切り光薄い本いろいろ 作:風剣
大変お待たせしました
今回はモブドロマリと同様の時系列にてお届け、多分夏のコミケはモブセトとモブドロマリを同人誌に収録して同人誌出すと思います
ところどころ独自解釈混ざってますがよしなに
「…………………………」
眠れなかった。
自分のお家のベッドのうえじゃないだとか、身を横たえているのが野外で空気もほんのり肌寒いだとか、薪のぱちぱちと響く音や絶えず引いては寄せてを繰り返すさざ波が耳朶に届くのとか、いろいろと理由もあるのだろうけれど。
一番の原因は……。今もぼくの後頭部に腕を乗せてくれている、彼に違いなかった。
こてんと横向きになって、隣で眠りにつくフツオくんの顔をみる。
瞼は閉じて、規則正しい寝息を立てていた。自分の着ていたアロハシャツをぼくに着せて半裸になっているのにも構わないで、平気そうにしてすやすやと眠る彼の寝顔を眺めていると自分の心臓がばくばくと煩いくらいに高鳴っているのが自覚できた。
「……フツオくんの、せいだよ。もぅ……」
夜天の下、誰もいない砂浜で、ぼくたちは2人きりだった。
「……」
身じろぎしてフツオくんにより密着して、ぎゅってしがみつく。ユウキちゃんやマリカちゃんもメロメロなその逞しい胸板に顔を埋めて、密着して、その温もりに甘えて――ばくばくと、忙しなく高鳴る鼓動が聞こえた気がした。
「んっ……。フツオくん、起きてる?」
「……。どうしたんですか、店長」
――2人きりのときくらい、■■■■って呼んで欲しいのに。
ちょっぴりむっとしてフツオくんの方を見つめると、うっすらと瞼を開いてこちらの方を見た彼はどこか気恥ずかしそうにして目を逸らした。
どうしたんだろうと一瞬思って、すぐに自分の今の恰好に気付く。
海に来た当初に着ていた水着は上が波に流されてしまって、残っているのは心もとない布面積のボトムだけ。フツオくんのアロハシャツを羽織っただけで、もうほとんど裸のようなものだった。
「――フツオくん、えっちだぁ」
……。
「…………本当にえっち」
「生理現象デス」
「ふーん……?」
すりすりと、なんとなしに手を添えて撫でるような手つきで触れると、ぼくの頭を乗せていた腕が強張るのを感じる。空いた片手を思わずといったように伸ばしかけて、困ったように宙を彷徨わせる彼の狼狽えた顔は年相応に見えて可愛くって。けれど、すぐにいつもの大人びた微笑みを向けられて背中にまわした手で引き寄せられると、バグンって勢いよく心臓が跳ねたのを感じた。
どうしよう。
そんなことをしている場合じゃないのはわかっていのに、どうしても胸の高鳴りが止まらない。
温もりが心地いい。もっと肌身をくっつけていたい。彼の目線も、身体も、心も、もっと独占していたい。
ほかに誰もいない不安も、寂しさも、ぜんぶ忘れられるくらい。もっと――フツオくんと、繋がりあっていたい。
「……ねえ、フツオくん」
「?」
顔から火が出るくらい恥ずかしかったけれど。
精一杯の勇気を振り絞って、問いかける。
「もっと――くっついても、イイ?」
そういって、頷いてもらえて。ぎゅって、互いの心臓の音が聞こえるくらいに密着したぼくたちは――フツオくんに、キスをした。
***
冬のエレシウスが終わって暫くしたある日のことだ。
余人の与り知らぬところで起きた事件があった。
あっちこっちをほっつき歩いてる内に10人20人と女の子たちを誑かしやがっていたひとりの青年が、いい加減責任取れと襲われたのだ。
白昼堂々の襲撃。『敗けたら一日自由にさせる』のアンティルールで申し込まれたテーブルファイトに物凄い気合で挑んだ少女に敗れた普夫はその日の内にMeekingで交流を育む――育み過ぎた――特に親密な関係性の少女たちによって攫われ、気付いたら縛られてベッドに転がされていた。
実行犯の少女たち曰く、「フツ兄が悪いんだよ?」「そうだよっ」「……本当にけっっっこう悪いですからね……!?!?」。だんだん熱が入って半ギレ気味でラブコールをぶつけられるという稀有な事態に発展しながら女性陣に押し倒されることとなる。
散々に搾られた末に、約束の時間が経過したのを機にうまいこと口八丁で拘束を解いてもらっていた普夫が反撃に転じセトを泣かせマリカを屈服させサレンを降参宣言に追い込み、気付いたら最大戦力を堕とされてあわわと身を寄せ合っていたユウキやドロシー、バニラをたっぷりとわからせて。啼き声と嬌声、喘ぎ声、水音が絶えず響く死闘を青年が制したのを経て、少年少女は晴れて交際に至った。
……実のところ、男女の関係になったところで普段の暮らしに変化が起きるかというというとそんなこともなかったが。
当たり前のように学校に行ったり、Meekingで働いたりファイトをしたりたまに女性陣が姦しく買い出しに出かけるなか青年が留守番を担当したり、本当にいつも通りである。
毎晩誰かしらが泊まってきたりオフの時間が少女たちとの予定で埋まったり、パトロール中のファイトポリスに犯罪者を見る顔で職質ファイトされるのをどうにか打ち破ったりするのが増えたくらいで、それ以外は特段の変化もない日常があった。
そんな日々のなか――発端となったのは、半ば貸し切り状態となったMeekingでなんてことのないように口を開いたカド市長からの提案だった。
「ここのみんなで海に行ってみる気はないか?」
「えっ海!?」
うだるような暑さに悩まされる夏。がんがんに冷房を聞かせた店内に逃げるように駆け込んできてはファイトに明け暮れていたユウキが嬉しそうに声をはねあげる。直後に対面するドロシーに展開を停められ「あー!?」と少女が悲鳴をあげるなか、うむと頷いた幼い姿の市長は2人のファイトに決着がつくのを待ってから続けた。
「百命の管轄で定期的に巡回しとる区域でな。温泉宿も近くにあって
「良いの?」
「行く! 行きまーす!」
「やったぁ。旅行だ~~。えへへ、もう去年の水着も小さくて着れないから新調しないとだ。みんなで行こう?」
「あっそうか。……そう、ですね。ドアも多分胸まわりが……一緒していいですか?」
「
「ユウキ、親の仇見るみたいな顔してる」
途端にわいわいと賑やかに団欒する少女たち。平和だなぁとしみじみ噛みしめてその様子を見守っていた普夫の傍らで、セトはにこやかに微笑んで青年を見上げた。
「海かぁ。フツオくん楽しみだね?」
「えっ」
「えっ」
自分も誘われてるものとは一切思っていなかった普夫が困惑の声をあげるのに呆れ顔をするカドが流し目を送る。
「お主が行かないでどうするんじゃ、まったく。何か不都合でもあるのか、スケジュールくらいは合わせるぞ?」
「え、いやぁそういうのはないですけれど……。てっきり女性陣で水入らずゆっくりするもんかと」
「えー普夫さんも行こうよ海!楽しいよっ!」
「そういってくれるのはありがたいけど……。店長、そうしたら店は……」
その場にいたバニラやユウキまでもが訝しむ歯切れの悪さをみせる普夫。そんな彼の様子をまさか本気で嫌がってるわけなどあるまいがと眉を顰める少女市長が見つめるなか、ぽわぽわと気の抜けた笑顔を浮かべるセトが「臨時休業にしよっか。お店もちょっとした夏休みだねっ」と口にしたことで青年も苦笑気味に頷き参加が決定した。
(――いや、まあ。当たり前に誘われるのは本当に嬉しいしありがたいけど。せっかくの旅行なのにうっかり僕がヤらかさないかも、まあまあ不安なんだよなぁ……。気をつけよほんと)
若干遠い目になった普夫の頭に残る、懸念事項。それはまあ自分を慕ってくれる少女たちに囲まれて黒一点で海にいくことによる精神衛生上の諸々だったり、あとは彼女たちが無防備な姿を晒したときに果たして自分が理性を保てるかという疑念だったり。
もう正直信用できる要素の一切ない己の理性がきちんと機能してくれることを祈る普夫。そんな彼の思考を見透かしたように「ああ」と納得の声をあげたカドは、ぽんぽんと青年の背を叩いて笑った。
「安心してよいぞ。馴染みの旅館じゃ、如何様にでも口利きはできる。浴場も貸し切れるからの、混浴もいけるぞ」
「えっ」
「少し前までは激戦続きでずっと気を張ってたからの、たまにはお主も、吾たちも、多少羽目を外したところで誰も文句を言うまいて。──酒池肉林じゃの、
「市長??」
斯くして。
「うおっ、でっか。──お姉ちゃん凄いな、モデルさんかなにか? よかったら俺らと遊ばない? 男所帯だとむさ苦しくてなあ、一緒に……げ」
「へえ」
「だってぇ、フツにぃ。どうするぅ?(ぎゅーっ)」
「他所をあたってくださいね」
「チッ、男連れかよ見せつけやがって……」
「うおでっっけえ……。さいっこうじゃん。ねえねえキミ!めっちゃ綺麗だね!よかったら俺たちと──あぁん⁉︎」
「その、ごめんなさい。ドアはこのひとと予定があるので……(むぎゅう)」
「またアンタらか……」
「こっちのセリフだ‼︎ てめえさては相当ヤりやがるなっ、羨ましいぞ‼︎ デッキ出せ、ギッタギタに叩き潰してやる‼︎」
「モブの勝ちだね」
「くそ酷い目にあった、なんだそのデッキ……。わけわかんねえ……」
「対戦ありがとうございました」
「お疲れ、ソーダ買ってきたけど飲む?そこのひともよかったらどうぞ」
「あ、どーも。………………うわ超美少女ー。おい、アンタ。まさかとは思うがこの娘も……」
「(ぎゅっ)……ピース」
「なんてやつだてめえ!!! どうやってあんなにひっかけやがった!!! やっぱ筋肉か、それともファイトかっっ、羨まけしからん畜生!!!!」
「ひえっ」
「ふふふふひひっ、お嬢ちゃんたち可愛いねえ……。よかったらおじさんと遊ばないかいぃ……愉しいよお……?」
「いやーーっ普夫さん助けてーー!」
「おいファイトするか殴られて変質者として警察に突き出されるか好きな方を選べおっさん」
「ぬぐぐうっ、邪魔があ……!イエスロリータゴータッチ!そこをどけえ!」
「カスすぎる。バニラ、ユウキちゃん見ちゃダメだよー」
「……いやあお主がいると有事のときの安心感が違うのぉ」
「どうしよう褒められてるのになんか納得いかねえ。ナンパだけならまだしもゴリゴリの変質者出てきたんですけど……。治安悪くないですかここ、ほんとに国連管轄の区域なんです?」
パラソルの下、悠々とリクライニングチェアに横たわりジュースを飲んでいたカドが気まずそうに目を逸らす。
フリルのついたワンピース水着を着る彼女の横では、浜辺に到着して早々から少女たちに近づこうとしていた数組のナンパと変質者を次々に撃退していた普夫が若干遠い目をしている。ユウキとバニラに迫ろうとした悪漢をファイトで抹殺して追い払ってきたばかりの青年に苦笑いするカドは眼前に広がる水平線を眺めながら呟いた。
「……普段は、そこまででもないんじゃが。海開きの時期じゃし。後は、まあ夏の熱気と……場所が、よからぬモノを煽るのかもしれぬなぁ。あとは……」
「あとは?」
「――あ、フツオくーんお疲れ様っ。ねっねっ、みんなでビーチバレーやろうってー!」
ゆさっ、ゆさっと擬音が聞こえてきそうだった。
黒地のビキニを内側からぱんぱんにする豊満な膨らみ。大胆な露出は申し訳程度に羽織ったパーカーで減らせてるものと安心しているからか、こちらに駆け寄ってくる彼女の動きには危機感というものがない。普夫としては水着がその肢体の躍動にうっかり外れてしまったりしないか気が気でなかった。
すれ違った男の誰もが目をかっぴらいて己を凝視しているのにも気付かずに近づいてくるセト。あまりにも無防備なその姿に青年と少女市長ははあと息を吐く。
「これではな。悪い虫が寄ってくるのも無理はなかろうて……」
「まあ、そうですね……」
「あの子に限ったことではないがな。どこの誰を意識しとるのやら、みんな気合い入った水着にしとるし……罪作りな男もいたものよなぁ? 旦那さまよ、目を離すでないぞ〜?」
「……肝に銘じますよ」
「?」
わかってなさそうにきょとんと首を傾げるセトに苦笑しながらなんでもないですと応える普夫。ひらひらと手を振る市長に送り出される2人は、砂浜に設置されたコートに集まる面々のところに向かう。
それぞれが新調した可愛らしい、あるいは相当に布面積の際どい水着を纏い惜しみなく肌を晒す、周囲の目線を集めてやまない可憐な少女たち。サレンたちと顔を突き合わせ何事かを話し合っていたユウキは、セトと連れたって近付く普夫に気付くとぱあっと顔を明るくして手を振った。
「普夫さんっ、店長! こっちこっち! チーム決めよっ!」
「じゃあモブは私とね」
「サレンさん!?」
「フツ兄とサレンさんのコンビはズルいよぉっ。それがありなら
「それ一番ダメですからね?」
フィジカルの高い面々を巡る熾烈なじゃんけんドラフトが幕を開ける。わいわいと騒ぐ恋人たちの姿を見て目元を弛める青年は、隣のセトがクスクスと微笑みながら見上げてくるのと顔を合わせ相好を崩した。
――。
浜辺の喧騒のなか、楽しい時間はあっという間に過ぎていき――。異変が起きたのは、昼食を終え海辺に各々の繰り出していった頃合いのこと。
唐突に、潮の満ち引きが強まった。
「……んん?」
「……いかんな」
きゃいきゃいと周りで少女たちのはしゃぐなか、泳ぎの練習を手伝ってバニラにバタ足をさせていた普夫が僅かに顔を険しくさせる。一方でパラソルの下で涼んでいたカド――ジュースを飲みながら海辺の様子を見守っていた
「わわわっ、カドさん!?」
「――フツオ、サレン、マリカ! 今すぐ
機敏な動きで駆け出し、水辺に突っ込んでは足場の悪さも構わぬ速度で近づき引き潮に足を取られそうになっていたドロシーの手を引く白髪の少女が声を張り上げる。
その緊迫した声に、遊んでいる途中だった
「わっ……あれ?」
ひょいと抱えられお姫様抱っこされるのに顔を赤らめるバニラ。長い黒髪を結わえたスク水の少女が普夫にしがみつきながらドギマギしていると、その頬に上から降った雫が落ちては弾けた。
「――えっ、雨! さっきまであんなに晴れてたのに!」
「本当に荒れたな……。いや、でもこれは――」
背後を振り返った普夫の目に映ったのは、どんよりとした色彩の雲――。青々とした空を染め上げるように、水平線の向こうから
国連管轄の区域。その意味をうっすらと悟る普夫は浅瀬まで辿り着いたのを足裏の感覚で理解し、ユウキたちの安全を確認しようとして。
腕をぶんぶんと振る馴染みある女性のシルエットが、遠くにぽつんと見えた気がした。
「──ふ、フツオくーーん……っ」
「嘘だろ。サレン頼むバニラを任せた、僕は店長のところに行く!」
「ッ、わかった!」
何時の間に波に呑まれたのか。みるみる内に沖まで流されていくセトを追い疾駆して海に飛び込んだ普夫は、そのままの勢いで一気に彼女のもとまで泳ぐ。
息継ぎの間さえ惜しかった。バタ足をして懸命に顔を水面から出すセトに辿り着くまで全速力で海を泳ぎ切った彼はそのまま華奢な身体を両腕で抱える。
ざあざあと大雨が降りしきっていた。
「はっ、は――。店長、店長! 大丈夫ですか、今から戻りますよ……っ!?」
「ふ、フツオ、く……!」
涙ぐむ彼女に触れて、抱き寄せて、気付く。
異様なまでの重み。引きずり込まれるような引力があった。それに囚われたセトは今にも沈んでしまいそうで、目元を険しくさせては「すいません」とだけ一言詫びた普夫は彼女を握る手に力を籠め抱え直すと浜辺の方に向かいながら目線だけを海、その《奥》へと向ける。
大きな何かが一瞬見えた気がして、すぐに消えていた。
最初から何もなかったように、元通りに。
「――今の」
「……店長?」
喉を震わせるセトの様子を窺う普夫が彼女に呼び掛けるよりも早く――海面が、揺れる。
隆起する水面。普夫が顔を強張らせ、セトを引き寄せる。――荒波が、2人を襲った。
「まずっ――」
「きゃぁぁぁぁぁぁ!?!?」
青年がセトに覆いかぶさる。波が2人を襲い呑み込んでいく。
「なにっ、いきなり……! どこかでレガシーでも暴れた……⁉」
「あっ――。普夫さん!? 店長ー!?」
「ユウキ、危ない……!」
大雨が降りしきるなか、サレンに引き止められながら懸命にユウキが浜辺を走る。ぐしょぬれになりながら、目元を手で庇う少女は沖の方を懸命に探し――けれど、波に呑まれた2人の姿が見つかることはなかった。
「……」
「う、うーん……ッ」
意識が明滅する。
さざ波の音。暖かな色合いの光。重々しく瞼を開いたセトは、目が覚めた途端一気に喉奥からこみあげてきた塩の味ごとぺっぺと唾を吐きながら起き上がり、あたりを見回す。
「うぅ、しょっぱい。いったい、なにが……?」
横たわっていたブルーシートのうえ、覚束なく上体を起こし見上げた空は澄み渡っていた。茜色に染まる空には雲ひとつない。今にも水平線の向こうに沈みつつある夕焼けをぼうっと見つめ、靄のかかったような記憶を遡り自らに起きた出来事を振り返る彼女はやがて顔色を変えてあたりを見回した。
「ふ――フツオくんっ、フツオくんっ!?」
突如襲った嵐のなか、自身を助けようとして共に荒波に呑まれた青年の姿を探す。白い砂浜、大岩の転がる岩場、草木の生い茂る林。見覚えのない景色の中でぽつんとひとり、セトは取り残されている。
まさか、自分だけ――?
呼吸が乱れる。焦燥を滲ませる横顔に汗が伝った。心もとなげに丈の大きなアロハシャツの裾を握ったセトは落ち着かなさそうにあたりを見回し――シャツ?
「これ……、フツオくんの……?」
起きたときから着せられていた、男性用のアロハシャツ。普夫が着ていたものと同じそれが自分に着せられていること――元々身に着けていたビキニやパーカーも消失しているのにも思い当たった彼女は、今着ているずぶ濡れのシャツが想い人の手によるものだと判断しひとまず安堵の息をつく。
恐らく、自身の着ていたシャツを彼女に着せた普夫は無事。しかし砂浜にいたのはセトだけ。では、彼はどこにいったのか。森のなかか。それとも――。
岩場の向こうにある木々。そちらの方に目線を向けるセトの後ろでざばあっと響く水の音。
振り返れば、筋骨隆々の肉体を晒した青年がバケツと銛を片手に上がってきていた。
「あ、店長! 目を覚ましてよかった――。……大丈夫ですか?」
「……え、いや、うん。うんっ。私は、平気だけど――フツオ、くん? なにをやって、たの?」
「あー。何も腹にいれないのはきついかなって思って。ちょっと狩りを」
遠慮がちに目線を向けた先、黒い銛の穂先に貫かれた魚が力なく痙攣した。
「……。食べます? 焚火も一応そっちに用意してあるんですよ」
「あっ、うん……」
本当にすいません、こんなのしか用意できなくって。
セトを寝かせていたブルーシートを抱えながらそう詫びる普夫に案内されたのは、ぱちぱちと音をたてて燃える薪。錆びついた鉄やごろごろとした小岩で作られた作業台らしきスペースに葉を敷き、そのうえで銛で捕らえた魚の処理を始める青年の背中をぽかんとして見つめる。
「ふ、フツオくん……。サバイバルとかできたんだ……?」
「バラエティ番組で得られる程度の知識しかなかったですけど、鍛えてるんで。見様見真似とあとはフィジカルでゴリ押しました」
「すごいなぁ気雲流……」
ここはどこなのかとか、一体いつから普夫は目を覚ましていたのかとか。もっと考えなければならないことや聞かなければならないことがいろいろあったはずなのに、なんでもないことのように状況に順応している青年を見るとつい肩から力が抜けてしまった。
自分の想像以上に身体が痛めつけられていたのか、休んでてくださいと言われるがままに敷かれたシートのうえに座り込んでしまったらいよいよ起きれなくなりそうな心地になる。木から削りだしたものと思しき串に下処理を終えた魚を刺して焼きだす普夫の背を見ていたセトは、緊張の糸が解れた途端に襲い掛かった寒気にぶるりと身を震わせるとよたよたと焚火まで近づいて暖を取った。
「――ここって……?」
「多分、ビーチの近くの無人島……だと思います。確信までは持てませんけど……多分、国境の向こう側まで流されたとかでは、ないはず……」
「そっか……。ありがとうフツオくん、助けてくれて……。シャツまで、貸してくれて……」
「いやいや、そんな。すいません、僕がついていながらこんなところまで流されるようなことになっちゃって……」
申し訳なさそうにさえする普夫の言葉に首を振る。
あれは、尋常な事態ではなかった。■■■■であったセトですら見たことのなかった異常事態。
恐らく【向こう】で起きたのだろう巨大な力と力の衝突が起こした歪み。それが巻き起こした潮流に囚われかけていたなかで呑まれずに済んだのは迅速に駆けつけて引っ張り上げてくれた普夫の尽力に他ならなかった。
「そんなことないよ。フツオくんが居てくれなかったら、ぼくはもしかしたらあっちに《戻ってた》かもしれないし……。本当に、助けてくれてありがとうね」
「……はい」
柔らかに微笑みながらそう言葉をかければ、普夫は僅かに沈黙した後に相好を崩し――、すぐにそっと目線を逸らす。
きょとんと、セトも首を傾げて、自分の姿を見て。ほとんど裸のうえに男物のシャツしかかけてないことを改めて意識すると、顔を赤らめて胸元を隠すようにシャツの裾を引っ張る。
「…………。シャツも、ありがとね。その……水着のうえとか、一緒に漂着してなかった?」
「いや……なかったかなあ。あったらよかったんですけど……」
一度意識してしまったら、セトにアロハシャツを渡して筋骨隆々の肉体を晒した格好となっている普夫のことを見るのもなんだか気恥しくなってしまった。少しだけ互いに沈黙して、目をどこかに泳がせて。……今更、裸くらいで恥ずかしくなるような関係でもないのに意識しあってしまっていることがなんだかおかしくなって、どちらからともなくクスクスと笑いだす。
「……店長、魚焼けましたよ。食べます?」
「あ、うん。フツオくんも一緒に食べよっ」
潮っぽい味わいの焼き魚を分け合って腹ごしらえをしながら、話したのは波に呑まれてからのこと。
あの異常気象のなか、マリカとサレンがいてくれたのは幸いだった。普夫の確認した限り、セト以外のMeekingの面々は無事に砂浜まで避難が完了している。カドが現場で早々に警句を発してくれたのが大きかっただろう。他の面々は無事。自分たちの方は――流された沖から無人島までの距離もそう遠くはない、というのがセトを抱えながら流されていた普夫の見解。
カドならば救助をすぐに手配してくれているだろう。今は夜更けで難しいかもしれないが……翌日には救助が来てもおかしくはなかった。
「……とはいえ、夜中に救助が来る可能性もないわけじゃないですからね。店長が漂流して市長も大焦りで捜索してそうですし」
「う……。まあ、なんとなく想像つくかも……」
「なんでまあ、火の番は僕がやってますよ。店長はゆっくり休んでてください。まあここじゃあ快適に寝れるかはわからないですけれど……」
「……フツオくんも、休まないと駄目だよ」
「へ? いや、僕は大丈夫ですよ、一日くらいは全然」
「……一緒に、寝よう?」
「……だ、ダメかな……?」
ダメでは、なかった。
***
「ひぁっ、あっあぅぅぅっ、やっ。ふ、フツぉく――ッ。イっ♡ ふぁ、ひゃぁぁっ」
がくがくとのけぞる。全身が震え、跳ねあがる。痙攣する秘裂からは勢いよく雫が飛び散った。
息を荒げるセト。シャツははだけてその豊満な果実を惜しみなく曝け出し、心許ない布面積の水着はクロッチをずらされて無防備にひくつくワレメが男の五指によってされるがままとなるのを許していた。
「は、はひっ。フツオ、くんっ……⁉♡」
あまりにも、はしたない格好。月明かりと焚火を光源に裸体を露わにし、脚は割り開かれて自身を膝上に乗せる青年に秘裂を、ソレが絶頂に戦慄いて愛蜜を垂れ流す様を見せつけている。
あまりにも熱くなる顔に、首から上が燃え上がってしまいそうな心地さえ覚えるセト。懸命に手を伸ばし彼女を膝上に乗せてその五指でほぐすように、焦らすように、くすぐるようにさえして弱所を玩弄する青年の手を押し留めようとするが、ぎゅうとその胸のなかに抱き寄せられ、火照りきった身体をいやらしい手つきで撫であげられれば途端に細腕から力が抜ける。
男の腰の上でむっちりと肉のついた臀部を艶めかしく左右に揺らすセトを、逞しい腕が引き寄せた。
気をやったばかりでのけぞらせた身体を震わせて熱っぽい吐息を漏らす彼女。その耳元に口を寄せ、囁く。
「──
「っ、~~~~~~~~~♡♡」
ずっ、ズルい。こんな時だけ――っ。
交際が始まって以来名前で呼んで欲しいとせがんでも「すいません意識しようとはしてるんですけどね……」と店長呼びを一貫して続けている悪漢を涙目で睨みつける。素知らぬ顔で口元を弛ませた普夫が顔を近付けるのに物言いたげな顔をしたまま、
「ん」
「んっ、ふ。ぅ……ッ」
「んむぅ、ん、ッ。――♡ くぅ、んむっ、う……⁉」
「――っ♡ うぅゥ――むっ、ンっ。う!? ちゅ、ぅ、ンン~~~~~っ♡」
交わされる口づけ。触れ合うようなそれは、すぐに舌がねじこまれたことで熱っぽい喘ぎと水音とが漏れ出す。
肉を、唾液を絡め合う接吻。少年の胸板に身を委ね、潮の味がうっすらと残る肉の交わりに束の間夢中になっていたセトは、キスの最中も鼠径部に触れ、挿しこまれる指が動くのに震える。
ただでさえ羽毛でくすぐるような愛撫によってじわじわと昂らされ上気していた頬は、乙女の秘域、ずぶ濡れになってごつごつとした指を受け入れる陰唇が淫らな粘質の音をかき鳴らすにつれて一層紅潮していく。
「っ、ぷはっ、あっ。フツオくんっ、もぅっ、フツオくんってばぁ……♡」
「……可愛いですよ、店長」
「――ッ」
豊かに熟れた乳肉を揉み解す掌。鼠径部へと伸びたもう片方の手ではじっくり、けれど容赦なく弱いところを、一番恥ずかしいところをなぞり、しごき、擦り、くすぐって――。そうやって責め立てられるところに耳朶に響いた嗜虐的な囁きに、真っ赤になったセトは握り拳を作ってぽかっと胸板を小突く。
イジワルと普夫を咎める彼女の瞳は、けれどすっかり蕩けきっていて。力なく自身を叩いた手を優しく握りながら顔を寄せる青年に、抗議していたのも忘れたかのようにセトも反射的に瞳を閉じて唇を重ね、またも動き出した手に月明かりのなかのけぞってイかされる。
「ふぅ、んくっ。ぅぅ――っ♡ もっと、ちゃんと、シたかったのにぃ……ッ」
……そう、最初は。最初は、もう少しちゃんとできていたのだ。
『っ、う。てんっ、ちょう……』
『ふふ……。どうかな、フツオくん。気持ちよく、できてる……?』
いつもはペースを握られていいようにされているのだから今回くらいは年上の女性として、それらしく普夫をリードしてたっぷり「お礼」をと。日頃の睦み合いでカド市長が、ドロシーが、マリカがしていたようにペッティングに耽りながら、手で丹念に滾りを慰撫し、煽って――。
そうして普夫に跨って。騎乗位で、重なり合おうとして。今にも腰を落として繋がり合う直前、バキバキに屹立した剛直の、その亀頭に女陰が触れて。
『……あ、あれ?』
『店長……』
『ぁ、ええと、ちょっと待ってねフツオくんっ。そのっ、もう少し――ひゃっ』
ちゃんと濡れてたから大丈夫だと思っていたのが全く彼のソレを受け入れるのに足りなさそうだと気付いてはしたない体勢のまま固まってしまったセトを、苦笑を浮かべた青年が引き寄せて。
それでもう、おしまいだった。
「ひぐっっ、そこっ、らめっ フツオくんっ、フツオくん――っ。んんっ、――――ッ!!♡♡♡」
そうしてあっけなく少年によって抱き寄せられて彼の腕のなかに収まったセトは、今も普夫の胸板に身を委ねながら、恥も外聞もあったものではない嬌声をあげている。
青年の手が動くたびに湿った音をかき鳴らして、豊満な肢体を、たわわに実った乳肉をぶるりと震わせて。普夫のうえで身を跳ね上げさせて痴態を晒す彼女には最早一片の余裕も残ってはいなかった。
「フツオくっ、フツオくんっ。もうぃ♡ もうイイからぁっ、だかっ、だから――ッ。あっ、ぅ。んひゅぅぅっ……、くっ、んぅ~~~~ッ♡」
「確かに、だいぶほぐれてはいそうだけれど……。痛い思いさせるわけにもいかないんで。もう、ちょっとだけ。はい、ここごしごしってしちゃっていいですか?」
「シてから言ッ、イジワル――っっっ♡♡♡」
いつぞや
だって、あんまりにも恥ずかしい。優しくシてくれるのは良い、本当にイイけれどもそれは普夫の匙加減でいつまでもこちらが痴態を晒すことになるのと同義だ。
耳朶を震わす甘い囁き。硝子細工でも触れるようにして肌身に触れる繊細な手つき。少女が泣いて縋りつけば安心させるように背をさする大きな掌と身を引き寄せてくれる逞しい腕。
――普夫のみせるそれらは嘘偽りでもなんでもないけれど、優しく囁きかける声音の奥には啼かされる女の子たちを愉しむ嗜虐心が見え隠れしているし、女体の
茂札普夫という青年は優男面しておいてベッドのうえではとんでもないケダモノのサディストであると、彼と交際関係にある少女たちの見解は一致していた。
「ふぅぅっ、ふっ、ンんっ♡ ふ、フツオ、くん……にゃっ、ふぁぁ……ッ」
「可愛いですよ」
「ふつおくっ、バカぁ~~~~~っ」
またイく。イかされる。
青年の掌から溢れ出て零れ落ちるほどに淫らな液を垂れ流してしまいながら、弓なりにのけぞる。涙で滲む視界に映った普夫の表情はにこやかだった。セトにはもう大好きな男の子の笑顔も女の子を泣かせて悦ぶとんでもない鬼畜漢のそれにしか見えない。
「(セトっ、セトぉ!! おねがっ、おねがいっ、かわっ、ちょっと代わってぇ! フツオくんが、フツオくんがイジワルするぅ!)」
《!?!? えっ、アルマーやめてよっ、ボクもぜんぜん余裕なっ》
「《~~~~~~~~~~~~っ!!!???♡♡♡》」
「……」
肉割れに第二関節まで挿しいれられた中指と人差し指が
ふたつの心で、同じ身体だ。それぞれが受け取るものに違いはなく、どちらが表に出ようが出まいが関係はない。月明かりの下、己を隠すものなしに身をのけぞらせ乳肉を弾ませるセト――。その淫らな踊りに束の間目線を奪われていた青年は、いい加減我慢も効かなくなってきているのを自覚しながら自身の膝上に乗せていた彼女を持ち上げた。
「ぁ……、え? フツオ、くん……?」
己の胸板に背を預けていたのをひっくり返して向かい合う。
普夫の両足のうえに跨るようにしてその腰を乗せられたセト、まだあどけなさの色濃く残る容貌はとろんと蕩け、力なく震える唇からは熱っぽい吐息が漏れ出る。艶めかしい仕草で身をくねらせ青年と束の間見つめ合った彼女は、やがてその目線を落とし普夫の足と足の間、そこで猛々しく屹立する怒張を凝視しごくりと生唾を呑む。
んっ……。
ほっそりとした五指が普夫の肩に乗せられた。小さな声を漏らし、青年を支えにして重い腰を浮かそうとして、よろめきかけたところを大きな掌に臀部を支えられた。
その手に
「あんまり、見ないで……?」
「……」
無理な相談だった。
すっかり火照って汗ばんだ柔肌。腰を浮かせた彼女が身動ぎするたびに揺れる、水着からも解き放たれてその暴力的なまでの質量を露わとした乳肉。軽く触れているだけの掌に十二分に張りのある弾力を伝える臀部。すっかり獣欲を剥き出しとした滾りの亀頭に触れては腰を跳ねさせ、小刻みに媚肉を痙攣させては蜜糸をとろりと垂らす貝口。
華奢な肩を上下させて熱っぽい吐息をこぼす
「可愛いですよ」
「ッ……♡ バカっ。えっち、スケベぇっ。――ぁ」
「あっ」
桃尻を掌全体で持ち上げるようにして彼女を支えていた青年の手にのしかかる重みが増す。握り拳を作ってぽかぽかと抗議しようとした拍子に足腰から力が抜けたのか、重心を崩したセトは普夫に支えられたものの、それでも真下で今か今かと待ち構えてバキバキにそそりたっていた滾りの半ばまで腰を落とし、ひと息に膣肉を蹂躙した剛直の存在にびぐんっっっ!! とを反り返らせた。
「――んっっ、ぅンッ、きゅぅぅ……ッッ♡ んぅぅぅゥっ、フツオくっ。すごっ、これ、もうっ、イっちゃ、イっちゃぅぅ……ッ」
「っお……!」
普夫にとっても不意打ちに近いタイミングで滾りを咥え込んできた媚肉が一気にうねりだして肉竿に吸いついてくる。歯を食いしばり暴発を堪えた青年は、勢いよく跳ねて逃れようとした大きな臀部を捕らえ鷲掴みにする。やがて宣言の通り接合部を中心に湿った感覚が広がると、びくっびくっと小刻みに震えたセトが脱力して普夫にもたれかかった。
「はひっ……、ひぃっ……。やっ、ナカでっおっきくなってるぅ……。んッ♡ フツオくんがッ、フツオくんがぁイジめるぅぅ……」
「ッ……。まだ、何もしてないですよ……」
「嘘だ、ぁ♡」
ぬかるんだ音と一緒に腰が沈み、向かい合って身を重ねるセトの最奥を滾りが小突いた。
「――っ、――――♡ あ、っは。ぁ……ッ」
その声音に陶酔を滲ませ、電気でも流されたかのように震えて普夫の胸板に身を委ねる彼女は、その柔肌に汗を浮かせながら蕩け切った目で青年を見上げる。
「フツオくんのっ、あっ、あっ。おっきぃ、よぉっ。――ッ♡ ふぁっ、おとこのひとって、みんなこう、なのぉ……ッ?」
「いや、ぁ、それはどうだか。──、店長っ」
肉圧が強まる。
自身に跨りながらまた達したのだろうセトが甘い吐息をこぼしてきゅうと蜜壺を窄めるのに、普夫が僅かに声を上擦らせては両手を腰に添える。その手の行き先を見失ったかのように固まった。
――僅かな逡巡。このまま
微かに残った理性にかけられた歯止め、一瞬だけ動きを止めた普夫の耳元に唇が近づいた。自らを抱く青年の背にほっそりとした腕をまわしぎゅうと密着するセトは、呼吸を荒げながら囁きかける。
「いいっ、よ。フツオくん……ッ」
「店長」
「好きなように、シて? ぜんぶ、全部――受け止める、からっ」
「……じゃあ、お言葉に甘えてもいいですか。正直、ずっと我慢の限界で」
「ふぇ? ぁうっ」
へにゃりと笑って頷くセトは、言質取ったからなお前絶対逃がさんからなと言わんばかりに腰ががっちりと掌でホールドされるのに固まった。
「……うんっ、とぉ……、ッ♡」
最奥まで受け入れる逸物も、心なしかいっそう猛々しく脈打っている気がして。普夫の胸板にもたれかかりながらその熱を甘い官能にひくつく膣襞全体で感じ取る彼女は小動物のように震えては潤んだ瞳で彼を見上げた。
「あんまり、イジメないでね……?」
「保証はできないかもです」
「うひゃ、あっふぁっ、あぁぁ……っっ♡」
ひどいっ、これっ、泣かされちゃうやつ……ッ。
懇願した端から間髪入れずに響きだす粘液と肉の擦れあう水音。腰を軽く持ち上げてはその蜜壺に小刻みに、規則的なペースで逸物を打ちつける。抽挿の動きそのものは決して乱暴ではない、緩慢とすらいえる動きだがとんとんと子宮口付近を突き上げる動きは不思議とよく胎に響いた。
たまらずに縋るようにして普夫にしがみつくセトの身体が、最奥を小突く
「……っ、~~~~んィ、はひっ、ィィっ♡ あぅッ。あぁぁっ、あっ、フツくっ、あっ、フツオくんっ! ふああぁっ、あぁっ♡ いじ、イジメないでって、ぁぁぁっ、イジワルっ♡ いじ、いじわるぅぅ……!!」
セトが啼く。アルマーが喘ぐ。
挨拶。今行われているのは本当にその程度の前戯でしかないことも、彼女たちはよくよく理解している。知っている。理性放棄の初夜以降、縛って押し倒してくる悪い娘らにゃもう遠慮する必要もないよな?? と交際が始まって間もなくド鬼畜女泣かせの側面を垣間見せた普夫によって徹底的に教え込まされた。
気雲流の極めてハードな修行によってギッチギチに鍛え抜かれた普夫の肉体は、身体を重ねるにあたって華奢な少女たちに相応の配慮を要する。一方でマリカとは物凄い勢いでケダモノのような交わりをしていることもたまにあるが。
だからほぐす。馴染ませて、慣らして、蕩かせる。徹底的に。
そうして、ある程度準備が整ったと普夫が判断したら――
わからされて。暴かれて。躾けられて。愛でられて。貪られる。
そしてその時は間近に迫りつつあるのを、セトとアルマーはひしひしと感じ取っていた。
「はっ……、ッ♡ はっ……、はひ……。フツオくん……ッ」
「――」
気付いたら仰向けにひっくり返されていた。
見上げれば、自身に覆いかぶさろうとする青年の顔。目が合えば微笑みかけてくる彼の表情には慈しみと情愛、嗜虐心が見え隠れしていて。平静を取り繕いながら吐き出される息の熱さに、今も蜜壺を埋め尽くす剛直の猛りに、どれだけ己が求められているのかが感じられて嬉しくなって――彼越しに伺えた夜天、街の明かりに遮られることなく見える星々の輝きに自分たちが野外で交わっている事実を改めて意識して顔が急速に熱くなった。
「……? あぁ、なるほど」
顔を真っ赤にしては身を固くした彼女に、少し怪訝そうにする普夫はその目線を追い彼女の見上げたものに気付く。納得の声をあげた彼は改めて
「……見せつけちゃいます?」
「ふぇっ。ひゃっ、ふぁぁぁぁっ♡」
極悪ペニスに執拗に性感帯を突っつきまわされずっと開発されてきたポルチオを肉杭が擦りあげた。白い柔肌を惜しみなく見せつける艶めかしい肢体が、豊満な乳肉が繋がり合う男の腰の動きに合わせ揺れる。跳ねる。
満天の星空の下。男と女が身を重ねた。
「ひぃぃんっ! イっ、きゅっ、フツオくんっ、フツオくんのばかぁっ、えっちぃっ♡ ひぃんっ、そこぉ、そこダメ、だからぁ♡ よわいとこ、イジめちゃやぁっ」
今度は、もっと大きな動きで。
肉割れから剛直の切っ先が抜けそうになるくらいに腰を引いて、桃尻を掴んで離さないままに再度腰を打ちつける。滾りをぶつける。肉杭を突き入れられるたび蕩けきった膣肉で、接合部から溢れて仕方ない愛蜜でぐじゅぐじゅと湿った水音を奏で、電流にでも打たれたかのように女体がのけぞった。
漏れ出る喘ぎ声も泣き声も、果たしてセトとアルマーのどちらが出したものなのかは当人にもわからない。もう虜だった。
そしてそれは、普夫も――。
「店長」
「っ、――♡」
みなまで言われずとも、彼女たちには伝わった。
膨張する熱。蜜壺を掻き分けながらその最奥でぐりぐりと子宮口と接吻を交わす亀頭。とろんと瞳を蕩けさせたセトは自身に覆いかぶさる普夫とより密着するように腰に脚を絡めてホールドする。
途端接合部で増した
「イっ、たでしょ? フツオくんのっ、ぜんぶっ、ぜんぶっ。ボクに、ボクたちにっ、ちょうだい……?」
「ちゃんと、
「――っ。わかった、
我慢も限界近いと申告したのに嘘はなかった。甘い声音で誘われて、恍惚と情愛を滲ませた艶めかな笑みで受け入れられて。子種をせがむようにうねる蜜壺の動きに応えるようにして男根を突きいれた普夫は、痙攣して戦慄く膣穴の最奥に、そのまま煮えたぎる熱を吐き出した。
「《ぁ、ぁっ。――、~~~~~~~~~~~~っっっ!!!!》」
内と外。2人の
女泣かせの肉杭に子宮口をぐりぐりと突っつかれて。むっちりとした脚を腰に絡めて密着感を増して。その状態で解き放たれた白濁が、たっぷりと膣穴に注ぎこまれ、満たし、蹂躙し尽くした。
がくがくと痙攣し、その背をぴんと海老ぞりに仰け反らせて震え。声にならない悲鳴をあげて爆ぜた性感の余韻を受け止めていたセトは、やがて逞しい腕に引き寄せられると蕩けた表情のまま普夫と唇を重ねる。
青年の胸板のうえで豊満な膨らみが潰れて餅のように形を変えるのも構わずぎゅうぎゅうに密着。体液でべたついた肌身をくっつけあいながら重ねられた唇はすぐに粘膜接触へ移った。
「んむぅぅ、んっ、んんっ、ちゅ……。むぅ♡」
(っ。これ、ほんと……)
病みつきに、なりそうになる。
極上の肢体を存分に貪って。情愛を伝え合うようなスキンシップに明け暮れて。漂着しての緊急時にあたっても、この状況では半ば普夫の理性も知性も既に焼き切れつつあった。
「んっ……。えへへ。フツオくん、すきぃ……」
――いや、もう。
舌と舌とを絡ませ合い、熱を、吐息を、想いを交わしながら。ほっそりとした背に腕をまわす普夫は胸中で唸る。
――とっくに、手遅れか。
一度甘い蜜を啜ってしまえば、どうにも抑えは効かなくなる。
それは今も同様だった。
「……んっ。もう、おっきくなってる……♡ きゃっ。……ふ、フツオくん?」
まだ夜は明けそうにないのは僥倖だった。
――数時間後。日が昇り空が白くなっていくなかでセトの水着の下を紛失したのが発覚し。救助に駆けつけたカド市長の乗り込むヘリのプロペラ音が聞こえだすなかで真っ赤になる彼女と一緒に普夫が水着探しに奔走することになるのはまた別の話だった。
次話以降のネタストック
・劇場版後モブサレイチャエロ
・モブマリ√ 婚約後初夜
・ロスロスマンの犠牲者協会所属シスターちゃん敗北苗床凌辱