◇◇◇
周の部屋に二人で入り、真昼はブランチをつくり楽しく食べ、
その後は、ふたりで配信映画を楽しんだ。
いつもの休日だった。
しかし
ソファーに並んで映画を視ていた周は、ふと臭いが気になった。
(あれ? さっきのタバコの臭いなのか? なんで?)
(これ、もしかて真昼のカーディガンから匂ってないか?
毛糸にさっきのエレベーターで移った?
そこまで強烈な匂いじゃなかったのに……)
疑問を感じる周。
何気ない些細なことだが、無性に気になった。
(そもそも、こんな出かけるような格好で、朝スーパーに買い物?
いや、真昼は前にも「おうちデート」であってもファッションに気を使っていたか……
それに、タバコの匂いがしたからって、それじゃあ朝からタバコを吸う男と会っていたとでも?
そんなことあるわけない、天使様だぞ……)
もやもやするが、じゃあそれが何だというわけでもなく、それ以上詮索することはなかった。
しかし、ここのところ感じる真昼への違和感が、またひとつ心の中に積み重なっていく。
その隣で映画に見入っている風の真昼の心中は、千々に乱れていた。
(……本当に……終わらせないと……
この周くんとのかけがえのない時間が、なくなっちゃう。
わたしが、あの人をこれ以上受け入れたら……
自分でも、どうなってしまうかわからないわ……ずるずると流されて……)
しかし彼女の思考はそこで止まる。
そこでまた、昨夜の卓夫と過ごした時間を思い出してしまったから。
(すごかった。あんなに気持ちよくなるなんて。セックスってすごいんだ。
最初の頃は痛かったはずなのに、いつの間にか……わたしって、ものすごくエッチなの かなぁ……
あんなはしたない言葉を、わたしが口にしたなんて、いま考えると信じられない。
でも、自分の気持ちや行為を口に出すと、どうしてかゾクゾクしちゃって……)
(……ダメ……ダメなのに……)
このまま
行動しなければ、周と卓夫との二重生活が続いてしまう。
平日卓夫に朝食を周に夕食を作り、週末には昼間は周と過ごしても、夜は卓夫に抱かれる日々。
それが続いてしまう予感しかない。
「わたしは、最低だ」
周とのゆったりした週末の時間の流れとは裏腹に、真昼の頭の中はぐるぐると回り続けた。
◇◇◇
何か、何か手を打たないと。決定的に自分が変わってしまうのではないか、ということを真昼は恐れた。
卓夫と身体を重ねる回数が増える度に、彼に関して知ることが増える毎に、
憎むべき強姦魔からひとりの寂しい中年男性へと、自分の彼への印象が変わってきている。
そして、更に今後そこからどんな存在になるのか、想像すると自分自身が信じられず怖くなる。
(やっぱり、これしかないわ……)
真昼は、決意した。
藤宮周ともセックスすることを。
一番好きな、大切な人とのエッチは、私と彼との関係を決定的に変えてくれるはず。
本当の意味での恋人同士に。
自分が既に処女ではないと気づかれる可能性は高いけれど、でもそれは彼との将来を考えたら、必ずいつか潜らないいけない関門だ。
だったら早い方がいい。
誰としたとかは言いたくない、いや言えいけれど。
早くしないと自分が、どんどん流されて行く気がして仕方ないから、真昼自身早く周としたいのだ。
既に、卓夫を警察に訴えるという選択肢はいつのまにか真昼の頭の中から抜けていた……
とはいえ、「エッチしましょう」と迫るようなことが、健全で一歩引き気味な周くんに対して簡単にできるはずもない。
そこで、彼女が考えたのはシチュエーションを整えて、自然にそういうムードに持っていき繋がることだった。
以前からの話を利用して、
「お泊りをしよう」と。
「……そ、その、金曜日は、お時間空いてますか」
「ん? 特に予定は入れてないけど」
「……それなら、えっと……ま、前に、言っていた事を、お願いしたいというか」
「前に言っていた事?」
「……お、お泊まり、を」
◇◇◇
◇◇◇
そして私は、周くんとお泊りをしました。
周くんの部屋に泊まり、同じベッドで眠ったのです。
夜には、一緒にお風呂も入りました。
いきなり裸は、周くんにはきっと無理いなので水着姿で。
但し、とっておきの黒いビキニで。
それでも、周くんとはエッチはできませんでした。
同じベッドで、周くんに抱きしめられて眠っただけです。
わたしはして欲しかった。
いえ、したかったのに。
周くんは「真昼を大切にしたい」ということか、決して手を出してくれませんでした。
お風呂の中では、水着姿ということもあり、
周くん相手でも、結構大胆なこともでき、
精一杯のお誘いとして、お風呂では自分の胸を周くんの背中に当てるという実力行使に出て、やり返してもらうところまでは行けました。
背中を泡でぬるぬると洗ってもらった時は、
うれしくてゾクゾクしてあまりに敏感に感じてしまい、
秘部が蜜で溢れかえってしまったことをバレたくなくて、逃げてしまった……
あの人にいつもいぢめられる耳の弱点を弄られて、背中を洗う最中にずっとびくびく震わせてしまった。
耳の弱点は、前から周くんも薄々気づいていたのを、しっかり見つけてもらえたのはうれしかったのに。
それでも、突然正面から抱きしめられて、背中の弱いポイントも見つけてくれた時は、「このまま、いよいよ。来て」と期待が高まったのですが、そこまででした。
不満な気持ちを、「周くんがいぢわる」ということでごまかしてしたやり取りは楽しかったのですが、身体は疼いてました。
それでも「ふたりでベッドに入るのだから、どう考えても……何もないはずがない」
と、そう考えていました。
それでもなかなか獣になってくれない周くんなので、
いよいよ「ベッドの中で一緒に !」となった時は
「周くんが触るから、あんな風(感じ過ぎて逃げる)になるだけ」
とか
「周くんにいっぱい触って欲しいのは、私の願いなので……」
とまで言って誘ったのだけれど…………
ダメでした。
「触りたいし色々したいけど我慢してる」との鉄の意思をもっているようで、
いつもより長いキスをしてくれるだけで終わりました。
せめてお互いの舌を絡め合うディープキスをしたかったのだけれど、それも無理でした。
唇を舐めてくれるのに、その舌が中には入ってくることは決してなかったのです。
(……こんなに、わたしが……)
周くんは、たっぷり甘やかしてくれて、それはそれで心地よいのだけれど、もどかしかった。
そのまま、ひとつのベッド堅物の周くんに抱かれて眠って幸せでした。
大好きなヒトに包まれて眠るのですから。
でも、それゆえ下腹部がうずうずしてしまって、なかなか眠れなかったのは、残念な事実でした。
周くんが眠るのを待って、密かに自分で慰めたのです。
なぜか涙が滲みました。
結局、うずうずは次の日も消えなかったので、甘やかしの延長ということで、
周くんの膝に乗って刺激するという過激な行動にも出てみました。
膝に乗っていると、確かに、周くんのあそこが固くなっているのをお尻に感じられたんです。
(あっ、この感触は……周くんのが大きくなってる ! )
それがわかった瞬間、わたしのあそこは、熱くなりジュンと泉が湧きました。
少しだけ、ほんの少しだけ、無邪気を装いながら擦り付けお尻を動かしてみると……
更に大きくなっているのがわかります。
(周くんも、やっぱり興奮するんだ。うれしい、うれしい。
こんなわたしでも、興奮してくれるんだ……)
わたしの身体は、周くんの愛撫を待ち受ける準備はたちまち完了します。
顔は火照り、乳房の張りも強まり、乳首は早くもピンと尖ってきました。
多分、クリトリスも包皮から可愛く頭を覗かせていたはずです。
(周くん、いいのよ、さあ、わたしのおっぱいをぎゅっと握りしめて。
乳首も擦ったり、カリカリしたり、痛いくらい抓ってもいいから……早くぅ)
ドキドキドキ、わたしの胸は期待に昂りました……
さわさわ、さわさわ、さわさわ
周の手は意外なところに伸ばされて、
頭をなでてくれました。
もう一方の手は、わたしの二の腕に添えられ、
決して乳房には触れようとしませんでした。
鉄の意思過ぎます。
うれしい。
いつもなら、これはすごくうれしいこと。
でも
でも
(今、じゃないの。……どうして ? )
(わたしが、お尻を動かして誘ってること、わかるよね?
すごく恥ずかしいことしたって……
女の子からだなんて、とってもはしたないことしてるのに……)
(ゆうべのお風呂もそう。女の子から精一杯アピールしてるんだよ。)
(わたしの、天使様の身体を大事に思ってくれて、手を出さないの?
わたしは、天使様でも何でもない普通の女の子。性欲だってあるんだよ? )
(手を出さない、じゃなくて……もしかして、もしかして出せないの? ……
『意気地なし』って……思っちゃうよ……そんな失礼なこと考えちゃいけないのかな)
(こんなにわたしから誘ってもダメなんて……あのヒトなら、隙あらばすぐさま……)
と、禁断の卓夫との比較もしてしまう。
卓夫とのセックスを思い出すと、ドクン、泉は更に溢れていきました。
乳首もブラに擦れたら痛いほどに尖り切って。
結局、がっかりして、緊張していた力を抜いて、周くんの身体にもたれかかってしまいました。
「真昼は、甘えん坊だね」
それを自分に身体を預けてくれたと勘違いした周くんは受けとめてくれ、頭の手を緩く撫で続けたんです……
◇◇◇
◇◇◇