメイドそのもののすがたですが、メイドらしいのはカチューシャのホワイトブリムだけ♡ 白いレースのレオタードは、清楚なメイドのエプロンドレスの真逆♡ 粗悪なパロディです♡

 

 朝食はバゲットにフォアグラのペースト♡ とろりとした半熟のポーチドエッグです♡ それにマイセンの白磁のティーカップに注がれたお紅茶♡ 御主人様には朝からたっぷり食べて栄養をつけてもらわなくてはなりません♡ これらの栄養が毎日、消費される御主人様の精液になるのです♡

 

 お食事の前に… わたくしは御主人様の口に唇を重ねました♡

 淡い薔薇色の唇から、御主人様のお口に赤い舌を差しいれます♡ 御主人様のお口の中で、小さな舌をチロチロと動かします♡

 わたくしの小さな顔は、御主人様の肉付きのいいお顔より、ひと回り小さいです♡ 御主人様のお顔を抱えてフレンチキス♡ 俗物たちの目から見れば、御主人様太りきった中年男性♡ その御主人様の顔に、金髪のわたくしの天使のような顔が重なっているさまは、いかにもアンバランスに見えるでしょう♡

 御主人様のお口の中に舌をめぐらせて、寝起きのネバネバを舐めとります♡

 わざわざ御主人様の目前で歯磨きしたのもこのためです♡ いくら御主人様のおちんぽ様が偉大で高邁とはいえ、フェラチオした口で御主人様にキスするわけにはいきませんから♡ わたくしが歯磨きしたことを御主人様が知っているにせよ、目の前で歯磨きしてもらったほうが安心できるでしょう♡

 

「んん…♡ あう…♡ んんっ…♡」

 

 フレンチキスを終え、御主人様のお口から唇を離します♡

 わたくしの優美な手で、フォアグラを塗ったバゲットを取りあげます♡

「はい♡ 御主人様♡ あ〜んしてくださいませ♡」

 お口が清涼になったところでお食事をしていただきます♡

「ぐふふ…! あ〜ん!」

 御主人様が大口をお開けになります♡

 いいお年とも思えない子供らしい仕草♡ 手ずから御主人様にお食事をさせてあげられて、わたくしは心が満たされました♡

 

  ♡♡♡

 

 満腹になった御主人様が二度寝されたので、そのあいだにわたくしたちは本日のミーティングをします♡

「御主人様の体調は今日も良好よ」

 と、ソーニャが報告♡

 次いでわたくしが本日の予定を確認します。

「今日、御主人様に種付けしていただく予定のメスは4名♡ すでに待機してもらっています♡ なにか質問、報告などはありますか?♡」

 

「報告というのではないが、動議だ。マリー、貴様は御主人様の朝フェラ係を独占しているな。その日一番のおマラ様に口付けし、御主人様のお目覚めをお迎えする大儀♡ ひとりで担うには過分な大任だ♡ 当番制にすべきではないか?♡」

 

 厳島(いつくしま)伊月(いつき)が腕組みをして言います♡

 17歳♡ 身長172センチ♡ バスト95センチ♡ ウエスト54センチ♡ ヒップ89センチ♡

 背筋が伸びていて見栄えのいい立ちすがたです♡

 小顔で整った顔立ちです♡ 大きな目は上瞼が鋭い弧を描いています♡ 短い眉がきりりと引きしまっていて凛々しいです♡

 腰まである直毛の黒髪を、頭頂でポニーテールにしています♡ 余った前髪は眉の上で直線に切りそろえられていて、まるで鉢金のようです♡

 

 黒の薄いラバーでできたレオタードを着ています♡

 布は胸から下だけで、大きなおっぱいは丸出しです♡ 股間はおまんこからお尻までにチャックが付いていて、今は閉じています♡ 大きなお尻が薄いゴム膜に包まれて、窮屈そう♡ お尻の肉がキュッと引きしまって持ちあげられています♡

 黒いラバー製の肘丈の長手袋、膝上丈のタイツを着けていて、ゴムのテカりを見せています♡ 白い肌がなおさら目立ちます♡

 

 伊月は女子剣道の全国高校大会個人戦ベスト4の実力者です♡

 地元高校の生徒で、御主人様に見初められてお付きのメイドになりました♡

 女子剣道で颯爽と活躍していたときには、今のような淫乱な衣装の姿は想像もできなかったでしょう♡ まったく、御主人様に見初めていただいて幸運というものです♡

 

 かく言うわたくしも、パリ高等師範学校で現代哲学を研究する大学生です♡

 日本文化を研究するため、留学に訪日していたときに御主人様に見初めていただきました♡

 

 ソーニャは旧ソ連の出身で、日本の大学で素粒子物理学を専攻していました♡

 女言葉で話すのは、小説や戯曲で日本語の勉強をしたからだそうです♡

 

 わたくしは伊月の疑問に答えました♡

「御主人様は種付けで気に入ったメスをお側に置くことがあります♡ そうなれば、朝フェラもそのメスにお命じになります♡ わたくしが御主人様に朝フェラをするのはあくまでつなぎ役です♡ いちいち役割りを変えれば、御主人様も煩雑にお感じになるでしょう♡」

 

「そんなことないよ!♡ みんなで御奉仕したほうが御主人様だって、きっと喜ぶって!♡」

 

 相野(あいの)愛(あい)が声をあげます♡

 愛は16歳♡ 身長155センチ♡ バスト89センチ♡ ウエスト57センチ♡ ヒップ88センチ♡

 年齢と性別から考えれば普通の身長ですが、わたくしたちの中では頭ひとつ低いです♡

 ですが、手足が細く、肩が小さいので、スタイルが良くておっぱいがなおさら大きく見えます♡

 

 童顔でくりくりとした大きな目をしています♡ 明るい茶髪は首の長さで切られていて、内向きにくるんと丸まっています♡

 

 ほぼ全裸で、大きなおっぱいを放りだしています♡ ふたつの乳首は隠れていて、白い房飾り、いわゆるタッセルを吊るしています♡

 腰には白いレースのコルセット♡ 白いレースのショーツはおまんこのところが開いたオープン・クロッチです♡ それに白のレースの長手袋とタイツを着けています♡

 

 伊月が愛を一喝します♡

「愛、貴様ァ…! 私はそのような下らん話をしているのではない!♡ マリーが御主人様のお気に入りの立場を私(わたくし)し、専横していないか問うているのだ!♡」

 胸の前で腕組みしていて、大きなおっぱいが潰れています♡

 

「なっ…!♡ 下らないって、伊月ちゃん、酷い!♡」

 

 愛が体の前で両手を握りしめます♡

 

 なにかしらの一芸に秀でたわたくしたちと違い、愛は無学無芸です♡

 その上、顔も上の上というわたくしたちと違って、上の中というところです♡

 せいぜい、学校一の美少女といったところでしょうか♡

 とはいえ、この顔にこのおっぱいです♡ 同じクラスに通う男子高生たちは愛のおっぱいに夢中になって、学校で顔を合わせるたびに、その夜に妄想で愛を犯してシコシコとオナニーしていたでしょう♡

 その美少女がおっぱいにタッセルをぶら下げた下品な衣装で中年男性に御奉仕しているのですから、同じ学校の男子高生たちは、蛇口が壊れた水道のように射精が止まらなくなってしまうでしょう♡

 

 伊月が啖呵を切ります。

「愛ばかりではない! 御主人様にお目をかけていただいたメスたちもだ! フェラチオひとつとっても、御主人様に御満足いただける技巧を習得するのは容易ではないぞッ!♡ 処女にそのような調練はできまいッ!♡」

 

「あなたの言うことに従えば、御主人様にお目通りさせる前に、メスを訓練すべきということになるわね♡ 不合理だわ♡ 御主人様は、御自身がお手付きされる前にメスに触れられることを喜ばないはずよ♡」

 ソーニャが嗜(たしな)めます。

「むッ…!♡ そういうわけではないが…!♡」

 伊月は眉を寄せて、顔に苦渋を浮かべます♡

 

「ま〜、でもそれなら〜♡ 朝フェラをメスに任せるのは丁度いいんじゃない〜?♡ だって〜、朝フェラなら技術はいらないでしょ〜?♡」

 

 わたくしたち、御主人様のお付きのメイドの最後のひとり、ミンが言います♡

 ミンは20歳♡ ベトナムだかカンボジアだかの移民の二世でハーフです♡ そのおかげで天然の褐色の肌をしています♡

 身長180センチ♡ バスト101センチ♡ ウエスト62センチ♡ ヒップ98センチ♡

 細い輪郭の顔で、睡たげな二重の目をしています♡ 腰まであるゆるい髪を金髪に染めています♡ 金髪は天然ではないので、地毛の黒と混ざってグラデーションになっています♡ その頭に黒のメイド用のカチューシャを着けています♡

 

 褐色の肌に、黒いレースのレオタードを着ています♡ ただし、胸を覆うのは黒い網目だけ♡ 大きなおっぱいが黒紐でくびり出されて、まるで黒豚のボンレスハムのようです♡ 手足には黒のレースの長手袋と膝上丈のタイツです♡

 

「ミンの言うとおりですね♡ 召しあげられたメスに朝フェラさせれば、御主人様にも御満足いただけますし、メスのフェラチオの拙さもごまかせます♡」

 わたくしが意見をまとめます♡

「ええ♡ 合理的だわ♡」

「むう…!♡ 貴様らがそう言うのなら…!♡」

「種付けのために来てる人たちも!♡ みんなで力を合わせてがんばろうね!♡」

「イエーイ〜!♡ あげポヨ〜!♡」

 

  02

 

 K市役所の本庁舎に着く。

 庁舎は3階建てで、外壁は赤いタイル貼りだ。古い建物のようだ。

 玄関の受付台で、職員に声をかける。

「総務省調査資料室の守屋です。子ども家庭課をお願いします」

 間宮は後ろに立って、私が職員と会話するのを見ていた。

 調査資料室での年次は間宮が上だけど、間宮は社交性に欠けていて、折衝は主に私がしていた。

 出向の私と違い、間宮は調査資料室の生抜(はえぬ)きだけど、その経歴はよく分からない。知っているのは、国家総合職、いわゆるキャリアじゃないということだけだ。

「子ども家庭課は2階です」

「ありがとうございます」

 古い建物の薄暗い階段を上る。踊場の鏡で自分の姿を確認する。

 私は身長が180センチある。女じゃなくても長身だ。胸板に厚みがあって、胸回りも大きい。濃茶色のパンツスーツを着ている。警察官のときからの習慣で、足には茶色の革靴を履いている。

 背中まで伸ばした髪を、後ろでバレッタでまとめている。後毛(おくれげ)が頭頂から見えている。顔立ちは鋭気があるけど、若さのほうが目立つ。27歳という年齢ではまだ貫禄がない。

 廊下を進み、壁から突きでた「子ども家庭課」の表札のもとで足を止める。

 扉を叩き、部屋に入る。室内は手狭だ。スチール製の事務机が島を成している。壁にはやはりスチール製の書類戸棚が並ぶ。

 室内にいたのは1人だけだった。私たちを見て、慌ただしく椅子から腰を上げる。

「総務省から来られたかたですね。どうもお疲れさまです」

 50代の男だ。スーツの上着を脱いで、シャツとネクタイだけになっている。撫肩がより貧相に見える。シャツの袖に腕貫を着けている。痩せた顔に、縁無しの大きな眼鏡をかけている。

「総務省統計局、調査資料室第1係の守屋です。こちらは間宮です」

「これはこれは、どうも御丁寧に。K市役所、子ども家庭課課長の原田です」

 原田と名刺交換をする。間宮は私の後ろで立ちつくしている。

「K市の出生数の増加は関係省庁も注目しています。ただ、少子化対策のモデルケースとして採用する前に、統計調査に不備がないか確認する必要がありまして… それで参りました次第です」

「本省のかたに、わざわざこんな僻地まで御足労いただきまして… どうも恐れいります」

 原田は頭を撫でた。

「それで、統計表の元資料を閲覧させていただきたいのですが…」

 私が言うと、原田は首を竦めるようにした。

「いやァ… それは個人情報保護法もありますし、なかなか難しいかと…」

 それまで黙っていた間宮が唐突に言葉を発する。

「総務省は自治体の主務官庁ですよ。上級行政庁の指揮監督に背く権限はないはずです」

 ふり返ると、間宮は立ちつくしたまま、無表情で言葉を継いでいた。

 原田が頭を撫でる。

「そう仰られましても、自治体は独立した行政庁ですし… どうしてもと仰られるなら、市長のほうに公式文書で申請していただいて… せめて所属長の職名で」

「私たちは総務省を代表して、上級行政庁としての権限を持っています。それを理解してますか?」

 間宮は表情を変えない。力の抜けた立ちすがたは操り人形のようだ。

 関係者に接するとき、間宮はいつもこの調子だ。同僚として半年以上の付きあいになるけど、慣れそうにない。

 私は雰囲気を和らげるように笑みを形づくった。

「報告書に調査の詳細を記載する必要はありませんので… 資料は内々にでも見せていただければ…」

 間宮が私の言葉を遮る。

「なら、閲覧できる資料をあるだけすべて提出してください。あと、資料を精査するための部屋の用意も」

「あ、はい。ただいま」

 原田は首を竦めたまま、口実ができたというように、早足で部屋を出ていった。

 2人だけになり、間宮に言う。

「ああいう高圧的な言いかたはどうなの? わざわざ対立する必要はないと思うんだけど」

 間宮は私を無視し、部屋の奥に進んでいった。

 原田の事務机に屈み、引出しを開けていく。

「ちょっと。何やってるの」私は慌てた。

 間宮は無言で引出しを開けつづけ、ついに鍵束を取りだした。

 書類戸棚のほうに行き、鍵を試していく。私に背を向けたまま言う。

「しばらく戻ってこないとは思いますが、一応、見張りをしてくれますか?」

 これまでの付きあいで、間宮の行動は一見、無謀でも意味のあることが分かっている。私は戸口に立ち、扉を細く開いた。隙間から廊下を見る。

 間宮は書類戸棚から分厚いファイルを取りだし、内容を改めていった。ページを捲りながら言う。

「彼らが何かを隠そうとしていることは間違いないでしょう。ただの資料を秘密にする理由はありませんから」

「考えすぎじゃない? 情報管理を徹底してるだけかも」

「そんなやる気があるようには見えなかったですけどね…」

 間宮はファイルを捲っていたけど、急に私を呼んだ。

「守屋さん、来てください」

 廊下が気になったけど、私は間宮のところに行った。間宮の肩越しにファイルのページを見る。

「これを見てください」

 ページは表紙らしく「令和××年度K市出生記録」という表題が書かれている。

 間宮はその下に注意を促した。「閲覧権者」という項目に職名が列挙されている。「主務官庁大臣」「都道府県知事」から始まり、「K市市長」から市役所の職名が続く。市長から課長まで、最低限の人数だ。最後の行を見て、私は「あ」と声をあげた。

 「総務省統計局調査資料室室長」、そう書かれている。

 私は間宮と顔を見合わせた。

「調資はもうK市を調査してた…?」間宮に尋ねる。

「他に、調資がK市の関係各所になることはないでしょうね…」

 間宮は無表情でページに視線を落としていた。

「でも、ならなんで主査は私たちをまた派遣したの?」

「とりあえず、上には私たちがこれに気づいたことは伏せておいたほうがいいでしょうね…」間宮は淡々と言った。視線だけで私を見る。「K市の調査は私たちだけで行いましょう」

 私は無言で頷いた。原田が戻ってくるまでに、間宮はその資料をスマートフォンで撮影した。

 

  ♡♡♡

 

「ブヒィ!♡ ブヒブヒ!♡ ブヒいいいい!♡」

 

 四つん這いになった全裸の女子高生が、顔を上向きにしてブタの鳴き声をあげます♡ ブタですが、馬のいななきのようです♡

 その背中には御主人様が乗っています♡ 御主人様も全裸です♡

 体重が70キロ以上ある中年男性の御主人様を乗せて、女子高生の背中はしなっています♡

 

 女子高生は腰まである長い黒髪をしています♡ その黒髪を、御主人様は手綱のように掴んで手繰(たぐ)っています♡

 女子高生が顎を上げているのは、息継ぎのためばかりでなく、髪を引かれているためもあります♡

「ブヒィーッ!♡ ブヒブヒッ!♡ ブヒィーッ!♡」

 唇を尖らせて、清楚な顔が台なしになっています♡

 

 17歳の女子高生を全裸にして馬扱いする♡ 偉大なる御主人様でなければ許されません♡

 全裸の御主人様は太り肉(じし)が垂れていて、まるでサンタクロースをかたどるキャンドルが溶けたかのようです♡

 

 ひとしきり長い黒髪の女子高生を乗りこなすと、御主人様はその背中から腰を上げました♡

「ふーッ…! いい汗かいた」

 太い腕で額の汗を拭います♡

 

「お疲れさまです♡ 御主人様♡」

 

 わたくしは御主人様にふわふわの今治のタオルを渡しました♡

 日々の健康管理のためには運動が必要です♡

 人間に馬乗りになれば、乗るほうも体力を使います♡ これが御主人様の運動なのです♡

 

 伊月と、愛、ミンの3人が来ます♡ 3人ともすでに全裸になって、スタイルの良い裸体を晒しています。

 

「御主人様♡ 湯浴みの支度はできているぞ♡」

「はやくシャワーを浴びよっ!♡ 御主人様っ!♡」

「ほら〜♡ 行った行った〜♡」

 

 全裸でおっぱいのたわわな少女たちに囲まれて、御主人様は相好を崩します♡

「ぐふふっ! 押さないでよ!」

 御主人様は男性として背が低いので、伊月やミンにも見下されているようです♡

 突きでたおっぱいに囲まれながら、御主人様はバスルームに向かいました♡

 

  03

 

 私と間宮は黒のホンダ・シビックの車内にいた。

 ダッシュボードに文具店で買ったK市の地図を広げている。地図には蛇腹状の折目が付いている。市内の地図には、地図とともに買った多色のマジックペンで印が点刻されていた。

「出生数の増分、600人ほどを等確率として、時期に分けて記入しました。赤、青、黄、緑の順です」間宮が説明する。「見てなにか気づきませんか?」

「同心円状になってる?」

 間宮は地図を手に取った。紙が乾いた音を立てる。

「怪異としては不自然です。都市伝説、風説の流布は疫学的な法則に従います。怪異も人の恐怖に反応しますから」

「疫学…?」私は眉を寄せた。

「例えば、拒食症は伝染します。ダイアナ妃の拒食症が報道されると、世界中で拒食症が増加したんです」

「はァ…」

 私は溜息ともつかない声を洩らした。間宮は私を一瞥した。

 間宮の経歴については、大卒かすら知らない。けど、民俗学や社会科学に詳しい。ただ、知識が偏っていて、独学かここの現場研修じゃないかと思った。

「伝染病の拡散は非線形常微分方程式に従います。けど、これは線形に時間に従ってます」

「K市の出生率の増加は、その、疫学に反する?」

「子宮内に腫瘍が出来るという意味では、病気ですけどね」

 間宮は短く皮肉を言った。

「つまり… この同心円の中心に、怪異の本体がいる?」

「それが何かは分かりませんけど」

 間宮は頷いた。手を伸ばし、地図の上に指を滑らせる。

「ですが、この中心部をローラー作戦する前に、やることがあります。赤の印が全体に散っているのに気づきました?」

 色の点描が多重の輪を描いているけど、赤色の点は、その輪から外れたものが多い。

「ああ…」曖昧な返事をする。

「確かめてみたら、これらの例外は母親の年齢が16歳から19歳でした」

 間宮の言葉に、思わず目を見開く。「それって」

「はい。全員が同じ高校に通う女子高校生でした。さきにこの高校を調べましょう」

 

 私と間宮はK市立高校へと行った。

 総務省職員の身分で教職員と生徒たちに事情聴取したけど、妊娠、出産した女子生徒たちについては何も分からなかった。

 校長はひたすら責任逃れをするだけだった。

「今の御時世、学校が生徒に干渉することは嫌われますから… 自己責任に任せると言いますか…」

 思わず眉間に皺が寄った。

「2年で40人以上の生徒が在学中に妊娠してるんですよ? 十分に学校の責任でしょう」

「まァ、それも風紀の乱れということで、生徒や父兄たちに注意を促していますから…」

 件の女子生徒たちについて、話を聞くことはできなかった。

 けど、去年の3年生については、卒業アルバムで顔を確認することができた。

 学校の図書室は上階にあった。開いた窓から、校庭で部活動する生徒たちの声が聞こえてきた。

「みんな美人だね」

 女子生徒たちの顔写真を見て言う。

「人間を顔で区別するのは人間だけですよ」

 間宮が淡々と言う。

「18歳未満の出産は、3年前から過去2年間は1件もありません。で、この高校の生徒の出産ですが、最初の事例はK市で出生率が上昇した時期と一致してます」

「その生徒がこの異常の始まりだったかもしれない… そういうこと?」

「さっき聞いた話では、出産を機に退学したそうですが、住所は分かってます」

「行ってみよう」

 

 件の女子生徒の自宅は団地だった。私と間宮が到着したときには夕方になっていた。

 夕日に照らされた団地の各棟は、古代遺跡の巨大建築物のようだった。

 住所を頼りに、そのうちの1棟を訪ねる。各棟は外廊下の構造だ。直線の廊下に、規則的に各戸の扉が並んでいる。向かいの棟も併せ、幾何学的な眺めだ。

「行きましょう」

 間宮に声をかけられ、自失していたことに気づく。

 手帳を見て、住所の部屋番号を確かめる。

 外廊下を進んでいくと、奥に人影が佇んでいるのが目に入った。

 ブレザーの制服を着た少女だ。さきほどまでいたK市立高校のものだ。肩にかかる長さの髪をしている。片目に眼帯を着けているのが異様だ。扉に向かい、片手に花束をぶら下げている。

 少女は首だけで横向きに私たちを見ていた。少女が立っているのは、目的の部屋の前だった。

 私たちが近づいていくと、少女は言った。

「お姉さんたちも御主人様に会いに来たの?」

「御主人様…?」

 眉が寄る。視線は少女の持つ花束に惹きつけられていた。

 私が困惑していると、少女は表情をわずかに変えた。私たちに向きなおる。

「お姉さんたち、用がないなら早くこの団地から出ていったほうがいいよ。お姉さんたち、美人だから… 御主人様に狙われるよ?」

「あなた、何を言ってるの?」

 足を踏みだす。少女は体を竦め、後に退いた。

 K市の異常について、少女が何か知っていることは確かだ。

「そこから動かないで」

 私が声をかけると、少女は花束を捨て、踵(きびす)を返した。脱兎のごとく駆けだす。

「待ちなさい!」

 私は廊下を走り、少女を追いかけた。

「待ってください!」

 背後で間宮も叫ぶ。

 少女は廊下の端に着くと、鉄製の外階段に飛びこんだ。けど、少女は階下じゃなく階上に走っていった。階段の鉄板が甲高い足音を立てる。

 少女を追って階段を駆けあがる。団地の広漠とした空間の外階段は、まるで空中楼閣のようだ。

 甲高い足音は屋上まで続いた。私は外階段を回り、屋上に出た。間宮が後に続く。

 屋上は低い縁(へり)があるだけで、夕空が無辺際に広がっている。見通しのいい屋上に人影はなく、私は混乱した。

 塔屋に駆けよる。けど、塔屋の扉に手をかけると甲高い軋みが鳴った。この扉が開いて、気づかないはずがなかった。

 屋上の縁から体を乗りだし、地上を見下ろす。幸い、誰かが墜落した形跡はなかった。

 私は呆然とした。夕空は地平線が暗くなり、棚引く夕雲も影になりつつあった。

「守屋さん」

 間宮が息を切らしつつ、私に歩みよる。銃器対策部隊にいた私ほどではないけど、間宮も体力がある。それでも階段を全力疾走して息が上がったようだ。

「消えた…?」

 私は間宮に尋ねた。

 けど、間宮は無感動に私を見返すだけだった。

「螺旋階段なんだから、私たちが半周したところで、入れちがいに下の階に降りただけですよ。靴を脱げば足音は鳴りません」夕風が間宮の髪をなびかせる。「守屋さん、怪異の存在を認めないのに、簡単に信じますよね」

 間宮の言いざまに、思わず苛立つ。

「訳知り顔をして… 間宮だって彼女を追ってたじゃない」

「私が追いかけてたのは守屋さんですよ。守屋さんが追ったから、彼女は私たちのことを敵だと思ったんですよ。出生率の増加に関わる何者かだと。だから、誤解をとけばよかったんです」

 私は間宮が「待て」と言ったことを思いだした。あれは私に言っていたのか。

「警察上がりの人には困りますね…」

 珍しく、間宮の顔には表情があらわれていた。わずかに軽蔑が見える。私は言葉に詰まった。

 私たちは目的の階の廊下に戻った。

 間宮が落ちていた花束を拾いあげる。

「菊の花… 弔問用ですね」

 間宮の顔の下半分が菊の花々で隠れる。白い顔がなおさら造りもののように見える。

 私は目的の部屋の扉に目を向けた。

「この部屋に何があるの?」

「踏みこめば分かる… 違いますか?」

 

  *

 

 翌日の昼間、私と間宮はあらためて団地を訪ねた。

 団地の窓と扉の幾何学的な行列は、均質な昼光のもとで、なおさら無機質に見えた。

 間宮が目的の住戸の呼鈴を押す。

「はい?」

 扉越しに女の声がする。覗き穴の魚眼レンズから間宮を見ているのだろう。

「国勢調査に来ました。お時間いただけますか」

 私は壁に体を寄せていた。ジャケットの左襟の内側に大型のボルトカッターを吊るしている。右襟には警棒だ。伸縮式のいわゆる特殊警棒ではなく、長さ60センチ以上の棍棒だ。特殊警棒は折れやすく、実用的じゃない。私はそのことを警察官としての経験で知っていた。

 間宮も左襟の内側に警棒を吊るしている。

 扉が開けば、私がボルトカッターでチェーンロックを切断して突入する。間宮が後から続く。その手筈になっていた。

 鍵を開ける金属音が鳴る。扉が開いた。

 

  ♡♡♡

 

 リビングでくつろいでいた御主人様がわたくしに言います♡

「そろそろ今日のぴゅっぴゅっをしようかな。ぐふふっ」

 

 中年男性らしからぬ喃語(なんご)に、思わずわたくしは笑みがこぼれました♡

 白手袋に包まれた指の背を唇に当て、くすりと笑います♡

「ふふっ♡ すでに用意はできております♡ どうぞいらっしゃいませ♡」

 

 わたくしは御主人様を応接間に御案内しました♡

 応接間と言っても、元々の部屋ではありません♡

 わたくしたちが住んでいるのは団地の建物の1棟です♡

 御主人様は元はその管理人だったのです♡

 今では管理人の仕事はしておりませんが… 名義上というか、書類上は今でもここの管理人です♡

 

 御主人様はお目をかけられたメスとその母親の住む部屋に移り住みました♡

 父親もいたそうですが、御主人様の邪魔になりますので、もちろん団地の外にポイッ♡ です♡

 御主人様を慕うメスも増え、わたくしのようなお付きのメイドも抱えるようになりました♡

 そうしますと、団地の住戸は手狭になりますので、1つの階を丸々、内壁をぶち抜いて改装したのです♡

 といっても、あまり広い部屋は落ちつかないそうですし… 御主人様曰く「普通の部屋のほうが催眠の異常さが分かって興奮する」だそうですので♡ 寝食は元々の住戸でなさられています♡

 そして、内壁をぶち抜いた部屋は、種付けのためにお使いになられるのです♡

 

「ふ〜、よっこいしょ」

 

 応接間に来た御主人様は、人間椅子に腰かけました♡

 

 全裸の女性が4人、四つ這いでお尻を並べています♡ その頭のところで、やはり全裸の女性が2人、床に膝を着いて肩を組んでいます♡ つまり、それぞれ椅子の座面と背もたれの役割りをしているわけです♡

 この6人は地元の体育大学で「美人すぎるバレーチーム」として有名だった女子バレーボールチームです♡ 全員がピチピチの女子大生♡ 発育が良く鍛えられた体を、御主人様のために椅子として活用しています♡

 

 全裸の元バレーボール選手たちは全員、無表情です♡ いくら体幹を鍛えているとはいえ、人間の体重を支えて動かずにいるのは大変です♡ 椅子としての役目を果たせるよう、御主人様が催眠で支援してくださっているのです♡

 

 御主人様はお尻を並べる4人の、そのお尻のほうに座りました♡

 丸く突きでた桃尻を、座りながらもみもみ♡ と揉みます♡ まるで肘掛けの代わりに、椅子の座面に手を置くようです♡

「それじゃ、今日の説明をしてもらおうかな」

 

「はい♡ かしこまりました♡」

 わたくしはタブレット端末を取りだしました♡

 白いレースのレオタードに、有能秘書らしいグレーのタブレット端末を携えたすがたはミスマッチでしょう♡

 ともあれ、今日、御主人様が種付けされるメスを紹介します♡

 

 御主人様は人間椅子の胸に脇から手を潜りこませて、垂れたおっぱいをもみもみ♡ しながら話を聞きました♡ まるで椅子の座面の裏面に触れるようです♡

 

 4人の全裸の女性がぞろぞろと入室します♡

 

 全裸の4人は人間椅子に腰かける御主人様の前で、横並びに整列しました♡

 

「オナホ1798号は16歳♡ 身長158センチ♡ バスト99センチ♡ ウエスト65センチ♡ ヒップ88センチ♡ 経験人数0人♡ 県立C高校の2年生です♡

 オナホ1799号は17歳♡ 身長162センチ♡ バスト87センチ♡ ウエスト57センチ♡ ヒップ86センチ♡ 経験人数0人♡ 同じく県立C高校の2年生、茶道部です♡

 オナホ1800号は21歳♡ 身長165センチ♡ バスト88センチ♡ ウエスト64センチ♡ ヒップ87センチ♡ 経験人数2人♡ 国立C大学の3年生です♡

 オナホ1801号は25歳♡ 身長170センチ♡ バスト91センチ♡ ウエスト58センチ♡ ヒップ88センチ♡ 経験人数3人♡ 造船大手のM社に務める会社員です♡」

 

 御主人様は目前に並ぶ4人のメスを品定めなさいました♡

 

「ぐふふ。じゃあJKの2人にチンキスしてもらおうかな。非処女の2人はいいや。ばっちいからね!」

 

 御主人様に言われ、女子高生の2人が、御主人様の両足のあいだに這っていきます♡

 1人は短髪でぱっちりした目をしていて、それにアンバランスな巨乳♡ 大きなおっぱいが目立って、御主人様のお目に適うだろうとすぐにスカウトしました♡ 高校ではその大きなおっぱいが男子生徒たちをムラムラさせて仕方がなかったでしょう♡ それも今では御主人様のものですが♡

 もう1人は背中まである長い黒髪で、垂れぎみの切長の目をしています♡ いかにも温室育ちといった清楚な印象です♡

 

 なお、女子大生は長い茶髪をウェーブさせたギャル風、女子社員は髪を耳が出るくらいに短くしたキャリアウーマン風です♡

 

 短髪の女子高生と長い黒髪の女子高生が、それぞれ御主人様のおちんぽ様を「あむあむ♡」と咥えます♡

 舌技としては拙い、というより、ただ食(は)んでいるだけですが、御主人様は美少女の女子高生にフェラチオさせているという事実に満足されているようです♡

「ほほう!」

 と、愛くるしい声をあげられます。

 

 次に、御主人様は4人にお尻を突きださせて並ばせました♡

 そのおまんこを1人ずつ突いていきます♡ もちろん、高校生の2人は処女喪失になります♡

 

 ぱんぱん♡ ぱんぱん♡ ぱんぱん♡ ぱんぱん♡

 

 御主人様の太ったお腹が、新しく用意されたオナホたちにぶつかって、小気味のいい音が鳴ります♡

 

 御主人様はひととおり4人をお試しになりますと、心を決めたように言いました。

「うん。今日はどれも当たりだなァ。JK2人はしばらく使おうっと。とくにおっぱい大きいほうね! ぐふふっ!」

 搗(つ)きたてのお餅のような、白くて柔らかなおっぱいを、御主人様はたぷたぷ♡ と手のひらで弾ませました♡

 御主人様にお喜びいただいて、わたくしもこの短髪の女子高生をスカウトした甲斐がありました♡ 遠目にも分かる、セーラー服のスカーフを押しあげる巨乳♡ それで思惑どおりに御主人様にお喜びいただいて、漁師が大魚を釣りあげたような満足感をおぼえます♡

 

「さてと、このJKたちに射精(だ)すのはもったいないから、今日はこのババアに膣内射精(なかだし)しておこうかな。手伝ってよ」

「はい♡ ただいま♡」

 

 キャリアウーマン風の女子社員が床に手足を着きます♡

 御主人様はその背中に覆いかぶさりました♡ 御主人様の太った体で女子社員が隠れてしまいそう♡ 見事な後背位です♡

 

 その頭のところで伊月が膝立ちになります♡ そして御主人様の両手を取ります♡

「さあッ♡ 御主人様、しっかり掴まれ♡」

 さらに、体格のいいミンが御主人様のお腹に両腕を回し、そのお体を抱きあげます♡ 介護士が患者を抱えるような格好です♡ もちろん、ミンのたわわなおっぱいが御主人様の背中で潰れています♡

「御主人様〜♡ がんば〜♡」

 

 つまり、これで御主人様はほとんど自分の体重を支えていないことになります♡

 例えるなら、ハンモックに腹這いに寝そべって、ゆらゆら揺れているよう♡ 下半身は重力から自由になっています♡

 

 そして、ソーニャが御主人様の後ろに取りつきます♡ 御主人様の太ったお尻を、長手袋をはめた両手で割り開きます♡

「失礼するわ♡」

 冷然とした声で言い、冷たい空気に晒された御主人様の菊門に「ふーっ♡」と温かい息を吹きかけます♡ そして、そのまま舌を這わせます♡ 御主人様の菊門から垂れたおきんたままで、ペロペロと舐めまわします♡

 

 ぴちゃ♡ ぴちゃ♡ ぴちゃ♡ ぴちゃ♡

 

 3人のメイドに助けられながら、御主人様は下半身だけをカクカクと振って女子社員に打ちつけます♡

 

「御主人様〜!♡ がんばれ〜!♡」

 愛が拳を振りあげて応援します♡ ひとりだけ役立たずですが、まあいいでしょう♡

 

「おっ、おうっ!」

 御主人様は声をあげられると、女子社員の膣内に精を放たれました♡ そのあいだも丸く突きでたおきんたまはソーニャの舌に温められています♡

 

 びゅるっ♡ びゅるるるっ♡

 

 射精すると殿方は脱力するものですが、御主人様はそのあいだも伊月とミンに体を支えられています♡ そのため、女子社員に腰を密着されたまま、満足にお射精なさっています♡

 

「御主人様♡ 本日も見事な射精、お見事でございます♡」

 わたくしは拍手で御主人様を讃えました♡

 

  04

 

 目的の住戸は内壁をとり去り、数部屋をひとつにしていた。

 そのフローリング張りの床に、私は全裸で正座していた。

 数人の女が立ち、私を見下ろしている。最高でも20代前半だ。ほぼ全裸で、ランジェリーと思しい衣装を着ている。ただし、それらは秘部を晒すように改造されている。そのわりに長手袋や長靴下を着けていて、まるで仮装だった。

 そのひとりが進みでる。

「御主人様に仇なそうとするなど、万死に値します。生きているだけで幸運と思いなさい。御主人様の御厚情に感謝するのですよ」

 流暢な日本語を話すけど、腰まである金髪の西欧人だ。乳房を剥きだしにした、白いランジェリーを着ている。陰部も同様だ。

 細い鼻筋の美人で、そのわりに童顔だ。人種を考えれば、年齢は10代だろう。はじめて見たとき既視感を覚えたけど、その正体が分かった。ミケランジェロのシスティナ礼拝堂天井画の天使だ。それほど現実感がなかった。ただ、中世の絵画にしては乳房が大きすぎた。

 女たちのひとり、10代半ばの少女が嗚咽しながら怒鳴る。明らかに就学年齢だけど、やはり淫らな仮装をしている。素朴なショートカットの髪型だ。

「ううッ… 酷いよ! こんなもので御主人様を襲おうとするなんて!」

 少女は両手で警棒を持っていた。警棒は5キロ以上の重量があり、少女の細腕では支えきれないらしく、よろけていた。それでも警棒を振りかぶると、それを正座する私に打ちつけた。

「御主人様はなにも悪いことをしてないのに! ただひとりでも多くの女の人を孕ませようと頑張ってるだけなのに! それを傷つけようとするなんて! この! この!」

 少女は私を警棒で殴ったけど、衝撃はほとんど警棒の自重だけだ。私は拳々服膺として打擲(ちょうちゃく)に耐えた。

「そのくらいにしておけ、愛。私も業腹だが堪えているのだ」

 ポニーテールの少女が諌める。

 御主人様に催眠していただいた今、少女たちの怒りはよく理解できる。何も知らなかったとはいえ、御主人様に危害を加えようとしてしまったことに、激しい自責の念を覚える。

「そのとおりです。このものをどうするかは、御主人様の判断をお待ちしましょう」

 そう言い、金髪の女は部屋の隅からガラス製の台車のようなものを押してきた。車輪が鈍い轟音を立てる。台車は巨大で、2メートル四方はある。車輪が付いていなければ、ひとりでは運べないだろう。

「それにしても、これを用意しておいてよかったです。御主人様に仇なすものが現れるなど、とても信じられませんが… 備えあれば憂いなしです」

 台車は分厚いガラス板が上下に重なっている。そのあいだに間宮が全裸で挟まれている。隙間に収まるように大の字になり、顔を横向きにしている。まるで昆虫標本みたいだけど、ガラス板そのもので固定されている。ガラス板の四隅に柱が通っている。けど、上のガラス板は上下に動かせるようだ。

 金髪の女が言う。

「御主人様。どうぞいらしてください」

「ぐふふッ。これはすごいねェ」

 御主人様が現れ、ガラス板と、それに挟まれた間宮を見下ろす。御主人様は全裸だ。中年で肥満した腹と、その下の陰茎を晒している。揺れる陰茎は大蛇のようだ。

 金髪の女が手のひらを上にさし向ける。

「どうぞ。御主人様、お乗りください」

「乗って大丈夫? 色々とね!」

「はい。アクリスガラスですので、割れる心配はありません。アクリルガラスの重さに加えて、御主人様の体重をかけられた彼女が無事かは分かりませんが…」

 間宮の固定はガラス板の重量そのもので行っているようだ。少なくとも、自力で持ちあげることはできないだろう。

 金髪の女は屈みこみ、バチンと音を鳴らし、台車の車輪にストッパーをかけた。

 御主人様が台車にのぼる。高さがあるため、金髪の女が手を貸した。

「うッ」

 成人男性の体重をかけられ、間宮が呻きを洩らす。しかも、御主人様は肥満体だ。

 ガラス板の重量がどれくらいかは分からないけど、私は不安をおぼえた。

 台車の上から、御主人様が私に向けて手を伸ばす。

「ぐふッ。君も来なよ」

「はッ♡ はいッ♡」

 期せずして媚びた声がでて、私は赤くなった。

 御主人様にお声をかけていただくことが、これほど幸福感をもたらすとは予期していなかった。

 正座していた足を立て、御主人様のほうに行く。ひと足で台車に上る。

「ぐうッ」

 足下から間宮の呻きが聞こえたけど、私の視線は御主人様に惹きつけられていて、注意が向かなかった。

「ぐふふ。僕好みの爆乳デカ女。まさにカモネギだよね!」

 金髪の女がタブレット端末を取りだす。

「オナホ1802号は27歳。身長180センチ。バスト92センチ、ウエスト64センチ、ヒップ85センチ。経験人数2人。残念ながら、歳が行っているので御主人様の1軍には入れませんが、2軍としてなら採用できます。なにより、元警察官という職歴ですので、身辺警護に使えるかと」

「いいねェ。採用!」

「光栄ですッ! 誠心誠意務めますッ!」

 警察官のあいだに馴致した礼式で、反射的に敬礼してしまう。無帽どころか全裸なのだから、かえって無礼だ。

 女の幸福は御主人様の子供を孕むことだ。その幸福を得られないことは残念だが、その代わり、御主人様の側にお仕えして、すべての女の幸福に貢献することができる。胸中に感動が殷々(いんいん)と広がった。

 金髪の女がタブレット端末に視線を落とす。

「オナホ1803号は24歳。身長163センチ。バスト82センチ、ウエスト54センチ、ヒップ81センチ。経験人数0人。顔だけなら1軍ですが、おっぱいの大きさが足りないので2軍ですね。御主人様にとくに御希望がなければ、いつもどおり種付けのローテーションに組みこんでおきます」

「うん。それでお願いね」

 ようやく私は足下の間宮に視線を落とした。

 ガラス板を持ちあげようとしたらしく、ガラス板の下で、間宮は奇妙な姿勢をとっていた。

 このガラス板は女体を目立たせる目的もあるのだろう。窓ガラスに張りついたヤモリを裏面から見たように、ガラス板に接した肌が均されている。けど、間宮は痩せた体形で、体の肉付きはあまり目立たなかった。

 顔は横向きで、頬がガラス板に張りついている。

 間宮がすぐに御主人様の子供を孕むという幸福を得ることに、嫉妬をおぼえる。

 けど、これだけは言っておかなければならない。

 私は間宮のほうに歩を進めた。ガラス板越しに顔を踏みつける。もともと全体重がかかっているから、正確には、顔のほうに重心を移したと言うべきだろう。間宮からは、私の足裏が、ガラスで均されて見えているはずだ。

「間宮。今までありがとう。だって、もし死んでたら御主人様にお仕えすることも、子供を孕ませてもらうこともできなかったんだから。間宮が今まで私を助けてくれたのは… 私が御主人様にめぐり会うためだったんだね♡」

 感謝を伝え、私は胸のつかえが取れたように感じた。

 私は間宮の人形のような顔を見た。間宮は両目を閉じていた。瞼から涙があふれ、横向きに流れていく。

「うッ…! うえ〜ん!」

 間宮は泣き声をあげた。子供のようなギャン泣きだ。ガラスの圧力で身動きできないけど、全身を震わせている。

 不覚にもプッと吹きだしてしまう。悪いとは思ったけど、全裸で号泣する間宮は無様すぎた。

 ただ、心の片隅では安堵も感じていた。私と間宮は何度も死線を越えてきた。間宮がまだ御主人様に敵意を抱いているなら、窮余の策を打つことも考えられた。けど、もうその心配も要らないだろう。

 御主人様が私の裸の尻をパシンと叩く。

「あッ!♡」

 肘を脇に引きつけて、媚びた悲鳴をあげてしまう。私は御主人様よりだいぶ身長が高いから、なおさら尻を叩きやすいようだ。

「ほら。おマンコを使ってあげるから、はやくお尻を出しなよ」

「はッ… はいッ!♡」

 御主人様が挿入しやすいように、私は膝を屈めた。

 すぐに御主人様が私の腰を掴み、太い陰茎を陰裂に挿入する。久しぶりの挿入だけど、興奮で膣は熱く潤っていて、御主人様の陰茎をすんなりと受けいれた。

 御主人様が腰を私の臀部にぶつけ、パンパンという破裂音が鳴る。私は上体を傾けていて、もて余す乳房が垂れている。その乳房が前後に揺れてしまい、恥ずかしい。

 私たちが立つガラス板はガタガタ揺れている。長身の私と肥満体の御主人様を乗せ、性交の振動を加えられて、間宮は大変だろうけど、気にする余裕はなかった。陶酔して、顔が熱くなっているのが分かる。涎が垂れないように気をつけるので手一杯だった。

 堪えきれず、私は喘ぎ声をあげた。

 金髪の女が御主人様に語りかける。

「オナホ1804号のことですが、申しわけありませんでした」

 部屋の片隅で、10代の少女が全裸で正座している。私と間宮が会った眼帯を着けた少女だ。

「オナホを選別するときに健康状態で除外したため、オナホ1804号は漏れてしまったようです。顔は御主人様の子供を孕むのに足りるのですが… 今後は身体障害については、顔写真で直接、選別しなおすことにします。どうか御容赦ください、御主人様」

 金髪の女は正座する少女に手をさし向けた。

「オナホ1804号ですが、傷物、不良品であることは確かですので、孕み要員ではなく、ウォシュレット係に配置する予定です。本日より、大きいほうの用を足されたあとはオナホ1804号をお使いください。前任のオナホ386号は廃棄処分しておきますので」

 全裸で正座する少女の顔が青ざめる。嘔吐反射なのか、喉から息を洩らす。

 仁王立ちで腕組みしながら、ポニーテールの少女が大喝する。

「御主人様の急所を清める大任だッ! 光栄に思え! メイドの務めさえなければ、私が貴様に代わりたいところだ!」

 そう言われても、眼帯の少女は正座したまま体を震わせるだけだった。

 御主人様が声をあげる。

「おおッ! その顔、良いよォ! ううッ、もう出るッ!」

 その御言葉のとおり、私の膣内で御主人様の陰茎が膨らむ。

「はッ、はい…!♡ 今日は安全日なので、どうぞ中でお出しください♡」

 ポニーテールの少女が腕組みしたまま、上目で私を睨む。

「ふんッ。安全日に膣内射精していただくなど、私たちお付きのメイドにしか許されない名誉なのだぞ。本来、貴様ごときに許されることではないのだ」

「はッ、はいッ!♡ 光栄に思います!♡」

 少女の口調は厳しかったけど、いたわりを感じた。私たちはすでに仲間なのだ。

 

 びゅるッ♡ びゅるるるッ♡

 

 私の膣内で御主人様が精を放つ。

 膣内を満たす熱い精液の感覚とともに、私は感動にうち震えていた。

 今日から御主人様の偉業に仕える日々が始まるのだ♡

 





・登場人物紹介

・間宮真弓(24)

 瀬戸内海のある島の巫女。代々、水蛭子を鎮撫する巫女の家系に生まれる。その役目が放棄されれば国土が転覆すると言われる。その宿業を解く方法を求め、高校卒業後、生家を出る。フリーランスの霊能力者として活動していたが、調査資料室にスカウトされる。反出生主義者。
 オナホ1803号になったあとは2児を出産。

・守屋桃耶(ももや)(27)

 元警視庁巡査部長。銃器対策部隊の隊員だったが、人質籠城事件の犯人射殺の責任を問われ、左遷される。だが、犯人を射殺した銃弾の出所は判明していない。調査資料室に配属され、怪異の存在を知っていく。
 オナホ1802号になったあとは、メスの確保や拘束で活躍。

・梓(10)

 戸籍不詳の少女。神奈川県T川沿岸の児童遺棄事件で保護され、守屋が引きとる。名前は守屋が付けた仮名。
 守屋によって「御主人様」に提供され、10歳にして妊娠。

・忍足(おしたり)(35)

 調査資料室第1係主査。間宮と守屋の上司。国家公務員総合職、いわゆるキャリアで、怪異のことは調査資料室に配属されてから知った。野心家で犠牲を出すことも厭わず、部下からは疎まれている。
 すでに催眠されていて、千葉県K市の調査を要請されるたび、調査官を派遣している。毎回、調査官も催眠されて帰還する。

・原間照男(43)

 千葉県K市H団地の管理人。冴えない中年だったが、催眠アプリを手に入れる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。