※この作品はR-18です。

俺専用。快楽命令にとろける美少女と美女の甘堕ちカタログ   作:Mr.クロード

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【後編】土下座する令嬢

【1】一年後の雪姫

 土曜の朝、私は堀田の腕の中で目を覚ました。

 

 耳に触れる胸板から、彼の心臓の音が伝わってくる。どくん、どくん、と規則正しく。その音を聞いていると、身体の力が自然に抜けていく。

 

(もう、怖くない)

 

 一年前は違った。この音を聞くたび、息が詰まりそうだった。逃げたくて、でも逃げられなくて——。

 

 今は、この鼓動が心地いい。

 

 玄関のチャイムが鳴った。堀田が身じろぎし、ベッドが小さく軋む。

 

「宅配便だな」

 

 私も起き上がろうとすると、堀田の手が伸びてきた。大きな手のひらが、髪をゆっくりと撫でる。

 

「もう少し寝てろ」

「いいえ、私も……」

 

 私は堀田の手に頬を寄せた。温もりに吸い寄せられるように、自分から擦りつける。

 

 気づけば、こんな風に甘えるようになっていた。

 

「ドレスが届いたのでしょう? 一緒に見たいです」

 

 堀田が喉の奥で笑う。低く、くすぐったい音。

 

「変わったな、お前」

 

 その言葉に、胸の奥がきゅっと熱くなる。

 

「……あなたが、変えたんです」

 

 本当に。

 

 一年前の私は、この人の前で笑うことさえできなかった。

 

 ◆

 

 リビング。

 大きな箱が、テーブルの上に置かれている。

 去年と同じブランドのロゴ。高級感のある金色の文字。

 堀田が箱を私の前に押した。

 

「開けろ」

 

 私は箱を開ける。手が震えない。

 一年前は、震えていたのに。

 蓋を持ち上げる。薄紙をめくる。

 深い紺色のドレスが現れた。

 息を呑む。

 美しい。

 私は思わずドレスに触れた。シルクの感触。滑らか。冷たい。

 背中が、去年よりさらに大きく開いている。

 胸元も、より深い。

 

「……綺麗」

 

 堀田が私の腰を抱いた。後ろから。

 

「去年より大胆だろ」

「ええ」

 

 堀田の手が、私の胸を揉む。パジャマの上から。ぐにゅっと。

 

「お前の身体、一年で良くなったからな」

 

 私の顔が熱くなる。

 

「……そんな」

「本当だ。胸も大きくなった」

 

 確かに。一年前はDカップだった。今はE。

 堀田に、毎晩揉まれ、吸われ続けた結果。

 

「今年は、もっとお前を見せびらかす」

 

 私は堀田を見上げた。

 

「……嬉しい、です」

 

 一年前なら、恐怖だった。

 見せびらかされる。トロフィーとして。

 今は、誇らしい。

 堀田のもの。それが、誇らしい。

 

 ◆◆◆

 

 寝室。

 私はドレスを身につけた。

 するりと肌を滑る。シルクが体温で温まっていく。

 身体に沿う。ぴったりと。

 ファスナーは背中。自分では閉められない。

 

「堀田様、お願いします」

 

 堀田が後ろに回る。気配が近づく。

 指が背中に触れた。

 ゆっくりとファスナーが上がる。じりじりと。金属の音。

 ドレスが身体を締め付ける。

 胸が押し上げられる。呼吸が少し苦しい。

 鏡を見る。

 深い紺色が、白い肌を際立たせている。

 胸の谷間が深く見える。

 背中は腰まで露わ。背骨のラインがくっきりと。

 

「……似合って、ますか?」

 

 堀田が私の肩に手を置いた。鏡越しに目が合う。

 

「完璧だ」

 

 私は微笑む。

 堀田に褒められる。それが、嬉しい。

 

「下着は……今年も?」

「もちろんだ。何もつけるな」

「……はい」

 

 一年前は、抵抗した。顔を真っ赤にして。

 でも今は、素直に受け入れる。

 それどころか。

 私は堀田に向き直り、腕を首に回した。

 

「ねえ、堀田様」

「ん?」

 

 身体を密着させる。胸が彼の胸板に押し付けられる。柔らかい感触。

 

「パーティーの後」

 

 上目遣いで見る。

 

「たくさん、可愛がってくださいね」

 

 堀田の手が、私の腰を掴んだ。ぐっと。

 

「期待してるのか?」

「……ええ」

 

 顔を彼の胸に埋める。男の匂い。汗と、堀田の匂い。

 

「去年は……怖かったけど」

 

 本当に、怖かった。

 

「今年は」

 

 顔を上げる。

 

「楽しみで、仕方ないんです」

 

 堀田の目が、私を見る。

 

「だって」

 

 私は堀田の唇に、自分の唇を重ねた。

 キスをする。自分から。

 堀田が舌を入れてくる。ぬるりと。

 私の舌と絡み合う。

 ちゅぷ、ちゅぷと音がする。

 甘い。

 

「あなたに抱かれるの」

 

 唇を離す。糸を引く。

 

「気持ちいいから」

 

 堀田が、私を強く抱き締めた。

 

 ◆

 

 夕方。

 車が、ホテルの玄関に滑り込む。

 ドアマンが扉を開ける。

 

「いらっしゃいませ」

 

 堀田が先に降り、私に手を差し伸べる。

 その手を取り、車から降りた。

 ハイヒールが石畳に触れる。カツンと音がする。

 ホテルのエントランス。大理石の床が光を反射している。

 シャンデリアの輝き。

 懐かしい。

 一年前も、ここに来た。

 でも、心境は全く違う。

 堀田が私の腰に手を回した。指が腰のくびれに食い込む。

 

「緊張してるか?」

「いいえ」

 

 私は堀田を見上げた。

 

「あなたが隣にいるから」

 

 堀田が微笑む。

 私たちはボールルームへ向かった。

 

 ◆◆◆

 

 扉が開く。そこは、去年と同じ別世界。

 天井高く輝くシャンデリア。無数のクリスタルが光を散らす。大理石の床。鏡張りの壁。

 ドレスアップした人々。タキシードの男性たち。イブニングドレスの女性たち。シャンパングラスを持ち、談笑している。笑い声が音楽に混じる。

 生演奏のワルツが流れている。バイオリンの音色。

 

 私たちが入ると、何人かがこちらを見た。

 視線。

 男性たちの視線が、私の身体を舐めるように動く。

 胸元。背中。腰。太もも。

 ドレスの下に何もつけていない。

 それを知っているのは堀田だけ。

 でも、一年前と違う。

 一年前は、怖かった。

 今は。

 私は小さく微笑んだ。

 

(見てください。でも、触れられるのは、あなただけ)

 

 堀田に身体を寄せる。

 

「ねえ、堀田様」

「ん?」

 

 小さく囁く。耳元に。

 

「皆、私を見てます」

「ああ」

 

 堀田の声が、低い。

 

「でも」

 

 私は堀田を見上げる。

 

「一番いやらしい目をしてるのは、あなた、ですよ」

 

 堀田の手が、腰を強く掴んだ。

 

「当たり前だ。お前は俺のものだ」

 

 私は嬉しそうに笑った。

 

「……ええ、そうですね」

 

 本当に。私は、堀田のもの。

 

 ◆

 

 パーティーが進む。

 ある紳士が堀田に話しかけてきた。五十代、恰幅の良い男性。去年も見た。

 

「堀田さん、お久しぶりです」

「ああ、Kさん」

 

 握手。がっちりと手を組み合わせる音。

 Kの視線が私に向いた。

 

「相変わらず、美しい方ですね」

「ありがとうございます」

 

 私は優雅にお辞儀をする。背中が少し曲がる。

 会話が続く。

 

「そういえば、例の投資案件は?」

 

 堀田が一瞬、言葉に詰まる。表情はわずかに。

 私はさりげなくシャンパングラスを傾けながら、口を開いた。

 

「あの件は、現在精査中と伺っております」

 

 Kが私を見る。

 

「ほう」

「リスクとリターンのバランスを、慎重に検討していると」

 

 私は微笑む。上品に。

 

「堀田が、時々話してくれますので」

 

 嘘。でも、この場を繋ぐことができればいい。堀田が動揺しなければそれでいいのだ。

 Kが頷いた。

 

「なるほど。では、良い結果を期待しています」

「ええ、その際には」

 

 Kが去る。

 堀田が私の腰を、小さく二回握った。

 ありがとう、という合図。

 私も、小さく堀田の手を握り返す。

 どういたしまして。

 言葉はいらない。もう、分かり合えている。

 

 ◆

 

 ディナーは、ホテルの最上階にある高級フレンチレストランで。

 白いテーブルクロス。銀の食器。ナイフとフォークが、皿の両脇に綺麗に並んでいる。

 堀田が外側のナイフを取った。少し、角度が不安定。

 

 私は何も言わない。

 代わりに、自分のナイフとフォークを取る。正しい角度で。ゆっくりと。

 魚を切る。刃がすっと入る。

 優雅に口に運ぶ。

 

「このお魚、とても美味しいですね」

 

 堀田が、私の手元を見ている。視線を感じる。

 そして、自分の持ち方を修正する。さりげなく。

 食事が進む。

 堀田がワイングラスを持った。ボウルを持っている。

 私は自分のグラスを持ち上げる。ステムを持つ。細い部分を。

 

「乾杯、しませんか?」

 

 堀田が、私の持ち方を見る。そして、持ち方を変える。

 グラスが触れ合う。チンと澄んだ音。

 堀田が、小さく囁いた。

 

「……助かる」

 

 私は微笑む。

 

「いいえ」

 

 そして、小さく囁き返す。

 

「……あなたを支えるのが、私の仕事ですから」

 

 堀田の目が、優しくなる。

 私の胸が、温かくなった。

 

 ◆◆◆

 

 パーティーが進む。

 堀田が私の手を引いた。

 去年と同じ。会場の端、カーテンで仕切られた控室へ。

 人混みを抜ける。

 

 カーテンが閉まる。しゅっと音を立てて。

 私たちだけの空間。

 外では音楽が流れている。バイオリンとピアノ。人々の笑い声。

 でも、ここは静か。

 

 一年前は、恐怖だった。

 今は? 

 私の身体が、熱くなる。疼く。

 堀田が私を壁に押し付けた。背中が冷たい壁に当たる。

 

「去年のこと、覚えてるか?」

「……はい」

 

 私は頷く。顔が赤い。熱い。

 

「ここで」

 

 言葉が、恥ずかしい。

 

「ここで、お前を指でイかせた」

 

 私は視線を落とした。床の模様を見つめる。

 

「……覚えて、ます」

「どうだった?」

 

 堀田の手が、ドレスの裾に触れた。シルクが指に引っかかる。

 

「……恥ずかしかった、です」

「でも?」

 

 私は堀田を見上げた。

 

「でも」

 

 顔がさらに熱くなる。

 

「気持ちよかった、です」

 

 堀田の目が、光る。

 

「今年も、やるか?」

 

 私は、自分から足を開いた。

 ドレスの裾が、少しめくれる。

 

「……お願い、します」

 

 一年前は、命令されてやった。嫌々だった。

 今は、自分から。欲しくて。

 堀田の手が、裾をたくし上げる。ゆっくりと。

 太ももが露わになる。そして。

 下着をつけていない秘所が、空気に触れた。ひんやりとする。

 堀田の指が、そこに触れた。

 

「んっ」

「もう、濡れてるな」

 

 ぬるりと指が秘所を撫でる。ぬちゃっと音がする。

 

「……だって」

 

 私の声が震える。

 

「あなたが……触ってくれるから」

 

 堀田の指が、中に入る。ずぷっと。

 

「あっ」

 

 指が動く。中をかき混ぜる。

 くちゅくちゅと音がする。恥ずかしい音。

 

「声を出すな」

「……んっ」

 

 私は唇を噛んだ。血の味がする。

 外では音楽が流れている。人々の笑い声。談笑。

 誰も知らない。このカーテンの向こうで、何が起きているかを。

 一年前より、感じやすくなっている。

 身体が、堀田に馴染んでいる。

 堀田の指が、いつもの場所を突いた。奥の。

 

「んんっ……!」

 

 すぐに、絶頂が来る。波が押し寄せる。

 身体がびくんと震える。

 でも声は出さない。必死に堪える。喉の奥で、呻き声を押し殺す。

 堀田は指を引き抜いた。ぬぷっと音がして、愛液が糸を引く。

 光を反射して、きらりと光る。

 濡れた指を、私の唇に押し当てる。

 一年前は、命令されて嫌々舐めた。

 今は。

 私は自分から堀田の指を咥えた。

 舌で舐める。ちろちろと。

 自分の味。甘いような、苦いような。

 でも、もう恥ずかしくない。

 

「……んっ……ちゅぱ」

 

 音を立てて吸う。じゅるじゅると。

 

「いい子だ」

 

 堀田が私の髪を撫でた。

 指を離す。ぷはっと息を吐く。

 

「もう一本、咥えろ」

 

 堀田がもう一本指を出した。

 私は二本の指を咥える。

 

「んむっ」

 

 フェラをするように、前後に動く。

 

「ちゅぱ……じゅる」

 

 堀田の目が、爛々と光っている。

 

「本当に、変わったな」

 

 私は指を離した。唾液が糸を引く。

 

「……あなたが、変えたんです」

 

 本当に。

 私を、こんな女に変えたのは、あなた。

 憎い。

 

 ◆

 

「戻るぞ」

 

 堀田が言う。

 私はドレスを直した。何事もなかったように。

 でも、身体の奥に余韻が残っている。疼きが。

 カーテンを開ける。

 音楽と笑い声が、一気に押し寄せる。

 私たちはボールルームに戻った。

 誰も、気づいていない。

 私たちが何をしていたかを。

 それが、少し嬉しい。

 秘密を共有している。堀田と。

 

 ◆◆◆

 

 パーティーが終わったのは、夜十時を過ぎた頃だった。

 人々が帰り始める。ドレスの裾が床を撫でる音。別れの挨拶。

 

「今夜は、ここに泊まる」

 

 堀田が言った。

 私は頷く。

 分かっていた。去年と同じ。

 エレベーターで最上階へ。

 密室。二人だけ。

 私は堀田の腕にしがみついた。

 

「……ねえ」

「ん?」

「早く……したい、です」

 

 堀田が笑う。

 

「我慢できないのか?」

「……できません」

 

 私は堀田の腕に胸を押し付けた。柔らかい感触。

 

「だって……さっき、指で……されて」

 

 顔を真っ赤にする。

 

「身体が、もっと欲しいって」

 

 エレベーターが止まる。

 最上階。五十階。

 ドアが開く。

 堀田が私を抱き上げた。

 

「きゃっ」

「じゃあ、たっぷり可愛がってやる」

 

 私は堀田の首に腕を回す。

 

 ◆

 

 スイートルームのドアに、堀田がカードキーをかざす。ピッと音がして、ドアが開く。

 中に入る。広い。天井が高い。

 リビング。寝室。そして、全面ガラスの窓。床から天井まで夜景が広がっている。

 

 私は窓に近づいた。ハイヒールが床を叩く。カツカツと。

 遥か下に街の光。車のヘッドライト。ビルの明かり。

 

「去年も、ここでしたね」

「ああ」

 

 私は振り返った。

 

「去年は……怖かった」

 

 堀田が近づく。足音。

 

「今は?」

 

 私は微笑む。

 

「今は」

 

 自分からドレスの肩紐に手をかけた。

 

「楽しみで……仕方ないんです」

 

 堀田の目を見る。じっと。

 

「楽しませて、くださいまし」

 

 

 ◆◆◆

 

 浴室。

 大理石の壁が光を反射している。

 堀田が服を脱ぐ。ジャケット、シャツ、ズボン。一つ一つ、床に落ちる。

 私もドレスを脱ぐ。ファスナーを下ろす。じりじりと。

 ドレスが床に落ちる。ずるりと。

 裸になる。

 

「身体、洗います」

 

 私はスポンジを取った。

 石鹸を泡立てる。ぶくぶくと泡が膨らむ。

 堀田の背中を洗う。広い背中。肩、腕、胸、腹。

 スポンジが肌を滑る。ごしごしと。

 そして、太ももを洗う。

 堀田のモノが、私の目の前にある。

 既に硬くなっている。大きい。

 私はスポンジを置いた。

 

「……口で、洗います」

 

 一年前は、命令されてやった。嫌々だった。

 今は、自分から。欲しくて。

 堀田のモノを握る。熱い。脈打っている。ドクドクと。

 口に含む。

 

「んむっ」

 

 唇が大きく開く。

 舌で舐める。ちろちろと。

 先端から根元まで。裏筋を舐める。

 そして、深く咥える。

 

「んんっ」

 

 喉の奥まで。先端が喉に触れる。

 堀田が私の髪を掴んだ。ぐいっと。

 

「いい顔だ」

 

 私は上目遣いで堀田を見る。

 口にモノを咥えたまま。

 そして、前後に動く。

 じゅぷ、じゅぷ、と音がする。

 

「もっと深く」

 

 私は頷いた。さらに深く咥える。

 涙が出る。目尻から頬を伝う。

 でも、止めない。

 堀田が腰を動かし始めた。

 私の口を使って。前後に。

 

「んんっ……んんっ」

 

 苦しい。息ができない。

 でも、気持ちいい。

 堀田に使われている。それが、嬉しい。

 

「出すぞ」

 

 どくどくと、口の中に熱いものが注がれる。

 

「んんっ……!」

 

 私は必死に飲み込んだ。ごくごくと。喉を通る感触。

 苦い。どろりとしている。

 でも、全部飲む。

 堀田のモノを離す。ぷはっと大きく息を吐く。

 

「全部……飲みました」

 

 舌を出して見せる。

 堀田が笑った。

 

「いい子だ」

 

 私は嬉しくなる。

 堀田に褒めさせることができたからた。

 

 ◆

 

 二人でバスタブに浸かる。

 お湯が温かい。身体が芯から温まる。

 堀田が私を抱き寄せる。私は堀田の胸に背中を預ける。

 彼の心臓の音が聞こえる。

 

「お前、本当にいい身体してるな」

 

 堀田の手が、お湯の中で私の胸を揉んだ。ぷにぷにと。

 指が乳首を転がす。つまむ。引っ張る。

 

「んっ」

「今夜は、何度もイかせてやる」

 

 私の身体が震えた。お湯が波立つ。

 

 ◆◆◆

 

 ベッドに移動した。

 堀田が仰向けに寝る。

 

「お前が、動け」

 

 私は頷いた。

 堀田の上に跨る。両手を彼の胸に置く。

 自分で、彼のモノを掴む。熱い。

 入口に当てる。先端が、ぬるりと秘所を撫でる。

 そして、腰を下ろす。

 ゆっくりと。

 

「あああっ」

 

 奥まで入る。子宮口に先端が当たる。ぐっと押し付けられる。

 

「……大きい」

 

 いつも思う。大きい。

 私の中を、いっぱいにする。

 両手を堀田の胸に置く。

 そして、腰を動かし始めた。

 上下に。ゆっくりと。

 

「あっ……あっ」

 

 堀田の手が、私の腰を掴んだ。

 

「もっと速く」

「……はい」

 

 私は腰を速く動かす。

 ぱちゅ、ぱちゅと音がする。水音。

 

「ああっ……気持ち……いい」

 

 胸が揺れる。ぷるんぷるんと。

 堀田の手が、胸を揉む。ぐにゅっと。

 

「んっ」

 

 乳首をつまむ。引っ張る。

 

「あああっ!」

「いい声だ。もっと出せ」

 

 私は腰を動かし続ける。

 前後にも動かす。グラインドする。クリトリスが擦れる。

 

「ああっ……奥……当たる」

「もっとだ」

 

 私はさらに激しく動いた。

 

「あっ……あっ……ああっ」

 

 もう、言葉にならない。

 理性が溶けていく。

 

「イク……イっちゃう」

「いいぞ」

「イクっ……イくっ……イっちゃううううっ!」

 

 絶頂。

 身体がびくんびくんと痙攣する。

 でも、腰は止めない。動かし続ける。

 堀田も、下から突き上げてくる。

 

「俺も……出すぞ」

「中に」

 

 私は堀田を見下ろす。

 

「中に、出して……ください」

 

 堀田が奥まで突き入れた。

 どくどくと、中に熱いものが注がれる。

 

「ああああああっ!」

 

 私は堀田の上に崩れ落ちた。

 全身に力が入らない。

 

 ◆

 

 しばらくして。

 堀田が私を抱き起こした。

 

「まだ、終わりじゃない」

「……はい」

 

 堀田が私を窓際に連れて行く。

 大きな窓。外に夜景。無数の光。

 

「去年も、ここでやったな」

「……はい」

 

 私の心臓が高鳴る。ドクドクと。

 

「今年も、やりたいか?」

 

 私は頷いた。

 

「……お願い、します」

「言葉で言え」

 

 私は顔を赤らめる。熱い。

 

「窓際で……して、ください」

「どうやって?」

「後ろから」

 

 声が小さくなる。

 

「激しく」

 

 堀田が笑った。

 

「自分から言うようになったな」

 

 私は窓に手をついた。

 ガラスが冷たい。ひんやりとする。

 お尻を突き出す。

 

「……お願い、します」

 

 堀田が後ろから入れる。ずぷっと。

 

「あっ」

 

 奥まで。この角度、深い。

 

「外を見ろ」

 

 私は外を見る。遥か下の街。車が走っている。人が歩いている。

 高い。怖い。

 でも、気持ちいい。

 堀田の腰が動き始めた。

 

「あっ……ああっ」

 

 後ろから突かれる。

 ぱんぱんぱんと音がする。肌が打ち合う音。

 

「誰かに見られてるかもしれないぞ」

「やっ」

 

 でも、身体は反応している。濡れている。締め付けている。

 

「本当は、見られたいんだろ?」

「……ち、違います」

「嘘つけ。もっと濡れてる」

 

 堀田の腰がさらに激しくなる。容赦ない。

 

「ああっ……ああっ」

 

 窓ガラスに息がかかる。白く曇る。

 

「もっと感じろ」

「ああああっ!」

「イクっ……また、イっちゃう」

「いいぞ」

「イクっ……イくっ……イっちゃううううっ!」

 

 絶頂。

 身体がびくんびくんと痙攣する。

 ガラスに手をついたまま。

 堀田も中に出した。どくどくと。熱い。

 私は窓に手をついたまま、膝が崩れた。

 堀田の腕が私を支える。そうでなければ、倒れていた。

 

 ◆◆◆

 

 ベッドに戻った。

 私は横たわっている。身体に力が入らない。全身がとろけている。

 堀田が隣に寝転んだ。ベッドが沈む。

 

「まだ、続きがあるぞ」

「……はい」

 

 私は頷く。疲れている。でも、嬉しい。

 堀田が私を抱き寄せた。温かい腕。

 今度は、優しい。

 ゆっくりと私の身体を愛撫する。撫でるように。

 胸を撫で、腹を撫で、太ももを撫でる。

 

「あ」

「今度は、ゆっくりやる」

 

 堀田が私の上に覆い被さった。

 そして、また入れる。ずぷっと。

 

「あ……ああ」

 

 今度は、ゆっくりと腰が動く。激しくない。丁寧に。

 奥まで入れて、ゆっくり引く。ぬぷっと。

 また奥まで。ずぷっと。

 

「気持ち、いい」

「ああ」

 

 堀田が私の唇にキスをした。唇が重なる。

 舌が入ってくる。ぬるりと。私の舌と絡み合う。

 ちゅぷちゅぷと音を立てて。

 腰はゆっくりと動き続けている。一定のリズムで。

 優しい。

 まるで、恋人同士みたい。

 違う。私たちは、恋人じゃない。

 私は借金のカタ。堀田は、私を所有しているだけ。

 でも。

 気持ちいい。なんで、こんなに。

 

「好き」

 

 私が、小さく呟いた。

 堀田の動きが止まる。

 

「……何?」

「あなたのセックス、大好きっ」

 

 言ってしまった。

 本音が、漏れた。

 堀田は何も言わない。

 ただ、優しく腰を動かし続ける。

 

「あ……ああ」

「イきそうか?」

「……うん」

「じゃあ、一緒にイこう」

 

 堀田の腰が少し速くなる。でも、優しい。

 じわじわと快感が積み重なる。波が寄せてくるように。

 

「イク……イっちゃう」

「俺も……出すぞ」

「あああああっ!」

 

 絶頂。

 でも、今度は違う。激しい波じゃない。

 温かい波。全身を包み込む。ふわりと。

 堀田も中に出した。どくどくと。

 私たちはしばらくそのままでいた。

 重なり合ったまま。

 堀田の心臓の音が聞こえる。ドクドクと。

 

 ◆

 

 深夜三時。

 私は目を覚ました。

 時計の針が、三時を指している。

 身体が、熱い。疼いている。

 隣で堀田が眠っている。寝息が聞こえる。

 明日、大事な会議がある。起こしてはいけない。

 でも。

 我慢できない。

 私の手が、勝手に動く。

 シーツの下に潜り込む。

 堀田のモノに触れる。

 握る。上下に動かす。

 堀田が目を覚ました。

 

「……また、か?」

「……ごめんなさい」

 

 でも、手は止まらない。

 

「欲しい……んです……オ、オチンポ」

 

 私は堀田に跨った。

 自分で、挿入する。

 

「あああっ」

 

 腰を動かす。激しく。

 

「ごめんなさい……ごめんなさい」

 

 でも、止められない。

 

「我慢、できなくて」

 

 理性が、ない。

 今の私は、動物。

 雌。

 堀田のモノを求める、雌。

 

「ああっ……ああっ」

 

 堀田が私の腰を掴った。

 

「好きにしろ」

 

 私は腰を動かし続ける。

 もう、何も考えられない。

 ただ、気持ちいい。

 それだけ。

 

 

 

 

【2】俺のこと憎んでいる元華族のご令嬢が全裸で土下座したスイートルームの朝

 

 朝六時。私は堀田の腕の中で目を覚ました。

 窓の外が、明るくなり始めている。

 堀田はまだ眠っている。

 

 私は、そっと彼の腕を抜けた。裸のまま、窓辺に立つ。遥か下に街。朝日が差し始めている。オレンジ色の光。

 

 自分の身体を見下ろす。

 胸が、大きくなった。Eカップだ。肌が、艶やかになった。性的な充足の証だろう。

 太ももに、堀田の精液が伝っている。白く濁った液体。

 昨夜、何度、出されただろう。数え切れない。

 

(私は、変わった)

 

 振り返る。ベッドで眠る堀田。

 

(この人に、変えられた)

 

 憎しみは、ある。今でも。

 許したわけじゃない。

 あの日のことも、今のことも。

 全部、許せない。

 でも。

 

(この人なしでは、もう生きていけない)

 

 その事実を、認めなければならない。

 私は、決意した。

 

 ◆

 

 堀田が目を覚ます。

 私は、窓の前に跪いた。

 朝日が、裸の身体を照らす。まぶしい。

 正座。

 そして、両手をついた。

 土下座。

 裸で。

 額を床につける。冷たい。

 

「……雪姫?」

 

 私は、土下座のまま。顔を上げない。

 

「堀田様」

 

 声が震えている。喉が詰まる。

 

「私は……昔」

 

 涙が床に落ちる。ぽた、ぽたと。

 

「あなたを、見下していました」

「汚いと、言いました」

「近寄るなと、言いました」

 

 堀田が起き上がる。ベッドが軋む。

 

「馬鹿にしました」

「下男だと、蔑みました」

 

 涙が止まらない。

 

「ごめんなさい」

 

 私の声が、掠れる。

 

「本当に……ごめんなさい」

 

 堀田が、私の前に座った。床に。

 

「顔を上げろ」

 

 私は顔を上げる。涙で顔がぐしゃぐしゃ。

 

「私は……負けました」

「あなたに、完全に」

 

 堀田の目を見る。じっと。

 

「私の心は」

 

 言葉が詰まる。でも、言わなければ。

 

「私の心は……まだ、あなたを憎んでいます」

 

 堀田の表情が変わらない。

 

「許せません」

「あの日のことも、今のことも」

「全部、許せません」

 

 私の拳が、床を叩いた。ばんと音がする。

 

「憎いです」

「憎くて、憎くて」

 

 涙が溢れる。

 

「でも」

 

 私の手が震える。

 

「でも、私の身体は」

 

 顔を伏せる。

 

「私の身体は……もう、あなたのものです」

「あなたの匂いを嗅ぐだけで、濡れます」

「あなたの声を聞くだけで、疼きます」

「あなたに触れられると、理性が溶けます」

 

 私は、また土下座した。

 

「あなたがいないと」

 

 声が震える。

 

「もう、生きていけません」

「あなたを憎んでいるのに」

「あなたを許せないのに」

「あなたが、必要なんです」

 

 私は、堀田の足に顔を近づけた。

 舐める。

 つま先から、足の甲を、舌で這う。ちろちろと。

 

「これからも」

 

 舐め続ける。じゅるじゅると音を立てて。

 

「私を……あなたのものに」

 

 足の指を、一本ずつ舐める。丁寧に。

 

「どうか」

 

 堀田の足首を舐める。くるぶしを。

 

「どうか、お慈悲を」

 

 涙と唾液で、顔が濡れている。

 でも、止めない。

 

「捨てないで、ください」

 

 懇願。

 

「私を……あなたの雌として……置いてください」

 

 堀田の手が、私の髪を撫でた。

 

「……立て」

 

 私は顔を上げる。

 

「お前は、もう俺のものだ」

 

 堀田が私を抱き上げた。

 

「これからもずっと、俺のものだ」

 

 私は泣きながら、頷いた。

 

「はい」

「ずっと……あなたのもの」

 

 堀田が私にキスをする。

 長い、深いキス。

 舌が絡み合う。涙と唾液の味。

 

「捨てたりしない」

 

 堀田が私を見る。

 

「お前は、俺が一番苦労して手に入れた女だ」

 

 私の目から、また涙が溢れた。

 

「簡単に手放すか」

 

 堀田が私をベッドに押し倒す。

 

「もう一度、お前を抱く」

「あ」

「お前が、完全に俺のものだと、刻み込む」

 

 そして、また入れた。

 

「ああああっ」

 

 朝日の中で、二人は結ばれる。

 窓から差し込む光が、二人の身体を照らす。

 

 ◆◆◆

 

 ルームサービスの朝食。

 私はシャワーを浴びて、何事もなかったかのように座っていた。髪を綺麗に、上品にまとめている。

 パンを一口食べる。紅茶を飲む。温かい。

 

「美味しいですね」

 

 堀田が、私を見ている。じっと。

 さっきまで裸で土下座して、足を舐めていた女が……今は、上品に朝食を取っている。

 この二面性が、きっと彼の心を捕らえる。

 私を変えた責任を、心に植え付けるのだ。

 

「ねえ、あなた」

 

 意識して「あなた」と呼びかける。自分の妻だと錯覚させるように。

 

「帰ったら……何が食べたいですか?」

「何でもいい」

「では、あなたの好きな、鯖の味噌煮を作ります」

 

 堀田が微笑む。口角が上がる。

 

「それと」

 

 私は紅茶カップを置いた。ソーサーに触れる音。

 

「母の見舞いに、一緒に来てくださいますか?」

 

 堀田の表情が変わる。眉がわずかに動く。

 

「……いいのか?」

「ええ」

 

 私は頷く。

 

「母に、あなたを紹介したいんです」

 

 嘘じゃない。本当に。

 母に、この人を見せたい。私を、こんなに変えた人を。

 

 ◆

 

 時計の針が十時を指している。

 フロントで鍵を返す。堀田が手続きをする。ペンを走らせる音。

 フロント係が、私たちを見て微笑んだ。意味深な笑み。全て、分かっている。私たちが何をしていたか。

 

 私は顔を赤らめた。でも、視線を逸らさない。堀田の腕にしがみつく。

 

【挿絵表示】

 

 車に乗り込む。革のシートが身体を包む。ひんやりとした感触。

 運転手が運転席に座る。エンジンがかかる。

 後部座席は私と堀田、二人だけの空間。

 車が動き出す。街の風景が流れていく。

 

 ◆◆◆

 

 しばらく走ると、堀田が運転手に言った。

 

「少し、止めろ」

「はい」

 

 車が減速する。人気のない駐車場に入る。

 タイヤが地面を噛む音。

 車が止まる。

 

「外で待て」

「かしこまりました」

 

 運転手が降りる。ドアが閉まる。静寂。

 私たちだけ。

 堀田が私を見た。

 

「来い」

「……はい」

 

 私は堀田の隣に移動した。身体が近づく。

 堀田が私を抱き寄せる。腕が腰を抱く。

 キスをする。唇が重なる。

 舌が入ってくる。ぬるりと。絡み合う。

 

「んっ」

 

 堀田の手が、私のスカートをたくし上げた。

 

「ちょ……ここ」

「誰も見てない」

 

 手が太ももの内側を這う。上へ、上へ。

 下着に触れる。ずらす。

 指が、秘所に触れた。ぬるりと。

 

「んっ」

「もう、濡れてるな」

 

 指が秘所を撫でる。ぬちゃっと音がする。

 

「……だって」

 

 本当に。朝、あんなにされたのに。もう、疼いている。

 

「車の中で、したこと、あったか?」

「……ない、です」

「じゃあ、初めてだな」

 

 堀田が私をシートに押し倒した。身体が沈む。

 ベルトを外す音。カチャリと。

 ジッパーを下ろす音。ジリジリと。

 堀田のモノが、私の入口に触れる。先端が、ぬるりと秘所を撫でる。

 

「入れるぞ」

「……はい」

 

 入ってくる。ずぷっと。

 

「あっ」

 

 奥まで。子宮口に当たる。

 堀田の腰が動き始めた。ゆっくりと引く。そして突く。

 

「あっ……ああっ」

 

 車が揺れる。ギシギシと音がする。

 シートが軋む。

 

「声を出すな。外に聞こえる」

「んっ……んんっ」

 

 唇を噛む。声を堪える。

 でも、身体は正直に反応する。

 堀田の腰がさらに激しくなる。ぱちゅぱちゅと水音。

 

「誰かに見られるかもしれないぞ」

「やっ」

 

 でも、それがまた興奮する。身体が熱くなる。

 

「ああっ……ああっ」

 

 もう、理性がない。

 動物。交尾。それだけ。

 

「イク……イっちゃう」

「いいぞ」

「イくっ……イくっ」

 

 声を押し殺して。

 

「イっちゃううううっ……!」

 

 絶頂。身体がびくんびくんと痙攣する。

 堀田も中に出した。どくどくと脈打ちながら。熱い。

 

 ◆

 

 荒い呼吸。胸が上下する。

 私は服を直した。スカートを下ろす。下着を整える。

 堀田も服を整える。

 堀田が窓を開けた。外の空気が入ってくる。

 

「運転手、戻れ」

 

 運転手が戻ってくる。何も聞かなかったように。表情一つ変えない。

 車が動き出す。エンジン音。

 私は堀田の腕に身体を寄せた。

 満たされている。身体の奥まで。

 でも、まだ足りない。もっと欲しい。

 

 ◆◆◆

 

 病院。

 母が入院している病院。白い建物。

 エントランスを抜ける。消毒液の匂い。

 エレベーターで病棟へ。数字が上がっていく。三、四、五。

 扉が開く。

 廊下を歩く。靴音が響く。

 母の部屋。305号室。

 ドアをノックする。コンコンと。

 

「どうぞ」

 

 母の声がして、ドアを開ける。

 窓辺のベッドに座る母は元気そうだ。顔色がいい。

 

「お母様」

 

 私は母に駆け寄った。抱きつく。

 母の匂い。優しい匂い。

 

「元気そうで、良かった」

「大げさですよ、はしたない……あら?」

 

 母が堀田を見た。視線が動く。

 

「こちらは?」

 

 堀田が一歩前に出る。

 

「堀田誠二です」

 

 丁寧にお辞儀をする。深く。

 

「雪姫……さんには」

「お母様。私、彼のお宅でときどき料理をしておりますの。この方、私がいないとだらしなくて」

 

 堀田が肩をふるわせる。

 

「まあ……それはそれは」

「…………雪姫さんには、大変、お世話になっております」

 

 母が微笑んだ。優しい笑顔。

 

「こちらこそ。娘が、お世話になっております」

 

 母は分かっているのだろうか。私と堀田の関係を。

 いいえ、分かるわけがない。私にだって分からないのだから。

 

 ◆

 

 母は、堀田を気に入ったようだ。時々、笑顔を見せる。

 私は、二人を見ている。

 不思議な光景。母と、私の主人。いや、主人ではない。所有者。

 でも、母の様子からは、そんな風には見えないのだろう。ただの、娘の恋人のように見ている。

 

「リハビリ、順調なのですよ。先生も驚いていらして」

 

 母は明るく笑う。だが、ふと視線を窓に向けたとき、頬の影が深く見えた。

 

(……無理してる)

 

 私は母の手を取った。指先が、思ったより細く、冷たい。

 

「無理しないでくださいね」

「ええ、大丈夫です」

 

 母は私の手を軽く握り返してくれた。その温もりが、少しだけ胸を和ませる。

 やがて、私は立ち上がった。

 

「お手洗いに……」

「ええ、行ってらっしゃい」

 

 部屋を出る。廊下は静かで、自分の靴音だけが不自然に響いた。

 トイレの表示を見つけ、矢印に従って進む。白いタイルの床が冷たく光っている。

 個室に手をかけたとき——背後に、気配を感じた。

 振り返る。

 堀田が、すぐそこにいた。

 

「ちょ……」

 

 言葉が終わる前に、堀田の手が私の腕を掴んだ。そのまま個室に押し込まれる。

 ドアが閉まる。カチャリ、と鍵の音。

 

「……あの、女子トイレなのですが」

「あんな紹介されて、我慢できるかっ」

 

 堀田が私を壁に押し付けた。背中が冷たいタイルに触れる。

 

「でも……母が」

「すぐ終わる」

 

 スカートをたくし上げる。下着をずらす。

 堀田のモノが、入ってくる。準備もなく。でも、入る。濡れているから。

 

「んっ」

 

 声を出せない。外に聞こえる。

 唇を噛む。血の味。

 堀田の腰が動く。速く。激しく。

 容赦ない。

 

「んんっ……んんっ」

 

 必死に声を堪える。喉の奥で、呻き声を押し殺す。

 便器に手をつく。冷たい陶器。

 腰を突き出す。

 後ろから、激しく突かれる。

 ぱんぱんぱんと音がする。肌が打ち合う音。

 

「んんっ……!」

 

 すぐに、絶頂が来る。波が押し寄せる。

 身体がびくんと震える。

 でも声は出さない。喉の奥で、呻き声を押し殺す。

 堀田も中に出した。どくどくと。

 熱い。

 私は壁に手をついたまま、膝が崩れそうになる。

 堀田の腕が私を支えてくれた。

 

 ◆

 

 トイレから出る。

 私は洗面台で顔を洗った。冷たい水。

 鏡を見る。

 頬が赤い。目が潤んでいる。

 深呼吸。一つ、二つ。

 頬の赤みが、少しずつ引いていく。

 母の部屋に戻る。

 

「お帰りなさい」

「ただいま」

 

 何事もなかったように。

 でも、太ももを伝う感触。堀田の精液。

 下着が濡れている。

 

(母の目の前で……こんなこと……)

 

 罪悪感と、背徳感。

 でも、それがまた興奮する。

 

 ◆◆◆

 

 病院を出る。

 自動ドアが開く。しゅっと音がする。

 外の空気が冷たい。深呼吸をする。

 車のドアを開ける。革のシートの匂い。

 身体が沈む。

 マンションへ。

 高層マンションの最上階。私の居場所。

 もう、檻とは思わない。ここが、私の家。

 エレベーターで上がる。数字が上がっていく。

 四十、四十五、五十。

 最上階。

 ドアを開ける。カードキーをかざす。ピッと音がして、ドアが開く。

 

「ただいま」

 

 堀田が笑った。

 

「おかえり」

 

 その言葉が、嬉しい。

 

 ◆

 

 私は、リビングの中央に立った。

 堀田は数メートル離れたソファに座っている。

 私を見ている。その視線が、私の全身を撫でるよう。

 

「雪姫」

「はい」

「もう一度、やれ」

 

 私は頷いた。心臓が高鳴る。

 分かっている。何をすればいいか。

 服を脱ぐ。一枚ずつ。

 ブラウスのボタンを外す。一つ、二つ、三つ。

 肩から滑り落ちる。床に落ちる。

 スカートのファスナーを下ろす。じりじりと音がする。

 腰から滑り落ちる。足元に落ちる。

 下着を外す。ブラジャー、ショーツ。

 裸になる。

 堀田が、じっと見ている。

 私の身体を、舐めるように見ている。

 そして、堀田の前に歩く。

 床が冷たい。足の裏に触れる。

 堀田の前で、跪く。膝が床につく。

 両手をつく。

 土下座。

 額を床につける。冷たい。

 

「私は、あなたのものです」

 

 声が震える。

 

「ずっと、あなたのもの」

「どうか、お慈悲を」

 

 堀田の足が、目の前にある。

 私は顔を上げた。

 堀田の足に、顔を近づける。

 舐める。

 つま先から、舌を這わせる。ちろちろと。

 足の甲を舐める。じゅるりと。

 堀田が言った。

 

「今度は、撮る」

 

 堀田がスマートフォンを取り出した。

 私の心臓が跳ねる。ドクンと大きく。

 

「え……撮るって……」

「証拠だ」

 

 カメラのレンズが、私を向いた。

 黒い穴が、私を見ている。

 

「やっ……」

 

 でも、言葉が続かない。

 身体が、熱くなる。

 カメラが、私を見ている。

 裸で土下座して、足を舐めている私を。

 シャッター音。カシャッと。

 恥ずかしい。でも。

 興奮する。

 

「お前が、俺のものだという証拠」

 

 また、シャッター音。

 私の、土下座している姿。裸で。

 足を舐めている姿。

 全部、撮られる。

 

「恥ずかしい……」

 

 顔が熱い。燃えるように。

 

「でも、興奮するだろ?」

「……はい」

 

 本当に。

 撮られている。記録されている。

 それが、興奮する。

 

「もっと、いやらしい顔しろ」

 

 私は堀田のモノに顔を近づけた。

 既に硬くなっている。ズボンの上から、形が分かる。

 ジッパーを下ろす。じりじりと。

 モノを取り出す。熱い。脈打っている。

 舐める。先端から。ちろちろと舌を這わせる。

 カメラが、それを撮る。シャッター音。

 

「いい顔だ」

 

 私は、カメラを見た。レンズを見る。

 舌を出す。

 堀田のモノを舐めながら。じゅるりと。

 シャッター音。カシャッ。

 

「完璧だ」

 

 堀田が笑う。満足げに。

 

 ◆◆◆

 

 ベッドルームに移動した。

 堀田が私を押し倒す。柔らかいシーツ。身体が沈む。

 

「今夜は、朝まで抱く」

「……はい」

 

 そして、また入れた。ずぷっと。

 

「ああああっ」

 

 何度目だろう。今日、何度、堀田に抱かれただろう。

 数え切れない。でも、まだ足りない。もっと欲しい。

 堀田の腰が動く。ゆっくりと。丁寧に。

 

「あっ……あっ」

 

 気持ちいい。堀田のモノが、私の中を満たす。

 奥まで入る。子宮口を突く。

 

「もっと」

 

 私は堀田の背中に爪を立てた。

 

「もっと、ください」

 

 堀田が笑う。喉の奥で、低く。

 

「欲しがりだな」

「……だって」

 

 私は堀田を見上げる。

 

「あなたが、そういう身体に、したんです」

「責任、とってください」

 

 堀田が私にキスをした。唇が重なる。

 長いキス。舌が絡み合う。ちゅぷちゅぷと音がする。

 そして、激しく動き始めた。腰が速くなる。

 

「ああっ……ああっ」

 

 ベッドが軋む。ギシギシと。

 

「イク……イっちゃう」

「いいぞ」

「イくっ……イくっ……イっちゃううううっ!」

 

 絶頂。身体が硬直する。そして力が抜ける。

 堀田も中に出す。どくどくと。

 でも、終わらない。

 堀田は、また動き始める。

 

「あ……ま、また……?」

「朝まで、だ」

 

 何度も、何度も。

 絶頂を繰り返す。

 意識が朦朧とする。

 でも、身体は反応し続ける。

 

 ◆

 

 深夜。

 時計の針が三時を指している。

 私は堀田の腕の中で横たわっている。

 全身に力が入らない。

 汗で濡れている。

 堀田の精液が、太ももを伝って落ちる。

 

「疲れたか?」

「……はい」

 

 正直に答える。

 

「でも」

 

 私は堀田を見上げた。

 

「まだ、大丈夫です」

 

 堀田が笑う。

 

「本当に、変わったな」

「……あなたが、変えたんです」

 

 堀田が私を抱き締める。ぎゅっと。

 

「もう少し、休んでから、また抱く」

「……はい」

 

 私は目を閉じた。

 でも、眠れない。

 身体が、まだ疼いている。

 

 ◆◆◆

 

 明け方。窓の外が明るくなり始めている。朝日。

 私は堀田の腕の中で目を覚ました。

 また、この腕の中で。

 もう、離れられない。

 堀田の匂い。汗と、男の匂い。

 堀田の温もり。大きな身体。

 堀田の心臓の音。ドクドクと。

 全部、私のものになった。

 いや、違う。

 私が、堀田のものになった。

 心は、まだ抵抗している。憎しみは、消えない。

 でも、身体は、完全に屈服した。

 そして、それを、私自身が認めた。

 撮られた写真。あれが、証拠。

 私が、堀田のものだという証拠。

 もう、逃げられない。

 

 だから、逃がさない。

 

 私は、堀田の胸に顔を埋めた。

 そして、小さく囁く。

 

「……おはよう、ございます」

 

 堀田の手が、私の髪を撫でた。大きな手。優しい手。

 

「おはよう」

 

 また、日常が始まる。

 昼は、上品で有能なパートナー。

 夜は、淫らで貪欲な雌。

 そして、時々、全裸で土下座して、足を舐め、写真を撮られる女。

 それが、私。

 藤ノ宮雪姫。

 いや、もう違う。

 ただの、雪姫。

 堀田誠二の、雪姫。

 それで、いい。

 それが、いい。

 

【完】

番外編を読んでみたいお話はどれ?

  • 水着
  • メンエス
  • 銀狼
  • 令嬢
  • 姉ちゃん
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