昨日凛とのセックスを経験してからというもの少しだけ好奇心というものは落ち着いた気がする。代わりに快楽の記憶が植え付けられて、飢餓の様にまた凛の身体を欲している。とはいえさすがに昨日の今日でというわけにもいかず、凛も筋肉痛やら異物感やらでしんどいらしい。本当に珍しく朝に家に来ずにメッセージが送られてきていた。
多分初めての一人での登校、やけに道が広く感じて、そしてつまらなかった。学校も普段話しかけられることのないタイミングで話が来るのが多かった。いつも凛が占めていた時間が使われるとこうなるみたいだ。全然違うな、と。
それでも凛の様にセックスをして身体を感じたいと思う者はいない。正確にはそう思う女は記憶の中で数人だ、それがこの場には居ないだけ。
放課後どうしようかと頭の中で巡らせながら、適当な相槌と返事をしているうちに時間は過ぎていった。
色々と迷った末に選んだのは帰宅。部活に顔を出すというのもありだったが、我が文芸部は日々の読書と創作という理念さえ守っていれば活動場所には制限がない。一応部室もあるがほぼ専用図書館みたいなもので適当に顔を出して、後は年に数回程度の校内の諸々の時に対応すればいいらしい。
そんなところで家に着けば玄関には靴。どうやら親父は帰宅しているらしい。今日は珍しいことが続くみたいだ。
そして香ってくるのは複数のスパイスの香り。夕食まで作っている。
「…ただいま」
ダイニングには予想したようにカレーを作る親父の姿が。
「おう、帰ったか。 飯は何時でも食えるぞ」
ちらりと振り返った後に鍋を指さす。
「もう少ししたら食うよ」
「おう。じゃあ火は止めとくぜ」
かちりと音が鳴ってコンロの火が止まる。そんな動作の一つ一つがやけに家庭的だ。
普段はこんなことはしていない、というかそもそも家に居ない。研究者として大学にほぼ常にいるような生活だ。確か生物系とは言っていたが、忙しいというより興味の矛先が無限に湧いてくるとも言っていた。
「…珍しいじゃん。続けて帰ってくるなんて」
「いや、まあな。せっかくと思ってな」
「せっかく? 何の…」
何のことだと聞こうと思った言葉は遮られる。
「お前、やったな?」
ニヤニヤとしながら突きつけられた言葉。
その意味は明白だ。
昨日の、俺だけが知るはず知識を与えてきたこの男だ。そのことに決まっている。
それでも
「…何のことだ」
否定した。
「俺はお前の顔みりゃわかんのよ。お前、アイツに似てわかりやすいんだわ」
「アイツって、母さんのことか?」
「そうだよ、俺が言うやつはアイツしかいねえ」
母さんのことはあまり覚えていない。ただずっと幼いころに不幸な事故だったと。
「ま、そいつは今話すことでもねえな。それに本当にやってねえならそれもそれで構わねえ。どっちでも良いからとりあえず楽しんどけよ」
「何を言って…」
「ああ、あとな。意外と言葉ってのはバカにならないもんでな。知っとくと面白いんだわ。お前の部屋にそういうのをまとめたノート置いといたから読んどけ。昨日いくつか言ったような気もするがそれだけだとなあ。当然、読んだら燃やせよ? その知識はお前の脳みそだけに入れとけ」
本当に何を言っているのかわからない。おそらく昨日の延長線上の筈だがその内容がつかめない。
「ま、読んだら分かるわ。あと、カレー結構作ったからよ。凛ちゃんのところにも持って行ってくれや」
「了解」
何を話すか、そんなことよりも昨日の自分を知られるのが何か嫌ですぐに部屋を離れる。料理は既におすそ分けようもあって俺の行動も読まれているような気がした。
凛の家はここから5分も立たずにたどり着くほどの距離で、鍋一つを持っても苦にならない程度の場所だった。
呼び鈴を鳴らせばしばしの待ち時間と共に扉が空く。
「…はい、って翔か、どうしたの?」
「ああ、親父が帰っててな。結構料理作ったからおすそ分けってやつで。おばさんと食ってよ」
凛の姿は元気そうで、といっても風邪でもないから当たり前ではあるが、特に変な何かはなさそうだった。ありがと、との一言と共にひょいと鍋を受けっとってから上がるかと聞かれる。乗らない理由はなかった。
凛の家は昨日来たばかりだというのにどこか違った気がしていて、昨日のことが容赦なく頭に浮かんでくる。頭を振ってそれを打ち消す。
「…今日もおばさん、忙しいのか?」
「年度初めだからどうしても1月くらいは立て込むって」
ひょいとダイニングの壁から頭を出して応える凛。
昔から凛の親御さんは、といっても母親だけだが、この時期に見たことは無い。何の仕事かというのはあまり聞いたこともないが、凛の言葉にもあったように時期的に忙しくなることから異動がそれなりにあるようなものだと思っている。
「翔はさ、この後特に予定ないでしょ? 部屋、来てよ」
鍋は片付け終えたのだろう。ぱたぱたとこちらへ寄りながらの誘い。俺の予定というやつは把握されている。それもそうで普段部活関連の何かしらをするときには学校で済ませてしまうことが多く、この時間に家に居るということはそもそも予定がないだから。
誘いに引かれてまたたどり着いた部屋は昨日と変わらずに白く整った空間。不思議なことにあれだけの熱を纏っていたはずの空気はすっかりと清浄なものになっている。
ぱたんとドアの締まる音。それを聞くや否やの内に温かな感触。
凛が俺の身体を抱き留めている。やわかな胸がむにゅりと潰れる。
視線を少しだけ下に向ければ、閉じた眼につんとした唇。欲しがっているのは明白だった。
「んっ♡、…ふ、ふぅ♡、ふぁっ♡」
啄んで、唇どうしの遊びをたのしんでから、割り開く。接触待ちきれない舌が口内に飛び込んでくる。
ぬるり、ちゅぷり、ちゅっ、ぷちゅ。
水音が響く。口内から脳内へ直接、跳ね返って、反響して、また身体が熱くなってくる。
凛を強く、もっと傍に抱き寄せる。
ますます強くなる交わり。
「…んっ♡、ああっ♡…んぅ♡、うぁっ♡」
距離が近くなったことでこすれあう面積はずっと増えて、快楽も膨れ上がる。
いくら舐めてもあふれ出る唾液。甘い露は喉を通って身体を焦がす。
凛もその熱を感じているのだろう、赤く染まった頬から、時折跳ねる喉から見て取れる。
ふと、啜ってしまったらどうなるのか、そんなことがよぎった。
突き出された舌、その先を、唇で挟み、吸い上げる。
「んっ!? んんっ♡ んぅぅうううぅぅ♡」
効果は劇的。腕の中でビクビクと震える身体。
その反応が面白くて、もっと見たくて、刺激を繰り返す。
頬を舐め上げて、歯列を裏から舐め回し、舌をこすり上げる、そしてもう一度吸い上げる。
何度も巡らせるうち、声は甘く蕩け、どんどん体温が上がっているのがわかる。どこかくたりとしてきてこちらによりかかりつつある。
「はぁっ♡、はぁ♡、はぁ♡ これ、これ♡、もっとぉぉ♡」
吐き出される息は悩まし気で、これでもかと欲しがりな熱っぽいもの。潤んだ眼も次をずっと求めていることを伝えてくる。
だからあえてその眼を覆う。両の手で、親指で閉じた瞼。そして余った指先で耳も塞ぐ。
これで凛は視界も、外への聴覚もない。
また、唇が触れる。今度はずっと強く音をたてるように。触れあった上下の肉が弾けて、また水音。舌もただこするだけではない、時折叩くような動きで泡を破裂させる。
凛はこの音を聴いているのだろう、これまでずっと強く。舌先の感覚と脳内で轟く音とでぐちゃぐちゃになっているはずで。
「んぅぅうううぅぅ♡ んんんん♡ んんああ♡」
抑えることなどとうに忘れきった声が高く、強く耳を打つ。身体も快楽を求めて、又座を擦りつけている。それだけで随分と刺激にはなる様で俺の方からも脚を動かせばさらに声が甘くなる。
そうしてビクビクと震えながら一段と大きな跳ね方をした後で、ふと凛の方から舌を外した。
「…だめぇ、これだめぇ♡、だめなのにぃ♡、明日、また学校っ♡、いけなくなっちゃう♡」
真面目な気質はこんなところでも変わらないようで体も心もほとんどが興じているのにどこか理性を残している。
「本当にだめか? 凛もやりたいんだろ? それに俺ももうこんななんだよ」
形ばかりの問いかけ。そして追撃に凛の手を太ももに引っ張る。そこにはついさっきまで擦りつけていたもの、俺の陰茎があった。制服の内側でありながら、強く強くその存在を主張しただ触れるだけでその熱さが伝わるほどに。
「…あっ♡ こんなに♡ こんなに固くなってる♡」
さわさわと指が形にそってなぞっていく。
それをしている凛の顔は昨日の様に、雌のそれに代わっている。
「これ、苦しいよね♡ 昨日みたいに、出したいよね♡」
止まる気が無いのは明白。ちょっとだけその罪悪感を紛らわせて、俺の苦しさを開放してとでも言えばすぐに身体を重ねることになるだろう。
だから少しだけ意地悪をしよう。
「でも凛、明日も学校行けなくなるぞ?」
その言葉を聞いて顔に浮かべていた喜色はさっと消えて悲しそうな影が映る。
「そんな…でも、でも…」
自らの火照りも抑えられないところまで来ているのだろう、葛藤の天秤は今にでも崩れそうで。
「だからさ、凛」
少しだけ別の道を提示しよう。
「ちょっと別の事をしてみようぜ。 もちろん気持ち良くさせるからさ。また、服脱いでベッドに行ってほしいんだ」
ぱぁっと表情が晴れて笑みが戻る。うん、と一言の後にはすぐに服に手を掛ける。その仕草は昨日と打って変わって丁寧さを投げ捨ててただ早く終えることだけに意味があるという動きだった。
俺が服を脱ぎ終える頃にはすべてを脱ぎ捨てた姿でベッドに座る凛。その対面に胡坐で座り込む。
凛の表情は期待にあふれて俺がどんなことを言い出すのかを心待ちにしている、そんな風に見えた。
「昨日さ俺が凛の、膣のあたりを舐めたの覚えてる?」
「うん、…舌が入ってきた時びっくりしたけど気持ち良すぎてすごかった♡」
「あの感じでさ、凛にさ、俺の舐めてみて欲しいんだ」
その言葉に視線が動く。先はもちろん下腹部。
「…これを?」
「これを」
「…その、大きくない?」
「やれるとこまでやってみてよ」
そんな言葉に、ゆっくりと顔が股間に沈んでいく。
髪をかき上げて、その髪が太ももにあたってさらりとした感触が気持ち良い。
吐息が触れる距離。そこで動きを止める。凛の視線は相変わらずでずっとそそり立ったものを見つめている。
そして、意を決したのか、再び動き出して、その先端を、咥えた。
「ん、んっ♡、んん♡」
ゆっくりと口内に沈んでいく自らの生殖器。赤く染まった先端が、膨らみ切った傘が、凛の唇に包まれていく。
絶対にありえてはいけないのに、子を為す行為から外れきっているのに、その行為がとても甘美に脳髄を揺らす。背徳の極み。
「んふっ♡、 ん♡ んぅう♡」
口内の温かさ、ぬるぬるとした摩擦、行き場のない舌との触れ合い。時折喉が震えて漏れる声が振動を伝えてきてそれも一入。女性器の締め上げるような強い快楽とは違い優しく癒すような快楽。なのに一瞬一瞬で同じかそれ以上の電撃が脊髄を走る。
おかしくなりそうだ。感覚を集中していると気が狂いそうなほどに気持ちが良い。
せめて少しでも紛らわそうと身体を横たえて凛の下半身を探る。またその動きで刺激が発生する。ひどく自分の怒張が跳ねたのが分かった。まだ射精までは至っていない、だがそれと似たようなぐらいには雫が放たれただろう。凛もそれはわかりきっているのかどこか飲み込むような音が聞こえてくる。
凛の下半身は昨日見たように、しかし昨日の艶事などなかったように綺麗だった。柔らかな毛先に隠された一本の筋。そして深くどうしようもなく燃え上がる甘い匂い。その芸術を前に迷いはなく、舌先で舐め上げる。
「んんっっっ♡」
その刺激は直ぐに反応を読んで、凛の喉を震わせる。
次は舌を下から上に出来るだけ広く摩擦を極大にしながら、ゆっくりと。その途中で、ピンとした感触、舌が何かに触れた、と思った。その場所を探すのは容易で女性器の上部くらいに小さな豆のような何かがあった。
これはと思い舌先に力を込めて突く。
「んあああああ♡」
甲高い声。咥えることすら忘れて凛が叫ぶ。一段と濃くなった匂いに、あふれ出る蜜に絶頂したのだと直感する。なるほど、ここは昨日のあのざらついた場所の様に強く感じる場所らしい。その結論に至ってからは単純で、そこばかりをただ責め続けることにした。
口に含み、吸って、舌も使って舐め上げて。
「んああ♡ んっ♡、 んうう♡ ああああ♡」
その効果は覿面で、顔に喉に滴り落ちた水がこれでもかと伝う。凛が快楽に踊る様を見るのも良いが俺の方に少し刺激が足りない。
「…凛―、俺の方忘れてる」
「…あっ、ご、ごめん♡ すぐ、するからっ♡」
そうして再び咥え始める。それでも身を襲う快楽には耐えられないのか幾度かの責めの間に口が離れる。そしてまた口内に収まって、このループが外気への晒しと口の両方を楽しめて変な快感になってきた。
それでも責めを緩める気はない。
強く吸い上げて、少しだけ噛む。
「んあああああ♡あっ、あっ♡ あああっ♡」
凛の叫びは吸い上げるときに一際大きくなる。どうやら吸引されるのが好みらしい。
そうと分かればそれをまた一層強くする。顔にかかる蜜はどんどんとその量を増やしていて溺れそうだ。ふと、折角だからと指も挿入てみるしてみることにした。
「あああ♡ 指、ゆびっ♡ 入ってるうぅぅ♡」
もうここまでくれば絶頂は連続だ。指が肉を押し拡げて、また戻る。その間に何度も強く締め上げが起こる。元々強い圧迫が絶頂でその強度をずっと高めてる。
「ああっ♡またっ、イくっ♡」
そして快楽の波は凛だけでなく俺の方にも。
時折口を離してしまっていたせいか、凛の動きは段々と男性器を咥えての往復運動になっていた。口をすぼめて半ばまで飲み込んで、その後は擦り上げて外に出る。
口に飲まれた後は少しだけ触れる舌が、出るときには唇に引っかかる傘が。刺激はもう限界まで押し寄せてきている。
「…凛っ! もう限界だ! 出すから! 受け止めてくれっ!」
その言葉とほぼ同時に、温かな感触と濁流を放った感覚。
どびゅっ♥ どぶゅぅぅー♥ ぶびゅーっ♥ どびゅー♥ どぷっどぷっ♥
腰が、背中が、睾丸が、何より男性器そのものが熱い。目の前もただ白い。
そしてゆっくりと感覚が戻り、先端がこれまでと違って液体の中にあるということに気づく。
凛は言葉の通り、精をそのまま口の中に受け入れてくれたらしい。
「一回、抜いてくれ」
返答はない。ただゆっくりと引き抜かれていく。最後の最後でちゅぷっと雫すら残さないとばかりの吸い上げが行われた。
身体を起こして、凛を見れば頬に張り付いた髪に、上気した肌、何より頬が膨らんでその中に詰め込まれているのは明らかだった。
「凛、それ、飲めるか?」
何とも言えない表情。嫌だっただろうか、それを聞いてみようと思ったところで、凛は上を向いて、一息に、ごくりと、精液を飲み込んだ。
「…っはああああぁぁぁっ♡ …凄い苦いし、塊みたいで飲みにくすぎ♡」
あまり良くない事を言っているはずなのに、表情が合っていない。嬉しそうに唇に舌なめずりしながら満足そうだ。
そんな凛に顔を耳に寄せて、
「精液飲むなんて、最高だな。子供が出来るわけでもないのに、純粋に快楽の為だけの行為だぞ」
そう耳打ちした。
その言葉にまた身体を震わせる凛。
間違いなく絶頂している。
まだまだ楽しそうだと確信した。