「…どうしたの?」
「…いや、ちょっと、な…」
幾度目か、ベッドの上でその裸体を晒しながら横たわる凛の肌を撫でる。その表情かもしくは手つきに違うものを感じたのだろう、気怠げながらも訝しむ声があった。
それもそのはずで頭に浮かんできた不安や焦燥が目の前の光景に熱中させてくれない。凛の柔らかさをゆっくりと堪能していたいというのに靄のように邪魔をしてくる。
不安の正体ははっきり言ってしまえばこのセックスそのものだ。それ自体は楽しくて、ずっとしていたいと思うほどに気持ち良くて溺れそうになる。凛を内も外も余すことなく触れて味わうのは他に代えがたいほど。
でもそれを何度繰り返した。
最初はそうなるという漠然とした、いや、ありえないだろうという楽観があった。だが確率的に考えて行けば回数を増やす程に外すことが逆に不自然になる事象。すなわち孕むことそのもの。
それすら望んで踏み込んだはずなのに現実を見つめていくと急に身体が冷めるような心臓がどこか別人のそれのようにさえ感じられる。
どうするか。
妊娠そのものに関して言えば問題はないと言えばない。実際高校程度で社会的な義務も果たすのであれば婚姻制度諸々でまあ上手くやれる。だが一つだけどうにもできない問題がある。
遺伝情報登録制度。
この世界で生まれる子供は一人として例外なく遺伝上の父親、母親を追跡可能だ。それは妊娠に至るプロセスが社会的に、科学的に管理されているからで、特に男の精子を提供時点から受精に使われるまですべての段階で管理番号を与えて情報管理している。そしてそこからどれだけの子供がどういう相手に宿ったかまで記録をし続けている。
これに対して俺と、凛と、そしてみのりはどうなるか。
もし本当に妊娠してしまえばそこには管理外の子供が生じる。当然俺の脳内の知識、凛やみのりの実体験はすぐに白日の下だ。その先に何が待つかなど考えたくもない、少なくともまともな道ではない。
だからと言って今後そういう行為を一切しない、というのは意味がない。もうとっくに孕んでいるならそれは取り返しのつかない状況を何も変えるものじゃない。
これがいつからか俺を悩ませて思考の渦に閉じ込めた元凶。こんなことになる覚悟もどこかで予見してよかったはずなのに、ただ好奇が動いた代償が今回ってきた。
凛に話すべきだろうか。それも何度も考えた。だが俺が巻き込んだのに、俺が始めたことなのにそんな責任さえ取れないのは恥ずかしい、悔しいを通り越して忸怩として心をナイフのように抉る。
長く、無言。その沈黙に凛は何を思っただろう。白く細い指が頬をゆっくりと撫でる。頭のいい凛の事だ。俺が懊悩の中にいるなど、とっくに気づいてたはずだ。それを言わないのは優しさか、あるいは何とかできると思ってくれていたのか。
いづれにしてもただこのまま糸のように細い希望さえ見いだせない状況を甘受するだけではただ崩れ落ちていくのを受け入れるのと同義。
凛の指に触れて、頬からそっと離して、指どうしを絡めながら、息を吸い込む。
少し怖い。だが言わなくてはならない。
「…ずっと考えてたんだ。…もし、本当に凛が妊娠してたら、どうするかって」
凛は何も言わない。ただその目が真直ぐに俺を見ている。
「今の制度じゃ妊娠してたら確実に管理外。その時に俺たちじゃどうしようもない、それを今からどうすれば良いかって、何も浮かばなくてさ…」
「…そう、そうだったんだ。それを考えたんだ…。」
一言を呟いて凛は目を瞑った。
柔らかな唇は鎖されて言葉は無い。でも眠ってはいない、何を思っているのか、その脳細胞にどんな発火が起きているのか。
無言は少し、続いた。身体の汗もすっかり渇いて、筋肉にこわばりを感じる。
「…だったら、このままもっとやっちゃおっか。」
再び目を開けた時には同時に言葉も発される。
ごくりと喉を鳴らしてその続きを待つ。
「…登録制度が問題ならそれをどうにかできる人を味方に付ける。
残念だけど、アタシも翔も身内にはそんな人はいない。
でも学校にそういう人が居ないわけじゃない」
そこで言葉を切って、また視線がまっすぐに射抜くように俺を貫く。
「芦川さん、てわかる? アタシ達の一つ上で生徒会の会計の人」
意外な人名。凛が誰かの話題を、加えて違う学年の人間の話をするのは珍しい。
少し驚きはしたがその人物に想起されるのはすぐだった。
「…あ、ああ、確か金髪の人だろ? それに結構背も高かったような気もする」
うちの学校では金髪の人は少ないがいないわけではない。これも一つの社会構造のもたらしたもので遺伝情報の交換は諸外国と行われていてその内に欧米のものが混じることは有る話だ。
「そう、その人」
だがその意図はまだわからない。このままやれというのはまさかその芦川さんに何かせよという意味合いだろうか。
「噂、みたいなのはあってね。その芦川さんて、お母さんがすっごく上の人なんだって。それもそういう遺伝情報管理の部署の統括を一元的にやるところのトップ」
勿論官報も確認済だと続いた言葉。それは、まさにうってつけで。そんな人を味方に出来たら一気に事態は解決する。
「その人を味方にってことか?」
「うん。でも普通にお願いなんて無理。だから絶対に逃げ出せないやり方でアタシ達に巻き込む」
漸く凛の思考がわかった。だから、やれ、ということか。それは俺にしかできないやり方で、相当に苛烈な方法だ。
「その人も芦川さんも、妊娠させる。翔なら、できるよね?」
「…ああ」
他に道などない。最悪で最高の一手をやってやろう。
クスリと笑った凛を抱き締めながら、呟くように感謝を伝えた。
それから幾日か。じりじりと肌を焼く日差しが強烈に窓から差し込む中で校舎をただ歩く。目的地は生徒会室、ここ数日の呼び出しを受けてその為に向かっていた。
縁のない場所と思っていたくせに急に慣れてしまった風景に嘆息の念もありながら、今日もまたドアを開ける。
中には数人の人影。確か、会長に、書記、そして会計の件の人。互いに見知った間柄になりつつあるのにも関わらず、向こうは呆れたような顔つきをしている。
「…やっと来ましたか、水奈瀬さん。この後は私がやっておくので、皆さんはご帰宅されても部活動に顔を出されても大丈夫ですよ」
その中で、口を開いたのは芦川さん。サイドテールにした長い金の髪が喋るたびに少し揺れる。その言葉は諦念のような侮蔑のような色も交じっていて、同時に身内に対しての気遣いもあった。
いそいそと2人が荷物をまとめる傍らで椅子を引いてこちらにと招かれる。
その椅子に、芦川さんの前に、座ったところで再び言葉が飛んでくる。
「正直ここまで修正をさせる羽目になるとは思いませんでした。いくら水奈瀬さんが1年生だとはいっても、この大して欄もない申請書を4回も修正させて再提出させるなんて私は聞いたことはありません。当然、やったこともありませんよ」
視線が冷たい。というより彼女の全体がそんな印象を受ける。細く切れ長の目に灰の瞳。透き通るどころか凍えてしまいそうなほどに白い肌。シャープでスッと伸びた鼻筋。その中で唯一薄い唇だけが桜色で生きているという印象を与える。まさに怜悧という美貌。
そんな人間が放ってくる言葉は正に氷雪。普通の人間であればすぐに凍えてしまって委縮して彼女の前には居られなくなるだろう。だが俺にはむしろそれが目的だった。
申し訳ございませんと謝罪を口にしながら何度かの修正をした書類を手渡す。背後ではガタリと扉が閉まった音がして、2人は出ていったらしい。
これは本来一発で通るような部活動の来季予算の申請をあえて再提出が必要なほどに間違えまくったが故の事。本来生徒会に対しては特に用事もなく近づく動機もまともなものがないからこそ、たまたまあったこの時期の物を利用した。
「…ええ、これなら良いでしょう。受け付けましたし来期の決定には反映させておきます」
代わりにすっかりと呆れられて、この程度の書類も書けないとはどういうことかと内心どころか完全に態度で示されている。こればかりは仕方がない。そうなるであろうことは織り込み済みだ。むしろここからの方が気合を入れていかなくてはならない。
「私達からは書類が出来た以上特にいうことは有りません。水奈瀬さんは何かありますか」
「お手数をおかけしました。 ご迷惑をおかけしたうえで恐縮なのですが、芦川さんに伺いたいことがありまして」
「どうぞ。ですが、可能な限り手短にしていただけますか」
礫のような言葉。彼女の中での評価は相当に低いものになっている。もしかしたら誰にでもこの感じという可能性もあるが。
「僕は今のところクラスでは唯一の男子です。今後はおそらく同じクラス、同じ学校の女子と結婚するでしょう。ただその結婚というものが良くわかりません。友情の先に、というのは聞いていますがそのイメージが自分の中で結びつかないんです。…この感覚を自分以外の人が持っているのか、そもそも結婚にどういう考えを持っているのかって気になっていまして…」
少しだけ目が大きく開かれたような気がする。驚きかどこか意外だったのか、もしくは完全に生理的反応か。
「それは、おそらく誰もが持っておかしくない感覚感情でしょう。友情の延長として共に支えて支えられて、そういう関係を皆が皆築けているというのは非現実的な部分もあります。しかし、生涯においては何かしらの困難、苦難が待っています。それを共に超えるという関係性の人がいるというのは素晴らしいとは思いませんか。そうして幾人かの夫婦が家庭を形成し、それがいくつも集まって社会を作り上げる。どのような視点で見ても良いものだと思いますが」
いつからかずっと聞き続けてきた言葉、むしろ世界の標語だ。男女の友情は永遠に、そしていつからか親愛に変化する。そうして夫婦として家庭を築くと教えられてきた。そんなおためごかしと芦川さんの言葉は何も違わない。
「ですが、その友情もよくわかりません。男女間でなくとも同じ性別であっても友情は存在しえるはずです。その先に男女だけが婚姻へ昇華する、そこがよくわかりません」
これは俺の本音でもある。歪さに気づいてしまったが故の葛藤。元凶ではないが近しい存在にある芦川さんにぶつける。
「順序に関しては一度置きます。男女間については同姓では絶対に超えられない子供という存在があります。水奈瀬さんは男性ですから精子の提供をする側として、その義務を果たしたら妊娠した女性の姿を見ることになるでしょう。その相手に対して共に生きたいという感情を抱くようになるのは自然でしょう。そしてそれはいずれ親として子を育てる立場にもなります。それは友情という側面も持ちながらより強い結び付きというに不足はないでしょう」
隙のない言葉。とても綺麗で、そして薄っぺらい。
「ありがとうございます。 少し不安は和らぎました。
まだ少し気になるのですが、その言葉はお母様のご意向もおありですか」
「それが水奈瀬さんに関係あるのですか?」
目はきっと細められて、睨むように俺を見つめている。眉間にも皴が寄って、とても悪感情が宿っているのがわかる。ただでさえ面倒な仕事を増やした上に低レベルな質問を聞いてくることに苛立ちを覚えているのか。
「はい。まだいくつかお伺いしたいことがあります、それも社会的なことに関して。ですので、その社会について深く知る立場にあるはずの芦川さんのお母様のご意見や思想がどのようなものかも知りたいのです」
「水奈瀬さんのご質問が母の考えに触れるものだと?」
「ええ、間違いなく」
芦川さんは自身の母親の立場に否定を入れなかった。これは凛の言葉も合わせて、確定で良いだろう。もしかしたらこの顔色はその立場と存在から強く影響を受ける位置にいたからこそのものなのかもしれない。
「…良いでしょう。その質問を聞かせてください」
「はい。ただこの質問は少々障る可能性があるので、内密にお願いします」
「…それは内容を聞いてからです」
「わかりました。ではせめて、少しお近くで。声を落としたいもので」
そういって椅子を少しずつ彼女に近づけていく。長机を身体の横に置く形で向かいあう。
膝どうしが触れ合いそうな距離。空間が隔ててくれたのか、近づくと一層その刺すように尖った雰囲気に圧される。不思議とそんな気配の中でも視線は女性の部分に向いてしまって、豊かな主張をするそのボールのようなふくらみをつい見てしまう。
「…それで、どのような話ですか」
視線に何を思ったかはわからない。ただ早くと促してくる。
「それがですね、こういった行為について社会的にどのように思われるのかを知りたく手ですね」
「何、を…」
言葉は続かない。
身体を一気に寄せて彼女の口を自身のそれで物理的に塞いだからだ。
喋りそうなところだったこともあって、割り開くのは容易。一気に舌が侵入を果たす。
「…んっ、…んぅっ…、」
驚愕に見開かれた目。固まった体。零距離で密着して、いつでも引き剝がせるはずなのに誰にも教えられず、聞いたことすらない口内の感覚にただ需要しかできない。
ぷちゅ、ぴちゃ、と舌が触れ合い、こすれ合って泡が弾ける。
その刺激を紛らわさないように、逃げられぬように少しずつゆっくりと背中に手を回していく。口内を舐りながら気づかれぬように。
「…んふ、…ふぅっ…ふぁっ、」
ゆっくりと蛇のように腕が絡みついて、少しずつ輪を狭める。右手は既にテールを潜り抜けて首元に添えられていた。
初雪に触れるように、重さを感じさせぬように後頭部へと這わせ、そっと頭を自分に近づける。
寄り近づいたことで舌の触れ合える面積が増える。ざらりと摩擦が強くなって、唾液が溢れてくる。にちっ、みゅちゅっ。水音はずっと強くなって耳朶を打つ。
「…あぁ、…んん…あふっ♡」
舌を唇に挟み込んで吸い上げたところで声に甘いものが混じる。それを合図にきゅぅっと吸い上げを強く強くする。
「えぁっ♡、 んぁぁっ♡」
祖の眼窩で三白眼を晒して、黒目がずっと上を向いている。快楽の熱は氷原を溶かし始めた。
ちゅぽんと口を離す。そこには先程までの芦川さんの姿はない。
白の上に斑点のような桜模様を乗せて、はあはあと息づく。一分の隙すら無かった冷たさの中から雌が顔を覗かせている。
「こういうのって男女だけですよね。でも僕は聞いたことがありません。これは社会では、芦川さんのお母様はどう考えるんでしょうか」
「……はぁ、はぁ、……そんなのわかりませんよ。
それにこんなこと、はぁ、…一体何のために…」
「そうですか。…でもまだ続きがあるんです。もう少し先を知っていただいて、それでどんなものか判断してもらえませんか」
「…つづき、なんてっ…」
拒否などさせるつもりはない。それでも腕の中でもがくことすらせずに唇を与えられる姿はどこか雛鳥のようだ。
「…んっ♡、ふぅっ♡…ふぁっ♡…んぅっ♡…」
声の高鳴りはもう隠しようもない。触れている箇所から彼女の体温が、しっとりとした肌の下で高まる兆しが伝わる。同時に鼻腔にも甘い香り。薔薇に似て華やかなそれは少しずつ強くなってきている。どうやら身体の方には相当の準備ができているらしい。
そんな確信でまた手が、腕が動き出す。
するりするりと肌と、服の隙間を抜けて、その拘束を解いていく。釦はただの飾りとなってブラウスはただ羽織った布に等しい。
そして残る一枚もぐっと持ち上げてしまえば、実り切った双丘が姿を見せる。
深層に隠されて日の目を遮ってきたその果肉はただ白く、中心だけに淡紅がそっと色を乗せている。
その全景は、支えられてもいないのに重力に逆らって上を目指すように起立して、まるで飛びたつ飛翔体。
何より、巨大だ。リンゴやミカンではとても及ばない。もっと大きな豊かな作物。
手で持ち上げてみれば、見た目に違わぬ重量。みちっとした力が腕にかかってくるのがわかる。
「ふぅん…♡…ぁっ♡…」
そしてとても柔らかいのに跳ね返すような張り。タプタプと表面を弾けば波のように揺れて直ぐにまた静かに自立する。揉み込めば弾力と柔軟の2重奏、指を受け入れているのに拒むような不思議な感触。とても手だけでは包み切れない肉が指の隙間からこぼれそうなくらいにはみ出る。
「…どうして、そんな♡、胸なんか…」
「…わかりませんか? こんな良い感触してるのに。
こんなの男だったら皆好きですよ。僕が何もしてなかったら芦川さんがいずれ産むであろう子供しかこれを知らなかったんですよ?」
「んぁっ♡…そんなの、当たり前じゃない…。ふぅ♡… 胸なんて母乳だけのためのもの…」
「それがそうでもないんですよ。現に僕はこうして楽しんでます。」
ほんの1センチすらない位置での会話。口元が動く度にお互いの先が擦れる。
発語を妨げているはずなのに何故か逆に言いたいことがよくわかって、何かが通じたような気もするくらいだ。
「それに芦川さんもこれ、何か感じません?」
「何かって、んっ♡…何です…?」
手は少しずつ先端に向かっていた。
乳輪をさわさわと腹で撫でる。境目の所に肌のすべすべとした柔らかさと少しぽつぽつとしてざらつくよう。ほんのりと膨らんだそこを往復し、円を描きながら中心に向かう。
「どこか痺れるような、甘い感覚、そんなのはありませんか?
頭が白くなって前も見えないような衝撃、あるいはその片鱗でも」
「…ふぁっ♡……そんなのっ、ありませんっ」
ならば、と。指先は遂に到達したその頂点をまたさらに上り始める。決して踏み崩さないように、触れるか離れるかのギリギリで。そして頂上に達すれば反対側へとまた降りていく。それを何度も何度も、繰り返す。その度に少しだけ山が震えて、どこか何かを待っているようなそぶり。
「あ♡、ああっ♡…そ、それ♡ 胸が、胸が♡ 切ないっ…♡」
「切ない、ですか。ならもっと強くはっきりしたものが欲しいでしょう。もっと強い快楽が」
「…かい、らく? わかり、ません…。 んん…♡ でも、これは♡、 気が、頭がっ♡ 狂いそうですっ♡」
「なら、こうしてみましょうか」
手は除けて、乳首を口に含む。その瞬間にびくりと身体が跳ねる。
「んぁぁっ♡」
舌先はざらりとした感触を伝えてくる。汗のせいか少しだけ塩みも帯びていて、吸い付くほどに何か補を給をしている気持ちも生まれてくる。ちうちうと吸っても母乳は出るわけではない。ただ口内の陰圧で乳首を引っ張るだけ。
「ぅくぅっ♡ ぅああぁぁっ♡」
だがその吸引は赤子とは違って、もっと鋭い感覚を与えている。
ちゅぽんと音を立てながら口を離す。濡れた突起が光にきらめく。
「まだ、わかりませんか? まあ、それでも続けますけどね」
言葉はない。ただ唇を噛んで耐えるような顔。少しずつ頬に朱が差してきている。
「じゃ、少し動きますよ、っと」
腕を脇に差し込んで持ち上げる。抵抗は何もない。ただぐったりと重力だけに支配されて、はだけた胸を放り出しながら身体が真直ぐになる。長身に豊満も携えているのに、重たいはずの女の身体は却って軽やかなほどに動きに従った。
「机しかないですが、ここに寝てください」
背をそっと長机の上に降ろす。ぎしりと天板が軋んで揺れる。はあ、と大きく息の音が聞こえた。
その隙にスカートに触れる。制服のスカートは案外単純な構造でブラウスよりもずっと簡単に手に落ちた。腰の止め金具を2つほど外しただけで自分を支えられずに床に向かっていく。そっとそれを受け取めて椅子に置く。
下半身に残っているのはただショーツの一枚きり。ピンク地に花を添えたその柄がやけに可愛らしさを演出する。
だがそれも一瞬。指を掛けられて、するりと脚から抜かれて防備の役を終えた。
「へぇ…。先輩のここはこうなってるんですね」
視線の先、ジャムと醗酵したヨーグルトの匂いに似た香りの源泉には濡れそぼった雌。そしてそこに長く細い毛が最後に隠そうと覆っている。金の絹糸。細く、夜空の流れ星や清流になびく梅花藻のような毛の束がはらりと肌の上に広がっている。
肌、肉、毛、それぞれがそれぞれの色を持ち、白、ピンク、金と揃ったその場所は一皿に盛りつけられた晩餐。食せと言わんばかりに目に鼻に訴えかけてくる。
顔を近づければより強くなった香りが鼻腔に乗り込んでくる。急かされるように、圧されるようにその柔らかな房の中に鼻先を突き入れる。
見た目通りに柔らかな毛先。シーツよりもずっと滑らかな1本1本が口元までを包む。同時にその柔らかさと裏腹に、満ち満ちた香りは最早暴力的。脳が桃色に染まって、視界さえもどこか赤さを感じる。
「だ、だめ…。 そんなところ…」
弱弱しい声。微かなその声は聞こえていないことにした。
舌を伸ばして、入り口に触れる。幾本かの毛も交じっているが巻き込んで舐めとる。
「…んっ♡ んぁあっ♡」
甘酸っぱい香りはそのままに酸と強い塩。口の中に一気に味が広がっていく。表面だけの筈なのに奥から奥から流れてくる蜜は舐めるごとに脳を浸す。
そしてそれは芦川さんの方でも。声はずっと柔らかく、高くなっている。膣はゆっくりとその入り口を開いて黒穴を見せつけながら蠢いている。
「芦川さん、わかります? 膣の奥からどんどん滴ってますよね? これ何でかわかります?」
「んんっ♡ わかんない…♡、そんなの、わかんないぃ…♡」
「じゃあ、教えてあげますよ。これは、こいつをそこに挿入るためなんですよ」
カチャカチャとベルトを外す。ズボンもパンツもそそくさと脱ぎ捨てて、そそり立ったそれを見せつける。目をそらさぬように、首元に手を添えて頭ごと視線を向けさせる。
「これ、わかりますよね? 男性器ですよ。これが今から女性器に入ります。だからこんなに濡れてるんです。なんでそんなことをするのかはもう少し待ってください」
「え…、待って、これが…。 男性器? そんな、でも…」
困惑。それも当然だろう。教科書だってなんだってこんな姿の男性器を描いたものはありはしない。鋼のように固く上を向いて屹立して、幾本の血管が青く太くはしり回った、赤黒く、大きな棍棒。柔らかな状態だけでこんなものを想像しろと、そしてそれを膣に突っ込むなどという行為まで考えろというのは埒外の狂気だ。
「本物、ですよ。それは今からわかりますから」
半ば呆然とした表情の芦川さんをそっとまた寝かせる。そこから右足を机の上に乗せた。
開かれた股は大きくその中心を晒して、秘められていた花弁を見せつける。
そこにゆっくりと自分を近づけて、先端をそっと触れさせる。
沈むより先にじっとりと水が伝わって表面が濡れていく。赤黒い先端はてらてらとした光沢を得て槍のように尖る。
「ま、待って…水奈瀬さん、お願い…。 お願いです…」
「だめです」
ぐぷり、と先端が沈んだ。
「い、ひぃぃぃ♡」
それだけで背が、身体がのけぞった。
弓のようになった身体で、豊満の中で唯一あまりに細いそこを、くびれた腰を掴む。両手の指はほんのもう少しでくっつきそうだ。
その腰に向かって己を突きこむ。ぐぼっ、として狭い径を感じながら一息に全体が肉に埋まり突き立った。
「いぃぃぃ♡ わ、私の中に、入ってるぅ♡ お腹に、男性器がぁあぁぁ♡」
膣穴の肉は柔らかくそして締め付けてくる。だが不思議なことに締め付けた後に離れるようにその力を弱める。そうしてそのまま弱めた力を戻さない。これはどこか焚き付けにも似た何かだ。もっとできるだろうと、もっと奥へ入れと。そんな誘い込む手管。何も知らないのにもかからわず、下半身は随分と挑発的だ。
ならばと腰をずっと強く打ち付ける。恥骨がぶつかるように、互いの毛がすれて音をたてるように。
「あぁぁ♡ 奥、奥に♡ 入られちゃってる♡ 私の、私のお腹ぁぁ♡」
突き込むほどに奥の肉は強く絞めてくる。腰の動きに合わせて、リズミカルに。
そして何より最奥はむにっとした柔らかさで一撃を受け止めてくる。それはキスにも似て、触れているだけで気持ち良さが生じる。もう少しだけ踏み込めば、そっと口を開けて先端を咥えこむ。はむはむと挟み込まれて味わわれている。
「…芦川さん、もうわかりますよね? ここ、この位置です。ここに芦川さんの子宮があります」
つつっと腰から指を滑らせて指し示すのは臍の下。自分の先端のある位置。
「ここに今、俺の男性器があります。ちょうど子宮に触れています。」
無言。その貌は堪えるように歯を噛んでいる。
「この子宮に今から、俺の男性器から精子を撃ち込みます。それがどういうことか、もうわかりますよね?」
さっと表情に絶望が映る。
「な、何でそんな…。本当に…? いや…そんな…。 でも、本当に…?」
「信じなくても結構ですよ? でも精を放つのは本当です。まあどういう気分になるか、試してみてくださいよ」
再び腰を動かし始める。往復するほどに膣は締まってきて傘が引っ掛かりを増していく
。
「い、いやっ…。 そんな…♡、いやっ…♡」
「嫌と言っても、もうすぐですよ。 芦川さんの膣、結構良いですからね。心地いいんです。…ああ、男はそうやって快感を得ていくと文字通り精が出るんですよ」
「お願い、お願いよ…。水奈瀬さん、どうか♡」
哀願。だというのにどこか声が甘い。それは肉穴の反応もそうで突けば離れた柔肌が今はぴったりと張り付いて全体を握ってくる。暗い感情の筈がどうにも変な方向に作用している。
ことによれば、これはと脳裏に一瞬の閃き。その導きに従って、手を乳房へと伸ばす。先程よりも汗ばんで、ピタピタと手に吸い付く。
そうして両の手を半球に添えて、絞るように、一息に握りしめた。
「ひぎっ♡、いひぃぃぃ♡ いやぁぁぁ♡」
強く強く、ともすればあざにもなりそうな力。力から逃れるように握りきれなかった肉が伸びていく。血が逃げ場を失って白が赤く、黒い程。
「む、胸がっ♡、とれっ、とれちゃうぅ♡」
だというのに、ソプラノの金切り声を飛び散らせている。一つの着想が確信に変わった。この人はそういう人種なのだと。
腰を打ち付ける力が一層増していく。打ち付けるだけでなく、砕くように力を込めて。肉も骨も叩き割ってしまえと、ぶちこんでいく
「あ゛お゛っ♡…お゛お゛っ♡ つ、強いいぃぃ♡ い、痛いのにぃぃ♡」
全身の痛みは彼女にとっては快楽。苦痛と悦楽の境は存在しない。
「…こんなに痛いようにやってるのに、芦川さん気持ちいんでしょ。
…そういう人を、マゾヒストっていうんですよ。
歪んでねじ曲がった癖を持った、どうしようもない人の事です。
芦川さん、貴方がそうなんですよ」
「お゛っ♡ ち、違うぅ♡ 私は、そ、そんな、おあ゛っ♡ マゾヒストなんかじゃ、ありませんんん♡」
怜悧だった美貌はもうどこにもない。驚愕、未知、快楽、不安、疼痛、異常、感情も思考も入り乱れて表情をぐちゃぐちゃに彩る。それが彼女の自己証明、マゾヒストとしての宣言そのもの。
ばちゅばちゅと抉り込む腰のぶつかり合いは、その中の肉も削いでいく。もし中身を目にしたらきっと真っ赤に腫れ上がるほどだろう。それでも距離を置くことなく密着してもっともっととせがんでくる。
「こんだけ、しても、感じてるのは、マゾヒスト、そのものですよ。
それに、俺ももう限界です。精液で、どうなるか確かめて見てくださいよ!」
「だめ、だめ♡ お゛お゛っ♡ 妊娠なんて…♡」
膨らんでいく男根。精を届けるべく一段と固くなったそれを奥へ奥へと就きこんでいく。耕すよりも殴り込むように。
ぶちゅんと子宮口にはめ込んだ瞬間に、マントルから溶け切ったマグマが噴出していく。
どびゅっ♥ びゅるるるるっ♥ どびゅるるる♥ ぐびゅ♥ びゅぅぅぅぅぅ♥どぶゅぅー♥ ぐぷっ♥ びゅー♥ ぶびゅーっ♥ どびゅー♥ どるるるる♥
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっ♡ あ゛っ♡ あおおおっ♡ おおおっ♡」
精液は子宮に撃ち込まれていく。まるで業火のように灼熱を伴って、内側から身を焦がし焼く。
一回の射出が、滞留の蓄積が、逃げ場のない責め苦で追い立てる。
「ここまですれば、もうわかりますよね? 先輩の腹の中で、卵子に向かって億の精子が泳いでいるんです。妊娠するかもしれませんね」
「い、いや…♡ そんなの…いやぁ…♡」
体内への想像が、思考が肉体を追い立てる。
「また、感じたでしょう? 僕にこんなことをされて、あまつさえ妊娠さえ、そんな想像で…それがどうしようもないマゾヒストってことですよ」
「違う…♡ ちがいますぅぅ…♡」
頭を振りながらの否定。そこには何の実もない、ただの空虚。事実はとっくに腑に落ちているのに表面上の否定だけを繰り返す。
そして同時にそれで終わりだと、信じ切っている。
ねばついてまだそこに居着かせようとする粘液をまとわりつかせながら、胎内から自分の末端を引き抜いていく。
ぐったりとして力の抜けきった身体を抱き上げて、そのままに裏返す。めくれ上がったブラウスの端から潰れて形を崩した胸が垣間見える。机に体重を預けながらギリギリで脚を床につけて、少しのバランスの乱れですぐに床に落ちて行ってしまう、そんな恰好。背を尻を見下ろして、もう一つの穴さえ見える。たった1時間もない時間の前後でここまで変貌しさらけ出している姿に達成感、どこか征服したという支配感すら得る。
「きゃうんっ♡…な、なにぃ…」
「もしかして、これで終わりだと思ってません? よく見てください、これが済んだように見えますか?」
指さす先には硬さを失わず、むしろ女の露を浴びてますます力強さをました雄。振り返りその剛槍を見つめる目は哀れなほどに濡れきっている。
「あっ、ああっ…♡」
「じゃあ、そういうことで、挿入れますね」
雌の肉は相変わらずぷりぷりとして、されど興奮の為か歓迎を強めている。あらゆる方向からキスをして、まとわりついて潰すような圧力。それに天地を逆転させたせいか、こすれる感触が少しばかり違っている。最初はどちらかと言えばするするという感覚だったのに、今はぞりぞりと強く擦っている感覚が強い。肉の不均等か体勢の問題か、どちらにせよ楽しみの一つとして良いものなのは確かだった。
「…お゛お゛っ♡」
唯一変わらないのは最奥の感触。精を飲んだのか少し厚みを増したような気がするが、ぶつかるたびに柔らかく衝撃を受け止めてくれる。
当然その衝撃は全て芦川さんに渡される。痛みとして、快感として。
「あ゛お゛っ♡ し、子宮っ♡、 ゆ、ゆれるっ♡、中も、たぷたぷしてっ♡ あ゛あ゛っ♡」
まして1度目の射精の精液がたっぷりと中に詰まっているのだ。動く度にそこから発せられる熱も相まって、動くことそのものが彼女にとっては埋伏の毒。
「俺が動く度にどうしようもない快楽、そんな感じでしょう? マゾヒスト、マゾの芦川さん?」
「ちっ、ちが♡、 ちがうぅぅぅっ♡」
「そこまで否定されるのも、少し悲しいですが、なら身体に確認しましょうか」
腰にやっていた手を結合部に伸ばしていく。目標は一点、そこにたどり着くまでに、濡れきった毛先が指に絡みついてくる。引っ張ってしまってもよかったがあの3色揃ったあの光景を崩すのが惜しく少しずつ解しながら進む。
「いひぃぃい゛ぃぃっ♡」
たどり着いたのは穴の直上の肉の芽。小ぶりな豆ほどの大きさで、固まり切っている。その半分ほどをぐにぐにとした皮が覆う。触れるだけで強烈な刺激なのだろう、もはや悲鳴ににた声だ。
その感覚集中体を、皮をめくりあげ、全てを露出させて、指でつまみ上げ、つねりあげる。強い弾力を伴って指の中で少しだけ潰れる感触。
「いひゃあああぁぁっぁあぁあぁ♡」
絶叫。落雷よりも酷く、全身に電気が回っているのだろう。耳をつんざくような声が響く。男根から伝わる、握って圧し潰すような感触が壮絶なほどに絶頂したのだと。
「ああああぅぅっっ♡ あああっ…♡ あ、ああっ……」
ふと手に、太ももに温かな感触。さらさらとしながらゆっくり下へ下へと滴っていく。
膣からの物かと思えば、鼻に刺激臭。どうやら、これはもっと下品な生理的物質。すなわち失禁。
「…へえ、まさかここまでになるとは思いませんでした…。
俺の想像よりずっと、筋金いりなんですね」
「あ゛あ…♡ な、なに…♡ 何言ってるの…♡」
「まさか、気づいてないんですか。 ああ、そこからじゃ見えませんか…
芦川さん、漏らしてますよ? 匂いでわかりません? 太ももも随分濡れてます」
「そ、そんな…、そんなぁぁぁ♡」
最早羞恥すら理性には届かず、快楽の増強装置でしかなくなった。膣内は熱く、絶えずたっぷりと蜜を出して男をもてなし続ける。
「だから、筋金入りなんですよ。俺も想像できないほどです。でも、ここまでの人ならこういうのもいけるのかもしれませんね」
その言葉を言いきって、腰を止めて視線を下に向ける。喘ぐばかりで返答はない。でもむしろ好都合で、これからすることはもっと驚きと新鮮さが無くてはならない。
尿に蜜、どちらがどちらかわからないほどに濡れきった手を尻に当てる。すべすべとした丸みを水が汚していく。
両手で肉をゆっくりと開き、結合部を、その上部も拡げていく。まるでパンを開くように、筋が大きさを増していく。
見えるのは白い肌の中に道のような割れ目。そして半ばほどに窄まった円形。こんなところまで随分と色が白いと感じるが、幾本もの中心からの線で少し影も見える。
すぐ近くを刺激しているせいかその律動に合せて形が変わる。それでも決して緩まず中身を見せないそれは、胎とは違った鉄壁を思わせる。
そこに指をすっと乗せた。筋は見た目の通り多く、どこか菊のようにも思えるほどに凹凸が数多く指に感じられる。
「え、えっ…♡ なんで、お尻…♡」
「マゾヒストな芦川さんのことだから、こういうのも好きなんじゃないかと思いましてね。」
返答は待たない。濡れきった指を皴の中心に当てがって、少し力を籠める。
「うえっ♡ お、お尻にぃ♡」
抵抗は一瞬。ほんの爪の先程が入ってしまうと、ぬぷぬぷと指が沈んでいく。第一関節を通り過ぎ、第二関節も過ぎて、そこから節の半分までが埋まってしまった。
「は、はは。これは凄い…。 もう指が半分以上入っちゃいましたよ」
「…おおっ♡ …なんで、何で、こんな…。お尻に…なんてぇ♡」
腸内の感触は全く違ったもので、締め付けは穴を過ぎるそのところだけで、通り過ぎてしまえばふわふわ、さわさわと柔毛に襞がこれでもかとまとわりついてくる。本来は水を吸う役割の筈が指に吸い付いて代わりに快感を与えてくれる。しかも膣よりもずっと温かく、温泉に入っているような感さえある。
「…あ゛お゛っ♡」
関節を曲げ、指を動かせばくぐもった喘ぎ声が漏れる。それを合図に再び往復運動が再開される。
膣への摩擦は振動を腸にも届けて、一回揺れるごとに腸壁ごと揺れるようで柔毛が指全体を舐めるように動き回る。それをさらに増幅させるように、ずぷずぷと指も抜き差しを始める。丁度腰の動きとリンクして2本の棒が出入りする様はどこか機械的。内部に入り込んだ異物に反応してか腸液もしみ出してくる。余計に指を湿らせたその粘液を求めて柔毛がさらに絡みついて、引き抜いてまた入れる度に指を求める。
「お゛っ♡ あ゛あ゛っ♡ う、うううぅぅ♡」
最早唸り声と化した喘ぎ声。2つの穴からもたらされる情報の洪水に沈んでいるのだろう。
「ここまでされるなんて、芦川さんは本物ですよ。本物のマゾとして誇れますね」
「う、うううぅぅ…♡」
声帯を、腹を振動させるだけの音。それは最早言葉の意味はない。だが突き上げる男根を刺激して楽しませるだけのものにはなった。
「また、出しますよ。妊娠用の精液。子宮に溜めといてください」
濡れきった肉を擦り上げて、また柔らかな肉に包まれる。
ぐりっとした感触を覚えた瞬間には、ぶちまけていた。
どりゅ♥ どりゅるるるる♥どびゅっ♥ どびゅるるる♥ ぐびゅ♥ びゅぅぅぅぅぅ♥どぶゅぅー♥ ぐぷっ♥ ぶびゅーっ♥ どびゅー♥ どるるるる♥ どりゅ♥ どぷっ♥
「お、ほおぉぉぉっ♡ あああっっ♡」
どくどくとした震えが収まるまで、一滴さえ残さずに注入するまでの間に、叫びは止まることなく張り裂けそうな声がずっと耳に入り続けた。
「あ、あはぁ…♡ あぁ…♡」
そうして全てが終わったところで、室内にはぜいぜいと荒い息だけが聞こえるようになった。数分前の狂象が嘘のように、だが匂いと目の前の姿だけを残して。
まだ力を残した男根に指を穴から引き抜くと、たっぷりと粘液が付いていてつつぅっと床に落ちていく。それを見つめるうちに芦川さんの身体は机から崩れ落ちた。
床との衝撃の前に、間一髪でその身体を抱き留める。よくよく見ればいたるところが震えていて痙攣の様だった。今だ余韻は抜けられず、ともすれば出口さえない回廊に居るのかもしれないほどだ。
その彼女を抱き留めながら少しだけこちらを向ける。またその顔を正面から見合わせる。
涙に汗に、唾液に全てが全てに混ざり合って、表情も混沌として舌先も放り出して蕩け切った何か。だというのにあの凍てつく山脈のような棘は無く、ひどく美しいなにかにも思えた。
「どうでした? 俺としてはこういうのが社会的にどういう風に思われるのか知りたいんですけど、芦川さんのお母様はどう思われますかね?もし可能ならお会いできます?」
「ひゃ…ひゃいぃ♡」
一瞬だけ声を絞り出してからまたびくびくと震え始める。それは肯定。その言葉に目的が一歩近づいたのだと強く思った。