唯一無二の親友だった幼馴染が実は女で何かもうぐちゃぐちゃだ 作:山崎世界
ノクターンノベルズを中心に活動していますが活動の幅を広げたく思い自己紹介がてら過去作を紹介いたします
小さいころから転校を繰り返して、知らない土地を転々としていた俺は、いつの頃から他人と親しくすることが無くなっていった。
今時、スマホのメール、SNS……人と繋がる手段なんていくらでもあるように思うだろう。けどその当時は自分用のスマホなんて望むべくもないガキだった。しかしそれは言い訳で、持ってても結局変わらなかっただろう。
そのさらに昔はもっと泣きじゃくっていたと思うが、どうせ大人の事情には首を突っ込めやしないと諦めて、そうして執着することもなくなっていたと気づいた。
要するに、俺は人付き合いが苦手になっていって、諦めもよくなった。ずっとこの場所にいたい、とか、あるいはどこへ行っても必ず帰ってきてしまうというような、郷愁の念、と言えばいいのか。そういうものがなかった。それがあるいは元々そうだったのか、もはや分からない。
そんな、いくつかあった出会いの果て。
それは、町に着いたばかりのころ。荷解きの最中、せっかくだから町の中を見て回って慣れるといい、と少しばかりの小遣いを渡されて、家を追い出されるようにして外に出た。
別に手伝いくらい言われればするのだが、邪魔だったのかあるいは転校ばかり繰り返させることに気が咎めて気遣ったのかは分からないが、遊び方も知らない土地にほっぽり出されて、迷子になるのも怖くて近くを歩く。
平日の昼、ただでさえ寂れているような公園。ましてや近所の子供たちはまだ小学校に行ってるような時間。誰もいないと思っていたところに、ぽつんと人影があった。
ジャングルジムの上。一人、つまらなさそうに空を見上げていた。短パンに蝶ネクタイのちょっとよそ行きの上品な格好をしていた。
「……なにやってるんだ?」
らしくないなと思いながらも俺は声を掛けた。
「……きみは? みかけないかおだね」
お互いに噛み合っていないファーストコンタクトだったと思う。
「俺は高階(たかしな)友斗(ゆうと)。さっきこっちにこしてきたばっかり」
「ふーん……」
興味なさげにそいつはまた視線を空に戻した。
それは拒絶だったんだろう。これ以上関わるつもりもないという意思表示。
何だコイツ、と興味を失くして去っていくことを期待したものだったんだろう。
「……よし」
俺は一つ気合を入れて、ジャングルジムを上った。隣まで来ても驚く様子もなく去ろうともしなかった。
「なんかヤだよなーおとなって」
俺が呟くと、ようやくそいつはこっちを向いた。
「いっつもふりまわされてさ。ヤになる。ホントに。何で、何回も何回も転校ばっかしなきゃなんないのかなって」
気づけば泣いていた。
涙なんて今さら流すこともないと思ってた。だってそんなもんかっこ悪いし、もうとっくの昔に諦めてたと思ったのだ。口ではどうこう言おうと、俺にはもう幼馴染なんて出来はしないって。
それでも、弱音とかそういうものを吐き出したのは、きっと、この出会いが特別だったからなのだと思う。
「……きみも?」
初めてだった。隣に座ったそいつが、俺に興味……いや、共感を示して、触れてきたのは。
「お前も、転校ばっかなのか?」
「ううん、ちがう。ぼくはきっとここから離れられない。けど、いやになることばっかりだ」
「そっか」
俺とは全然違うじゃないか。とは口をついて出なかった。
何でだろう。形は違っても、俺達が感じていた悩みはきっとどこかで似通っていたのだ。そういう年ごろだったと言ってもいいのかもしれない。
ただ、コイツの場合は俺よりもずっと世の中だとかそういうのが見えてそうで、俺のことも見透かされていそうだった。
だから、ついつい口をついて出た。
「俺、友達が欲しい。ずっと、ずっと忘れらない友達が、今度こそ」
諦めたつもりだった。けど、俺はずっと願ってたのだ。
形だけの別れの挨拶。再会の約束。転校してからは実際のところ、年賀状の一枚だって送られてきたことはなかった。そんなもんだとずっと思ってた。
けどそうじゃなくて、別れてからも繋がってる絆を、今度こそ見つけたかった。
「……そっか」
名前すらまだ知らないそいつは、ジャングルジムを一気に降りた。もたもたしている俺を尻目に、そいつは公園の出口に。そこにいつの間にか止まった黒塗りの高級車に歩いていった。
「……」
去り際、確かにこっちを振り返り、手を振った。
まるで、また会おうって。そう言っているみたいに。
※※※
翌日。転校先の小学校。俺は期待に胸を弾ませて、教室を見回した。しかし、あいつはいなかった。
学校中を探し回っても、その姿はなかった。
ここまでなのか……と。諦めかけた。でも、それじゃダメだと必死に自分を奮い立たせた。
俺は放課後、あいつと会った公園に行った。そこでは学校から解放された同じ小学校のやつらが遊んでいて、俺はそれを陰に隠れて、やり過ごした。
そうして、夕暮れも過ぎて、誰もいなくなった公園。満を持して俺はジャングルジムをのぼってあいつを探した。
そして、辺りがすっかり暗くなって街灯の灯りが微かに照らす中、公園の出口に車が停まった。
「……」
そこから出てきたあいつは、驚いた顔をしてこっちを見た。
「どうして……」
俺はジャングルジムを降りて、あいつの元に駆けよった。
「どうしてって。お前にまた会いたかったんだよ」
そして、告げた。
「……倉科(くらしな)しのぶ」
あいつ……いや、しのぶの名前を俺はようやく知った。
その後、夜遅くになって帰って叱られても、俺はちっとも苦にはならなかった。
※※※
しのぶの家はここから少し離れたところにあって、小学校も別……というか私立の学校に通っているらしかった。
あの再会の日。しのぶは別に俺に会いに来たわけではなかった。ただ習い事があって、その帰り道で俺を見つけたとか。
「ぼくが通りかからなかったらどうしてたんだが」
「そん時はまあいいじゃん。お前、来てくれたんだから」
「まったく……バカだな、ゆーとは」
あの日以来、しのぶの家は知らなかったが俺の家に休みの日の度に訪ねてきてくれるようになった。
最初のうちはぎこちなかったが、次第に笑顔を見せてくれるようになった。
週末が、休みの日が来るのが待ち遠しくなって。そのため……というのも変だが学校もそこまで苦じゃなくなった。
泊まりもそう珍しいことじゃなかった。ただ、ビニールプールで遊ぶくらいのことはしてもなぜか風呂には一緒に入ろうとしなかったりしたが。そういう奇妙なことがあっても気にしないくらいに俺たちは一緒に過ごして、笑い合った。
「あの学園の制服、カッコいいよな」
「そう、そう、かな……?」
「俺も着てみたい……そんで、お前と並んで、通いたい」
「……そう……そう、だね」
手を繋いで、街を歩いたり、縁日に出かけたりした。
「んん……」
一緒の布団に入って、寝入っている最中、しのぶは時折、眉を寄せて苦しそうにしていた。
多分、何か悩みを抱えてるんだろうなってことは分かった。けど、しのぶは何も打ち明けようとしなかった。
それを少し寂しいと思ったが、でもここで問い詰めるのはただの自己満足だろう。それでしのぶが離れていってしまっては元も子もない。
「……ゆーと……」
でも、夢の中で俺を呼ぶのなら、俺を求めてるなら、俺は抱きしめたいって思ったのだ。こいつの力になりたいと。心から。
俺はしのぶの頭を抱きしめ、背中を撫で……やがてしのぶは穏やかな寝息を立てた。
※※※
それからあっという間。一年もしないうちに、俺はまたこの土地を離れることになった。
何でだってそりゃもう、俺はこれ以上なく泣き喚いて、親もすまなそうに頭を下げた。
「……おれ、ぜったいにおまえのことわすれない」
「うん」
お互いに泣きながら、最後の別れの挨拶をした。
「てがみかく。ぜったい。そんでいつかぜったいあおう」
「うん。やくそく」
何度もしたような約束。けれど、俺は今度は約束を守った。最初に、住所と連絡先の手紙を送って。
成長して、お互いにケータイ持つようになったら親の目を気にすることなく連絡し合った。
そうして成長していった、ある日。思春期というか、発情期というか成長期に差し掛かった時のこと。
『ねえ、ゆーと。ゆーとってオナニーする時ってそんなタイプで抜くの?』
「ぶっ!?」
いきなり何聞いてきやがるこいつめ!
『今さら遠慮する仲でもないと思うよ』
「そりゃそうだけど……聞いてどうすんだよそんなこと」
『いやいや、うん。そろそろオナネタの交換ぐらいしてもいいかなと思ってね。でもゆーとの性癖とか分からないから、変なのあげても申し訳ないし』
「……」
そういうもん、かな。友達でエロ本の貸し借りとかよく聞くが。あれから交友関係も結局しのぶくらいしかいないもんだからよく分からん。まあそれで別に何も困らないんだけどさ。
「……尻とか結構好き。肉づきはそこまででもなくぷりん、としてる感じ」
『……へー……』
「……あとへそ。スマートなウエストのラインからへそから覗く下乳のラインとか結構グッとくる」
『なるほど。ふむ……胸はそこまでおっきくなくていいのかな?』
「あーそうだなー。そりゃ大きいにこしたことないみたいなとこあるけど大きすぎるとそこら辺のバランスが崩れがちになるのがなー。CかDくらいまでがベスト? みたいな」
何を語ってるんだ俺は。でもこいつならいいか、ていうちょっとした楽しさと心地よさも感じていた。
『なるほどなるほど……うん。分かった。ちょっと待っててね』
そういって、電話を切ったしのぶ。
何だろう? と思いつつもそのまま風呂に入り、そして出て来た時、メールが着信しているのに気づいた。
(……L〇NEのメッセージでもなくメール……?)
何だ? と思いつつも開くと、何やら添付ファイル付き。画像のようだが一体、と中身を確認する。すると……それはエロ画像だった。
画質もスマホで撮ったように低く、ピントやら光源やらも雑な素人、と言った感じ。故に、その触れられそうなほどに近しい感覚に、興奮を覚える。
一枚目。へその窪みから少しだけ見上げるようにして、ウエストの綺麗なラインから、乳房を隠すようにかざした左手の細い指が映る。その指の隙間から、ピンク色の右乳の乳輪が垣間見える。膨らみは、そこまで大きいわけでもない。発展途上、と言った感じだ。同年代……かな?
二枚目は、四つん這いになって後ろから写したような姿勢。足を曲げてお尻を突き出すようにして、程よい肉づきのヒップラインがドンと飛び出るようにドアップで映し出され、右足が少しだけ前に出るようにして、何も履いてない股間が見えている。影になって見えづらくはあるが、無修正の女性器だった。
「な、え……!?」
すぐに俺はしのぶに電話をかける。
『あ、ゆーと、メール届いたかな?』
「おま、え、なんだこれ。なんだこれ」
何というかスゴいものを見せられて語彙が喪失気味だった。
『ん? ああいやいや、うん。ネットで見つけてね。よかったらって思ってプレゼント。ゆーとの希望に沿っているものと思うんだけど……どうだろう?」
「あー……うん。アリガトウゴザイマス」
『ハハハ、喜んでもらえたようなら何よりだけれどね。ああ、でもあれだよ。拡散はしないようにね』
「うん? 何だ? まさか顔見知りとかか?」
『……ま、そんなところだね。まあ|ゆーとが望むんなら(・・・・・・・・・)、別に誰かに見せたっていいんだけど』
うん? よく分からないことを……。
『それで、ゆーと。お返しはくれるのかな?』
「あー……その、色々やって貰ってなんだけど、俺、データでそういうの持ってないんだわ。本とかDVDとかで……悪いんだけど」
『……ふーん。ま、別にいいんだけどね……ああそうだ。他に何かリクエストとかあったりする?』
ここまでしてくれた割にはあっさりと話題を切って、そのまま二、三言話して電話を切った。
「……んー……」
そしてその通話後、またメールが届いた。
それはさっきの電話の中で最後に俺がリクエストした通りの画像。おっぱいを思いっきり寄せて胸の谷間を形作っているアップの画像だったり。脇、とか太ももの画像とか。
こうもリクエスト通りの画像をそろえてすぐさま用意できるとか並々ならぬエロへの執念を感じるが、その見返りを要求することも無いとは……神か。
そんな思春期のことがあって、俺はすっかりとしのぶが差し出したエロ画像で抜くようになっていった。
他のネタに目移りすることも時折あったのだが……何故かしのぶのくれた画像に勝るものはなかった。むしろそれを上回るものがあるだろう、と数年探してみたがそれこそ本物のAVの本番行為でも、しのぶの差し出した微エロ画像にはかなわなかった。
何故かは分からないが、これが俺の好み、ということなのだろう。俺はこの時初めて自覚したのだった。
そして、俺達は数年ぶりに再会することとなる。