※この作品はR-18です。

飛信の褥(しんのしとね)   作:坂本太郎

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登場人物
 信(しん):飛信隊将軍。羌瘣の魂の傷を知る者として、その哀しみの源に触れる。
 羌象(きょうしょう):過去の人物。「羌族」の女性。羌瘣と姉妹同然に生きてきたが、壮絶な運命を辿った。


⚔️ 第十五話:巫女の宿命、羌象(きょうしょう)の哀願

1.  ️ 魂の深奥(しんおう)— 蚩尤(しゆう)の宿命

 

紫季歌との切ない別れの後、信の夢は再び過去の深淵へと引き込まれました。そこは羌族の村の記憶が残る、雪に閉ざされた場所でした。信の前に現れたのは、羌瘣と瓜二つの容姿を持つ、羌象の魂でした。

羌象の瞳は澄んでいましたが、その中には深い絶望と、妹同然の羌瘣を案じる、切実な愛情が混在していました。

 

羌象「信殿…貴方の熱が、妹の羌瘣を救っていることを知っています。蚩尤の宿命に囚われていたあの子の魂を…」

 

羌象は信の持つ、濁りのない『生の力』こそが、羌族の巫女に課せられた悲しい運命を断ち切る唯一の鍵だと悟っていました。

 

信「羌象。あんたの悲劇が、きょうかいの力の源であり、枷でもあった。俺はあんたの魂を癒し、きょうかいの全てを解放するために来た」

 

信は羌瘣の剣の舞の美しさと哀しさの源である、羌象の魂の全てを受け入れる決意をしました。

 

2.   哀切(あいせつ)と情熱の鎮魂

 

信は雪の上に膝をつき、羌象の儚い身体を優しく抱きしめました。羌族の巫女の純粋な魂に対し、信は戦場の鬼のような荒々しさを封印し、全ての優しさと慈愛を込めて、彼女の内側へと入っていきました。

その交わりは、巫女に捧げられた、鎮魂の儀式のようでした。

 

「…フウ…スウ…ピチャ…」(雪の静寂の中で響く、魂の深部で交わる、静かで切ない音)

 

羌象は信の熱を受け入れると、止めどなく涙を流しました。それは悲しみだけでなく、自身の魂が、妹が愛し、信頼する男の熱によってようやく満たされる、歓喜の涙でした。

 

羌象「んん…信殿…ああ…この温もり…これほどにも…生きることが…悦びであったのか…んっ、んんっ!…私の宿命は、貴方の熱によって…解放される…」

 

羌象は信の全てを受け入れ、その情熱の極致で、信にひとつの哀願を伝えました。

 

羌象「信殿…どうか…羌瘣を…守ってあげて…貴方の熱で、あの子の『命』を…繋いであげて…私の分も…幸せに…」

 

信は羌象の魂の叫びに応え、羌瘣への新たな誓いを胸に刻みながら、彼女の魂を完全に満たし、安らぎへと送り出しました。

ビクビクンッっ!ビュルルッ

 

羌象「あああああ…信殿…ありがとう…私の愛しい妹を…お願い…」

 

羌象の魂は雪の中へと溶け込み、信の心に羌瘣を守るという、強い使命感を残したのでした。

 

. ☀️ 再びの戦場へ

信は夢から覚め、羌瘣の寝顔を見つめました。彼の心は、羌象との交わりを通じて羌瘣の哀しみを全て理解し、彼女を永遠に守るという強固な決意で満たされていました。




次回予告
過去の羌族の宿命に触れた信は、次に幽族という謎めいた一族の代表であり、先代の蚩尤である幽連(ゆうれん)と夢の中で対峙します。羌瘣の持つ『力』の根源を知る幽連と、信の情熱が激しくぶつかり合います。
次回:飛信の褥(しんのしとね)— 第十六話:先代蚩尤、幽連(ゆうれん)の冷たき試練
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