唯一無二の親友だった幼馴染が実は女で何かもうぐちゃぐちゃだ 作:山崎世界
入学式を終えて、俺達は二人並んで寮に帰ってきた。一緒のクラス、無難に自己紹介はこなしていけたと思う。
顔見知りなんぞはいなかったが。当たり前と言えば当たり前かもしれないが。それはしのぶも変わらなかったみたいだが。俺はこいつが一体この土地でどんな風に暮らしてきたのか、何も知らない。
「ふぅ……」
しのぶが安堵のため息を吐きながら、制服の上着を脱ぎ、シャツを脱ぎ始める。
「て、何してんだ」
「何って……これでも色々と息苦しいんだよ。部屋の中でくらい、ゆっくりと息抜きさせてほしいんだけどな」
そのまま、しのぶは俺に構わずシャツを脱ぎ捨てた。現れたのはさらし姿の上半身で、その細い肩、押しつぶされてもわずかに分かる膨らみがあらわになる。
「……悪い」
「別に見ててもいいよ? 今さら遠慮する仲でもないし」
くるっと背中を向けた俺に対し、軽く笑いながら言う。しゅるしゅると、さらしを解く布擦れの音が聞こえる。
挑発されている。
「飲み物買ってくる」
「……そう」
結局、俺は部屋を後にした。
※※※
帰ってくる頃にはしのぶは既に着替え終えて、テレビを眺めていた。
少しだけ大きいYシャツ。ボタンを上から二つほど開けて、胸元に谷間を作っているのが見える。その奥の肩の部分には下着の姿は確認できない。下半身を隠すものはなく、抱えた足の隙間から覗く薄緑色の女物の下着を隠そうともしていない。
「おかえり」
「……」
「どうかした?」
「……何でもない」
ただ、不覚にも感動してしまった、んだと思う。真実が判明して、こいつと分かり合ってたなんて幻想だと思い知らされたはずなのに。それでも、こいつといると落ち着く。
「ああそうだ。シャツ、借りてるよ」
「そうか」
「……いいんだ?」
「いいよ。お前も、あんまり窮屈な服装ってイヤだろ」
何が正解なのか分からない。これが友達として当然なのか、あるいは……男女の仲として。
しのぶの想いに応えられないくせに偉そうなことは言えないがそれでもしのぶの力になりたい。
「うん。まあそうだね。でも、それだけじゃなくて……ゆーとの服に包まれてると、落ち着く」
ちらりと視線を向けると、目が合う。引き寄せられる。
俺の知らない目の色をしていた。テレビの音は、既に聞こえない。
「ゆーと……」
甘く、濡れた声。そのまま、唇を押し付けてくる。
「……嫌がらないんだ?」
しのぶは挑発的な視線を間近から送る。
怖い。逃げたい。無かったことにしたい。そういう感情もあった。けどそうしてしまったら、それこそ親友(しのぶ)を永遠に失ってしまうことになる。
それに……勘違いかもしれないけど、しのぶも少し震えているような気がしたのだ。しのぶだって怖いのに、失いたくないってともすれば俺以上に感じていて、それでも我慢ならずに前に進もうとしているのか。
だったら、俺だけは何があっても離れないようにしないとダメじゃないか。
「ぼくじゃ溺れるには足りない? いいんだよ。ただ自分が好き勝手出来る女の子が一人ここにいるって考えるだけでも。友達みたいな女の子、で。別に関係が少し変わったからって、ぼくとゆーとで気まずくなったりもしないよ」
「それは……」
しのぶの身体はくらくらするくらいに魅力的だった。それは、俺の初めてで、唯一触れたことのある身体というだけでもない。
でも、それはきっと違うんだと思う。何かを決定的に間違えてしまう。
俺は、こいつと一緒に楽しんだり、喜んだりしたいんだ。こいつと関係が変わって、俺は喜んで、しのぶも喜んで。結果は同じに見えるかもしれないけど、それはどうしようもなくすれ違ってしまっているように思う。
表面上は仲良くできても、裏で一体何を考えているのか分からない。そんな疑いを、一生払拭できないまま、過ごしてしまう。
「ゆーとは優しいね、そして卑怯だ。ぼくの気持ちも何も知ってるくせに、知らないふりをする。もっともらしい理屈並べて。そんな誠実さだとか、要らないって言っているのにさ」
甘く、そして苦い。誘惑。糾弾。思えばしのぶが今まで見せたことのない一面だった。
「まあいいや。それは、ゆーとがまだぼくの魅力に参ってない。そういう解釈にしておこうか」
「それはちが……ん……!?」
唇を塞がれて、言葉を止められる。そのまま、しのぶの舌は口の中に侵入してくる。
「んむ、あむ、ちゅぷ、ふぁ……はぁ……んれろ」
驚いて閉じそうな顎を止めて、受け入れることを決める。舌を噛んで、怪我させたりしたくない。
「んふ、れろ、くちゅ、じゅる……むちゅ」
言い訳なのか、口内から脳まで蕩けさせられるような快感に、今一つ判然としない。
「ねえ、ゆーと。ゆーとって、二人っきりでさ。オナニーどうするつもりだったのかな。寝静まった後に一人でするつもりだった? ぼくに断って出て行ってもらう? それともぼくのいない隙を狙って?」
しのぶの、やはり男とは違う細い指が胸元を這い、そしてそのまま下に。ズボンの中に手を入れる。
「まあ、どうせゆーとのことだから、そんなことするくらいなら誘ってと言っても一人でするのだろうけど。だったら、そのまま忘れられないようにしてあげる」
そのまま、肉棒を取り出して、しゅっしゅっと擦っていく。
「ぅぁ……」
「強い方がいいんだよね? もっと、ん。荒々しく、吐き出すことだけ考えるみたいに。こうかな?」
手の動き。それはきっと、俺の動きを追っている。俺が一人で慰めようとするときに、否応なく思い出させようと。染みつかせようとしている。
「はぁ……はぁ……」
しのぶの息は荒い。それは疲れているというよりも興奮している。俺の足に秘部を擦りつけるように腰を軽く動かして、俺の胸元に自分のおっぱいを押し付けるようにして、その動きにシャツが脱げて、肩。それに乳首が露出する。
明るい中で見たしのぶの裸体……そこで、俺の頭の中に電流が走る。
「お前……まさか、写真……」
「ん? ああそうか、今気づいたのかな? そうだよ。ゆーとに送ってた写真、全部ぼくが自分で撮った写真だよ」
ただの写真、ではなく顔が写らないようにされてたエロ写真。
その実物が、匂い。感触とともにある。その事実に、肉棒がそそり立ち、我慢汁が溢れ出る。
何ということもなく、しのぶは本当に。俺からすれば気が遠くなるほどに昔から、そして驚くほどに深遠に、俺を手に入れるために動いていた。
「……まあでも予想以上ではあったね。結構、その手のものは多かったし、でも全部その内使い物にならなくさせてあげるよ」
ぎゅっと、肉棒に這わせて上下させていた指を止めて、握る。執念めいたものすら感じる。
「んむ、ちゅぷ……」
肩口に、服ごと噛みつくようにする。
「相変わらず拒まないんだね。役得って考えてるんならそれはそれで嬉しいんだけど、そうじゃないんだろうね。苦しまなくていいんだけど。まあいいよ……」
首筋をひとなめして、耳元に唇を寄せてくる。
「ほら……イっちゃえ」
「っ!!」
まるで計ったように精液がドクドクと吐き出される。その精液はしのぶに向かって、その胸元を垂れる。
「ん、はぁ……」
しのぶは精液を拭おうともせず、むしろ胸元に擦り付けるように。そのほどよく膨らんだ胸が、白く艶めく。
その光景も、声も、何もかも。きっと俺はもう忘れられない。