※この作品はR-18です。

切り光薄い本いろいろ   作:風剣

4 / 8
・2話目。各話ごとに世界線、時系列、関係性等違いがあることを承知ください。
・具体的には今回は既にモブドロ交際中だったりとか。
・ご都合要素が多々含まれます
・ちょっと長くなったので前後編分割。次話なるはやで投稿するぜ
・光の純愛勢が増えだしたら4話あたりで闇のエロをぶつけて闇ファイター以外を間引きます



モブドロ セックスしないと出られない部屋なんて結局前座 上

 

 

 

「──ぁ」

「んっ、んっ……。ふぅ……ッ♡ 茂札っ、さん……! あっ、んぅぅ、そこぉッ」

 

 豊満な肢体が腰のうえでびくびくと身悶えている。

 銀色の髪は振り乱しながら、自らを犯し貫く怒張に身を戦慄かせのけぞっている少女。やがて脱力した身体は前方に崩れ落ち――汗ばんだ柔らかな乳房が、眼前でたぷたぷと弾む。

 

 自然、手は吸い込まれるようにその膨らみに向かった。

 下から支えるように触れ、掌にずっしりとした質量が乗っかるのを堪能しながら揉みしだく。しっとりとした肌触り、ふにゅんと形を変える柔肉。掌からはみでる豊満な膨らみの感触を確かめながら腰に力をいれれば、ぐりっと最奥を抉られた少女は艶めかしく泣き喘いで身をくねらせた。

 

「ふぁ、ァァぁぁぁ……! んぁっ、アッ、あっ、またっ♡ よわい、ところぉ……っ」

 

 まるでのぼせあがったかのような蕩けた表情に、戦慄の王女などと呼ばれた伶俐な面影はない。たどたどしく腰を振りながらそのたびに身を震わせて嬌声をあげる少女はすっかり快楽に夢中になってしまっていた。

 いや──それは、自分も同じか。

 眼前の女体から目が離せない。頭の奥が茹るように熱い。

 自身に跨る少女が達するほどに熱くぬめりきゅうきゅうと収縮する膣肉にしゃぶり尽くされている怒張も、そろそろ限界だった。

 

「ドロシー」

「ッ――♡」

 

 繋がりあったままベッドの上で身を起こし、華奢な背に腕を回して彼女の身を引き寄せる。耳元で囁きかけた青年に恍惚とした顔をする白い少女も、それに応じてほっそりとした腕と脚を彼の背に絡めては密着し逞しい胸板に豊満な膨らみを押しつけた。

 互いを貪りあうように、絡み合い、重なり、交わる。

 

 男の胸板に押し潰された乳房がむにゅりと形を変える。重ねられた唇を通して熱の籠った吐息を交換し合う。

 柔尻を鷲掴みに。反射的に腰を浮かせる少女を逃がさぬようがっちりと捕らえ、臨界に達した逸物をぐりっとねじこむ――。「ぁ、ッ♡」がくがくとその身を震わせ自分にしがみつく腕の力を強める彼女にその絶頂が近いのを悟り、青年もまた脳の灼けるような交わりのなかでぐっと滾りを最奥まで突き入れ、欲望を解き放った。

 

「っ、~~~~~~〜〜〜〜〜‼︎‼︎♡♡」

「ぐぅ……っ」

 

 普夫にしがみつく手の力を強め、彼の背にまわされた脚もぶるぶると痙攣させて達する少女。ゴムの1枚もなければこのまま子種を少女子宮めがけ注ぎ込むことになっていただろう勢いで男根を搾りにくる媚肉の動きにたまらず唸り声をあげる青年もまた、全身で彼女の肢体を味わいながらのけぞって震える華奢な背をゆっくりと撫でる。

 

「ぁ、ぁぁぁっ、あッ……。茂札っ、さん……♡」

 

 ぐったりと脱力し鍛え抜かれた肉体にしだれかかるドロシーは普夫の腕のなかで暫く痙攣を繰り返していたが、やがて顔をあげ彼と目線を合わせるとへにゃりと相好を崩し笑う。

 汗と涙に濡れた頬を紅潮させ、空のような蒼い瞳をとろんと蕩かせて。疲弊を滲ませながら、それでも心底嬉しそうに微笑んだ彼女は青年と唇を重ね囁いた。

 

「すごく、すっごく。しあわせです、ドア……」

 

 そう言い残して意識を手放し、逞しい胸板に身を預ける。そんな彼女の銀髪を慈しむような手つきで撫でながら、突如浮上した問題に気付いた普夫は思わず天を仰いだ。

 

「――流石に繋がったまんまなのは不味いな。ドア、起きよう。いや寝ててもいいけど……。抜くよ、ちょっと動かすから……、なんでいま手足ぎゅってしてきた??? まだ意識あるでしょ。ごめんだけど動かすよ、ゴム替えなきゃだから……ドロシー? ドロシーさん?」

「ぁ、また、おっきくなって……♡」

「ドア???」

 

 だいしゅきホールドから離してくれない()()。艶めかしい声をあげながら密着し離れない彼女への対応に悪戦苦闘しながら、普夫は何故こうなったのか思い返す。

 ――がちゃりと、どこかで錠の開く音が聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日はハロウィンだった。

 前世と比較して歴史はおろか宗教基盤自体がまったく変わってくるこの世界においても、その風習は普夫の知るかつてと相違ない。寧ろお祭り感はより活発としている気配さえあるか――。日が沈みだした頃合いには、仮装を身に纏った少年少女が笑いあいながら街に繰り出していく様を見るようになった。

 

『トリックオアトリートー!』

『あっユウキちゃんいらっしゃーい。えー可愛い!! いいなあ、すっごい素敵だよー!』

『えへへ、ありがとう! 店長も……すっごいえっちじゃない……?』

『……やっぱり大胆すぎたかな……?』

 

 そんなハロウィン商戦に乗じてMeekingでもキャンペーンを開催。客に配るためのお菓子を完備しレアカードやハロウィン限定パックを景品とした仮装をしてのファイト大会を催す――。

 可愛らしい赤ずきんの姿をしたユウキと狼男モチーフの仮装をしたサレン、お手洗いを借りて着替えようとして引っ張り出した包帯を見て即座に駆け付けた普夫にとんがり魔女帽をかぶせられたマリカ、思い思いの姿になった馴染みの小学生たち。

 

 常連の面々やキャンペーンに参加した飛び入りのファイターたちが集まった大会はキョンシー姿になったセトと吸血鬼じみたマントを身に着けた普夫に進行される形で激闘が繰り広げられ、ユウキと小学生たちを薙ぎ倒して勝ち上がったサレンと普夫に誘われて参加したドロシーによる決勝戦が終わり、ごくごく普通のカードショップで行われたとは思えないような超迫力のファイトを制した勝者を称えて大会はお開きとなり――。

 

 目を開けば、知らない天井だった。

 

「…………?」

 

 何度か瞬きを繰り返し、困惑気味に眉を顰めては普夫は身を起こす。

 ピンク色に周囲を照らす照明を見上げ、自分の寝そべっていた豪奢なダブルベッドを一瞥し。部屋を見回してあたりを確認した彼は、壁に『セックスしないと出られない部屋』とでかでかと張り出されているのを目撃した。

 

「……………………??」

 

 石にでもなったかのように固まる青年。

 張り出されている字を何度も何度も確認し、部屋を落ち着きなく見回して内装の雰囲気や透明なガラスによって区切られたバスルームからこの空間そのものがいわゆるラブホめいたものであるのを悟り。

 目が覚めたときからなんとなく気配を感じていて、けれど確かめるのが怖くて気付かないふりをしていた、自分と同じベッドのなかにいるもうひとりを確認する。

 恐る恐ると毛布をめくると、そこにいたのはすやすやと眠る銀髪の少女(こいびと)だった。

 

「…………………………………………???」

 

 たっぷり1分の硬直。

 学生の身分相応に健全なお付き合いをさせてもらっている恋人との同衾。それに加えMeekingにいたはずの自分たちを閉じ込める部屋の異常な状況。理解の範疇を超えた事態にフリーズしていた普夫は、やがて隣にいたドロシーを起こさないようにベッドから降りると扉に向かって歩を進める。

 

「……………………………………」

 

 ガチャ。ガチャガチャ。

 ガチャッ、ガッガッガッガッ──。

 ゴンッッッドッッドガッゴンゴガッ、ゴッ、ドゴガッ! ドゴゴがっ、がががが‼︎

 

「──、くそっ」

 

 拳、タックル、蹴りを間断なく叩き込む。ちっとも動いてくれないドアノブに業を煮やし即座に暴力に頼った青年だったが、扉は小揺るぎもしてくれなかった。

 びりびりと鈍痛を訴え出す身体に舌を打つ普夫が扉破りを一旦断念して離れる。室内に備え付けられている冷蔵庫なり浴槽なりを叩きつけて無理やり扉をぶち破れないか眦を鋭くさせて検討する彼の背後で、ぞもぞと動く気配があった。

 普夫の激しい抵抗を聞いて目を覚ましたのだろう銀髪の少女。ベッドのうえで身を起こした彼女は、きょとんと目を丸くして扉の前で悪戦苦闘する恋人を見つめていた。

 

「……普夫、さん?」

「ドア」

「どうしたんですか、いったい。それに、ここは……? 私たち、Meekingにいたはずじゃ」

 

 落ち着かなさそうにあたりを見回し、どことなくいかがわしい雰囲気を感じさせるピンク色の部屋に目を白黒させる少女。扉の前で破壊行為を行っていた普夫を見つめ、その上に張り出されている内容を確認し、沈黙の後に何が書かれているかを悟ったのだろうドロシーはなんとなく気恥ずかしそうに頬を染めながらも困惑を露わにして柳眉を顰めていた。

 

「え、えっと、普夫さん。……こ、これって……?」

「……さあ。僕も正直、何が何だかではあるけれど……」

 

 憎々し気に扉を見上げる。おもむろに拳を振り上げた普夫は、満身の力を籠めて横殴りに扉を打ちつけた。

 響く轟音――。Meekingの扉くらいなら施錠ごとぶち破れたくらいの破壊力で叩きつけた拳は、けれど眼前の扉にはなんの効果も及ぼすことは叶わなかった。

 

「見ての通りだ。僕たちがいつの間にか眠らされてこんなところに連れてこられたのも含めて、普通じゃあり得ないことが起きてる。多分、何かしらのカード力が関わってると思うんだけれどね」

「カード、ですか……?」

「そもそも、僕らはMeekingに居たはず……。居たはずだ。ドアはここで起きる前後の記憶はある? こうなった原因とか見かけたりした?」

「……それは……」

 

 沈黙したドロシーが考え込みだすのに意地の悪いことを聞いてしまったかと自戒する。完全に混乱させてしまっていた――。自分で思っていた以上に焦ってしまっているのかもしれない。こんな状況でいきなりまくしたてるようにして喋ってしまったのを後悔しながらあたりの様子を確認した普夫は、何とかここを抜け出す手がかりはないかと部屋の物色を始めていく。

 冷蔵庫のなかにはミネラルウォーターが数本と怪しげなピンク色の液体が入ったボトル、ハロウィンに備えMeekingで用意されていたのと同じお菓子がいくつか。クローゼットや戸棚も確認してみたが、なかにはアダルトグッズや布面積のほとんどない際どいコスプレしか入ってなかった。

 

 つくづく趣味の悪い部屋だと、勢いよくクローゼットを閉じながら青年は唸る。

 

(鈍器として冷蔵庫は使えそうではあったけど……さっきの手応えからして望みは薄いか……。どうにかして、ここから抜け出す方法を――)

「きゃっ……!?」

「ドロシー?」

 

 背後からあがった声に振り返る。

 そこに居たのはベッドに腰を下ろしていた銀髪の少女と……その背後から彼女に纏わりついてその乳房を揉みしだいている、黒髪の女。

 

「んッ……」

「うふふふ……。見つかっちゃったぁ♪ 流石に、あの厄介者を従えてるだけあって勘もイイじゃない……? サスガ、アタシの新しいご主人サマ♡ ふふふ、ホントならもう少しゆっくり様子をみてもよかったけ、どぉ!?」

 

 紅潮したドロシーの耳に唇を寄せ囁きかけ、艶めかしく身をくねらせて微笑んでいた美女――。その額の真ん中に飴玉がぶつかり砕け散る。

 いったぁーーー!!?? 絶叫し転がってベッドのうえでごろごろと転がった、炎のような紅い髪の特徴的な有角有翼の女怪。脚の付け根まで見せつけるような際どい露出の黒いドレス、特徴的な形状のねじれた角、妖しげな光を発する瞳。ポケットのなかに入っていた子ども用の飴玉を弾丸さながらに投擲し第一容疑者を撃ち抜いた普夫は目を細め唸った。

 

「《誘淵の蠱惑 ミリガン》……。《夢魔》。なんというか、想像を裏切らない枠が出てきたな」

 

 前世でも、それなりに有名なカードだった。夢魔の種族は一癖ある能力をもったカードが多い部類であり、玄人のプレイヤーたちにそれなり以上に好まれていたのもあるが……。夢を幻を渡り歩き、血みどろの戦場も安穏の都市も構わずに神出鬼没と現れては他者の心を奪っていく妖艶な少年少女たちはどいつもこいつも(かお)が良い。今世ではあまり縁のあるカードではなかったが、その特徴的な登場時効果も相まって普夫の記憶にはその名と顔は色濃く残っていた。

 

「いたたたぁ。ちょっと、酷いじゃないイキナリ……。ぼうりょくはんたーい! アタシ打たれ弱いんだからねえ!?」

「君が僕らを閉じ込めた犯人だな? 今すぐ外に帰してもらおうか」

「イ・ヤ・ダ。あの忌々しい塔の残骸で溜め込んだスピリットを惜しみなーく使って作った自慢の部屋なんだからしっかり堪能してもらわないと!それまでぜーーったい出さないからね!あとその呪詛くさい(ケバケバしい)匂いヤだからあんま近づかないで」

 

 実体化を果たした精霊と顔を突き合わせ睨みあう普夫。そんな彼の背後に庇われる格好の銀髪の少女は所在無さげに身を縮めながら青年に呼び掛けた。

 

「……ごめんなさい、普夫さん。その、こうなったのはドアのせいで……」

「え?」

「大会の景品のカードやパックを確認していたら、いつの間にかこの子が紛れ込んでいたみたいです。それで……、気付いたら私や、普夫さんまで巻き込んでこの部屋に……」

「私には栄養が必要だったの」

「栄養?」

 

 ひらひらと舞うようにして浮かび上がり、油断なく見つめる普夫から離れてドロシーの方に回り込む魔性。爛々とその瞳を輝かせながらクスクスと笑うミリガンは、ぎゅうと彼女に抱き着きながら告げた。

 

「スピリットじゃあないわよ。この部屋作るのにだいぶ使い込んだけど、それでも十分なくらいには溜め込んだし。私が、夢魔(わたしたち)が欲しいのはそれよりもっと原始的で、情熱的で、熱狂的な……、愛と欲望のぶつけ合う交わりと、そこから得られる情動。つまりセックスね

「勝手にラブホか風俗行ってこいよ」

「めちゃくちゃにしたいしされたい欲求不満を抱えた男と女がじれったい関係してるのを唆して互いの身体を貪ることしか考えられないケダモノの交わりさせるのが好きなのー!」

「⁉︎」

「最低じゃねえか」

 

 華奢な肩を跳ねあげさせたドロシーを尻目にばっさりと精霊の戯言をぶった切る普夫は頭が痛そうに眉間を揉み込む。

 どうやって自分が主というわけでもない精霊に自身の主張を通すか。普夫にもろくでもない邪精霊(いんねん)を焼却して追い払った経験がないではない、が──。それだって、あの偽マグラが仮初のものであれ彼に所有権があったカードだからだ。ドロシーのカードである以上そうはいかない。

 説得が難航した末に自分やドロシーがこのような場所で飢え死にするくらいなら手段は選んでいられないが……。ミリガンを排除しても軟禁状態が続く、というパターンが1番最悪。ここは持ち主である彼女に任せるしかないと傍らの少女を見つめる。

 

 彼女も礼賛喝祭(エレシウス)の頂点、戦慄の王女と呼ばれる実力者だ。あの天界龍を躾けさえしてのけたドロシーならば、この厄介な夢魔の説得も任せ――。

 

「……ミリガンさん。私も、この部屋から出して欲しいと思っているんだけれど――」

「えー、折角貴女たちのためにこの部屋作ったのに!?」

「えっ」

「ドロシーちゃん……。2人きりでしっぽりシたいのに、両親のいないタイミングとなかなか合わせられなくて困ってたんでしょ?」

「ぁ、あぅ……」

 

 おっと?

 

「貴女たち折角付き合いだしたのに精々がキスくらいじゃない! そこの筋肉だってひとり暮らしのくせにずっとムラムラしてる癖にちっっっともドロシーちゃんを家に連れ込もうとしないし!」

「やかましいぞ、こっちなりのペースってのがあるんだよ! 健全なお付き合いさせろ!」

 

 こんな娘を家に連れ込みなんてしたら俺が暴走するに決まってんだろうが!

 

「暴走しなさいよこのムッツリ!」

 

 こいつ心を読んで……!?

 

「とにかくっ、生ハメ絶対妊娠交尾するまでは出しませーん! ぜーったいだからね! 私もあのカタブツワンコロ出し抜くの本当に苦労したんだから存分に愉しませてもらいます! ドロシーちゃんそいつの戦闘力結構高いけど頑張ってね! それじゃ!」

 

 好き勝手なことばかりを言う精霊に絶句した普夫が強硬手段の選択肢を取るよりも早く、ひらひらと手を振った紅髪の少女は薔薇の花弁を宙に舞わせながら消えていく。

 あとには、部屋に取り残された少年少女だけが残った。

 

「…………………………いやせめてゴムだろっ!!!!」

『えぇー、繁殖もしない快楽目的なんて不純ーっ。……冗談冗談、ほら箱で置いといてあげるから! ぜんぶ使い切ってね!』

「……はぁぁぁぁぁ……」

 

 ごとっと頭のうえに落とされたコンドームの箱。いろんな意味で虚仮にされた普夫はといえば腹の底から絞りだされるような重々しい溜息をつき――、骨のひとつふたつ犠牲にした超全力で部屋ぶち破るかと、全身に力を漲らせながらすっくとベッドから立ち上がって。

 

「普夫さん」

「大丈夫だドロシー、心配しないで。必ず――ん?」

 

 魔女っ子コスの黒ローブを身に纏っていたドロシーが、脱いでいた。

 

「ごめんなさい、巻き込んでしまって」

「――。………………い、いいや。それは、君が謝るようなことじゃ」

「いえ。ドアのせいなんです」

 

 まともな受け答えができたのは奇跡に近かった。

 惜しみなく眼前に曝け出された初雪のような白い肌。黒いレース地の下着によって隠された豊満な――ゆったりとした魔女のローブのうえからでもその質量を窺えた乳房の膨らみに、思わず目線が釘付けになる。

 その視線に気付かない筈もないだろう、頬をほんのりと紅く染める彼女は目を伏せながら、けれど迷わず手を伸ばして狼狽える普夫の腕を掴むとそのまま彼の掌を自分の胸元へと(いざな)う。

 

「ドア……?」

「……普夫さんに、告白して、恋人になれて。それで十分すぎるくらいに幸せだったのに。それで本当に満足していたら、よかったのに――。もっと、欲しがっちゃって。あの子も、それを嗅ぎつけてドアのところにきたんだと思います」

 

 本当にごめんなさい。

 正直、この状況を――好都合だと思ってしまっている、いやらしい自分もいます。

 

「今、ここでなら。こそこそと人目を窺う必要もないですし……。それに……。ドアも、この方が……。安心、で……。いえ、なんでもありません」

 

 何かを言いかけて呑み込んだような素振りをみせたドロシーに疑問を覚えるより早く、彼女が動く。

 ブラの布地越しにでも掌に伝わる柔らかい感触。目を見開いて動揺を露わにする普夫を見つめる銀髪の少女はぐっと身を寄せ、胸に手を押し付けるのを強めながら囁きかけた。

 

「普夫さん。ドアは、貴方に……貴方になら、抱かれたいです」

「――ドア」

 

 それ以上は後戻りできないぞと、そう訴える普夫の目線を受け止めて。彼女は半ば祈るようにして恋い慕う唯一のひとの手を両手で握りながら、その唇を震わせた。

 

「普夫さんさえ、よかったら。私を――普夫さんの(モノ)に、してください」

「………………………………」

 

 青年はおもむろに、少女に握られた手をその胸の中心にもっていく。

 

「んっ……」

 

 ――指先に伝わる柔らかさと温もり。心臓は激しい鼓動を刻んでいた。

 ――ほとんど半裸になって普夫の手を取る彼女の手は、肩はどこかぎこちなく、緊張に強張っていて。

 ――その瞳はうっすらと濡れて、頬は羞恥に紅潮し。

 ――それでも彼女の言葉は、目線は、想いは。嘘偽りなく、真っすぐに青年にぶつけられたものだった。

 

「……どうしたもんかな」

「えっ?」

 

 もう片方の手を伸ばす。眼前のドロシーに触れる。

 その柔らかな頬に触れた手つきは、割れ物でも触ってるかのようでちょっとくすぐったくて。

 

「できる限り、優しくしようとは思う。でも――正直、自信がないや」

「あっ……」

 

 ケダモノになっちゃったらごめんなと一言断りを入れては背に手を回し引き寄せられるのに、ぽつりと。「普夫さんにならいいです」と応えて、ドロシーは瞳を閉じ唇を重ねる。

 ベッドのうえで、ふたつの影が重なった。

 

 

 ――そこから、普夫の記憶は曖昧になっている。

 

 

『んっ……、うぅ……っ。普夫、さん。くすぐったいです』

『んぅぅ、あっ、ふぁぁぁっ。あっ♡』

 

 誠心誠意、恋人のハジメテを可能な限り優しく、丁寧に迎えようと努力していたのは覚えている。

 

『あっ、あぁぁぁぁ……ッ。普夫さん、ヤんっ。もうずっと、ぁ、ぅぁ。はっ、恥ずかし――ふあぁぁぁ、んあっ、あぁあっ!』

『うおすっご……』

 

 あと、ドロシーが物凄く可愛かったしドエロかったことも。

 

『ぁ……。おっきぃ……、ゴムってそうやって付けるんですね……。あ、破けちゃった』

『あんままじまじと見ないでくれ、手元が狂うから……』

『ご、ごめんなさい。……わぁ』

 

 じわじわと、じわじわと頭の奥から熱の広がっていく感覚があった。

 

『ひゃあん、はぁっ、くぁ、あぁぁ……♡ やぁ、やぁぁ♡ あんまり、見ないでくださぃっ。は、ひゃ、はずかしぃ……っ。んんんっ、うっ、でんきも、けしてぇ……っ』

『いや、ごめん。これを見るなっていう方が、無理だ……ッ』

 

 脳みその灼ける感覚。

 情愛の熱に蕩けた美貌、無心で貪っていたくなるたわわに実った乳肉、雪の精かと思うくらいに白いほっそりとしたウエスト、触っていて全く飽きない肉付きのいい臀部。緊張が解れるほどに、昂りに誘うほどに艶めかしさを増すその肢体に、だんだんタガが外れていった気がした。

 

『はっ、はっ、はぁっ――。す、すごい……これぇ……♡ や、あぁっ、もうっ、またぁっ』

『すげええっちだよドア。……………………可愛いよ』

『お、思い出したみたいに付け足して……ッ。も、もうっ』

 

 熱に浮かされていたというなら、どっちもどっちだったか。

 

『ふぅっ、普夫さんっ、あっ、あァッ……! キス、キスっ、してくださ――んんっ』

『っ……』

『――。ぷはっ、あっ、も、もっと――、もっと、いいですかっ』

 

 繋がりあってからはお互い夢中だった。たくさん口づけを交わし、肌を重ね合い、その身体をただひたすらに貪る。

 

『んっ……。ドアが。上で……ッ、う、動きますからっ……ぁぁぁ……ッ!?♡』

『平気?』

『い、イジワルっ、う、うごかないでっ、ふぁ、ぁぁぁぁ……!?』

 

 最初はぎこちなかったゴムを着ける動きも慣れるくらいには交わって。

 ナカにたっぷり子種を注がれたゴムがずぶ濡れのシーツのうえに乱雑に散らばり。

 ようやく普夫が一息をついたのは、ゴムを5枚も6枚も使ってまぐわって、腰を抜かした少女が彼と繋がったまま意識を失ったときだった。

 

『ふぁ、ぁぁぁ……♡』

『……参ったな』

 

 やめるように何度か言っても結局直してくれなかったホールドの体勢でぎゅうと四肢でしがみついてくる少女が声にならない声をあげながら執拗に肉壺を収縮させて剛直を咥えこんでは締めつけてくるのに、普夫もすっかり骨抜きにされてしまっていて。

 そこから、結局もう1回ヤってしまった。

 

 一緒にシャワーを浴びて、散らばっていた下着と衣服を回収して着替えて。

 もし精霊に謀られたならば粉骨砕身で扉をぶちぬく覚悟でドアノブに手をかけたらあっさりと開いて、気付いたら2人はMeekingの物置きにいた。

 

 ――多分、錠自体は最初の1回目で開いていたのだろう。それはうっすらと普夫も、ドロシーもわかっていた気がする。

 けれど、重なり合った肌の温もりは、貪りあっていた互いの身体は、交わし合う情愛の言葉も、叫びも、想いも――手放すには、あまりに惜しくて。

 

 体感は数時間、ぶっ続けで交わっていただろうか――。お父さんとお母さんが心配してるかもと顔色を変えるドロシーに普夫が土下座の覚悟を固めていたところ、掛けられていた時計を確認すれば経過していたのは大会が終わってからほんの数十分。

 これも精霊の無茶が為したのか。経過した時間のズレに驚愕していたら、響いたのは悲鳴。

 顔を見合わせてすぐさま表に向かった普夫とドロシーがみたのは、サレンに敗れワイヤーに拘束されてはげしげしと尻を蹴られ尋問されるミリガンだった。

 

 気付けばいなくなっていた普夫とドロシー。手荷物も置き去りにして、ドロシーに至ってはデッキまでテーブルに置いて行って姿を消したのに異変を悟ったサレンは即座に捜索を開始――。隠れ潜んでいた精霊を見つけ出してはとっちめ、2人の居場所を聞き出そうとしていたらしい。

 

 ひとまずは無事を喜ばれ――ドロシーも普夫もやたら甘い匂いを漂わせてるのを怪しまれなんとか誤魔化しながら――精霊の狼藉、心配させてしまったことに関してもドロシーが頭を下げたうえで責任をもって預かることを決め、閉店時間の迫ったMeekingの集まりもお開きとなった。

 

 

 そして――。

 

 

 

「おはよう」

「……普夫さんっ」

 

 朝の登校。待ち合わせの場所に決めた公園の前で待っていたドロシーがぱっと華やいだ笑顔を浮かべては駆け寄りぎゅっとしがみつく。

 えへへとはにかむように笑いながらその身を密着させる様子を、たまたま通りがかった同じ学校の学生たちが凝視するのももう何度目だったか。苦笑いしながら、けれど満更でもない心地を覚えながら普夫はあまりにも恵まれた環境を噛みしめて馴染みの路をふたり歩いて――。

 

「……その。普夫さん。金曜日は、予定……空けられますか?」

「ん? 勿論、ぜんぜん大丈夫だよ」

「……」

 

 頬を紅潮させながら、銀髪の少女は彼の耳元に囁きかける。

 

「その日からお父さんもお母さんも……。旅行に行ってて、日曜日まで帰ってこないってって言っていて。よかったら、なんですけれど――」

「私の家に、泊まりに来てくれませんか……?」

 

 普夫を見上げる少女の瞳は、どこか熱っぽかった。

 

 




《誘淵の蠱惑 ミリガン》
コスト4  2/2 夢魔
このクリーチャーが手札から場に出たとき、場のクリーチャーを1体自身のコントロール下におく。こうしてコントロール下においたクリーチャーはその能力を無視される。
――その瞳を覗き込んでしまえば、もう逃れることは叶わない

・相手を骨抜き(バニラ)にして支配下におくクリーチャー。
・バベルで社長ちゃんに柱として使われていた精霊の一柱で自分を助けてくれたクサイ誰かやユウキちゃんにお礼をしたくてMeekingに迷い込んだ恋の応援者
・バベルにてレガシー3枚が繰り出されたイグニッションで放出されたスピリットを吸収して力を蓄えセックスしないと出られない部屋を推しカプのためにつくる(唐突なご都合設定)
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